JP2013066630A - グリップ表面の滑り止め構造、及びグリップ - Google Patents

グリップ表面の滑り止め構造、及びグリップ Download PDF

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暢 増淵
Kazuo Matsufuji
和夫 松藤
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Abstract

【課題】意匠性を損なわずに、一定方向に滑り易いという滑り止め性能の方向不均一性がなく、滑り止め性能の方向均一性が得られる、グリップ表面の滑り止め構造と、これを用いたグリップを提供する。
【解決手段】グリップ表面の滑り止め構造10は、基体部1の表面1sに、溝状凹条部2によって画成される多数の凸状閉領域Aからなる網目状凹凸3を有し、
溝状凹条部の平面視形状であり凸状閉領域を画成する溝状凹条パターン2Pが、二つの分岐点Bの間を延びて凸状閉領域を画成する多数の境界線分Lから形成され、一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0≦N<4.0であり、且つ、周囲を囲繞する境界線分の数が同一の凸状閉領域の面積及び形状は一定でない、パターンとする。グリップはこの滑り止め構造を表面に有する。
【選択図】図1

Description

本発明はグリップ表面の滑り止め構造と、この滑り止め構造を適用したグリップに関する。特に、特定の方向が滑り易いことがなく、どの方向でも一様に滑り難くい、グリップ表面の滑り止め構造とグリップに関する。
従来、ゴルフクラブ等のスポーツ用具、自動車のハンドルなどの乗り物の操舵部材、スパナなどの工具、農機具、釣竿など様々な分野で、手で握って保持する部分のグリップには、その表面に手の汗などで滑らない様に、シート状物を巻いたり、樹脂成形品をはめ込んだりして、滑り止めが施されている(特許文献1、特許文献2)・
図15の斜視図は、一例としてし、ゴルフクラブのグリップの部分を示す。図15(A)に示すグリップ40は、円柱状の形状で、その外周面であるグリップ表面41には、図15(B)の部分拡大図で示す様に、表面に凹凸を設けて成る滑り止め構造30が施されている。
特開2000−210401号公報 特開2003−325712号公報
ただ、従来のグリップ表面の滑り止め構造30は、表面の凹凸構造が菱形や矩形のパターンの繰り返しであるなど周期的である。図15に例示したゴルフクラブの場合で言えば、図15(B)で示すように、横長格子状に縦横に走る複数の溝状凹条32を有し、この溝状凹条32で周囲を囲われた複数の凸曲面部33が、縦方向と横方向とに規則的に一定の周期で二次元的に配列してなる、表面凹凸構造を有する。
このため、滑り止め性能が、凸曲面部33の配列方向である方向d1と方向d2とに対する滑りに対しては同じであっても、これらの方向と傾斜した方向、例えば図面で方向d3に対しては、滑り止め性能が異なり、滑り易くなることがある。
このように、周期的パターンからなる表面凹凸構造は、その配列周期の方向d1,d2と、配列周期の方向とは異なる方向d3とでは、滑り止め性能が異なり、滑り止め性能の面内での方向均一性がなく、方向不均一性を有し、一定方向に対しては滑り易いことがあるという欠点があった。
このため、ゴルフクラブにおいては、グリップが予想外に滑り、その結果、スイングや飛距離が安定しないという問題が生じる。
表面凹凸構造には、表面を粗面化したものもあり、周期的パターンではない粗面では滑り止め性能の方向均一性が得られる。ただ、凹凸が図15で例示したようなものに比べて細かくて小さく、粗面の凸頂部が磨耗したり、或いは汚れで粗面が目詰まり(平滑化)したりすることによって、滑り止め性能が低下し易い。また、粗面は外観意匠的にも劣り商品価値を低下させ、磨耗するとその部分だけ艶が変化して、さらに外観意匠が損なわれるという欠点があった。
すなわち、本発明の課題は、一定方向に滑り易いという滑り止め性能の方向不均一性がなく、滑り止め性能の方向均一性が得られる、グリップ表面の滑り止め構造と、これを用いたグリップを提供することである。
そこで、本発明では、次の様な構成のグリップ表面の滑り止め構造とグリップとした。
(1)基体部表面に、溝状凹条部によって画成される多数の凸状閉領域からなる網目状凹凸を有し、
前記溝状凹条部を上からみた平面視形状であり前記凸状閉領域を画成する溝状凹条パターンが、二つの分岐点の間を延びて前記凸状閉領域を画成する多数の境界線分から形成され、一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0≦N<4.0であり、且つ、周囲を囲繞する境界線分の数が同一の凸状閉領域の面積及び形状は一定でない、グリップ表面の滑り止め構造。
(2)上記凸状閉領域が、外側に向かって突出した曲面からなる上記(1)のグリップ表面の滑り止め構造。
(3)グリップの本体部を基体として、この基体の表面に上記(1)または(2)の滑り止め構造を形成してなる、グリップ。
(4)グリップの本体部の表面に、層状基体を有し、この層状基体の表面に上記(1)または(2)の滑り止め構造を形成してなる、グリップ。
