JP2013071081A - カプセル製造装置、医療用カプセル、及び、カプセル製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コアを形成する第1の液体の液滴を噴射する液体噴射部と、シェルを形成する第2の液体を膜状に保持する液膜保持部であって、保持された前記第2の液体の液膜を前記コアが貫通する際に、前記第2の液体によって前記コアを被覆させることにより、前記コアを内包するシェルを形成させる液膜保持部と、前記第2の液体の液膜の厚さを測定する測定部と、を備える。
【選択図】 図3
Description
しかし、特許文献1では、一旦シェル材の液膜が形成された後は、カプセル生成動作中に該液膜の管理が十分に行なわれていない。例えば、液膜の表面積が大きい場合には、時間の経過と共に液膜を形成するシェル材が蒸発し、液膜の厚さが薄くなるおそれがある。しかし、このような液膜の厚さの変化については考慮されていない。
このようなカプセル製造装置によれば、カプセルを生成する際にシェル材の液膜の厚さを正確に測定することができる。これにより、シェル材の液膜の厚さの変動を管理しながらカプセルを生成することができるので、均一な厚さのシェルを形成しやすくなる。
このようなカプセル製造装置によれば、液膜上で所定領域を確保する必要のある部分(コア材を貫通させる部分と膜厚を測定する部分)以外の部分では表面積を小さくすることができる。これにより、該液膜からシェル材を蒸発しにくく、かつ破壊されにくくすることができる。
このようなカプセル製造装置によれば、カプセル生成動作中にシェル材を補充することができるので、液膜の厚さを一定に保ちやすくなる。液膜の厚さを一定に保つことによって、シェルの厚さが均一なカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、膜厚の測定結果に応じて該膜厚を調整しながらカプセルを生成することができる。すなわち、膜厚が所定の厚さよりも薄い場合には液膜にシェル材を補充することによって、該液膜の厚さを均一に保ちやすくなる。これにより、シェル材の無駄を省きつつ、シェルの厚さが均一なカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、ノズル列から一度に複数のコア材を噴出させることができるため、一度に複数のカプセルが生産可能になる。つまり、カプセルを効率よく量産することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、適切に硬化されたシェルを有するカプセルを生成することができる。
このようなカプセル製造装置によれば、人体に無害で医療分野等に対する応用性が高いカプセルを生成することができる。また、親水性のゲルによるシェルを形成することが可能であるため、保水性能が高く、また、外部環境とカプセルとの間でシェルを介しての浸透圧調整が容易なカプセルを生成することができる。
このような医療用カプセルによれば、所望のサイズや硬さの微小カプセルが製造できるため、DDS(ドラックデリバリーシステム)のように、薬剤などのコアとそれを被覆するシェルなどを構成することにより、途中で吸収・分解されることなく患部に到達させ、患部で薬剤を放出することができる。
<カプセルとは>
図1に、本実施形態で生成されるカプセルの概念図を示す。本実施形態におけるカプセルは、図のように「コア」(内包物)、及びそれを覆う「シェル」によって構成され、球状の外形を有する。「コア」を形成するコア材は、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質である。コア材には当該有効成分が溶解していているもの、有効成分が分散しているもの、また、有効成分が固体もしくは気体状で存在しているものが含まれる。このようなカプセルは、食料、医薬部外品、医薬品等、種々の分野で使用されており、カプセルの大きさ(内包物の容量)や、シェルの厚さはその用途に応じて様々である。
上述のようなコアとシェルとを有するカプセルを生成する方法の概要について簡単に説明する。本実施形態では、複数種類の液体を原材料としてカプセルが生成される。コアを形成するコア材として第1の液体が用いられ、シェルを形成するシェル材として第2の液体が用いられるものとする。第1の液体及び第2の液体は、生成されるカプセルの機能や用途に応じてそれぞれ最適な液体材料が選択される。
発明を実施するためのカプセル製造装置の形態として、液体噴射装置を用いたカプセル製造装置1を例に挙げて説明する。
図3は、第1実施形態におけるカプセル製造装置1の基本的な構成を説明する概略図である。カプセル製造装置1は、液体噴射部10と、液膜保持部30と、液膜厚さ測定部40と、液体接触部50とを備える。
