JP2013075356A - 金属酸化物を含むヘテロ接合を有する構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
下地の化学反応性や結晶性や原子レベルに薄い炭素固体のような薄さに制限されず、高い結晶性を持ち、所望の方向に結晶に配向でき、界面に特性を阻害する反応層ができず、歪、転位、欠陥や微細加工による損傷を回避して、物質本来の高特性を引き出せる安定なヘテロ構造の構成と、その製法を得る。これにより、高機能を持つ、結晶性金属酸化物を用いるナノスケールヘテロ構造を安価に得る。
【解決手段】
金属酸化物と共有結合性物質を、既に結晶格子を組んでいる状態で、原子レベルで接近させてヘテロ接合を形成する。特に、活性酸素照射で清浄化した該金属酸化物の表面と、該共有結合性物質の清浄化表面を接近させる。これにより、界面の一部の原子同士のみの共有結合、特に酸素と共有結合性物質中の元素の共有結合に担われるヘテロ接合ができ、上記の課題を達成する。
【選択図】図1a
Description
大規模集積型(LSI)電子素子は、基板上に形成された金属と絶縁体の積層や絶縁体と半導体の積層等の、異なる物質同士を接合させた接合(ヘテロ接合)を微細加工した微小な構造体が多用される。
このようなヘテロ接合は、主に、スパッター法や電子ビーム蒸着法等の物理蒸着法や化学蒸着法(CVD)等の蒸着法、液相成長法等の液相成長法、メッキ法等の気相または液相からの原子を堆積する薄膜形成法で作製されている。
特に、電子素子の多くの基本構造を形成する半導体は、シリコンやゲルマニウム、ガリウム砒素等の共有結合性物質が主体である。近年、半導体に特殊な機能を持つ結晶性の金属酸化物を組み入れることで、大規模集積型の電子素子の高機能化や多機能化が望まれている。このため、特許文献1の例のように、結晶性金属酸化物と半導体からなるヘテロ接合の形成が試みられている。
例えば、結晶性の金属酸化物の代表例である強誘電体は、自発分極と呼ばれる外部電場で反転可能な分極を有し、自発分極を用いる集積回路型の不揮発記憶素子が実用化されている。また、焦電性や圧電性や誘電性を合わせもち、この特性が高いため、焦電材料、圧電材料、誘電材料(キャパシタ材料)として広く用いられている。
これらを応用するヘテロ接合の例には、電極薄膜と強誘電体薄膜の積層接合、半導体と強誘電体薄膜の積層接合等がある。また、異種物質とは、化学式や結晶構造の異なる物質で、その例は、チタン酸鉛(PbTiO3)とチタン、酸化チタンとシリコン等である。以下では、この例示のようなヘテロ接合を含む構造体を、ヘテロ構造体またはヘテロ構造と呼ぶ。
このような結晶構造を持つ結晶性金属酸化物には、光触媒活性、磁性を示す物もあり、電子産業や化学工業、自動車の排気ガス浄化やエンジンの発火素子等に広く用いられている。しかし、強誘電体等の結晶性金属酸化物の特性は、結晶構造に極めて敏感なので、そのヘテロ構造には高い結晶性や結晶配向の制御が必要である。従来、このような結晶構造の積層には、薄膜形成法で、作製時に高温と結晶性下地を用いることが行われている(以下、下地は基板または基板上の堆積層を指す。また、本発明の基板とは、板状の物質、例えば、板状のシリコン単結晶や板状ガラス等を指す)。
大規模集積型電子素子の作製では、基板の“所望の位置”に、所望の構造体を“選択的”に形成する必要がある。この構造形成法は、従来、レジストと削り出し(エッチング)やリフトオフを組み合わせる方法が一般的である。エッチング法には、硝酸や塩酸などの液体状の酸を用いるウェットエッチングが知られているが、ナノスケールの構造体を形成することは極めて困難である。
また、イオンビームやプラズマなどの高い運動エネルギーを持つ原子やイオンを利用する物理的エッチングが知られている。しかし、この方法は、出願者らの特許文献2や非特許文献2に示されているよう、金属酸化物のエッチング速度が遅く、レジストのエッチング速度が高いためにレジストを厚くせざるを得ず、微小な構造体は形成し難い。
また、従来技術では、エッチングされた物質が利用できずに廃棄される。
特に、金属酸化物のヘテロ構造では酸素の反応性が高いため、酸素が拡散したり反応層を形成することによる様々な問題がある。この問題は、結晶性金属酸化物のヘテロ構造では、その形成に高温を使うため深刻であり、この反応層を回避するため、高価で資源的に不利な貴金属を用いている。
以上のエッチングによる微細加工の問題は、最初に大面積に一様な堆積物を形成することによる。
共有結合とは、結合する双方の原子が互いの電子を共有することによる化学結合である。
以下では、共有結合の寄与が重要である化学結合を“共有結合的な結合”、この結合により構成される物質をと共有結合性物質と呼ぶ。
このため、共有結合性物質と酸素の結合も、共有結合的な結合と呼ぶ。
尚、金属内即ち金属元素同士の結合は、共有結合の一種とも看做せるが、特別に金属結合と呼ばれることが多い。
〔共有結合と金属酸化物〕
