JP2013057657A - 降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法 - Google Patents

降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 原子力発電所等の発塵量が非定常的に変動する降下煤塵の発塵源を、効率的に且つ正確に探索する。
【解決手段】 評価地点iM、iNを始点とし、代表風向WDの風上の方向にのびる中心軸を有する第1、第2の発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中にある座標点pにおける評価地点iM、iNに関する発塵源探索領域の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に係数B1を乗算して仮定発塵量E1、E2を算出し、仮定発塵量E1、E2の比が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、大気中における降下煤塵の発塵源を探索する技術に関する。
原子力発電所が事故により破壊した場合、複数の放射性発塵施設から周囲に拡散する放射性降下煤塵の挙動を把握することは、近年の重要な工業的課題である。また、降下煤塵は、農業、林業等、各種の産業でも発生する。砂丘等の自然界から発生する降下煤塵も無視できない。降下煤塵の発生源となりうる発塵源が多数存在する際に、降下煤塵の評価地点における「降下煤塵量の測定値」に与える影響として、どの発塵源の寄与度が大きいのかを解析する技術は、これら降下煤塵を管理し、対策を講ずる上で重要である。
この様な観点から、評価地点において計測された降下煤塵量から、複数の発生源での煤塵の発生量の影響を評価する技術、即ち、降下煤塵の主要な発生源を探索する技術は、特許文献1〜4に開示されている。
まず、特許文献1には、以下の技術が開示されている。即ち、大気条件や気象データ、大気汚染物質拡散の評価範囲の地形データ、等の入力条件からシミュレーションに適したモデルを選定する。また、解析精度の向上のために、この入力条件に応じたデータベース部の測定値から調整入力パラメータを選定する。そして、選定した前記モデルによる解析条件と、選定した前記調整入力パラメータとから入力データを作成してシミュレーションをし、その結果と放出源測定値データとの偏差を演算し、その偏差が最小となるデータに対応する放出源を推定する。
また、特許文献2には、以下の技術が開示されている。即ち、大気観測局において前もって測定された大気中の化学物質濃度が異常高濃度を示さない期間に排出源から放出される平常時排出量と、大気中の化学物質濃度が異常高濃度を示した期間に排出源から放出された化学物質の異常時排出量とを得る。そして、排出源の(平常時排出量−異常時排出量)の2乗の和が最小となる解を求めることにより、大気中の化学物質の異常高濃度の原因となる排出源を特定する。
また、特許文献3には、以下の技術が開示されている。即ち、複数の粉塵発生箇所の周辺の複数の任意の測定箇所で、適当な期間にわたり、飛散粉塵量及び風向方向を所定時間のピッチで測定する。次に、得られた飛散粉塵量及び風向方向から、測定箇所別に、風向方向毎の平均飛散粉塵量を算出する。次に、複数の粉塵発生箇所及び複数の測定個所を含む地図上に、各測定箇所を中心として、平均飛散粉塵量が多い複数の風向方向を作図する。次に、作図した各測定箇所からの風向方向が交わる交点が位置する粉塵発生箇所を、又は、各測定個所からの風向方向がほぼ一致するときはその風向方向に存在する地図上の粉塵発生箇所を、飛散粉塵の発生源と特定する。
特許文献4には、以下の技術が開示されている。即ち、複数項目の大気の汚染状況を測定する一つ又は複数の可搬自立型マルチセンシングユニットを、無線又は有線のネットワーク経由で遠隔制御して複数項目の大気の汚染状況を測定し、その測定データを収集して表示する。
また、発生源での煤塵の発生量から評価地点での降下煤塵の濃度を評価する際には、通常、プルーム式が用いられる。特許文献5には、地表面での吸着のない、点発生源からのガスの大気拡散モデルとして、以下の式(1)の様な標準的なプルーム式が示されている。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2
×{exp[−(He−z)2/2σz 2
+exp[−(He+z)2/2σz 2]} ・・・(1)
ここで、式(1)の記号の意味は以下の通りである。尚、これらの記号の意味は、以下の説明でも同じである。以下の記号は、全てSI単位系である。
x,y,z:評価地点の3次元直交座標(ガス発生源を原点とする)
x:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に対応する座標値
y:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に垂直な方向(以下の説明では、この方向を必要に応じて「水平方向」と称する。)の座標値
z:鉛直方向の座標値
C:評価地点(x,y,z)でのガス濃度[kg/m3、又は、m3/m3
P:ガス発生量[kg/s、又は、m3/s]
WS:風速[m/s]
He:ガス発生源の地表面からの高さ[m]
σy、σz:プルーム拡散幅[m](ガス流れに垂直な方向のガス濃度分布の標準偏差であり、それぞれ、水平方向のもの、鉛直方向のものである)。
非特許文献1には、地表面で吸着のあるガスと、落下速度の小さい微粒子(SPM)とに関するプルーム式として、次の式(2)が示されている。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2
×{exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2
+α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2]} ・・・(2)
ここで、式(2)のαは、以下の式(3)で表される。
α=1−2Vd/{Vs+Vd+(WS・He−Vs)/σz・(dσz/dx)} ・・・(3)
式(3)式の記号の意味は以下の通りである。尚、これらの記号の意味は、以下の説明でも同じである。
d:沈着速度[m/s]
s:落下速度[m/s](SPMの場合。ガスの場合は0)
