JP2013077344A - 光学素子保持装置、光学素子移動装置および光ピックアップ装置 - Google Patents

光学素子保持装置、光学素子移動装置および光ピックアップ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】線材を用いた簡素な構成で送り軸に接触する光学素子保持装置等を提供する
【解決手段】本発明の光学素子保持装置50は、ガイド軸が係合されるガイド部50Dと、コリメートレンズ22が固定されるレンズ固定部50Cと、アーム部50Bと、ガイド軸が挿通される孔部50Hが設けられた挿通部50Aと、挿通部50Aの側面を−Y方向に突出させた線材固定部50Eと、線材固定部50Eに固定された線材52とを備えている。そして、線材52の先端部である曲折部52Eがスリット50Gに収納されることで、接触部52Dの過度の変形が抑制される。
【選択図】図4

Description

本発明は、コリメートレンズ等の光学素子を保持する光学素子保持装置、光学素子移動装置および光ピックアップ装置に関する。
一般的な光ピックアップ装置は、所定の規格のレーザー光を光ディスクの情報記録層に照射し、この情報記録層で反射した戻り光のレーザー光を受光することにより、光ディスクから情報の読出しや、書き込みを行っている。
光ディスクの規格によって、情報記録層を被覆する被覆層の厚みに応じた球面収差が発生する。また、同じ規格の光ディスクであっても、多層の情報記録層を有する場合、読み取りや書き込みを行う情報記録層によって被覆層からの位置が変わり、発生する球面収差も異なる。
CD/DVD対応の対物レンズでは、レンズの表面に回折輪帯を設けることで、この球面収差を補正する機能を持たせている。しかしながら、例えば、BD規格の光ディスクでは、高NAと成るため、対物レンズで発生する球面収差を補正することは困難である。
この場合、レーザー光の光路の途中に配置されたコリメートレンズを所定量移動させることで、球面収差を補正している。この事項を、図9を参照して説明する。ここで、図9(A)および図9(B)では装置の一部を切開して示しており、切開する部分をハッチングにて示している。
図9(A)を参照して、従来から用いられている光学素子移動装置100を説明する。ここで、X方向はコリメートレンズを通過するレーザー光に対して平行な方向である。Y方向は、ガイド軸102、103が載置される平面上に於いてX方向と直交する方向であり、Z方向はX方向およびY方向と直交する方向である。
この図に示す光学素子移動装置100は、コリメートレンズ104を保持する素子保持部101と、素子保持部101の+Y方向の端部で係合されたガイド軸103と、素子保持部101の−Y方向の端部で孔部に挿通されたガイド軸102と、素子保持部101を所定量移動させるスクリュー形状の送り軸105とを主要に備えている。
送り軸105は周囲にネジ溝が設けられたスクリュー状の部材であり、樹脂材料から成るナット107が螺合されている。また、素子保持部101の−Y方向の端部には、送り軸105に挿通された状態で、ナット107をX方向で両側から挟む板状のナット保持部108、109が設けられている。
上記構成で、ステッピングモータ106の駆動力を用いて送り軸105を回転させると、この回転に伴いナット107が移動する。そして、このナット107がナット保持部108、109の何れかを押圧することにより、光学保持部101はX方向に対して所定量移動する。
送り軸105とナット107との間は、若干の遊びが存在する。従って、そのままの状態だとナット107は送り軸105に対して固定されておらずガタが発生し、この結果、光学保持部101により保持されるコリメートレンズ104の位置が固定されない恐れがある。ここでは、ガイド軸102の素子保持部101よりも−X側にバネ110を挿通して、このバネ110が素子保持部101を+X方向に押圧している。これにより、ナット保持部108がナット107を+X方向に対して押圧することに成るので、送り軸105とナット107との間の遊びが無くなり、上記したガタが抑制されてコリメートレンズ104の位置が固定される。
しかしながら、上記した構成の光学素子移動装置100であると、ナット107を採用することにより不具合が発生する可能性があった。具体的には、光学保持部101の位置を、初期位置に戻すために、−X方向または+X方向の端部に突き当てると、その端部にてナット107が送り軸105のネジ溝に噛み込んでしまい、ナット107が両端部から脱出しない場合があった。更にまた、初動位置に素子保持部101を戻すために、送り軸105の長さは、素子保持部101の可動範囲よりも若干長い距離に設定されている。従って、素子保持部101が初期位置の近傍に配置されると、素子保持部101が原点検出位置に移動した後で有っても、ステッピングモータ106は送り軸105に対してしばらくの間、駆動力を与え続けることに成る。このようになると、この間はナット107がナット保持部108、109に対して押し続けることに成り、ナット107が送り軸105に噛み込む力が作用する。
