JP2013092050A - 内接歯車ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】歯数がnのインナーロータと歯数が{n+1}のアウターロータを組み合わせた内接歯車ポンプにおいて、ロータ回転に伴う噛み合いピッチ径や噛み合い圧力角の変動を抑制し、ポンプ性能を高めることを課題としている。
【解決手段】インナーロータ2とアウターロータ3を組み合わせたポンプロータを有し、前記インナーロータ2とアウターロータ3の噛み合いが偏心軸CLに対して常にロータの回転方向後方で起こる内接歯車ポンプのアウターロータ3の歯面曲線の噛み合い部付近にある領域を、インナーロータ2の噛み合い部付近の歯面形状が転写された形状とした。
【選択図】図1

Description

この発明は、歯数がnのインナーロータと、歯数が(n+1)のアウターロータを組み合わせたポンプロータを有する内接歯車ポンプ、詳しくは、インナーロータとアウターロータの噛み合い点が偏心軸に対して常に回転方向後方に位置する内接歯車ポンプに関する。
首記のインナーロータとアウターロータを偏心配置にして組み合わせ、その2者からなるポンプロータをハウジングのロータ室に収納して構成される内接歯車ポンプは、車のエンジンの潤滑用や自動変速機(AT)用のオイルポンプなどとして利用されている。
その内接歯車ポンプは、ハウジングのロータ室の端面に吸入ポートと吐出ポートを有する。吸入ポート終端と吐出ポート始端間は、インナーロータとアウターロータの歯間に作り出されるチャンバ(ポンプ室)を吸入ポートと吐出ポートから切り離す閉じ込み部として構成されており、前記チャンバが吸入ポートに面して面積(容積)を拡大しながら移動する間にそのチャンバに液体が吸入され、チャンバが吐出ポートに面して面積を縮小しながら移動する間にチャンバ内の液体が吐出ポートに送り出される。
この内接歯車ポンプに、インナーロータの歯形を下記特許文献1の方法で創成したものがある。同文献の方法(これについては後に詳述する)で設計される歯形は、歯丈を自由に増大させることが可能であり、チャンバの容積を大きくしてポンプの吐出量を増大させることができる。
この特許文献1の方法で歯形を創成したインナーロータは、それと組み合わせるアウターロータの歯形を下記特許文献2に記載された方法で創成すると比較的回転の滑らかなポンプロータを実現できることから、組み合わせ相手のアウターロータの歯形を特許文献2の方法で創成することがなされている。
特許文献2が開示している方法は、実際に多用されている方法であって、インナーロータ中心を、直径(2e+t)(e:インナーロータとアウターロータの偏心量,t:インナーロータとアウターロータのチップクリアランス)の円上で公転させ、かつ、公転1回当りに1/n回自転させて得られるインナーロータの歯面曲線群の包絡線をアウターロータの歯形となす。
特許第4600844号公報 実公平6−39109号公報
上記特許文献1の方法で歯形を創成したインナーロータと、特許文献2の方法で歯形を創成したアウターロータを組み合わせたポンプロータは、インナーロータとアウターロータの噛み合い点が、常にインナーロータ中心とアウターロータ中心が置かれる偏心軸に対してロータの回転方向後方に位置する場合がある。
噛み合い点がロータの回転方向後方に位置するそのポンプロータは特に、回転に伴うインナーロータとアウターロータの噛み合いピッチ径や噛み合い圧力角の変動幅が大きくなりやすい。その大きな変動が原因で、インナーロータとアウターロータ間でのトルク伝達が不安定になったり、駆動源が負担増を強いられたり、ロータの歯面の摩耗状況に悪影響がでたりする。
そこで、この発明は、ロータの回転に伴う噛み合いピッチ径や噛み合い圧力角の変動を抑制してポンプの性能を高めることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、歯数がnのインナーロータと歯数が(n+1)のアウターロータの噛み合い点が、インナーロータ中心とアウターロータ中心が配置される偏心軸に対してロータの回転方向後方に位置するポンプロータを備えた内接歯車ポンプにおいて、前記アウターロータの噛み合い部付近の歯面曲線を、インナーロータの噛み合い部付近の歯面形状が転写されたものにした。
