本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。添付図面において、同一の引用符号は、対応する又は同一の要素を示す。
[実施形態1]
本発明の第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aについて図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、内燃機関1Aは、内燃機関本体10と、吸気ライン20と、排気ライン30と、過給機40と、EGRライン50と、バイパスライン55と、排気ガス後処理装置60と、放出ライン70と、制御装置100とを備えている。
内燃機関本体10は、燃料を圧縮空気に供給して燃焼させ、この燃焼による膨張エネルギーから回転動力を得るように構成されている。
内燃機関本体10は、シリンダ及びピストンを含むシリンダブロックと、前記シリンダの開口を塞ぐように前記シリンダブロックに連結されるシリンダヘッドとを備えている。内燃機関本体10には、前記シリンダ、前記ピストン及び前記シリンダヘッドによって前記燃焼室が画されている。
前記シリンダヘッドには、前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁が設けられている。前記燃料噴射弁は前記燃焼室の数と同数だけ設けられ、それぞれの燃焼噴射弁から対応する燃焼室へ燃料が供給されるようになっている。前記燃料噴射弁による燃料噴射の回数及びタイミングを制御することによって、前記内燃機関本体の出力回転数及びトルクが変更される。
吸気ライン20は、内燃機関本体10の燃焼室に吸入空気を導くための部材である。吸気ライン20は、吸気マニホールド21及び吸気管22を備えている。
吸気マニホールド21は、吸入空気を複数の燃焼室に均等に配分するための部材であり、前記シリンダヘッドに固定されている。吸気マニホールド21の一端部は吸気管22に接続されている。吸気マニホールド21の他端部は、前記燃焼室と同数に分岐され、その分岐部分で各燃焼室に接続されている。
吸気管22は、吸入空気を吸気マニホールド21を介して前記燃焼室へ流すための部材であり、吸入空気流れ方向上流側端部及び下流側端部を有している。吸気管22は、その吸入空気流れ方向下流側端部を吸気マニホールド21の一端部に接続させて、吸入空気を当該吸気管22の上流側端部から下流側端部へ流すことができるように構成されている。
吸気ライン20(吸気管22)には、エアクリーナ(図示せず)、過給機40のコンプレッサ42、及びインタークーラ25が介挿されている。
前記エアクリーナは、内燃機関本体10の燃焼室へ吸気ライン20を介して導入される吸入空気を浄化するためのものである。このエアクリーナは、吸気ライン20のうち過給機40のコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に設けられている。
インタークーラ25は、コンプレッサ42からの圧縮された吸入空気を冷却するための第1熱交換器である。インタークーラ25は、吸気ライン20うちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向下流側に設けられている。
排気ライン30は、内燃機関本体10の燃焼室から排出される排気ガスの通路となるものである。排気ライン30は、排気マニホールド31及び排気管32を備えている。
排気マニホールド31は、前記燃焼室から排出される排気ガスを集合させる部材であり、前記シリンダヘッドに固定されている。排気マニホールド31の一端部は、前記燃焼室と同数に分岐されて、その分岐部分で各燃焼室に接続されている。排気マニホールド31の他端部は排気管32に接続されている。
排気管32は、前記燃焼室から排気マニホールド31を介して排出される排気ガスを流すための部材であり、排気ガス流れ方向上流側端部及び下流側端部を有している。排気管32は、その上流側端部を排気マニホールド31の他端部に接続させて、前記燃焼室から排気マニホールド31を介して排出された排気ガスを当該排気管32の排気ガス流れ方向上流側端部から下流側端部へ流すことができるように構成されている。
過給機40は、内燃機関本体10へ吸入空気を強制的に送り込むためのものである。過給機40は、タービン41と、コンプレッサ42とを備えている。
タービン41は、内燃機関本体10の燃焼室から排出される排気ガスのエネルギーによって回転されるように、排気ライン30(排気管32)に介挿されている。コンプレッサ42は、タービン41によって駆動される状態で、吸気ライン20(吸気管22)に介挿されている。
EGRライン50は、排気ライン30中の排気ガスの一部を過給機40のタービン41に至る前にEGRガスとして吸気ライン20へ供給するためのものである。EGRライン50は、EGR管52を備えている。
EGRライン50(EGR管52)の一端部は、排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側に接続されている。EGRライン50(EGR管52)の他端部は、吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に接続されている。
EGRライン50は、内燃機関本体10から排出され且つタービン41に流入される前の高圧な排気ガスのうちその一部をEGRガスとして排気ライン30から取り込み、このEGRガスを当該EGRライン50の一端部から他端部へ流して、吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側の低圧領域に供給することができるように構成されている。
EGRライン50には、排気ガス後処理装置60、EGRクーラ53、及びEGR制御弁80が介挿されている。
排気ガス後処理装置60は、排気ガス中のカーボン等の粒子状物質(PM(パティキュレートマター))を捕捉することによって排気ガス(EGRガス)を浄化するようになっている。排気ガス後処理装置60は、前記粒子状物質がEGRガスとともに吸気ライン20に供給されて過給機40のコンプレッサ42のブレード等を損傷することを有効に防止するために設けられている。
排気ガス後処理装置60は、酸化触媒と、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)65とを備えている。酸化触媒としては、例えば白金が利用される。DPF65は、排気ガスがその内部を通過する際、排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉することができるように構成されている。