本発明によれば、グリップ表面の多数の凸状閉領域の配置がどの方向にも周期性がないので、或る特定の方向が滑り易くなることがなく、滑り止め性能の不均一性が解消され、方向均一性が得られる。このため、従来予期しない方向に生じていた手の滑りを確実に防止できる。
本発明によるグリップ表面の滑り止め構造の一実施形態を説明する平面図(A)と断面図(B)。 本発明によるグリップ表面の滑り止め構造の別の実施形態を説明する斜視図。 溝状凹条パターンの一例を示す平面図。 溝状凹条パターンで画成される凸状閉領域の配置に、周期性を有する方向が存在しないことを説明する平面図。 溝状凹条パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 溝状凹条パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 溝状凹条パターンを設計する方法において、母点を決定する方法を示す図。 決定された母点群の分散の程度を絶対座標系と相対座標系で説明する図。 決定された母点からボロノイ図を作成して溝状凹条パターンを決定する方法を示す図。 凸状閉領域の形状例を示す平面図。 溝状凹条部の他の形状例を示す断面図。 溝状凹条パターンがグリップ表面の寸法の1/3以上の大きさの単位パターン領域として繰り返された一例を示す平面図。 本発明のグリップの一実施形態を示す斜視図。 本発明のグリップの別の実施形態を示す斜視図。 従来のグリップに於ける規則的凹凸による滑り止め性能の方向不均一性を説明する斜視図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
〔A〕用語の定義:
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「平面視形状」とは、基体部1の表面1s(網目状凹凸3の面でもある)の包絡面が平面である場合は、この平面に立てた法線の方向から見た形状のことを意味する。平易に言うと注目部分を垂直に上から見た形状である。基体部1の表面1s乃至は網目状凹凸3の面が平面でないときは、平面に寸法及び形状の伸び縮みなく展開できる二次元曲面又は平面の組み合わせ面の場合は、前記平面とは展開された平面を意味する。基体部1の表面1s乃至は網目状凹凸3の面が、平面に寸法及び形状の伸び縮みなく展開できない三次元曲面乃至は三次元曲面を含む面のときは、前記平面とは、三次元曲面の部分はその包絡面を意味し、この包絡面は「平面」ではなく三次元曲面であるが、この包絡面には寸法及び形状を伸び縮みなく展開(投影)できるので、包絡面上での形状を「平面視形状」と言うことにする。
「主切断面形状」とは、基体部1の表面1s(網目状凹凸3の面でもある)の包絡面に立てた法線に平行な断面のうち、溝状凹条部2の注目部分における溝状凹条部2の延在方向に直交する断面として定義される「主切断面」に於ける形状のことを意味する。
〔B〕グリップ表面の滑り止め構造:
本発明によるグリップ表面の滑り止め構造を、図1の斜視図で示す一実施形態例を参照して説明する。図1(A)はXY平面における平面図、図1(B)は図1(A)中のC−C線でのZX平面における断面図である。
図1で例示する本発明のグリップ表面の滑り止め構造10は、基体部1の表面1sに、溝状凹条部2とこの溝状凹条部2によって画成される多数の凸状閉領域Aとからなる網目状凹凸3を有し、前記溝状凹条部2を上からみた平面視形状であり前記凸状閉領域Aを画成する溝状凹条パターン2Pが、二つの分岐点Bの間を延びて前記凸状閉領域Aを画成する多数の境界線分Lから形成され、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが、3.0≦N<4.0であり、且つ、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でない、パターンからなる。
図1(A)に於いて、太い矢印は、溝状凹条部2を挟んだ表面凹凸が、滑りに抵抗する様子を概念的に表わしたものである。グリップ表面の滑り止め構造10の表面の溝状凹条部2と、これに接触する手との滑りに対する抵抗力が最大となる方向は、溝状凹条部2と直交する方向になる。その為、図中ではこの溝状凹条部2と直交する方向を矢印で図示してある。
このため、本実施形態では、上記溝状凹条パターン2Pで画成される凸状閉領域Aの配置は、従来のような周期的配列ではなく、ランダムで周期性を有する方向が存在しない非周期的パターンであるために、特定の方向に滑り易いということがなく、滑り止め性能の方向不均一性が解消し、滑り止め性能の方向均一性が得られる。
なお、図1に示した実施形態は、多数の凸状閉領域Aは基体部1の外側に向かって突出した凸曲面からなる形態であった。ただ、凸状閉領域Aは、図2の斜視図で示す実施形態のように、凸状閉領域Aの上面が溝状凹条部2の底部から突出しているが曲面ではなく平面からなる凸平面の形態もあり得る。
〔基体部〕
基体部1の表面1sが成す包絡面形状、つまり、網目状凹凸3を有する面の包絡面形状は、図1(A)及び図1(B)に示す実施形態では平面として描いてある。ただ、本体部1の表面1sの形状は、平面の他に、円柱、円錐、円錐台等の二次元曲面、或いは球、回転楕円体等の三次元曲面(の全体或いはその一部)など非平面でも良い。
本体部1の全体的形状は、グリップ可能な形状、或いは、グリップ可能な形状に出来る形状であれば良く任意である。例えば、巻きつけて使う、シート状物でも良い。
