JP2013057657A - 降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 評価地点iM、iNを始点とし、代表風向WDの風上の方向にのびる中心軸を有する第1、第2の発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中にある座標点pにおける評価地点iM、iNに関する発塵源探索領域の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に係数B1を乗算して仮定発塵量E1、E2を算出し、仮定発塵量E1、E2の比が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【選択図】 図6
Description
この様な観点から、評価地点において計測された降下煤塵量から、複数の発生源での煤塵の発生量の影響を評価する技術、即ち、降下煤塵の主要な発生源を探索する技術は、特許文献1〜4に開示されている。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×{exp[−(He−z)2/2σz 2]
+exp[−(He+z)2/2σz 2]} ・・・(1)
x,y,z:評価地点の3次元直交座標(ガス発生源を原点とする)
x:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に対応する座標値
y:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に垂直な方向(以下の説明では、この方向を必要に応じて「水平方向」と称する。)の座標値
z:鉛直方向の座標値
C:評価地点(x,y,z)でのガス濃度[kg/m3、又は、m3/m3]
QP:ガス発生量[kg/s、又は、m3/s]
WS:風速[m/s]
He:ガス発生源の地表面からの高さ[m]
σy、σz:プルーム拡散幅[m](ガス流れに垂直な方向のガス濃度分布の標準偏差であり、それぞれ、水平方向のもの、鉛直方向のものである)。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×{exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2]
+α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2]} ・・・(2)
ここで、式(2)のαは、以下の式(3)で表される。
α=1−2Vd/{Vs+Vd+(WS・He−Vs)/σz・(dσz/dx)} ・・・(3)
式(3)式の記号の意味は以下の通りである。尚、これらの記号の意味は、以下の説明でも同じである。
Vd:沈着速度[m/s]
Vs:落下速度[m/s](SPMの場合。ガスの場合は0)
また、プルーム式は、式(1)に示されたものに限定されるわけではない。例えば、非特許文献3には、濃度の二重ガウス分布を仮定し、プルーム中心軸に曲線を用いたプルーム式が開示されている。
これらのプルーム式に共通する特徴は、第1に、特定濃度評価地点の濃度値を、評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、及び風向・風速等の気象条件等の関数式で表現して、結果を一意に与えることである。第2に、濃度算出にあたって、中心軸を仮定し、中心軸の周囲に「プルーム拡散幅」σy、σzで特徴づけられる高濃度領域を形成する「プルーム」を設定することである。他の手法とプルーム式との比較を行うと、複数の連立物理方程式を数値的に解いて特定濃度評価地点の濃度値を算出する数値解析手法は、プルームを仮定することなく濃度算出を行う点や算出結果が一意であるとは限らない点から、プルーム式とは異なる。また、特定濃度評価地点の濃度値を、評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、及び風向・風速等の気象条件等を単に変数化して求めた重回帰式も、プルームを仮定することがないので、プルーム式ではない。
即ち、第1の問題点として、発生源を探索する対象の発生物が降下煤塵ではないことが挙げられる。
例えば、特許文献1、2、3及び4の技術においては、発生源を探索する対象がガスである。特許文献3の技術においては、発生源を探索する対象にSPMが含められているに過ぎない。SPMは、降下煤塵に比べて遥かに小さな粒子であり(定義上、SPMは、直径10μm以下の粒子である)、その大気中での拡散挙動は、微小な粒子沈降を生じることを除けば実質的にガスの挙動に等しい。
また、ここで観測及び管理対象とする降下煤塵の量は、地表面への降下煤塵の沈着量である。特許文献1〜4の技術では、評価地点におけるガスおよびSPMの濃度を、観測及び管理対象としている。このため、地表面へのガス及びSPMの沈着速度を直接知ることはできない。確かに、前述した式(2)には、沈着速度Vdが記載されているので、沈着速度Vdを正確に与えることができれば、評価地点上でのガス及びSPM濃度を、地表面での沈着量に換算することが可能である。
例えば、特許文献1及び2の技術においては、まず、予め想定される全ての発生源及び全ての評価地点について、任意の発生源での発生量と任意の評価地点での濃度との関係を、前述したプルーム式等の気象条件の関数として予測する。次に、全ての評価地点における濃度の実測値と、濃度の予測値との差が最小となるように、前記関数のパラメータ(σyやQP等)を最適化手法により調整する。したがって、少なくとも、全ての発生源の位置を予め与える必要がある。また、最適化手法の計算過程の妥当性を確保するためには、各発生源での概略の発生量も初期条件として予め与えることが一般には望ましい。なぜならば、最適化問題においては、実情から極端に解離した初期条件を与えた場合、実情とは大きく異なる局所安定点に解の収束する場合があるからである。