EGRクーラ53は、EGRガスをEGRライン60から吸気ライン20へ供給される前に冷却するための第2熱交換器である。EGRクーラ53は、EGRライン60のうち排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側に設けられている。
EGR制御弁80は、EGRガスの吸気ライン20への供給量を調整するためのものである。EGR制御弁80は、EGRライン60において排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側に介挿されている。
本実施形態において、EGR制御弁80は、EGRライン60のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGRクーラ53との間に設けられている。ただし、EGR制御弁80は、EGRライン60うちEGRクーラ53よりも排気ガス流れ方向下流側に設けてもよい。
EGR制御弁80は、排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側においてEGRライン50の開口幅(EGR管52の流路面積)を変更可能なように構成されている。このEGR制御弁80によりEGRライン50の開口幅が変更されることによって、EGRライン60から吸気ライン20へ供給されるEGRガスの供給量が調整される。
バイパスライン55は、熱交換器、即ちEGRライン50上のEGRクーラ53及び吸気ライン20上のインタークーラ25を経由しないように、EGRガスを吸気ライン20に供給するためのものである。バイパスライン55は、バイパス管57を備えている。
バイパスライン55(バイパス管57)の一端部はEGRライン50のうちEGRクーラ53よりも排気ガス流れ方向上流側に接続されている。バイパスライン55(バイパス管57)の他端部は吸気ライン20のうちインタークーラ25よりも吸入空気流れ方向下流側に接続されている。
バイパスライン55は、EGRガスをEGRライン50から取り込み、当該バイパスライン55の一端部から他端部へ流して、吸気ライン20のうちインタークーラ25よりも吸入空気流れ方向下流側に供給することができるように構成されている。これにより、EGRガスは、バイパスライン55を経由すれば、熱交換器を経ずに内燃機関本体10の燃焼室に導入されるようになっている。
EGRライン50のうちバイパスライン55との接続部分には、切替弁58が介挿されている。切替弁58は、三方弁で構成され、EGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60(EGR制御弁80)とEGRクーラ53との間に設けられている。
切替弁58は、その状態をEGRライン50においてEGRクーラ53へのEGRガスの流れを遮断し且つEGRライン50からバイパスライン55への排気ガスの流れを許容する第1状態、又はEGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを許容し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを遮断する第2状態に切替可能に構成されている。
制御装置100は、演算装置(CPU)と記憶装置とを備えている。記憶装置は、例えば、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM、設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM、及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を含む記憶部を有する。
制御装置100は、切替弁58に電気的に接続されている。制御装置100は、切替弁58の作動制御を司り、切替弁58の状態を前記第1状態又は第2状態に切り替えることができるように構成されている。
このような構成において、内燃機関1Aの低温始動時に、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうちその一部をEGRガスとして吸気ライン20に供給する場合、制御装置100は、外部操作に応じて又は自動で、EGRライン50においてEGRクーラ53へのEGRガスの流れを遮断し且つEGRライン50からバイパスライン55への排気ガスの流れを許容する第1状態となるように切替弁58を作動させる。
これにより、EGRライン50中のEGRガスは、排気ガス後処理装置60を通過した後、EGRライン50とバイパスライン55との接続部分に至ると、切替弁58が前記第1状態にあることからバイパスライン55に流れ込み、このバイパスライン55から吸気ライン20のうちインタークーラ25よりも吸入空気流れ方向下流側に供給される。すなわち、EGRガスはEGRクーラ53及びインタークーラ25を迂回して吸気ライン20に供給される。
そのため、EGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却されていないEGRガスが吸気ライン20に供給された後に吸入空気とともに内燃機関本体10の燃焼室に導入される。したがって、前記燃焼室において吸入空気の温度がEGRガスの影響を受けて上昇する。その結果として、内燃機関1Aの低温始動時に、白煙、刺激臭の発生が抑制される。
以上のように、本実施形態に係る内燃機関1Aは、内燃機関本体10と、吸気ライン20と、排気ライン30と、過給機40と、インタークーラ25と、EGRライン50と、排気ガス後処理装置60と、EGRクーラ53と、バイパスライン55と、切替弁58と、制御装置100とを備えている。吸気ライン20は、内燃機関本体10の燃焼室に吸入空気を導くためのものである。排気ライン30は、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となるものである。過給機40は、排気ライン30に介挿されたタービン41、及びこのタービン41によって駆動される状態で吸気ライン20に介挿されたコンプレッサ42を含む。インタークーラ25は、吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向下流側に介挿されて、コンプレッサ42からの圧縮された吸入空気を冷却する。EGRライン50は、その一端部が排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側に接続される一方、その他端部が吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に接続されている。排気ガス後処理装置60は、EGRライン50に介挿されている。EGRクーラ53は、EGRライン50のうち排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側に介挿されて、排気ガス後処理装置60からの排気ガス(EGRガス)を冷却する。