JP2013061006A - 金属部材と合成樹脂部材の接合構造 - Google Patents

金属部材と合成樹脂部材の接合構造 Download PDF

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知仙 山田
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Abstract

【課題】自動車用部品において、シーラ部材を使用して、接着強度とシール性を向上させる金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造を提供する。
【解決手段】自動車用部品の金属部材4と合成樹脂部材10を接合する接合構造において、合成樹脂部材10の金属部材4と当接する当接面11には、金属インサート13を略全周に亘り埋設する。金属インサート13は合成樹脂部材の当接面11から端面が露出し、金属インサート13の露出面と金属部材4との間にシーラ部材12を塗布し、金属インサート13が埋設された部分からボルト14を金属部材4にねじ込んで金属部材4と合成樹脂部材10を接合する接合構造である。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動車用部品において、シーラ部材を用いて、金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造に関するものである。例えば、自動車のエンジン本体とタイミングチェーンカバー及びオイルパンとの接合等に使用される接合構造に関するものである。
従来、自動車のエンジンにおいて、エンジン本体とタイミングチェーンカバーの接合や、エンジン本体とオイルパンの接合等において、耐熱性を有するとともに、接合強度を向上させ、シール性を確保するために、それらの間に所定の肉厚を有するシーラ部材を使用している。
従来、このタイミングチェーンカバーやオイルパンは、エンジン本体と同様に金属で形成されていたが、車両の軽量化の要請のため、合成樹脂を使用することが検討されている。また、他の金属部材と金属部材の接合構造においても、軽量化やコストダウンのため、一方の金属部材が合成樹脂部材に置き換わり、金属部材と合成樹脂部材の接合が使用されることが増加している。
そして、図10に示すように、合成樹脂部材であるタイミングチェーンカバー110を金属部材であるシリンダブロック4に取付ける場合には、シーラ部材112は、金属部材(110,4)とは接着強度が大きいが、合成樹脂との接着強度が低く、金属部材と合成樹脂部材をシーラ部材112で接合するために、合成樹脂部材とシーラ部材112の接合強度を向上させることが望まれていた。また、自動車用エンジン部品において、合成樹脂部材は、耐熱性を必要とするため、使用する材料に制限があった。
合成樹脂部材の接着力を向上させるために、合成樹脂の表面をショットブラストやサンドペーパによって表面を粗面化して、アンカー効果により接着力を向上させることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。この場合は、樹脂部材と樹脂シート、即ち合成樹脂同士を接着するものであり、接着剤層を薄層で塗布するものであり、ペースト状で所定の肉厚を有するシーラ部材を使用するものとは異なっている。
また、図9に示すように、オイルパン120をエンジン本体に取付ける場合において、オイルパン120のエンジン本体との当接面121にオイルパンガスケット125を取付けて、オイルパンガスケット125に設けたボルト孔126を通過するボルト(図示せず)でエンジン本体とオイルパンガスケット125をボルト締めすると共に、その間のシール性を確保していた(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、エンジン本体とオイルパンガスケット125はともに金属製であり、容易にボルト締め可能であった。
しかしながら、上述のように、イミングチェーンカバーやオイルパンを合成樹脂で作成する場合には、ボルト締めにおいて、合成樹脂部材の強度が問題となる。
特開2010−58485号公報 特開2001−280500号公報
そのため、本発明は、自動車用部品において、シーラ部材を使用して、接着強度とシール性を向上させる金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車用部品の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造において、