本体部1の材質は、任意であり、例えば、樹脂、ゴム、皮革、金属、無機物などからなる。
〔溝状凹条部〕
溝状凹条部2は、その平面視形状である溝状凹条パターン2Pによって凸状閉領域Aを画成する。
溝状凹条部2の主切断面形状は、図1(B)の断面図に示す実施形態では、V字形状である。この溝状凹条部2の溝幅は、断面形状がV字形状であるので、0mmである。
なお、図2の斜視図で示す実施形態では、溝状凹条部2の主切断面形状は矩形形状であり、底部及び上部で幅が同じであるが、この様な形態も含めて、溝状凹条部2の溝幅は、0〜2mm程度である。
溝状凹条部2の溝幅は、滑り止め性能の強弱レベル、グリップ感、及び本体部1の材質等を勘案して決定される。
[溝状凹条パターンとこれにより画成される凸状閉領域]
溝状凹条パターン2Pは、溝状凹条部2を、グリップ表面の法線方向(図1でZ軸方向)から観察した場合における、溝状凹条部2の平面視形状である。以下、この溝状凹条パターン2Pについて、図3および図9を主として参照しながら説明する。
溝状凹条パターン2Pは、図3に示す如く、二つの分岐点Bの間を延びて凸状閉領域Aを画成する多数の境界線分Lから形成され、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが、3.0≦N<4.0、つまり、3.0以上で4.0未満であり、且つ、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でないパターンとなっている。また、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないパターンとなっている。
なお、溝状凹条パターン2Pは、凸状閉領域Aが繰返周期を持つ方向が存在しない配列となって、溝状凹条パターンが周期的パターンであるが故に生ずる滑り止め性能の方向不均一性を防ぐ効果が十分に発現される為には、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でないようなパターンとすると良い。好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの50%以上が互いにその面積及び形状が異なるようにする。より好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aを溝状凹条パターン2Pの全域に亙って、全て互いにその面積及び形状が異なるようにする。これは、言い換えると、溝状凹条パターン2Pに含まれる凸状閉領域Aのうち、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一となる凸状閉領域Aの形状及び面積がすべて同一ではなく、少なくとも一部は他と異なるものになると言うことを意味する。なお、ここで周囲を囲繞する境界線分Lの数とは、凸状閉領域Aが多角形である場合は、その多角形の角数(或いは辺数)と一致する。また、以上に於いて、2つの凸状閉領域A同士が互いに合同な図形であって且つその向きが異なる場合も、これらの2つの凸状閉領域Aの形状は互いに異なると見做す。
図3および図9に示すように、溝状凹条パターン2Pのライン部Ltは、多数の分岐点Bを含んでいる。溝状凹条パターン2Pのライン部Ltは、両端において分岐点Bを形成する多数の境界線分Lから構成されている。すなわち、溝状凹条パターン2Pのライン部Ltは、二つの分岐点Bの間を延びる多数の境界線分Lから構成されている。そして、分岐点Bにおいて、境界線分Lが接続されていくことにより、凸状閉領域Aが画成されている。言葉を換えて言うと、境界線分Lで囲繞され、区画されて1つの閉領域としての凸状閉領域Aが画成されている。
なお、図3および図9に示すように、ライン部Ltが境界線分Lのみから構成されているため、凸状閉領域Aの内部に延び入って行き止まりとなるライン部Ltは存在しない。
一方、滑り止め性能の方向不均一性を解消するため、本実施形態によるグリップ表面の滑り止め構造10の溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pでは、その全領域が、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でないようになっている。また、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないようになっている、
滑り止め性能の方向不均一性を確実に解消する為には、溝状凹条パターン2Pの全領域がこのような領域のみから構成されていることが好ましい。本実施形態はこの様な構成からなる。本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、単に溝状凹条パターン2Pのパターンを不規則化するのではなく、溝状凹条パターン2Pの凸状閉領域Aが、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でなく、また凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないように溝状凹条パターン2Pのパターンを画成することにより、グリップ表面の凹凸構造が周期的パターンである構成の従来の滑り止め構造において生じていた、滑り止め性能の方向不均一性を、極めて効果的に解消することが出来ると判明した。