また、図9(B)を参照すると、ナット107の上部はナット保持部111により覆われている。従って、図9(C)に示すように、ステッピングモータ106が通常動作中、ナット107がナット保持部111を叩き続けることになり、この結果騒音や振動が発生している。
更にまた、ナット107を採用することにより、ナット保持部108、109やバネ110等の複数の部材が必要とされるので、組立作業に難を要していた。
上記したナットに替えてバネを用いる構造が下記特許文献1に開示されている。この文献の図7、図8等を参照すると、レンズホルダ62にねじりコイルばね80を装着し、ねじりコイルばね80の先端部付近の側面を、送りねじ63の溝に係合させている。この様な構成により、ナットを不要にしてコリメートレンズ61を移動させる機構が構成されるので、ナットに起因した問題が回避される。
特開2010−165445号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された発明では、ねじりコイルばねの光ピックアップ装置への据付が容易でない場合があった。具体的には、上記特許文献1の図11およびその説明箇所を参照すると、ねじりコイルばね80は、一端が第2押支部72で固定された状態で、他端が送りねじ63に当接している。従って、レンズホルダ62を光ピックアップ装置に据え付ける際には、このようなねじりコイルばね80の形状を保持した状態で、光ピックアップ装置のハウジングに組み込む必要があった。
本発明はこの様な状態を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、バネを簡素な構成で送り軸に接触させる光学素子保持装置、光学素子移動装置および光ピックアップ装置を提供することにある。
本発明の光学素子保持装置は、光学素子をガイド軸に沿って移動可能に保持する光学素子保持装置であり、前記光学素子が固定される素子固定部と、前記素子固定部と連結されると共に、前記ガイド軸が挿通される孔部が設けられた挿通部と、前記挿通部の側面を外部に突出させた固定部と、前記固定部に嵌め込まれると共に、一部が前記固定部の先端よりも外部に配置された線材と、を有し、前記固定部の先端部に設けた収納領域に、前記線材を構成する線材の一部を収納することを特徴とする。
本発明の光学素子移動装置は、レーザー光の光路に沿って配置されると共に、表面に螺旋状のネジ溝が設けられ、モータの駆動力により回転する送り軸と、前記送り軸に対して略平行に配置されたガイド軸と、上記構成の光学素子保持装置と、を備え、前記光学素子保持装置の前記固定部よりも外側に突出する前記線材の側面が、前記送り軸のネジ溝に接触することを特徴とする。
本発明の光ピックアップ装置は、レーザー光を放射する発光素子と、前記レーザー光を光ディスクの情報記録層に集光する対物レンズと、前記情報記録層で反射した戻り光の前記レーザー光を受光する受光素子と、前記光学素子としてのコリメートレンズを前記レーザー光の光路に沿って移動させる上記構成の光学素子移動装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光学素子を移動可能に保持する光学素子保持部が、線材を介して送り軸に接触しているので、背景技術で述べたナットを排除した構成が実現され、ナットが他の部位に接触することで発生していた騒音や振動が抑制される。
更に本発明によれば、ナットを用いていた従来のものと比較すると、ナットと接触するための部品や、ガタを無くすためのバネ等を必要としないので、部品点数が削減されることで、構造の簡略化および信頼性向上が実現される。
更にまた、本発明によれば、この線材の一部を、線材を固定する固定部の先端部に設けた収納領域に収納している。これにより、線材の先端部の移動が規制されることにより、線材に想定外の変形が発生することが規制される。
本発明の光学素子移動装置が組み込まれた一般的な光ピックアップ装置を示す斜視図である。 本発明の光ピックアップ装置に組み込まれる一般的な光学系を示す図である。 (A)は本発明の光学素子移動装置を示す斜視図であり、(B)はガイド軸の部分を示す断面図である。 (A)は本発明の素子保持装置を示す図であり、(B)は線材が固定部に組み込まれる構成を示す図である。 本発明の光学素子保持部で、線材固定部に線材が組み込まれた状態を示す斜視図である。 (A)は本発明の光学素子保持装置で線材が送り軸に接触する構造を示す図であり、(B)はその構造を詳細に示す図である。 本発明の光学素子保持装置を詳細に示す図であり、(A)および(B)は曲折部が無い場合を示す斜視図であり、(C)は曲折部を設けた場合を示す斜視図である。 (A)および(B)は本発明の他の形態の素子保持装置を示す図である。 背景技術の光学素子移動装置を示す図であり、(A)および(B)は斜視図であり、(C)は断面図である。