ここで、σy、σzは、プルーム中心軸に垂直方向の「プルーム拡散幅」を表すための特性値であり、プルーム中心軸に垂直な方向にガウス分布の濃度分布を仮定した際に濃度が標準偏差となる点とプルーム中心軸との間の距離が用いられる。
また、プルーム式は、式(1)に示されたものに限定されるわけではない。例えば、非特許文献3には、濃度の二重ガウス分布を仮定し、プルーム中心軸に曲線を用いたプルーム式が開示されている。
これらのプルーム式に共通する特徴は、第1に、特定濃度評価地点の濃度値を、評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、及び風向・風速等の気象条件等の関数式で表現して、結果を一意に与えることである。第2に、濃度算出にあたって、中心軸を仮定し、中心軸の周囲に「プルーム拡散幅」σy、σzで特徴づけられる高濃度領域を形成する「プルーム」を設定することである。他の手法とプルーム式との比較を行うと、複数の連立物理方程式を数値的に解いて特定濃度評価地点の濃度値を算出する数値解析手法は、プルームを仮定することなく濃度算出を行う点や算出結果が一意であるとは限らない点から、プルーム式とは異なる。また、特定濃度評価地点の濃度値を、評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、及び風向・風速等の気象条件等を単に変数化して求めた重回帰式も、プルームを仮定することがないので、プルーム式ではない。
ここで、式(2)における「αの乗じられた項」は、ガス又はSPMの鉛直方向の分布の形状を地表面において対称に反転させることにより、地表面の上方でガスやSPMが吸着されずに滞留する効果を表現したものであり、ガスやSPMの地表への吸着の効果は、αの大小によって調整される。尚、以下の説明において、式(2)における「αの乗じられた項」を必要に応じて「地表面反射項」と称する。
さらに、評価地点において降下煤塵量を10分程度の短時間の周期で測定する技術として、特許文献6には以下の技術が開示されている。即ち、上方に開口したろうと状の粒子採取口と、計測装置内を循環する気流路と、気流路の途中に設けられた慣性分級器とを用いて、粗大粒子と微小粒子とについて個別に連続的に質量の測定を行う。そして、粗大粒子の質量の測定値から、大気中の降下粉塵の降下速度の推移を算出する。
しかしながら、前述した従来技術においては、以下の問題点があった。
即ち、第1の問題点として、発生源を探索する対象の発生物が降下煤塵ではないことが挙げられる。
例えば、特許文献1、2、3及び4の技術においては、発生源を探索する対象がガスである。特許文献3の技術においては、発生源を探索する対象にSPMが含められているに過ぎない。SPMは、降下煤塵に比べて遥かに小さな粒子であり(定義上、SPMは、直径10μm以下の粒子である)、その大気中での拡散挙動は、微小な粒子沈降を生じることを除けば実質的にガスの挙動に等しい。
一方、降下煤塵は、SPMに比べて遥かに大きな煤塵粒子であり(直径約10μm以上の粒子である)、その落下速度が極めて大きい。このため、降下煤塵の大気中での拡散の挙動は、粒子の降下速度に極めて大きな影響を受けることによる。よって、降下煤塵の拡散の挙動はガスとは大きく異なる。
また、ここで観測及び管理対象とする降下煤塵の量は、地表面への降下煤塵の沈着量である。特許文献1〜4の技術では、評価地点におけるガスおよびSPMの濃度を、観測及び管理対象としている。このため、地表面へのガス及びSPMの沈着速度を直接知ることはできない。確かに、前述した式(2)には、沈着速度Vdが記載されているので、沈着速度Vdを正確に与えることができれば、評価地点上でのガス及びSPM濃度を、地表面での沈着量に換算することが可能である。
しかしながら、非特許文献1に記載されているように、SPMの沈着速度Vdは、地表面の状態や大気乱流の影響を受けて大きく変動する。また、ガスの沈着速度Vdを一般的に与える手法は開発されていない。したがって、沈着速度Vdの値を正確に与えることは実際には極めて困難であり、特許文献1〜4の技術で降下煤塵を対象とすることは、少なくとも定量的には困難である。
第2の問題点として、降下煤塵を対象とした発塵源の探索手法は、従来、存在しなかったことが挙げられる。従来の発生源の探索手法においては、特許文献3に代表されるように、水平面(地表面)内での発生源の探索を前提としている。このため、従来の発生源の探索手法においては、粒子の落下速度Vsが大きく、かつ、地表面での沈着量を問題とする「降下煤塵の発生源」を三次元的に取り扱うことが困難である。特に、特許文献3に示されるような、評価地点から風上方向に発生源の探索線を伸長する手法の場合、式(2)における地表面反射項(α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2])の影響を定量的に、かつ、一般的に取り扱うことが困難なことから、発生源の探索線をプルーム式と関連付ける有効な手法は従来、提案されていない。
第3の問題点として、前述した従来技術においては、発生源の探索を行う際に発生源の位置及びそこでの概略の発生量を予め仮定する手順が必須であることが挙げられる。
例えば、特許文献1及び2の技術においては、まず、予め想定される全ての発生源及び全ての評価地点について、任意の発生源での発生量と任意の評価地点での濃度との関係を、前述したプルーム式等の気象条件の関数として予測する。次に、全ての評価地点における濃度の実測値と、濃度の予測値との差が最小となるように、前記関数のパラメータ(σyやQP等)を最適化手法により調整する。したがって、少なくとも、全ての発生源の位置を予め与える必要がある。また、最適化手法の計算過程の妥当性を確保するためには、各発生源での概略の発生量も初期条件として予め与えることが一般には望ましい。なぜならば、最適化問題においては、実情から極端に解離した初期条件を与えた場合、実情とは大きく異なる局所安定点に解の収束する場合があるからである。
図7は、従来法(特許文献3)における発塵源の探索方法を模式的に示す図である。