合成樹脂部材の金属部材と当接する当接面には、金属インサートを略全周に亘り埋設し、金属インサートは合成樹脂部材の当接面から端面が露出し、金属インサートの露出面と金属部材との間にシーラ部材を塗布し、金属インサートが埋設された部分からボルトを金属部材にねじ込んで金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項1の本発明では、合成樹脂部材の金属部材と当接する当接面には、金属インサートを略全周に亘り埋設しているため、合成樹脂部材の金属部材と当接する当接面及び合成樹脂部材の先端部分の剛性と耐久性を向上させることができ、接合部分の接合面の寸法精度を向上させ、合成樹脂部材の割れや変形を防止して、確実に合成樹脂部材を金属部材に取付けることができる。
金属インサートは合成樹脂部材の当接面から端面が露出し、金属インサートの露出面と金属部材との間にシーラ部材を塗布した。このため、シーラ部材により金属インサートと金属部材との接着の強度を大きくすることができ、合成樹脂部材を金属部材に強く接合させることができる。
金属インサートが埋設された部分からボルトを金属部材にねじ込んで金属部材と合成樹脂部材を接合するため、ボルトを金属部材にねじ込んでも、金属インサートによりボルト閉めの荷重を分散して、合成樹脂部材が変形や破損することがなく、シーラ部材を強く挟持してシール性を確保することができる。
請求項2の本発明は、インサートは、合成樹脂部材の当接面に全周に連続して埋設された金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項2の本発明では、インサートは、合成樹脂部材の当接面に全周に連続して埋設されたため、合成樹脂部材の当接面は、剛性が大きく、熱変形することも少なく、接合面の寸法精度を向上させ、シール性を向上させることができる。また、ボルトの締め付けにおいても、当接面が金属部材に対して荷重が分散して、締め付けられ、金属部材に安定して取付けられる。
請求項3の本発明は、金属インサートは、合成樹脂部材の当接面に複数の切断された短片を、全周亘り間隔をおいて埋設された金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項3の本発明では、金属インサートは、合成樹脂部材の当接面に複数の切断された短片を、全周亘り間隔をおいて埋設されたため、金属インサートをボルト締めの必要部分やコーナー部の補強部分に埋設させて、合成樹脂部材の剛性を向上させることができる。また、金属インサートの重量を少なくして、合成樹脂部材の軽量化を図ることができるとともに、ボルトの締め付けにおいても、金属インサートが合成樹脂部材の変形や破損を防止することができる。
請求項4の本発明は、金属部材は、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、合成樹脂部材はタイミングチェーンカバー又はオイルパンである金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項4の本発明では、金属部材は、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、合成樹脂部材はタイミングチェーンカバー又はオイルパンである。タイミングチェーンカバー又はオイルパンを合成樹脂で形成したため、エンジンを軽量化することができる。タイミングチェーンカバー又はオイルパンに金属インサートを埋設したため、シリンダブロック及びシリンダヘッドとタイミングチェーンカバー又はオイルパンを強固にボルトでネジ込み、シーラ部材を強く挟持することができるとともに、エンジンの熱でシーラ部材やタイミングチェーンカバーやオイルパンが劣化することがない。
請求項5の本発明は、金属インサートは、表面を凹凸模様、シボ模様、酸化皮膜処理又は発泡状態である金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項5の本発明では、金属インサートは、表面を凹凸模様、シボ模様、酸化皮膜処理又は発泡状態であるため、合成樹脂部材に埋設されると、金属インサートは合成樹脂部材との接着面積が増加し、或いは接着強度が増加して、アンカー効果等により金属インサートと合成樹脂部材の接着強度が増大することができる。
請求項6の本発明は、金属インサートは、合成樹脂部材の当接面に露出した部分よりも、合成樹脂部材に埋設された部分が大きい金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項6の本発明では、金属インサートは、合成樹脂部材の当接面に露出した部分よりも、合成樹脂部材に埋設された部分が大きいため、いわゆるアンカー効果により、金属インサートが合成樹脂部材に埋設された部分が、強く保持されて、金属インサートが合成樹脂部材から外れることがない。
