JP2013079738A - 加温流体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率良く短時間で流体を加熱する方法を提供すること。
【解決手段】炭素質物を流体中に存在させてなる被加熱体にマイクロ波を照射して加温流体を製造する方法であって、該炭素質物が、耐酸化性炭素質物、又は、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であることを特徴とする加温流体の製造方法、該加温流体を用いた殺菌方法、抽出方法、発電方法、及び、リン、ホウ素又は金属原子を含有する難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であって耐酸化性炭素質物であることを特徴とするマイクロ波照射材料。
【選択図】なし

Description

本発明はマイクロ波を照射する加温流体の製造方法に関し、更に詳しくは、特定の炭素質物を流体中に存在させて、そこにマイクロ波を照射して加温流体を製造する方法、及びそれによって得られた加温流体の使用方法に関する。
対象物を加熱する手段としては、火で加熱する焜炉;発熱体に電流を流して加熱する抵抗炉、対象物自体に電流を流して加熱するアーク炉、電磁誘導を用いる誘導炉等の電気炉;熱放射で加熱する炉等を用いる加熱手段が知られている。
また、マイクロ波を対象物に照射して、対象物分子の回転や振動を引き起こす手段も知られている。
加熱される対象物が例えば水の場合、2450MHzという好適な波長のマイクロ波を照射すると、水分子が回転や振動をして、それがすなわち熱という形で認識される。
流体の加熱方法は、例えば、加温流体を用いて菌を殺菌する分野;加熱された通常の流体、超臨界流体、亜臨界水等の加温流体を用いて有用物質又は無用物質を抽出する分野;流体を用いてタービンを回して発電する分野;流体の圧力を用いる分野等、極めて広い分野で重要である。
一方、炭化ケイ素を被覆した耐酸化性炭素繊維(特許文献1〜4)、酸化チタンを被覆した耐酸化性炭素繊維(特許文献5)等は知られている。
更に、リン酸塩を用いて製造された耐酸化性黒鉛(特許文献6、7)、炭化ホウ素を用いて製造された耐酸化性黒鉛(特許文献8、9)等も知られている。
炭素質物は、マイクロ波を吸収することは一般に知られている。
しかしながら、マイクロ波加熱を使用した加温流体の製造方法に、炭素質物を組み合わせて使用することは殆ど知られていなかった。
上記した通り、流体の加熱は広い分野で重要であり、効率良く短時間で流体を加熱する方法への要求は、ますます高くなってきており、公知技術では不十分であり、更なる改善の余地があった。
特開平05−148018号公報 特開平07−133173号公報 特開平09−201895号公報 特開平11−314985号公報 特開2000−017569号公報 特開平10−226573号公報 特開2008−214112号公報 特開平09−188510号公報 国際公開WO2003/068707
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、効率良く短時間で、液体又は気体、すなわち流体を加熱する方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の炭素質物を流体中に存在させて得られる被加熱体に対して、マイクロ波を照射すると、かかる特定の炭素質物を流体中に存在させずにマイクロ波を照射した場合に比較して、極めて効率良く短時間で流体を加熱できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、炭素質物を流体中に存在させてなる被加熱体にマイクロ波を照射して加温流体を製造する方法であって、該炭素質物が、耐酸化性炭素質物、又は、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であることを特徴とする加温流体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いて菌を処理することを特徴とする殺菌方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いて有用物質又は無用物質を抽出することを特徴とする抽出方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いてタービンを回して発電することを特徴とする発電方法を提供するものである。
また、本発明は、リン、ホウ素又は金属原子を含有する難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であって耐酸化性炭素質物であることを特徴とするマイクロ波照射材料を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点を解消し上記課題を解決し、効率良く短時間で流体を加熱して加温流体を製造する方法を提供することができる。
