JP2013090601A - コーヒークリーム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷解凍した際にオイルオフなどが起きず、常温保存しても風味劣化せず、さらに乳風味が強く、しかもコストも抑えたコーヒークリームを提供する。
【解決手段】油脂として、極めて液状性が高く、且つ酸化安定性の高い油脂を使用すること、即ち、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有した油脂を使用すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー等の飲料に添加するコーヒークリームに関する。
従来から、コーヒークリームとして、植物性油脂を原料として製造される植物性油脂置換クリーム(水中油型乳化物)が知られている。植物性クリームは生乳から得られる生クリームに比べて安定性に優れ、かつ比較的安価に製造されるという利点を有するためにその消費量は多い。この植物性クリームの製造では、通常、安定な乳化物を得るため、複数の乳化剤と燐酸塩、クエン酸塩等の安定剤を使用して調製される。
しかし、従来のコーヒークリームには、冷凍した際に粗大結晶によって乳化破壊が起きてオイルオフが起きる問題や、常温で保管した際、酸化劣化により風味が劣化する問題などがあった。そこで、特許文献1には、凍結耐性及び酸化安定性において優れた安定性を示すコーヒークリームとして、(A)中鎖脂肪酸トリグリセリドと(B)、パーム核オレイン、パーム核オレインのエステル交換油脂またはパーム核オレインの硬化油脂などのラウリン系油脂を含み、(A)及び(B)の合計重量が85重量%以上であり、かつ(A)と(B)の重量比が60:40〜2:98であるクリーム用油脂組成物を含む飲料添加用クリームが開示されているが、更なる冷凍耐性の改善が求められていた。
また、2位(β位)にパルミチン酸が結合したトリグリセライドは、α位にパルミチン酸が結合したトリグリセライドにくらべ、はるかに高い吸収性を示すことが知られている(特許文献2)。しかしながら、パ−ム油を原料として液状油脂を作製する際にろ別される固体脂及び該液状油脂は、構成脂肪酸としてパルミチン酸は多いものの、その殆どが1、3位に結合しており、高い吸収性を示すものではない。
特開2011−83234号公報 特開平6−70786号公報
本発明は、上記のような従来のコーヒークリームにおける問題点に鑑み、冷解凍した際にオイルオフなどが起きず、常温保存しても風味劣化せず、また乳風味が強く感じられ、さらにコストも抑えたコーヒークリームを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂として、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有し、極めて液状性が高く、且つ酸化安定性の高い油脂を使用することで、冷凍しても結晶は発生するが粗大結晶は発生しないため乳化破壊が起きず、コーヒークリームの性状を保ち、常温で保存しても酸化劣化が起きにくいコーヒークリームが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、油脂をコーヒークリーム全体中10〜35重量%含有するコーヒークリームであって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、前記コーヒークリームに含有される全ての油脂全体中30〜100重量%含有するコーヒークリームに関する。好ましい実施態様は、前記パーム油由来液状油脂の曇点が0〜−12℃である上記記載のコーヒークリームに関する。また、好ましい実施態様は、前記パーム油由来液状油脂のCDM値が5時間以上である上記記載のコーヒークリームに関する。
本発明によれば、冷凍しても結晶は発生するが粗大結晶は発生しないため乳化破壊が起きず、コーヒークリームの性状を保ち、常温で保存しても酸化劣化が起きにくいため、風味劣化が少なく、好ましい乳風味が強く感じられるコーヒークリームを提供することができる。本発明のコーヒークリームは、2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを多く含有することから、油脂の吸収性も高い。
本発明に係るコーヒークリームは、油脂をコーヒークリーム全体中10〜35重量%含有するコーヒークリームであって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、前記コーヒークリームに含有される全ての油脂全体中30〜100重量%含有する。
以下、本発明のコーヒークリームに用いるパーム油由来液状油脂について説明する。
本発明におけるトリグリセライドの脂肪酸組成は、以下のように略記する。
S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸
SSS:トリ飽和脂肪酸グリセライド
SU2:モノ飽和脂肪酸ジ不飽和脂肪酸グリセライド
S2U:ジ飽和脂肪酸モノ不飽和脂肪酸グリセライド
UUU:トリ不飽和脂肪酸グリセライド
また、本発明において、前記各トリグリセライド含量を測定する方法は、以下のとおりである。
<油脂中の各トリグリセライド含量の測定>
油脂中の各トリグリセライド含量は、HPLCを用いて、AOCS Official Method Ce 5c−93に準拠して測定し、各ピークのリテンションタイムおよびエリア比から算出した。以下に、分析の条件を記す。
溶離液 :アセトニトリル:アセトン(70:30、体積比)
流速 :0.9ml/分
カラム :ODS
カラム温度:36℃
検出器 :示差屈折計
更に、本発明において、油脂中の脂肪酸組成を測定する方法は、以下のとおりである。
<油脂中の脂肪酸組成の測定>