特許文献3の技術においては、図7に示すように、複数の粉塵(SPM)発生箇所a、b、c、d、e等を予め仮定した上で、その周辺の複数の評価地点i1,i2,i3等でのSPMの濃度を長期間、測定し、この期間内において各評価地点で風向別のSPMの濃度平均値1(評価地点i1,i2,i3を囲む多角形を参照)を求め、SPMの濃度の平均値が最も大きくなる風向の風上方向に、評価地点i1,i2,i3からそれぞれ水平面(地表面)内に発生源探索線2、3、4を伸長し、これら発生源探索線の互いに交差した交点6、7、8の内、前記粉塵(SPM)の発生箇所a、b、c、d、eの何れかに合致した地点を、特に、粉塵(SPM)の発生量が大きい発生箇所と判定している。
しかしながら、多数の発生源が存在する場合、これら全ての発生源の位置と概略の発生量とを予め全て把握することは、実際には困難であり、もし、可能だとしても、多大な資源を必要とするため好適ではない。したがって、特許文献1〜4の技術では、発生源の数が極めて少数であるか、あるいは、発生源の発生量を十分正確に把握し得る環境下でしか有効に適用することはできないという問題がある。
例えば、特許文献1及び2では最適化手法を適用する。このため、一般的には、評価地点数の数を、適用されるプルーム式等の関数の中で調整可能なパラメータの数よりも、多く設定しなければならない。もし、調整可能なパラメータの数が実質的に評価地点の数よりも多ければ、得られる解は、一般に一意に定まらないので、手法として破綻するからである。
また、特許文献4の技術においては、想定される発生源の近傍に評価地点を配置するので、原理的には非定常発生源を探索することができる。しかし、この技術においては、複数の発生源からのガスが特定の評価地点に同時に到達する場合に、複数の発生源の内、どの発生源が卓越した発生源であるのかを判断する方法が開示されておらず、また、想定される全ての発生源の近傍に評価地点を設置することも開示されていない。したがって、この技術で非定常発塵源を探索することが可能なのは、発生源の間の距離が互いに影響を及ぼさない程度に遠い場合に限られる。即ち、この技術は、実質的に発生源と評価地点とが一対一に対応づけられる場合にしか適用できない。
しかしながら、現実の発生源では、一般に発生量が大きく、かつ、時間の経過に伴い変動する。よって、定常発生源や、発生源と評価地点とが一対一に対応づけられる発生源のみを対象とする従来技術では、現実の発生源探索に対して十分に適用できない問題があった。
第1発明は、時間周期Δtdごとのit番目の時刻Td(it)において、互いに異なる2つ以上の降下煤塵評価地点における、時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの期間であるTd(it)期間での平均的な降下煤塵量Mの測定値を設定する煤塵量設定工程と、前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風向WD(it)を導出する代表風向導出工程と、前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風速WS(it)を導出する代表風速導出工程と、前記Td(it)期間に前記降下煤塵評価地点で捕集された降下煤塵の落下速度の測定値を基に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを導出する代表落下速度導出工程と、連続する2つ以上の前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtgごとの時刻であって、k番目の時刻をtg(k)とした場合の、時刻tg(k−1)から時刻tg(k)までの評価期間であるtg(k)期間に含まれる任意の前記Td(it)期間における降下煤塵探索領域γ(i,it)として、互いに異なる2つの前記降下煤塵評価地点iM、iNを始点とし、前記代表風向WDの風上方向にのびる中心軸を有すると共に、前記中心軸の周囲に降下煤塵発生源探索領域幅を設けて前記中心軸から垂直方向に前記降下煤塵発生源探索領域幅までの距離の範囲を領域とする第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する降下煤塵発生源探索領域設定工程と、前記降下煤塵評価地点iについて、tg(k)期間内で最大の降下煤塵量Mとなる時刻Td(it)の降下煤塵量Mmax(i)と、当該時刻Td(it)におけるitであるimax(i)と、当該時刻Td(it)における代表風向及び代表風速であるWDmax及びWSmaxとを導出する最大降下煤塵情報導出工程と、前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,imax)、γ(iN,it)の双方の中にある座標点pと、前記2つの降下煤塵評価地点iM、iNとの間の距離Ld(iM)、Ld(iN)を算出する距離算出工程と、前記座標点pを含む前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の中心軸の垂直面における前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の断面積である発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2を、前記降下煤塵発生源探索領域幅を用いてそれぞれ算出する断面積算出工程と、前記発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に比例する仮定発塵量E1、E2を算出する発塵量算出工程と、前記座標点pの含まれる全ての降下煤塵発生源探索領域の全ての組み合わせに対して、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が全て所定の上下限閾値の範囲内であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源であると判断し、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が所定の上下限閾値の範囲外であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源ではないと判断すると共に、前記座標点pがいずれの前記降下煤塵発生源探索領域にも含まれない場合には前記座標点pでの降下煤塵の非定常発塵源の判断を行わない、発塵源判定工程と、を有し、前記降下煤塵発生源探索領域幅は、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出されたプルーム拡散幅であることを特徴とする、降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第2発明は、前記降下煤塵発生源探索領域中心軸は、前記風向の風上方向を水平成分として有すると共に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを前記代表風速WSで除した値Vs/WSを鉛直勾配として有し、前記降下煤塵発生源探索領域幅として、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出された、水平方向のプルーム拡散幅σy及び鉛直方向のプルーム拡散幅σzを水平成分及び鉛直成分としてそれぞれ用いることを特徴とする、第1発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第3発明は、前記プルーム拡散幅σy及びσzと、プルーム中心軸上の発生源からの距離xと、発塵量QPと、前記代表速度WSと、定数Bと、前記プルーム拡散幅σy及びσzを用いて定義されるプルーム範囲と、を用いて、プルーム中心軸上の発生源からの距離xでの煤塵濃度C(x)を表現する以下の式(A)及び(B)を、前記プルーム式として用いることを特徴とする、第1発明又は第2発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(A)
C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(B)
第4発明は、前記プルーム拡散幅σy及びσzの内、より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム中心軸に垂直な方向のプルームの断面形状としたときの、前記楕円の内側をプルーム範囲内として、前記プルーム範囲を算出することを特徴とする、第3発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第5発明は、前記Td(it)期間に前記評価地点で捕集された降下煤塵試料の放射線量を測定してその強度に基づいて降下煤塵を煤塵種ごとに分類する煤塵種分類工程を更に有し、前記捕集された降下煤塵試料の内、前記煤塵種分類工程で分類されたいずれかの煤塵種に対応する部分の降下煤塵の質量を前記降下煤塵量Mとすることを特徴とする第1乃至第4発明のいずれか1つに記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法である。
まず、本発明の実施形態の特徴について説明する。
本発明の実施形態の第1の特徴は、降下煤塵評価地点における降下煤塵を直接、測定することによって降下煤塵の発塵源を探索することができる点である。
具体的には、前述した様に、従来技術においては、式(2)における地表面反射項(α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2])の取り扱いが困難であった。このため、降下煤塵評価地点から風上方向に伸長させる発塵源探索線を、プルーム式と相互に関連付けることは困難と考えられていた。しかし、本発明者らの調査の結果、この地表面反射項が問題となるのは、従来技術が主にガスやSPMを対象としていたためであることを突き止めた。降下煤塵の場合には、粒子の落下速度が大きいために、沈着速度Vd≒落下速度Vsとなる。したがって、地表面での反射の影響は小さく、α=0とみなすことができる。よって、降下煤塵に対する大気拡散式(プルーム式)は、式(2)にα=0を代入した次の式(4)のようになる。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2] ・・・(4)
Z=z+Vsx/WS−He ・・・(5)
C(x,y,Z)=(QP/2πσyσzWS)
×exp[−y2/2σy 2]exp[−Z2/2σz 2] ・・・(6)
ここで、式(5)によるzからZへの座標変換は、発生源(発塵源)を原点とし、風下方向に、tan-1(Vs(粒子落下速度)/WS(風速))の俯角で、鉛直面内に煤塵プルームの中心軸を設定し、この中心軸をZ軸として濃度を定義することに対応する。
C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(7a)
