JP2013063383A - 中空状多孔質膜用支持体および中空状多孔質膜 - Google Patents

中空状多孔質膜用支持体および中空状多孔質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】機械特性に優れるとともに、中空部の通水性にも優れる細径の中空状多孔質膜と、該中空状多孔質膜の製造に用いられ、製膜時にも潰れにくい細径の中空状多孔質膜用支持体を提供する。
【解決手段】糸を円筒状に丸編みした円筒状編紐を糸の溶融温度以下の温度で熱処理した細径中空状多孔質膜用支持体10であって、この支持体の厚みをL、外径をR、r=R−2Lとした場合において、比(r/R)を0.55〜0.73とする。この支持体10を用いることにより、機械特性と中空部の通水性に優れる中空状多孔質膜を支持体10が製膜時に潰れるなどの問題を伴うことなく製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空状多孔質膜用支持体と、該支持体を備えた中空状多孔質膜に関する。
近年、環境問題への関心が高まり、また、水質に関する規制が強化されていることから、分離の完全性、コンパクト性等に優れた濾過膜を用いた水処理が注目を集めている。該水処理の濾過膜としては、例えば、中空状多孔質膜が用いられている。該中空状多孔質膜には、優れた分離特性および透過特性のみならず、高い機械特性も必要とされる。機械特性に優れた中空状多孔質膜としては、糸を丸編みした円筒状編紐からなる中空状多孔質膜用支持体の外周面に多孔質膜層を設けた中空状多孔質膜が開示されている(特許文献1参照。)。該中空状多孔質膜は、支持体を2重管紡糸ノズルに連続的に通す際に、2重管紡糸ノズルから製膜原液を吐出し、支持体の外周面に製膜原液を塗布した後、製膜原液が塗布された支持体を凝固浴槽に通し、凝固浴槽内の凝固液で製膜原液を凝固させることにより製造される。
特開2008−114180号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている中空状多孔質膜は、機械特性には優れるものの中空部の通水性が悪いという問題があった。このように中空部の通水性が悪くなる現象は、ウィルス除去用として用いられるような外径の小さな中空状多孔質膜、すなわち、細径の中空状多孔質膜において、より顕著になる傾向がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、機械特性に優れるとともに、中空部の通水性にも優れる細径の中空状多孔質膜と、該中空状多孔質膜の製造に用いられ、製膜時にも潰れにくい細径の中空状多孔質膜用支持体の提供を目的とする。
本発明者は、ウィルス除去用として用いられるような細径の中空状多孔質膜においては、中空状多孔質膜用支持体として、その外径と見かけ上の内径との比率が特定の範囲にあるものを用いることによって、管内抵抗(中空部の抵抗)が低くなり、通水性の低下が抑制されるとともに、製膜時に支持体が潰れてしまうなどの問題も生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の中空状多孔質膜用支持体は、糸を円筒状に丸編みした円筒状編紐を前記糸の溶融温度以下の温度で熱処理した細径中空状多孔質膜用支持体であって、前記中空状多孔質膜用支持体の厚みをL、外径をR、r=R−2Lとした場合における比(r/R)が、0.55〜0.73である。
前記糸は、マルチフィラメントであり、繊度が100dtex以上1000dtex以下であることが好ましい。
前記繊度は、100dtex以上200dtex未満であることがさらに好ましい。
前記マルチフィラメントは、ポリエステル繊維であることが好ましい。
本発明の中空状多孔質膜は、本発明の細径中空状多孔質膜用支持体と、該支持体の外周面に設けられた多孔質膜層とを有する、外径が1.0〜2.7mmの細径の中空状多孔質膜である。
本発明によれば、械特性に優れるとともに、中空部の通水性にも優れる細径の中空状多孔質膜と、該中空状多孔質膜の製造に用いられ、製膜時にも潰れにくい細径の中空状多孔質膜用支持体とを提供できる。
本発明の細径中空状多孔質膜用支持体の一例を示す側面図である。 図1の細径の中空状多孔質膜用支持体の横断面図である。 支持体製造装置の一例を示す概略構成図である。 中空状多孔質膜製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<細径中空状多孔質膜用支持体>
図1は、本発明の細径の中空状多孔質膜用支持体(以下、支持体という場合がある。)の一例を示す側面図である。
この支持体10は、糸を円筒状に丸編みした円筒状編紐を糸の溶融温度以下の温度で熱処理したものであって、支持体の厚みをL、外径をR、r=R−2Lとした場合における比((R−2L)/R)の値、すなわち、比(r/R)が0.55〜0.73の範囲にあるものである。