油脂中の脂肪酸組成の測定は、FID恒温ガスクロマトグラフ法により行うことができる。FID恒温ガスクロマトグラフ法とは、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」(発行年:1996年)の「2.4.2.1 脂肪酸組成」に記載された方法である。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、パーム系油脂、好ましくはヨウ素価55以上のパーム系油脂を主原料とし、特定の脂肪酸組成を有し、高い液状性と酸化安定性を兼ね備えた安価な液状油脂である。前記パーム系油脂としては、パーム油由来であれば特に限定はなく、パーム精製油、未精製のクルード油、一回以上の分別によって得られたパームオレインなどの分画油、などが例示される。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、パーム系油脂のダイレクトエステル交換反応による製造することができる。
原料として使用するパーム系油脂の構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量は70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは3〜52重量%、特に好ましくは30〜52重量%である。飽和脂肪酸含量が70重量%より多いと、ダイレクトエステル交換中に硬質部が多くなり過ぎ、分離性の良い結晶を得ることが困難になり、液状性の高い液状油脂を高収率で得ることが困難な場合がある。しかし、飽和脂肪酸含量が3重量%より少ないものだと、原料が高価になり、得られた油脂も高価なものになるため、コストが上がりすぎる場合がある。パーム系油脂の好ましい実施態様はパームオレインである。本発明における前記パームオレインとは、パームの果肉から採取した油脂を分離して得られ、ヨウ素価が55以上のものを指す。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂を製造する際には、原料油脂として、パーム系油脂に加えて、パーム系油脂以外の油脂を更に用いても良い。但し、本発明の効果をより享受するためにはパーム系油脂以外の油脂の含有量は、原料油脂全体中50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは0重量%である。パーム系油脂以外の油脂の含有量が50重量%より多いと、原料が高価になり、得られた油脂も高価なものになるため、コストが上がりすぎる場合がある。
パーム油由来液状油脂に用いるパーム系油脂以外の油脂としては、最終的に得られる液状油脂中のSU2/UUU重量比が1.9以下、より好ましくは1.1以下、且つSSS含量が2重量%以下となる食用油脂であれば特に限定はない。そのような油脂の例としては、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、オリーブ油、ごま油、キャノーラ油、綿実油、こめ油、サフラワー油、やし油、パーム核油、シア油、サル脂、イリッぺ脂、カカオ脂、牛脂、豚脂、乳脂、これらの油脂の分別脂、硬化油、エステル交換油などが挙げられる。これらの中でも、構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量が20重量%よりも低い大豆油、ナタネ油などが本発明の効果を発現し易いために好ましい。
前記パーム系油脂以外の油脂の構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量は、パーム系油脂について述べたのと同様の理由により、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは3〜52重量%である。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、液状性が高いほど冷蔵・冷凍時の乳化安定性が高いため、該液状油脂のトリグリセライド組成は、SU2/UUU重量比が1.9以下であり、1.3未満がより好ましく、更に好ましくは1.1以下である。前記SU2/UUU重量比は、更に高い液状性を求めると、1.0以下がより好ましく、0.95以下が更に好ましく、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下と、小さくなるほど好ましい。一方、製造のし易さと酸化安定性を考慮すると、前記SU2/UUU重量比の下限値は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.65以上が更に好ましく、0.7以上が特に好ましい。液状性と製造のし易さのバランスを考慮すると、前記SU2/UUU重量比は、1.1〜0.5の範囲が好ましく、1.0〜0.6がより好ましく、0.95〜0.65が更に好ましく、0.9〜0.7が最も好ましい。
また、油脂中におけるSSS含量をできるだけ少なくすることが好ましく、該液状油脂のSSS含量は、2重量%以下、更には0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、0.05重量%以下であることが特に好ましく、0.03重量%以下が最も好ましい。該液状油脂のSSS含量が2重量%を超えると、通常用いられている液油の代替として使用できない場合がある。