図1から図7を参照して、本発明の実施の形態に係る光学素子保持装置50、光学素子移動装置11および光ピックアップ装置10を説明する。
本形態で、光ピックアップ装置10は情報の読出し等を行うものであり図1に構成を示す。光学素子移動装置11は、光ピックアップ装置10に組み込まれて、コリメートレンズ等の光学素子を移動させる装置であり図3に構成を示す。また、光学素子保持装置50は光学素子移動装置11に組み込まれて、コリメートレンズ等の光学素子を移動可能に保持する装置であり、図4に構成を示す。
図1を参照して、光ピックアップ装置10は、一例としてCD(Compact Disc)規格、DVD(Digital Versatile Disc)規格、およびBD(Blu−ray Disc)規格の各光ディスクに対応する構成となっている。
光ピックアップ装置10の概略的機能は、光ディスクの情報記録層に対して所定の規格のレーザー光を照射し、この情報記録層で反射したレーザー光を受光することで、光ディスクからの情報の読出しまたは書き込みを行うことにある。ここで、読出しまたは書き込みを行う光ディスクとしては、1層のみの情報記録層を備えたものでもよいし、2層以上の多層の情報記録層を備えたものでも良い。
ここで、BD規格では青紫色(青色)波長帯395nm〜420nm(例えば405nmの波長)のレーザ光が用いられ、DVD規格では赤色波長帯645nm〜675nm(例えば650nmの波長)のレーザ光が用いられ、CD規格では赤外波長帯765nm〜805nm(例えば780nmの波長)のレーザ光が用いられる。
以下の説明では、X方向はコリメートレンズ22を通過するレーザー光の光路に対して平行な方向であり、Y方向はガイド軸46、48が載置される平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。また、光ピックアップ装置を構成する素子が組み込まれる凹部が配置されたハウジング12の主面を裏面と呼び、その反対面を表面と称する。
本形態の光ピックアップ装置10では、樹脂を一体的に成形したハウジング12に各種素子を所定箇所に配置することで形成される。ここで、光ピックアップ装置に収納される素子は、電流により駆動する電子部品と、レーザー光が通過または反射する光学素子を含む。電子部品の一例は、例えば図2を参照して後述するレーザー装置38、39、PDIC36、37であり、光学素子の一例はハーフミラー30、32、AS板34、35、コリメートレンズ22等である。
ハウジング12は、PPS(Poly Phenylene Sulfide Resin)等の樹脂材料等を射出して成形したものであり、板状の底面部15と、底面部15の外周端部を厚み方向に突出させた側壁部13とを備えている。また、+X方向の端部にはガイドシャフトが挿通されるガイド孔14が設けられ、−X方向の端部にはガイドシャフトが係合されるガイド溝16が設けられる。ここで、ハウジング12の材料としてはアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)または亜鉛(Zn)を主材料とするダイカスト合金が採用されても良い。
不図示であるが、光ピックアップ装置10の内側の領域で底面部15からZ方向に突出する内部側壁部も設けられ、光ピックアップ装置10を構成する部品は、側壁部13または内部側壁部に固着される。
ここでは、本形態の要旨である素子保持装置50および光学素子移動装置11を構成する部品のみが図示されている。具体的には、ガイド軸46、48、コリメートレンズ22、素子保持装置50、線材52、送り軸44およびステッピングモータ54が、ハウジング12に収納されている。更に、図2を参照して後述するような各種素子も、側壁部13により囲まれる領域に収納される。不図示であるが、底面部15の反対面には、対物レンズを保持するホルダがアクチュエータにより移動可能な状態で配置されている。
図2を参照して、光ピックアップ装置10が備える光学素子を説明する。先ず、光ピックアップ装置10は、BD規格のレーザー光の光路である第1光学系40と、DVD規格およびCD規格のレーザー光の光路である第2光学系42を含む。尚、光ピックアップ装置10に備えられる光学系は必ずしも2つである必要はなく、1つの光学系をこれら3つの規格で共用しても良い。この場合、上記規格毎にコリメートレンズ22が最適な位置となるように調整される。