請求項7の本発明は、金属インサートの合成樹脂部材に埋設された表面に接着剤層が形成された金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項7の本発明では、金属インサートの合成樹脂部材に埋設された表面に接着剤層が形成されたため、接着剤層により金属インサートは合成樹脂部材と強く接着され、強く合成樹脂部材内で保持される。
請求項8の本発明は、金属部材及び金属インサートは、アルミニウム製、鉄製又はステンレススチール製であり、合成樹脂部材はエンジニアリングプラスチック製であり、シーラ部材は、シリコーンゴム系のペースト状である金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造である。
請求項8の本発明では、金属部材及び金属インサートは、アルミニウム製、鉄製又はステンレススチール製であり、合成樹脂部材はエンジニアリングプラスチック製であり、シーラ部材は、シリコーンゴム系のペースト状である。金属部材及び金属インサートは、アルミニウム製、鉄製又はステンレススチール製のため、シーラ部材との接合力が大きく、剛性と耐熱性が高い。合成樹脂部材はエンジニアリングプラスチック製のため、成形が容易であるとともに、耐熱性、耐久性、剛性に優れた製品を得ることができる。
シーラ部材は、シリコーンゴム系のペースト状であるため、接着強度が大きく、耐熱性、耐久性に優れた製品を得ることができるとともに、重量を軽減して、軽量化を達成することができる。
合成樹脂部材の金属部材と当接する当接面には、金属インサートを略全周に亘り埋設しているため、合成樹脂部材の金属部材と当接する当接面及び合成樹脂部材の先端部分の剛性と耐久性を向上させることができる。
金属インサートは合成樹脂部材の当接面から端面が露出し、金属インサートの露出面と金属部材との間にシーラ部材を塗布したため、シーラ部材により金属インサートと金属部材との接着の強度を大きくすることができる。
金属インサートが埋設された部分からボルトを金属部材にねじ込んで金属部材と合成樹脂部材を接合するため、ボルトを金属部材にねじ込んでも合成樹脂部材が変形や破損することがなく、シーラ部材を強く挟持してシール性を確保することができる。
本発明の実施の形態で使用する自動車用エンジンの側面図である。 本発明の実施の形態で使用するタイミングチェーンカバーのシリンダブロックとの当接面に金属インサートを埋設した状態の平面図である。 本発明の実施の形態で使用するオイルパンのシリンダブロックとの当接面に金属インサートを埋設した状態の平面図である。 本発明の他の実施の形態で使用するオイルパンのシリンダブロックとの当接面に金属インサートを埋設した状態の平面図である。 本発明の実施の形態であるタイミングチェーンカバーとシリンダブロックとの当接状態の断面図である。 本発明の実施の形態であるタイミングチェーンカバーとシリンダブロックとの当接部分の部分拡大断面図である。 本発明の他の実施の形態であるタイミングチェーンカバーとシリンダブロックとの当接部分の部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態において、合成樹脂部材とシーラ部材との接着強度と金属部材とシーラ部材との接着強度を示すグラフである。 従来の合成樹脂部材と金属部材の接合部分の拡大断面図である。 従来のオイルパンのシリンダブロックとの当接面の部分拡大平面部である。
本発明の実施の形態について、シーラ部材を使用して、自動車のエンジン1のダイキャスト製のシリンダヘッドカバー2とシリンダヘッド3に、合成樹脂製のタイミングチェーンカバー10とオイルパン20を接続する場合を例にとり、図1〜図8に基づき、自動車用エンジン部品においてシーラ部材を使用して金属部材と合成樹脂部材を接合する接続構造について説明する。
なお、本発明のシーラ部材を使用した金属部材と合成樹脂部材の接続構造は、上記以外にも、他の自動車用エンジン部品における金属部材と合成樹脂部材を接合する場合にも使用することができる。
図1は、自動車のエンジン1における側面図であり、エンジン1は、シリンダヘッドカバー2と、その下にシリンダヘッド3と、さらにその下に、シリンダブロック4が一体的に組み立てられている。シリンダヘッド3の内部には、吸気カムプーリ7と排気カムプーリ8が取付けられている。
シリンダブロック4にはクランクプーリ6が設けられて、吸気カムプーリ7と排気カムプーリ8の先端に取付けられたギヤとクランクプーリ6の先端に取付けられたギヤにタイミングチェーン5が掛けられている。クランクプーリ6は、エンジンピストンが取付けられたクランクシャフト9と連結されている。
このシリンダヘッドカバー2、シリンダヘッド3及びシリンダブロック4は、鉄(鋳鉄)アルミニウム、マグネシウム、ステンレススチール、或いはこれらを含む合金で形成されている。