なお、丸編みとは、丸編機を用いて筒状のよこメリヤス生地を編成することであり、糸を円筒状に丸編みした編紐とは、糸を湾曲させて螺旋状に伸びる連続したループを形成し、これらループを前後左右に互いに関係させたものである。
ここで外径Rとは、図2に示すように、支持体10の外径のうちの最大である部分の長さをいう。すなわち、支持体10の外周面には凹凸があるが、凸の部分同士を中心を通るように結び、その長さを外径Rとして採用する。
一方、支持体10の厚みLとは、図2に示すように、支持体10の径方向の厚みのうちの最大である部分の長さをいう。すなわち、まず、編紐である支持体10の外周面および内周面には凹凸があるが、凸の部分同士を径方向で結び、その長さを厚みLとして採用する。さらに、このように凸の部分同士を径方向で結んだ長さも、この支持体10が編紐であって編み込みに伴うねじれがあることに起因して、通常、周方向に斑がある。よって、そのような斑のうち、最も大きな長さ(最も厚い部分)を厚みLとして採用する。
外径Rや厚みLは、次の方法で測定できる。
まず、長さ10cm程度の支持体10を数本束ねて、その外側全体をポリウレタン樹脂で覆うとともに、各支持体10の中空部にもポリウレタン樹脂を充填し、硬化させる。ついで、硬化した束を支持体10の径方向に沿って、その長手方向の長さが約0.5mmとなるようにスライスし、薄片状のサンプルを得る。ついで、このサンプルの断面の光学像を投影機を用いて例えば100倍の倍率でスクリーンに投影し、投影された像において外径R、厚みLを読み取る。
また、実際の測定においては、同じ編紐からランダムに少なくとも3箇所を切り出して、少なくとも3つのサンプルを得て、各サンプルについて、上述の方法により外径R、厚みLを読み取り、これらの平均値を外径R、厚みLとして採用する。
そして、本発明者は、R−2L=rと定義するとともに、比(r/R)が限られた特定の範囲にある支持体10によれば、特に細径の中空状多孔質膜を製造するにあたって、製膜時に潰れにくく、しかも、中空部の通水性に優れる細径の中空状多孔質膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
なお、rは、支持体10の見かけ上の内径に相当する。支持体10は編紐からなり、しかも細径であるため、内径を直接測定することには困難が伴う。そこで、本発明においては、支持体10の外径と厚みとから、見かけ上の内径を定義している。
すなわち、比(r/R)が0.55以上であれば、支持体10の管内抵抗が低減され、管内抵抗による通水性の低下を抑制することができる。好ましい比(r/R)は0.60以上である。一方、比(r/R)が大きくなると、支持体10が径方向に潰れやすくなり、支持体10上への製膜が困難となる。よって、比(r/R)は0.73以下であり、好ましくは0.70以下である。
支持体10を備えた中空状多孔質膜の外径は、良好な透水性能を得る観点から細径、すなわち、1.0〜2.7mmである。また、ウイルス等の除去効率との観点から、1.3〜2.0mmがより好ましい。このような中空状多孔質膜の外径からすると、支持体10の外径は、0.7〜2.5mmが好ましく、1.2〜1.7mmがより好ましい。
糸の繊度は、中空状多孔質膜の耐久性の点からは、100〜1000dtexが好ましく、特に支持体10の厚みを制御し、それにより比(r/R)を0.55〜0.73の範囲に制御する観点からは、100dtex以上200dtex未満がより好ましく、さらには100〜180dtexが好ましい。繊度が高い糸を使用すると、支持体10は潰れにくくなるが、その厚みLが増し、比(r/R)が小さくなる。よって、糸の繊度をより好ましくは100dtex以上200dtex未満、さらに好ましくは100〜180dtexと小さくすることによって、比(r/R)を上記範囲として、通水性に優れ、潰れにくい支持体10とすることができる。
糸の形態としては、マルチフィラメント、モノフィラメント、紡績糸等が挙げられるが、マルチフィラメントであると、比(r/R)を0.55〜0.73の範囲に制御しやすいため、糸の形態はマルチフィラメントが好ましい。
糸の材料としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。糸は、複数種類の繊維を組み合わせたものであってもよい。
合成繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステル系繊維;ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニリデン系繊維;ポリ塩化ビニル系繊維:ポリウレタン系繊維;フェノール樹脂系繊維;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系繊維;ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維等が挙げられる。