特許文献3の技術においては、図7に示すように、複数の粉塵(SPM)発生箇所a、b、c、d、e等を予め仮定した上で、その周辺の複数の評価地点i1,i2,i3等でのSPMの濃度を長期間、測定し、この期間内において各評価地点で風向別のSPMの濃度平均値1(評価地点i1,i2,i3を囲む多角形を参照)を求め、SPMの濃度の平均値が最も大きくなる風向の風上方向に、評価地点i1,i2,i3からそれぞれ水平面(地表面)内に発生源探索線2、3、4を伸長し、これら発生源探索線の互いに交差した交点6、7、8の内、前記粉塵(SPM)の発生箇所a、b、c、d、eの何れかに合致した地点を、特に、粉塵(SPM)の発生量が大きい発生箇所と判定している。
また、特許文献4の技術においては、想定される発生源の近傍に計測機を設けることが前提となる。よって、発生源は、予め既知でなければならない。
しかしながら、多数の発生源が存在する場合、これら全ての発生源の位置と概略の発生量とを予め全て把握することは、実際には困難であり、もし、可能だとしても、多大な資源を必要とするため好適ではない。したがって、特許文献1〜4の技術では、発生源の数が極めて少数であるか、あるいは、発生源の発生量を十分正確に把握し得る環境下でしか有効に適用することはできないという問題がある。
第4の問題点として、従来技術において対象とする発生源は、基本的に、発生量が時間的に変動しない定常発生源であるか、又は、発生量が時間平均値の近傍で僅かに時間変動するだけの準定常発塵源であることが挙げられる。
例えば、特許文献1及び2では最適化手法を適用する。このため、一般的には、評価地点数の数を、適用されるプルーム式等の関数の中で調整可能なパラメータの数よりも、多く設定しなければならない。もし、調整可能なパラメータの数が実質的に評価地点の数よりも多ければ、得られる解は、一般に一意に定まらないので、手法として破綻するからである。
また、多数の発生源が存在する場合、経済性の観点から評価地点の数を発生源の数よりも少なく設定する場合が多い。このような場合でも、発生源を定常発生源に限定すれば(即ち発生量QPを調整可能なパラメータとはしなければ)、多数の異なる時刻での評価地点での測定値を用いることにより、発生源の数以上の測定値を確保することができ、最適化手法を適用することができる。一方、発生量QPが非定常的に大きく変動する、非定常発生源に対して特許文献1、2の技術を適用する際には、発生量QPを、調整可能なパラメータとせざるを得ない。このため、多数の発生源を探索の対象とする場合には、発生源の数を超える極めて多数の評価地点を設ける必要があり、経済性の観点から現実的でない。
また、特許文献3の技術においては、2カ月以上の期間内での離散的に採取された評価地点でのSPMの濃度データを平均化して発生源の探索を行う。したがって、発生源は、定常発生源に限定される。
また、特許文献4の技術においては、想定される発生源の近傍に評価地点を配置するので、原理的には非定常発生源を探索することができる。しかし、この技術においては、複数の発生源からのガスが特定の評価地点に同時に到達する場合に、複数の発生源の内、どの発生源が卓越した発生源であるのかを判断する方法が開示されておらず、また、想定される全ての発生源の近傍に評価地点を設置することも開示されていない。したがって、この技術で非定常発塵源を探索することが可能なのは、発生源の間の距離が互いに影響を及ぼさない程度に遠い場合に限られる。即ち、この技術は、実質的に発生源と評価地点とが一対一に対応づけられる場合にしか適用できない。
しかしながら、現実の発生源では、一般に発生量が大きく、かつ、時間の経過に伴い変動する。よって、定常発生源や、発生源と評価地点とが一対一に対応づけられる発生源のみを対象とする従来技術では、現実の発生源探索に対して十分に適用できない問題があった。
この他、煤塵が放射性を帯びている場合には、特許文献7〜9に開示される手法等で煤塵のα線、β線、又はγ線等の放射線量を測定することができる。
特開2003−255055号公報 特開2005−292041号公報 特開2004−170112号公報 特開2003−281671号公報 特開2007−122365号公報 特開2008−224332号公報 特開平8−327741号公報 特開平7−35900号公報 特開2009−63510号公報
浮遊状粒子物質対策検討会(環境庁大気保全局大気規制課監修):浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル、東洋館出版、1997 岡本眞一:大気環境予測講義、ぎょうせい、2001
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、発塵量(発塵源における降下煤塵の発生速度)が非定常的に変動する降下煤塵の発塵源を、効率的に且つ正確に探索することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
第1発明は、時間周期Δtdごとのit番目の時刻Td(it)において、互いに異なる2つ以上の降下煤塵評価地点における、時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの期間であるTd(it)期間での平均的な降下煤塵量Mの測定値を設定する煤塵量設定工程と、前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風向WD(it)を導出する代表風向導出工程と、前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風速WS(it)を導出する代表風速導出工程と、前記Td(it)期間に前記降下煤塵評価地点で捕集された降下煤塵の落下速度の測定値を基に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを導出する代表落下速度導出工程と、連続する2つ以上の前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtgごとの時刻であって、k番目の時刻をtg(k)とした場合の、時刻tg(k−1)から時刻tg(k)までの評価期間であるtg(k)期間に含まれる任意の前記Td(it)期間における降下煤塵探索領域γ(i,it)として、互いに異なる2つの前記降下煤塵評価地点iM、iNを始点とし、前記代表風向WDの風上方向にのびる中心軸を有すると共に、前記中心軸の周囲に降下煤塵発生源探索領域幅を設けて前記中心軸から垂直方向に前記降下煤塵発生源探索領域幅までの距離の範囲を領域とする第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