[繰返周期の不存在]
図4は、溝状凹条パターン2Pで画成される多数の凸状閉領域Aが、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でない。そして、凸状閉領域Aに一定の周期で配置されている領域が存在せず、繰返周期が存在しない、言い換えると、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しない、ことを説明するXY平面に平行な面に於ける平面図である。この面の面内において、同図では、任意の位置で任意の方向を向く一本の仮想的な直線diが選ばれている。
この一本の直線diが、ライン部Ltの境界線分Lと交差し交差点が形成される。この交差点を、図面では図面左下から順に、交差点c1,c2,c3,・・・・・,c9として図示してある。隣接する交差点、例えば、交差点c1と交差点c2との距離が、前記或る一つの凸状閉領域Aの直線di上での寸法t1である。次に、寸法t1の凸状閉領域Aに対して直線di上で隣接する別の凸状閉領域Aについても、同様に、直線di上での寸法t2が定まる。そして、任意位置で任意方向の直線diについて、直線diと交差する境界線分Lとから、任意位置で任意方向の直線diと遭遇する多数の凸状閉領域Aについて、該直線di上における寸法として、t1,t2,t3,・・・・・・,t8が定まる。そして、t1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びには、周期性が存在しない。
図4では、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8は、判り易い様に図面下方に、直線diと共に溝状凹条パターン2Pとは分離して描いてある。
この直線diを図4で図示のものから任意の位置で任意の角度回転させて別の方向について各凸状閉領域Aの寸法t1,t2,・・を求めると、やはり図4の場合と同様、直線di方向に対して繰返し周期性は見られない。
すなわち、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びの様に、境界線分Lで画成された凸状閉領域Aには繰返周期を持つ方向が存在しない。
言い換えると、凸状閉領域Aの配置において、任意位置を通る任意方向の仮想的線分di上での凸状閉領域Aの寸法tiの並びの数列が非周期関数となる。すなわち、t(i)=t(i+M)となるMが存在しない(i,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
このように、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないことを、凸状閉領域Aが一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない、と表現する。
さらに、本実施形態によるグリップ表面の滑り止め構造10の溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pでは、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっている。このように一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっている場合、溝状凹条パターン2Pの配列パターンを、図15に示された正方格子パターン(N=4.0)から大きく異なるパターンとすることができる。また、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0<N<4.0となっている場合には、ハニカム配列(N=3.0)からも大きく異なるパターンとすることができる。そして、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nを3.0≦N<4.0とした上で、凸状閉領域Aの配列を不規則化して、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が安定して存在しないようにすることが可能となり、その結果、滑り止め性能の方向不均一性を極めて効果的に解消させることが可能となることが、確認された。
なお、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nは、厳密には、溝状凹条パターン2P内に含まれる全ての分岐点Bについて、延び出す境界線分Lの数を調べてその平均値を算出することになる。ただし、実際的には、ライン部Ltによって画成された一つ当たりの凸状閉領域Aの大きさ等を考慮した上で、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の全体的な傾向を反映し得ると期待される面積を持つ一区画(例えば、後述の寸法例で凸状閉領域Aが形成されている溝状凹条パターン2Pにおいては、50mm×50mmの部分)に含まれる分岐点Bについて延び出す境界線分Lの数を調べてその平均値を算出し、算出された値を当該溝状凹条パターン2Pについての一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nとして取り扱うようにしてもよい。
