JP2013089892A - チャック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可撓性を有するワークを非接触で安定的にチャックすることができるチャック装置を提供する。
【解決手段】可撓性を有するワークWを保持するチャック装置1であって、本体フレーム2と、本体フレーム2に設けられ、吸引力を作用させる吸引穴6をワークW表面に対向させて位置するとともに、吸引穴6の吸引力によってワークWを非接触状態で吸引する複数のベルヌーイチャック機構4、4’と、ベルヌーイチャック機構4’に設けられ、吸引穴6’の角度を可変して当該吸引穴6’とワークW表面との対向方向を変位させる揺動機構10と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィルムや薄板ガラス等の可撓性を有するワークを保持するチャック装置に関する。
従来、加工工程においてワークを一定の姿勢に保持する場合や、加工処理が施されたワークを次の工程に搬送する場合等に用いられるチャック装置が広く普及している。こうしたチャック装置がチャック(保持)するワークの形状や材質はさまざまであるが、中でもフィルム、薄板ガラス、半導体基板等の可撓性を有するワークをチャックする場合には、当該ワークの撓みによってチャックが不安定になるおそれがある。
例えば、液晶ディスプレイに用いられるガラス板は、その板厚が0.5mm〜0.7mm程度であり、可撓性を有してはいるものの、ある程度の剛性が確保されているため、安定的なチャックが可能となっている。しかしながら、近年、液晶ディスプレイの薄型化、軽量化等の要請から、ガラス板の薄型化が進展しており、それに伴ってガラス板の剛性が低下する傾向にある。その結果、現状のチャック装置を、より薄型化されたガラス板のチャックにそのまま利用した場合には、チャックが不安定になるおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に示されるチャック装置のように、ワーク表面にピンを押し当てることにより、意図的にワークを湾曲姿勢に変位させるとともに、この湾曲姿勢を維持するようにワークの側縁を挟持してチャックすることが考えられる。このように、ワークが湾曲姿勢に維持されれば、ワーク全体の剛性が上がることから、ワークのチャック時における安定性を向上することができる。
特開2011−35146号公報
しかしながら、上記のチャック装置によれば、湾曲姿勢を作り出すためにワーク表面にピンを押し当てなければならず、ワーク表面に接触部位が生じてしまう。そのため、ワーク表面に対する一切の接触を嫌う場合には適用することができず、用途が限定されてしまったり、また、ワーク表面への接触が許容される場合であっても、ワーク表面に損傷を与えてしまったりする可能性がある。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、可撓性を有するワークを非接触で安定的にチャックすることができるチャック装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のチャック装置は、可撓性を有するワークを保持するチャック装置であって、本体フレームと、前記本体フレームに設けられ、吸引力を作用させる吸引部をワーク表面に対向させて位置するとともに、前記吸引部の吸引力によってワークを非接触状態で吸引する複数のワーク吸引手段と、前記複数のワーク吸引手段の少なくとも1つに設けられ、前記吸引部の角度を可変して当該吸引部とワーク表面との対向方向を変位させる揺動機構と、を備えたことを特徴とする。
また、前記揺動機構は、前記ワーク吸引手段が固定された揺動アームと、前記本体フレームに設けられ前記揺動アームを揺動可能に支持する揺動支持部と、前記揺動支持部を揺動支点とする揺動力を前記揺動アームに作用させるアクチュエータと、を備えるとよい。
また、前記アクチュエータは、一端が前記本体フレームに連結され、他端が前記揺動アームに連結された伸縮シリンダであるとよい。
また、前記ワーク吸引手段は、互いに離間して前記本体フレームに配置された一対の第1のワーク吸引手段を少なくとも含み、前記揺動機構は、前記第1のワーク吸引手段のそれぞれに設けられるとともに、当該一対の第1のワーク吸引手段における両吸引部を結ぶ線分に沿って当該両吸引部の角度を可変するとよい。
また、前記ワーク吸引手段は、前記本体フレームであって前記一対の第1のワーク吸引手段における両吸引部を結ぶ線分の中心に設けられた第2のワーク吸引手段をさらに含むとよい。