しかし、本発明では酸素の役割が重要なので、少なくとも一種類の金属酸化物を定義する必要がある。このため、共有結合性物質を広義に定義する場合を除いて、以下、金属酸化物は、金属酸化物と呼ぶ。
また、不純物等の微量の酸素以外には酸素を構成元素として含まない共有結合性物質を、非酸化物共有結合性物質と呼ぶことにする。
尚、典型的な共有結合性の物質であるシリコンやゲルマニウムに比べれば、多くの金属酸化物は共有結合の寄与が小さい。このため、典型的な共有結合性の物質の多くは、金属酸化物ではない。
また、従来はヘテロ構造が微小な程作製困難と考えられているが、この本発明の構造は微小な程作製が容易であり、金属酸化物の微細加工を回避できる。
即ち、本発明はこれらのヘテロ接合積層及びその微細加工の問題を、次ぎのように解決する。
従来技術の気相または液相からの原子の積層に代えて、“結晶格子を形成した粒子”の清浄表面を、“下地の所望の特定位置”の清浄表面に、原子の大きさ程度の距離まで接近させる(以下、“原子レベルで接近”と書く)。これにより、目的の金属酸化物を含むヘテロ接合またはその一部を得る。このため、従来技術の金属酸化物エッチングは、行なくてもよい。
これらにより、“金属酸化物のヘテロ接合形成の問題”と“微細加工の問題”を同時に解決する。
この機構は、このように清浄化した両表面が原子レベルで接近すれば、金属酸化物表面の酸素原子と共有結合性物質表面の原子の双方から、トンネル効果で電子が浸み出し結合を形成することと考えられる。
このようにして、金属酸化物から構成されるヘテロ接合の結合は、主に、酸素原子により担われる。
また、ヘテロ構造に比べると、微粒子の形成は、一般に容易であり、近年飛躍的に進歩しているので、微細なヘテロ構造が形成し易い(従来は、これを用いて安定なヘテロ構造を作る技術がなかった)。
さらに、シリコン等の半導体や金属の微細加工や構造体は、金属酸化物の微細加工や構造体に比べ、比較的容易に形成できるが、本発明では、これらを活用して、ヘテロ構造を形成できるので工業的に有利である。
本発明の作製法の概要を、申請者らの“共有結合性物質と金属酸化物を接近させて共有結合で接合する”原理実験で説明する。
まず金属酸化物の表面に活性酸素を照射して、該金属酸化物上の表面に活性酸素元素を照射して、酸素欠損を生じないようにしつつ清浄な表面を作る。以下、この処理を強酸化と省略して呼ぶ)。これにより、金属酸化物の電子軌道が表面に現れる状態を得る(この電子軌道は酸素原子のものが主体である)。
一方、共有結合性物質の表面から自然酸化膜等の不活性層と吸着物を除去して、該共有結合性物質の構成元素が表面に露出する状態にする(これを清浄化と呼ぶ)。これにより、共有結合性物質の表面に、不安定な電子である非結合手(共有結合に関与しない電子、ダングリングボンドとも呼ばれる)等の電子軌道が現れ、該表面が他の元素の電子と共有結合し易くなる。
尚、シリコン等多くの半導体では、表面の非結合手は互いに結合して安定化し表面の原子配列が内部と異なること(表面再構成)が知られている。
尚、物質の表面が清浄であるとは、該表面に該物質の構成元素以外の物質が存在せず、該物質本来の表面原子配列になっている状態を指し、好ましくは欠陥等も少ない。
本発明でも、ヘテロ接合界面では、接合面を形成する両物質の最表面原子同士が共有結合するが界面一原子層のみで、従来技術で起こる相互拡散はないため、反応層とは呼ばないことにする。
一般化すれば、本発明のヘテロ構造は、強酸化された金属酸化物の表面と“少なくとも表面が清浄化された共有結合性の物質”の表面が接近して、形成されるものと言える。
以下では、少なくとも、“ヘテロ接合面に与かる表面が清浄な共有結合性物質である物質”を、省略して“表面共有結合性物質”と呼ぶことにする。
また、強いて言えば、金属酸化物を、ヘテロ接合面に与かる表面が金属酸化物である物質を金属酸化物(表面金属酸化物)と看做すことも可能である。
表面と内部が異なる物質は、“該物質表面と該物質内部のヘテロ接合できた物質”と看做すことも可能である。この捉え方を使えば、本発明のヘテロ接合は、表面共有結合性物質や表面金属酸化物を用いず定義できる。
即ち、本発明のヘテロ接合は、“共有結合性物質の清浄表面と金属酸化物の強酸化清浄表面の原子間距離の接近によって形成される”と言ってもよい。この場合、これらの構成物質が表面と内部が異なる物質である場合は、夫々の物質内部にヘテロ接合が存在している物質によるヘテロ接合の形成と看做す(請求項はこの観点で記載した)。
(1)下地の結晶性や結晶配向に制限されずに、結晶性の堆積層が得られる
(2)相互拡散や反応層の形成が殆どな以条件で、結晶性の堆積層が得られる
(3)堆積される元の物質とほぼ同じ組成比を持つヘテロ構造ができる
(4)下地材料の選択の自由度が高い
(5)ヘテロ接合界面界面の一部の原子同士の結合(空隙や抉れが自然に存在)
(6)歪を低減でき、歪による特性劣化を改善できる
(7)微細加工による損傷を回避できる
(8)環境負荷の低減と省資源化にも適する。
これらを以下に説明する。