タイミングチェーンカバー10は、タイミングチェーン5が取付けられたシリンダヘッド3及びシリンダブロック4の側面を覆うように取付けられている。
図1と図2に示すように、タイミングチェーンカバー10は、外周面がシリンダヘッド3及びシリンダブロック4の外周部に当接するように当接面11を形成している。これにより、タイミングチェーンカバー10でタイミングチェーン5を完全に覆い、シールすることができる。当接面11には、後述するように表面に金属インサート13が埋設されて、シーラ部材であるシーラ12が塗布されている。
タイミングチェーンカバー10は、耐熱性の合成樹脂で形成されている。このため、エンジン1の重量を低減させることができるとともに、エンジンの熱により変形や劣化をすることが少ない。
耐熱性の合成樹脂として、エンジニアリングプラスチックを使用し、例えばポリアミド樹脂であるナイロン66、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12等及びポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート等を使用することができる。合成樹脂は、ホモポリマーでも、2種以上のコポリマーでもよい。
ポリアミド樹脂及び他の合成樹脂においても、無機充填剤を使用することができる。無機充填剤として、例えばガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状充填剤や、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ等の粉末状充填剤を使用することができる。無機充填剤を使用すると、耐熱性や剛性を向上させることができる。ガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状充填剤を使用すると耐衝撃性や弾力性が向上する。
図1と図2に示すように、オイルパン20は、シリンダブロック4の下面に取付けられている。オイルパン20はオイルを貯油できるように凹んで形成され、外周部は、シリンダブロック4の下面に当接するように当接面21が形成されている。当接面21には、タイミングチェーンカバー10と同様に表面に金属インサート13が埋設されて、シーラ22が塗布されている。
オイルパン20も上記と同様の耐熱性の合成樹脂を使用することができ、無機充填剤を使用することができる。
シーラ部材であるシーラ12、22は、ペースト状の粘性の高いシリコーンゴム系の材料で形成されている。このシーラ12、22は、例えばFIPG(Formed In Place Gasket)と呼ばれるガスケットが使用される。
FIPGのシーラ12、22を使用して、合成樹脂(ナイロン66)と金属(鉄)とのそれぞれの接着強度(せん断強度:MPa)を比較したものを図8に示す。図8に示すように、FIPGは金属との接着強度の方が合成樹脂との接着強度よりも非常に大きいため、後述する金属インサート13を埋設してシリンダブロック4と接着すると、大きな接着力を得ることができる。
シーラ12、22は、タイミングチェーンカバー10やオイルパン20に塗布するときは、粘性を有するため、すぐに垂れることがなく、塗布後には弾性を有して固まることができる。このため、タイミングチェーンカバー10やオイルパン20とシリンダブロック4の間をシールして、オイルが外部に漏出することを防止できる。
シーラ部材であるシーラ12、22は、例えばシリコーンゴム系の他に、ブチルゴム、ポリウレタン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等のゴム系の材料を使用することができる。
次に、合成樹脂部材であるタイミングチェーンカバー10とオイルパン20の当接面11、21に埋設された金属インサート13、23について説明する。
まず、図2に基づき本願発明の第1の実施の形態であるタイミングチェーンカバー10に金属インサート13を埋設した状態を説明する。
図2は、タイミングチェーンカバー10をシリンダブロック4との当接面11側からみた平面図であり、図5は、タイミングチェーンカバー10とシリンダブロック4の接合部分の断面図である。
タイミングチェーンカバー10の当接面11には金属インサート13が埋設されて、金属インサート13は、タイミングチェーンカバー10の当接面11からシリンダブロック4やシリンダヘッド3と対向する端面が露出している。
この金属インサート13の端面にシーラ部材であるシーラ12が塗布されて、金属部品であるシリンダブロック4やシリンダヘッド3とタイミングチェーンカバー10とを接着している。このため、シーラ12により金属インサート13とシリンダブロック4やシリンダヘッド3とタイミングチェーンカバー10との接着の強度を大きくすることができ、金属インサート13とシリンダブロック4やシリンダヘッド3に強く保持させることができる。