このポンプは、具体的な形態として、例えば、前記インナーロータの歯形が下記方法Iによって、前記アウターロータの歯形が下記方法IIによってそれぞれ創成され、前記アウターロータの歯底の歯面曲線の、ピッチ円近傍にある屈曲の正負の向きの変化点よりも少なくとも外径側に、インナーロータの噛み合い部付近(転写箇所に対応した位置)の歯面形状が転写されたものが挙げられる。
ここで言うインナーロータの歯形の転写は、例えば、図面上でアウターロータを固定し、この状態でインナーロータを噛み合い位置から微小角度回転させ(インナーロータを固定してアウターロータを逆転方向に回転させてもよい)、このときにインナーロータの歯がアウターロータ側に入り込んだ箇所(アウターロータの元歯面と重なる箇所)を除去する。それによって、アウターロータの歯面の一部がインナーロータの歯面形状に置き変わる。それが即ち転写である。
この転写を行うときのインナーロータとアウターロータの相対回転の量は、例えば、0.5°〜1°程度でよい。その回転量の設定は、ロータの噛み合いが偏心軸に最も近づくインナー回転角度(インナーロータの回転角度)において、アウターロータの歯面曲線のピッチ円近傍にある屈曲の正負の向きの変化点よりも少なくとも外径側がインナーロータの歯面形状が転写される角度であればよい。
なお、インナーロータとアウターロータの歯の噛み合いは、各歯の片面側でのみ起こるが、両ロータは一面側と他面側の区別ができない場合が多い。従って、組み付けミスの防止のために、組み付けに方向性が生じないように、歯面の補正は左右対称に行なう。
この発明の内接歯車ポンプは、アウターロータの噛み合い部付近の歯面曲線を上記の通りに補正することと併せて、アウターロータの歯形創成に用いるインナーロータを仮ロータとし、その仮ロータの歯の歯底側を細らせたものを本インナーロータとして歯面曲線の補正されたアウターロータと組み合わせると好ましい。
アウターロータの歯面曲線の補正において、噛み合い位置から微小角度回転させたインナーロータの歯底側の歯面が、アウターロータの歯先側の歯面に転写されることがある。この場合、ロータの出来栄えによって噛み合い点がインナーロータ歯底側に変動する虞がある。そこで、本インナーロータの歯底側を細らせることで、インナーロータ歯底側での噛み合いを防いで噛み合い点の変動を無くす。その対応で、噛み合いピッチ径、噛み合い圧力角の変動を抑制できる。
この発明の内接歯車ポンプは、アウターロータの噛み合い部付近の歯面曲線を、インナーロータの噛み合い部付近の歯面形状が転写された形状にしたので、ロータが回転しても噛み合い点の極端な変動が起こらない。
そのために、噛み合いピッチ径や噛み合い圧力角の変動が小さく抑えられ、インナーロータとアウターロータとの間でのトルク伝達が安定して駆動源の負担軽減やロータの歯面の変則的摩耗の抑制などにつながる。
この発明の内接歯車ポンプの一例を、ハウジングのカバーを外した状態にして示す端面図 (a)一定径の創成円を用いて図1のインナーロータの歯形を創成する方法の解説図、(b)一定径の創成円の中心の移動状態を示すイメージ図 アウターロータ歯面曲線の創成方法の説明図 アウターロータ歯面曲線の補正方法の説明図 図4の丸枠部の拡大図 仮インナーロータと本インナーロータの歯底側の相違を示す図 (a)〜(e):発明品1のポンプロータの噛み合いピッチ円径と噛み合い圧力角の変動状況を示す図 噛み合い圧力角の変動を比較したデータをグラフ化して示す図
以下、この発明の内接歯車ポンプの実施の形態を添付図面の図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示す内接歯車ポンプ1は、歯数がnのインナーロータ2と、歯数が(n+1)のアウターロータ3を偏心配置にして組み合わせてポンプロータ4を構成し、そのポンプロータ4をハウジング5のロータ室6に収納して構成されている。図中Oはインナーロータ中心、Oはアウターロータ中心、eは、インナーロータ2とのアウターロータ3の偏心量を表す。ロータ室6の端面には、吸入ポート7と吐出ポート8が形成されている。