また、下地が堆積する物質と格子定数が整合する単結晶の場合(エピタキシャル成長)、その結晶軸方向により堆積層の結晶軸方向が限定される。
この条件からのずれは通常10%以内が必要で(典型的には5%以下)、且つ、その面内の指数が小さいことが必要である。さらに、高特性のヘテロ接合を得るには、接合面内1辺の長さの一致が1%程度以下でその面内の指数が2以下であることが望ましい。従来技術には、このような強い制限が存在する。
さらに、この堆積される単結晶の結晶軸方向も下地の結晶軸に関係なく任意に選べる。例えば、同一下地上でも場所毎に、堆積層の結晶軸方位を任意に変えることも可能である。
一方、本発明ではこのような状態は使わず、結晶を組んだ状態の物質を、室温等の酸素が離脱し難い温度で、そのまま下地に接近させるだけで得られるので、前記金属酸化物と前記共有結合性物質(厳密には少なくとも表面が共有結合性物質)の相互拡散やそれによる反応層の形成がない急峻な界面を持つ(後に高温処理工程を行う場合には、反応層が生じることはあるが、従来法よりは十分低い)。
尚、従来技術でも、極低温や室温の基板温度では、原子の拡散が抑制されるため、相互拡散や反応層の形成が殆どなくできる。しかし、非晶質の形成に限定され、特に、結晶性の金属酸化物はできない。
厳密には、『ヘテロ接合を形成する共有結合性物と金属酸化物において、該共有結合性物質の構成元素でない該金属酸化物の構成元素は、ヘテロ接合界面に接する表面以外では、該共有結合性物質中に殆ど存在しない。また、該金属酸化物の構成元素でない該共有結合性物質の構成元素は、ヘテロ接合界面接する表面以外では、該金属酸化物中に殆ど存在しない』。
さらに、共有結合性物質が非酸化物(酸素を主な構成元素としない共有結合性物質)の場合には、且つ元の組成比が保たれる界面が形成されるという特徴を、原子配置で表現できる。
『共有結合性物質と金属酸化物から構成されるヘテロ接合の界面において、酸素原子は、少なくとも1つの該金属酸化物を構成する金属と化学結合し隣接し、該金属酸化物を構成する金属は、少なくもの1つの酸素原子と化学結合し隣接し、該共有結合性物質の構成元素は、少なくとも1つの共有結合性物質を構成する元素と化学結合し隣接する』と言える。
この結果、下地と堆積層の結合は、“下地の界面に存在する原子の一部と堆積層の界面に存在する原子の一部の共有結合”による。
このような結合は、従来法で存在する格子欠陥や転位に加え、ヘテロ接合界面に、異物質同士が接近しない部分(原子スケールの空隙)や端の間隙(抉れ)が自然に存在するとも表現できる。この空隙や抉ぐれは、加工によって人工的に形成されたものではない。
一方、従来技術では、下地に気相または液相のバラバラの状態の原子を原子または分子毎に順次堆積し、結晶状の堆積では基板加熱等で原子の拡散を促進するので、空隙や抉ぐれは、欠陥以外に自然にできない。
従来技術でも、極低温や室温の基板温度では、非晶質が堆積され空隙や抉ぐれを含むことがあるが、堆積内にも、同種のものは同程度の密度で存在する。従来技術のスパッター蒸着では、スパッターガスが堆積物中に埋め込まれ、後に排出されて、空隙や抉ぐれを含むことがあるが、この場合も、堆積物中にも同様ものものが存在する。
尚、全ての原子が界面で化学結合しないため電流等が流れにくい懸念がある。しかし、原子間距離程度の空隙はトンネル電流が流れ、静電遮蔽も十分なので、本発明で界面の反応層や組成ずれを解決できる利点が、この懸念より優る。
この結果、金属酸化物、共有結合性物質夫々の部室のヘテロ接合界面近傍の原子配列と格子定数は、夫々の物質の内部のものとほぼ同じである。より厳密には、金属酸化物のヘテロ接合界面近傍の原子配列と格子定数が該金属酸化物のいずれかの未処理の自由表面近傍とほぼ同じ、または、共有結合性物質のヘテロ接合界面近傍の原子配列と格子定数が、該共有結合性物質のいずれかの未処理の自由表面近傍と、ほぼ同じになる。未処理とは、他の物質の積層、加熱、エッチングをしていないことを指す。
これらの特徴のために、該金属酸化物と該共有結合物質の原子の結晶配列が、界面近傍でも、ヘテロ接合形成前とほぼ同じ状態を保ち、従来技術の比べて歪や転位や欠陥を著しく低減できる。
しかし、双方の接合面の形状が異なる場合には、接近させるだけでは、多数の原子が原子レベルの接近ができないために界面の極く一部の原子のみヘテロ構造を形成する共有結合に寄与し、安定なヘテロ接合ができない。
双方の接合面の形状が異っても、少なくとも一方が変形する程度の外力で接触させれば、安定な接合が得られるが、双方の物質に歪が生じる。
即ち、ヘテロ接合に関与する双方の物質の表面の幾何学形状が、原子の大きさ程度に至るまで、ほぼ一致することが必要である。
他の例は、双方のヘテロ接合形成面の凹凸が原子の大きさまでほぼ一致して、接合面の原子の多くが原子スケールで接する幾何学形状を持つ場合である。
或いは、ヘテロ構造の接合部分を形成する一方の物質をヘテロ構造に比べて十分小さな粒子状にし、これらの粒子を多数組み合わせてヘテロ構造を形成することでも、実効的に、ヘテロ界面の異物質間の共有結合を増やせる。