C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(7b)
B:比例定数
本手法においては、式(7a)は、相対値のみを問題とするので、比例定数Bには任意の値(例えば、1)を与えてよい。
また、プルーム範囲内とは、式(4)のようにプルーム垂直方向の濃度分布にガウス分布を仮定した際の濃度が濃度分布の標準偏差の値を示す位置よりも中心軸側の領域をいう。あるいは、より簡便に、σy、σzの内より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム断面形状とし、この楕円内をプルーム範囲内としてもよい。さらに、より単純に、以下の式(8)の範囲としてもよい。一方、プルーム範囲外とは、プルーム範囲内以外の領域をいう。
σy≧y≧−σy かつ σz≧Z≧−σz ・・・(8)
ここで、σy、σzは、発塵源からの距離L0と周期Δtdとの関数である(σy[L0、Δtd]、σz[L0、Δtd])。σy、σzは、周期Δtdを固定して(これを基準期間とする)求められた数表化または図表化された値として、非特許文献1に記載される、Pasquill−GiffordによるものやBriggsによるもの等を用い、周期Δtdの影響を経験式で補正して求められる。周期Δtdの影響を経験式で補正する方法は、非特許文献2に示されるように、プルーム拡散幅σyに、([実際に使用するΔtd]/[基準純時間のΔtd])Pを乗じるものである。
M(x)=VsB(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(9a)
M(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(9b)
次に、式(9)を用いて、特定の降下煤塵評価地点における発塵源の存在範囲について考える。
図1は、特定の降下煤塵評価地点iMを原点Oとした水平面内での全体座標系x',y'(地表面)上に、x'=L0の位置に存在する2つの発塵源io1、io2から、降下煤塵評価地点iMと同一水平面上に発したプルームα(io1)、α(io2)を投影した図である。このとき、風向WDは、x'の正の方向である。プルームα(io1)、α(io2)の位置は、x'=0において、それぞれの中心軸10a、10bが地表面に一致すると共に、プルームの水平方向の端部(プルームα(io1)ではy'のマイナス側端部、プルームα(io2)ではy'のプラス側端部)が原点Oを通過するように、プルームα(io1)、α(io2)が配置されている。このプルームα(io1)、α(io2)の配置が、x=L0に設定された発塵源io1、io2から、プルームα(io1)、α(io2)が、降下煤塵評価地点iMに到達することのできる限界の位置である。即ち、発塵源io1の位置が、y'のプラス側の限界位置であり、発塵源io2の位置が、y'のマイナス側の限界位置である。
基本的には、図1を参照しながら説明したのと同様の方法で、発塵源探索領域γ(iM,it)は設定される。この際、発塵源探索領域γ(iM,it)の幅は、拡散幅σz(x')で表わされる。
尚、降下煤塵は落下するので、鉛直断面において、プルームα(io3)、α(io4)の中心軸10a、10b及び発塵源探索領域γ(iM,it)の中心軸11は、θ(=tan-1(Vs/WS))なる角度で傾斜する。このため、降下煤塵評価地点iMの風上方向の地点の内、発塵源io3、io4から降下煤塵評価地点iMまで降下煤塵が到達し得るのは、降下煤塵評価地点iMから風上方向に伸長した領域の内の一部の領域で発塵したものに限られることになる。この様に、降下煤塵評価地点iMから発生源探索領域γ(iM,it)を、風上方向に伸長する発塵源の探索手法において、風上方向の距離の範囲を制限することは、従来法には存在しなかった考え方であり、本手法は、発塵源探索領域γ(iM,it)を限定できる点で従来法に対して有利である。
尚、本発明は、式(9)のプルーム式を用いることに限定されるものではない。例えば、予め精密な測定を実施して地表面反射項の影響を正確に表現できる場合には、地表面反射項を残したままのプルーム式に基づいて式(9)のσzの項に適宜、補正を加えてもよい。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
降下煤塵量計測手段(装置)によって時間周期Δtdごとに降下煤塵量(降下煤塵の質量)が測定される(以下、必要に応じて「時間周期」を「周期」と略称する)。降下煤塵量の測定値の出力される時刻Td(it)とする。時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの時間(期間)を「Td(it)期間」と定義する。itは、降下煤塵の計測を開始した時刻を0とし、1ずつ増加する整数である。また、ntを2以上の自然数として、nt個の連続する「Td(it)期間」から構成される時間を「tg(k)期間」と定義する。ここで、「tg(k)期間」の始点の時刻を時刻tg(k−1)とし、このときのitを0とする。「tg(k)期間」の終点の時刻を時刻tg(k)とし、このときのitをntとする。kは、降下煤塵の計測を開始した時刻を0とし、1ずつ増加する整数である。本実施形態では、個々の「tg(k)期間」における降下煤塵の発生源を特定するものであり、周期Δtg(=nt・Δtd)以上の時間スケール(即ち、発塵継続時間)を有する発塵源を探索の対象とする。
発塵源探索装置において、算出された特定座標点に対する非定常発塵源判定結果及び発塵量等の算出結果は、HDD等に保存されると共に、コンソール画面等に表示することができる。
尚、上記の発塵源探索装置の処理の一部又は全部を手計算等の他の手段に置き換えても何ら問題ない。