インナーロータ2は、その歯形を、インナーロータと同心の基準円Aと、歯先の創成円Bと、歯底の創成円Cを用いて下記の方法Iによって創成する。創成円B,Cは、円周上の点jが、基準円AとY軸の交点(基準点J)を通過する円である。
インナーロータ2の歯形を創成する方法Iは、
図2(a),(b)に示すように、歯先の創成円B、歯底の創成円Cを下記(1)〜(3)の条件に基づいて移動させ、その間にインナーロータ中心Oと同心の基準円A上の基準点Jと重なる前記創成円B,C上の点jが描く軌跡曲線を、基準円中心Oから歯先頂点T又は歯底頂点Tに至る直線L,Lに対して対称形状をなすように描いて歯形の歯先の歯面曲線、歯底の歯面曲線の少なくとも一方となす。
−創成円B,Cの移動条件(1)〜(3)−
(1)創成円B,Cを、それらの創成円上の点jが基準円A上の基準点Jに重なるように配置し、このときに創成円中心pa,pbがある位置を移動始点にしてその移動始点Spa,Spbから創成円B,Cを一定角速度で自転させながら、創成円中心pa,pbが移動終点Lpa,Lpbに到達するまで創成円中心をその中心の移動曲線AC,ACに沿って移動させる。移動終点Lpa,Lpbは、創成円B,C上の点jが歯先頂点T又は歯底頂点Tに到達する位置である。この条件(1)に基づいて創成円B,C上の点jが描く軌跡曲線が歯形になる。
(2)前記移動曲線AC,ACは、インナーロータ中心Oから創成円中心pa,pbまでの基準円径方向距離を、前記移動始点Spa,Spbから移動終点Lpa,Lpbまで、歯先の歯面曲線2aについてはその距離を増加させ、歯底の歯面曲線2bについてはその距離を減少させる。
これにより、移動曲線AC,ACは、歯先側においては図2(a)において右上がりの傾斜曲線、歯底側においては左下がりの傾斜曲線となり、それに伴い、上記点jの描く軌跡曲線が滑らかな歯先、歯底を描く。
(3)歯先頂点T又は歯底頂点Tは、基準円Aの径方向において、創成円Bの移動始点Spaと基準円中心O間の距離Rに移動始点にある創成円Bの半径を足した長さを超えて基準円中心Oから離れている。又は、創成円Cの移動始点Spbと基準円中心O間の距離rに移動始点にある創成円Cの半径を差し引いた長さを超えて基準円中心Oに近づいている。
この条件により、点jの軌跡曲線によって描かれる歯の歯丈が、基礎円上を転がる転円によって描かれるサイクロイド曲線の歯形に比べて高くなる。
上記創成円B,Cは、それぞれの直径Bd,Cdを一定に保って移動始点から移動終点に移動する円と、それぞれの直径Bd,Cdを縮めながら移動始点から移動終点に移動する円のどちらかが選択される。移動中に径変化を生じる後者の創成円は、移動始点での直径に対して移動終点での直径が0.2倍以上、1倍以下にするのがよい。
創成円中心pa,pbの移動始点Spa,Spbは、図2(a)では直線L上に置かれているが、直線Lよりも創成円に移動方向前方に配置されることもある。
さらに、創成円中心pa,pbの移動終点Lpa,Lpbも、直線L,Lからずれた位置に設定されることがある。
なお、移動曲線AC,ACとしては、インナーロータ中心Oから創成円中心pa、pbまでの距離の変化率ΔR’が移動終点Lpa,Lpbにおいて0である曲線や正弦関数を利用した下記の曲線などが用いられる。
例えば、創成円中心pa,pbの移動始点Spa,Spbから移動終点Lpa,Lpbに至る間の基準円径方向移動量ΔRが下式を満たす曲線である。
ΔR=R×sin{(π/2)×(m/S)}
ここに、R:創成円の径方向移動量(インナーロータ中心Oから移動終点にある創成円中心paまでの距離)−(インナーロータ中心Oから移動始点にある創成円中心paまでの距離)
S:ステップ数(創成円の移動始点から移動終点までの移動角度θ又はθを等間隔に等分した数)
m:0→S
創成円B,Cの移動角度θ,θは、歯数や歯先、歯底の設置領域の比率などを考慮して設定される。