尚、従来技術でも、特定の温度範囲の歪を抑制することが可能な場合がある。
一方、本発明では、堆積する物質の大きさを目的のヘテロ構造の大きさと同等または小さくできるので、微細加工をしなくてよい。この際、一度の接近(または接触)で堆積される堆積物の大きさが、連続で均一で結晶軸の揃った領域になる。
表面の接近を行う温度は、通常は、室温である。より範囲を規定すれば、構造体の構成部物質が分解したり劣化する温度以下、例えば、構造体中の金属酸化物からの酸素抜けが深刻にならない温度以下である。この温度は典型的には、約200℃であるため、200℃と室温の間で形成が可能である。室温より高い温度で接近を行うとヘテロ界面の結合がより強いものができることがある。
“表面共有結合性物質”は、その表面の共有結合原子が、金属酸化物表面の酸素等の表面原子と結合することで、該金属酸化物と接着する。従って、所望の位置でのみ、この両物質を接近(または接触)されるか、または、所望の場所のみ表面原子が結合しやすくした後に両物質を接近(または接触)させれば、該所望の場所にのみヘテロ構造が形成する。
結合し難くするには、金属酸化物を強酸化しないか、表面共有結合性物質の表面が吸着物や不活性層で覆われた状態にする。
尚、前述のように、本発明のヘテロ構造体内の連続で均一な領域の大きさは、堆積される粒の大きさである。
このため、本発明の表面共有結合性物質は、“少なくともその表面第一原子層が、主に共有結合性元素”からなることが必要である。
例えば、 シリコンは4.85 〜 0.55 = 4.30、
ダイヤモンドは5.0 〜 1.5 = 3.50である。
金属では、チタン、ジルコニウム、鉄、マンガン、バナジウム等の酸化されやすく共有結合を持ちやすい遷移金属元素とこれら元素からなる合金化合物が例示できる。このように酸素と結合易い物質は、非特許文献5において仕事関数が5eV以下、好ましくは、4.5eV以下である。尚、仕事関数の値は実験により異なるが、本発明で用いる金属の仕事関数は、非特許文献5の値で定義されるとことする(半導体は上記の定義を用いる)。
より具体的には、代表的強誘電体であるBaTiO3(チタン酸バリウム)と混晶(Ba,Sr)TiO3、Pb(Ti,Zr)O3(PZT)等で、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3などリラクサー強誘電体も含まれる。また、YBa2Cu3O7,Bi2(Sr,Ca)3Cu2O8等の超伝導体が例示できる。
即ち、上述の硝酸や塩酸フッ酸等の酸を用いるウェットエッチング、プラズマエッチング(酸素を含まないプラズマを用いる。窒素等共有結合性物質と反応して安定な化合物を形成するプラズマも好ましくない)、反応性プラズマエッチング、イオンビームエッチング(酸素や窒素を含まないイオンを用いる、例えばアルゴンイオンが好ましい例である)等の物理的化学的エッチングが利用できる。
清浄化の具体的方法としては、まず真空度が十分高くできる真空槽を一度高真空度に排気する。その後、同真空槽内に高純度の酸素を流し、該金属酸化物を搬入し、該金属酸化物の表面に対して、化学的に活性な酸素を照射する。この酸素の運動エネルギーは、該金属酸化物の表面がエッチングまたはスパッターされたり加熱されるエネルギーより十分低くする。尚、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の希ガスは、該金属酸化物と共有結合的に結合しないため、混合しても問題が少ない。
原子状の酸素は、真空中で酸素をマイクロ波にさらすことで生成できる。この例は、磁場中の電子のサイクロトロン運動のマイクロ波共鳴吸収を利用するECRラジカル発生源であり、真空排気システムに組み込で使う。尚、オゾンを用いてもよいが、爆発を防止する措置が必要である。
高運動エネルギー酸素イオンの効果を積極的に使う場合には、イオンを試料に対して斜めから入射させることも有効である。
ヘテロ構造形成後に、ヘテロ構造の接合力をさらに強めるには、ヘテロ構造体に超音波を印加したり、加熱処理行うことが可能である。この加熱処理は、拡散を抑制するため、急速加熱が好ましく、相互拡散が問題にならない温度以下が好ましい。尚、急速加熱法には、赤外線過熱やレーザー加熱が知られている。
1.金属酸化物上の表面共有結合性物質の形成、または、表面共有結合性物質上の金属酸化物の形成、
2.板状物質からの堆積、または、ナノスケールの粒子の堆積。
3.ナノスケール粒子の移動に、結合性(接着力)を制御した探針を用いる方法と用いない方法。
この結果、本発明のヘテロ構造体形成には、実施例の10〜15のような6通りの方法が例示される。
このような装置構成例は、真空槽、真空ポンプ、ECRラジカル発生源等の活性酸素発生源、これらの発生源に酸素の流量を制御しつつ供給するシステムと試料搬送移動機構からなる。
本発明のヘテロ構造の特徴(1)(3)を用いたヘテロ構造体の結晶の軸方向の制御法と、その原理を説明する。