ステップS201において、発塵源探索装置は、全ての座標点pにおいて、発塵源判断モードを「未判定」に初期化する。
次に、ステップS202において、発塵源探索装置は、全ての降下煤塵評価地点i(但し、nM≧i≧1)の水平面(例えば地上高度1.5m)内の位置を、前記座標系の原点からの位置を示す位置ベクトルP(i)として算出する。
次に、ステップS203において、発塵源探索装置は、「tg(k)期間」に含まれる全ての「Td(it)期間」における「代表風速WD(it)と、代表風向WS(it)と、全ての降下煤塵評価地点での降下煤塵量M(i,it)と、降下煤塵の代表落下速度Vs(i,it)」を設定(入力)する。本実施形態では、例えば、このステップS202において、煤塵量設定工程、代表風向導出工程、代表風速導出工程、及び代表落下速度導出工程が実行される。
ここで、降下煤塵量M(i,it)は、例えば、特許文献6に記載される連続式降下煤塵計を用いて、周期Δtdを、例えば、10分として測定することができる。風向及び風速は、例えば、市販のプロペラ式風向風速計を用いて、周期Δtdをよりも短い周期Δtwint(例えば、1秒周期)で測定した値とすることができる。風向の空間分解能は、例えば、1°間隔である。代表風向WD(it)、代表風速WS(it)は、例えば、対応する「Td(it)期間」における「風向測定値及び風速測定値」の平均値を用いることができる。また、「降下煤塵評価地点の近傍」とは、風向・風速が降下煤塵評価地点上空における風向・風速と高い相関を示す範囲であればよく、例えば、降下煤塵評価地点から1km以内の水平距離とすることができる。地形が単調で風向・風速分布の少ない地域ではこれ以上の水平距離であってもよい。また、風向・風速測定点の高さは、気象庁の推奨する測定高さである、地表面から10mを採用することができる。想定される発塵源の高さが10mよりも十分に高い場合には、地表面とこの発塵源高さの中間の高さを測定点高さとしてもよい。
Vs={4gDp(ρp−ρf)/3ρfCR}1/2 ・・・(10)
ここで、式(10)の記号の意味は以下の通りである(単位は、全てSI単位である)。
g: 重力加速度[m/s2]
Dp: 粒子径[m]
ρP,ρf: 粒子、流体の密度[kg/m3]
CR: 抵抗係数[−](粒子形状に応じて各種の数表が開示されている)
図4は、発塵源探索範囲γ(i,it)の一例を示す図である。図4を参照しながら、発塵源探索範囲γ(i,it)の設定方法の一例を説明する。
図4において、γ(iM,it)は、図2及び図3において座標成分ごとに分解して表示した発塵源探索領域γ(iM,it)を、等角投影法によって1枚の図で表現したものである。図4では、絶対座標(x',y',z)上の地表面に2つの降下煤塵評価地点iM、iNを設置し、これら降下煤塵評価地点iM、iNを始点として、代表風向WD(it)の風上方向に仰角θ(=tan-1[Vs(iM,it)/WS(it)]、又は、tan-1[Vs(iN,it)/WS(it)])で、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸を設定する。中心軸上の周りに、水平方向に2σy、鉛直方向に2σzなる幅で楕円断面を形成するように、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する。図4に示すように、複数の発塵源探索領域γ(i,it)が存在する場合、複数の発塵源探索領域γ(i,it)間の共通領域41を生じることがある。
まず、ステップS206において、発塵源探索装置は、一方の降下煤塵評価地点iMとして、未選択の降下煤塵評価地点iを選択する。
次に、ステップS207において、発塵源探索装置は、座標点pの内、未選択のものを選択する。
次に、ステップS208において、発塵源探索装置は、座標点pの位置ベクトルSc(ix,iy,iz)を求める。座標点pの位置ベクトルScは、座標軸の原点を始点とし、各座標軸成分がそれぞれix番目,iy番目,iz番目の座標軸分割点となる点(即ち、p点)を終点とするように設定される。ここで、「tg(k)期間」における「降下煤塵評価地点iMに関する唯一の非定常降下煤塵探索領域」として、γ(iM,imax)を第1の非定常降下煤塵探索領域とする。
次に、ステップS210において、発塵源探索装置は、ステップS206で選択した降下煤塵評価地点iMと、ステップS209で選択した降下煤塵評価地点iNとが同じ位置のものであるか否かを判定する。この判定の結果、降下煤塵評価地点iMと降下煤塵評価地点iNとが異なる位置のものである場合には、ステップS211に進む。一方、降下煤塵評価地点iMと降下煤塵評価地点iNとが同じ位置のものである場合には、ステップS211〜S220を省略して後述するステップS221に進む。
次に、ステップS212において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pが、第1の発塵源探索範囲γ(iM,imax)と、第2の発塵源探索範囲γ(iN,it)との双方に含まれ、且つ、発塵源判定モードが「発塵源でない」以外のモードであるという発塵源判定条件を満たすか否かを判定する。
この判定の結果、発塵源判定条件を(全て)満たす場合には、ステップS207で選択した座標点pは、発塵源である可能性がある。この発塵源判定条件を満たす状態は、図4において、2つの発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の共通領域41(斜線で示す領域)内に、座標点pの存在する状態に対応する。このように発塵源判定条件を満たす場合には、ステップS213に進む。一方、発塵源判定条件を満たさない場合には、ステップS213〜S220を省略して後述するステップS221に進む。