次に、上記の方法Iで歯形を創成したインナーロータ2を用いてアウターロータ3の歯形を方法IIに基づいて創成する。その方法IIは、図3に示すように、アウターロータ3の中心Oを中心とする直径(2e+t)(e:インナーロータとアウターロータの偏心量,t:インナーロータとアウターロータのチップクリアランス)の円上をインナーロータ2の中心Oが1周公転し、その間にインナーロータ2が(1/n)回自転し、このときのインナーロータの歯面曲線群の包絡線をアウターロータ3の原形歯形となす。
そして、その原形歯形に以下の補正(修正)を加える。詳細には、原形歯形の歯面曲線の、ピッチ円近傍にある屈曲の正負の向きの変化点よりも少なくとも外径側を、インナーロータの対応位置の歯面形状が転写された形状にする。
なお、インナーロータとアウターロータのチップクリアランスtは、図1において、アウターロータ3を固定し、インナーロータ2を偏心軸CLの上方向(紙面上方向)にアウターロータと接触するまで動かしたときに、接触点と反対側(ロータ中心を間にした反対側)にできるインナーロータとアウターロータの歯面間の隙間である。
図4、図5に上記補正方法の具体例を示す。インナーロータ2とアウターロータ3を偏心軸上にe偏心させて配置して両ロータの歯を噛み合わせる。そして、その状態で例えばアウターロータ3を固定し、インナーロータを微少角度回転させる。その際の回転角度は、例えば0.5°〜1°程度でよい。その回転により、図5に示すように、インナーロータ2の歯先がアウターロータの歯面の内側に入り込む。
図4、図5の3Ofは、アウターロータの原形歯形を、2Bfは、インナーロータの回転前の歯面を、2Afは、インナーロータの回転後の歯面を、9は、アウターロータのピッチ円をそれぞれ表す。
インナーロータ2の回転により、インナーロータの歯面の一部がアウターロータの原形歯形3Ofの中に入り込む。その入り込みは、ピッチ円9の近傍にある歯面曲線の屈曲の正負の向きの変化点qを境にしてその変化点qよりもロータの少なくとも外径側で起こる。そこで、インナーロータの歯面がアウターロータの原形歯形と重なった位置を除去してアウターロータの歯面にインナーロータの歯面形状を転写する。
これにより、インナーロータ2とアウターロータの噛み合い点がインナーロータにおいては歯先側に、アウターロータにおいては歯底側に極端に移動することがなくなり、噛み合いピッチ径や噛み合い圧力角の変動を小さく抑えられる。
なお、歯形次第では、図5に示すように、インナーロータ2を必要量回転させた位置でピッチ円9よりも内径側においてインナーロータ回転後の歯面2Afがアウターロータの原形歯形3Ofの歯先側の歯面の内側に僅かに入り込むことがある。そのときには、アウターロータの原形歯形3Ofの歯面がインナーロータと重なった位置も補正して除去するのがよい。
インナーロータは、アウターロータの歯形創成に利用するもの(前記方法Iで歯形を創成したもの)を仮インナーロータとし、その仮インナーロータの歯の歯底側を図6に一点鎖線で示すように細らせたもの(同図の実線が仮インナーロータの歯形)を本インナーロータとしてアウターロータ3と組み合わせると好ましい。
仮インナーロータの歯の歯底側を細らせる方法として、例えば、前記方法Iで歯底側を創成する創成円Cの基準円Aに対する径方向の移動区間を変える方法がある。具体的には、基準円Aの中心と創成円Cの中心との距離が変化する角度θを仮インナーロータに対して本インナーロータは小さくする。
このほかに、前記方法Iで直径が移動中に減少する創成円Cを用いて仮インナーロータの歯形を描き、本インナーロータの歯形は前記方法Iで本インナーロータの歯形を創成するときに前記創成円Cの縮径割合を仮インナーロータの歯形創成時よりも小さくして歯底の歯面曲線を描く方法でも、本インナーロータの歯底側を細らせることができる。
仮インナーロータに対して本インナーロータの歯底側を細らせると、アウターロータの歯面と本インナーロータの噛み合いにおいて、噛み合い点が本インナーロータの歯元側に