更に、該液状油脂の液状性を維持するためには、S2U含量が液状油脂全体中0.5〜10重量%であることが好ましい。S2U含有量は、1.0〜10.0重量%がより好ましく、2.0〜9.5重量%が更に好ましく、3.0〜9.0重量%が特に好ましく、4.0〜8.5重量%が最も好ましい。また、上記と同様の理由でUUU含量は12重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましく、35重量%以上であることが更に好ましく、40重量%以上であることが最も好ましい。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、冷蔵、冷凍時に発生する結晶がより微細で、乳化破壊しにくくなる点、および吸収性を考慮すると、2位(β位)にパルミチン酸が結合したグリセライドの含量が多いほど好ましい。その理由は、本発明で用いるパーム油由来液状油脂においては、2位(β位)にパルミチン酸が結合したグリセライドの含量が多いと、POP(1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリセリン)の含量が少なく、構造的にグリセライドの対称性が低いため、粗大結晶が出来にくく、且つ吸収性が高いと考えられるからである。液状性も考慮すると10〜30重量%が好ましく、13〜30重量%がより好ましく、16〜30重量%が更に好ましく、16〜25重量%が特に好ましく、16〜20重量%が最も好ましい。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂中の多価不飽和脂肪酸含量は、酸化安定性の観点からは少ないほど良く、22重量%以下、更には21重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、19重量%以下が更に好ましく、18重量%以下が特に好ましく、17重量%以下が最も好ましい。多価不飽和脂肪酸量を減らすには、ダイレクトエステル交換反応を停止するタイミングを早めるか、分別温度を高くすればよい。
また、本発明で用いるパーム油由来液状油脂の曇点は、前記液状油脂組成を満たしていれば特に問題はないが、液状性の観点からは0〜−12℃が好ましく、−2℃〜−12℃がより好ましく、−2.5℃〜−12℃が更に好ましく、製造のし易さと酸化安定性の観点からは0〜−10℃がより好ましく、0〜−9℃が更に好ましい。
また、本発明に使用するパーム油由来液状油脂は、CDM値が5時間以上、より好ましくは、6時間以上、更に好ましくは7時間以上である(CDM:Conductometric Determination Method、「基準油脂分析試験法 2.5.1.2-1996 CDM試験」参照。)。本発明に使用するパーム油由来の液状油脂は、前記のようにCDM値が高く、酸化安定性に優れる。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂の製造方法としては2つある。第一の製造方法は、晶析時に分離性の高い結晶が発生しやすい組成にするためにダイレクトエステル交換反応をどこで停止させるかに特徴がある。また、第二の製造方法は、ダイレクトエステル交換反応中に分離性の良い結晶を生成させ、その後、その結晶を全て溶解させず分別を行なうことに特徴がある。
第一の製造方法では、前記原料油脂を用い、油脂中のSSS/S2Uが大きくなるほど分離性の高い結晶が発生しやすくなり、分離効率が上がることから、SSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行い、反応を停止させた後、硬質部を分別除去する。前記油脂中のSSS/S2Uが0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上と大きくなるほど好ましく、油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行うことが最も好ましい。好ましい実施態様では、構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量が70重量%以下であるパーム系油脂を主原料としたダイレクトエステル交換反応を、少なくとも反応中の油脂組成物中のSSS含量が31重量%を越えることなく、S2U含量が14重量%以下になり、反応を停止させるまで行うことが好ましく、その後、分別する。前記を満たせば、ダイレクトエステル交換反応はどれだけ行っても良いが、コストを考え、前記を満たせば直ぐに停止させることが好ましい。
また、第二の製造方法では、前記した原料油脂を用い、外部から力を加えることで油脂を流動させながらダイレクトエステル交換反応を行い、その後、固体脂含量を1%以下にすることなく分別する。好ましい実施態様では、油脂中のSSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。前記油脂中のSSS/S2Uが0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上と大きくなるほど好ましく、油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行うことが最も好ましい。また、ダイレクトエステル交換反応中の油脂組成中のSSS含量が31重量%を超えないことがより好ましく、且つ、S2U含量が14重量%以下になることが更に好ましい。
外部から力を加えて油脂を流動させるためには、攪拌する、反応管などにポンプなどの外圧で油脂を通す、高所から自然落下させるなど、各種の方法を採用しうる。具体的には、撹拌するには、攪拌翼を有しているタンクやピンマシンなどの装置を用いることにより、反応させる油脂を流動させる。反応管などにポンプなどの外圧で油脂を通すには、スタティックミキサーなどの手段により、反応させる油脂を流動させることができる。もし、反応開始時や途中で撹拌などによる外部からの力を加えず、油脂を流動させないでダイレクトエステル交換反応を行うと、分離性の悪い結晶が生成し、反応中の油脂が固形状になってしまい、分別が困難となる場合がある。