する降下煤塵発生源探索領域設定工程と、前記降下煤塵評価地点iについて、tg(k)期間内で最大の降下煤塵量Mとなる時刻Td(it)の降下煤塵量Mmax(i)と、当該時刻Td(it)におけるitであるimax(i)と、当該時刻Td(it)における代表風向及び代表風速であるWDmax及びWSmaxとを導出する最大降下煤塵情報導出工程と、前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,imax)、γ(iN,it)の双方の中にある座標点pと、前記2つの降下煤塵評価地点iM、iNとの間の距離Ld(iM)、Ld(iN)を算出する距離算出工程と、前記座標点pを含む前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の中心軸の垂直面における前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の断面積である発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2を、前記降下煤塵発生源探索領域幅を用いてそれぞれ算出する断面積算出工程と、前記発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に比例する仮定発塵量E1、E2を算出する発塵量算出工程と、前記座標点pの含まれる全ての降下煤塵発生源探索領域の全ての組み合わせに対して、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が全て所定の上下限閾値の範囲内であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源であると判断し、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が所定の上下限閾値の範囲外であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源ではないと判断すると共に、前記座標点pがいずれの前記降下煤塵発生源探索領域にも含まれない場合には前記座標点pでの降下煤塵の非定常発塵源の判断を行わない、発塵源判定工程と、を有し、前記降下煤塵発生源探索領域幅は、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出されたプルーム拡散幅であることを特徴とする、降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第2発明は、前記降下煤塵発生源探索領域中心軸は、前記風向の風上方向を水平成分として有すると共に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを前記代表風速WSで除した値Vs/WSを鉛直勾配として有し、前記降下煤塵発生源探索領域幅として、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出された、水平方向のプルーム拡散幅σy及び鉛直方向のプルーム拡散幅σzを水平成分及び鉛直成分としてそれぞれ用いることを特徴とする、第1発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第3発明は、前記プルーム拡散幅σy及びσzと、プルーム中心軸上の発生源からの距離xと、発塵量QPと、前記代表速度WSと、定数Bと、前記プルーム拡散幅σy及びσzを用いて定義されるプルーム範囲と、を用いて、プルーム中心軸上の発生源からの距離xでの煤塵濃度C(x)を表現する以下の式(A)及び(B)を、前記プルーム式として用いることを特徴とする、第1発明又は第2発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(A)
C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(B)
第4発明は、前記プルーム拡散幅σy及びσzの内、より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム中心軸に垂直な方向のプルームの断面形状としたときの、前記楕円の内側をプルーム範囲内として、前記プルーム範囲を算出することを特徴とする、第3発明に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法である。
第5発明は、前記Td(it)期間に前記評価地点で捕集された降下煤塵試料の放射線量を測定してその強度に基づいて降下煤塵を煤塵種ごとに分類する煤塵種分類工程を更に有し、前記捕集された降下煤塵試料の内、前記煤塵種分類工程で分類されたいずれかの煤塵種に対応する部分の降下煤塵の質量を前記降下煤塵量Mとすることを特徴とする第1乃至第4発明のいずれか1つに記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法である。
本発明によれば、少数の評価地点での降下煤塵の計測によって、発塵量が非定常的に変動する降下煤塵の発塵源を、効率的に且つ正確に探索することができる。
水平面内に投影したプルームの一例を示す図である。 鉛直面内に投影したプルームの一例を示す図である。 発塵源探索装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 発塵源探索領域の一例を示す図である。 発塵源を探索する方法の一例を説明する図である。 濃度最大値を示す風向以外の方向に発塵源探索領域を設定する方法の一例を説明する図である。 発塵源を探索する従来の方法を説明する図である。
(本発明の実施形態の特徴)
まず、本発明の実施形態の特徴について説明する。
本発明の実施形態の第1の特徴は、降下煤塵評価地点における降下煤塵を直接、測定することによって降下煤塵の発塵源を探索することができる点である。
本発明の第2の特徴は、降下煤塵の発塵源の探索にあたって、降下煤塵評価地点から風上方向に伸長させる発塵源探索領域を、プルーム式と相互に関連付けることによって、発塵源候補における発塵量の情報を得ることができる点である。