先ず、BD規格の第1光学系40は、レーザー装置38と、回折格子31と、ハーフミラー30と、コリメートレンズ22と、立ち上げミラー20と、対物レンズ28と、AS板34と、PDIC36とを含んでいる。
レーザー装置38は、BD規格のディスク26に照射されるレーザー光を放射する発光素子をパッケージ化したものである。ここで、レーザー装置38は、所謂CANタイプのパッケージでも良いし、リードフレーム型のパッケージでも良い。
回折格子31は、レーザー装置38から放射されるレーザー光を0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光に分離する機能を有する。
ハーフミラー30は、レーザー装置38から放射されて回折格子31を経由するレーザー光を反射する一方、ディスク26により反射されたレーザー光(戻り光)を透過させる。
コリメートレンズ22は、ハーフミラー30にて反射されたレーザー光を平行光にする。更に、コリメートレンズ22は光軸に沿っての変位を可能に設けられており、ディスク26の情報記録層を被覆する被覆層により生じる球面収差を補正する機能を備えている。コリメートレンズ22は、図3を参照して後述する光学素子移動装置11に組み込まれて移動する。
立ち上げミラー20は、コリメートレンズ22を透過したレーザー光が入射され、入射されたレーザー光が、ディスク26の情報記録層に対して直角に進行するように反射する働きを有する。
対物レンズ28は、立ち上げミラー24の直上に配置されており、立ち上げミラー20にて立ち上げられたレーザー光を、ディスク26の信号記録層に合焦させる働きを有する。
AS板34は、ディスク26にて反射されて各光学素子を通過したレーザー光に対して、サーボ機構のための収差を付与する。ここで、後述するようにAS板34は必須の要素ではなく、AS板34が無い機種も存在する。
PDIC36は、光検出器として機能する信号検出用のフォトダイオード集積回路素子であり、BD用のレーザー光を受光して情報信号成分を含む受光出力を発生すると共に、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボに用いられるサーボ信号成分を発生する。
上記第1光学系40の読み出し動作および書き込み動作は次のとおりである。
先ず、レーザー装置38から放射されたレーザー光は、回折格子31を通過することで0次回折光、+1次回折光および−1次回折光に分離される。これは、PDIC36にてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うためのサーボ信号を得るためである。その後、レーザー光は、ハーフミラー30にて反射された後に、コリメートレンズ22により平行光に変換され、立ち上げミラー20で反射されることによりディスク26に対して垂直方向に進行する。そして、対物レンズ28の屈折作用や回折作用により、ディスク26の信号記録層に合焦する。
ディスク26の信号記録層により反射されたレーザー光(戻り光)は、対物レンズ28、立ち上げミラー20、コリメートレンズ22を通過してハーフミラー30に到る。ハーフミラー30を透過したレーザー光は、AS板34で収差が付与され、PDIC36に到達する。更に、PDIC36で情報が読み出されると共に、読み出された情報に基づいてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
次に、DVD規格およびCD規格のディスクに適用される第2光学系42を説明する。第2光学系42の第1光学系40と共通する部分はその説明を割愛する。
第2光学系42は、レーザー装置39と、回折格子33と、ハーフミラー32と、コリメートレンズ27と、立ち上げミラー24と、対物レンズ29と、PDIC37とを含んでいる。
第2光学系42に於けるディスク26の読み出し動作および書き込み動作は次の通りである。先ず、レーザー装置39からはCD規格またはDVD規格のレーザー光が放射される。レーザー装置39から放射されたレーザー光は、回折格子33を経て、ハーフミラー32で反射される。その後、コリメートレンズ27を透過して、立ち上げミラー24でディスク26の情報記録層に対して垂直な方向に反射され、対物レンズ29によりディスク26の情報記録層に合焦される。
ディスク26の情報記録層にて反射した戻り光であるレーザー光は、対物レンズ29を通過した後に立ち上げミラー24で反射され、コリメートレンズ27およびハーフミラー32を透過してPDIC37の受光面に照射される。PDIC37で情報が読み出されるとともに、読み出された情報に基づいてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