また、無処理の無定形炭素や黒鉛といった炭素質物を、流体としての空気中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、該炭素質物は燃焼し実質的になくなってしまうのであって、長時間に亘って空気といった流体を加温し続けるという状態にはならない。
しかしながら、本発明における炭素質物を空気中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、該炭素質物は燃焼せず、長時間に亘って空気といった流体を加温し続けることができる。
また、無処理の無定形炭素や黒鉛といった炭素質物を、流体としての水中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、該炭素質物から発熱が実質的に起こらないので、該炭素質物は水といった流体を加温できる状態にならない。
しかしながら、本発明における炭素質物を水中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、該炭素質物は燃焼せずに発熱し、長時間に亘って水といった流体を加温し続けることができる。
本発明の加温流体の製造方法は、炭素質物を流体中に存在させてなる被加熱体にマイクロ波を照射するが、その際の該炭素質物は、
(1)耐酸化性炭素質物、又は、
(2)難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物である。
<(1)耐酸化性炭素質物>
炭素質物は、空気中で加熱したとき、500℃以下の温度から酸化反応が始まる。本発明おいて、「耐酸化性炭素質物」とは、空気中で加熱したとき、500℃で酸化反応が起こらない、「主成分が無定形炭素又は黒鉛」でできた物体をいい、無定形炭素又は黒鉛を耐酸化性物質で被覆した物体も含まれる。
「主成分が」とは、炭素以外の元素を含んでいてもよいことを示すが、骨格は炭素であることを示す。また、「無定形炭素又は黒鉛」とは、無定形炭素と黒鉛の中間的な結晶化度のものや、結晶化度の異なるものの混合物も指す。
耐酸化性炭素質物は、無定形炭素でも黒鉛でもよいが、主に黒鉛でできた物体であることが好ましく、黒鉛を耐酸化性物質で被覆した物体であることがより好ましい。
黒鉛が、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、(ポリ)リン酸塩、炭化ホウ素等の耐酸化性物質で被覆されている耐酸化性黒鉛が特に好ましい。
クラックを防止する等のために、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等で被覆されていてもよいが、ガラス系物質が被覆されている(ガラスシールされている)ものは、発熱し難い傾向にある。
上記耐酸化性炭素質物としては、耐酸化性炭素質繊維状黒体が好ましい。「耐酸化性炭素質繊維状黒体」とは、空気中で加熱したとき、500℃で酸化反応が起こらない、「主成分が無定形炭素繊維状黒体又は繊維状黒鉛でできた物体」をいい、無定形炭素又は黒鉛に耐酸化性物質を担持又は被覆した物体も含まれる。
耐酸化性炭素質繊維状黒体は、無定形炭素でも黒鉛でもよいが、炭素含有量の多い炭素質物であることが好ましく、耐酸化性物質で担持又は被覆した物体であることがより好ましい。
また、本発明における耐酸化性炭素質物は、耐酸化性炭素繊維又は「耐酸化性の無定形炭素であって繊維状のもの」であることも好ましい。繊維状の形態であると、特に水中における発熱が顕著である。
耐酸化性炭素繊維における被覆物質としては上記の物質が挙げられる。
「耐酸化性炭素繊維」として知られているものが好適に使用でき、市販の耐酸化性炭素繊維も好適に使用できる。
耐酸化性炭素繊維の炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維でもPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維でもよい。あるいは、耐酸化性の無定形炭素であって繊維状のものであってもよい。
本発明においては、流体中に存在させる際の耐酸化性炭素繊維の単繊維の直径は小さい程好ましいが、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、7μm以下が特に好ましい。
単繊維の直径が大き過ぎると、発熱量が少なくなる場合があり、また、流体への熱の移動が効率良くいかない場合がある。
耐酸化性炭素繊維は、通常、単繊維を束ねたヤーン(単糸)の形で供給されるが、本発明においては、単繊維の形で使用しても、ヤーン(単糸)の形で使用して(流体中に存在させて)もよい。