液体噴射部10は、第1の液体(コア材)を噴射することによってマイクロカプセルのコアを形成するコア形成部である。液体噴射部10は噴射ヘッド11と第1液体タンク12とを有する。
液膜保持部30は、液膜保持部材31を有する。
液膜保持部材31は、シェルを形成する原材料である第2の液体(シェル材)を薄膜状に保持する板状の部材である。液膜保持部材31には図3に示されるような円形の穴が開けられ、この円形の穴に第2の液体が供給される。供給された第2の液体は当該円形の穴を外縁として薄い膜状に広がり、液面(界面)の面積がなるべく小さくなるように液膜を形成する。すなわち、液膜保持部材31に設けられた円形の領域の中で、表面張力によって第2の液体が膜状に保持される。表面張力によって保持されることにより、液膜の厚さ(膜厚)は非常に薄くすることも可能であり、液体噴射部10から噴射されたコア材を容易に貫通させやすくなる。これにより、カプセル生成の効率を高くすることが可能となる。
液膜厚さ測定部は、レーザー変位計41を有し、液膜保持部30に保持された第2の液体(シェル材)の液膜の厚さ(膜厚)を測定する。
液体接触部50は、第3の液体(シェル硬化材)を液体の状態で貯留し、該液体接触部50において第3の液体(シェル硬化材)と第2の液体(シェル材)とを接触させることにより化学反応を生じさせ、シェルを硬化させる。
続いて、カプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する際の具体的動作について説明する。図6に、第1実施形態においてカプセル製造装置1を用いてカプセルを生成する工程のフローを表す図を示す。本実施形態では、コア形成工程(S101)、シェル形成工程(S102)、シェル硬化工程(S103)の3つの工程によりカプセルが生成される。
まず、液体噴射部10から噴射されるコア材(第1の液体)の液滴(ドット)によってカプセルのコアが形成される。コア材としては、有効成分(例えば、ハイドロキノン、セラミド、牛血清アルブミン、γ−グロブリン、リピオドール、ビフィズス菌、ビタミン、ヒアルロン酸、IPS細胞等)を含んだ物質(水溶液)が用いられる。以下の各実施形態についても同様とする。
S101で形成されたコアは、液膜保持部30に保持されたシェル材の液膜に突入する。そして、コアが液膜を貫通する際に、シェル材(第2の液体)によって当該コアが覆われることによって、シェルが形成される(図2参照)。
S102でコアを被覆するシェルが形成された後、液体接触部50において当該シェルが硬化される。本実施形態では、液体接触部50の液体貯留槽51が液体噴射部10及び液膜保持部30の下側に設置されおり(図3参照)、Z軸方向(鉛直下方向)に噴射されたコア材(第1の液体)はシェル材(第2の液体)の液膜を貫通した後、そのまま液体貯留槽51内に進入する。そして、液体貯留槽51内に貯留されたシェル硬化材(第3の液体)とシェル材(第2の液体)とが接触することで化学反応を生じ、シェルが硬化する。硬化したカプセルはそのまま第3の液体の液相中に沈殿するため、完成後のカプセルを回収することが容易である。
ここで、第2の液体(シェル材)としてアルギン酸ナトリウム水溶液を用い、第3の液体(シェル硬化材)として塩化カルシウム水溶液を用いた場合に生じる化学反応(ゲル化)について説明する。図8は、アルギン酸ナトリウムの説明図である。図9は、アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムゲルへ変化する中間の様子を示す説明図である。図10は、アルギン酸カルシウムゲルの説明図である。
2C6H7O6Na+CaCl2=(C6H7O6−Ca−C6H7O6)+2NaCl
液膜保持部30に保持されるシェル材の液膜が図3に示されるような大きな円形である場合、液膜の表面積が広いため、液膜からシェル材(第2の液体)が蒸発しやすい。つまり、液膜保持部30に保持される液膜の膜厚は時間の経過と共に薄くなっていく。上述のように、カプセル生成動作中に膜厚が変動するとシェルの厚さが均一に保てなくなるおそれがある。また、蒸発する分のシェル材(第2の液体)のコストが余分にかかるようになり、問題がある。
本実施形態のカプセル製造装置では、液膜保持部30によって保持された第2の液体(シェル材)の液膜の厚さ(膜厚)を正確に測定しながらカプセルを生成する。
第2実施形態では、液膜保持部30に保持されたシェル材(第2の液体)の液膜の厚さ(膜厚)を測定し、液膜の厚さが減少した場合には減少した分のシェル材(第2の液体)を補充することにより、膜厚の変動を抑制する。必要な分だけシェル材を補充することで、シェル材の無駄を最小限に抑えつつ、シェルの厚さが均一なカプセルを生成しやすくなる。