また、前記第2のワーク吸引手段に設けられ、当該第2のワーク吸引手段とワークとの接触を防止するエアをワーク表面に向けて噴出させるエア噴出部をさらに備え、前記エア噴出部は、少なくとも前記一対のワーク吸引手段の両吸引部を結ぶ線分に沿う位置に配置されるとよい。
また、前記ワーク吸引手段は、ワーク表面に気体を噴き付けて当該ワーク表面に負圧を生じさせるベルヌーイチャック機構であるとよい。
本発明によれば、可撓性を有するワークを非接触で安定的にチャックすることができる。
本実施形態のチャック装置が設けられる搬送装置を説明する図である。 チャック装置の概念図である。 ベルヌーイチャック機構の概念図である。 チャック装置の動作を説明する図である。 ベルヌーイチャック機構によって浮上したワークとチャック本体との距離関係を説明する図である。 チャック装置によるワークの異なるチャック方法を説明する図である。 変形例のチャック装置を説明する概念図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
本実施形態のチャック装置は、表面に対して非接触状態を維持してワークをチャック(保持)するものであり、例えば、ワークを加工処理する加工工程や、ワークを搬送する搬送工程等、さまざまな場面で用いられる。ここでは、0.1mm〜0.3mm程度の可撓性を有するガラス基板をワークとして搬送する搬送装置に適用されるチャック装置について説明する。
図1は、本実施形態のチャック装置が設けられる搬送装置を説明する図である。この図に示すように、搬送装置100は、ワークWを搬送するコロコンベア等からなるコンベア101と、このコンベア101によって搬送されるワークWを、当該コンベア101に近接して配置された不図示の加工装置まで移動させるロボットアーム102と、を備えている。
このロボットアーム102の先端にはチャック装置1が設けられており、コンベア101によって所定位置までワークWが搬送されると、チャック装置1が作動してワークWがチャックされる。そして、ワークWがチャックされた状態で、ロボットアーム102の先端が加工装置まで作動することにより、ワークWがコンベア101から加工装置まで搬送されることとなる。以下に、ロボットアーム102の先端に設けられるチャック装置1について、図2〜図6を用いて詳細に説明する。
図2は、チャック装置1の概念図であり、図2(a)はチャック装置1の俯瞰図を示し、図2(b)は図2(a)のII(b)−II(b)線断面図を示している。この図に示すように、チャック装置1は、ロボットアーム102の先端に設けられる平板状のハンドフレーム(本体フレーム)2を含んで構成される。ここでは、説明の都合上、鉛直上方(ロボットアーム102側)に位置するハンドフレーム2の面を面2aとし、鉛直下方(コンベア101側)に位置してチャック装置1の種々の部品が設けられるハンドフレーム2の面を面2bとする。なお、図2(a)においては、ハンドフレーム2を破線で示し、ハンドフレーム2に固定される構成部品を実線で示している。また、以下では、図2(a)の左右方向をx方向、上下方向をy方向、紙面に対して垂直方向をz方向として説明する。
ハンドフレーム2の面2bには、そのx方向中央位置に、一対の固定部材3が固定されている。これら一対の固定部材3は、ロッド3aを鉛直方向に沿わせて設けられており、その先端には、ワークWをハンドフレーム2側に吸引する吸引力をもたらすワーク吸引手段(第2のワーク吸引手段)を構成するベルヌーイチャック機構4が設けられている。
図3は、ベルヌーイチャック機構4の概念図である。この図において、図3(a)はベルヌーイチャック機構4の平面図、図3(b)は図3(a)のIII(b)−III(b)線断面図を示している。これらの図に示すように、ベルヌーイチャック機構4はチャック本体5を備えており、このチャック本体5の面5aがロッド3aの先端に固定され、面5bが鉛直下方に臨むように構成されている。
チャック本体5には、水平方向の断面を円形とする吸引穴6(吸引部)が形成されている。この吸引穴6は、面5a側に底部6aを位置させるとともに、面5bに開口部6bを開口させており、開口部6bの近傍には、面5a側から面5b側に向かうにしたがって徐々に吸引穴6の径が大きくなるようにテーパが形成されている。また、チャック本体5には、複数のエア供給路7が形成されており、その一端7aを面5aに開口させ、その他端7bを吸引穴6の底部6aにおける外周縁近傍に開口させている。エア供給路7の他端7bは、底部6aの外周に沿って等間隔に複数(例えば8個)開口しており、また、エア供給路7の一端7aには、吸引穴6に向けてエアを噴き出すポンプPが配管を介して接続されている。
