JP2013089436A - 導電路 - Google Patents

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Abstract

【課題】防水栓を廃止することで部品点数及び製造コストを削減することができ、且つ、製造における作業性をも良好にすることができる導電路を提供する。
【解決手段】導電路1は、導体4と、導体4の外側に設けられる被覆5とからなる。被覆5は弾性を有する樹脂組成物からなり、且つ、被覆5の外周面7には少なくとも止水を必要とする部分にリップ部8を前記外周面7から凸状に突設させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、防水性能を有する導電路に関する。
従来、シールドコネクタの一例として、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。図8の引用符号101は、シールドコネクタを表している。シールドコネクタ101は、ハウジング102と、シールドシェル103と、二本の電線104と、端子金具105と、防水栓106と、電磁シールド部材107と、シールドリング108とを備えて構成されている。
ハウジング102は、絶縁性を有する樹脂成型品である。ハウジング102は、ハウジング本体113を備える。ハウジング本体113は、この内部に端子収容室115と、後述するリアホルダ120を収容するリアホルダ収容穴119とが連成されている。ハウジング本体113の正面には、端子導出穴116が形成されている。端子導出穴116は、端子収容室115と連成されている。
リアホルダ120は、絶縁性を有する樹脂成型品である。リアホルダ120には、電線挿通穴121が貫通されている。
シールドシェル103は、導電性を有する金属の成型品である。シールドシェル103は、図9に示す如く、シェル本体122と、複数のシェル固定部123とを備える。シェル本体122は、この内部にハウジング本体113を収容できるように形成されている。シェル固定部123は、シェル本体122の外縁部に連成されている。
電磁シールド部材107は、この一端が開口形成されており、図9に示す如く、シールドシェル103のシェル本体122の外周に配置されている。電磁シールド部材107は、二本の電線104を一括して被覆している。電磁シールド部材107は、導電性の金属の成型品であるシールドリング108によって加締められている。
電線104は、図10に示す如く導体124と、この導体124の外周に被覆されている絶縁体125とを備えて形成されている。電線104の端末に接続される端子金具105は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。
防水栓106は、ゴム等の絶縁性を有する樹脂成型品である。防水栓106は、略円筒状に形成されている。防水栓106は、この外周面にシール用環状突起117が形成されている。シール用環状突起117は、後述するとおり、電線104に装着された状態で端子収容室115に挿入される際、端子収容室115の内壁面118に押し潰されて、防水栓106と内壁面118との高い密着性を維持できるような高さに形成されている。
電線104と、端子金具105と、防水栓106の組み立ては、予め、電線104の端末において所定の長さ分だけ絶縁体125が皮剥されて導体124が露出するように加工を施しておく。次に、防水栓106を電線104の端末から挿通し、端末の絶縁体125の外周に装着する。その後、導体124と、端子金具105とが電気的に接続されることにより組み立てが完了する。
防水栓106が装着された電線104がハウジング本体113の端子収容室115に挿入されると、防水栓106のシール用環状突起117が端子収容室115の内壁面118によって押し潰され、防水栓106と内壁面118との高い密着性が維持されている。これにより、端子収容室115の内部が水密状態に維持されている。
特開2009−87902号公報
ところで、上記従来技術にあっては、防水栓106によって端子収容室115の内部における水密状態を維持することができるものの、次のような問題点を有している。すなわち、電線104には防水栓106が取り付けられることにより、端子収容室115の内壁面118と電線104の絶縁体125との隙間は、防水栓106が介在し、シール用環状突起117と内壁面118とが密着することによって水密状態を維持することができるが、係る構成によると、電線104の本数だけ防水栓106が必要となり、部品点数が増加するという問題点を有している。係る問題点は、電線104を製造するうえでのコストの増加につながることとなる。