JP5782836B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置、並びに化合物 - Google Patents
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Description
このような素子として具体的には、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を図った素子が知られている。また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子等が知られている。
1.下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
2.前記R7 がアルケニル基、アルキニル基、複素環基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ウレイド基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルフィニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキルシリル基、アリールシリル基を表すことを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
12.前記R18がアルケニル基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アリールシリル基を表すことを特徴とする前記11に記載の化合物。
本発明の有機EL素子材料について説明する。
本発明の有機EL素子材料は、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)におけるX1はN、P、P=O、P=S、SiAr1のいずれかを表し、Y1はNAr2、O、Sのいずれかを表す。Ar1及びAr2は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、特に芳香族炭化水素基であることが好ましい形態として挙げられる。
また、正孔輸送層に用いる場合には、X1がN、且つY1がNAr2である場合に、最も高い発光効率を達成できるため、X1がN、且つY1がNAr2であることが好ましい。さらに、電子輸送層に用いる場合には、X1がP=O、且つY1がOである場合に、最も高い発光効率を達成できるため、X1がP=O、且つY1がOであることが好ましい。
本発明に係る一般式(2)で表される化合物について説明する。
一方、A12〜A22がC−Rx2である場合には、耐久性をより向上させることができるため、最も好ましい形態として挙げられる。よって、一般式(2)において、A12〜A22は、いずれもC−Rx2であることが好ましい。
下記の方法により例示化合物1−35を合成した。
窒素気流下、フラスコ内へフェノキサジン20.0g(109mmol)、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン46.3g(164mmol)を入れ、そこへ銅粉1.39g、炭酸カリウム16.6g(120mmol)を加え、200℃で8時間加熱した。反応液を室温まで冷却したのち、テトラヒドロフランを加え、銅をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンで再結晶し、中間体1を20.3g(収率55%)得た。中間体1は、核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで構造を確認した。
窒素気流下、16.5g(48.9mmol)の中間体1、酢酸パラジウム1.1g(4.89mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート3.6g(9.78mmol)、炭酸カリウム13.5g(97.8mmol)をフラスコへ入れ、そこへジメチルアセトアミド250mlを加え、3時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、固体をろ別し、ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をジクロロメタンで再結晶し、中間体2を8.4g(収率55%)得た。中間体2の構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)
測定装置:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子社製
スペクトルの帰属(ケミカルシフトδ、ピーク形状、プロトン数)
6.71(d,J=7.8Hz,1H),6.69−6.99(m,2H),7.01−7.05(m,2H),7.30(t,J=7.3Hz,1H),7.43(d,J=7.3Hz,1H),7.51(dt,J=7.8Hz,1.0Hz,1H),7.65(dd,J=8.1Hz,1.2Hz,1H),7.87(d,J=8.3Hz,1H),8.02(dd,J=7.6Hz,1.7Hz,1H)
5g(19.4mmol)の中間体2のジクロロメタン溶液200mlをフラスコ内へいれ、氷冷下でN−ブロモスクシンイミド3.45g(19.4mmol)を3回に分けて加えた。反応液を室温に戻し、1時間拡散した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体3を6.41g(収率98%)得た。構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)
測定装置:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子社製
スペクトルの帰属(ケミカルシフトδ、ピーク形状、プロトン数)
6.58(dd,J=8.3Hz,1.5Hz,1H),6.96−6.98(m,2H),7.01−7.07(m,1H),7.15(d,J=8.3Hz,1H),7.35(t,J=7.8Hz,1H),7.56(dt,J=7.8Hz,1.5Hz,1H),7.68(d,J=7.3Hz,1H),7.89(d,J=8.8Hz,1H),8.66(d,J=8.3H,1H)
窒素気流下、フラスコ内へ2.0g(5.94mmol)の中間体3、1.25g(2.98mmol)の中間体4、エチレングリコールジメチルエーテル20mLをいれ、炭酸カリウム1.22g(8.94mmol)の水溶液10mLを加えた。そこへ更に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム344mg(0.594mmol)を加え、12時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、テトラヒドロフランを加え、固体をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をテトラヒドロフランで再結晶し、さらに分取GPCで精製して、例示化合物1−35を1.56g(収率78%)得た。例示化合物1−35の構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。なお、後述する有機EL素子の作製にはこの化合物をさらに昇華精製したものを用いた。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)
