JP2013058673A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子および正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
発光素子の層構成の材料として、イリジウム錯体系等重金属錯体を中心に多くの化合物の合成検討がなされており、例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)には、それらの金属錯体を有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)の発光層に使用することが記載されている。
陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機層の少なくとも1層には、一般式(1)で表される配位子が金属原子に配位したリン光発光性有機金属錯体が含有されている。
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極//正孔輸送層/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
発光性ドーパント化合物(発光ドーパントともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
本発明に係るリン光ドーパントについて説明する。
本発明に係るリン光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
一般式(1)において、環A及び環Bで表される5員または6員の芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、等が挙げられる。
好ましくは環Bがベンゼン環であり、さらに好ましくは環Aがベンゼン環である。
一般式(1)において、R1及びR2で表されるアリール基としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(1)において、R1及びR2で表されるヘテロアリール基としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(1)において、R1及びR2で表される非芳香族炭化水素環基としては、例えば、シクロアルカン(例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、シクロヘキシルアミノスルホニル基、テトラヒドロナフタレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、ビフェニレン環等から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(1)において、R1及びR2で表される非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、オキサントレン環、チオキサンテン環、フェノキサチイン環等から導出される1価の基が挙げられる。
好ましくは、R1及びR2が共に炭素原子数2以上のアルキル基またはシクロアルキル基であり、また、R1及びR2の少なくとも一方が炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることも好ましい。さらに好ましくはR1及びR2が共に炭素原子数3以上の分岐アルキル基である。
一般式(1)において、Ra、Rb、Rc及びRdで表されるアリール基及びヘテロアリール基としては、一般式(1)においてR1及びR2で表されるアリール基及びヘテロアリール基として挙げられたものと同様の基が挙げられる。
一般式(1)において、Ra、Rb、Rc及びRdで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基としては、一般式(1)においてR1及びR2で表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基として挙げられたものと同様の基が挙げられる。
好ましくは、X及びYが置換基を有しても良い窒素原子若しくは酸素原子、硫黄原子である。更に好ましくは、Yが単なる結合手であり、Xが置換基を有しても良い窒素原子若しくは酸素原子、硫黄原子である。
一般式(2)において、LはMに配位したモノアニオン性の二座配位子のうちの1つまたは複数である。Lで表されるモノアニオン性の二座配位子の具体例としては、下記式の配位子等が挙げられる。
以下に、一般式(1)で表される配位子の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されない。
具体的には、例えば、表1中のIrD−1は、「(L−1)3Ir」と表すことができ、表2中のIrD−39は「(L−1)2Ir(AL−9)」と表すことができる。これらIrD−1及びIrD−39の構造式を下記に示す。
以下に、本発明に係る金属錯体の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
リン光発光性有機金属錯体IrD−1の合成方法を例にとって説明する。
反応終了後室温まで冷却し、メタノールを加え、析出した固体を濾取した。得られた個体をメタノールで良く洗浄して乾燥し、μ錯体を1.12g(87.0%)得た。
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
以下に、本発明において、好ましく用いることの出来る公知のリン光ドーパント化合物の具体例を挙げる。勿論、本発明はこれらに限定されない。
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、銅フタロシアニンやトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるシクロメタル化錯体やオルトメタル化錯体等も正孔輸送材料として使用することができる。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の一種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層を設けることができる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで透明または半透明の陰極を作製でき、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板としては、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
本発明の有機EL素子は、陽極、陰極、および陰極と陽極との間にある層を外気から密閉するために封止部材で遮断して封止しておくことが好ましい。
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリフィルムを用いることが好ましい。
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の表示装置は、単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図2においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
図3は画素の模式図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスター11、駆動トランジスター12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスター11と駆動トランジスター12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5、図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示している。
図5に示すとおり、有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている。
ガラスカバー102での封止作業は、好ましくは、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行われる。
図6は、照明装置の断面図を示している。
図6に示すとおり、照明装置は主に陰極105、有機EL層106及び透明電極付きガラス基板107で構成され、これら部材がガラスカバー102で覆われている。
ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
BAlq及びAlq3は、下記の構造式で表される。
有機EL素子1−1の作製において、各種材料を表4に示すホスト化合物及びドーパント化合物に変更した。
それ以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−15を作製した。
表4における比較化合物2は、下記の構造式で表される。
得られた有機EL素子1−1を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止して、図5及び図6に示すような照明装置を形成し、当該照明装置をサンプルとして評価した。
作製した有機EL素子について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm2定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定し、発光効率の指標とした。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いた。
表4の発光効率の測定結果は、有機EL素子1−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
下記に示す測定法に従って、50℃駆動寿命の評価を行った。