また、電線104と、端子金具105と、防水栓106の組み立ての過程で、電線104に予め防水栓106を取り付けてから、電線104の端末に端子金具105を接続しなければならず、電線104の組み立てに係る作業工数が増加し、製造における作業性にも影響を来すこととなる。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、従来技術における防水栓を廃止することで部品点数及び製造コストを削減することができ、且つ、製造における作業性をも良好にすることができる導電路を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の導電路は、導体と、該導体の外側に設けられる被覆とからなる導電路において、前記被覆は弾性を有する樹脂組成物からなり、且つ、前記被覆の外周面には少なくとも止水を必要とする部分にリップ部を前記外周面から凸状に突設させることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、導電路の被覆自体が弾性を有し、被覆の外周面に、従来の防水栓のシール用環状突起の機能を有するリップ部を直接形成する。この場合、係る導電路をシールドコネクタの内部に形成された端子収容室に挿入すると、リップ部が端子収容室の内壁面に押し潰されて密着することから、従来の防水栓を用いなくとも、端子収容室の水密構造を有することができる。
請求項2記載の本発明の導電路は、請求項1に記載の導電路において、前記被覆を形成する弾性を有する樹脂組成物はシリコーンからなることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、導電路の被覆は、耐久性、耐熱性及び電気絶縁性等を考慮して、これらの性質において優れているシリコーンによって形成される。
請求項1に記載された本発明によれば、部品点数や製造コストが削減されるという効果を奏する。また、製造における作業性を良好にすることができるという効果を奏する。
請求項2に記載された本発明によれば、より優れた被覆を用いた導電路を提供することができるという効果を奏する。
本発明の導電路が収容されるシールドコネクタの断面図である。 本発明の導電路の斜視図である。 本発明の導電路の断面図である。 本発明の導電路の製造方法を示す図である。 本発明の導電路の他の製造方法を示す図である。 他の実施形態の導電路が収容されるシールドコネクタの断面図である。 導電路の他の実施形態を示す断面図である。 従来技術における電線が収容されるシールドコネクタの斜視図である。 従来技術における電線が収容されるシールドコネクタの断面図である。 図8及び図9の電線の斜視図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の導電路が収容されるシールドコネクタの断面図である。また、図2は、本発明の導電路と端子金具とが接続固定された状態を示す斜視図である。図3は、図2におけるA―A間の断面図である。図4は、本発明の導電路の全長に亘ってリップ部を形成する方法を示す図である。図5は、本発明の導電路の被覆の外周面に部分的に又は断続的にリップ部を形成する方法を示す図である。
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
図1において、ワイヤーハーネス42は、二本の電線1と、この二本の電線1を一括してシールドする電磁シールド部材2(シールド部材)と、電磁シールド部材2の外側に設けられる図示しない外装部材と、電線1の一端側に設けられるインバータ側のシールドコネクタ3(以下、「シールドコネクタ3」という)と、他端側に設けられる図示しないバッテリー側のシールドコネクタとを備えて構成されている。図示しないバッテリー側のシールドコネクタは、基本的に上述のシールドコネクタ3と同様に構成されている。
電線1は、図2に示す如く、導体4及び絶縁体5を含む高圧の導電路であって、この導体4が絶縁体5の外側に被覆されることによって構成されている。電線1は、この端末において所定の長さ分だけ絶縁体5が皮剥されて導体4が露出するように加工されている。導体4は、ここでは素線(銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金からなる素線)を撚り合わせてなる導体構造のものが用いられている。導体4は、特に限定するものではないが、断面略円形となる形状に形成されている。尚、導体4に関し、断面丸形となる棒状の導体構造(例えば丸単心)のものであってもよいものとする。また、本実施形態においては電線を用いているが、この限りでないものとする。すなわち、公知のバスバーに絶縁体を設けて高圧の導電路としたもの等を用いてもよいものとする。
絶縁体5は、絶縁性を有する樹脂材料を導体4の外側に押し出し被覆することによりなるものであって、ここでは耐久性、耐熱性及び電気絶縁性等を考慮して、また、後述するリップ部8の形成を考慮してシリコーンが用いられている(一例であるものとする)。