ここで、上記した各光学素子は全てが必須では無い。例えば、第1光学系40は、レーザー装置38、ハーフミラー30、コリメートレンズ22、対物レンズ28およびDPIC36のみで構成され手も良い。更には、PDIC36がレーザー装置38に内蔵されてもよい。この事項は第2光学系42に関しても同様であり、レーザー装置39、ハーフミラー32、PDIC37、コリメートレンズ27、立ち上げミラー24および対物レンズ29から第2光学系42が構成されても良い。
図3を参照して、光学素子移動装置11の構成を説明する。図3(A)は光学素子移動装置11の部分を拡大して示す斜視図であり、図3(B)は図3(A)のB−B’線に於ける断面図である。
光学素子移動装置11は、レーザー光の光路に対して並行に配置されたスクリュー形状の送り軸44と、送り軸44に対して平行に配置されたがガイド軸46、48と、コリメートレンズ22を保持した状態でガイド軸46、48に沿って移動する素子保持装置50と、素子保持装置50に固定されて送り軸44に向かって巻回された線材52とを有している。
送り軸44は、ステンレス、真鍮、快削鋼等の金属からなる棒状の部材の外周面に所定ピッチで螺旋状のネジ溝が形成されたもので、その軸方向はコリメートレンズ22を通過するレーザー光と平行となるように配置されている。送り軸44の+X方向の端部はステッピングモータ54に接続されており、−X方向の端部は回転可能な状態で保持されている。外部から供給される駆動信号に基づいてステッピングモータ54は駆動し、送り軸44はステッピングモータ54の駆動力により所定量回転する。
ガイド軸46は、ステンレス等の金属材料から成る棒状の部材であり、その中間部は素子保持装置50の孔部に挿通され、+X方向の端部はハウジング12の一部から成る収納部56に収納され、−X方向の端部は収納部58に収納されている。ガイド軸46の両端は接着剤を介して収納部56、58に固着される。
凸状部60は、ハウジング12の底面部15を+Z方向に突出させた部位である。凸状部60は、素子保持装置50よりも+X側および−X側の両方でガイド軸46の下方に設けられている。図3(B)を参照して、素子保持装置50の挿通部50Aの+X側の端部が、+X方向側に移動して凸状部60に当たりストップしても、送り軸44に余剰パスルを与えることで、素子保持装置50(コリメートレンズ22)の移動量の基準となる原点検出が行われる。同様に、素子保持装置50の挿通部50Aの−X側の端部が、−X方向側に移動して凸状部60に当たりストップしても、送り軸44に余剰パルスを与えることで、素子保持装置50(コリメートレンズ22)の移動量の基準となる原点検出が行われる。
ガイド軸48は、ハウジング12の一部を軸状に成形した部位であり、素子保持装置50のガイド部50Dが係合する部位である。換言すると、ガイド軸48は、ハウジング12の側壁部13の一部を、X方向に沿って連続して、−Y方向に向かって突出させた部位である。ここで、ガイド軸48は、ガイド軸46と同様にハウジング12とは別体の部材を採用することも可能であるが、ハウジング12の一部をガイド軸48として採用することで部品点数が削減される効果がある。
上記した送り軸44、ガイド軸46,48は、Z方向から見て互いに平行となるように配置されている。
素子保持装置50は、レーザー光が入射・透過する主面がX方向に向くコリメートレンズ22を保持する役割を有し、−Y方向の端部にガイド軸46が挿通され、+Y方向の端部がガイド軸48に係合されている。これにより、素子保持装置50は、X方向に沿って移動可能な状態でハウジング12に備えられる。素子保持装置50の構造は図4を参照して後述する。
線材52は、素子保持装置50の−Y方向の端部側面に備えられており、線材52を構成する線材の端部側面が送り軸44のネジ溝に接触している。この事項は図4および図5を参照して後述する。
この様な構成の光学素子移動装置11がX方向に対して移動することにより球面収差が補正される。上記したように、規格によって光ディスクの被覆層で発生する球面収差が異なる。また、多層の情報記録層を備えるBD規格の光ディスクでは、情報記録層毎に異なる球面収差が発生する。この様な場合であっても、光学素子移動装置11でコリメートレンズ22を所定位置に移動することにより、この球面収差が補正され、レーザー光を情報記録層に適切に合焦させることが出来る。
図4から図7を参照して、上記した光ピックアップ装置10および光学素子移動装置11に組み込まれる光学素子保持装置50を説明する。
図4を参照して、素子保持装置50の構成を説明する。図4(A)は素子保持装置50を全体的に示す斜視図であり、図4(B)は線材固定部50Eを抜き出して示す斜視図である。
図4(A)を参照して、素子保持装置50は、+Y方向側から、ガイド軸が係合されるガイド部50Dと、コリメートレンズ22が固定されるレンズ固定部50Cと、アーム部50Bと、ガイド軸が挿通される孔部50Hが設けられた挿通部50Aと、挿通部50Aの側面を−Y方向に突出させた線材固定部50Eとを備えている。ここで、光学素子保持装置50は、概略的にZ方向に見てアルファベットの「J」の形状を呈している。なお、素子保持装置50は、PPS等の樹脂材料またはAl等の金属材料を射出或いは鋳造して一体形成される。