半合成繊維としては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース誘導体系繊維:プロミックスと呼称される蛋白質系繊維等が挙げられる。
再生繊維としては、ビスコース法、銅−アンモニア法、有機溶剤法等により得られるセルロース系再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等。)が挙げられる。天然繊維としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
これらのなかでは、耐薬品性に優れる点から、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維からなる群から選ばれる1種が好ましく、中空状多孔質膜の洗浄に用いられる次亜塩素酸塩(例えば次亜塩素酸ナトリウム。)に対する耐性が優れる点では、ポリエステル系繊維が特に好ましい。
<中空状多孔質膜用支持体の製造方法>
図3は、支持体10の製造に用いられる支持体製造装置の一例を示す概略構成図である。支持体製造装置20は、複数のボビン22と、ボビン22から引き出された糸16を丸編する丸編機24と、丸編機24によって編成された円筒状編紐12を一定の張力で引っ張る紐供給装置26と、円筒状編紐12を熱処理する金型28と、円筒状編紐12を熱処理して得られた支持体10を引き取る引取り装置30と、支持体10をボビンに巻き取る巻取り機32とを具備する。
丸編機24は、回転可能な円筒状のシリンダと、該シリンダの内側に配置された回転しないスピンドルと、該スピンドルの外円周上に配置された複数のメリヤス針とを有して構成される。円筒状編紐12の外径R、厚みL、編目の数および大きさは、上述したように、糸の形態や繊度によっても決まるが、メリヤス針の数、メリヤス針を配置するスピンドルの円周直径によっても左右される。
金型28は、金属製のブロック、プレート等からなる本体と、加熱手段とを有して構成される。加熱手段としては、バンドヒーター、アルミ鋳込みヒーター等が挙げられる。金型28の本体には、円筒状編紐12が通過する貫通孔が形成されている。
紐供給装置26および引取り装置30としては、ネルソンロール、ニップロール、カレンダーロール等が挙げられる。ニップロールは円筒状編紐12をつぶすおそれがあるため、ネルソンロールまたはカレンダーロールが好ましい。
以下、支持体製造装置20を用いた支持体10の製造方法を説明する。
支持体10は、下記(a)工程と下記(b)工程を有する製造方法によって製造される。
(a)糸16を丸編して円筒状編紐12を編成する工程。
(b)前記円筒状編紐12を、糸の溶融温度以下の温度で熱処理する工程。
(a)工程:
円筒状編紐12は、丸編機24を用いて編成される。
製紐速度は、円筒状編紐12の形状により若干変わるが、シリンダの回転数によってほぼ決まる。シリンダ回転数は、1〜4000rpmに設定可能であり、安定して編成できる点から、100〜3000rpmが好ましい。この際の製紐速度は、およそ6〜200m/hrである。
(b)工程:
円筒状編紐12は、その構造上、伸縮性を有している。よって、円筒状編紐12に熱処理を施すことによって、円筒状編紐12の伸縮性(外径変化)を抑制することが好ましい。また、円筒状編紐12に熱処理を施すことによって、円筒状編紐12が潰れにくくなる。円筒状編紐12は、金型28を通過するとき、熱処理されて熱収縮を起こし、伸縮性が抑制されるとともに、編目が緻密になり、円筒状編紐12が潰れにくくなる。
熱処理の温度t(℃)は、糸16の溶融温度以下の温度であることが必要であり、好ましくは、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)とする。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)
(式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。)
糸16の材料がポリエステル系繊維の場合、材料のTmにもよるが、温度tは180〜250℃が好ましく、190〜230℃がより好ましい。
なお、図示例では、ボビン22は3つであるが、ボビンは1つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、糸16は、複数のボビンから供給して合糸してもよい。合糸することにより、所望の繊度およびフィラメント数の糸を供給できる。また、同じ種類の糸でも、熱収縮性等の性状の異なる糸を合糸したり、種類の異なる糸を合糸したりすることにより、円筒状編紐12の性状を変えてもよい。
また、糸16の熱収縮率が小さい場合、紐供給装置26を設置しなくてもよい。この場合、円筒状編紐12の熱収縮により丸編機24と金型28との間にダンサーロール等を配置して張力を一定に保つとよい。
<中空状多孔質膜>