座標点pと降下煤塵評価地点iMとの間の距離Ld(iM)は、例えば、位置ベクトルP(iM)の終点と、位置ベクトルSc(ix,iy,iz)の終点とを結ぶベクトルのノルムとして算出される。座標点pと降下煤塵評価地点iNとの間の距離Ld(iN)の算出方法も同様である。本実施形態では、例えば、このステップS213において、距離算出工程が実行される。
E1=B1Sp1Mmax(iM) ・・・(11a)
E2=B1Sp2M(iN,it) ・・・(11b)
式(11a)及び式(11b)において、B1は、係数である。式(11a)及び式(11b)は、一般的なプルーム式において、局所での濃度は、発生源での発生量に比例し、局所でのプルーム断面積に反比例することと対応している。即ち、もし、ステップS207で選択した座標点pが発塵源であれば、降下煤塵評価地点iM、iNにおけるプルーム断面積に反比例した濃度が検出される。つまり、一定の検出濃度に対して、想定されるプルーム断面積が大きいほど、これに対応する発生源での発生量は、大きくなければならない。よって、発生源での発生量は、降下煤塵評価地点iM、iNにおけるプルーム断面積に比例するはずである。
まず、ステップS216において、発塵源探索装置は、仮定発塵量E1、E2の比Rを算出する。仮定発塵量E1、E2の比Rは、E1/E2であってもE2/E1であってもよい。
次に、ステップS217において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pが発塵源であるか否かを判定する。本実施形態では、発塵源探索装置は、仮定発塵量E1、E2の比Rが、予め設定された上下限閾値の範囲内(Rmax≧R≧Rmin)であるか否かを判定する。この判定の結果、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲内であれば、ステップS207で選択した座標点pは「発塵源」であると判定される。一方、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲外であれば、ステップS207で選択した座標点pは「発塵源でない」と判定される。
本実施形態では、例えば、ステップS212とステップS217において、発塵源判定工程が実行される。
ステップS218に進むと、発塵源探索装置は、ステップS209で選択した座標点pの発塵源判断モードを「発塵源」に設定する。
次に、ステップS219において、発塵源探索装置は、「発塵源」であると判定された座標点pにおける推定発塵量を算出する。推定発塵量は、例えば、「発塵源」であると判定された座標点pでの発塵源判定(ステップS217)に用いた全ての仮定発塵量Eの平均値とすることができる。そして、後述するステップS221に進む。
一方、ステップS220に進むと、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pの発塵源判断モードを「発塵源でない」に設定する。そして、ステップS221に進む。
ステップS222に進むと、発塵源探索装置は、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択したか否かを判定する。この判定の結果、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択していない場合には、ステップS209に戻る。一方、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択した場合には、ステップS223に進む。
ステップS223に進むと、発塵源探索装置は、全ての座標点pを選択したか否かを判定する。この判定の結果、全ての座標点pを選択していない場合には、ステップS207に戻る。一方、全ての座標点pを選択した場合には、ステップS224に進む。
ステップS225に進むと、発塵源探索装置は、発塵源の位置と、当該発塵源における推定発塵量とを表示する。そして、図3のフローチャートによる処理を終了する。尚、全ての座標点pが発塵源と判定されないこともある。この場合には、ステップS225において、発塵源探索装置は、その旨を表示する。
第2工程及び第3工程は、特定の降下煤塵降下煤塵評価地点i(=iM)に対して特定の座標点pについて発塵源の判定を行う(前記の発塵源判断のモードをいずれかに設定する)ものである。必要に応じて、降下煤塵評価地点i及び座標点pを変更して同様の判定を行う。
このように、本実施形態では、評価点pから風上方向に伸長させる発生源探索領域に、プルーム式の考え方を導入することによって、時間スケールが周期Δtg以上の、降下煤塵の発生源の位置及び発生源での発塵量の特定を的確に実施することが可能となる。よって、少数の降下煤塵評価地点での降下煤塵の計測によって、非定常発塵源を含む発塵源の探索を効率的に、かつ、正確に実施することが可能になる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
予め、発塵源が地表付近の高さに限定されると判明しているときには、発塵源探索領域を、第1の実施形態のように三次元の領域ではなく、水平面内(二次元の領域内)に設定することにより、発塵源探索の過程を簡略化することができ、発塵源探索に要する計算不可を低減することができる。
ステップS202、S208における位置ベクトルP、Scについても鉛直成分を省略して二次元ベクトル化する。