具体的には、ガイド部50Dは、+Y方向に開口する溝状の部位であり、この部分が図3(A)に示すガイド軸48に係合することにより、素子保持装置50がX方向に沿って移動するようになる。
レンズ固定部50CはX方向にレンズ面を有するコリメートレンズ22が固着される為の開口を有する部位である。
アーム部50Bは、レンズ固定部50Cと、挿通部50Aとを連続させるための部位である。挿通部50Aとレンズ固定部50Cとをアーム部50Bを経由して接続することで、スペース的な制約があっても、コリメートレンズ22を固定するレンズ固定部50Cを、光ピックアップ装置の内部で所定の位置に配置できる。
挿通部50Aの外形は、X方向に細長い直方体形状であり、−X方向側の端部がアーム部50Bを介してレンズ固定部50Cと連結されている。また、挿通部50AをX方向沿って円筒状に貫通して孔部50Hが設けられており、使用状況下では、この孔部50Hに図3(A)に示すガイド軸46が挿通される。
線材固定部50Eは、挿通部50Aの−Y方向側の側面の中心部付近を、一体的に−Y方向に向かって円筒状に突起させた部位である。線材固定部50Eは、コイル状に巻かれた線材52が挿入され、線材52を素子保持装置50に固定する役割を有する。
本形態では、アーム部50Bを経由して挿通部50Aとレンズ固定部50Cとを連結することで、挿通部50Aにレンズ固定部50Cを直に連結した場合と比較して、挿通部50Aとレンズ固定部50Cとを離間させることができる。更に、アーム部50Bは、レンズ固定部50Cや挿通部50Aと比較して短手方向の幅が細い。これにより、使用状況下にて挿通部50Aに振動が作用しても、振動がアーム部50Bにより緩和され、レンズ固定部50Cに作用する振動が軽減される。また、素子保持装置50の形状は上記した形状以外も採用可能であり、具体的な他の形状は図8を参照して後述する。
図4(B)を参照して、線材52は、+Y方向から、直線部52B、巻回部52A、直線部52C、接触部52Dおよび曲折部52Eを有しており、1本の線材を曲折加工することで成形されている。線材52の材料としては、SUSやピアノ線材等の金属材料が採用可能である。直線部52Bは、線材52の+Y方向側の端部を、線材52をY方向に見たときに巻回部52Aの中心点を通るように直線状に成形した部位である。また、接触部52Dおよび直線部52Cも同様に、線材52をY方向に見たときに中心点を通るように直線状に成形されている。従って、Y方向に線材を見た場合、接触部52D、直線部52Cおよび直線部52Bは互いにほぼ重畳している。また、直線部52Cと接触部52Dとは、両者の下端でU字状に曲折する部位を介して連続している。巻回部52Aは、螺旋状に線材52を巻回させた部位であり、直線部52Bの下端と直線部52Cの上端とを接続するように形成されている。
ここで、線材52はバネと換言することも可能である。具体的には、線材52の巻回部52AはY方向に巻回軸を有するコイルバネであり、巻回部52Aよりも−Y側の線材52(直線部52C、接触部52Dおよび曲折部52E)はトーションバネである。
本形態では、線材52の−Y側の端部付近で、接触部52Dの端部を+Y方向側に直角に曲折させた曲折部52Eを設けている。これにより、線材52を線材固定部50Eに挿入すると、線材52の曲折部52Eがスリット50Gにより収納される結果固定される。従って、接触部52Dの不要な変形が防止され、変形の程度を線径や線種に合わせて最適化できる。この事項は図5、図6を参照して後述する。
線材固定部50Eは、略円筒形状の部位であり、中心部分から線材固定部50Eを二分するスリット50Gが設けられている。また、線材固定部50Eの外周部分で−Y方向の端部の両端を+X方向および−X方向に突出させて係止部50Fが形成されている。線材固定部50Eの直径は、線材52の巻回部52Aの内径よりも若干小さくなるように設定される。更に、係止部50Fの−Y側の側面は、端部側が内側に位置する傾斜面であり、これにより線材52を容易に線材固定部50Eに嵌め込むことができる。
図5を参照して、この様な構成の線材固定部50Eに、線材52の巻回部を嵌め込むと、巻回部52Aの−Y方向の端部に配置された線材が2箇所の係止部50Fに係止され、線材52が線材固定部50Eから抜けることが防止される。また、線材52の直線部52B、52Cおよび曲折部52Eの先端部付近は、線材固定部50Eのスリット50Gに収納され、これにより線材52が回転方向に固定されるので、接触部52DはZ方向に対して略平行な状態が保持される。即ち、接触部52Dの下端で線材52が過度に変形することが抑制される(図4(B)参照)。また、線材52の接触部52Dは、スリット50Gに収納されず、線材固定部50Eの−Y側の端部よりも−Y方向側に突出して配置される。