バイパスライン55は、その一端部がEGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGRクーラ53との間に接続される一方、その他端部が吸気ライン20のうちインタークーラ25よりも吸入空気流れ方向下流側に接続されている。切替弁58は、EGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを遮断し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを許容する第1状態、又はEGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを許容し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを遮断する第2状態に切替可能なものである。制御装置100は、切替弁58の作動制御を司るためのものである。
この内燃機関1Aによれば、EGRガスをEGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却しないように、バイパスライン55を介してEGRライン50から吸気ライン20に供給することが可能となる。したがって、内燃機関1A(内燃機関本体10)の低温始動時に、EGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却されていないEGRガスを吸気ライン20に供給して、このEGRガスによって内燃機関本体10の燃焼室に導入される吸入空気の温度を上昇させ、白煙及び刺激臭を発生しにくくすることができる。すなわち、EGRガスを利用して内燃機関1Aの低温始動時に発生する白煙及び刺激臭の低減を図ることができる。
また、排気ガス後処理装置60(DPF65)に堆積した粒子状物質を除去して、粒子状物質を除去されたEGRガスをEGRライン50から吸気ライン20に供給することが可能となる。そのため、粒子状物質によってコンプレッサ42のブレード等が損傷することを防止することができる。したがって、過給機40のコンプレッサ42及び内燃機関本体10の耐久性の向上を図ることができる。
また、EGRガスをバイパスライン55ではなくEGRライン50から吸気ライン20へ供給する場合、EGRライン50においてその両端部間の差圧を大きくして、十分な量のEGRガスを吸気ライン20にEGRライン50を介して供給することが可能となる。したがって、排気ガス中の窒素酸化物の大幅な低減を図ることができる。さらに、内燃機関1Aは十分な量のEGRガスを吸気ライン20に供給することができる。
また、本実施形態に係る内燃機関1Aは、放出ライン70と、第1制御弁81とを更に備えている。
放出ライン70は、排気ガス後処理装置60通過後のEGRガスをEGRライン50から排気ライン30へ放出可能とするものである。放出ライン70は、放出管72を備えている。
放出ライン70(放出管72)の一端部は、EGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGR制御弁80との間に接続されている。放出ライン70(放出管72)の他端部は、排気ライン30のうち過給機40のタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に接続されている。
放出ライン70は、排気ガス後処理装置60通過後の排気ガスをEGRライン50から取り込み、このEGRガスを当該放出ライン70の一端部から他端部へ流して、排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に放出することができるように構成されている。
放出ライン70には、第1制御弁81が介挿されている。第1制御弁81は、EGRライン50から放出ライン70を介して排気ライン30へ放出されるEGRガスの放出量を調整するためのものである。
第1制御弁81は、放出ライン70の開口幅(放出管72の流路面積)を変更可能なように構成されている。この第1制御弁81により放出ライン70の開口幅が変更されることによって、放出ライン70から排気ライン30へ放出されるEGRガスの放出量が調整される。
制御装置100は、EGR制御弁80と第1制御弁81のそれぞれに電気的に接続されて、これらの制御弁の作動制御を司るように構成されている。また、制御装置100は、過給機40(タービン41)の回転数を検出するための回転数検出装置151と電気的に接続され、この回転数検出装置151よって検出された検出値に基づいてタービン41の回転数を取得することができるように構成されている。
この構成によれば、内燃機関1Aの低温始動後に、EGRライン50に排気ガス後処理装置60を介挿させることによる効果、即ち、EGRガス中の粒子状物質が過給機40のコンプレッサ42に衝突することを防止しながらEGRガスを吸気ライン20に供給することができるという効果を得つつ、排気ガス後処理装置60によって捕捉された粒子状物質の除去(即ち、排気ガス後処理装置60の再生処理)が必要な場合には前記粒子状物質を燃焼によって効率的に除去することができる。
即ち、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要な場合、制御装置100によって、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動制御しつつ、過給機40のタービン41の回転数が所定回転数以下になるように第1制御弁81を作動制御する。これによって、排気ガスの温度を300度程度まで上昇させることができ、この昇温した排気ガスを利用して排気ガス後処理装置60に捕捉され堆積している粒子状物質を燃焼除去することができる。
より詳しくは、排気ガス後処理装置60の再生処理が行われない非再生時(内燃機関本体10の通常運転時)においては、EGRガスがEGRライン50を介して吸気ライン20に供給される。この際、切替弁58が制御装置100により前記第2状態となるように作動制御されるとともに、EGR制御弁80が制御装置100により作動制御されて、吸気ライン20へのEGRガスの供給量が調整され、必要に応じた十分な量のEGRガスがEGRクーラ53を通過して吸気ライン20へ供給される。
この状態で、EGRライン50が放出ライン70との第1接続部54よりも排気ガス流れ方向下流側でEGR制御弁80により遮断されると、EGRガスが吸気ライン20へ供給されなくなり、EGRガスが吸気ライン20へ供給されているときに比べて、内燃機関本体10の燃焼温度が上昇する。そのため、燃焼効率が向上して、燃費が改善される。その結果、排気ガスの圧力(排気ガスエネルギー)は低下する。