したがって、図3(b)に示すように、チャック本体5の面5bをワークWに対向させた状態でポンプPを駆動すると、エア供給路7から吸引穴6に導かれたエアが、吸引穴6の周壁に沿って底部6a側から開口部6b側へと噴き出す。このようにして、吸引穴6の周縁から外方に向けてエアが噴き出すと、吸引穴6の径方向中央位置では負圧が生じることとなり、この負圧によってワークWがチャック本体5側に吸引されることとなる。その結果、この吸引力とエアの噴出による押し付け力とが吊り合う距離で、ワークWを非接触のまま把持することが可能となる。
また、図3(b)に示すように、チャック本体5の径方向外方に位置する側壁5cには、一対のエア噴出部8が、水平面上に鉛直軸周りに180度位相をずらして設けられている。このエア噴出部8は、鉛直下方すなわちワークWの表面に向けてエアを噴出するものであり、上記のエア供給路7と同様に、ポンプPに接続されている。詳しくは後述するが、吸引穴6によって生じる負圧で浮上したワークWが傾くと、ワークWの表面がチャック本体5の側壁5cの先端縁に接触するおそれがある。このエア噴出部8は、ワークWに向けて鉛直下方にエアを噴出させることで、ワークWが傾いた際に当該ワークWとチャック本体5とが接触するのを回避するものである。なお、チャック本体5は、ロッド3a先端に固定されるが、このとき、一対のエア噴出部8は、その対向方向がx方向に一致するように配置されている。
そして、図2からも明らかなように、ハンドフレーム2の面2bには、ベルヌーイチャック機構4を挟んでx方向に対向配置された一対の揺動機構10が2組設けられており、これら各揺動機構10のそれぞれに、ワーク吸引手段(第1のワーク吸引手段)を構成するベルヌーイチャック機構4’が設けられている。各ベルヌーイチャック機構4’は、上記したベルヌーイチャック機構4と同様に、ワークWの表面にエアを噴き出すことで負圧を生じさせて、当該ワークWを吸引するものである。
なお、ベルヌーイチャック機構4’は、上記したベルヌーイチャック機構4よりも容積が小さい点、および、エア噴出部8を備えていない点のみが上記のベルヌーイチャック機構4と異なり、具体的な構造や作用は上記のベルヌーイチャック機構4と同じである。したがって、ここではベルヌーイチャック機構4’の説明を省略するとともに、以下において、ベルヌーイチャック機構4’の構成を説明する場合には、上記のベルヌーイチャック機構4の各構成要素に付した符号を引用するとともに、各符号に「’」を付して説明することとする。
ベルヌーイチャック機構4’を支持する揺動機構10は、ハンドフレーム2の面2bから垂直(鉛直下方)に延伸する支持アーム11と、この支持アーム11の先端に設けられた揺動支持部11aに揺動可能に支持された揺動アーム12と、この揺動アーム12に揺動力を作用させるアクチュエータを構成する電動シリンダ13と、を備えている。電動シリンダ13は、そのボトム側の端部がハンドフレーム2に回動自在に連結され、シリンダロッド13aの先端が揺動アーム12に回動自在に連結されている。したがって、電動シリンダ13を伸縮させると、揺動アーム12が揺動支持部11aを揺動(回動)支点として揺動(回動)することとなる。
ここで、ベルヌーイチャック機構4は、そのx方向に設けられた一対のベルヌーイチャック機構4’を結ぶ線分L、より詳細には、一対のベルヌーイチャック機構4’における吸引穴6’の中心軸を結ぶ線分Lの中心に位置している。換言すれば、一対のベルヌーイチャック機構4’は、ベルヌーイチャック機構4を中心として反対方向(x方向)に同一距離だけ離間して位置している。
また、一対の揺動機構10は、一対のベルヌーイチャック機構4’(吸引穴6’の開口部6b’)の角度を、線分Lに沿って可変するように配置されている。このとき、一対の揺動機構10は、ベルヌーイチャック機構4を中心として対称に配置されているため、これら一対の揺動機構10における電動シリンダ13を伸縮させると、ベルヌーイチャック機構4’は、図2(b)の両矢印で示すように対称に揺動することとなる。なお、図2(b)からも明らかなように、ベルヌーイチャック機構4’の吸引穴6’は、電動シリンダ13が最伸長状態にあるときに鉛直下方に臨むとともに、鉛直方向の高さ位置がベルヌーイチャック機構4の吸引穴6とほぼ等しくなっている。
なお、ハンドフレーム2の面2bには、y方向の外周縁近傍に、ワークWのy方向位置を決めるための位置決めピン14が設けられており、また、x方向の外周縁近傍に、チャック中のワークWがx方向に飛び出すのを防止する飛び出し防止ピン15が設けられている。