図6を参照して、上記した線材52が送り軸44に接触する構成を説明する。図6(A)は線材52が送り軸44側に付勢される状態を示す図であり、図6(B)は線材の接触部52Dが送り軸44に接触する構成を示す図である。
図6(A)を参照して、送り軸44および素子保持装置50を光ピックアップ装置に組み込むと、線材52はY方向に若干圧縮された状態で、素子保持装置50と送り軸44との間に介在することになる。この結果、巻回部52Aが圧縮されることで発生する付勢力により、接触部52Dは、送り軸44のネジ溝44Aに押圧された状態で当接する。この付勢力は、送り軸44の回転力を素子保持装置50に伝達可能であり且つ接触部52Dを塑性変形させない範囲(弾性限度内の範囲)であり、例えば、3gf以上15gf以下程度に設定される。
ステッピングモータの駆動力で送り軸44が回転すると、ネジ溝44Aに滑りつつ当接する線材の接触部52Dを介して、送り軸44の回転力が素子保持装置50に伝達される。この結果、素子保持装置50がX方向に所定量移動する。
本形態では、線材52の先端部である曲折部52Eがスリット50Gに収納されている。従って、例えば、送り軸44を回転させることにより、線材52を+X方向に移動させる力が作用すると、スリット50Gの+X側の側壁部に曲折部52Eが接触し、これにより接触部52Dの過度の変形が抑制される。
図6(B)を参照して、線材52の接触部52Dの側面は、1つのピッチに含まれる2つのネジ溝44Aの側面に2点で接触している。この2つの接触点を経由して、接触部52Dがネジ溝44Aに付勢力Fが、接触部52Dが送り軸44に与える実質的な付勢力となる。
図7を参照して、線材52の先端に設けられる接触部52Dに関して説明する。図7(A)および図7(B)は曲折部52Eが無い場合を示す斜視図であり、図7(C)は曲折部52Eが設けられた本形態を示す斜視図である。
図4や図5を参照して上記したように、本形態では線材52の先端部である曲折部52Eをスリット50Gに配置することにより、接触部52Dの下端で線材52が過度に変形することを防止している。この事項を以下に詳述する。
図7(A)を参照して、上記した曲折部52Eが無いと仮定した場合、接触部52Dの上端部は移動が規制されない。この様な場合であっても、ステッピングモータ54の駆動力により送り軸44が回転すると、接触部52Dが送り軸のネジ溝に接触することにより、送り軸44の回転力は挿通部50Aに線材52を経由して伝達され、素子保持装置50はX方向に沿って移動する。
しかしながら、接触部52Dがこのように自由端部の状態であると、図7(B)に示すように接触部52Dの部分で線材52が必要以上に変形する不具合が発生する。具体的には、図3(B)を参照して、原点位置検出のために送り軸44を回転させて素子保持装置50を凸状部60に突き当て、更にその後にステッピングモータ54の剰余回転があると、図7(B)に示すように、接触部52Dが変形して応力が作用した状態となる場合がある。このように、接触部52Dに応力が作用した状態であると、素子保持装置50の次の動作に悪影響が及ぶ恐れがある。
この対処方法として、本形態では、図7(C)に示すように、接触部52Dの上端部を+Y方向に折り返して曲折部52Eとし、この曲折部52Eをスリット50Gに収納させている。
これにより、接触部52Dは送り軸44と接触するために線材固定部50Eよりも−Y方向に突出する一方、曲折部52Eがスリット50Gに挿入される。従って、接触部52DはY方向に対しては移動可能であるが、±X方向への過度の変形はスリット50Gにより規制される。
このようにすることで、接触部52Dの過度の変形が抑制される。具体的には、図3(B)に示すように、送り軸44の回転により素子保持装置50が凸状部60に突き当たった後に剰余の回転力が線材52に与えられた場合、線材52に対して、接触部52Dを変形させる力が付与される。本形態では、曲折部52Eがスリット50Gに収納されているので、この部分が接触部52Dの変形を抑制する機能となる。この結果、接触部52Dの過度の変形が抑制されて応力が残留しないので、その後の素子保持装置50の動作がスムーズとなる。
また、上記説明では、図4に示す光学素子保持装置50はコリメートレンズ22を保持するが、コリメートレンズ22以外の光学素子を採用することも可能である。例えば、本形態の光学素子保持装置50で、オートフォーカス機能を備えた光学カメラの内部に配置されるレンズを保持することも可能である。