EGRライン50がEGR制御弁80により遮断されていない場合には、内燃機関本体10から排出された排気ガスの一部がEGRガスとしてEGRライン50から吸気ライン20へ供給されることから、排気ガスエネルギーは、その一部をEGRライン50を介して失う。そのため、排気ガスエネルギーの全てが過給機40のタービン41に供給されない。
一方、EGRライン50がEGR制御弁80により遮断されている場合には、放出ライン70が第1制御弁81により遮断されている状態であれば、EGRガスがEGRライン50から吸気ライン20へ供給されないことから、排気ガスエネルギーはその一部をEGRライン50を介して失わない。そのため、排気ガスエネルギーの全てが過給機40のタービン41に供給される。
したがって、EGRライン50がEGR制御弁80により遮断されている場合、EGRライン50がEGR制御弁80によって遮断されていない場合に比べて、過給機40のタービン41の回転数が上昇する。このタービン41の回転数上昇に伴ってコンプレッサ42によって圧縮される空気量が増加し、内燃機関本体10からの排気ガスエネルギーが増加する。
この状態で、第1制御弁81が制御装置100により作動制御されて、第1制御弁81による放出ライン70の遮断状態が解除されると、排気ガスエネルギーの一部がEGRライン50及び放出ライン70を介して逃げて、タービン41に供給される排気ガスエネルギーが減少し、これによりタービン41の回転数が減少する。タービン41の回転数が減少すると、コンプレッサ42の回転数が低下して、内燃機関本体10の燃焼室に吸入される空気量が減少する。
この際には、タービン41の回転数が所定回転数以下となるように、放出ライン70の開口幅が第1制御弁81により調整される。その結果、酸素量低減によって燃焼温度が上昇し、排気ガスの温度が300度程度まで上昇する。したがって、昇温した排気ガスのうちその一部が放出ライン70に至る前に、EGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過するとき、DPF65に堆積している粒子状物質が当該昇温した排気ガスによって燃焼除去されることになる。
以上のように、第1実施形態に係る内燃機関1Aは、EGR制御弁80と、放出ライン70と、第1制御弁81とを備えている。EGR制御弁80は、排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側においてEGRライン50の開口幅を変更可能なものである。放出ライン70は、その一端部がEGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGR制御弁80との間に接続される一方、その他端部が排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に接続されている。第1制御弁81は、放出ライン70の開口幅を変更可能なものである。
この構成によれば、内燃機関1Aの低温始動後において、過給機40による内燃機関本体10に対する効果が損なわれることを可及的に防止しつつ、内燃機関1Aの運転状況に応じたEGR率を制御することが可能となる。
好ましくは、内燃機関1Aは、排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成される。
即ち、図1に示すように、内燃機関1は、さらに情報提供装置152を備える。
情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定するための情報を提供可能なものである。本実施形態においては、情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60の排気ガス流れ方向上流側及び下流側の圧力差を検出するための差圧センサとされている。
なお、情報提供装置152は、内燃機関本体10から排出される排気ガスの圧力を検出する排圧センサ又はタイマーセンサとされ得る。
さらには、情報提供装置152は、吸入空気の温度を検出するための吸入空気温度検出装置、吸入空気量を検出するための吸入空気量検出装置、ブースト(過給圧)を検出するための測定するブースト検出装置、内燃機関本体10の冷却水温度検出装置、及び/又は内燃機関本体10の潤滑オイル温度検出装置からの情報によって粒子状物質の体積量を演算する演算手段とされ得る。
制御装置100は、情報提供装置152と電気的に接続され、この情報提供装置(差圧センサ)152よって検出された検出値に基づいて排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定するための情報を取得することができるように構成されている。具体的には、制御装置100は、情報提供装置152よって検出された検出値に基づいて、前記情報として排気ガス後処理装置60のDPF65に堆積している粒子状物質の堆積量を演算し取得する。
制御装置100は、演算結果に基づいて排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定する、即ち演算で得られた堆積量が設定値を超えているか否かを判定する。制御装置100は、演算で得られた堆積量が設定値を超えたとき、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要と判定し、演算で得られた堆積量が設定値を超えないとき、排気ガス後処理装置60の再生処理が不用と判定する。この設定値は適宜設定され得る。
このような構成において、制御装置100は、再生処理が必要と判定した場合、排気ガス後処理装置60の再生処理を行うために、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、且つ過給機40(タービン41)の回転数が所定回転数以下となるように第1制御弁81を作動させる。制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理を行っている間、各制御弁の前記作動状態を維持する。
これにより、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうち、一部の排気ガスは、過給機40のタービン41を迂回するように、EGRライン50を経て放出ライン70に至り、つづいて放出ライン70から排気ライン30に放出される。この際、前述のように排気ガスの温度が上昇していることから、昇温した排気ガスがEGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過することによって再生処理が行われる。