次に、上記の構成からなる本実施形態のチャック装置1の動作について説明する。図4は、チャック装置1の動作を説明する図である。図4(a)に示すように、例えば、コンベア101(図4では不図示)によって所定位置までワークWが搬送されるとともに、ロボットアーム102(図4では不図示)が作動して、当該ワークWの鉛直上方にハンドフレーム2が対面したとする。このとき、ベルヌーイチャック機構4の吸引穴6が、ワークWの表面と僅かに離間して対面している。また、電動シリンダ13が最伸長状態となっており、ベルヌーイチャック機構4’の吸引穴6’が、ワークWの表面と僅かに離間して対面している。
この状態で、ポンプP(図4では不図示)を駆動すると、ベルヌーイチャック機構4によってワークWの中央部W近傍が負圧になるとともに、ベルヌーイチャック機構4’によってワークWの側縁部W近傍が負圧となり、ワークW全体が鉛直上方に吸引される。この状態で電動シリンダ13を収縮させると、一対のベルヌーイチャック機構4’が図4(b)に示すように対称に揺動動作する。このとき、ワークWの表面には引き続き負圧が生じており、また、ワークWが可撓性を有していることから、揺動アーム12の揺動に伴って、ワークWは、そのx方向の中央部Wが、側縁部Wよりも鉛直下方に位置する湾曲姿勢に徐々に変位する。
このように、ベルヌーイチャック機構4’の吸引穴6’の角度が可変して、当該吸引穴6’とワークW表面との対向方向が変位することにより、ワークWの剛性が向上し、ロボットアーム102の移動に際して、ワークWが傾いたり落下したりすることなく安定的に保持されることとなる。
なお、非接触チャックでワークWを保持する場合、一般的にチャック面が同一平面内であるため、面内方向の位置を保持する機能がなく、ワークWのxy方向位置が不定となる。しかしながら、本実施形態によれば、ベルヌーイチャック機構4’の角度変位に伴い、ワークWの自重によって、中央部W近傍がベルヌーイチャック機構4に対向する位置に自動的に収まる、所謂、自動調芯機能が発揮される。これにより、例えば、コンベア101の搬送過程において、ワークWが微妙にx方向にずれてしまった場合にも、ワークWを安定的に保持することが可能となる。
そして、所望の位置までロボットアーム102が移動したら、上記とは逆に、電動シリンダ13を伸長させてワークWを平板状に復帰させた後にポンプPの駆動を停止すればよい。これにより、ワークW表面に対して非接触状態を維持したまま、安定的にワークWを所望の位置まで搬送することが可能となる。
なお、ワークWの重量がその全面に亘って均一でない場合、すなわち、ワークWの重量が位置ごとに異なる場合や、ワークWの形状が対称でない場合等には、ロボットアーム102による搬送過程でワークWが傾き、当該ワークWがベルヌーイチャック機構4のチャック本体5に接触するおそれがある。そこで、本実施形態においては、エア噴出部8からワークWに向けてエアを噴出することにより、ベルヌーイチャック機構4とワークWとの接触を回避するようにしている。
図5は、浮上したワークWとベルヌーイチャック機構4との距離関係を説明する図である。この図に示すように、ベルヌーイチャック機構4の吸引力によって吸引されたワークWは、図中x方向に対しては、両側縁部Wから中央部W側に向かって徐々に鉛直下方に位置しており、ベルヌーイチャック機構4のチャック本体5における側壁5cの先端縁と、ワークWとの間の距離がL2となっている。
一方で、図示は省略するが、ワークWはベルヌーイチャック機構4’の角度変位に応じて湾曲することから、x方向におけるワークWの両側縁部W近傍においては、ベルヌーイチャック機構4’のチャック本体5’における面5a’とワークWの表面とが平行状態を維持して対面している。したがって、ベルヌーイチャック機構4’のチャック本体5’における側壁5c’とワークWとの間の距離は、上記したベルヌーイチャック機構4のチャック本体5における側壁5cの先端縁とワークWとの間の距離L2よりも大きく保たれている。つまり、ワークWにx方向の傾きが生じた場合には、ベルヌーイチャック機構4のチャック本体5における側壁5cが、最もワークWに接触しやすい部位ということができる。
そこで、本実施形態においては、最もワークWの表面に接触しやすい位置であるベルヌーイチャック機構4のチャック本体5における側壁5cのうち、x方向、すなわち、一対のベルヌーイチャック機構4’を結ぶ線分L(図2(b)参照)に沿って、エア噴出部8を設けることとしている。これにより、ワークWが搬送過程で傾いたとしても、当該ワークWがチャック装置1に接触するのを回避することが可能となる。
