JP2013076943A - セルロースアシレート系光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレート系光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光弾性係数及びヘイズが低く、脆性に優れるセルロースアシレート系光学フィルム、それを使用した偏光板及び液晶表示装置の提供。
【解決手段】セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物とを少なくとも含有する光学フィルム:一般式(1)中、mは0〜4の整数を表し;nは2〜15の整数を表し;アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が75%以上であることが好ましく;Xは(m+n)個の水酸基を有する有機化合物の残基を表し、Xが脂肪族多価アルコールの残基であることが好ましい。
Figure 2013076943

【選択図】なし

Description

本発明は、光弾性係数が低いセルロースアシレート系光学フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低消費電力で、薄層化が可能であることから、TVやパーソナルコンピューター等の画像表示装置として広く採用されている。液晶表示装置は液晶セルの両側に偏光板を設置したもので、偏光板はヨウ素や染料を吸着配向させた偏光フィルムの両側を透明な樹脂層で挟み込んだ構成をしている。このような透明な樹脂層は偏光子を保護する目的を持ち、セルロースエステルフィルムが好ましく使用されている。
セルロースエステルフィルムは水蒸気透過率が高く、アルカリ水溶液に浸漬させてその表面を鹸化し、親水化することで、偏光子との優れた密着性を実現することができる。しかしながら、セルロースエステルフィルムは温湿度変化によるフィルムの吸湿または脱水に起因する寸法変化を起こしやすく、その結果、フィルムに応力が働きやすい。応力が加わると、セルロースエステルフィルムに光弾性係数が大きく発現し、特定の条件で液晶表示面を観察した際に光モレが発生することが分かってきている。
このため、例えば、特許文献1では、環状アシル基を導入したセルロースアシレートからなるセルロース系フィルムを提案しており、光弾性係数を低減させている。また、例えば、特許文献2では、脂環式カルボン酸で置換したセルロースエステルを用いた光学フィルムを提案しており、溶融製膜性及び耐湿熱性を向上させている。
しかし、特許文献1は、環状アシル基を有する化合物を添加するのではなく、環状アシル基をセルロースアシレートに導入してセルロースアシレートを改質する必要がある。また、特許文献2では、脂環式カルボン酸をセルロースエステルに導入してセルロースエステルを改質する必要がある。セルロースアシレートを改質すると、フィルムを作製する溶剤を代えたりする必要があり、現状のプロセスでフィルムを作製することができないという問題がある。
特開2009−235212号公報 特許第4556697号
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、光弾性係数及びヘイズが低く脆性に優れるセルロースアシレート系光学フィルム、それを使用した偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物とを少なくとも含有するセルロースアシレート系光学フィルム:
Figure 2013076943
一般式(1)中、mは0〜4の整数を表し;nは2〜15の整数を表し;Xは(m+n)個の水酸基を有する有機化合物の残基を表す。
[2] 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が75%以上である[1]の光学フィルム。
[3] 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が80%以上である[1]の光学フィルム。
[4] 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が85%以上である[1]の光学フィルム。
[5] 前記一般式(1)中、Xが脂肪族多価アルコールの残基である[1]〜[4]のいずれかの光学フィルム。
[6] 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれグリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールである[5]の光学フィルム。
[7] 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールである[5]又は[6]の光学フィルム。
[8] 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオースである[5]〜[7]のいずれかの光学フィルム。
[9] セルロースアシレートのアシル基の総置換度が2.2以上3.0以下である[1]〜[8]のいずれかの光学フィルム。
[10] セルロースアシレートのアシル基の総置換度が2.5以上3.0以下である[1]〜[8]のいずれかの光学フィルム。
[11] 偏光子と、[1]〜[10]のいずれかの光学フィルムとを少なくとも有する偏光板。
[12] 液晶セルと[11]の偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置。
本発明によれば、光弾性係数及びヘイズが低く脆性に優れるセルロースアシレート系光学フィルム、それを使用した偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
共流延用ダイを用いて同時共流延により3層構造のセルロースアシレートフィルムを流涎するときの一例を示す概略図である。
以下、本発明について、実施の形態を挙げて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
1.セルロースアシレート系光学フィルム
本発明は、セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物とを含有する光学フィルムに関する。本発明では、アダマンタンエステル化合物をセルロースアシレートに添加させることで、ヘイズ及び脆性を悪化させることなく光弾性係数を低減させることができる。このような効果が得られることの詳細については定かではないが、嵩高く光学的に等方なアダマンタン類は、光弾性が不活性であると推測される。また、アダマンタン類は、セルロースアシレート中の隙間を埋めるように入り込み、セルロースアシレートの運動性を抑制することで、セルロースアシレート由来の正の光弾性の発現を抑制する効果があるものと推測している。
以下、本発明の光学フィルムに利用可能な材料について詳細に説明する。
1−1.一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物
本発明の光学フィルムには、一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物が含まれる。
Figure 2013076943
一般式(1)中、mは0〜4の整数を表し;nは2〜15の整数を表し;Xは(m+n)個の水酸基を有する有機化合物の残基を表す。