一方、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうち、残りの排気ガスは、排気ライン30を介してタービン41に供給される。この際、制御装置100は、第1制御弁81の作動制御を行って、放出ライン70から排気ライン30へ放出される排気ガスの放出量を変化させる。この放出量の変化によって、排気ガスのタービン41への供給量が過給機40の回転数が所定回転数以下となるように調整される。
そして、制御装置100は、そのタイマー機能を利用して、排気ガス後処理装置60の再生処理の開始から所定時間経過後に前記作動状態を解除するようにEGR制御弁80及び第1制御弁81を作動させ、これにより再生処理を終了させる。ただし、再生処理を終了させるための構成は特に限定するものではなく、例えば制御装置100が再生処理の開始から所定時間ごとにDPF65に堆積している粒子状物質の堆積量を演算し、その演算結果に応じて前記作動状態を解除するように構成してもよい。
以上のように、第1実施形態に係る内燃機関1Aは、情報提供装置152を備え得る。この場合、情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60のDPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する再生処理の要否を判定するための情報を提供するように構成される。制御装置100は、情報提供装置152によって提供された情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合には、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、且つタービン41(過給機40)の回転数が所定回転数以下となるように第1制御弁81を作動させる。
この構成によれば、排気ガス後処理装置60の再生処理を必要な場合に自動的に行うことが可能となる。したがって、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。
[実施形態2]
本発明の第2実施形態に係る過給機付き内燃機関1Bについて図2を参照しつつ説明する。
図2に示すように、内燃機関1Bは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Bは温度検出装置157を備えている。また、排気ガス後処理装置60は電気ヒータ110を備えている。
温度検出装置157は、内燃機関本体10の温度を検出するためのものである。温度検出装置157としては、例えば、内燃機関本体10に使用されている冷却水の温度を検出するための冷却水温度検出装置、及び/又は内燃機関本体10に使用されている潤滑オイルの温度を検出するためのオイル温度検出装置が利用される。
温度検出装置157は、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得する。ここでは、温度検出装置157が内燃機関本体の温度を冷却水の温度及び又は潤滑オイルの温度として取得することを例示しているが、これは特に限定するものではない。
制御装置100は、内燃機関1Bの始動開始時に、新たに取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の温度が基準温度以下である場合には内燃機関本体10の低温始動時であると判定し、内燃機関本体10の温度が基準温度を超えている場合には内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定する。この基準温度は適宜設定され得る。
排気ガス後処理装置60において、電気ヒータ110は、DPF65を加熱可能に構成されている。電気ヒータ110は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、電気ヒータ110の作動制御を司り、電気ヒータ110をON又はOFFすることができるように構成されている。
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、電気ヒータ110をONにする。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Cに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合に電気ヒータ110をONにする。
制御装置100は、電気ヒータ110を排気ガス後処理装置60の再生処理時はONにし、非再生処理時はOFFにする。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時にDPF65が加熱され、排気ガス後処理装置60通過中の排気ガスの温度が上昇しながら、DPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
すなわち、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質が電気ヒータ110による加熱を利用して燃焼除去される。したがって、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
また、本実施形態に係る内燃機関1Bは、その低温始動時に排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成されている。すなわち、内燃機関1Bの始動開始時、制御装置100が、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得し、その取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、内燃機関本体10の始動前(クランキングの開始前)に電気ヒータ110をONにして、排気ガス後処理装置60の再生処理を開始する。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、EGRガスがEGRライン50を吸気ライン20に向かって流れるようにEGR制御弁80及び第1制御弁81を作動させるとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53へのEGRガスの流れを遮断し且つバイパスライン55へのEGRガスの流れを許容する第1状態となるように切替弁58を作動させる。
これにより、内燃機関本体10の始動前に、電気ヒータ110がONになって、排気ガス後処理装置60(DPF65)内の空気の温度が上昇する。そのため、排気ガス後処理装置60内に堆積したカーボン(煤)が燃焼し、高温のEGRガスが生じる。その後、クランキングが開始されると、この高温のEGRガスがバイパスライン55を介してEGRクーラ53及びインタークーラ25を迂回するように吸気ライン20へ供給される。