また、長さは特に限定はなく、適当に切断して使用して(流体中に存在させて)もよいが、マイクロ波照射の効果は、繊維状の炭素の特に端末で表われるので、繊維の長さは短いほど、単位時間の発熱量が大きい傾向にある。従って、短い方が、繊維状の炭素の端末の面積が相対的に大きいので発熱効率が高い。耐酸化性炭素繊維の長さは特に限定はないが、好ましくは80mm以下、より好ましくは50mm以下、特に好ましくは30mm以下である。下限は好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、特に好ましくは10mm以上である。この範囲であると、扱い易く熱効率も高く効率的である。
適度に短繊維に切断して、流体中等に存在させて使用することが極めて好適である。このことは、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維等の耐酸化性炭素繊維のみならず、耐酸化性の無定形炭素であって繊維状のものに関しても言える。
マイクロ波を吸収した短繊維は、急速に発熱し、かつ流体との接触面積も当然のことながら大きいので、流体への熱伝播が迅速に行われる。
<(2)難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物>
本発明において「難燃化剤」とは、対象物に付与して該対象物の燃性を低下させる物質をいう。燃性を低下の程度は問わず、燃性を低下させる程度は低くてもよいが、「難燃化剤」として知られているものが好ましい。
具体的には、塩素含有化合物;ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等の臭素含有化合物;後述するリンを含有する難燃化剤;後述するホウ素を含有する難燃化剤;後述する金属原子を含有する難燃化剤等が好ましい。
「リンを含有する難燃化剤」とは、リン原子を含有し、対象物質に付与された際、その対象物質を難燃化させる性質を有する物質をいい、一般に難燃化剤として知られているものが好適に使用でき、一般に難燃化剤として知られているものであれば変性品も含まれる。
中でも好ましいものは、オルトリン酸、二リン酸、ポリリン酸、亜リン酸若しくは次亜リン酸、又は、それらの塩若しくはエステルである。ここで、「それらの塩」には、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩等のような一部水素(H)のままの塩も含まれる。
その中でも、オルトリン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、ポリリン酸塩、トリフェニルホスフェート、ハロゲン含有リン酸エステル等が好ましく、中でも、難燃性、取得価格、環境安全性等の点から、オルトリン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、ポリリン酸塩等が特に好ましい。
塩の場合、該塩を形成する陽イオンは特に限定はないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン;四級アンモニウムイオン等が、難燃性、取得価格(経済性)等の点から好ましい。
また、難燃化剤と炭素源物質との混合物を調製する際に、難燃化剤が水に溶解した方が均一に混合でき、また均一に炭素源に吸収担持させることができるので、水に対する溶解性に優れたものが好ましい。
具体的には、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変成ポリリン酸アンモニウム、カルバミルポリリン酸アンモニウム、被覆型ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。
「ホウ素を含有する難燃化剤」とは、ホウ素原子を含有し、対象物質に付与された際、その対象物質を難燃化させる性質を有する物質をいい、一般に難燃化剤として知られているものが好適に使用できる。
中でも好ましいものは、ホウ酸、四ホウ酸若しくは八ホウ酸、又は、それらの塩である。その中でも、四ホウ酸の塩がより好ましく、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウムの水和物)が、難燃性、取得価格(経済性)、水に対する溶解性、他の難燃剤を併用したときに水に対する溶解性が十分に上がる等から特に好ましい。
「金属原子を含有する難燃化剤」とは、金属原子を含有し、対象物質に付与された際、その対象物質を難燃化させる性質を有する物質をいい、一般に難燃化剤として知られているものも好適に使用できる。
水溶液の状態で得られるもの、結晶水を含むものも含まれる。
中でも好ましいものは、塩化亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛含有化合物;塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、水酸化アルミニウム等のアルミニウム含有化合物;水酸化マグネシウム等のマグネシウム含有化合物;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン含有化合物等が挙げられる。