なお、本実施形態においては、エア噴出部8をチャック本体5の側壁5cに一対のみ設けることとしたが、エアを噴出させる方向やエア噴出部8の数等は特に限定されるものではない。したがって、例えば、チャック本体5の全周囲に亘ってエアを噴出させるようにしても構わない。ただし、エア噴出部8から噴出させるエアは、ワークWをチャック本体5から引き離す力となって作用するため、エア噴出部8を多数設けると、ワークWを安定的に吸引するためのより大きな吸引力が必要となる。
また、必要以上にエアが噴出することとなれば、当然のこととしてエネルギー損失が大きくなってしまう。したがって、エネルギー損失を最小限に抑えるといった観点からすれば、本実施形態のように、最もワークWが接触しやすい位置にのみエア噴出部8を設けることが望ましい。
また、ここでは、ワークWにおけるx方向の中央部Wが、両側縁部Wよりも鉛直下方に位置する湾曲姿勢を保持することとしたが、これとは逆に、図6に示すように、ワークWの中央部Wが、両側縁部Wよりも鉛直上方に位置する湾曲姿勢を保持することも可能である。このように、本実施形態のチャック装置1によれば、ワークWの重量や形状等に応じてワークWを異なる湾曲姿勢に保持することができるので、ワークWのより安定的なチャックを実現可能である。
なお、図6に示すように、中央部Wが両側縁部Wよりも鉛直上方に位置する湾曲姿勢となるようにワークWを保持した場合には、上記と異なる位置が最もワークWに接触しやすくなる。そこで、中央部Wが両側縁部Wよりも鉛直上方に位置する湾曲姿勢となるようにワークWを保持する場合には、図7に示す変形例のように、エア噴出部8の配置を変更することがより望ましい。
図7は、ベルヌーイチャック機構4によって浮上したワークWとチャック本体5との距離関係を説明する図であり、図7(a)は、浮上中のワークWおよびチャック本体5のx方向の断面を示し、図7(b)は、浮上中のワークWおよびチャック本体5のy方向の断面を示している。この変形例においては、エア噴出部8が、ベルヌーイチャック機構4のチャック本体5における側壁5cのうち、一対のベルヌーイチャック機構4’が対向する方向(x方向)に対して水平面上に直交する方向(y方向)に設けられている。
図7(a)に示すように、ベルヌーイチャック機構4の吸引力によって吸引されたワークWは、図中x方向に対しては、中央部Wを頂点として、両側縁Wに向かって徐々に鉛直下方に垂下する。このとき、中央部Wとチャック本体5の面5bとの距離をL3とすると、チャック本体5における側壁5cの先端縁とワークWとの間の距離は、L3よりも大きいL4となる。
一方、図7(b)に示すように、ワークWは、図中y方向に対しては、最も鉛直上方に位置するワークWの中央部Wが、y方向の両側縁W間に亘って凸状となっているため、チャック本体5における側壁5cの先端とワークWとの間の距離はL3となっている。したがって、ワークWの浮上時において、ワークWが、図7(b)に破線で示すように、y方向に対して傾斜した場合には、図7(a)に破線で示すように、x方向に傾斜した場合に比べて、ワークWの表面がチャック本体5における側壁5cの先端に接触しやすくなっている。
そこで、この変形例においては、チャック本体5とワークWの表面とが最も接触しやすい位置であるy方向、すなわち、一対のベルヌーイチャック機構4’同士の対向方向(x方向)に対して、水平面上において直交する方向にエア噴出部8を設けることとしている。これにより、ワークWが浮上した際に傾いたとしても、ワークWがチャック本体5に接触するのを回避することが可能となる。なお、ここでは、一対のベルヌーイチャック機構4’の対向方向に対して、水平面上において直交する方向にエア噴出部8を設ける場合について説明したが、この角度は必ずしも90度である(直交する)必要はなく、上記の対向方向に対して、水平面上に交差する位置関係を有していれば、接触防止の効果を向上することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本実施形態では、ベルヌーイチャック機構4’を揺動するアクチュエータとして電動シリンダ13を用いることとした。しかしながら、アクチュエータは、例えば、空圧シリンダや油圧シリンダ等、伸縮動作が可能な伸縮シリンダであってもよいし、あるいは、伸縮シリンダに限らずに、モータの回転力を利用する装置等、動力を付与することができる装置であれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、ワーク吸引手段としてベルヌーイチャック機構4、4’を用いることとしたが、ワーク吸引手段の構成はこれに限らない。例えば、ワーク吸引手段は、ベルヌーイチャック機構と同様に、ワーク表面に負圧を発生させてワークを吸引する装置や、ワーク表面に静電気を発生させてワークを吸引する装置等、ワークを吸引する吸引力を作用させる何らかの吸引手段と、エアフロート等、ワークに反発力を作用させる反発手段と、を有し、吸引力と反発力とのバランスによって非接触でワークを保持可能な装置を広く適用可能である。この場合、ベルヌーイチャック機構4と、ベルヌーイチャック機構4’とで異なる装置を用いることも可能である。