本発明の中空状多孔質膜は、本発明の細径中空状多孔質膜用支持体と、該支持体の外周面に設けられた多孔質膜層とを有するものである。
多孔質膜層の材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられ、耐薬品性、耐熱性等の点から、ポリフッ化ビニリデン、またはポリフッ化ビニリデンとポリビニルピロリドンとの組み合わせが好ましい。
多孔質膜層は、単層であってもよく、2層以上の複合多孔質膜層であってもよい。多孔質膜層の膜厚は、50〜350μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
また、本発明の中空状多孔質膜は、ウイルス除去用に好適に使用される。
<中空状多孔質膜の製造方法>
中空状多孔質膜は、多孔質膜層が2層の複合多孔質膜層の場合、下記(i)〜(vii)工程を有する製造方法によって製造される。
(i)支持体の外周面に製膜原液を塗布する工程。
(ii)支持体に塗布された製膜原液を凝固させて、第1の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜前駆体を得る工程。
(iii)中空状多孔質膜前駆体の外周面に製膜原液を塗布する工程。
(iv)中空状多孔質膜前駆体に塗布された製膜原液を凝固させて、第2の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜を得る工程。
(v)中空状多孔質膜を洗浄する工程。
(vi)中空状多孔質膜を乾燥する工程。
(vii)中空状多孔質膜を巻き取る工程。
図4は、(i)〜(ii)工程に用いられる中空状多孔質膜製造装置の一例を示す概略構成図である。中空状多孔質膜製造装置40は、巻き出し装置(図示略)から連続的に供給された支持体10に、連続的に製膜原液を塗布する2重管紡糸ノズル42と、2重管紡糸ノズル42に製膜原液を供給する原液供給装置44と、支持体10に塗布された製膜原液を凝固させる凝固液が入った凝固浴槽46と、製膜原液が塗布された支持体10を凝固浴槽46に連続的に導入するガイドロール48とを具備する。
(i)工程:
2重管紡糸ノズル42の中央には、支持体10が通過する管路が形成されている。管路の途中には、管路の円周方向にスリット状の製膜原液吐出口が形成され、製膜原液を吐出する構造となっている。支持体10が管路を通過する際、原液供給装置44から製膜原液が一定量で供給され、支持体10の外周面に製膜原液が塗布されて所定の膜厚の塗膜が形成される。
2重管紡糸ノズル42の管路の内径は、支持体10の外径より若干大きく、2重管紡糸ノズル42の管路の内周面と支持体とは一定の間隙を有する。該間隙は、塗膜の厚さ、製膜原液の粘度、支持体の走行速度等によって決まる。
製膜原液は、上述の多孔質膜層の材料と溶剤とを含む液である。溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルー2−ピロリドン等が挙げられ、形成される多孔質膜層の透水性が高い点から、N,N−ジメチルアセトアミドもしくはN−メチルー2−ピロリドンが好ましい。
(ii)工程:
凝固浴槽46内の凝固液と製膜原液の塗膜とを接触させ、製膜原液を凝固させて、第1の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜前駆体18を得る。凝固液としては、製膜原液の溶剤と同じ溶剤を含む水溶液が好ましい。製膜原液の溶剤がN,N−ジメチルアセトアミドの場合、溶剤の濃度は、凝固液(100質量%)中、1〜50質量%が好ましい。凝固液の温度は、50〜90℃が好ましい。
なお、(ii)工程と(iii)工程との間でも、後述の(v)〜(vii)工程を行ってもよい。
(iii)〜(iv)工程:
(i)〜(ii)工程で用いた装置と同様の装置を用い、(i)〜(ii)工程と同様な条件にて、中空状多孔質膜前駆体18の外周面に第2の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜を得る。(iii)工程においては、製膜原液(2)として内部凝固液を用いてもよい。内部凝固液としては、グリセリン、アルコール類、エチレングリコール等が挙げられる。
(v)工程:
例えば、中空状多孔質膜を60〜100℃の熱水中で洗浄して溶剤を除去し、ついで、次亜塩素酸等の薬液で洗浄し、ついで、60〜100℃の熱水中で洗浄して薬液を除去する。
(vi)〜(vii)工程:
中空状多孔質膜を、60℃以上110℃未満で、1分以上24時間未満乾燥した後、ボビン、カセ等に巻き取る。
このようにして得られた中空状多孔質膜は、円筒状編紐10が熱処理され、比(r/R)が0.55〜0.73である支持体10を備えているため、機械特性に優れるとともに、外径が1.0〜2.7mmという細径でありながら管内抵抗による通水性の低下が抑制され、通水性(透水性能)に優れる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明する。