尚、絶縁体5は、本実施形態において、特許請求の範囲に記載されている「被覆」に相当する。
絶縁体5は、図3に示す如く、外周面7に複数のリップ部8が直接形成されている。リップ部8は、環状のリップ形状に形成されており、また、このリップ部8の断面で見たときの外縁部は、円弧状に形成されている。リップ部8同士の間には、環状凹部9が形成されている。
リップ部8は、絶縁体5の外周面7から凸状に突設されるように形成されている。リップ部8は、電線1が後述するリアホルダ14の電線挿通穴31に挿入される際、この電線挿通穴31の内壁面35と密着するように形成されている(水密に接触するように形成されている)。
リップ部8に連続して形成されている環状凹部9は、図3に示す如く、リップ部8及び環状凹部9が形成されていない平坦な絶縁体5の外周面7(仮想線Xに相当)よりも落ち窪むような状態で形成されている。
リップ部8の高さは、電線1を後述するリアホルダ14の電線挿通穴31に挿入した際、電線挿通穴31の内壁面35に押し潰されることによって潰れが生じ、絶縁体5の外周面7と電線挿通穴31の内壁面35との高い密着性を維持することができる高さに形成されている。
リップ部8は、図1に示す如く、所定の間隔をもって絶縁体5の外周面7と電線挿通穴31の内壁面35とが接触する部分(すなわち、少なくとも止水を必要とする部分)に形成されている。リップ部8同士の間隔は、適宜変更してよいものとする。また、リップ部8は、電線1の全長に亘って形成されている(一例であるものとする。電線1の端末の外周面7のみに又は電線1の中間の外周面7のみに部分的に形成してもよいものとし、あるいは、電線1の外周面7に所定の間隔をあけて断続的に形成してもよいものとする)。
リップ部8を形成する数は、二個、三個等適宜変更してよいものとし、また、一個のみ形成してもよいものとする。ただし、電線1を電線挿通穴31に挿入した状態の安定性を考慮して二個以上形成することが好ましい。
電磁シールド部材2は、電磁シールド機能を発揮させるための部材であって、例えば、編組又は金属箔を筒状にすることにより形成されている。電磁シールド部材2の一端は、図1に示す如く、例えば、加締めによりインバータ側の後述するシールドシェル16に固定されている。また、他端も図示しないモータ側シールドコネクタに同様に固定されている(電磁シールド部材2の固定は一例であるものとする)。
シールドコネクタ3は、インバータユニットのシールドケースに差し込まれ、内部において電気的な接続がなされるように構成されている。シールドコネクタ3は、端子金具10と、ハウジング11と、端子係止部材12と、防水用のシール部材13と、リアホルダ14と、絶縁カバー15と、シールドシェル16と、シールドリング17とを備えて構成されている。
端子金具10は、図2に示す如く、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。端子金具10は、ここでは、雄型のものが用いられている。端子金具10は、電気接触部18と、この電気接触部18に連続する導体接続部19とを有している。
電気接触部18は、タブ状に形成されている。電気接触部18には、図1に示す如く、第一貫通孔20と第二貫通孔21とが形成されている。第一貫通孔20は、インバータユニットの内部において、電気的な接続に用いられる部分として形成されている。一方、第二貫通孔21は、端子係止部材12により係止される部分として形成されている(図2に示すように第二貫通孔21を形成せず、端子係止部材12による係止を省略することも可能であるものとする。図2は、図1の変形例として示している。図1及び図2のいずれを採用してもよいものとする)。
導体接続部19は、電線1の導体4を接続固定することができるように形成されている。本実施形態においては、バレル形状であって加締めにより導体4を圧着して接続することができるように形成されている(接続に関しては、図2に示すような溶接等も可能であるものとする。図2は、図1の変形例として示している。図1及び図2のいずれを採用してもよいものとする)。
ハウジング11は絶縁性を有する樹脂成型品(絶縁部材)であって、ハウジング本体22を有し、図1に示す形状に形成されている(形状は一例であるものとする)。
ハウジング本体22の内部には、端子収容室23が形成されている。端子収容室23は、電線1の導体4に接続固定された端子金具10の導体接続部19を主に収容することができるように形成されている。端子収容室23には、ハウジング11の先端に向けて貫通する端子導出穴24を介して電気接触部18がハウジング11の先端から突出するようになっている。