前述のように、本発明では、既に格子を組んだ物質を積層し、該物質の多数の原子と多数の下地原子が一度に結合する。この結果、下地によらず、積層された物質と下地は、積層前と同様の結晶構造を保ち、積層時に指定した任意の方向にその結晶軸を揃えられる。
一方、粒子を用いる場合は、例えば板状粒子の面に垂直方向は<001>軸等のように、各粒子の軸を揃えたものを作製し、これを積層すれば、垂直方向の結晶軸が揃ったヘテロ構造体が作製できる。
この工程では、特定の面の選択的に結合性(接着性)が高くなるようにすることも有効である。これには、特定の面を強酸化(金属酸化物の場合)または清浄化(表面共有結合性物質の場合)する。
本発明の原理を金属化合物一般に拡張すれば、 “金属化合物の清浄化酸化表面と共有結合性物質(表面共有結合性物質)の清浄化表面を、所望の位置で、原子レベルに接近させて、ヘテロ構造を形成する”と言える。この作製法で、上記特徴(1)〜(8)を満たすヘテロ構造ができる可能性がある。
但し、酸素の共有結合性と反応性は特別である。このため、金属酸化物を一般化して金属化合物にすると、そのヘテロ構造の安定性や作り易さが著しく不十分なため、追加の工夫と改良が必要である。また、前述のヘテロ構造の問題の改良は金属酸化物で顕著である。
一般の金属化合物の場合の作製法は、金属化合物を構成する非金属性低沸点元素と同種の元素を活性化して該金属化合物表面に照射すれば清浄化した結合し易い表面ができる。例えば、金属酸化物に変えて、金属窒化物を用いる場合には、窒素ガスを上記のような活性化して照射する(例:ECRラジカル発生源による窒素ラジカル)。
または、活性ガス照射の効果を2つに分ける。先ず、清浄化を行うため、反応層や不純物層を形成しないガスイオンの照射、プラズマエッチング、高温度急速過熱等で、共有結合性物質表面の清浄化と同様の処理をする。この処理で、表面から非金属性低沸点元素が欠損するので、必要に応じて、これらの元素を原子層一層以下程度蒸着する。
本発明に関係する類似の先行技術には、非特許文献9、10がある。しかし、非特許文献9では、シリコン同士を超高真空中で接触させると結合することが報告されているが、本発明と異なりナノスケール構造の形成が報告されておらず、またできるとしても、ヘテロ構造でない。このため産業上の有用性が少ない。
特に、結晶性金属酸化物と上記に定義した表面共有結合性物質によるヘテロ構造で、界面に反応層が殆どない急峻な界面を形成する技術は、殆ど知られてないが、本発明では達成できる。
また、シリコン製探針を被覆した金属薄膜で、固体表面を操作すると、金属薄膜の一部が剥離して表面に残ることがあるが、このような現象は、殆ど共有結合しておらず不安定で、ヘテロ構造と看做しがたい。また、制御し難い。
この場合、激突でできた付着物と固体表面の激突された領域に歪や欠陥ができ、付着量が微小で且つ制御が困難である。一方、本発明では、表面同士が原子の大きさ程度に接近するだけで安定なヘテロ構造ができる。
尚、異物質の表面が接近するだけで、異物質が接着状態になる既知の例には、磁性体の磁性による吸着、帯電物質の静電気による付着、表面張力による液体の固体への吸着、密封した領域の真空を利用した吸着などが知られている。
しかし、これらのいずれも、本発明の共有結合によるヘテロ構造形成に比べ、エネルギーが小さく、安定性もない。
図1aは、実施例の構造体内の本発明によるヘテロ接合を示したものであり、原子の大きさ程度まで平坦なヘテロ接合界面があり、接合面を形成する両物質の最表面原子同士が共有結合的に結合している。また、酸素原子(O)は、少なくとも1つの該金属酸化物を構成する金属(M)と化学結合し隣接し、Mは、少なくもの1つのOと化学結合し隣接し、該共有結合性物質の構成元素(S)は、少なくとも1つSと化学結合し隣接している。
この結果、相互拡散や反応層の形成が殆なく、積層される元の物質とほぼ同じ組成比を持っている。但し、しかし、界面の一部のSは、OともMとも化学結合していない。即ち、界面の一部の原子同士でのみ界面の結合に与っている。
この製法のため、下地と堆積層の結合は、下地の界面に存在する原子の一部と堆積層の界面に存在する原子の一部の共有結合による。これは、実施例3,6の実験での結合力評価から証明される。さらに、特徴(1)も実施例3〜9の実験で検証されているが、界面の双方物質の原子が界面で強く化学結合し隣接しながら、この特徴(1)を持つには、界面の一部の原子による結合でなければならない。
これは、図1dのような相互拡散や、反応層の形成が不可避なのは、図1eの工程のように原子を気相または液相の活性の高い状態で堆積するためである。
従来技術で、リフトオフ法を用いる作製法(図1hの1f)では、基板(1f1)にレジストを塗り(工程1f2)、構造体を形成したい部分以外を硬化させ(工程1f3)、硬化したレジストを残す(工程1f4)。その上に薄膜を蒸着し(工程1f5)、レジストごとレジスト上の薄膜を除去して、目的の構造体のみ残す(工程1f6)。