図5に示すように、本発明の実施形態を適用した場合には、発塵源探索領域の交差領域において、発塵源として妥当であるか否かの吟味を行うことができる。即ち、例えば、図5において、図7の交点6、7、8にそれぞれ対応する降下煤塵評価地点として、発塵源探索領域γ(i1,itmax)、γ(i2,itmax)、γ(i3,itmax)間の共通領域内に存在する、座標点p1、p2、p3が得られたものとする。このとき、例えば、座標点p1の発塵源としての妥当性を評価するためには、座標点p1の降下煤塵評価地点i1及びi2にそれぞれ対する推定発塵量E(p1,i1)とE(p1,i2)を比較することにより、定量的に発塵源を判定することができる。
本発明の実施形態では、図6に示すように、濃度最大値を示す風向以外の方向にも発塵源探索領域(例えば、発塵源探索領域γ(i3,it2))を設定することができる。その結果、発塵源探索領域γ(i1,itmax)とγ(i3,it2)の共通領域内の座標点p4といった、従来、発塵源の評価を実施できなかった領域でも、発塵源の有無の判定を実施することができる。この結果、発塵源の有無の判定を実施可能な座標点pは、従来法に比べて飛躍的に増大させることができ、より精密な発塵源の探索を行うことができる。
このように、本発明の実施形態によって、発塵源になり得ない座標点pを除外しつつ、発塵源の候補となり得るより多くの座標点pを設定することができ、設定した座標点pにおいて、より高精度に発塵源の位置及び発塵源での発塵量の特定を実施することができる。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
評価地点にて捕集した降下煤塵の放射線を測定してその強度に基づいて、個々の降下煤塵粒子(のサンプル)、又は、当該降下煤塵粒子(のサンプル)全体を放射性降下煤塵又は非放射性降下煤塵に分類し、放射性降下煤塵のみ(又は非放射性降下煤塵のみ)を対象にした放射性降下煤塵(又は非放射性降下煤塵)の非定常発塵源を探索することができる。
降下煤塵の放射線強度の測定方法には公知の方法を用いることができる。例えば、特許文献7〜9に記載される手法を用いることができる。
放射線強度に基づく降下煤塵試料の分類方法には、例えば、前記Td(it)期間(時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの時間(期間))に各評価地点で捕集された試料中の個々の降下煤塵粒子を1個ずつ分離してそれぞれの放射線強度を測定し、放射線強度が所定閾値以上の場合には、当該放射線強度を有する降下煤塵粒子を放射性降下煤塵とし、それ以外を非放射性降下煤塵と分類することができる。この試料全体の質量は、降下煤塵量として測定されているので、前記試料全体の質量に放射性降下煤塵の個数比率(=[放射性降下煤塵の個数÷(放射性降下煤塵の個数+非放射性降下煤塵の個数)])を乗じた値をこの試料中の放射性降下煤塵の質量とすることができる。あるいは、捕集された特定の降下煤塵粒子の試料全体の放射線強度を測定して、放射線強度が所定閾値以上の場合には、当該試料全体の質量を放射性降下煤塵の質量とし、それ以外の場合には当該試料全体の質量を非放射性降下煤塵試料の質量としてもよい。図3のステップS102では、このようにして得られた放射性降下煤塵の質量(又は非放射性降下煤塵の質量)が、降下煤塵量M(i)として設定される。そして、放射性降下煤塵(又は非放射性降下煤塵)について、「発塵源」、「発塵源でない」、及び「未判定」の何れかが設定される。
このような取扱によって、例えば、放射性降下煤塵の非定常発塵源を、放射性発塵源に近寄ることなく、遠方での降下煤塵計測データを用いて特定することができる。尚、放射性降下煤塵及び非放射性降下煤塵の何れを発塵源の探索対象とするかについては、例えば、図3のフローチャートを開始する前に、情報処理装置に接続されたキーボードやコンソール画面等を用いて、予め人力で設定(入力)することができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
io 発塵源
a,b,c,d,e 予め想定される発生源
p 座標点
α プルーム
γ 発塵源探索範囲
10 プルームの中心軸
11 発塵源探索領域の中心軸
41 発塵源探索領域間の共通領域
Claims (5)
- 時間周期Δtdごとのit番目の時刻Td(it)において、互いに異なる2つ以上の降下煤塵評価地点における、時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの期間であるTd(it)期間での平均的な降下煤塵量Mの測定値を設定する煤塵量設定工程と、
前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風向WD(it)を導出する代表風向導出工程と、
前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風速を基に、前記Td(it)期間での代表風速WS(it)を導出する代表風速導出工程と、
前記Td(it)期間に前記降下煤塵評価地点で捕集された降下煤塵の落下速度の測定値を基に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを導出する代表落下速度導出工程と、
連続する2つ以上の前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtgごとの時刻であって、k番目の時刻をtg(k)とした場合の、時刻tg(k−1)から時刻tg(k)までの評価期間であるtg(k)期間に含まれる任意の前記Td(it)期間における降下煤塵探索領域γ(i,it)として、互いに異なる2つの前記降下煤塵評価地点iM、iNを始点とし、前記代表風向WDの風上方向にのびる中心軸を有すると共に、前記中心軸の周囲に降下煤塵発生源探索領域幅を設けて前記中心軸から垂直方向に前記降下煤塵発生源探索領域幅までの距離の範囲を領域とする第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する降下煤塵発生源探索領域設定工程と、