具体的には、前述した様に、従来技術においては、式(2)における地表面反射項(α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2])の取り扱いが困難であった。このため、降下煤塵評価地点から風上方向に伸長させる発塵源探索線を、プルーム式と相互に関連付けることは困難と考えられていた。しかし、本発明者らの調査の結果、この地表面反射項が問題となるのは、従来技術が主にガスやSPMを対象としていたためであることを突き止めた。降下煤塵の場合には、粒子の落下速度が大きいために、沈着速度Vd≒落下速度Vsとなる。したがって、地表面での反射の影響は小さく、α=0とみなすことができる。よって、降下煤塵に対する大気拡散式(プルーム式)は、式(2)にα=0を代入した次の式(4)のようになる。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2
×exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2] ・・・(4)
ここで、以下の式(5)により座標変換を行うと、式(4)は、以下の式(6)のようになる。
Z=z+Vsx/WS−He ・・・(5)
C(x,y,Z)=(QP/2πσyσzWS)
×exp[−y2/2σy 2]exp[−Z2/2σz 2] ・・・(6)
ここで、式(5)によるzからZへの座標変換は、発生源(発塵源)を原点とし、風下方向に、tan-1(Vs(粒子落下速度)/WS(風速))の俯角で、鉛直面内に煤塵プルームの中心軸を設定し、この中心軸をZ軸として濃度を定義することに対応する。
拡散幅σy及びσzは、それぞれy方向及びz方向(通常、Vs≪WSであり、Vs≪WSの条件では、z方向は、Z方向にほぼ等しいとみなせる)での濃度分布の標準偏差である。多くの場合、地表面での反射の影響がなければ、y方向及びz方向の濃度分布を正規分布とみなすことができる。このとき、y=σy及びZ=σzにおける濃度値は、濃度最大値の60%であるのに対し、y=2σy及びZ=2σzにおける濃度値は、濃度最大値の13%に過ぎない。即ち、y>σy及びZ>σzの領域において、濃度は急激に低下する。そこで、本発明の実施形態では、プルーム式として、以下の式(7a)、式(7b)を前提とすることにした。
C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(7a)
C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(7b)
ここで、式(7a)の記号の意味は以下の通りである。
B:比例定数
本手法においては、式(7a)は、相対値のみを問題とするので、比例定数Bには任意の値(例えば、1)を与えてよい。
また、プルーム範囲内とは、式(4)のようにプルーム垂直方向の濃度分布にガウス分布を仮定した際の濃度が濃度分布の標準偏差の値を示す位置よりも中心軸側の領域をいう。あるいは、より簡便に、σy、σzの内より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム断面形状とし、この楕円内をプルーム範囲内としてもよい。さらに、より単純に、以下の式(8)の範囲としてもよい。一方、プルーム範囲外とは、プルーム範囲内以外の領域をいう。
σy≧y≧−σy かつ σz≧Z≧−σz ・・・(8)
ここで、σy、σzは、発塵源からの距離L0と周期Δtdとの関数である(σy[L0、Δtd]、σz[L0、Δtd])。σy、σzは、周期Δtdを固定して(これを基準期間とする)求められた数表化または図表化された値として、非特許文献1に記載される、Pasquill−GiffordによるものやBriggsによるもの等を用い、周期Δtdの影響を経験式で補正して求められる。周期Δtdの影響を経験式で補正する方法は、非特許文献2に示されるように、プルーム拡散幅σyに、([実際に使用するΔtd]/[基準純時間のΔtd])Pを乗じるものである。
煤塵種と煤塵粒径とが与えられれば、粒子落下速度Vsが終末速度として決まるので、降下煤塵量M(x)は、濃度C(x)に、粒子落下速度Vsを乗じた以下の式(9a)、式(9b)で表現できる。
M(x)=VsB(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(9a)
M(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(9b)
式(9a)において、一定の風速の条件では、プルーム範囲内の局所の降下煤塵量M(x)は、発塵量QP及びプルーム拡散幅σy、σzのみによって決まる。また、プルーム拡散幅σy及びσzの値は、x及び気象条件の関数として、例えば非特許文献1に記載されるPasquill−Giffordの式で表現できる。したがって、一定の発塵源条件、かつ、一定の気象条件のもとでは、特定の降下煤塵評価地点での降下煤塵量M(x)を特定の発塵源からの距離xのみで表現することができる。
次に、式(9)を用いて、特定の降下煤塵評価地点における発塵源の存在範囲について考える。
図1は、特定の降下煤塵評価地点iMを原点Oとした水平面内での全体座標系x',y'(地表面)上に、x'=L0の位置に存在する2つの発塵源io1、io2から、降下煤塵評価地点iMと同一水平面上に発したプルームα(io1)、α(io2)を投影した図である。このとき、風向WDは、x'の正の方向である。プルームα(io1)、α(io2)の位置は、x'=0において、それぞれの中心軸10a、10bが地表面に一致すると共に、プルームの水平方向の端部(プルームα(io1)ではy'のマイナス側端部、プルームα(io2)ではy'のプラス側端部)が原点Oを通過するように、プルームα(io1)、α(io2)が配置されている。このプルームα(io1)、α(io2)の配置が、x=L0に設定された発塵源io1、io2から、プルームα(io1)、α(io2)が、降下煤塵評価地点iMに到達することのできる限界の位置である。即ち、発塵源io1の位置が、y'のプラス側の限界位置であり、発塵源io2の位置が、y'のマイナス側の限界位置である。