Xは、(m+n)個の水酸基を有する有機化合物の残基を表す。水酸基を有する有機化合物の残基の例としては、特に制限はなく、脂肪族多価アルコールの残基、芳香族多価アルコールの残基等が挙げられ、脂肪族多価アルコールの残基が好ましい。
脂肪族多価アルコールの残基の例としては、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールなどが挙げられ、ソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールが好ましく、ソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオースがより好ましい。
mは、0〜4の整数を表し、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。
nは、2〜15の整数を表し、2〜10が好ましく、3〜8がより好ましい。
一般式(1)のうち、アダマンタンエステル部位の重量含率が75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
アダマンタンエステル部位の重量含率を75%未満であると、光弾性係数を低減させることができない場合がある。アダマンタンエステル部位の重量含率は、m及びnの値を変化させることにより調整することができる。
以下に、一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。ただし、下記具体例中のRは、アダマンタンエステル部位及び水酸基のいずれかを表す。
Figure 2013076943
一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物の添加量は特に限定されないが、セルロースアシレート100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましく2〜15質量部であることがより好ましく、2〜12質量部であることが特に好ましい。
添加量が2質量部未満であると、十分な光弾性低減効果が得られないことがあり、20質量部を超えると、ブリードアウトなどの問題が発生することがある。
アダマンタンエステル化合物の分子量は300〜2000が好ましく、400〜1800がより好ましく、500〜1600が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、一般に、(m+n)個の水酸基を有する有機化合物に1−アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を添加することで合成することができ、1−アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の添加量を変えることで、m及びnを調整することができる。また、市販品を使用してもよく、混合物を使用してもよい。
1−2.セルロースアシレート
本発明では、セルロースアシレートをフィルムの主成分として用いる。ここで本明細書では、「主成分」とは、原料となる成分が1種である態様ではその成分を、2種以上である態様では、最も質量分率の高い成分をいうものとする。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に定めるものではない。原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、アシル基の総置換度が1.2以上3.0以下であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるセルロースアシレートはアシル基の総置換度をTA全、炭素数が2のアシル基の置換度をTA2、炭素原子数が3以上7以下のアシル基の置換度をTA3としたときに、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の範囲にすることで、隣接層との密着性、ドラム剥離性、フィルムのカール低減の観点で優れた光学フィルムを得ることができる。
2.2≦TA全≦3.0
1.5≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.7
また、セルロースアシレートは、より好ましくは以下の条件を満たすセルロースアシレートである。
2.5≦TA全≦3.0
2.4≦TA2≦3.0
0.0≦TA3≦0.1
本発明に用いられるセルロースアシレートとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中でより好ましいセルロースアシレートは、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートであり、更に好ましくはトリアセチルセルロースである。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めることができる。
本発明に用いられるセルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂との密着性の観点から、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)が75000以上であればセルロースアシレート層自身の自己成膜性や密着の改善効果が発揮され、好ましい。本発明では2種以上のセルロースアシレートを混合して用いることもできる。
1−3.添加剤
本発明の光学フィルムには、前記アダマンタンエステル化合物以外の添加剤を、本発明の趣旨に反しない限りにおいて含有させてもよい。
(可塑剤)
本発明においては、光学フィルムに柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために可塑剤を用いてもよい。
好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にある分子量190〜5000程度の低分子〜オリゴマー化合物が挙げられ、例えばリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。
リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。好ましくは、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートである。
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなくその利用方法あるいはその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステルおよびまたはポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタンまたはポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂またはノボラック樹脂等が挙げられる。
また、耐揮発性、ブリードアウト、低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、例えば特開2009−98674号公報に記載の両末端が水酸基であるポリエステルジオールを用いるのが好ましい。また、光学フィルムの平面性や低ヘイズなどの点で優れる可塑剤としては、WO2009/031464号公報に記載の糖エステル誘導体も好ましい。