ハウジング本体22には、端子導出穴24に連通する端子係止部材収容穴25が下方から上方に向けて形成されている。端子金具10は、端子係止部材収容穴25に嵌合する端子係止部材12により、第二貫通孔21が係止され、これにより抜け止めがなされるようになっている。
端子収容室23と端子導出穴24との連続部分には、シール部材収容穴26が形成されている。シール部材収容穴26に収容されたシール部材13は、電気接触部18に対して水密に接触するようになっている。
端子収容室23には、この後方に連続するようにリアホルダ収容穴27が形成されている。リアホルダ収容穴27はリアホルダ14を嵌合させることができるような形状に形成されている。
ハウジング本体22の外部には、フランジ部28が形成されている。このフランジ部28には、シール部材収容穴29が形成されている。シール部材収容穴29に収容されたシール部材30は、インバータユニットのシールドケースに対して水密に接触するようになっている。
リアホルダ14は、絶縁性を有する樹脂成型品であって、特に図示しないが二分割可能な状態に形成されている。リアホルダ14は、所定の直径をもって貫通する電線挿通穴31と、リアホルダ収容穴27に嵌合する大径の嵌合部32と、この嵌合部32に連続して電線1を引き出す小径の電線引き出し部33と、電線引き出し部33の端部に、例えば上下突出形成される係止凸部34とを有している。係止凸部34は、絶縁カバー15を引っ掛けてこの抜けを規制することができるように形成されている。
電線挿通穴31は、内壁面35を有している。電線挿通穴31の内壁面35は、上述したリップ部8が接触する部分(すなわち、少なくとも止水を必要とする部分)である。
電線挿通穴31の直径は、この電線挿通穴31に電線1を挿入した際、絶縁体5の外周面7に形成されているリップ部8が電線挿通穴31の内壁面35に押し潰されることによって潰れが生じ、絶縁体5の外周面7と電線挿通穴31の内壁面35との高い密着性を維持することができる直径に形成されている。
絶縁カバー15はリアホルダ14に対し別体の部材として備えられている。また、絶縁カバー15は、柔軟性を有する部材であって、ここではゴム製(エラストマー製)の部材として備えられている。絶縁カバー15は、略筒状に形成されており、大径の係止部36と、この係止部36から後方に伸びるカバー部37とを有している。係止部36には、リアホルダ14の係止凸部34に引っ掛かり係止される係止凹部38が係止されている。
絶縁カバー15は、仮にワイヤハーネス42に外力等が加わった場合に有効な部材といえる。以下、この理由について説明をする。
仮にワイヤハーネス42に外力等が加わった場合に、力は電線1の導体4及び端子金具10の導体接続部19の接続部分に掛かる。そして、接続部分での導体4は切断してしまう。具体的には、導体接続部19における加締め部分に導体4の一部が残り、また、電線1側は、導体4の切断した部分の端部(図示せず)が露出するような状態で切断される。この時、電線1は、導体4の切断した部分の端部が露出するものの、この導体4の切断した端部の外側は絶縁カバー15により覆われていることから、電磁シールド部材2に対して電気的な接触が規制された状態になる。
従って、絶縁カバー15等の存在により導体4の切断した部分の端部の露出を防止して安全性を確保することができることから、外力等が加わった場合に有効な部材であるといえる。
シールドシェル16は、導電性を有する所謂金属シェルであって、略筒状のシェル本体39と、複数のシェル固定部40とを有している。シェル本体39は、この内側にハウジング本体22を収容できるような形状に形成されている。シェル固定部40は、図示しない固定用のボルトを用いてインバータユニットのシールドケースに固定されるような形状に形成されている。
シェル本体39には、加締め受け部41が形成されている。この加締め受け部41とシールドリング17との間には、電磁シールド部材2の一端が挟み込まれるようになっている。電磁シールド部材2は、この一端が加締めにより挟み込まれて固定されると、シールドケースに対し電気的に接続されるようになっている。
シールドリング17は、導電性の金属部品であり、環状に形成されている。シールドリング17は、加締め受け部41に装着されて加締められるようになっている。
次に、シールドコネクタ3に対する電線1の組み付け方法について説明する。
電線1は、図1に示す如く、導体4と、端子金具10の導体接続部19とが電気的に接続された状態で、シールドコネクタ3に収容される。その際、導体接続部19は、ハウジング本体22の端子収容室23に収容される。
導体接続部19が端子収容室23に収容されると、電線1のうち、絶縁体5の部分は、リップ部8がリアホルダ14の内壁面35によって押し潰され密着した状態になる。これにより、絶縁体5の外周面7とリアホルダ14の内壁面35とが水密状態に維持される。リアホルダ14の電線挿通穴31に挿入される部分の絶縁体5の外周面7に形成されているリップ部8は、リアホルダ14の内壁面35に押し潰されるため、電線挿通穴31に挿入されない部分の絶縁体5の外周面7に形成されているリップ部8に比して高さが押し潰された分だけ低くなる。