実際に、図3に示された溝状凹条部2の溝状凹条パターン2Pでは、一つの分岐点Bから延び出す境界線分Lの数の平均値Nが3.0<N<4.0となっている。一例を挙げると、図3の溝状凹条パターン2Pの場合、合計387個の分岐点Bについて計測したところ、境界線分Lが3本の分岐点Bが373個、境界線分Lが4本の分岐点Bが14個であり(分岐する境界線分Lの数が5個以上の分岐点は0個)、分岐点Bから出る境界線分Lの平均本数(平均分岐数)は3.04個であった。
[溝状凹条パターンのパターン形状の作成方法]
ここで、本発明固有の上記溝状凹条パターン2Pのパターンを作成する方法の一例を以下に説明する。
ここで説明する方法は、母点を決定する工程と、決定された母点からボロノイ図を作成する工程と、ボロノイ図における一つのボロノイ境界によって結ばれる二つのボロノイ点の間を延びる境界線分Lの経路を決定する工程と、決定された経路の太さを決定して各境界線分Lを画定して溝状凹条パターン2P(ライン部Lt)のパターンを決定する工程と、を有している。以下、各工程について順に説明していく。なお、上述した図3に示されたパターンは、実際に以下に説明する方法で決定されたパターンである。
まず、母点を決定する工程について説明する。最初に、図5に示すように、絶対座標系O−X−Y(この座標系O−X−Yは普通の2次元平面であるが、後述の相対座標と区別する為、頭に「絶対」を付記する)の任意の位置に一つ目の母点(以下、「第1の母点」と呼ぶ)BP1を配置する。次に、図6に示すように、第1の母点BP1から距離rだけ離れた任意の位置に第2の母点BP2を配置する。言い換えると、第1の母点BP1を中心として絶対座標系XY上に位置する半径rの円の円周(以下、「第1の円周」と呼ぶ)上の任意の位置に、第2の母点BP2を配置する。次に、図7に示すように、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つ第2の母点BP2から距離r以上離れた任意の位置に、第3の母点BP3を配置する。その後、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つその他の母点BP2,BP3から距離r以上離れた任意の位置に、第4の母点を配置する。
このようにして、次の母点を配置することができなくなるまで、第1の母点BP1から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に母点を配置していく。その後、第2の母点BP2を基準にしてこの作業を続けていく。すなわち、第2の母点BP2から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に、次の母点を配置する。第2の母点BP2を基準にして、次の母点を配置することができなくなるまで、第2の母点BP2から距離rだけ離れ且つその他の母点から距離r以上離れた任意の位置に母点を配置していく。その後、基準となる母点を順に変更して、同様の手順で母点を形成していく。
以上の手順で、溝状凹条パターン2Pが形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなるまで、母点を配置していく。溝状凹条パターン2Pが形成されるべき領域内に母点を配置することができなくなった際に、母点を作製する工程が終了する。ここまでの処理により、2次元平面(XY平面)に於いて不規則的に配置された母点群が、溝状凹条パターン2Pが形成されるべき領域内に一様に分散した状態となる。
このような工程で2次元平面(XY平面)内に分布された母点群BP1、BP2、・・、BP6(図8(A)参照)について、個々の母点間の距離は一定では無く分布を有する。但し、任意の隣接する2母点間の距離Rの分布は完全なランダム分布(一様分布)でも無く、平均値RAVGを挾んで上限値RMAXと下限値RMINとの間の範囲ΔR=RMAX−RMINの中で分布している。なお、ここで、隣接する2母点であるが、母点群BP1、BP2、・・からボロノイ図を作成した後、2つのボロノイ領域XAが隣接していた場合に、その2つのボロノイ領域XAの母点同士が隣接していると定義する。
即ち、ここで説明した母点群について、各母点を原点とする座標系(相対座標系o−x−yと呼称し、一方、現実の2次元平面を規定する座標系を絶対座標系O−X−Yと呼称する)上に、原点に置いた母点と隣接する全母点をプロットした図8(B)、図8(C)、・・等のグラフを全母点について求める。そして、これら全部の相対座標系上の隣接母点群のグラフを、各相対座標系の原点oを重ね合わせて表示すると、図8(D)の如きグラフが得られる。この相対座標形上での隣接母点群の分布パターンは、母点群を構成する任意の隣接する2母点間の距離が0から無限大迄の一様分布では無く、原点oからの距離がRAVG−ΔRからRAVG+ΔR迄の有限の範囲(半径RMINからRMAX迄のドーナツ形領域)内に分布していることを意味する。
なお、図8(D)からわかる様に、任意の1母点から見た他の母点の方位(角度)分布は等方的(乃至は略等方的)である。このことが、これらの母点(群)から生成される溝状凹条パターン2Pに於ける研磨領域Aの方位(角度)分布が等方的(乃至は略等方的)となることに対応する。
以上の様にして、各母点間の距離を設定することによって、該母点群から以下に説明する方法で得られるボロノイ領域XA、更には、これから得られる凸状閉領域Aの大きさD(乃至は凸状閉領域Aの面積)の分布についても、一様分布(完全ランダム)では無く、有限の範囲内に分布したものとなる。