前記外部から力を加えて油脂を流動させてダイレクトエステル交換反応を行う第二の製造方法において、更に液状性を高めるためには、ダイレクトエステル交換反応後、分別処理するまでに、晶析することが好ましく、収率を高めるためには昇温することが好ましい。但し、晶析せずに昇温のみする場合は液状性が低くなる場合がある。昇温する場合の条件は、固体脂含量が1重量%以下にならないようにすることである。もし、固体脂含量が1重量%以下になるまで昇温すると、加熱のためのコストが高くなり、また晶析も行う場合に種晶としての効果がなくなる場合がある。晶析速度は0.01℃/分〜5℃/分が好ましく、0.1℃/分〜2℃/分がより好ましい。晶析速度が前記範囲を外れると、生成する結晶の分離性が悪い場合がある。
本発明における上記ダイレクトエステル交換反応とは、エステル交換能を有する触媒下で油脂結晶を発生させながらエステル交換を行う反応である。本発明におけるダイレクトエステル交換反応の方法は、バッチ式、連続式を問わない。更に、前記ダイレクトエステル交換反応は、循環式であってもよい。循環式のダイレクトエステル交換反応としては、例えば、特定の温度に調整した原料油タンクAで析出したパーム系油脂中のSSS及びSS(飽和脂肪酸2つで構成されるジグリセライド)を沈降させ、上澄み液をエステル交換装置Bに連続的に移送する工程(1)と、エステル交換装置Bにおいて、移送された上澄み液をリパーゼの至適温度でエステル交換反応し、その後、再び原料油タンクAに移送する工程(2)を繰り返すことで、原料油タンクAにある油脂中のSSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。より好ましくは、前記油脂中のSSS/S2Uが、0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上、最も好ましくは前記油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。更に好ましくは、油脂中のSSS含量が31重量%を越えることなく、S2U含量が14重量%以下になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。その後、原料タンクA中の油脂を液状油脂(軟質部)と固体脂(硬質部)とに分別する。
前記ダイレクトエステル交換反応に使用する触媒は特に限定せず、エステル交換能を有していれば化学触媒、酵素触媒など何を使用しても良い。化学触媒の中でもカリウムナトリウム合金は低温での活性が高いことから好ましく、ナトリウムメチラートは経済性や扱い易さからより好ましい。化学触媒の使用量は特に限定されず、通常のエステル交換で使用される量で良いが、反応効率と経済性からは反応油脂100重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好ましい。ナトリウムメチラートでは、反応効率と分別効率、液状油脂の収率の観点から反応油脂100重量部に対して0.05重量部〜0.5重量部が好ましく、0.1重量部〜0.3重量部がより好ましい。
酵素触媒は、エステル交換能を有するリパーゼであれば特に限定されず、位置特異性が全くないランダムエステル交換酵素でも、1,3位特異性を有するエステル交換酵素でも良い。但し、所望の2位のパルミチン酸量によっては、ランダムエステル交換反応を行うか、位置特異的エステル交換反応を行うかは、使い分けた方が好ましい。酵素触媒の使用量はエステル交換反応が進行する量であれば良く特に限定されないが、反応効率と経済性から反応油脂100重量部に対して0.5重量部〜20重量部が好ましい。
本発明において、ダイレクトエステル交換反応温度は、高融点グリセライドが結晶化する温度であれば特に限定されないが、反応開始時は効率良く反応を行なうために触媒活性が最も高くなる温度が好ましい。具体的には、ナトリウムメチラートを使用する場合は50℃〜120℃が好ましく、カリウムナトリウム合金を使用する場合は25〜270℃が好ましい。また、酵素触媒を使用する場合は50℃〜70℃が好ましい。また、化学触媒を使用する場合は、反応開始から5〜20分後に、ダイレクトエステル交換反応温度を0〜40℃にすることが好ましく、10℃〜40℃にすることがより好ましい。酵素触媒を使用する場合は、反応開始から1〜18時間後に、ダイレクトエステル交換反応温度を0℃〜40℃にすることが好ましく、10℃〜40℃にすることがより好ましい。なお、本発明では、最終的な反応温度をダイレクトエステル交換反応温度とする。
上記ダイレクトエステル交換反応において、攪拌する場合は、油脂に流動性を与え、また分離性の良い結晶を生成させる観点から、1000rpm以下の速度で攪拌を行うことが好ましく、より好ましくは600rpm以下、更に好ましくは300〜1rpmである。
ダイレクトエステル交換反応後の最終的な結晶量は、分別効率の観点からは反応油脂全体中、3重量%〜60重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜40重量%である。前記結晶量は、反応時間でコントロールすれば良く、前記0〜40℃、好ましくは10℃〜40℃でのダイレクトエステル交換反応を、化学触媒使用の場合は1〜48時間、酵素触媒使用の場合は3〜120時間行うことが好ましい。
ダイレクトエステル交換反応を停止する方法は、反応が停止しさえすれば特に問わないが、化学触媒であれば水やクエン酸水の添加などが挙げられ、分別時の機器の劣化を防ぐ観点から酸性物質で中和停止することが好ましい。停止剤の添加量は、分別効率の観点から反応油脂100重量部に対して0.1重量部〜5重量部が好ましく、0.2重量部〜1重量部がより好ましい。5重量部より多いと、分別時のろ過効率が悪くなる場合があり、液状油脂の収率が低下する場合がある。一方、停止剤の添加量が0.1重量部より少ないと、色調が悪くなったり、反応が停止しない場合がある。