プルームα(io1)及びα(io2)のx'=0における拡散幅σyは、σy(L0)である。よって、x'=L0における発塵源io1、io2の間の距離の半幅は、σy(L0)、即ち、プルームα(io1)及びα(io2)のx'=0における拡散幅σyに一致する。ここで、降下煤塵評価地点iMで降下煤塵が計測された際の発塵源io1、io2の位置を推定する場合、水平面内において、発塵源io1、io2が存在し得る範囲は、原点Oと、発塵源io1の点とを通過する線、及び、原点Oと発塵源io2の点とを通過する線に挟まれた領域γ(iM,it)(斜線で示している領域)となる。この領域γ(iM,it)が発塵源探索範囲である。
ところで、発塵源io1、io2を配置するx'=L0の値は任意である。よって、任意のx'の位置において、降下煤塵評価地点iMに到達し得る発塵源io1、io2のy'方向の範囲の半幅は、常にσy(x')となる。即ち、発塵源探索範囲γ(iM,it)のy'方向の半幅は、例えば、式(6)のプルーム式での発塵源と同一水平面上でのσyと同じ形になる。したがって、水平面内での発塵源探索領域γ(iM,it)は、降下煤塵評価地点iMから代表風向の風上方向に伸長した中心軸11上の、降下煤塵評価地点iMからの距離のみの関数で表現される探索領域幅によって設定することができる。
図2は、特定の降下煤塵評価地点iMを原点Oとした鉛直面内での全体座標系x',z上に、x'=L0の位置に存在する2つの発塵源io3、io4から、降下煤塵評価地点iMと同一鉛直平面上に発したプルームα(io3)、α(io4)を投影した図である。
基本的には、図1を参照しながら説明したのと同様の方法で、発塵源探索領域γ(iM,it)は設定される。この際、発塵源探索領域γ(iM,it)の幅は、拡散幅σz(x')で表わされる。
尚、降下煤塵は落下するので、鉛直断面において、プルームα(io3)、α(io4)の中心軸10a、10b及び発塵源探索領域γ(iM,it)の中心軸11は、θ(=tan-1(Vs/WS))なる角度で傾斜する。このため、降下煤塵評価地点iMの風上方向の地点の内、発塵源io3、io4から降下煤塵評価地点iMまで降下煤塵が到達し得るのは、降下煤塵評価地点iMから風上方向に伸長した領域の内の一部の領域で発塵したものに限られることになる。この様に、降下煤塵評価地点iMから発生源探索領域γ(iM,it)を、風上方向に伸長する発塵源の探索手法において、風上方向の距離の範囲を制限することは、従来法には存在しなかった考え方であり、本手法は、発塵源探索領域γ(iM,it)を限定できる点で従来法に対して有利である。
以上の様な、降下煤塵量のプルーム式を変形した発塵源探索範囲γ(iM,it)の単純、且つ、定量的な表現は、従来のガスやSPMを前提としたプルーム式では実現し得なかったものであり、本発明者らが降下煤塵の落下速度Vsが比較的大きいことに着目した上で行った一連の洞察によって初めて可能になったものである。
尚、本発明は、式(9)のプルーム式を用いることに限定されるものではない。例えば、予め精密な測定を実施して地表面反射項の影響を正確に表現できる場合には、地表面反射項を残したままのプルーム式に基づいて式(9)のσzの項に適宜、補正を加えてもよい。
本発明の実施形態の第3の特徴は、発塵源や発塵量を必ずしも予め仮定する必要の無い点である。現実の発塵源は、その位置や発塵量の全てが予め知られていない場合が多いので、本発明の実施形態の手法は、現実に即した発塵源の探索を行える点で有利である。
本発明の実施形態の第4の特徴は、非定常発塵源の特定を行うことができる点である。本発明の実施形態の手法では、降下煤塵の量の測定値の取得周期ごと、又は、降下煤塵の量の測定値の取得周期の連続する数周期分の時刻ごとに、その時間帯における主要な発塵源を特定することができる。したがって、降下煤塵の量の測定値の取得周期の数周期分以上の時間スケールで変動する非定常発塵源であれば、これを把握することができる。また、非定常発塵源を特定する際に必要な降下煤塵評価地点の数は、潜在的な発塵源の数よりも十分少なくてよい。
本発明の実施形態の第5の特徴は、評価地点で捕集した降下煤塵を放射性降下煤塵又は非放射性降下煤塵に分類することによって、放射性降下煤塵の非定常発塵源を、放射性発塵源に近寄ることなく、遠方での降下煤塵計測データを用いて特定することができる点である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
降下煤塵量計測手段(装置)によって時間周期Δtdごとに降下煤塵量(降下煤塵の質量)が測定される(以下、必要に応じて「時間周期」を「周期」と略称する)。降下煤塵量の測定値の出力される時刻Td(it)とする。時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの時間(期間)を「Td(it)期間」と定義する。itは、降下煤塵の計測を開始した時刻を0とし、1ずつ増加する整数である。また、ntを2以上の自然数として、nt個の連続する「Td(it)期間」から構成される時間を「tg(k)期間」と定義する。ここで、「tg(k)期間」の始点の時刻を時刻tg(k−1)とし、このときのitを0とする。「tg(k)期間」の終点の時刻を時刻tg(k)とし、このときのitをntとする。kは、降下煤塵の計測を開始した時刻を0とし、1ずつ増加する整数である。本実施形態では、個々の「tg(k)期間」における降下煤塵の発生源を特定するものであり、周期Δtg(=nt・Δtd)以上の時間スケール(即ち、発塵継続時間)を有する発塵源を探索の対象とする。
周期Δtgとしては、例えば、周期Δtdの6周期分を採用することができる(周期Δtdが10分のとき、周期Δtgは1時間となる)。本実施形態で特定できる発塵源は、時間スケールが周期Δtg以上の非定常発塵源である。よって、周期Δtgを極端に長く設定することは、特定できる非定常発塵源が減少するので好適ではない。一般に、昼間と夜間とでは、気象条件が大きく異なる。このため、多くの非定常発塵源は、半日以下の時間スケールを示すので、周期Δtgは、12時間以下であることが好ましい。勿論、非定常発塵源の時間スケールが12時間以上であることが予め判明している場合にはこの限りではない。
また、発塵源の探索を実施し得る三次元領域の中に、x、y、zなる直交座標系を設定し、各座標軸上において、それぞれnx、ny、nz個の座標成分を設け、前記三次元空間をnx×ny×nz個の座標点pで代表することにする。ここで、座標点pは、各座標軸成分がそれぞれix番目、iy番目、iz番目である座標点を表す。個々の座標点の位置を、各座標軸上の座標成分の順番ix、iy、izを用いて、Sc(ix,iy,iz)として、原点Oからの位置ベクトルで表記する。各座標点pでは、発塵源判断のモードとして、「発塵源」、「発塵源でない」、及び「未判定」の3つの内、何れかが設定される。