ホウ砂等の「ホウ素を含有する難燃化剤」、及び/又は、塩化亜鉛等の「金属原子を含有する難燃化剤」、並びに、上記した「リンを含有する難燃化剤」の混合物が、マイクロ波を照射したときの難燃性、発熱性等の点から特に好ましい。
「炭素源物質」とは、加熱によって無定形炭素又は黒鉛になる物質をいい、無定形炭素又は黒鉛といった炭素質物自体であってもよい。
具体的には、木粉、大豆粕、籾殻、笹等の植物由来物質;ブドウ糖、ショ糖、セルロース等の糖類;木炭、竹炭、砂糖炭、セルロース炭、石油コークス、ピッチコークス、瀝青炭、活性炭等の無定形炭素;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛等が挙げられる。
上記難燃化剤と上記炭素源物質との混合物を熱処理する方法は、溶媒又は分散媒に、上記難燃化剤を溶解又は分散し、上記炭素源物質を分散して浸透担持させたのち、乾燥後(溶媒又は分散媒を留去後)に熱処理する。
熱処理は公知の方法で行われる。すなわち、活性炭賦活処理の場合と同様に行うことが好ましいが、酸化雰囲気で焼成することが特に好ましい。
具体的には、例えば、加熱して乾燥後(溶媒又は分散媒を留去後)、空気中で、700〜800℃で加熱して熱分解ガスのみを燃焼させた後、1000℃で加熱して焼成炭化するか、又は、その後、黒鉛化炉中で2000℃で加熱して黒鉛とすること等が挙げられる。
これにより、炭素質物の内部に難燃化剤若しくは難燃化剤の加熱によって生じた誘導体が含有されているもの、又は、炭素質物の表面に難燃化剤が熱処理されて生じた皮膜が形成されているものが得られるが、本発明においては何れでもよい。
「炭素質物の内部に含有される」とは、難燃化剤又は「難燃化剤の加熱によって生じた誘導体」が、分子レベルで含有されていても、集合体として含有されていてもよい。
「皮膜が形成されている」とは、炭素質物の周り全てが皮膜で覆われている必要はなく、炭素質物の周りの一部が被覆されている状態も含まれる。
難燃化剤と共に前記の処理をしない炭素質物(例えば、活性炭等の無定型炭素、無処理の天然黒鉛、無処理の人造黒鉛等)では、酸素等の活性気体を含む流体中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、燃焼して消失してしまう。
しかしながら、耐酸化性炭素質繊維状黒体等の「(1)耐酸化性炭素質物」や、「(2)難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物」に、例えば空気中でマイクロ波を照射した場合でも、燃焼せず、マイクロ波を吸収して赤熱し、長時間に亘って又は繰り返し、例えば空気といった流体を加温し続けることができる。
また、難燃化剤と共に前記の処理をしない炭素質物(例えば、活性炭等の無定型炭素、無処理の天然黒鉛、無処理の人造黒鉛等)を、流体としての例えば水中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、該炭素質物から発熱が実質的に起こり難いので、該炭素質物は例えば水といった流体を加温し難い。
しかしながら、耐酸化性炭素質繊維状黒体等の「(1)耐酸化性炭素質物」や、「(2)難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物」を、流体中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、燃焼せずにマイクロ波を効率よく吸収して発熱し、長時間に亘って又は繰り返し、流体を加温し続けることができる。
特に上記流体が水の場合、水中の条件においては、耐酸化性炭素質繊維状黒体等の「(1)耐酸化性炭素質物」は、より著しく水を加熱できるので好適である。
流体が水の場合、特に表面に疎水基を持つ上記炭素質物は、空気と接触する水面上の界面に存在する繊維端末部位から端を発して激しく発熱し、マイクロ波による水の誘電加熱との相乗効果で、水温が急激に上昇する。
常圧で100℃以上になれば、急激に沸騰して高温の蒸気を創出する。
難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物は、難燃化剤処理黒鉛であることが、水中で発熱し易いために好ましい。すなわち、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られたものの基体が、結晶化度が進んだ炭素質物であることが、極端には無定形炭素であるより黒鉛であることが、マイクロ波を照射で加熱された黒鉛からの熱で好適に流体が加熱される点から好ましい。
難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物は、難燃化剤処理炭素繊維であることが、水中でも迅速に発熱するために特に好ましい。すなわち、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られたものの基体が、無定形炭素であるより耐酸化性炭素繊維であることが、水中でのマイクロ波の照射で加熱された炭素繊維からの熱で好適に流体が加熱される。