そして、EGRガスは、EGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却されないため高温を維持した状態で、吸気ライン20から内燃機関本体10の燃焼室に導入される。その結果、前記燃焼室において、圧縮された空気の温度が高温のEGRガスの影響を受けて上昇し、内燃機関本体10の低温始動時に白煙及び刺激臭が発生しにくくなる。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時に一定時間ごとに内燃機関本体10の低温始動時であるか否かを判定し、内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定した場合(即ち、内燃機関本体10の温度が所定温度まで上昇した場合)に電気ヒータ110をOFFにし、前記第1状態から前記第2状態に切り替わるように切替弁58を作動させる。これにより、制御装置100は、低温始動時における排気ガス後処理装置60の再生処理を終了する。
以上のように、第2実施形態に係る内燃機関1Bは、内燃機関本体10の温度を検出するための温度検出装置157を備えている。排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、このDPF65を加熱可能な電気ヒータ110とを含む。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された温度が基準温度以下の場合に低温始動時であると判定し、内燃機関本体10の始動前に電気ヒータ110をONにするとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを遮断し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを許容するように切替弁58を作動させる。
この内燃機関1Bによれば、内燃機関1B(内燃機関本体10)の低温始動時に、電気ヒータ110を用いて排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うことが可能となる。そのため、高温のEGRガスを利用して吸入空気の温度を効率よく上昇させることができる。したがって、低温始動時に内燃機関1Bから発生する白煙及び刺激臭の低減を図りつつ、排気ガス後処理装置60に堆積した粒子状物質を除去し得る。
好ましくは、内燃機関1Bにおいて、制御装置100は、内燃機関本体10の始動開始時に内燃機関1Bのバッテリ160の電圧が所定の閾値以下であるか否かを判定し、このバッテリ160の電圧が所定の閾値以下の場合には、低温始動時であると判定しても、電気ヒータ110をONにしないように構成される。
これによれば、内燃機関1Bの低温始動時に、電気ヒータ110の使用によるバッテリ容量の低下を回避し、バッテリ160の容量不足に起因する内燃機関1Bの始動不能を防止することができる。
[実施形態3]
本発明の第3実施形態に係る過給機付き内燃機関1Cについて図3を参照しつつ説明する。
図3に示すように、内燃機関1Cは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Cは温度検出装置157を備えている。また、排気ガス後処理装置60がバーナー120を備えている。
温度検出装置157は、内燃機関本体10の温度を検出するためのものである。温度検出装置157としては、例えば、内燃機関本体10に使用されている冷却水の温度を検出するための冷却水温度検出装置、及び/又は内燃機関本体10に使用されている潤滑オイルの温度を検出するためのオイル温度検出装置が利用される。
温度検出装置157は、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得する。ここでは、温度検出装置157が内燃機関本体の温度を冷却水の温度及び又は潤滑オイルの温度として取得することを例示しているが、これは特に限定するものではない。
制御装置100は、内燃機関1Cの始動開始時に、新たに取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の温度が基準温度以下である場合には内燃機関本体10の低温始動時であると判定し、内燃機関本体10の温度が基準温度を超えている場合には内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定する。この基準温度は適宜設定され得る。
排気ガス後処理装置60のバーナー120は、排気ガス後処理装置60のDPF65を加熱可能に構成されている。バーナー120は、燃料供給手段と、スパークプラグ等の着火手段とを備えている。燃料供給手段は、燃料を内燃機関1Aの燃料タンク140からEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側に供給することができるように構成されている。
バーナー120は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、バーナー120の作動制御を司り、バーナー120を作動又は作動停止させることができるように構成されている。
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、バーナー120を加熱状態となるように作動させる。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Dに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合にバーナー120を加熱状態となるように作動させる。
制御装置100は、バーナー120を排気ガス後処理装置60の再生処理時は作動させ、非再生処理時は停止させる。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時、バーナー120が燃料をEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側で燃焼させる。したがって、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において排気ガスの温度が上昇し、この排気ガスがDPF65を通過する際にこれに堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