下地の結晶配向に制限されず、下地材料の選択が自由である。
図1bに示した実施例の作製法を、簡便に実現するのは、図2aのように探針状の表面共有結合性物質を用いる方法である。
基板同様に探針の先端が原子レベルで平坦で、且つ、探針の先端が目的とする堆積層の大きさになっていれば、図2a工程2a2bでは十分接近するだけで、斥力を殆ど検知しない程度に接近させるだけでよい。
本実施例3及び比較例1において、BaTiO3表面を強酸化した場合が実施例、未処理が比較例である。
さらに、BaTiO3表面を強酸化し且つシリコン(探針)表面を清浄化のみし強酸化しない場合が好適な実施例である。以下、比較例の結果は比較例と明記。
尚、探針をBaTiO3に接近させる時の力−距離曲線での引力も、強酸化で未処理のものの2倍以上になっていた。
この際、接合面内のシリコンとBaTiO3の表面形状をほぼ一致させて、接合面の多数の原子を原子の大きさ程度に接近させるため、480ナノニュートン(nN:力の単位)の斥力を検出するまで探針をBaTiO3表面に接近させた。各シリコン結晶の方位は、図8bのように全て同じにした。
図2bは探針が離れる時の力―距離曲線なので、その積分で結合を切るエネルギーが求まる。この過程中シリコンはBaTiO3と結合しているので、このエネルギーは、シリコンはBaTiO3と結合の結合エネルギーの下限を与える。これから、界面に接する酸素原子1個当たり平均約0.5eV以上と求まり、共有結合的な化学結合であると結論される。また、実施例9のように、このようなヘテロ構造が半年以上大気中で搬送を繰り返しても、安定に存在することも共有結合であることを示す。
これにより、該構造体が、BaTiO3上のシリコンからなるヘテロ構造体であることが分かった。
BaTiO3単結晶に代えて、非晶質の複合金属酸化物として、松浪ガラス工業株式会社製、厚み0.15mmのマイクロカバーガラスから0.2cm四方の試料を切り出し、前記の標準的洗浄を施したものを用いた。活性酸素の条件等を、実施例3と同様にして処理し、実験した。
尚、ヘテロ構造の形成は、探針とBaTiO3の向きをほぼ一定にして行った。この場合、従来技術と異なり、非晶質であるガラス上も、この全てのヘテロ構造のシリコンの結晶軸方向は、ほぼ一定の方向を向き且つ全てほぼ同じ方向に揃っている。非晶質上のこのようなヘテロ構造形成は、従来の基板の結晶性を利用した結晶配向と異なる原理で、結晶軸を揃えたヘテロ構造の形成が可能であることを示す。
ガラスの強酸化を正イオンが100Vで加速されるように加速電圧をかけた後、力−距離曲線測定の引き離し時の引力が3倍以上増え、より安定なヘテロ構造ができることがわかった。
尚、強酸化した前記ガラスを超高真空中で150℃に加熱した状態及び加熱後、何れの状態でも室温より、清浄化した探針での力−距離曲線測定の引き離し時の引力が約2倍になり、より安定なヘテロ構造ができることがわかった。
さらに、図10bの表面形状像とその電位分布像(図10c)に示される領域のBaTiO3単結晶表面上の2点に、該探針を2kHzの±5Vの交流をかけながら約540nNで接触させた。この後に、同一の領域を非接触モード原子間力形状で測定すると、2つの点状の構造体の形成を示す形状像が得られた(図10d)。
これを、BaTiO3単結晶の場合に説明する。
また、金属酸化物を構成していない酸素原子が最表面とすると酸素自体は探針に結合するが、その下の層は結合しないので、引力が高くヘテロ構造が形成されたことが説明できない。残るのは、酸化バリウムか酸化チタンが、表面原子層である場合である(図1a、この例では、Mがチタンかバリウム、Sがシリコン)。
さらに、図2bの活性酸素を照射したBaTiO3と酸化膜等の表面の不活性層を除去し清浄化したシリコンの引力の大きさは共有結合的結合であることを示す。また、この結果は、共有結合性物質の最表面の酸化で結合性とヘテロ構造の形成を制御できることを示す。
即ち、このような斥力が必要なのは、三角形では底辺と高さが比例しているため、より多くの底辺部分が基板に接するためには、より長い領域が変形しなければならないためである。
また、サファイヤのピークは両部分で差がないため、結晶の変性や歪が検出されなかった(図11c)。
さらに、このヘテロ構造体は、大気中に半年間放置し、車両を用いた通常の搬送等を繰り返しても安定に存在した(図11d)。このことも、本発明のヘテロ接合が、共有結合的な化学結合で形成されていることを示す。
〔実施例10〜15〕
本発明のヘテロ構造体の形成法は、実施例1〜9に基づいて
1.金属酸化物上の表面共有結合性物質の形成(例:図2a,16,18)、または、表面共有結合性物質上の金属酸化物の形成(例:図12,23)、
2.板状物質からの堆積(例:図16,19)、または、ナノスケールの粒子の堆積(例:図2a,18a,22a,23)
3.ナノスケール粒子の移動に、結合性(接着力)を制御した探針を用いる方法(例:図2b,12)と用いない方法(例:図18a,19)。