更にまた、図4(A)に示した素子保持装置50の形状は、平面視でアルファベットの「J」の形状を呈していたが、他の形状でも良い。図8を参照して、他の形態の素子保持装置50を説明する。図8(A)および図8(B)は他の形態の素子保持装置50を示す斜視図である。
図8(A)を参照して、ここでは、挿通部50Aの長手方向に対して端部で、アーム部50Bが直角に連続している。そして、アーム部50Bを経由して、挿通部50Aとレンズ固定部50Cが連結されている。この場合、平面視での素子保持装置50の形状はアルファベットの「L」字形状を呈することになる。ここで、アーム部50Bを経由せずに、挿通部50Aに直にレンズ固定部50Cが連続しても良い。
図8(B)に示す素子保持装置50では、挿通部50Aの側面の中間部から、挿通部50Aの長手方向に対して直角にアーム部50Bが連続している。この場合、素子保持装置50は、平面視でアルファベットの「T」または漢字の「丁」の形状を呈する。
尚、上記した素子保持装置50の形状は一例であり、レンズ固定部50Cと挿通部50Aとの相対的な位置関係が保持されるのであれば、他の形状を採用することも可能である。
10 光ピックアップ装置
11 光学素子移動装置
12 ハウジング
13 側壁部
14 ガイド孔
15 底面部
16 ガイド溝
20 立ち上げミラー
22 コリメートレンズ
24 立ち上げミラー
26 ディスク
27 コリメートレンズ
28 対物レンズ
29 対物レンズ
30 ハーフミラー
31 回折格子
32 ハーフミラー
33 回折格子
34 AS板
35 AS板
36 PDIC
37 PDIC
38 レーザー装置
39 レーザー装置
40 第1光学系
42 第2光学系
44 送り軸
44A ネジ溝
46 ガイド軸
48 ガイド軸
50 素子保持装置
50A 挿通部
50B アーム部
50C レンズ固定部
50D ガイド部
50E 線材固定部
50F 係止部
50G スリット
50H 孔部
52 線材
52A 巻回部
52B 直線部
52C 直線部
52D 接触部
54 ステッピングモータ
56 収納部
58 収納部
60 凸状部

Claims (7)

  1. 光学素子をガイド軸に沿って移動可能に保持する光学素子保持装置であり、
    前記光学素子が固定される素子固定部と、
    前記素子固定部と連結されると共に、前記ガイド軸が挿通される孔部が設けられた挿通部と、
    前記挿通部の側面を外部に突出させた固定部と、
    前記固定部に嵌め込まれると共に、一部が前記固定部の先端よりも外部に配置された線材と、を有し、
    前記固定部の先端部に設けた収納領域に、前記線材の一部を収納することを特徴とする光学素子保持装置。
  2. 前記線材の一部を、前記固定部の先端よりも外部に突出した位置で直線状に形成することを特徴とする請求項1に記載の光学素子保持装置。
  3. 前記固定部は円筒状の形状を有し、
    前記収納領域は、前記固定部を中心部付近から分割するスリットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子保持装置。
  4. 前記線材は、前記スリットに収納される直線状の第1直線部と、前記線材を巻回した巻回部と、前記スリットに収納される直線状の第2直線部と、前記固定部よりも外側に突出する接触部と、前記接触部と曲折して連続して前記スリットに収納される曲折部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の光学素子保持装置。
  5. 前記素子固定部の側面を部分的に外側に向かって突出させた係止部を更に有し、
    前記線材の前記巻回部は、前記係止部よりも前記挿通部側の部分の前記固定部に挿入されることを特徴とする請求項4に記載の光学素子保持装置。
  6. レーザー光の光路に沿って配置されると共に、表面に螺旋状のネジ溝が設けられ、モータの駆動力により回転する送り軸と、
    前記送り軸に対して略平行に配置されたガイド軸と、
    請求項1から請求項5の何れかに記載された光学素子保持装置と、を備え、
    前記光学素子保持装置の前記固定部よりも外側に突出する前記線材の側面が、前記送り軸のネジ溝に接触することを特徴とする光学素子移動装置。
  7. レーザー光を放射する発光素子と、
    前記レーザー光を光ディスクの情報記録層に集光する対物レンズと、
    前記情報記録層で反射した戻り光の前記レーザー光を受光する受光素子と、
    前記光学素子としてのコリメートレンズを前記レーザー光の光路に沿って移動させる請求項6に記載された光学素子移動装置と、
    を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
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