すなわち、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの温度がバーナー120による燃料の燃焼によって上昇し、高温になった排気ガスによってDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。これにより、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
また、本実施形態に係る内燃機関1Cは、その低温始動時に排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成されている。すなわち、内燃機関1Cの始動開始時、制御装置100が、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得し、その取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、バーナー120をクランキングに伴って加熱状態となるように作動させて、排気ガス後処理装置60の再生処理を開始する。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、EGRガスがEGRライン50を吸気ライン20に向かって流れるようにEGR制御弁80及び第1制御弁81を作動させるとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53へのEGRガスの流れを遮断し且つバイパスライン55へのEGRガスの流れを許容する第1状態となるように切替弁58を作動させる。
これにより、内燃機関本体10の低温始動時に、クランキングによって排気ガスの一部がEGRライン50に流れる。このEGRライン50に流れ込んできた排気ガスは、最初のクランキング状態では内燃機関1Cの燃焼が開始していないことから、多量の酸素を含む。そのため、バーナー120はこの排気ガス中の酸素を用いて加熱状態となる。
なお、初爆後、内燃機関1Cが自立運転できた後も内燃機関1Cがディーゼルエンジンであれば、酸素濃度は十分確保できるため、バーナー120の加熱状態は維持される。
EGRライン50に流れ込んできた排気ガスの温度は、バーナー120の加熱によって上昇する。そして、高温になった排気ガスがEGRガスとして排気ガス後処理装置60を通過し、バイパスライン55を介してEGRクーラ53及びインタークーラ25を迂回するように吸気ライン20へ供給される。
そして、EGRガスは、EGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却されないため高温を維持した状態で、吸気ライン20から内燃機関本体10の燃焼室に導入される。その結果、前記燃焼室において、圧縮された空気の温度が高温のEGRガスの影響を受けて上昇し、内燃機関本体10の低温始動時に白煙及び刺激臭が発生しにくくなる。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時に一定時間ごとに内燃機関本体10の低温始動時であるか否かを判定し、内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定した場合(即ち、内燃機関本体10の温度が所定温度まで上昇した場合)にバーナー120を停止させ、前記第1状態から前記第2状態に切り替わるように切替弁58を作動させる。これにより、制御装置100は、低温始動時における排気ガス後処理装置60の再生処理を終了する。
以上のように、第3実施形態に係る内燃機関1Cは、内燃機関本体10の温度を検出するための温度検出装置157を備えている。排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、このDPF65を加熱可能なバーナーとを含む。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された温度が基準温度以下の場合に低温始動時であると判定し、内燃機関本体10のクランキングに伴ってバーナー120を加熱状態とするとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを遮断し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを許容するように切替弁58を作動させる。
この内燃機関1Cによれば、内燃機関1C(内燃機関本体10)の低温始動時に、バーナー120を用いて排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うことが可能となる。そのため、高温のEGRガスを利用して吸入空気の温度を効率よく上昇させることができる。したがって、低温始動時に内燃機関1Cから発生する白煙及び刺激臭の低減を図りつつ、排気ガス後処理装置60に堆積した粒子状物質を除去し得る。
[実施形態4]
本発明の第4実施形態に係る過給機付き内燃機関1Dについて図4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、内燃機関1Dは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Dは温度検出装置157を備えている。また、排気ガス後処理装置60が添加剤供給機構130を備えている。
温度検出装置157は、内燃機関本体10の温度を検出するためのものである。温度検出装置157としては、例えば、内燃機関本体10に使用されている冷却水の温度を検出するための冷却水温度検出装置、及び/又は内燃機関本体10に使用されている潤滑オイルの温度を検出するためのオイル温度検出装置が利用される。
温度検出装置157は、制御装置100に電気的に接続されている。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得する。ここでは、温度検出装置157が内燃機関本体の温度を冷却水の温度及び又は潤滑オイルの温度として取得することを例示しているが、これは特に限定するものではない。
制御装置100は、内燃機関1Dの始動開始時に、新たに取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の温度が基準温度以下である場合には内燃機関本体10の低温始動時であると判定し、内燃機関本体10の温度が基準温度を超えている場合には内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定する。この基準温度は適宜設定され得る。
排気ガス後処理装置60の添加剤供給機構130は、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において昇温用添加剤を添加可能に構成されている。昇温用添加剤としては、例えばセリアが利用される。