そして、図6と図7に示すように、タイミングチェーンカバー10の金属インサート13が埋設された部分からボルト14をシリンダブロック4やシリンダヘッド3にねじ込んでシリンダブロック4やシリンダヘッド3とタイミングチェーンカバー10を接合する。このため、ボルト14をシリンダブロック4やシリンダヘッド3にねじ込んでも金属インサート13により、タイミングチェーンカバー10が変形や破損することがなく、シーラ12を強く挟持してシール性を確保することができる。
なお、ボルト14は、図6と図7に示すように、シーラ12と接触するようにしてもよく、或いは、シーラ12と接触しないように離してねじ込んでもよい。
タイミングチェーンカバー10とシリンダブロック4の接合部分では、金属インサート13は、図6に示すように、タイミングチェーンカバー10の当接面11に全周に連続して埋設されている。金属インサート13は、金属の平板状で、且つ環状に形成されて、タイミングチェーンカバー10の当接面11にその端面が露出している。
このため、タイミングチェーンカバー10の当接面11は、全周に亘り金属インサート13で補強されて、剛性が大きく、熱変形することも少ない。全周に亘り金属インサート13が埋設されているため、当接面11の面精度が向上して、タイミングチェーンカバー10とシリンダブロック4の接合部分のシール性を向上させることができる。
また、ボルト14の締め付けにおいても、金属インサート13により締め付け力が分散し、当接面11がシリンダブロック4やシリンダヘッド3に対して一体的に締め付けられ、当接面11に局部的に歪が生じることなく安定して取付けられる。また、ボルト14の締め付け時に、当接面11が破損することを防止できる。
金属インサート13の他の実施の形態では、図7に示すように、金属インサート13は、タイミングチェーンカバー10の当接面が露出した部分よりも、タイミングチェーンカバー10内に埋設された部分が大きく形成されている。即ち、断面形状は、T字形に形成され、T字形の頭の部分はタイミングチェーンカバー10内に埋設され、T字形の足の部分(足は短く形成されている。)はその端部が当接面11に露出している。
このため、いわゆるアンカー効果により、金属インサート13のタイミングチェーンカバー10に埋設されたT字形の頭の部分が、強く保持されて、金属インサート13がタイミングチェーンカバー10から外れることがない。
なお、金属インサート13は、後述するように、タイミングチェーンカバー10の当接面11に連続的に埋設されるのではなく、小片に切断された金属インサート13を当接面11に沿って並べて埋設することもできる。
金属インサート13は、鉄(鋳鉄)、アルミニウム、マグネシウム、ステンレススチール、或いはこれらを含む合金で形成されている。
金属インサート13は、表面を凹凸模様、シボ模様、酸化被膜処理又は発泡状態で形成することができる。金属インサート13の表面に凹凸模様やシボ模様を形成すると、金属インサートとタイミングチェーンカバー10の合成樹脂との接着面積が増加して、金属部材と合成樹脂部材の接着強度が増大することができる。
また、金属インサート13を発泡金属で形成すると、金属の気泡部分にタイミングチェーンカバー10の合成樹脂が進入して、アンカー効果により金属インサート13とタイミングチェーンカバー10の接着強度が増大することができる。
金属インサート13をアルミニウムで形成した場合には、アルミニウムの表面を酸化被膜処理すると、タイミングチェーンカバー10の合成樹脂との接着強度を向上させることができる。
金属インサート13の表面のタイミングチェーンカバー10に埋設される部分に、接着剤を塗布することができる。この場合には、金属インサート13の表面に接着剤層が形成されるため、接着剤層により金属インサート13はタイミングチェーンカバー10の合成樹脂部分と強く接着され、強くタイミングチェーンカバー10内で安定して保持される。
次に、図3と図4に基づきオイルパン20に金属インサート23を埋設した実施の形態について説明する。
図3は、オイルパン20をシリンダブロック4との当接面21側からみた平面図であり、オイルパン20とシリンダブロック4の接合部分の断面形状は、タイミングチェーンカバー10の図5及び図6と略同様である。
オイルパン20の当接面21には金属インサート23が埋設されて、金属インサート23は、オイルパン20の当接面21からシリンダブロック4と対向する端面が露出している。この金属インサート23の端面にシーラ部材であるシーラ22が塗布されて、金属部品であるシリンダブロック4とオイルパン20とを接着している。このため、シーラ22により金属インサート23とシリンダブロック4とオイルパン20との接着の強度を大きくすることができ、金属インサート23とシリンダブロック4に強く保持させることができる。