ずれることを抑制でき、アウターロータの歯面のみを補正したものに比べて噛み合いピッチ径と噛み合い圧力角の変動幅がより小さくなる。
上記方法Iにより、基準円Aの直径:32.9mm、歯底〜歯先までの半歯角度(創成円の移動始点から移動終点までの移動角度(θ,θ):22.5°、創成円Bの直径Bd:2.056mm、創成円Cの直径Cd:2.056mm、創成円Bの径方向移動量:0.029mm、創成円Cの径方向移動量:1.727mm、創成円B、Cの移動のステップ数S:各60、の条件で歯形を創成した大径:37.04mm、小径:25.4mmの歯数:8のインナーロータを作成した。
また、そのインナーロータを用いて上記方法IIで、偏心量e:2.76mm、チップクリアランスt:0.08mmの条件に基づき、大径:42.64mm、小径:31.6mmの歯数:9のアウターロータを作成した。
次に、そのインナーロータとアウターロータを組み合わせ、インナーロータとアウターロータの噛み合いが偏心軸に最も近づくインナー回転角度において、アウターロータを固定した状態でインナーロータを噛み合い位置から0.635°回転方向前方に回転させて回転後のインナーロータ歯面が転写されるようにアウターロータの歯底の歯面曲線を補正した。そして、その補正後アウターロータとインナーロータを組み合わせたポンプロータを試作した(発明品1)。
また、アウターロータの歯形を創成したインナーロータを仮インナーロータとし、その仮インナーロータよりも歯底側を図6の鎖線のように細らせた本インナーロータを補正後アウターロータと組み合わせたポンプロータも試作した(発明品2)。
次に、発明品1,2のポンプロータと、アウターロータの歯形補正を行なっていない比較品(アウターロータの歯形を除く仕様は発明品1と同じ)のポンプロータについて、噛み合いピッチ径と噛み合い圧力角の変動を調べた。
発明品1のポンプロータにおいて、インナーロータが基準位置にある状態を図7(a)に、その基準位置からインナーロータが10°回転した状態を図7(b)に、20°回転した状態を図7(c)に、30°回転した状態を図7(d)に、40°回転した状態を図7(e)にそれぞれ示す。図中10は、噛み合いピッチ円、γは、噛み合い圧力角を表す。ここで、ロータの回転方向は、図中に矢印で示した通り、時計回りとし、各インナーロータ回転角において、アウターロータを反時計回りに回転させ、インナーロータとアウターロータを噛み合わせた状態を示す。
この発明品1と発明品2及び、比較品のポンプロータが理論偏心位置から5°,10°,15°,20°,25°,30°,35°,及び40°回転した位置での噛み合いピッチ円径と噛み合い圧力角の測定データを、表1、表2にまとめる。
Figure 2013092050
Figure 2013092050
表2のデータをグラフ化して図8に示す。
この評価結果からわかるように、比較品は噛み合いピッチ径が、32.904〜34.702mmで比較的大きめに変動している。また、噛み合い圧力角γも、0.85°〜
43.42°と大きく変動している。
これに対し、発明品1は、噛み合いピッチ径は30.877〜32.908mmで変動しているが、噛み合い圧力角γの変動は、0.87°〜6.94°と比較品に対して小さい。
また、発明品2は、噛み合いピッチ径が32.696〜32.903mm、噛み合い圧力角γは0.29°〜0.53°であり、噛み合いピッチ径、噛み合い圧力角とも変動幅が比較品に対して小さくなっている。
1 内接歯車ポンプ
2 インナーロータ
2a 歯先の歯面曲線
2b 歯底の歯面曲線
Bf インナーロータの回転前の歯面
Af インナーロータの回転後の歯面
3 アウターロータ
Of アウターロータの原形歯形
4 ポンプロータ
5 ハウジング
6 ロータ室
7 吸入ポート
8 吐出ポート
9 アウターロータのピッチ円
10 噛み合いピッチ円
インナーロータ中心(基準円中心)
アウターロータ中心
A 基準円
Ad 基準円の直径
B 歯先創成円
C 歯底創成円
Bd,Cd 創成円の直径
AC,AC 創成円中心が通る移動曲線
R 創成円の径方向移動量