ダイレクトエステル交換反応を停止するタイミングは、液状油脂の収率の観点からは、反応中の油脂組成中のSSS含量が31重量%以下且つS2U含量が14重量%以下になるまで反応した後が好ましい。より好ましくは液状油脂の液状性の観点から、SU2/UUU(重量比)が1.9以下、更には1.1以下になるまで反応した後であることが好ましい。
一方、ダイレクトエステル交換反応を続けるほど反応中の油脂中のSSS含量が増えてゆくため、反応系中に固体脂が増えすぎて分別しにくくなる。従って、分別効率の観点からは、反応中の油脂中のSSS含量が50重量%を越えることなく反応を停止することが好ましく、SSS含量が31重量%を越えることなく反応を停止することがより好ましく、SSS含量が1重量%〜31重量%の間で反応を停止することが更に好ましく、1重量%〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%が特に好ましく、1重量%〜15重量%が最も好ましい。
また、ダイレクトエステル交換反応を続けるほど反応中の油脂中のS2U含量が減ってゆき、反応後の分別で得られる液状油脂の液状性の観点からは、反応中の油脂中のS2U含量が14重量%以下になるまで反応させてから停止することが好ましく、10重量%以下になるまでがより好ましく、7重量%以下になるまでが更に好ましく、5重量%以下になるまでが最も好ましい。
上記ダイレクトエステル交換後に液状油脂を分別する方法は、溶剤分別、乾式分別を問わないが、溶剤分別は溶剤の使用により設備費やランニングコストがかかるため、溶剤を使用しない乾式分別が好ましい。溶剤を使用する場合は、ヘキサン、アセトンなどを用いることができる。乾式分別の際の分別温度は、0〜45℃が好ましく、より高い液状性を得るために30℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下、更には10℃以下がより好ましく、収率の観点も含めると0〜10℃が最も好ましい。
本発明のコーヒークリームでは、上記のようなパーム油由来液状油脂に加え、それ以外の油脂も併用することができる。パーム油由来液状油脂以外の油脂は、食用であれば特に限定されず、植物性油脂、動物性油脂、食用精製加工油脂等を用いることができる。具体的にはあまに油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃油、芥子油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿実油、ナタネ油、ハイオレイックナタネ油、大豆油、辛子油、カポック油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、オリーブ油、椿油、茶油、ひまし油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、ボルネオ脂等の植物油脂や、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂、羊脂等の動物油脂、またこれらの油脂を原料にエステル交換したものや、硬化油、分別油、混合油が挙げられ、これら油脂の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。乳風味を付与するために乳脂を含む場合、コーヒークリームに含有される全油脂中20重量%以下の量とすることが好ましい。乳脂としては、バターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂が挙げられる。
本発明のコーヒークリームに含有される全油脂の含有量は、10〜35重量%が好ましく、より好ましくは15〜30重量%である。全油脂含有量が10重量%未満であると、クリームの好ましい風味が得られず、また、35重量%を超えると、かえって風味が悪くなる場合がある。また、全油脂含有量がこの範囲内であれば、乳風味が強く感じられる。
また、コーヒークリームに含有される全油脂中におけるパーム油由来液状油脂の含有量は、30〜100重量%が好ましく、より好ましくは50〜100重量%であり、更に好ましくは70〜100重量%である。パーム油由来液状油脂の含有量が30重量%未満であると、目的とする冷凍耐性、常温保存時の酸化安定性(風味の変化)、吸収性などが悪くなるおそれがある。
本発明のコーヒークリームは、例えば、以下のようにして常法に従い水中油型乳化油脂組成物として製造することができる。
<油相部>
本発明のコーヒークリームは水相部と油相部からなり、油相部にパーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを液状油脂全体中10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を含有することを特徴とする。
本発明のコーヒークリームの油相部には、上記油脂や乳脂肪に加えて、親油性の乳化剤、着香料、着色料等を添加してもよい。乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等従来公知の乳化剤のうちHLBの低い乳化剤が例示でき、本発明においてはこれらのいずれを適宜組み合わせて使用してもよい。
<水相部>
本発明のコーヒークリームの水相部は、水に、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、糖類や必要に応じて、蔗糖脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、第二りん酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、カラギナン等増粘多糖類などを添加してもよい。