第2実施形態ではカプセル製造装置2を用いてカプセルを生成する。図13に、第2実施形態におけるカプセル製造装置2の基本的な構成を説明する概略図を示す。カプセル製造装置2では、第1液体噴射部10と、液膜保持部30と、液膜厚さ測定部40と、液体接触部50と、第2液体噴射部60と、を備える。第1液体噴射部10は、第1実施形態における液体噴射部10と同様の構成である。第2液体噴射部60は、シェル材(第2の液体)を噴射することで液膜にシェル材を補充する。それ以外の各構成は第1実施形態とほぼ同様である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2液体噴射部60は、液膜保持部30に保持されたシェル材(第2の液体)の液膜に向けてシェル材(第2の液体)を噴射することによって、液膜にシェル材を補充するシェル材補充部である。第2の液体噴射部60の構成は、基本的に第1液体噴射部10と同様である。すなわち、噴射ヘッド61及び第2液体タンク62を有し、制御部HC(不図示)で生成される駆動信号を印加することによってピエゾ素子PZTを駆動させ、該噴射ヘッド61に設けられたノズルから第2の液体の液滴を噴射する(図4参照)。
図15に、第2実施形態においてカプセル製造装置2を用いてカプセルを生成する工程のフローを表す図を示す。第2実施形態におけるカプセル生成動作の基本的な流れは、第1実施形態と同様である。すなわち、コア形成工程(S201)とシェル形成工程(S202)とシェル硬化工程(S203)とによってカプセルが生成される。
第2実施形態では、液膜保持部30に保持されたシェル材液膜の膜厚を測定したデータに基づいてコア材の噴射可否を判断し、必要に応じて適宜シェル材の補充を行なう。これにより、シェル材液膜の膜厚を均一に保ち、コアを被覆するシェルの厚さが均一なカプセルを生成することができる。
第3実施形態では、液体噴射部10の噴射ヘッド11が複数のノズル111を有するカプセル製造装置3を用いてカプセルの製造を行なう。複数ノズルによって複数のコア材を1度に噴射することで、より効率的にカプセルを生成することができるようになる。
カプセル製造装置3では、液体噴射部10の噴射ヘッド11に4つのノズル111が設けられる。この4つのノズル111はX軸方向に直列に並ぶことによりノズル列を構成し、X軸方向に沿って同時に4つのコア材液滴を噴射することが可能である。なお、1つのノズル列に設けられるノズルの数は4つには限られず、5つ以上のノズルが設けられていてもよい。また、1つの噴射ヘッド11に複数のノズル列が設けられるようにすることもできる。1つの噴射ヘッド11に対してノズル111が複数設けられる場合には、ピエゾ素子PZTも各ノズルに対応して設けられるようにする。そして、ピエゾ素子PZTを駆動するための駆動信号も各ノズルについて生成されるようにする。これにより、ノズル毎に液滴噴射量や噴射速度を制御しやすくなる。各ノズルの構成及び液滴噴射時の動作については第1実施形態で説明したものと同様である(図4参照)。
液膜保持部30は、液膜保持部材31を備える。図18に第3実施形態で形成されるシェル材の液膜の一例について説明する図を示す。本実施形態において、液膜保持部材31は、噴射ヘッド11のノズル列に沿って形成される細長い液膜を、閉じられた所定の領域中に保持する。図18に示される液膜では、複数のコア材が着弾するポイントにそれぞれ円形部(穴)が形成され、その円形部が直線状の連結流路によって接続された形状をしている。そして、液膜の端部には(図18の例では右側端部)コア材着弾ポイントと同じ形状の円形部(穴)が形成され、当該円形部において液膜の厚さ(膜厚)が測定される。上述の図12の場合と同様に、液膜保持部材31が水平に(XY平面上に)設置されていれば、それぞれの円形部に保持される液膜の厚さ(膜厚)はほぼ同じ条件となる。したがって、液膜端部に設けられた測定ポイントにおいて膜厚を測定することにより、他のコア材着弾ポイントの膜厚についてのデータを得ることができる。
カプセル生成動作については第1実施形態と略同様である。すなわち、シェル材液膜の膜厚を測定し、膜厚が適正な厚さであれば、液体噴射部10からコア材(第1の液体)の液滴を噴射してコアを形成する。コア材はシェル材(第2の液体)の液膜を貫通する際にシェル材に被覆される。その後、液体接触部50にてシェル硬化材(第3の液体)と接触して化学反応によってシェルが硬化されることで、シェルがコアを内包する構造のカプセルが生成される。