(支持体の外径および厚み)
支持体の外径R、厚みLは、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(中空糸膜の長手方向の長さに相当。)約0.5mmの薄片をサンプリングした。次に、サンプリングした支持体の断面の光学像を投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用いて、倍率100倍(対物レンズ)にてスクリーンに投影し、投影された像から支持体10の外径R、厚みLをそれぞれ読み取った。
ここで、外径Rとは、先に記載したとおり、支持体10の外周面にある凹凸のうち、凸の部分同士を中心を通るように結んだ線の長さである。
厚みLについても、先に記載したとおり、支持体10の外周面および内周面にある凸の部分同士を径方向で結んだ線の長さである。なお、このように測定される長さは、支持体10が編紐であって編み込みに伴うねじれがあることに起因して、周方向に斑があるため、このような斑のうち、最も大きな長さ(最も厚い部分)を厚みLとして採用した。
このような各測定を、同じ編紐からランダムに切り出された3つのサンプルについて行い、平均値を算出して、外径R、厚みLとして採用した。
(支持体のr値)
上述のように実施した3回の各測定において、外径から厚みを2倍した数値を引き、得られた3つの数値の平均値をrとした。
(支持体の比(r/R))
上述のようにして求められたrと外径Rとから、比(r/R)を算出した。
(中空状多孔質膜の透水性能AおよびB)
中空状多孔質膜の透水性能は、以下の方法で測定した。
(1)測定するサンプルを4cmに切断し、ポリウレタン樹脂で片端面の中空部を封した。次にエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面と容器とをチューブで繋ぎ、容器に100kPaの空気圧をかけることにより、サンプルの孔から純水を流出させ、出た純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、1MPaの圧力に換算した値を透水性能Aとした。
(2)測定するサンプルを165cmに切断し、ポリウレタン樹脂で片端面の中空部を封した。次にエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面をチューブポンプに繋ぎ、吸引圧20kPaにて、サンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、1MPaの圧力に換算した値を透水性能Bとした。
[実施例1]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。 糸16としては、ポリエステル繊維(マルチフィラメント、繊度:111dtex、フィラメント数:48、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを220℃とした。
得られた支持体10の外径Rは1.38mm、厚みLは0.27mm、rは0.84mmであり、比(r/R)は0.61であった。
[実施例2]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。 糸16としては、ポリエステル繊維(マルチフィラメント、繊度:333dtex、フィラメント数:144、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを200℃とした。
得られた支持体10の外径Rは2.48mm、厚みLは0.41mm、rは1.66mmであり、比(r/R)は0.67であった。
[実施例3]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。
糸16としては、ポリエステル繊維(マルチフィラメント、繊度:111dtex、フィラメント数:48、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを220℃とした。 得られた支持体10の外径Rは1.58mm、厚みLは0.21mm、rは1.16mmであり、比(r/R)は0.73であった。
[実施例4]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。
糸16としては、ポリエステル繊維(マルチフィラメント、繊度:167dtex、フィラメント数:36、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを210℃とした。 得られた支持体10の外径Rは1.47mm、厚みLは0.28mm、rは0.91mmであり、比(r/R)は0.62であった。
得られた支持体10に下記方法にて多孔質膜を形成した。得られた中空状多孔質膜の外径および透水性能を表1に示す。
(第1の製膜原液の調製)