次に、本実施形態の電線1の製造方法について説明する。
先ず、本実施形態の電線1の全長に亘ってリップ部8を形成する方法について説明する。
図4に示す如く、導体4の外周に絶縁体5が押し出し成形された直後の電線1を、ローラー43、43に巻き込むことにより、絶縁体5の外周面7にリップ部8を形成する場合の工程を示している。ローラー43、43は、二つ備えられており、ローラー43、43同士が当接して並列されている。ローラー43、43の側面には、それぞれ、環状溝部分44、44が形成されている。この環状溝部分44、44には、リップ部形成溝45、45が形成されている。そして、ローラー43、43同士が当接する部分には、環状溝部分44、44が符合することによって、電線1が通過する際に絶縁体5が押圧され、本実施形態におけるリップ部8を形成することができる程度の直径を有するトンネル46が形成されている。ローラー43、43は、例えば、一のローラー43は、回転軸47を中心に時計回りに回転し、もう一つのローラー43は、回転軸47を中心に反時計回りに回転するようになっている。そして、電線1が図4に示す矢印の方向に向かって環状溝部分44、44が符合してなるトンネル46を通過すると、ローラー43、43によって絶縁体5の外周面7が押圧されてリップ部8が連続して形成される。リップ部8は、ローラー43、43が駆動し続ける限り連続して形成される。これにより、リップ部8を電線1の全長に亘って形成することができる。リップ部8は、絶縁体5が冷えることにより形状が安定するようになる。以上により、本実施形態の電線1を製造することができる。
次に、本実施形態の電線1の外周面7に部分的に又は断続的にリップ部8を形成する方法について説明する。
図5は、電線1の端末にリップ部8を形成する場合の工程を示している。図5(a)に示す如く、先ず、導体4の外周に絶縁体5が押し出し成形された直後の電線1において、リップ部8を形成したい部分を金型48、48にセットする(図5においては、電線1の端末の外周面7にリップ部8を形成する場合を説明するが、これに限られるものではなく、電線1の中間等所望の部分を金型48、48にセットしてもよいものとする)。上下金型48、48の合わせ面には、電線1を通す溝部分49、49が設けられている。溝部分49、49には、リップ部形成溝50、50が形成されている。次に、図5(b)に示す如く、電線1を下側の金型48の溝部分49にセットした後、上側の金型48を型締めする。そして、図5(c)に示す如く、上下金型48、48を開いて、絶縁体5の外周面7にリップ部8が形成された電線1を取り出す。これにより、絶縁体5の外周面7にリップ部8が部分的に形成された電線1が製造される。また、電線1の一部分を金型48、48で型締めし、リップ部8を形成した後、金型48、48を開き、電線1を前方に移動させてリップ部8が形成されていない部分を上述のとおり型締めし、この工程を連続することによって、所定の間隔をあけて断続的にリップ部8を形成することもできる。以上により、本実施形態の電線1を製造することができる。尚、金型48、48を加熱して使用する方法であってもよいものとする。
以上、図1乃至図5を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、絶縁体5に複数のリップ部8を直接形成したことから、従来に比べ部品点数や製造コストが削減されるという効果を奏する。また、製造における作業性を良好にすることができるという効果を奏する。さらに、より優れた絶縁体5を用いた電線1を提供することができるという効果を奏する。
以下、図面を参照しながら本発明の他の実施の形態を説明する。図6は、他の実施形態の導電路が収容されるシールドコネクタの断面図である。図7は、導電路の他の実施形態を示す断面図である。尚、上記一実施の形態と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態は、上記一実施の形態の電線1を以下で説明するケーブル51に変更した点以外は上記一実施の形態と同じであるものとする。従って、以下、ケーブル51について説明する。
ケーブル51は、図7に示す如く、導体52と、絶縁体53と、シース54とを含む高圧の導電路であって、導体52が絶縁体53の外側に被覆され、この絶縁体53の外側にシース54が被覆されることによって構成されている。ケーブル51は、この端末において所定の長さ分だけ絶縁体53及びシース54が皮剥されて導体52が露出するように加工されている。尚、導体52は、上記導体4と同じであるものとする。