この様に構成することにより、滑り止め性能の方向不均一性が、より一層効果的に解消する。
また、滑り止め性能の強弱レベルを面内においてより均一化するには、凸状閉領域Aの大きさDの最大値をDMAX、最小値をDMINとしたときに、当該大きさDの分布範囲ΔD=DMAX−DMINが大きさDの平均値DAVGに対して、
0.1≦ΔD/DAVG≦0.6
より好ましくは、
0.2≦ΔD/DAVG≦0.4
とする。
ここで、凸状閉領域Aの大きさDは、全ての凸状閉領域Aについて、以下の定義とする。
(1)或る一つの凸状閉領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描ける場合は、この凸状閉領域Aの外接円直径を以って、大きさDとする。
(2)或る一つの凸状閉領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描け無い場合は、この凸状閉領域Aに属する2分岐点B間の距離の最大値(多角形の場合は最長の対角線長)を以って、大きさDとする。
なお、以上の母点を決定する工程において、距離rの大きさを変化させることにより、一つあたりの凸状閉領域Aの大きさDを調節することができる。具体的には、距離rの大きさを小さくすることにより、一つあたりの凸状閉領域Aの大きさDを小さくすることができ、逆に距離rの大きさを大きくすることにより、一つあたりの凸状閉領域Aの大きさDを大きくすることができる。
次に、図9に示すように、配置された母点を基準にして、ボロノイ図を作成する。図9に示すように、ボロノイ図とは、隣接する2つの母点BP、BP間に垂直二等分線を引き、その各二等分線同士の交点で結ばれた線分で構成される図である。ここで、二等分線の線分をボロノイ境界XBと呼び、ボロノイ境界XBの端部をなすボロノイ境界XB同士の交点をボロノイ点XPと呼び、ボロノイ境界XBに囲まれた領域をボロノイ領域XAと呼ぶ。
図9のように作成されたボロノイ図において、各ボロノイ点XPが、溝状凹条パターン2Pの分岐点Bをなすようにする。そして、一つのボロノイ境界XBの端部をなす二つのボロノイ点XPの間に、一つの境界線分Lを設ける。この際、境界線分Lは、図3に示された例のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定してもよいし、あるいは、他の境界線分Lと接触しない範囲で二つのボロノイ点XPの間を種々の経路(例えば、円(弧)、楕円(弧)、抛物線、双曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線、ベッセル関数曲線等の曲線状、折れ線状等の経路)で延びるようにしてもよい。なお、境界線分Lは、図3に示された例のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定した場合、各ボロノイ境界XBが、境界線分Lを画成するようになる。
各境界線分Lの経路を決定した後、各境界線分Lの線幅(太さ)を決定する。境界線分Lの線幅は、作成された溝状凹条パターン2Pによって形成される網目状凹凸3で発揮される、滑り止め性能及びその方向均一性、並びにグリップ感などを勘案して、決定される。以上のようにして、溝状凹条パターン2Pのパターンを決定することができる。
以上のような本実施形態によれば、溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pが、二つの分岐点Bの間を延びて多数の凸状閉領域Aを画成する多数の境界線分Lから形成されており、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっており、且つ、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でなく、また、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないようになっている。この結果、滑り止め性能の方向不均一性を効果的に解消することができ、方向均一性が得られる。
〔凸状閉領域〕
凸状閉領域Aの断面形状は、図1(B)で示した凸曲面の他、図2で示した凸平面でもよい。
凸状閉領域Aの寸法は、平面視形状において、その大きさDが1〜20mm程度、好ましくは5〜15mm程度である。また、断面形状において、溝状凹条部2の谷底からの高さは0.05〜5mm程度、好ましくは0.5〜1mm程度である。
凸状閉領域Aの平面視形状は、少なくとも五角形と六角形とを含むことが好ましい。凸状閉領域Aに少なくとも五角形と六角形とを含むことによって、滑り止め性能の方向不均一性を解消させることが出来ると共に、溝状凹条パターン2Pの粗密による滑り止め性能の強弱レベルの面分布の不均一性をより確実に解消させることができる。更に好ましくは、研磨領域Aの形状が五角形、六角形、及び七角形を含む様にする。
例えば、図3の溝状凹条パターン2Pについて、合計4631個の研磨領域A(多角形)について計測したところ、
3角形 0個
4角形 79個
5角形 1141個
6角形 2382個
7角形 927個
8角形 94個
9角形 8個
10角形以上 0個
であった。