前記降下煤塵評価地点iについて、tg(k)期間内で最大の降下煤塵量Mとなる時刻Td(it)の降下煤塵量Mmax(i)と、当該時刻Td(it)におけるitであるimax(i)と、当該時刻Td(it)における代表風向及び代表風速であるWDmax及びWSmaxとを導出する最大降下煤塵情報導出工程と、
tg(k)期間における前記降下煤塵評価地点iMに関する唯一の非定常降下煤塵探索領域である第1の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,imax)と、tg(k)期間の任意の時刻Td(it)における前記降下煤塵評価地点iMとは異なる降下煤塵評価地点iNに関する第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iN,it)との双方の中にある座標点pと、前記2つの降下煤塵評価地点iM、iNとの間の距離Ld(iM)、Ld(iN)を算出する距離算出工程と、
前記座標点pを含む前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の中心軸の垂直面における前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の断面積である発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2を、前記降下煤塵発生源探索領域幅を用いてそれぞれ算出する断面積算出工程と、
前記発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に比例する仮定発塵量E1、E2を算出する発塵量算出工程と、
前記座標点pの含まれる全ての降下煤塵発生源探索領域の全ての組み合わせに対して、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が全て所定の上下限閾値の範囲内であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源であると判断し、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が所定の上下限閾値の範囲外であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源ではないと判断すると共に、前記座標点pがいずれの前記降下煤塵発生源探索領域にも含まれない場合には前記座標点pでの降下煤塵の非定常発塵源の判断を行わない、発塵源判定工程と、
を有し、
前記降下煤塵発生源探索領域幅は、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出されたプルーム拡散幅であることを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。 - 前記降下煤塵発生源探索領域中心軸は、前記風向の風上方向を水平成分として有すると共に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを前記代表風速WSで除した値Vs/WSを鉛直勾配として有し、
前記降下煤塵発生源探索領域幅として、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出された、水平方向のプルーム拡散幅σy及び鉛直方向のプルーム拡散幅σzを水平成分及び鉛直成分としてそれぞれ用いることを特徴とする請求項1に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。 - 前記プルーム拡散幅σy及びσzと、プルーム中心軸上の発生源からの距離xと、発塵量QPと、前記代表速度WSと、定数Bと、前記プルーム拡散幅σy及びσzを用いて定義されるプルーム範囲と、を用いて、プルーム中心軸上の発生源からの距離xでの煤塵濃度C(x)を表現する以下の式(A)及び(B)を、前記プルーム式として用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(A)
C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(B) - 前記プルーム拡散幅σy及びσzの内、より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム中心軸に垂直な方向のプルームの断面形状としたときの、前記楕円の内側をプルーム範囲内として、前記プルーム範囲を算出することを特徴とする請求項3に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
- 前記Td(it)期間に前記評価地点で捕集された降下煤塵試料の放射線量を測定してその強度に基づいて前記降下煤塵試料を煤塵種ごとに分類する煤塵種分類工程を更に有し、
前記捕集された降下煤塵試料の内、前記煤塵種分類工程で分類されたいずれかの煤塵種に対応する部分の降下煤塵の質量を前記降下煤塵量Mとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
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