測定装置:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子社製
スペクトルの帰属(ケミカルシフトδ、ピーク形状、プロトン数)
6.79(d,J=7.8Hz,2H),6.96−7.01(m,6H),7.03−7.08(m,4H),7.45(dt,J=8.1Hz,1.5Hz,2H),7.63(d,J=7.8Hz,2H),7.73(dd,J=8.1Hz,1.5Hz,2H),7.75−7.78(m,4H),7.91(d,J=8.3Hz,2H),8.17(s,2H)
下記の方法により例示化合物1−46を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)
測定装置:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子社製
スペクトルの帰属(ケミカルシフトδ、ピーク形状、プロトン数)
6.51(d,J=8.3Hz,1H),6.84(t,J=7.3Hz,1H),6.91(d,J=8.3Hz,1H),7.01−7.12(m,3H),7.16(d,J=8.3Hz,3H),7.28−7.38(m,4H),7.40(dt,J=8.3Hz,1.5Hz,1H),7.74(d,J=8.3Hz,1H),7.89(d,J=8.8Hz,1H),8.23(dd,J=6.6Hz,1.2Hz,2H)
下記の方法により例示化合物1−32を合成した。
中間体5は、J. Org. Chem., 1961, 26 (6), 2013-2017ページ等に記載の方法を適用することにより合成した。
窒素気流下、20gの中間体5(50mmol)のテトラヒドロフラン溶液150mlを−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mol/L)62mlをゆっくりと滴下し、1時間撹拌を行った。この反応溶液にフェニルトリクロロシラン10.6g(50mmol)のテトラヒドロフラン溶液150mlをゆっくりと滴下した。反応液を室温に戻した後、3時間加熱還流を行った。窒素下で固体をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物14.6g(収率76%)はこれ以上の精製は行わず、次の反応へと用いた。
窒素気流下、2,4−ジブロモ−1−ヨードベンゼン13.7g(38mmol)のテトラヒドロフラン溶液125mlを−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mol/L)24mlをゆっくりと滴下し、1時間撹拌を行った。この反応溶液に14.6g(38mmol)の中間体6のテトラヒドロフラン溶液125mlをゆっくりと滴下した。反応液を室温に戻した後、3時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、固体をろ別し、ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体7を7.54g(収率34%)得た。中間体7の構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。
窒素気流下、7.54g(13mmol)の中間体7、酢酸パラジウム291mg(1.3mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート957mg(2.6mmol)、炭酸カリウム3.59g(26mmol)をフラスコへ入れ、そこへジメチルアセトアミド65mlを加え、その後6時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、固体をろ別し、ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体8を4.77g(収率73%)得た。中間体8の構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。
窒素気流下、4.77gの中間体8(9.49mmol)のテトラヒドロフラン溶液32mlを−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mol/L)6mlをゆっくりと滴下し、1時間撹拌を行った。この反応溶液にトリフェニルクロロシラン2.8g(9.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液32mlをゆっくりと滴下した。反応液を室温に戻した後、2時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、固体をろ別し、ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、さらに分取GPCで精製して、例示化合物1−32を5.0g(収率78%)得た。例示化合物1−32の構造は核磁気共鳴スペクトル、マススペクトルで確認した。なお、後述する有機EL素子の作製にはこの化合物をさらに昇華精製したものを用いた。
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、少なくとも1対の陽極と陰極により挟まれた有機層を含有する素子である。そして、前記有機層が発光層を含む少なくとも1層からなり、該有機層のうち少なくとも1層が、前記説明した本発明の有機EL素子材料を含有する。
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
なお、阻止層としては正孔阻止層の他に、電子阻止層を用いることもできる。
[発光層]
発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層である。発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2〜200nmの範囲、特に好ましくは、10〜20nmの範囲である。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明に用いられるホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
また、本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でも良い。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。ここで、本発明の有機EL素子を構成する発光層がリン光ドーパントを含有することが好ましい。しかしながら、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点から、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパント(単に、発光材料ということもある)としては、前記の一般式(1)で表される部分構造を含む化合物をリン光ドーパントとして含有することが好ましい。