ポリフッ化ビニリデン(質量平均分子量:6×10)の16.2質量%と、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量:4×10)の11.4質量%と、溶媒であるN−メチルピロリドンの72.4質量%を60℃にて撹拌混合して、第1の製膜原液を得た。
(第2の製膜原液の調製)
ポリフッ化ビニリデン(質量平均分子量:1.1×10)の18.3質量%と、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量:4×10)の8.3質量%と、溶媒であるN−メチルピロリドンの73.4質量%を60℃にて撹拌混合して、第2の製膜原液を得た。
(中空状多孔質膜の製造)
図4に示す製造装置を用いて中空状多孔質膜を製造した。
第1の製膜原液を、第1の2重管紡糸ノズル42の外層部へ送液し、該ノズルの内層部より導いた中空編紐の外周部に塗布した後、N−メチルピロリドン水溶液(凝固液)で満たされている第1の凝固浴槽46へ導き、固化させて第1次膜を形成した。
次いで、第2の製膜原液を、第1の製膜原液同様に、第1次膜に塗布し凝固することで第2次膜を得た。
得られた第2次膜については、下記の工程αを3回繰り返し、膜中に残存するポリビニルピロリドンを洗浄、除去した。洗浄の後に、105℃に熱した乾燥炉にて第2次膜中に残存する水分を蒸発させて乾燥し、中空状多孔質膜を得た。
工程α:13質量%で常温の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、ついで100℃の水蒸気雰囲気中に滞在させ、ついで90℃の温水中に浸漬する。
[比較例1]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。 糸16としては、ポリエステル繊維(捲縮糸、繊度:167dtex、フィラメント数:36、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを210℃とした。
得られた支持体10の外径Rは1.47mm、厚みLは0.34mm、rは0.79mmであり、比(r/R)は0.54であった。
得られた支持体10に、実施例4と同様にして多孔質膜を形成し、中空状多孔質膜を得た。ただし、第1の製膜原液としては、下記のように調製されたものを用いた。得られた中空状多孔質膜の外径および透水性能を表1に示す。
(第1の製膜原液の調製)
ポリフッ化ビニリデン(質量平均分子量:6×10)の19.3質量%と、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量:4×10)の11.0質量%と、溶媒であるN−メチルピロリドンの69.7質量%を常温にて撹拌混合して、第1の製膜原液を得た。
[比較例2]
図3に示す支持体製造装置20を用いて、糸16を丸編して円筒状編紐12を編成し、ついで、円筒状編紐12を糸の溶融温度以下の温度tで熱処理して、支持体10を得た。 糸16としては、ポリエステル繊維(捲縮糸、繊度:111dtex、フィラメント数:48、Tm:260℃)を用いた。金型28の温度tを165℃とした。
得られた支持体10の外径Rは1.76mm、厚みLは0.23mm、rは1.30mmであり、比(r/R)は0.74であった。
得られた支持体10に、比較例1と同様にして多孔質膜の形成を試みたが、製膜工程中にて支持体が潰れたため、中空状多孔質膜を得ることはできなかった。
Figure 2013063383
表1に示すように、比(r/R)が0.55〜0.73である実施例の中空状多孔質膜は、膜長が大きな場合(透水性能B)でも透水性能に優れていた。また、製膜工程中にて支持体が潰れず、問題なく中空状多孔質膜を得ることができた。
10 細径中空状多孔質膜用支持体
12 円筒状編紐
16 糸

Claims (5)

  1. 糸を円筒状に丸編みした円筒状編紐を前記糸の溶融温度以下の温度で熱処理した中空状多孔質膜用支持体であって、
    前記中空状多孔質膜用支持体の厚みをL、外径をR、r=R−2Lとした場合における比(r/R)が、0.55〜0.73である、細径中空状多孔質膜用支持体。
  2. 前記糸は、マルチフィラメントであり、繊度が100dtex以上1000dtex以下である、請求項1に記載の細径中空状多孔質膜用支持体。
  3. 前記繊度は、100dtex以上200dtex未満である、請求項2に記載の細径中空状多孔質膜用支持体。
  4. 前記マルチフィラメントは、ポリエステル繊維である、請求項2または3に記載の細径中空状多孔質膜用支持体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の細径中空状多孔質膜用支持体と、該支持体の外周面に設けられた多孔質膜層とを有する、外径が1.0〜2.7mmの中空状多孔質膜。
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