一方、流体が空気等の気体である場合は、無定形耐酸化性炭素質物が、継続した発熱性及び蓄熱性の観点から好ましい。
上記難燃化剤処理炭素質物も、前記耐酸化性炭素質物と同様に、耐酸化性であることが好ましい。すなわち、耐酸化性となるように、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られたものが、マイクロ波の照射において継続的な発熱が可能である点から好ましい。
本発明において、「耐酸化性」とは、空気中で加熱したとき、500℃で酸化反応が起こらないことをいう。
耐酸化性でないと、流体中に存在させ、マイクロ波を照射した際、「長時間に亘って発熱する」といった状態にはならず、流体が活性気体を含有する気体である場合には燃焼して消失してしまうか、流体が液体である場合には発熱すらしない場合がある。
流体中に存在させる「難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物」の大きさは特に限定はないが、体積平均粒径として、0.1mm〜5mmが好ましく、0.3mm〜3mmがより好ましく、1mm〜2mmが特に好ましい。
体積平均粒径が大き過ぎると、流体との接触面積が小さくなり、流体への熱の移動が効率良くいかない場合がある。
一方、小さ過ぎると、流体への分散性が悪くなったり、取り扱いが面倒になったりする場合がある。
また、接触面積の観点からは、粒径よりも活性炭のような多孔質で比表面積が大きいことも有利な条件である。
また、特に流体が水の場合は、短繊維である耐酸化性炭素繊維が有効である。
一方、比重の観点からは、余り比重の軽いものでは、火の粉として流体である気体中に飛散することがあるため、ある程度の比重があることが好ましい。
<「(1)耐酸化性炭素質物」と「(2)難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物」に共通事項>
本発明において「流体」とは、液体、気体、超臨界流体又は亜臨界水をいう。
「液体」は特に限定はなく、水;二酸化炭素;アンモニア;有機溶媒等が挙げられる。また、「気体」は特に限定はなく、水蒸気;空気;二酸化炭素;アンモニア;ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性気体等が挙げられる。
超臨界流体又は亜臨界水としては特に限定はなく、水、二酸化炭素;メタン、エタン、プロパン等のアルカン類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等が挙げられる。
炭素質物を流体中に存在させる方法は、特に限定はなく、(1)(2)共に、流体中に浸漬、放置又は分散させてもよい。
「(1)耐酸化性炭素質物」が耐酸化性炭素繊維の場合には、単繊維を束ねたヤーン(単糸)の形で流体中に存在させることも好ましい。耐酸化性炭素繊維は、特に水中において著しい発熱効果が見られる。
耐酸化性炭素繊維の流体中での存在状態は、直径が、好ましくは1μm〜50μm、より好ましくは2μm〜30μm、特に好ましくは4μm〜10μmであり、長さが、好ましくは3mm〜100mm、特に好ましくは5mm〜70mmであり、特に好ましくは10mm〜50mmである
特に好ましい流体中での存在状態は、耐酸化性炭素繊維のみでファブリック化した炭素繊維織物袋状内部に、上記の適度な長さの炭素短繊維を分散させた状態である。
無処理の無定形炭素や黒鉛を流体中に存在させてマイクロ波を照射すると、発熱しないか、又は、発熱しても燃焼して灰となる。
しかしながら、本発明の特定の処理(1)又は(2)がなされた上記炭素質物では、マイクロ波を吸収して発熱して赤熱体となり、効率良く短時間で流体を加熱できる。
本発明においては、炭素質物を流体中に存在させてなる被加熱体にマイクロ波を照射するが、被加熱体中の炭素質物と流体との割合は、特に限定はないが、上記(1)の場合は、流体100質量部に対して、炭素質物1質量部〜30質量部が好ましく、炭素質物2質量部〜15質量部がより好ましく、炭素質物5質量部〜8質量部が特に好ましい。
また、上記(2)の場合は、流体100質量部に対して、炭素質物10質量部〜80質量部が好ましく、炭素質物20質量部〜70質量部がより好ましく、炭素質物40質量部〜60質量部が特に好ましい。
炭素質物の存在量が少なくてもマイクロ波を効率良く吸収して発熱するが、水との接触面積が少ないために昇温速度が遅くなる傾向がある。
一方、炭素質物の存在量が多過ぎる場合には、短時間で水が沸騰し突沸して危険である。しかし、加温する初期の水量を容積比として、1/3以下に設定する流量調整を行うことで制御可能である。