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物である。具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、リン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
本発明においては、有機EL素子の発光層に使用されるリン光ドーパントとして、公知のリン光ドーパントを用いることができる。
以下に、リン光ドーパントとして用いられる公知の化合物の具体例を示すが、リン光ドーパントとしてはこれらに限定されるものではない。なお、これらの化合物は、特開2010−98223号公報に記載されているものである。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
蛍光ドーパント(蛍光性化合物)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなる層である。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有するものを用いる。その材料としては本発明に係る有機EL素子材料を電子輸送材料として用いることにより本発明の効果を奏することができる。しかしながら、その他に、本発明に係る有機EL素子材料(すなわち電子輸送材料)の効果を損なわない範囲において、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して併用することもできる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も挙げることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を挙げることもできる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
注入層は必要に応じて設ける層であり、電子注入層と正孔注入層がある。注入層は、上記の層構成に示すように陽極と正孔輸送層との間や、陰極と電子輸送層との間に存在させてもよい。あるいは、陽極と発光層との間や、陰極と発光層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
なお、本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層(最短波層)が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましい。そしてこのような場合、最短波層と、この最短波層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。さらには、この位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常は、10〜1000nmの範囲であり、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[支持基板]
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材は、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板(フィルム)、金属板(フィルム)等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、さらに1.35以下であることが好ましい。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が一次の回折や二次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、きもと社製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等がある。しかしながら、本発明においてはウェットプロセスで有機EL素子を作製することが好ましい。ウェットプロセスで作製することで、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の効果を奏することができる。中でも、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。これらの塗布法は、高効率、簡便で大面積化が容易であるという利点を有し、またインクジェット法によればピクセル単位での塗り分けが可能といった利点を有する。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の表示装置あるいは照明装置は、前記した本発明の有機EL素子を具備するものである(表示装置及び照明装置の具体的な例については後記する「用途」において説明する)。すなわち、一般式(1)で表される化合物である有機EL素子材料が用いられたものである。
本発明の表示装置あるいは照明装置は、本発明の有機EL素子を用いたものであるため、低い電圧で駆動するこができ、駆動時の電圧上昇も小さい。また、発光効率が高く、且つ耐久性に優れるため、長寿命な装置とすることができる。
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれらに限定するものではない。しかしながら、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
《有機EL素子1−1の作製》
有機EL素子を以下のように作製した。
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにCBPを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにバソキュプロイン(BCP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに燐光性化合物トリス(2−フェニルビリジナート)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)を100mg入れ、さらに別のモリブデン製抵抗加熱ボートにトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
引き続きフッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
有機EL素子1−1の作製において、表1に記載のような発光層のCBPを表1に示す化合物に置き換えた以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−18を作製した。
作製した有機EL素子の評価を以下のようにして行い、その結果を表1に示す。
(発光効率)
有機EL素子1−1は、初期駆動電圧3Vで電流が流れ始め、発光層のドーパントである燐光性化合物からの緑色の発光を示した。作製した有機EL素子について、室温(約23〜25℃)下、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧を印加した時の発光効率(lm/W)を測定した。発光効率は有機EL素子1−1を100とした時の相対値で表した。