なお、凸状閉領域Aの表面は艶有り面でも艶消し面(粗面)でもいずれでも良い。表面を艶有りとすることで、艶消し面(粗面)で従来生じていた磨耗による意匠性の毀損も生じにくい。粗面とは、網目状凹凸3の凹凸よりも細かい(網目状凹凸3の凹凸と比較して1/10程度以下、微細な凹凸では1/100程度以下)凹凸である。該粗面を構成する微凹凸の程度としては、JIS B0601(1994年)規定の10点平均粗さRzで1〜20μm程度の範囲である。
〔網目状凹凸の形成方法〕
溝状凹条部2及びその溝状凹条パターン2Pによる画成された凸状閉領域Aからなる網目状凹凸3を表面に形成するには、公知の方法でよく、例えば、本体部1が樹脂からなる場合は、表面が所望の網目状凹凸3と逆凹凸形状の成形型を用意し、これを用いて型押し、熱プレス、熱成形、射出成形、光硬化性樹脂を用いた成形(2P(Photo Polymer)法等)、などの各種賦形法で形成することができる。又、本体部1が金属からなる場合は、所望の溝状凹条パターン2Pのフォトマスクを用いたフォトエッチング(フォトリソグラフィー)法で形成することができる。
〔変形形態〕
本発明のグリップ表面の滑り止め構造10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
[多層構成の基体部]
本体部1は2層以上の多層構造でもよい。例えば、滑り止め性能を発揮する本体部1の表面1sを構成する部分の材料と、表面1sを形成しない部分を構成する部分の材料とを、互いに異なる材料から構成する態様などである。
例えば、シート状の本体部1であれば、本体部1の表面1sを構成するゴム材料からなる表面部が、樹脂シートや不織布などの層状基体1Lに積層された構成である。
[溝状凹条部の主切断面形状]
溝状凹条部2の主切断面形状は、図1及び図11(A)の様に底面(谷底)に幅がないV字形状の他、図2の実施形態で示す様に、溝状凹条部2の底面が有限の幅を持つ形状、或いは、図11(B)の様に、溝状凹条部2の内部に凸条を有し、2本の凹条からなるW字形状でも良い。溝状凹条部2の形状は、滑り止め性能の強弱レベル及びグリップ感などを勘案して決定される。
溝状凹条部2の溝幅は、0〜2mm程度である。0mmとは図1及び図11(A)の形状である。
[単位パターン領域としての繰返し]
上述した実施形態では、グリップ表面の滑り止め構造10中の溝状凹条部2の全領域において、該溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pによって画成される凸状閉領域Aが周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域Aの面積及び形状は一定でなく、また、凸状閉領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないようになっている例を説明した。しかしながら、図12の様に、その内部に於いて溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pの全領域が、単位パターン領域Sを複数集合して溝状凹条パターン2Pの全領域が構成されるようにして、且つ各単位パターン領域S内に於いては、複数の凸状閉領域Aが、所定の繰返周期のないパターンで配列されている領域からなるようにしてもよい。
すなわち、この形態に於いては、溝状凹条パターン2Pの全領域中に、局所的に見たときに、同一パターンで凸状閉領域群が配列されてなる単位パターン領域Sを2箇所以上含むようになる。もちろん、単位パターン領域S中で、滑り防止性能の方向不均一性は生じていない。この例において、一つの単位パターン領域S内における溝状凹条パターン2Pのパターンは、例えば、図5〜図9を参照しながら説明したパターン作成方法と同様にして作成することができる。
特に、グリップ面がパターン作成面積に比べて大面積となる場合は、溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pが、複数の単位パターン領域Sの配列から構成されていて、且つ各々の単位パターン領域S内に於いては互いに同一のパターンで凸状閉領域Aが配列されている構成とした複数の単位パターン領域Sを含む形態とした方が、溝状凹条パターン2Pのパターン作成を格段に容易化することが可能となる点において好ましい。
なお、特に一種類の単位パターン領域Sを図12に示す様に縦横に複数配置する例においては、特定方向(図面縦方向と横方向の2方向)で単位パターン領域Sとしての繰返しが存在する。図12の実施形態に於いては、横方向に繰返周期SP2、縦方向に繰返周期SP1を以って単位パターン領域Sが繰り返される。この条件下では、特定方向に於ける単位パターン領域Sの寸法をLsとし、該特定方向に延びる任意の直線dj上において単位パターン領域Sが寸法Ls内に凸状閉領域AをM個有するとき、直線dj上の或る凸状閉領域Aに注目すると、直線dj上では凸状閉領域Aの個数がM個分だけ離れた位置には、全く同じ寸法tj及び形状の凸状閉領域Aが常に存在するという規則性を有する。すなわち、凸状閉領域Aの直線dj上での寸法tjについて、直線dj上で順番に数えてk番目の寸法tj(k)と、そこから更にM番目の(k+M)番目の寸法tj(k+M)とが同じとなる、tj(k)=tj(k+M)の関係が成立する(k,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