これらの可塑剤は単独もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量は熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜120質量部使用することができ、2〜70質量部が好ましく、更に好ましくは2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。また、後述する本発明の製造方法に用いる外層ドープ(A)、コア層ドープ(B)のうち隣接する層に共通の可塑剤を用いると、流延時のドープの界面の乱れの発生が少なくなったり、界面の密着が良化したり、カールが低減したりする観点から、好ましい。特に、外層ドープ(A)、コア層ドープ(B)が共通の可塑剤を含有することが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤を添加してもよい。
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
本発明の光学フィルムには、添加剤を含有していてもよい。添加剤の例には、フッ素系界面活性剤(好ましい添加量は熱可塑性樹脂に対して0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学異方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)等が含まれる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、微量の有機材料、無機材料及びそれらの混合物からなる粒子を分散含有していてもよい。これらの粒子は、製膜時におけるフィルムの搬送性向上を目的として(マット剤として)添加される場合には、粒子の粒径は5〜3000nmであるのが好ましく、添加量は1質量%以下であるのが好ましい。
フィルムの表面に凹凸を与えたりフィルム内部に光散乱性を付与したりするために粒子を添加することもでき、その場合には、粒子の粒径は1〜20μmであるのが好ましく、添加量は2〜30質量%好ましい。これら粒子屈折率は本発明のポリマーフィルムの屈折率との差が0〜0.5であるのが好ましく、例えば、無機材料の粒子の例には、酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粒子が含まれる。有機材料の粒子の例には、アクリル樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が含まれる。
<光学フィルム上への付加的な層の積層>
本発明の光学フィルムは、例えば、その上に更に0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けてもよい。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
また、硬化性樹脂層を設けた光学フィルムの強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましい。
1−4.セルロースアシレートフィルムの構成と物性
(フィルムの層構造)
前記セルロースアシレートフィルムは、単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。
前記セルロースアシレートフィルムが2層以上の積層体である場合は、2層構造または3層構造であることがより好ましく、3層構造であることが好ましい。3層構造の場合は、本発明のフィルムが溶液製膜で製造する際に前記金属支持体と接する層(以下、支持体面や、スキンB層とも言う)と、前記金属支持体とは逆側の空気界面の層(以下、空気面や、スキンA層とも言う)と、その間に挟まれた1層のコア層(以下、基層とも言う)を有することが好ましい。すなわち、本発明のフィルムはスキンB層/コア層/スキンA層の3層構造であることが好ましい。
なお、前記スキンA層とスキンB層を総称して、スキン層(または表層)とも言う。
前記セルロースアシレートフィルムは、各層中におけるセルロースアシレートのアシル基置換度は均一であっても、複数のセルロースアシレートを一つの層に混在させてもよいが、各層中におけるセルロースアシレートのアシル基置換度は全て一定であることが光学特性の調整の観点から好ましい。また、前記セルロースアシレートフィルムが3層構造であるとき、両面の表面層に含まれるセルロースアシレートは同じアシル置換度のセルロースアシレートを用いることが、製造コストの観点から好ましい。
(弾性率)
本発明のフィルムは実用上十分な弾性率を示す。弾性率の範囲は特に限定されないが、製造適性およびハンドリング性という観点から1.0GPa〜5.0GPaであることが好ましく、2.0GPa〜4.5GPaであることがより好ましい。
(光弾性係数)
本発明のフィルムの光弾性係数の絶対値は10.0×10-122/N以下が好ましい。より好ましくは9.5×10-122/N以下であり、さらに好ましくは9.0×10-122/N以下である。樹脂フィルムの光弾性係数を小さくすることにより、該樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に、高温高湿下におけるムラ発生を抑制できる。光弾性係数は、特に断らない限り、以下の方法により測定し算出するものとする。光弾性係数の下限値は特に限定されないが、0.1×10-122/N以上であることが実際的である。
(含水率)
樹脂フィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は前記温湿度に24時間放置した後に、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
本発明のフィルムの25℃相対湿度80%における含水率は5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下がさらに好ましく、3質量%未満がさらに好ましい。フィルムの含水率を小さくすることにより、樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に、高温高湿下における液晶表示装置の表示ムラを発生しにくくすることができる。含水率の下限値は特に限定されないが、0.1質量%以上であることが実際的である。
(透湿度)
樹脂フィルムの透湿度は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じ、温度60℃、湿度95%RHの雰囲気中、面積1m2の試料を24時間に通過する水蒸気の重量を測定することにより評価することができる。
本発明の樹脂フィルムの透湿度は、500〜2000g/m2・dayであることが好ましく、900〜1300g/m2・dayであることがより好ましく、1000〜1200g/m2・dayであることが特に好ましい。
(ヘイズ)