本発明のコーヒークリームには、更に、甘味や粘度の調節を目的として糖類を配合してもよい。糖類としては、例えば、水飴、粉飴、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレハロース等が挙げられ、これは必要に応じ適宜組み合わせて配合される。
<コーヒークリームの製造方法>
本発明のコーヒークリームは、一般的な水中油型乳化油脂組成物の製造方法により製造できる。代表的な方法を述べると、油脂を含む油相部の材料を混合して溶解ないし分散させて油相部を調製する。乳化剤を使用する場合であって、親油性の乳化剤を用いる場合には、原料油脂の一部または全部に添加し溶解ないし分散させて油相部を調製する。これとは別に、上述したカゼインナトリウム等の添加物を水に添加して水相部を調製する。
調製した油相部と水相部を60℃から80℃に加温し、混合して予備乳化を行う。予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間熱加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却しエージングする。
本発明のコーヒークリームは、様々な用途に使用できるが、特に飲料添加用途に適している。飲料の具体例としては、コーヒー、紅茶、緑茶、果実飲料等が挙げられ、コーヒー、紅茶等が特に好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<脂肪酸組成の測定>
油脂中の脂肪酸組成は、既述の方法により測定した。
<油脂中の各トリグリセライド含量の測定>
油脂中の各トリグリセライド含量は、既述の方法により測定した。
<2位にパルミチン酸を有するグリセライド含量の測定>
分析対象の油脂7.5gとエタノール22.5gを混合しノボザイム435(ノボザイムズジャパン社製)を1.2g加えて30℃で4時間反応させ、反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(型番:シリカゲル60(0.063−0.200mm)カラムクロマトグラフィー用、メルク社製)によりトリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの各成分に分離し、若干未反応で残るトリグリセライド及びジグリセライド成分を除去し、モノグリセライド成分を回収した。そのモノグリセライド0.05gをイソオクタン5mlに溶解し、0.2mol/Lナトリウムメチラート/メタノール溶液1mlを加えて70℃で15分間反応させることによりメチルエステル化し、酢酸により反応液を中和した後に適量の水を加え、有機相をガスクロマトグラフ(型番:6890N、Agilent社製)によるリテンションタイム及びピークエリア面積により2位にパルミチン酸を有するグリセライド含有量を決定した。
<曇点>
基準油脂分析試験法「2.2.7−1996 曇り点」に準じて行なった。
<CDM(Conductometric Determination Method)試験(酸化安定性)>
基準油脂分析試験法「2.5.1.2−1996 CDM試験」に準じてCDM値を測定した。
<ヨウ素価>
基準油脂分析試験法「3.3.3−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定を行なった。
(製造例1;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃でダイレクトエステル交換反応を約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ18重量%、13.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後、加熱して全ての結晶を溶解し、70℃の温水を加え、静置して油層と水層を分離し、水を抜いて分離する温水洗浄を行った。分離した水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した後、油層の油脂を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除き、脱色を行なった。脱色後の温度を40℃までは1℃/分(設定値)、40℃から0.2℃/分(設定値)で下げ、10℃に到達したらその温度を保持し、降温開始時から計24時間になるまで晶析した。晶析後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.1の液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例2;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃でダイレクトエステル交換反応を約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ27重量%、11.6重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.1の液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例3;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を3100重量部(収率:62%)得た。
(製造例4;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ30重量%、9.4重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を2640重量部(収率:53%)得た。