がある。
以下に、本発明のヘテロ構造体形成の6通りの方法が例示する。
尚、粒子を用いる場合(例:図2a,18a,22a,23)は、粒子の形状を調整せず且つ下地が平坦な場合は、端の抉れが大きく、ヘテロ接合界面の面積が小さい。しかし、この場合でも、ヘテロ接合界面では、金属酸化物の表面の形状と該共有結合性物質の表面の形状が、互いにほぼ一致していると見なせる。
このように小さなヘテロ接合界面は、不安定なので、ヘテロ接合界面も面積を大きくする工夫が必要である。図18b,22bは、下地が平面の場合に、ヘテロ接合界面も面積を大きくする形状の例である。
一方、第3,5の方法のように、粒子を用いる場合は、粒子の結晶軸方向を揃えるのには、粒子の形状を工夫したり電場や磁場を印加する等が必要である。
従来は、ナノスケールの金属酸化物の粒子で、結晶性を高くし高特性を得ることは、できなかった。しかし、近年、5〜10ナノメーターの大きさでも単結晶と同等の特性を持ち、形状も直方体であるBaTiO3やSrTiO3等の結晶性金属酸化物の微粒子が、水溶液中で超音波を用いて合成され、非特許文献7〜9で報告されている。
このような特徴は本発明に好適で、また、粒子の大きさが揃えられる点も好ましい。
一方、図12,18a,22a,22c,23のように粒子を用いる場合は、例えば板状粒子の面に垂直方向は<001>軸等のように、各粒子の軸を揃えたものを作製し、積層すれば、垂直方向の結晶軸が揃ったヘテロ構造が作製できる。
また、ナノスケールの探針を集積化すれば、生産性を高められる。例えば、図13aの例では、42個の探針が集積されており、図2aと同様の工程で42個のLの字のへテロ構造体を一度に形成できる。
例えば、図14に示す2種類の集積化したナノスケール探針(集合探針A,B)を逐次、前記金属酸化物に接近させて引き離せば、図15のように2種類の材料からなるヘテロ構造体が一度に形成できる。この第1の方法と逆に、巨視的な大きさの表面共有結合性物質上を、表面を強酸化した鋭利な先端形状の金属酸化物で走査する方法もありえる。
このようにして、所望の場所のみ強酸化された表面にし(工程16b,工程17b)、一方、一様に酸化膜等の表面の不活性層を除去して清浄化し、表面共有結合性物質を得る(工程16c,工程17c)。
マスクとしてレジストを用いる場合は、レジストは、ヘテロ構造が目的の場所以外に形成されないようにするカバーになる。このため、レジストの除去は、ヘテロ構造形成後でもよい。この場合には、レジスト除去前に、ヘテロ構造の安定性を高めるため、加熱や超音波処理で結合を高めておくこともよい。
図18aに用いる共有結合性物質の微粒子は、微粒子の基板と接する面と基板が共に十分平坦であれば、特に力を加えることなくヘテロ構造を形成する。この例には、図18bのような直方体の形状の粒子がある。
第5の方法は、第3の方法での表面共有結合性物質と金属酸化物の役割を入れ替えるものである(図22a)。
一方、金属酸化物のナノスケール粒子を合成し、その表面を、活性酸素照射により強酸化する。
表面共有結合性物質の形状は任意で、工程22aのように、集積回路の配線や基板の所望の部分を表面共有結合性物質で覆ったものでよい。
また、強酸化された金属酸化物粒子で、図22a等の吹き付けを用いる場合は、粒子を飛翔させた状態で活性酸素を照射し、全ての面が酸化されるようにする。
これらの工程中できるたけ均一で一様に粒子が堆積され且つ粒子同士が結合するように、超音波などでエネルギーを与えることも好ましい。
このためには、工程22c1(大きな粒子堆積)、工程22c2(小さな粒子堆積)のように、大きさの異なる粒子を逐次堆積することを繰り返すことも有用である。
近年、グラフェンと呼ばれる、厚み1〜2格子の層状のグラファイト結晶が次世代の半導体として注目されている。この応用には、絶縁体とのヘテロ構造を利用した電界効果素子等が知られている。
また、金属酸化物の例は、図25aのような電極上の金属酸化物薄膜やシリコン上のシリコン酸化膜などが例示できる。
01 表面共有結合性物質上の表面の不活性層(自然酸化膜等)
1a 表面共有結合性物質のナノスケール粒子
1b 表面共有結合性物質の集積構造
1c 符号1bと物質や構造が異なる、清表面共有結合性物質の集積構造
2 金属酸化物
2a 金属酸化物のナノスケール粒子
3 表面共有結合性物質のナノスケールヘテロ構造
03 金属酸化物のナノスケールヘテロ構造
3b 表面共有結合性物質のナノスケールヘテロ構造
3c 符号3bと物質や構造が異なる、表面共有結合性物質のナノスケールヘテロ構造
31 表面共有結合性物質のナノスケールヘテロ構造
32 ナノスケールの層間絶縁膜
4 マスク
5 フォトレジスト
6 部分的に酸化膜等の表面の不活性層を除いて清浄化した表面共有結合性物質である
部分
7 基板
8 絶縁膜
E1 ECRラジカル発生装置
E2 マイクロ波発生装置
E3 処理用真空槽
E4 試料
E5 加速電源
E6 真空ポンプ
E7 導入用真空槽
E8 測定用超真空槽
E9 酸素純化