室温下、2.5mA/cm2の一定電流で駆動したときに初期輝度が元の半分に低下するのに要した時間である半減寿命時間を指標として表した。半減寿命時間は有機EL素子1−1を100とした時の相対値で表した。
有機EL素子を室温、2.5mA/cm2の定電流条件下により駆動した時の電圧を各々測定し、測定結果を下記に示すように有機EL素子1−1(比較)を100として各々相対値で示した。
駆動電圧=(各素子の初期駆動電圧/有機EL素子1−1の初期駆動電圧)×100
なお、値が小さいほど比較に対して駆動電圧が小さいことを示す。
有機EL素子を室温、2.5mA/cm2の定電流条件下により連続点灯を行い、初期輝度の70%の輝度となった時の駆動電圧を各々測定した。測定結果は下記に示すように、有機EL素子1−1(比較)が100となるように各々相対値で示した。
駆動電圧変化1=(有機EL素子1−1の輝度70%時の駆動電圧)/(有機EL素子1−1の初期駆動電圧)
各素子の駆動電圧変化=(各素子の輝度70%時の駆動電圧)/(各素子の初期駆動電圧)
駆動電圧変化(τ1/7)=(各素子の駆動電圧変化)/(駆動電圧変化1)×100
《有機EL素子2−1〜2−18の作製》
実施例1の有機EL素子1−1の燐光性化合物Ir(ppy)3を前記した[化14]に示す化合物Ir−15に、CBPを表2に示す化合物に置き換えた以外は有機EL素子1−1の作製と全く同じ方法で有機EL素子2−1〜2−18を作製した。青色の発光を示すこれらの素子について、実施例1と同様の方法で発光効率、耐久性、駆動電圧を測定した。得られた結果を表2に示す。
《有機EL素子3−1〜3−35の作製》
実施例1の有機EL素子1−1の正孔輸送層、及び電子輸送層を表3に示す化合物に置き換えた以外は全く同じ方法で有機EL素子3−1〜3−35を作製した。緑色の発光を示すこれらの素子について、実施例1と同様の方法で発光効率、耐久性、駆動電圧を測定した。得られた結果を表3に示す。
前記実施例1及び2で作製した有機EL素子1−6(緑色発光有機EL素子)と、有機EL素子2−6(青色発光有機EL素子)と、有機EL素子1−7の燐光性化合物Ir(ppy)3を前記した[化14]に示す化合物Ir−9に置き換えた以外は有機EL素子1−1と同様にして作製した有機EL素子(赤色発光有機EL素子)とを同一基板上に並置し、図1に示すアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置(ディスプレイ)1を作製した。図2には作製したフルカラー表示装置1の表示部Aの模式図のみを示した(符号Bは制御部である)。即ち同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
フルカラー表示装置1を駆動することにより、低電圧で輝度が高く耐久性が良好で、鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
《白色の有機EL素子の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この基板を窒素雰囲気下に移し、正孔輸送層上に、例示化合物1−35(60mg)、前記した[化14]に示す化合物Ir−9(3.0mg)、Ir−12(3.0mg)をトルエン6mlに溶解した溶液を用い、1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により製膜した。そして真空中150℃で1時間加熱を行い発光層とした。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、モリブデン製抵抗加熱ボートにAlq3を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、Alq3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記第1電子輸送層の上に蒸着して、さらに膜厚40nmの第2電子輸送層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
この素子に通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用できることが分かった。なお、例示の他の化合物に置き換えても同様に白色の発光が得られることが分かった。
さらには、本発明の有機EL素子材料からなる薄膜は、支持基板や、前記薄膜の下部の膜の全体に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。また、あえて均一に成膜しない場合があってもよい。
3 画素
5 走査線
6 データ線
A 表示部
B 制御部
Claims (13)
- 下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記R7 がアルケニル基、アルキニル基、複素環基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、ウレイド基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、スルフィニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキルシリル基、アリールシリル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)のY1がOであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)のX1がNであることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 少なくとも1対の陽極と陰極により挟まれた有機層を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が発光層を含む少なくとも1層からなり、該有機層のうち少なくとも1層が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光層が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有することを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記発光層がリン光ドーパントを含有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- ウェットプロセスで作製されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
- 請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
- 下記一般式(2)で表されることを特徴とする化合物。
- 前記R18がアルケニル基、ピリジル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アリールシリル基を表すことを特徴とする請求項11に記載の化合物。
- 前記A12〜A22は、いずれもC−Rx2であることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の化合物。
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