また、本実施形態では、揺動動作が可能なワーク吸引手段と、揺動動作がなされないワーク吸引手段とを設けることとしたが、例えば、全てのワーク吸引手段を揺動可能に設けてもよい。いずれにしても、ワーク吸引手段を複数設けるとともに、そのうちの少なくとも1つが揺動可能であればよく、このときの揺動方向も特に限定されるものではない。
さらに、本実施形態では、ワークWとしてガラス板をチャックする場合について説明したが、本実施形態のチャック装置1は、ガラス板に限らず、フィルムや半導体基板等、可撓性を有するあらゆるワークに適用可能である。また、本実施形態では、ロボットアーム102にチャック装置1を適用する場合について説明したが、チャック装置1の用途はこれに限定されるものではなく、ワークをチャックするあらゆる場面で適用可能である。
本発明は、フィルムや薄板ガラス等の可撓性を有するワークを保持するチャック装置に利用することができる。
1 …チャック装置
2 …ハンドフレーム(本体フレーム)
3 …電動シリンダ(アクチュエータ)
4 …ベルヌーイチャック機構(第2のワーク吸引手段)
4’ …ベルヌーイチャック機構(第1のワーク吸引手段)
6 …吸引穴(吸引部)
8 …エア噴出部
10 …揺動機構
11a …揺動支持部
12 …揺動アーム
W …ワーク

Claims (7)

  1. 可撓性を有するワークを保持するチャック装置であって、
    本体フレームと、
    前記本体フレームに設けられ、吸引力を作用させる吸引部をワーク表面に対向させて位置するとともに、前記吸引部の吸引力によってワークを非接触状態で吸引する複数のワーク吸引手段と、
    前記複数のワーク吸引手段の少なくとも1つに設けられ、前記吸引部の角度を可変して当該吸引部とワーク表面との対向方向を変位させる揺動機構と、を備えたことを特徴とするチャック装置。
  2. 前記揺動機構は、
    前記ワーク吸引手段が固定された揺動アームと、
    前記本体フレームに設けられ前記揺動アームを揺動可能に支持する揺動支持部と、
    前記揺動支持部を揺動支点とする揺動力を前記揺動アームに作用させるアクチュエータと、を備えたことを特徴とする請求項1記載のチャック装置。
  3. 前記アクチュエータは、一端が前記本体フレームに連結され、他端が前記揺動アームに連結された伸縮シリンダであることを特徴とする請求項2記載のチャック装置。
  4. 前記ワーク吸引手段は、
    互いに離間して前記本体フレームに配置された一対の第1のワーク吸引手段を少なくとも含み、
    前記揺動機構は、
    前記第1のワーク吸引手段のそれぞれに設けられるとともに、当該一対の第1のワーク吸引手段における両吸引部を結ぶ線分に沿って当該両吸引部の角度を可変することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチャック装置。
  5. 前記ワーク吸引手段は、
    前記本体フレームであって前記一対の第1のワーク吸引手段における両吸引部を結ぶ線分の中心に設けられた第2のワーク吸引手段をさらに含むことを特徴とする請求項4記載のチャック装置。
  6. 前記第2のワーク吸引手段に設けられ、当該第2のワーク吸引手段とワークとの接触を防止するエアをワーク表面に向けて噴出させるエア噴出部をさらに備え、
    前記エア噴出部は、少なくとも前記一対の第1のワーク吸引手段の両吸引部を結ぶ線分に沿う位置に配置されていることを特徴とする請求項5記載のチャック装置。
  7. 前記ワーク吸引手段は、ワーク表面に気体を噴き付けて当該ワーク表面に負圧を生じさせるベルヌーイチャック機構であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のチャック装置。
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