加熱する流体が液体の場合、粒径、比表面積、繊維径等で決まる「見かけ比重」が軽い繊維や粒子は、該液体の表面に浮き易いため、マイクロ波を吸収し易く、そのため迅速に流体を加熱させることができる。
流体が水の場合、本発明における炭素質物の見かけ比重は、1より小さいことが好ましい。
マイクロ波の波長は、27.12MHz、40.68MHz、915MHz又は2450MHzが好ましく、2450MHzが汎用的であり経済的でもあるため特に好ましい。
被加熱体にマイクロ波を照射する際に、炭素質物が存在する流体である被加熱体の容器は、マイクロ波を透過する材料からできていて、耐熱性のものが好ましく、具体的には、釉薬を用いない磁器質、素焼き、焼成しない石材等であることが好ましい。
マイクロ波が照射された前記の炭素質物の発熱温度は、その炭素質物の炭素量によっても左右されるが、発熱温度は760〜1000℃に達するので、サーマルショクに十分に耐える素材が必要である。
<加温流体の製造方法の適用>
上記の「加温流体の製造方法」を用いて超臨界流体又は亜臨界水を製造することも好ましい。「超臨界流体」とは、流体の相図において、臨界点以上の領域にあって、液体と気体の区別がつかない状態の流体をいう。
超臨界流体又は亜臨界水としては特に限定はなく、水、二酸化炭素;メタン、エタン、プロパン等のアルカン類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等が挙げられる。
本発明の加温流体の製造方法で製造された超臨界流体又は亜臨界水は、特に限定はなく種々の分野に用いられる。
例えば、飲食品、燃料、医農薬関係の有用物質又は無用物質の抽出、分解又は合成用に用いられる。
また、環境汚染物質等を酸化分解させて処理する酸化用に用いられる。
本発明の加温流体の製造方法では、容易に臨界温度にまで加温することが可能である。流体が水の場合は、臨界温度374.2℃、臨界圧力221気圧であるので、容易に水の臨界温度以上にまで高温流体を昇温させることが可能である。
特に、耐酸化性炭素繊維を水中に存在させてマイクロ波を照射した場合は、水が全体に一気に昇温するばかりでなく、1000℃近く高温となっている発熱部位に水が連続的に接触するために、沸騰水で、細菌、真菌、ウイルス等が瞬時に滅菌可能である。
更に、短時間に加温可能であるために、長時間加熱する必要がなく、ビタミン類等の有用な物質の破壊を低下させることも可能である。
また、流体を加温してその熱エネルギーを、伝導又は放射によって他の物体に与えてもよい。例えば、容器の周りを本発明の方法で加温し、容器内部の物質を加温してもよい。容器外では、5方位の加熱が可能であるから、マイクロ波の出力が同じであるので、同一出力で少なくとも6倍の熱エネルギーが得られる。
本発明の加温流体の製造方法で製造された加温流体を殺菌に適用することは、水自体の誘電加熱との相乗効果で急速に加温が可能であり、水が連続的な沸騰現象となり、極めて短時間に、殺菌・滅菌が可能であるので効率的である。
上記した「加温流体の製造方法」で製造された加温流体を用いて、有用物質又は無用物質の抽出する抽出方法も好ましい。例えば、飲食品、燃料、医農薬関係の有用物質若しくは無用物質の抽出、分解又は合成用に用いられる。
本発明の加温流体の製造方法で製造された加温流体を抽出に適用することは、急速に加温できる、経済性、省エネ等の点から特に好ましい。特に、水中又は気体中において、高温にダイレクトに接触するので極めて熱効率が高い。
上記した「加温流体の製造方法」で製造された加温流体を用いてタービンを回して発電する発電方法にも用いられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、単に「部」と記載したときは、「質量部」を意味するものとする。
製造例1
難燃化剤として、リン酸一水素アンモニウム30部を水70部に溶解させ、炭素源物質として、体積平均粒径が約3〜6mmの木粉300部に加え、良く撹拌して湿潤状態にした。これを容器中で平らに薄く広げ、乾燥後、時々かき混ぜながら、1000℃の火焔を8分間照射した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、0.3mm〜4mmの粒子状であり、耐酸化性の無定形炭素であった。これを「炭素質物A」とする。
製造例2
難燃化剤として、リン酸一水素アンモニウム30部を水70部に溶解させ、炭素源物質として綿繊維200部に浸透させ湿潤状態として、余剰液を絞り乾燥させた。乾燥後、1200℃で3分間加熱した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、繊維の形態を保持した耐酸化性の無定形炭素であった。これを「炭素質物B」とする。
製造例3
難燃化剤として、リン酸一水素アンモニウム35部を水65部に溶解させ、炭素源物質として、体積平均粒径約3〜6mmの木粉200部に加え、良く撹拌して湿潤状態にした。これを容器中で平らに薄く広げ、乾燥後、ガス炉で800℃、15分熱処理して炭化させた。