Claims (16)
- 構造体に含まれる少なくとも一つのヘテロ接合が、
金属酸化物と共有結合性物質から構成され、
該ヘテロ接合が、該金属酸化物上の該共有結合性物質の堆積による場合は、該共有結合性物質が結晶性、
該ヘテロ接合が、該共有結合性物質上の該金属酸化物の堆積による場合は、該金属酸化物が結晶性であり、
該金属酸化物の表面の酸素原子の一部と、
該共有結合性物質の表面の構成原子の一部が、
共有結合的に結合して隣接することを特徴とする構造体。
- 請求項1に記載されたヘテロ接合を構成する金属酸化物と共有結合性物質において、
該金属酸化物内に、該金属酸化物の構成元素でない該共有結合性物質の構成元素を殆ど含まず、
該金属酸化物内に、該金属酸化物の構成元素でない該共有結合性物質の構成元素を殆ど含まないことを特徴とする構造体。
- 請求項1または2いずれかに記載された構造体の少なくとも一つのヘテロ接合において、
前記共有結合性物質が非酸化物共有結合性物質であり
金属酸化物と共有結合性物質から構成される該ヘテロ接合の界面で、
前記酸素原子は、
少なくとも1つの該金属酸化物を構成する金属と共有結合的に結合し隣接し、
該金属酸化物を構成する金属は、少なくもの1つの酸素原子と共有結合的に結合し隣接し、
該共有結合性物質の構成元素は、少なくとも1つの共有結合性物質を構成する元素と共有結合的な結合し隣接することを特徴とする構造体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載されたヘテロ接合を構成する金属酸化物と共有結合性物質において、
該金属酸化物のヘテロ接合界面近傍の原子配列と格子定数が、該金属酸化物の内部またはいずれかの自由表面近傍の原子配列と格子定数と、ほぼ同じであるか、
該共有結合性物質のヘテロ接合界面近傍の原子配列と格子定数が、該共有結合性物質の内部またはいずれかの自由表面近傍の原子配列と格子定数と、ほぼ同じであることを特徴とする構造体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載されたヘテロ接合を構成する金属酸化物と共有結合性物質の両物質夫々が、結晶構造を有し、
該ヘテロ接合の界面における該両物質の表面の格子の格子定数が互いに不整合か、
該ヘテロ接合の界面における該両物質の表面の結晶方位が不整合であることを特徴とする構造体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載されたヘテロ接合を構成する金属酸化物層または共有結合性物質層の一方が、非結晶であることを特徴とする構造体。
- 請求項5または6のいずれかにおいて、
該ヘテロ接合が、該金属酸化物上の該共有結合性物質の堆積による場合は、
該共有結合性物質の結晶の結晶方位が、ほぼ一定方向に揃っているか、
該ヘテロ接合が、該共有結合性物質上の該金属酸化物の堆積による場合は、
該金属酸化物の結晶の結晶方位が、ほぼ一定方向に揃っている
ヘテロ接合を含むことを特徴とする構造体。
- 請求項1〜7のいずれかに用いられる金属酸化物が、結晶性複合金属酸化物であることを特徴とする構造体。
- 請求項1〜8のいずれかにおいて、
少なくとも、該金属酸化物のヘテロ接合界面近傍の組成比が、
該金属酸化物の内部またはいずれかの自由表面近傍の組成比と
ほぼ同じであるか、
または、少なくとも、該共有結合性物質のヘテロ接合界面近傍の組成比が、
該共有結合性物質の内部またはいずれかの自由表面近傍の組成比と
ほぼ同じであることを特徴とする構造体。
- 請求項1〜9のいずれかにおけるヘテロ接合に与る共有結合性物質の連続した領域の3辺のうち、または、金属酸化物の連続した領域の3辺のうち、1辺が0.3ナノメーター以上他の2辺が1ナノメーター以上で、少なくとも一辺が1ミクロン以下の結晶性物質である構造体。
- 構造体に含まれる少なくとも一つのヘテロ接合が、
金属酸化物の層と共有結合性物質の層から構成され、
該金属酸化物の活性酸素の照射で清浄化された表面と、
該共有結合性物質の清浄化された表面を
接近させることで形成され、
該金属酸化物の表面の酸素原子の一部と、該共有結合性物質の表面の構成原子の一部が、
共有結合的に結合して隣接していることを特徴とする構造体。
- 請求項11の活性酸素の照射を、原子状態の酸素を含むガスで行うことを特徴とする構造体。
- 請求項11または12のいずれかで、接近を室温と200℃の間の温度で行うことを特徴とする構造体。
- 請求項11に記載された構造体が、請求項1〜10のいずれかに記載された構造体の特徴を満たすことを特徴とする構造体。
- 請求項12に記載された構造体が、請求項1〜10のいずれかに記載された構造体の特徴を満たすことを特徴とする構造体。
- 請求項13に記載された構造体が、請求項1〜10のいずれかに記載された構造体の特徴を満たすことを特徴とする構造体。
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