前記セルロースアシレートフィルムは、ヘイズが1%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。ヘイズを上記上限値以下とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学フィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。ヘイズは、特に断らない限り、後記実施例で採用した方法により測定し算出するものとする。ヘイズの下限値は特に限定されないが、0.001%以上であることが実際的である。
(膜厚)
前記セルロースアシレートフィルムの平均膜厚が30〜100μmであることが好ましく、30〜80μmであることがより好ましく、30〜70μmであることがさらに好ましい。30μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。また、70μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすい。
また、前記セルロースアシレートフィルムが3層以上の積層構造を有する場合、前記コア層の膜厚は30〜70μmであることが好ましく、30〜60μmであることがより好ましい。本発明のフィルムが3層以上の積層構造を有する場合、フィルム両面の表層(スキンA層およびスキンB層)の膜厚がともに0.5〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることが特に好ましく、0.5〜3μmであることが特に好ましい。
(フィルム幅)
前記セルロースアシレートフィルムは、フィルム幅が700〜3000mmであることが好ましく、1000〜2800mmであることがより好ましく、1300〜2500mmであることが特に好ましい。
1−5.セルロースアシレートフィルムの製造方法
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造されることが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の公報を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報を参考にすることができる。
(流延方法)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。またここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより、それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
・共流延
前記セルロースアシレートフィルムの形成においては共流延法、逐次流延法、塗布法などの積層流延法を用いることが好ましく、特に同時共流延法を用いることが、安定製造および生産コスト低減の観点から特に好ましい。
共流延法および逐次流延法により製造する場合には、先ず、各層用のセルロースアセテート溶液(ドープ)を調製する。共流延法(重層同時流延)は、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でも良い)各々の流延用ドープを別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサからドープを押出して、各層同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。図1に、共流延ギーサ3を用い、流延用支持体4の上に表層用ドープ1とコア層用ドープ2を3層同時に押出して流延する状態を断面図で示した。
逐次流延法は、流延用支持体の上に先ず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥あるいは乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延する要領で、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延・積層して、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。塗布法は、一般的には、コア層のフィルムを溶液製膜法によりフィルムに成形し、表層に塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時にフィルムに塗布液を塗布・乾燥して積層構造のフィルムを成形する方法である。
前記セルロースアシレートフィルムを製造するのに使用される、エンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。使用される加圧ダイは、金属支持体の上方に1基又は2基以上の設置でもよい。好ましくは1基又は2基である。2基以上設置する場合には、流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるドープ(樹脂溶液)の温度は−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべての溶液温度が同一でもよく、又は工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
また、前記金属支持体の材質については特に制限はないが、SUS製(例えば、SUS 316)であることがより好ましい。
(剥離)
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法は、前記ドープ膜を前記金属支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムの製造方法における剥離の方法については特に制限はなく、公知の方法を用いた場合に剥離性を改善することができる。
(延伸処理)
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法では、製膜された延伸する工程を含むことが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムの延伸方向はフィルム搬送方向と搬送方向に直交する方向(横方向)のいずれでも好ましいが、フィルム搬送方向に直交する方向(横方向)であることが、後に続く該フィルムを用いた偏光板加工プロセスの観点から特に好ましい。
横方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。横方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
前記セルロースアシレートフィルムを偏光子の保護膜として使用する場合には、偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するため、偏光子の透過軸と本発明の樹脂フィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光子の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、前記ロールフィルム状の偏光子とロールフィルム状の前記セルロースアシレートフィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。
横方向の延伸は5〜100%の延伸が好ましく、より好ましくは5〜80%、特に好ましくは5〜40%延伸を行う。また、延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶剤量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が0.05〜50%で好ましく延伸することができる。残留溶剤量が0.05〜5%の状態で5〜80%延伸を行うことが特に好ましい。