次いで、アルゴン雰囲気の黒鉛炉で、2000℃で30分加熱して黒鉛化した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、体積平均粒径が約100μmの耐酸化性黒鉛であった。これを「炭素質物C」とする。
製造例4
難燃化剤として、リン酸一水素アンモニウム10部及びホウ砂5部を水85部に加熱溶解させ、炭素源物質として、体積平均粒径が約2〜7mmの瀝青炭を含む活性炭300部に加え、良く撹拌して湿潤状態にした。これを容器中で平らに薄く広げ、乾燥後、ガス炉で800℃、15分加熱した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、体積平均粒径約2〜7mmの、多孔性の耐酸化性無定形炭素質物である。これを「炭素質物D」とする。
製造例5
ホウ砂5部、リン酸一水素アンモニウム10部及び水85部を加熱して沸騰させ溶解させた。得られた液を「難燃化液A」と言う。難燃化液Aをテッシュペーパーに含浸させ、余剰液を絞り自然乾燥させ、空気中、1000℃で炭化させた。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、繊維状の形態を保持した耐酸化性無定形炭素である。これを「炭素質物E」とする。
製造例6
木綿の綿(わた)を、上記難燃化液Aに浸し、余剰液を絞り、自然乾燥させた。この乾燥物を、都市ガスの火焔で炭化した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は耐酸化性無定形炭素である。これを「炭素質物F」とする。
製造例7
市販のPAN系の炭素繊維である、FORMOSA PLASTICS CORPORATION社製の型番「TC−35 12k」を約3〜4cmに切断した。
得られた耐酸化性炭素質物は、黒鉛質であり、耐酸化性炭素繊維である。これを「炭素質物G」とする。
製造例8
PAC(JISで規定するポリ塩化アルミニウム水溶液)93.5部に、炭酸ナトリウム6.5部を溶融させて高粘性ゲルを得た。そこに、市販の天然黒鉛を混合しペースト状にし、不活性気体雰囲気の黒鉛炉で、2000℃で30分加熱した。
得られた難燃化剤処理炭素質物は、耐酸化性天然黒鉛である。これを「炭素質物H」とする。
<流体が空気の場合の実施例と比較例>
実施例1
上記製造例1で得られた炭素質物A50gを石膏ボード板に載せ、2450MHzのマイクロ波を照射する電子レンジに入れ、750Wに設定し、空気中でマイクロ波照射を開始した。開始直後から点状の白色光彩が発光し、約5秒後、炭素質物Aの一部が赤熱し、赤熱部分の範囲が徐々に全体に及んだ。
照射開始から15秒後にマイクロ波照射を終了した直後の赤熱部分の表面温度は780℃であった。
750W、15秒で、空気という流体を効率良く加熱することができた。
実施例2
上記製造例2〜8で得られた炭素質物B〜Hそれぞれ50gを実施例1と同様の方法でマイクロ波を照射した。何れも照射直後は点状に発光し、その後、炭素質物全体が赤熱した。
照射開始から15秒後にマイクロ波照射を終了した直後の赤熱部分の表面温度は、耐酸化性無定形炭素である炭素質物B、E、Fでは約780℃であった。
炭素質物Dでは約1000℃であった。
また、黒鉛化した耐酸化性黒鉛である炭素質物C、G、Hでは、880〜900℃であった。
炭素質物B〜Hの場合も、炭素質物Aと同様に、750W、15秒で、空気という流体を効率良く加熱することができた。
実施例3
実施例1、2において、マイクロ波照射の出力を1000wとした以外は、実施例1、2と同様にした。
その結果、出力に比例した赤熱温度の上昇が観察された。すなわち、炭素質物A、B、E、Fでは、830〜870℃となり、炭素質物Dでは1050〜1100℃となり、炭素質物C、G、Hでは、約950℃となった。
マイクロ波照射の出力を1000Wとしたときでも、炭素質物A〜Hを用いて、15秒で、空気という流体を効率良く加熱することができた。
比較例1
難燃化剤で処理していない炭素質物として、製造例4で炭素源物質として使用した無定形炭素である活性炭を、炭素質物Aの代わりに用いた以外は実施例1と同様にマイクロ波を照射した。
その結果、活性炭は発熱状態にはならず、空気中の酸素と反応して燃焼し、灰化して消失してしまった。
比較例2
難燃化剤で処理していない炭素質物として、人造黒鉛を炭素質物Aの代わりに用いた以外は実施例1と同様にマイクロ波を照射した。
その結果、人造黒鉛は、2分を経過しても発熱状態にはならず、実験を終了した。
<流体が水の場合の実施例と比較例>
実施例4
上記製造例1ないし8で得られた炭素質物A〜Hそれぞれ3gを、ガラス容器中の水100mLの中に入れ、2450MHzのマイクロ波を出力900Wで照射し、1気圧において沸騰までの時間を測定した。結果を表1に記載する。
比較例3
実施例4において、炭素質物を入れずに、マイクロ波を照射した以外は実施例4と同様に、1気圧において沸騰までの時間を測定した。結果を表1に記載する。