図3のフローチャートを用いて、発塵源を探索する際の発塵源探索装置の処理(発塵源探索処理)の一例を説明する。発塵源探索装置は、例えば、CPU等の演算装置、メモリ、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置(例えば、市販のパーソナルコンピュータ(PC))を用いることにより実現される。例えば、図3のフローチャートは、C言語等のプログラミング言語を用いて実行可能なコンピュータプログラムに翻訳され、予め、HDD等に保存される。情報処理装置における発塵源探索処理の実行時には、CPU等の演算装置によって、HDD等に記憶された前記実行可能なコンピュータプログラムが読み出されて起動し、前記実行可能なコンピュータプログラムの指令に基づいた演算をCPU等の演算装置が順次実行することにより実現される。前記発塵源探索処理の起動タイミングは、手入力で前記実行可能なコンピュータプログラムを起動してよく、また、定期的に自動的に起動するようにしてもよい。前述したように、本実施形態の発塵源探索装置は、ある時刻において、「tg(k)期間」における降下煤塵の発塵源を探索する。
発塵源探索装置において、降下煤塵評価地点・座標点等の位置情報、降下煤塵量・風向・風速等の測定値や煤塵種に関する分析値等の必要入力情報は、情報処理装置に接続されたキーボードやコンソール画面等を用いて、予め人力で入力することができる。入力された前記入力情報は、HDD等に保存され、発塵源探索処理実行の進行に応じて、適宜、読み出される。
発塵源探索装置において、算出された特定座標点に対する非定常発塵源判定結果及び発塵量等の算出結果は、HDD等に保存されると共に、コンソール画面等に表示することができる。
尚、上記の発塵源探索装置の処理の一部又は全部を手計算等の他の手段に置き換えても何ら問題ない。
まず、第1工程について説明する。
ステップS201において、発塵源探索装置は、全ての座標点pにおいて、発塵源判断モードを「未判定」に初期化する。
次に、ステップS202において、発塵源探索装置は、全ての降下煤塵評価地点i(但し、nM≧i≧1)の水平面(例えば地上高度1.5m)内の位置を、前記座標系の原点からの位置を示す位置ベクトルP(i)として算出する。
次に、ステップS203において、発塵源探索装置は、「tg(k)期間」に含まれる全ての「Td(it)期間」における「代表風速WD(it)と、代表風向WS(it)と、全ての降下煤塵評価地点での降下煤塵量M(i,it)と、降下煤塵の代表落下速度Vs(i,it)」を設定(入力)する。本実施形態では、例えば、このステップS202において、煤塵量設定工程、代表風向導出工程、代表風速導出工程、及び代表落下速度導出工程が実行される。
ここで、降下煤塵量M(i,it)は、例えば、特許文献6に記載される連続式降下煤塵計を用いて、周期Δtdを、例えば、10分として測定することができる。風向及び風速は、例えば、市販のプロペラ式風向風速計を用いて、周期Δtdをよりも短い周期Δtwint(例えば、1秒周期)で測定した値とすることができる。風向の空間分解能は、例えば、1°間隔である。代表風向WD(it)、代表風速WS(it)は、例えば、対応する「Td(it)期間」における「風向測定値及び風速測定値」の平均値を用いることができる。また、「降下煤塵評価地点の近傍」とは、風向・風速が降下煤塵評価地点上空における風向・風速と高い相関を示す範囲であればよく、例えば、降下煤塵評価地点から1km以内の水平距離とすることができる。地形が単調で風向・風速分布の少ない地域ではこれ以上の水平距離であってもよい。また、風向・風速測定点の高さは、気象庁の推奨する測定高さである、地表面から10mを採用することができる。想定される発塵源の高さが10mよりも十分に高い場合には、地表面とこの発塵源高さの中間の高さを測定点高さとしてもよい。
また、「tg(k)期間」に含まれる全ての「Td(it)期間」に評価地点で捕集された降下煤塵サンプルを用いて、その平均落下速度を測定し、これをそれぞれの「Td(it)期間」に対応する降下煤塵の代表落下速度Vs(it)として採用することができる。あるいは、測定機器等の制約によって降下煤塵捕集のサンプリグ間隔がTd(it)を超える等の場合には、例えば、当該「tg(k)期間」に捕集された降下煤塵全体を降下煤塵サンプルとし、その平均落下速度を、「tg(k)期間」に含まれる全ての「Td(it)期間」に共通の代表落下速度Vs(=Vs(it)=constant)として採用してもよい。降下煤塵サンプルの落下速度の測定方法としては、例えば、以下の方法がある。即ち、降下煤塵サンプルを密閉容器の上方から放出し、個々の降下煤塵粒子が容器底部に到達する時間をそれぞれ計測し、落下距離を落下時間で除することによって、降下煤塵の代表落下速度Vsを求めることができる。容器底部に個々の降下煤塵粒子が到達したことを検知するためには、容器底部において、水平方向にシート状のレーザ光を連続的に照射し、降下煤塵がこのレーザ光を通過する際に生じる散乱光を光検知器で検出する等の方法を採用することができる。
個々の降下煤塵粒子の落下速度から代表落下速度Vsを算出する方法としては、全ての降下煤塵粒子の数の50%の降下煤塵粒子が容器の底に到達した時刻に対応する落下時間を、降下煤塵粒子の代表落下速度Vsに関わる降下煤塵粒子の落下速度として採用することができる。或いは、降下煤塵のおよその密度と形状とが予め判明している場合には、単に、降下煤塵サンプルの粒径分布を測定することによって、降下煤塵粒子の代表落下速度Vsを算出することができる。降下煤塵の粒径から降下煤塵粒子の代表落下速度Vsを算出する方法として、例えば、次の、ストークスの終末速度の式(10)を用いることができる。
s={4gDp(ρp−ρf)/3ρfR1/2 ・・・(10)
ここで、式(10)の記号の意味は以下の通りである(単位は、全てSI単位である)。
g: 重力加速度[m/s2
p: 粒子径[m]
ρP,ρf: 粒子、流体の密度[kg/m3
R: 抵抗係数[−](粒子形状に応じて各種の数表が開示されている)