(乾燥)
前記セルロースアシレートフィルムの製造方法では、前記セルロースアシレートフィルムを乾燥する工程と、乾燥後の本発明の樹脂フィルムをTg−10℃以上の温度で延伸する工程とを含むことが、レターデーション発現性の観点から好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムの製造に係わる、金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラム又はベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム又はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム又はベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、前記セルロースアシレートフィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
一般的に、大画面表示装置において、斜め方向のコントラストの低下及び色味付きが顕著となるので、前記セルロースアシレートフィルムは、特に大画面液晶表示装置に用いるのに適している。大画面用液晶表示装置用の光学補償フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、本発明の偏光板保護フィルムには、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のフィルムのみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様のフィルムも含まれる。後者の態様の偏光板保護フィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられた光学補償フィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
2.偏光板
本発明の光学フィルムは、偏光子とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
また偏光板の構成として、偏光子の両面に保護フィルムを配置する形態においては、一方の保護フィルム又は、位相差フィルムとして用いることもできる。
偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
また偏光子としては、公知の偏光子や、偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子から切り出された偏光子を用いてもよい。偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
3.液晶表示装置
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いられる。
本発明の液晶表示装置は、本発明の光学フィルム、または本発明の偏光板を含むことを特徴とする
本発明の光学フィルム及び本発明の偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、バックライト側の最表層に用いることが好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
<合成例1:A−4−1の合成>
500mLの三口フラスコにソルビタン4.1g(0.025mol)、ピリジン200mLを量りとり、室温で攪拌した。溶解を確認後、1−アダマンタンカルボン酸クロリド20.1g(0.101mol)を注意深く添加し、55℃で5時間攪拌した。反応後、反応溶液を水500mLに空け、酢酸エチル500mLで抽出した。得られた有機層を1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順番に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、有機層を濃縮し、さらに80℃で送風乾燥することにより目的のアダマンタンエステル(A−4−1)(置換度は表1に記載)を白色粉体として得た(8.4g)。
Figure 2013076943
<合成例2:A−5−1の合成>
合成例1においてソルビタンをD−グルコースに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−5−1)(置換度は表1に記載)を白色粉体として得た(9.2g)。
Figure 2013076943
<合成例3:A−6の合成>
合成例1においてソルビタンをD−ソルビトールに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−6)(置換度は表1に記載)を白色粉体として得た(20.5g)。
Figure 2013076943
<合成例4:A−4−2の合成>
合成例1において1−アダマンタンカルボン酸クロリドの量を17.4gに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−4−2)(置換度は表1に記載)を白色粉体として得た(8.5g)。
Figure 2013076943
<合成例5:A−5−2の合成>
合成例1においてソルビタンをD−グルコースに変更し、1−アダマンタンカルボン酸クロリドの量を15.0gに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−5−2)(置換度は表1に記載)をアモルファス固体として得た(6.2g)。
Figure 2013076943
<合成例6:A−5−3の合成>
合成例1においてソルビタンをD−グルコースに変更し、1−アダマンタンカルボン酸クロリドの量を14.0gに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−5−3)(置換度は表1に記載)をアモルファス固体として得た(6.0g)。
Figure 2013076943
<合成例7:A−8の合成>
合成例1においてソルビタンをトレハロース2水和物に変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−8)(置換度は表1に記載)をアモルファス固体として得た(15.0g)。
Figure 2013076943
<合成例8:比較化合物H−1の合成>
合成例1においてソルビタンをペンタエリスリトールに変更し、1−アダマンタンカルボン酸クロリドの量を5.0gに変更した以外は同様にして比較化合物であるアダマンタンエステル(H−1)(置換度は表1に記載)を白色固体として得た(5.0g)。
Figure 2013076943
<合成例9:比較化合物H−2の合成>