絶縁体53は、絶縁性を有する樹脂材料を導体52の外側に押し出し被覆することによりなるものであって、ここでは公知のものが用いられている。
シース54は、絶縁性を有する樹脂材料を絶縁体53の外側に押し出し被覆することによりなるものであって、ここでは耐久性、耐熱性及び電気絶縁性等を考慮して、また、後述するリップ部56の形成を考慮してシリコーンが用いられている(一例であるものとする)。
尚、シース54は、本実施形態において、特許請求の範囲に記載されている「被覆」に相当する。
シース54は、図7に示す如く、外周面55に複数のリップ部56が直接形成されている。リップ部56は、環状のリップ形状に形成されており、また、このリップ部56の断面で見たときの外縁部は、円弧状に形成されている。リップ部56同士の間には、環状凹部57が形成されている。
リップ部56は、シース54の外周面55から凸状に突設されるように形成されている。リップ部56は、図6に示す如く、ケーブル51がリアホルダ14のケーブル挿通穴58に挿入される際、このケーブル挿通穴58の内壁面35と密着するように形成されている(水密に接触するように形成されている)。
リップ部56に連続して形成されている環状凹部57は、図7に示す如く、リップ部56及び環状凹部57が形成されていない平坦なシース54の外周面55(仮想線Yに相当)よりも落ち窪むような状態で形成されている。
リップ部56の高さは、図6に示す如く、ケーブル51をリアホルダ14のケーブル挿通穴58に挿入した際、ケーブル挿通穴58の内壁面35に押し潰されることによって潰れが生じ、シース54の外周面55とケーブル挿通穴58の内壁面35との高い密着性を維持することができる高さに形成されている。
リップ部56は、図6に示す如く、所定の間隔をもってシース54の外周面55とケーブル挿通穴58の内壁面35とが接触する部分(すなわち、少なくとも止水を必要とする部分)に形成されている。リップ部56同士の間隔は、適宜変更してよいものとする。また、リップ部56は、ケーブル51の全長に亘って形成されている(一例であるものとする。ケーブル51の端末の外周面55のみに又はケーブル51の中間の外周面55のみに部分的に形成してもよいものとし、あるいは、シース54の外周面55に所定の間隔をあけて断続的に形成してもよいものとする)。
リップ部56を形成する数は、二個、三個等適宜変更してよいものとし、また、一個のみ形成してもよいものとする。ただし、ケーブル51をケーブル挿通穴58に挿入した状態の安定性を考慮して二個以上形成することが好ましい。
以上、図1乃至図7を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、シース54に複数のリップ部56を直接形成したことから、従来に比べ部品点数や製造コストが削減されるという効果を奏する。また、製造における作業性を良好にすることができるという効果を奏する。さらに、より優れたシース54を用いたケーブル51を提供することができるという効果を奏する。
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
1…電線(導電路)
2…電磁シールド部材
3…シールドコネクタ
4、52…導体
5、53…絶縁体(被覆)
7、55…外周面
8、56…リップ部
9、57…環状凹部
10…端子金具
11…ハウジング
12…端子係止部材
13、30…シール部材
14…リアホルダ
15…絶縁カバー
16…シールドシェル
17…シールドリング
18…電気接触部
19…導体接続部
20…第一貫通孔
21…第二貫通孔
22…ハウジング本体
23…端子収容室
24…端子導出穴
25…端子係止部材収容穴
26、29…シール部材収容穴
27…リアホルダ収容穴
28…フランジ部
31…電線挿通穴
32…嵌合部
33…電線引き出し部
34…係止凸部
35…内壁面
36…係止部
37…カバー部
38…係合凹部
39…シェル本体
40…シェル固定部
41…加締め受け部
42…ワイヤハーネス
43…ローラー
44…環状溝部分
45、50…リップ部形成溝
46…トンネル
47…回転軸
48…金型
49…溝部分
51…ケーブル(導電路)
54…シース(被覆)
58…ケーブル挿通穴

Claims (2)

  1. 導体と、該導体の外側に設けられる被覆とからなる導電路において、
    前記被覆は弾性を有する樹脂組成物からなり、且つ、前記被覆の外周面には少なくとも止水を必要とする部分にリップ部を前記外周面から凸状に突設させる
    ことを特徴とする導電路。
  2. 請求項1に記載の導電路において、
    前記被覆を形成する弾性を有する樹脂組成物はシリコーンからなる
    ことを特徴とする導電路。
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