(製造例5;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約12時間、22.5℃で約24時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ23重量%、10.6重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.7の液状油脂を3000重量部(収率:60%)得た。
(製造例6;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約12時間、22.5℃で約24時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ30重量%、8.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.7の液状油脂を2600重量部(収率:52%)得た。
(製造例7;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約2時間、22.5℃で約5時間、18℃で約15時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ29重量%、3.8重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.5の液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例8;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を36℃で約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ13重量%、16.5重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.3の液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例9;液状油脂の作製)
パーム油(ヨウ素価52)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ33重量%、8.6重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を1800重量部(収率:36%)得た。
(製造例10;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約2時間、22.5℃で約5時間、18℃で約15時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ37重量%、3.7重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.5の液状油脂を850重量部(収率:17%)得た。
製造例1〜10の製造方法で得られた液状油脂について、脂肪酸組成、トリグリセライド組成、曇点、ヨウ素価、CDM値について分析を行い、それらの結果を表1にまとめた。
Figure 2013090601
(製造例11;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例12;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃到達後、トリパルミチン粉末(ナカライテスク社製)を25重量部加え、ダイレクトエステル交換反応を4時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、11.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を30重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例13;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて300rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例14;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて600rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3150重量部(収率:63%)得た。
(製造例15;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、38℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ16重量%、13.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3850重量部(収率:77%)得た。
(製造例16;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を16時間行なった後、更に降温し、10℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3100重量部(収率:62%)得た。
(製造例17;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を16時間行なった後、更に降温し、10℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、30℃まで昇温し、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3350重量部(収率:67%)得た。