しかし、この規則性は、単位パターン領域Sとしての繰返周期(前記で言えば寸法Lsがその繰返周期に該当する)に基づくものであり、凸状閉領域Aとしての繰返周期(周期性)ではなく、各単位パターン領域S内に於いて凸状閉領域Aがその配置に周期性を上記特定方向に持つことではない。
図12に示された例では、グリップ表面の滑り止め構造10が、同一の形状を有した六つの単位パターン領域Sに分割され、各単位パターン領域S内で、各溝状凹条部2が有する溝状凹条パターン2Pが同一に構成されている。そして、六つの単位パターン領域Sは、図12の縦方向(図の上下方向)に繰返周期SP1で三つの領域が並ぶとともに、図12の横方向に繰返周期SP2で二つの領域が並ぶように配列されている。図12の如き形態の場合、各単位パターン領域S内に於いて既に、図1(A)の如くの滑り止め性能の方向均一性という本発明の所期の効果を十分奏する。又、グリップ表面全体の特定方向(例えば、図4のdi方向)の一端から他端に至るまでの間に含まれる単位パターン領域Sの数は凸状閉領域Aの数に比べて、通常の寸法設計範囲の場合、100倍程度少ない。この為、図12の如き単位パターン領域Sの繰返し配置による滑り止め性能の方向均一性の低下の影響は殆ど無い。
〔C〕グリップ:
本発明のグリップは、上述したグリップ表面の滑り止め構造10を、表面に有するグリップ(握り部、柄)である。
図13に示す実施形態のグリップ20は、上述した滑り止め構造10を、円柱状の本体部4の表面に有する。滑り止め構造10に於ける基体部1が、グリップ20に於ける本体部4と兼用され一体化した構成である。こうした一体化した構成は、樹脂成形品などで形成される。
このような構成の本実施形態では、グリップ表面の滑り止め構造10が有する凸状閉領域Aの配置は、従来のような周期的配列ではなく、ランダムで周期性を有する方向が存在しない非周期的パターンであるために、特定の方向に滑り易いということがなく、滑り止め性能の方向不均一性が解消し、滑り止め性能の方向均一性が得られる。
図14に示す実施形態のグリップ20は、グリップ20の本体部4の表面に、層状基体1Lを有し、この層状基体1Lの表面に上述した滑り止め構造10を形成してなる構造である。層状基体1Lは、滑り止め構造10に於ける基体部1である。こうした複層構成は、シート状物としての滑り止め構造10を、円柱状の本体部4の外周面に積層することで作成される。
このような構成の本実施形態では、グリップ表面とグリップ芯部とを別の材料にすることができるので、グリップ表面は例えばゴムなど専ら滑り止め性能を発揮する材料で構成し、グリップ芯部は例えば金属などグリップ自体の強度・形状を保つ材料で構成することができる。
〔D〕用途:
本発明によるグリップ表面の滑り止め構造10或いはグリップ20は、グリップ用途であれば特に制限はなく、例えば、ゴルフクラブの他、テニス、バトミントン、スカッシュ、卓球などのラケット、フェンシング、剣道などの剣、アーチェリー、弓道などの弓、或いはバット、釣竿などの各種スポーツ用具、自動車、オートバイ、自転車、電車、船舶、航空機など乗り物のハンドル(操縦桿、乃至操舵輪等)、鋤(すき)、鍬(くわ)、耕耘機などの農機具、スパナ、キリ、ノミ、ハンマー、彫刻刀などの工具、カメラ、双眼鏡、望遠レンズなどの光学機器、ピストル、ライフルなどの銃器、刀などの刀剣、包丁などの調理具、ステッキなどの用途がある。或いは、グリップとは逆にグリップする側の物として、手袋(内側面への適用)などでもよい。
1 基体部
1L 層状基体
1s 基体部の表面
2 溝状凹条部
2P 溝状凹条パターン
3 網目状凹凸
4 本体部
10 グリップ表面の滑り止め構造
20 グリップ
30 従来のグリップ表面の滑り止め構造
40 従来のグリップ
A 凸状閉領域
B 分岐点
BP 母点
L 境界線分
Lt ライン部(境界線分の集合)
S 単位パターン領域

Claims (4)

  1. 基体部表面に、溝状凹条部によって画成される多数の凸状閉領域からなる網目状凹凸を有し、
    前記溝状凹条部を上からみた平面視形状であり前記凸状閉領域を画成する溝状凹条パターンが、二つの分岐点の間を延びて前記凸状閉領域を画成する多数の境界線分から形成され、一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0≦N<4.0であり、且つ、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の凸状閉領域の面積及び形状は一定でない、グリップ表面の滑り止め構造。
  2. 上記凸状閉領域が、外側に向かって突出した曲面からなる請求項1に記載のグリップ表面の滑り止め構造。
  3. グリップの本体部を基体として、この基体の表面に請求項1または請求項2に記載の滑り止め構造を形成してなる、グリップ。
  4. グリップの本体部の表面に、層状基体を有し、この層状基体の表面に請求項1または請求項2に記載の滑り止め構造を形成してなる、グリップ。
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WO2023277000A1 (ja) * 2021-06-28 2023-01-05 直輝 西谷 涙袋支持具

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