3Lの三口フラスコに置換度2.20のジアセチルセルロースを40g、ピリジン400mLを量りとり、室温で攪拌した。ここにシクロヘキサンカルボニルクロリド100mLをゆっくりと滴下し、添加後さらに55℃にて5時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール5Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体をろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で真空乾燥することにより、比較化合物H−2(アセチル置換度2.2、シクロヘキサノイル置換度0.7)を白色固体として得た(45.0g)。
Figure 2013076943
<合成例10:比較化合物H−3の合成>
合成例9においてシクロヘキサンカルボニルクロリドを1−アダマンタンカルボニルクロリドに変更した以外は同様にして比較化合物H−3(アセチル置換度2.2、アダマンタノイル置換度0.7)を白色固体として得た(42.0g)。
Figure 2013076943
<合成例11:A−7の合成>
合成例1においてソルビタンをマルトース1水和物に変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−7)(置換度は表1に記載)をアモルファス固体として得た(12.0g)。
Figure 2013076943
<合成例12:A−10の合成>
合成例1においてソルビタンをセロビオースに変更した以外は同様にして目的のアダマンタンエステル(A−10)(置換度は表1に記載)をアモルファス固体として得た(14.0g)。
Figure 2013076943
<実施例1:アダマンタンエステルA−4−1を含む光学フィルムの作製>
[セルロースアシレート溶液の調整]
下記の原料をネジ口つき瓶に投入し、攪拌・溶解し、セルロースアシレート溶液を調整した。
(セルロースアシレート溶液の組成)
置換度2.93のセルロースアセテート 20質量部
メチレンクロリド 87質量部
メタノール 13質量部
A−4−1 14質量部
[光学フィルムの作製]
前記セルロースアシレート溶液を、ガラス板流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、ガラス板から剥がし、枠張り後、100℃で10分間加熱乾燥し、さらに140℃で30分間加熱乾燥することで、目的のフィルム試料(実施例1)を作製した。
<実施例2〜9、比較例1、4>
前記セルロースアシレート溶液の調整において、A−4−1を下記表1の添加剤A−4−2、A−5−1、A−5−2、A−5−3、A−6、A−8、H−1、A−7、A−10に変更した以外は同様にして、目的のフィルム試料(実施例2〜9、比較例1)を作製した。また、添加剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例4のフィルム試料を作製した。
<比較例2〜3>
前記セルロースアシレート溶液の調整において、置換度2.93のセルロースアセテートを比較化合物H−2、H−3に変更し、添加剤A−4−1を加えなかった以外は同様にして、目的のフィルム試料(比較例2〜3)を作製した。
[光学フィルムの物性測定]
得られたフィルムについて、光弾性係数、ヘイズおよび脆性を以下のように評価した。結果を表1に示す。
<光弾性係数>
作製したフィルムから1cm×5cmのサンプルを切り出し、分光エリプソメーター(M−220、日本分光株式会社製)を用いて、サンプルに25℃で応力をかけながら、フィルム面内のレターデーション値を測定し、レターデーション値と応力の関数の傾きから算出した。その結果を下記表に記載した。
<低減効率>
低減効率は、単位添加量あたり低減可能な光弾性係数の割合として下記式にて算出した。(低減効率)={(ブランクサンプル(比較例4)の光弾性係数)−(実施例サンプルの光弾性係数)}÷(添加剤の添加量)×100
<ヘイズ>
ヘイズの測定は、得られたフィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。以下の基準で評価した結果を下記表に記載した。
○:ヘイズが1%未満である
△:ヘイズが1%以上5%未満である
×:ヘイズが5%以上である
<フィルム脆性>
作製したフィルムの脆性を以下の方法で検討した。
得られたフィルムを3cm×20cmに切断し、180°折曲げて折り曲げの前後で膜の状態を調べた。
以下の基準で評価した結果を下記表に記載した。
○:折り曲げが可能である
×:折り曲げ後に割れてしまう
Figure 2013076943
表1の結果から明らかなように、アダマンタンエステル化合物を含んでいない比較例2〜4は、光弾性係数、ヘイズ、及び脆性のいずれかが実施例1〜9よりも劣ることがわかる。また、アダマンタン部位の重量含率の低い添加剤(H−1)が光弾性低減効果を発現しないのに対して、本発明の高アダマンタン含率の添加剤は低減効果を発現する。また、比較例3のセルロース誘導体(H−3)は、光弾性係数を低減する効果があるものの、脆性が劣ることがわかる。
1 表層用ドープ
2 コア層用ドープ
3 共流延ギーサ
4 流延用支持体

Claims (12)

  1. セルロースアシレートと、下記一般式(1)で表されるアダマンタンエステル化合物とを少なくとも含有するセルロースアシレート系光学フィルム:
    Figure 2013076943
    一般式(1)中、mは0〜4の整数を表し;nは2〜15の整数を表し;Xは(m+n)個の水酸基を有する有機化合物の残基を表す。
  2. 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が75%以上である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が80%以上である請求項1に記載の光学フィルム。
  4. 前記アダマンタンエステル化合物のアダマンタンエステル部位の重量含率が85%以上である請求項1に記載の光学フィルム。
  5. 前記一般式(1)中、Xが脂肪族多価アルコールの残基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれグリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールである請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオース、トレハロース、イノシトールである請求項5又は6に記載の光学フィルム。
  8. 前記脂肪族多価アルコールの残基が、それぞれソルビタン、グルコース、マルトース、セロビオースである請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  9. セルロースアシレートのアシル基の総置換度が2.2以上3.0以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  10. セルロースアシレートのアシル基の総置換度が2.5以上3.0以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  11. 偏光子と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルムとを少なくとも有する偏光板。
  12. 液晶セルと請求項11に記載の偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置。
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