各有機EL素子を50℃の一定条件で初期輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m2)になる時間を求め、これを50℃駆動寿命の尺度とし、耐久性の指標とした。なお、50℃駆動寿命は有機EL素子1−1の測定値を100とした時の相対値で表示した。
各有機EL素子を室温下、2.5mA/cm2の定電流条件下による連続点灯を行った際の発光面を目視で評価した。目視評価では、無作為に10人の観測者を抽出し、ダークスポットを確認した人数を評価の指標とした。ダークスポットを確認した人数が5人以上の場合を「×」、ダークスポットを確認した人数が1〜4人の場合を「△」、ダークスポットを確認した人数が0人の場合を「○」とした。
表4から、本発明の有機EL素子1−3〜1−15は、比較の有機EL素子1−1、1−2に比べて、発光効率が高く、高温での劣化が小さく、且つ、ダークスポットの生成が抑えられていることが明らかである。
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
有機EL素子2−1の作製において、各種材料を表5に示すホスト化合物及びドーパント化合物に変更した。
それ以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−15を各々作製した。
得られた有機EL素子2−1〜2−15を評価するに際しては、これら有機EL素子を実施例1の有機EL素子1−1〜1−15と同様に封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成して評価した。
このようにして作製した各サンプルについて以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
発光効率については実施例1と同様の方法で評価した(有機EL素子2−1を100とする相対値で表した)。
下記に示す測定法に従って、初期劣化の評価を行い、耐久性の指標とした。実施例1の(2)50℃駆動寿命の評価と同様の測定法において、輝度が90%に到達する時間を測定し、これを初期劣化の尺度とした。なお、初期劣化は有機EL素子2−1を100とした。初期劣化は以下の計算式を基に計算した。
初期劣化=(有機EL素子2−1の輝度90%到達時間)/(各素子の輝度90%到達時間)×100
即ち、初期劣化の値は、小さいほど初期の劣化が小さいことを示す。
初期輝度2000cd/m2での定電流駆動において、150hr後の発光輝度を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。
表5から、本発明の有機EL素子2−3〜2−15は、比較の有機素子2−1、2−2に比べて、発光効率が高く、初期の劣化が小さく、且つ、発光ムラが抑えられていることが明らかである。
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
なお、cGD及びcRD−1は、下記の構造式で表される。
有機EL素子3−1の作製において、各種材料を表6に示す化合物に変更した。
それ以外は同様にして、有機EL素子3−2〜3−10を作製した。
得られた有機EL素子3−1〜3−10を評価するに際しては、これら有機EL素子を実施例1の有機EL素子1−1〜1−15と同様に封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成して評価した。
このようにして作製した各サンプルについて以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下で駆動したときの電圧を各々測定し、測定結果を下記に示すように、有機EL素子3−1を100として各々相対値で示した。
電圧=(各素子の駆動電圧/有機EL素子3−1の駆動電圧)×100
なお、値が小さいほうが比較に対して駆動電圧が低いことを示す。
有機EL素子を85℃で24時間保存後、保存前後における各電力効率を求め、各々の電力効率比を下式に従って求め、これを経時安定性の尺度とした。
経時安定性(%)=保存後の電力効率/保存前の電力効率×100
なお、電力効率については分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/m2における電力効率を求めた。
2.5mA/cm2の定電流条件下における連続発光を行った際の発光色を目視で評価した。
表6から、本発明のドーパント化合物とホスト化合物を用いた有機EL素子3−3〜3−10は、比較の有機EL素子3−1、3−2に比べ、駆動電圧及び経時安定性に優れていることが明らかである。
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
なお、cRD−2は、下記の構造式で表される。
有機EL素子4−1の作製において、D−50を表7に示す化合物に変更した。
それ以外は同様にして、有機EL素子4−2〜4−10を作製した。
得られた有機EL素子4−1〜4−10を評価するに際しては、これら有機EL素子を実施例1の有機EL素子1−1〜4−15と同様に封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成して評価した。
このようにして作製した各サンプルについて以下の評価を行った。評価結果を表7に示す。
発光効率については実施例1と同様の方法で評価した(有機EL素子4−1を100とする相対値で表した)。
有機EL素子を60℃、70%RHの条件で一ヶ月保存後、保存前後における各電力効率を求め、各々の電力効率比を下式に従って求め、これを経時安定性の尺度とした。
経時安定性(%)=保存後の電力効率/保存前の電力効率×100
なお、電力効率については分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/m2における電力効率を求めた。
発光色については実施例3と同様の方法で評価した。
表7から、本発明のドーパント化合物とホスト化合物を用いた有機EL素子4−3〜4−10は、比較の有機EL素子4−1、4−2に比べ、外部取り出し量子効率及び経時安定性に優れていることが明らかである。
実施例1の有機EL素子1−1において、D−50を本発明の例示化合物IrD−1に変更した。それ以外は同様にして、青色発光素子を作製し、これを青色発光素子とした。
実施例1の有機EL素子1−1において、D−50をcGDに変更した。
それ以外は同様にして、緑色発光素子を作製し、これを緑色発光素子とした。
実施例1の有機EL素子1−1において、D−50をcRD−1又はCRD−2に変更した。
それ以外は同様にして、赤色発光素子を作製し、これを赤色発光素子とした。
上記で作製した赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並列配置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
図2に示すとおり、表示部Aは、同一基板上に複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料から構成されている。走査線5とデータ線6は格子状に直交しており、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
実際にこのフルカラー表示装置を駆動させると、輝度が高く、高耐久性を有し、且つ鮮明なフルカラー動画表示が得られることが分かった。
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスター
12 駆動トランジスター
13 コンデンサー
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
A 表示部
B 制御部
Claims (9)
- 陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機層の少なくとも1層には、一般式(1)で表される配位子が金属原子に配位したリン光発光性有機金属錯体が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陽極と陰極の間に、発光層を含む少なくとも1層の有機層が挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機層の少なくとも1層には、一般式(2)で表されるリン光発光性有機金属錯体が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
一般式(2)で表されるリン光発光性有機金属錯体が一般式(2A)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
一般式(2A)で表されるリン光発光性有機金属錯体が一般式(2a)または(2b)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項2から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
一般式(2)、(2A)、(2a)または(2b)中、Mがイリジウムであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項2から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
一般式(2)、(2A)、(2a)または(2b)で表されるリン光発光性有機金属錯体を含有した層が湿式法により形成される工程を経て製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
発光色が白色であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
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