第3実施形態では、複数のノズルが直列に並ぶノズル列を備えた液体噴射部を用いて、シェル材の液膜に対して複数のコア材を噴射させる。シェル材の液膜はコア材の着弾位置に沿った形状に保持され、さらに液膜の厚さを測定するための測定ポイントを有し、カプセル生成動作中でも膜厚の管理を行えるようになっている。これにより、シェルの厚さが均一なカプセルを同時に複数生成することができるようになり、高効率なカプセル製造を実現することができる。
一実施形態としてのカプセル製造装置を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の各実施形態では、第1の液体〜第3の液体についてそれぞれ具体例が例示されていたが、例示された以外のカプセル生成材料を用いてカプセルを生成することも可能である。
前述の各実施形態では、液体噴射部、液膜保持部、液体接触部が鉛直方向に沿って直線状に並ぶように配置されていたが、各機器の配置はこの限りではない。例えば、液体噴射部によってコア(第1の液体)が鉛直に対して斜めの方向に噴射されるような場合には、当該コアの移動方向(進路)に沿って各機器が配置されればよい。
10 液体噴射部(第1液体噴射部)、11 噴射ヘッド、12 第1液体タンク、
30 液膜保持部、31 液膜保持部材、
40 液膜厚さ測定部、41 レーザー変位計、
50 液体接触部、51 液体貯留槽、
60 第2液体噴射部、61 噴射ヘッド、62 第2液体タンク、
111 ノズル、112 液体供給路、114 ノズル連通路、116 弾性板、
PZT ピエゾ素子
Claims (9)
- コアを形成する第1の液体の液滴を噴射する液体噴射部と、
シェルを形成する第2の液体を膜状に保持する液膜保持部であって、保持された前記第2の液体の液膜を前記コアが貫通する際に、前記第2の液体によって前記コアを被覆させることにより、前記コアを内包するシェルを形成させる液膜保持部と、
前記第2の液体の液膜の厚さを測定する測定部と、
を備えるカプセル製造装置。 - 請求項1に記載のカプセル製造装置であって、
前記液膜は、前記液膜の厚さを測定する部分、及び、前記コアが貫通する部分、及び、前記液膜の厚さを測定する部分と前記コアが貫通する部分との間を接続する部分、から構成され、
前記接続する部分の幅は、前記液膜の厚さを測定する部分、及び、前記コアが貫通する部分の幅と同じ、もしくは貫通する部分の幅よりも狭い、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項1または2に記載のカプセル製造装置であって、
前記第2の液体の液膜に前記第2の液体を噴射することで、前記液膜に前記第2の液体を補充する液体補充部を備えるカプセル製造装置。 - 請求項3に記載のカプセル製造装置であって、
前記液体噴射部から前記第1の液体を噴射させ、前記液体補充部から前記第2の液体を噴射させる制御部を備え、
前記制御部は、
前記液膜の厚さを測定した結果が所定の値よりも小さい場合には、前記液膜に前記第2の液体を補充させ、
前記液膜の厚さを測定した結果が所定の値である場合には、前記第1の液体を噴射させる、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記液体噴射部は、前記第1の液体の液滴を噴射するノズルが複数並ぶノズル列を備え、
前記ノズル列に沿って形成される前記第2の液体の液膜に向けて、前記ノズル列から複数の前記第1の液体の液滴を噴射する、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のカプセル製造装置であって、
前記第2の液体によって形成されるシェルを第3の液体と接触させて化学反応を生じさせることにより、前記シェルを硬化させる、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項6に記載のカプセル製造装置であって、
前記第2の液体は多糖類、蛋白質類を含む水溶液であり、
前記第3の液体は多価金属塩を含む水溶液であり、
前記第2の液体と前記第3の液体とを接触させて架橋反応を生じさせることにより、前記シェルを硬化させる、ことを特徴とするカプセル製造装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のカプセル製造装置で製造された医療用カプセル。
- 膜状に保持された第2の液体の液膜に向けて第1の液体を噴射することにより、コアを形成することと、
前記コアが前記第2の液体の液膜を貫通する際に、前記第2の液体によって前記コアを被覆させることにより、前記コアを内包するシェルを形成することと、
前記第2の液体の液膜の厚さを測定することと、
を有するカプセル製造方法。
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