そして、図6と図7に示すように、オイルパン20の金属インサート23が埋設された部分からボルト24をシリンダブロック4にねじ込んでシリンダブロック4とオイルパン20を接合する。このため、ボルト24をシリンダブロック4ねじ込んでも金属インサート23により、オイルパン20が変形や破損することがなく、シーラ22を強く挟持してシール性を確保することができる。
オイルパン20の金属インサート23も、タイミングチェーンカバー10の金属インサート13と同様に、図7に示すような断面構造を有する戸余ができる。
オイルパン20とシリンダブロック4の接合部分では、金属インサート23は、図3に示すように、平板状の金属板をオイルパン20の当接面21に全周に連続して埋設されている。このため、オイルパン20の当接面21は、全周に亘り金属インサート13で補強されて、剛性が大きく、熱変形することも少ない。また、ボルト24の締め付けにおいても、金属インサート23により締め付け荷重が分散し、当接面21がシリンダブロック4に対して一体的に締め付けられ、当接面21に局部的に歪が生じることなく安定して取付けられる。
なお、図4に示すように、金属インサート23は、タイミングチェーンカバー10と同様に、オイルパン20の当接面21に連続的に埋設されるのではなく、小片に切断された金属インサート23を当接面21に沿って並べて埋設することもできる。この場合には、金属インサート23の重量を低減して、オイルパン20を軽量化することができるとともに、図7に示す、金属インサート13の断面T字形に形成することが容易である。
1 エンジン
2 シリンダヘッドカバー
3 シリンダヘッド
4 シリンダブロック
10 タイミングチェーンカバー
11、21 当接面
12、22 シーラ
13、23 金属インサート
14、24 ボルト
20 オイルパン

Claims (8)

  1. 自動車用部品の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造において、
    上記合成樹脂部材の上記金属部材と当接する当接面には、金属インサートを略全周に亘り埋設し、該金属インサートは上記合成樹脂部材の当接面から端面が露出し、上記金属インサートの露出面と上記金属部材との間にシーラ部材を塗布し、上記金属インサートが埋設された部分からボルトを上記金属部材にねじ込んで上記金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  2. 上記金属インサートは、上記合成樹脂部材の上記当接面に全周に連続して埋設された請求項1に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  3. 上記金属インサートは、上記合成樹脂部材の上記当接面に複数の切断された短片を、全周亘り間隔をおいて埋設された請求項1に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  4. 上記金属部材は、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、上記合成樹脂部材はタイミングチェーンカバー又はオイルパンである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  5. 上記金属インサートは、表面が凹凸、シボ模様、酸化被膜処理又は発泡状態である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  6. 上記金属インサートは、上記合成樹脂部材の当接面に露出した部分よりも、上記合成樹脂部材に埋設された部分が大きい請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  7. 上記金属インサートの上記合成樹脂部材に埋設された表面に接着剤層が形成された請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
  8. 上記金属部材及び金属インサートは、アルミニウム製、鉄製又はステンレススチール製であり、上記合成樹脂部材はエンジニアリングプラスチック製であり、上記シーラ部材は、シリコーンゴム系のペースト状である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金属部材と合成樹脂部材を接合する接合構造。
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