添加剤供給機構130は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、添加剤供給機構130の作動制御を司り、添加剤供給機構130を作動又は作動停止させることができるように構成されている。
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるように添加剤供給機構130を作動させる。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Eに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合に昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるように添加剤供給機構130を作動させる。
制御装置100は、添加剤供給機構130を排気ガス後処理装置60の再生処理時は作動させ、非再生処理時は停止させる。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時、添加剤供給機構130が昇温用添加剤をEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側に添加する。EGRライン50への添加後、昇温用添加剤は、排気ガスで反応して熱を発生さ、その熱で排気ガスを加熱する。したがって、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側で排気ガスの温度が上昇し、この排気ガスが排気ガス後処理装置60を通過する際にDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
すなわち、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの温度が添加剤供給機構130からの昇温用添加剤の発熱によって上昇し、高温になった排気ガスによってDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。これにより、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
また、本実施形態に係る内燃機関1Dは、その低温始動時に排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成されている。すなわち、内燃機関1Dの始動開始時、制御装置100が、温度検出装置157によって検出された検出値に基づいて内燃機関本体10の温度を取得し、その取得した内燃機関本体10の温度が基準温度以下であるか否かを判定する。その結果、制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるように添加剤供給機構130を内燃機関1Dの始動直後(内燃機関1Dが自立運転(アイドリング)可能となった直後)から作動させて、排気ガス後処理装置60の再生処理を開始する。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時であると判定した場合、EGRガスがEGRライン50を吸気ライン20に向かって流れるようにEGR制御弁80及び第1制御弁81を作動させるとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53へのEGRガスの流れを遮断し且つバイパスライン55へのEGRガスの流れを許容する第1状態となるように切替弁58を作動させる。
これにより、内燃機関本体10の低温始動時に、添加剤供給機構130により昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるとともに、この昇温用添加剤を反応させることができる程度の温度になった排気ガスの一部がEGRライン50に流れる。そして、EGRライン50に流れ込んできた排気ガスで昇温用添加剤が反応し熱を発生させる。
EGRライン50に流れ込んできた排気ガスの温度は、昇温用添加剤の発熱によって上昇する。そして、高温になった排気ガスがEGRガスとして排気ガス後処理装置60を通過し、バイパスライン55を介してEGRクーラ53及びインタークーラ25を迂回するように吸気ライン20へ供給される。
そして、EGRガスは、EGRクーラ53及びインタークーラ25によって冷却されないため高温を維持した状態で、吸気ライン20から内燃機関本体10の燃焼室に導入される。その結果、前記燃焼室において、圧縮された空気の温度が高温のEGRガスの影響を受けて上昇し、内燃機関本体10の低温始動時に白煙及び刺激臭が発生しにくくなる。
制御装置100は、内燃機関本体10の低温始動時に一定時間ごとに内燃機関本体10の低温始動時であるか否かを判定し、内燃機関本体10の低温始動時ではないと判定した場合(即ち、内燃機関本体10の温度が所定温度まで上昇した場合)に添加剤供給機構130を停止させ、前記第1状態から前記第2状態に切り替わるように切替弁58を作動させる。これにより、制御装置100は、低温始動時における排気ガス後処理装置60の再生処理を終了する。
以上のように、第4実施形態に係る内燃機関1Dは、内燃機関本体10の温度を検出するための温度検出装置157を備えている。排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、このDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において昇温用添加剤を添加可能な添加剤供給機構130とを含む。制御装置100は、温度検出装置157によって検出された温度が基準温度以下の場合に低温始動時であると判定し、内燃機関本体101の始動直後から昇温用添加剤が添加されるように添加剤供給機構130を作動させるとともに、EGRライン50においてEGRクーラ53への排気ガスの流れを遮断し且つバイパスライン55への排気ガスの流れを許容するように切替弁58を作動させる。
この内燃機関1Dによれば、内燃機関1D(内燃機関本体10)の低温始動時に、添加剤供給機構130を用いて排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うことが可能となる。そのため、高温のEGRガスを利用して吸入空気の温度を効率よく上昇させることができる。したがって、低温始動時に内燃機関1Dから発生する白煙及び刺激臭の低減を図りつつ、排気ガス後処理装置60に堆積した粒子状物質を除去し得る。
なお、本発明は、ここで説明した実施形態の他にも、前述の説明の観点からさまざまな変更形態及び変形形態をとり得る。そのため、添付の請求の範囲内において、本発明をここでの説明とは異なる他の方法で実行することは考えられる。