Ro 創成円Bの移動始点Spaと基準円中心O間の距離
創成円Cの移動始点Spbと基準円中心O間の距離
θ,θ 創成円の移動角度
J 基準円上の基準点
j 軌跡曲線を描く点
歯先頂点
歯底頂点
インナーロータ中心と基準点Jを結ぶ直線
インナーロータ中心と歯先を結ぶ直線
インナーロータ中心と歯底を結ぶ直線
pa,pb 創成円中心
Spa,Spb 創成円の移動始点
Lpa,Lpb 創成円の移動終点
S ステップ数
e インナーロータ中心とアウターロータ中心の偏心量
t チップクリアランス
q アウターロータの歯底の歯面曲線の屈曲の正負の向きの変化点
CL 偏心軸

Claims (3)

  1. 歯数がnのインナーロータ(2)と歯数が(n+1)のアウターロータ(3)の噛み合い点が、インナーロータ中心(O)とアウターロータ中心(O)が配置される偏心軸(CL)に対してロータの回転方向後方に位置するポンプロータ(4)を備えた内接歯車ポンプにおいて、
    前記アウターロータ(3)の噛み合い部付近の歯面曲線が、インナーロータ(2)の噛み合い部付近の歯面形状を転写して構成された内接歯車ポンプ。
  2. 前記インナーロータ(2)の歯形が下記方法Iによって、前記アウターロータ(3)の歯形が下記方法IIによってそれぞれ創成され、前記アウターロータ(3)の歯面曲線の、ピッチ円近傍にある屈曲の正負の向きの変化点(q)よりも少なくとも外径側に、インナーロータ(2)の対応位置の歯面形状が転写された請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
    方法I:歯先の創成円(B)、歯底の創成円(C)を下記(1)〜(3)の条件に基づいて移動させ、その間にインナーロータ中心(O)と同心の基準円(A)上の基準点(J)と重なる前記創成円(B,C)上の点(j)が描く軌跡曲線を、基準円中心(O)から歯先頂点(T)又は歯底頂点(T)に至る直線(L,L)に対して対称形状をなすように描いてインナーロータの歯面曲線となす。
    −創成円(B,C)の移動条件−
    (1)創成円(B,C)を、それらの創成円上の点(j)が基準円(A)上の基準点(J)に重なるように配置し、このときに創成円中心(pa,pb)がある位置を移動始点にしてその移動始点(Spa,Spb)から創成円(B,C)を一定角速度で自転させながら、創成円中心(pa,pb)が移動終点(Lpa,Lpb)に到達するまで創成円中心をその中心の移動曲線(AC,AC)に沿って移動させる。
    (2)前記移動曲線(AC,AC)は、インナーロータ中心(O)から創成円中心(pa,pb)までの基準円径方向距離を、前記移動始点(Spa,Spb)から移動終点(Lpa,Lpb)まで、歯先の歯面曲線(2a)についてはその距離を増加させ、歯底の歯面曲線(2b)についてはその距離を減少させる。
    (3)歯先頂点(T)又は歯底頂点(T)は、基準円(A)の径方向において、創成円(B)の移動始点(Spa)と基準円中心(O)間の距離(R)に移動始点にある創成円(B)の半径を足した長さを超えて基準円中心(O)から離れている。又は、創成円(C)の移動始点(Spb)と基準円中心(O)間の距離(r)に移動始点にある創成円(C)の半径を差し引いた長さを超えて基準円中心(O)に近づいている。
    方法II:アウターロータの中心(O)を中心とする直径(2e+t)(eとtは、既述の偏心量とチップクリアランス)の円上をインナーロータの中心(O)が1周公転し、その間にインナーロータが(1/n)回自転し、このときのインナーロータの歯面曲線群の包絡線をアウターロータの歯形となす。
  3. アウターロータの歯面曲線を補正することと併せて、アウターロータ(3)の歯形創成に用いるインナーロータを仮インナーロータとし、その仮インナーロータの歯の歯底側を細らせたロータを本インナーロータにして歯底補正後のアウターロータと組み合わせた請求項1又は2に記載の内接歯車ポンプ。
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