(製造例18;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を12時間行なった後、更に降温し、25℃でダイレクトエステル交換反応を20時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ30重量%、8.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.17℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例19;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼ(ノボザイムズ社製「Lipozyme TL IM」)を500重量部加え、50℃で4時間保持した後、降温し、36℃でダイレクトエステル交換反応を38時間行なった後、更に降温し、10℃で18時間ダイレクトエステル交換反応を行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、酵素を含んだまま10℃でフィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を2850重量部(収率:57%)得た。
(製造例20;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、加熱して全ての結晶を溶解し、70℃の温水を加えてから静置して油層と水層を分離し、水を抜いて分離する温水洗浄を行った。分離した水層のpHが8以下になるまで該温水洗浄を繰り返した後、油層の油脂を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加えて20分間攪拌した後、ろ過することで白土を除いて脱色を行なった。脱色後の油脂温度を、40℃になるまでは1℃/分(設定値)で、40℃からは0.2℃/分(設定値)で降温し、10℃に到達したらその温度を保持し、降温開始時から計24時間になるまで晶析した。晶析後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
上記製造例11〜20で得られた液状油脂の分析値を表2にまとめた。
Figure 2013090601
(実施例1〜3;コーヒークリームの作製)
表3に示した配合にしたがって、油相部の油脂として製造例3、6及び16のパーム油由来液状油脂を用い、別々に準備した水相部に対して、攪拌しながら油相部を混合させ、65℃にて10分間予備乳化を行い、100kg/cm2(9.8MPa)で均質化した。ついで、75℃にて15分間加熱殺菌を行い、300kg/cm2(29.4MPa)で再度、均質化した。均質化後、冷却し、5℃で1晩エージングし、コーヒークリームを得た。
Figure 2013090601
(比較例1;コーヒークリームの作製)
表3に示した配合に従って、油相部の油脂としてパームオレイン(ヨウ素価=65)を用いた以外は、実施例1〜3と同様にしてコーヒークリームを得た。
実施例1〜3、比較例1で得られたコーヒークリームについて、粘度、油滴の平均粒径、冷凍耐性評価及びヒートショック耐性評価を行った。それらの結果を表4にまとめた。
Figure 2013090601
表4に示すように、パーム油由来液状油脂を用いて作製した実施例のコーヒークリームは、冷凍耐性が優れていた。なお、測定方法は以下のとおりである。
<粘度の測定>
実施例・比較例で得られたコーヒークリームの粘度を、B型粘度計により測定した。測定の際、あらかじめ5℃に温調したコーヒークリームを300mlのトールビーカーに300ml採取し、10回転した時に得られる示度の3回の平均値を粘度の値として得た。
<平均粒径の測定>
実施例・比較例で得られたコーヒークリームを用いて、レーザー解析/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所)で測定した体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径を平均粒径とした。
<コーヒークリームの冷凍耐性評価方法>
実施例・比較例で得られたコーヒークリームを10mlのバイアル瓶に5ml採取し、−20℃で一晩凍結した後、各温度帯(5℃、20℃、30℃)で6時間解凍し、乳化状態の指標として流動性及び離水を評価した。その際の評価基準は以下の通りである。更に、油滴の平均粒径も測定した。
[流動性]◎:増粘無し、○:増粘、△:ボテ有り、×:固化。
[離水](−):離水無し、(±):離水若干有り、(+):離水有り。
<ヒートショック耐性評価方法>
実施例・比較例で得られたコーヒークリームを10mlのバイアル瓶に5ml採取し、40℃にて8時間放置した後、5℃にて一晩放置し、乳化状態に指標として流動性及び離水を評価した。その際の評価基準は以下の通りである。更に、油滴の平均粒径も測定した。
[流動性]◎:増粘無し、○:増粘、△:ボテ有り、×:固化。
[離水](−):離水無し、(±):離水若干有り、(+):離水有り。

Claims (3)

  1. 油脂をコーヒークリーム全体中10〜35重量%含有するコーヒークリームであって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、前記コーヒークリームに含有される全ての油脂全体中30〜100重量%含有するコーヒークリーム。
  2. 前記パーム油由来液状油脂の曇点が0〜−12℃である請求項1に記載のコーヒークリーム。
  3. 前記パーム油由来液状油脂のCDM値が5時間以上である請求項1又は2に記載のコーヒークリーム。

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