比較例4
難燃化剤で処理していない炭素質物として、製造例4で炭素源物質として使用した無定形炭素である活性炭を、炭素質物Aの代わりに用いた以外は実施例4と同様にマイクロ波を照射した。この「難燃化剤で処理していない無定形炭素である活性炭」を、「無処理無定形炭素a」と略記する。
その結果、瀝青炭を含む無処理活性炭は、比重が重く底部に沈殿し易く、マイクロ波照射の効率が悪くなったこともあるが、昇温速度が遅かった。
また。1気圧において沸騰までの時間を測定した。結果を表1に記載する。
比較例5
難燃化剤で処理していない炭素質物として、比較例2で用いた人造黒鉛を、炭素質物Aの代わりに用いた以外は実施例4と同様にマイクロ波を照射した。この「難燃化剤で処理していない人造黒鉛」を、「黒鉛b」と略記する。
その結果、活性炭(比較例4の無処理無定形炭素a)に比べれば良好な昇温を示しが、炭素質物A〜Hに比べれば昇温速度が遅かった。
また。1気圧において沸騰までの時間を測定した。結果を表1に記載する。
Figure 2013079738
上記の結果から明らかなように、本発明における炭素質物を用いた場合には、空気を素早く加熱できたが(実施例1、2、3)、何も処理をしていない活性炭や黒鉛では、空気中でマイクロ波を照射すると、赤熱状態にはならず、良好に周りの空気を加熱することができなかった(比較例1、2)。
表1を含む上記の結果から明らかなように、本発明における炭素質物を用いた場合には、水を素早く加熱でき、沸騰までの時間を短縮できた(実施例4)。特に、耐酸化性炭素繊維は、水中でも激しく発火することで、短時間に大量の水蒸気を生成させることや、オートクレーブ中で行えば、超臨界流体、亜臨界水が好適に得られる。
しかし、何も処理をしていない活性炭や黒鉛では、水中に浸漬してマイクロ波を照射しても、周りの水を効率的に加熱することができなかった。
水の加熱に特化した特徴として、見かけ比重が比較的軽い耐酸化性炭素質物の繊維(見かけ比重は比表面積と繊維径で決まる)、及び、見かけ比重の小さい耐酸化性炭素質物の微粒子は、水面に浮き易いため、マイクロ波を吸収し易く、そのため迅速に水を加熱させることが可能となった。
本発明の炭素質物を用いた加温流体の製造方法は、加熱コスト、加熱効率、加熱時間、容易性等に優れているため、加熱流体による殺菌、抽出、発電等に広く利用されるものである。

Claims (12)

  1. 炭素質物を流体中に存在させてなる被加熱体にマイクロ波を照射して加温流体を製造する方法であって、該炭素質物が、耐酸化性炭素質物、又は、難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であることを特徴とする加温流体の製造方法。
  2. 上記流体が水又は水蒸気であり、上記加温流体が加温水又は加温水蒸気である請求項1に記載の加温流体の製造方法。
  3. 上記難燃化剤が、リン、ホウ素又は金属原子を含有する難燃化剤である請求項1又は請求項2に記載の加温流体の製造方法。
  4. 上記耐酸化性炭素質物が耐酸化性炭素繊維である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載に記載の加温流体の製造方法。
  5. 上記リンを含有する難燃化剤が、オルトリン酸、二リン酸、ポリリン酸、亜リン酸若しくは次亜リン酸、又は、それらの塩若しくはエステルである請求項3に記載の加温流体の製造方法。
  6. 上記ホウ素を含有する難燃化剤が、ホウ酸、四ホウ酸若しくは八ホウ酸、又は、それらの塩である請求項3に記載の加温流体の製造方法。
  7. 上記金属原子を含有する難燃化剤が、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムである請求項3に記載の加温流体の製造方法。
  8. 上記加温流体が超臨界流体又は亜臨界水である請求項2ないし請求項7の何れかの請求項に記載の加温流体の製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いて菌を処理することを特徴とする殺菌方法。
  10. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いて有用物質又は無用物質を抽出することを特徴とする抽出方法。
  11. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の加温流体の製造方法で製造された加温流体を用いてタービンを回して発電することを特徴とする発電方法。
  12. リン、ホウ素又は金属原子を含有する難燃化剤と炭素源物質との混合物を熱処理して得られた難燃化剤処理炭素質物であって耐酸化性炭素質物であることを特徴とするマイクロ波照射材料。
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