次に、ステップS204において、発塵源探索装置は、全ての降下煤塵評価地点iにおける「各降下煤塵評価地点に関する発塵源探索領域γ(i,it)」を、「tg(k)期間」における全ての時刻Td(it)において設定する。本実施形態では、例えば、このステップS204において、降下煤塵発生源探索領域設定工程が実行される。
図4は、発塵源探索範囲γ(i,it)の一例を示す図である。図4を参照しながら、発塵源探索範囲γ(i,it)の設定方法の一例を説明する。
図4において、γ(iM,it)は、図2及び図3において座標成分ごとに分解して表示した発塵源探索領域γ(iM,it)を、等角投影法によって1枚の図で表現したものである。図4では、絶対座標(x',y',z)上の地表面に2つの降下煤塵評価地点iM、iNを設置し、これら降下煤塵評価地点iM、iNを始点として、代表風向WD(it)の風上方向に仰角θ(=tan-1[Vs(iM,it)/WS(it)]、又は、tan-1[Vs(iN,it)/WS(it)])で、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸を設定する。中心軸上の周りに、水平方向に2σy、鉛直方向に2σzなる幅で楕円断面を形成するように、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する。図4に示すように、複数の発塵源探索領域γ(i,it)が存在する場合、複数の発塵源探索領域γ(i,it)間の共通領域41を生じることがある。
次に、ステップS205において、発塵源探索装置は、降下煤塵評価地点iについて、「『tg(k)期間』内で最大の降下煤塵量M(i,it)となる時刻Td(it)の降下煤塵量であるMmax(i)と、このときのitであるimax(i)と、当該時刻Td(it)における代表風向WDmax・代表風速WSmax」を算出する。本実施形態では、例えば、このステップS205において、最大降下煤塵情報導出工程が実行される。
次に、第2工程について説明する。
まず、ステップS206において、発塵源探索装置は、一方の降下煤塵評価地点iMとして、未選択の降下煤塵評価地点iを選択する。
次に、ステップS207において、発塵源探索装置は、座標点pの内、未選択のものを選択する。
次に、ステップS208において、発塵源探索装置は、座標点pの位置ベクトルSc(ix,iy,iz)を求める。座標点pの位置ベクトルScは、座標軸の原点を始点とし、各座標軸成分がそれぞれix番目,iy番目,iz番目の座標軸分割点となる点(即ち、p点)を終点とするように設定される。ここで、「tg(k)期間」における「降下煤塵評価地点iMに関する唯一の非定常降下煤塵探索領域」として、γ(iM,imax)を第1の非定常降下煤塵探索領域とする。
次に、ステップS209において、発塵源探索装置は、前記降下煤塵評価地点iMとは異なる他方の降下煤塵評価地点iNを選択する。ここで、「tg(k)期間の任意の時刻Td(it)」における「降下煤塵評価地点iNに関する非定常降下煤塵探索領域」として、γ(iN,it)を第2の非定常降下煤塵探索領域とする。
次に、ステップS210において、発塵源探索装置は、ステップS206で選択した降下煤塵評価地点iMと、ステップS209で選択した降下煤塵評価地点iNとが同じ位置のものであるか否かを判定する。この判定の結果、降下煤塵評価地点iMと降下煤塵評価地点iNとが異なる位置のものである場合には、ステップS211に進む。一方、降下煤塵評価地点iMと降下煤塵評価地点iNとが同じ位置のものである場合には、ステップS211〜S220を省略して後述するステップS221に進む。
ステップS211に進むと、発塵源探索装置は、「tg(k)期間」内の時刻Td(it)の内、未選択の時刻Td(it)を選択する。
次に、ステップS212において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pが、第1の発塵源探索範囲γ(iM,imax)と、第2の発塵源探索範囲γ(iN,it)との双方に含まれ、且つ、発塵源判定モードが「発塵源でない」以外のモードであるという発塵源判定条件を満たすか否かを判定する。
この判定の結果、発塵源判定条件を(全て)満たす場合には、ステップS207で選択した座標点pは、発塵源である可能性がある。この発塵源判定条件を満たす状態は、図4において、2つの発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の共通領域41(斜線で示す領域)内に、座標点pの存在する状態に対応する。このように発塵源判定条件を満たす場合には、ステップS213に進む。一方、発塵源判定条件を満たさない場合には、ステップS213〜S220を省略して後述するステップS221に進む。
ステップS213に進むと、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pと、ステップS206で選択した一方の降下煤塵評価地点iMとの間の(最短)距離Ld(iM)と、同じくステップS207で選択した座標点pと、ステップS209で選択した他方の降下煤塵評価地点iNとの間の(最短)距離Ld(iN)とをそれぞれ算出する。
座標点pと降下煤塵評価地点iMとの間の距離Ld(iM)は、例えば、位置ベクトルP(iM)の終点と、位置ベクトルSc(ix,iy,iz)の終点とを結ぶベクトルのノルムとして算出される。座標点pと降下煤塵評価地点iNとの間の距離Ld(iN)の算出方法も同様である。本実施形態では、例えば、このステップS213において、距離算出工程が実行される。
次に、ステップS214において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pにおける「降下煤塵評価地点iM、iNに関する発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2」を算出する。これら発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2の算出方法は、例えば、次のようになる。即ち、拡散幅σy[Ld]、σz[Ld]の内、大きい方の2倍の値を長軸長とし、短い方の2倍の値を短軸長とする楕円の面積として、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2を計算することができる。本実施形態では、このステップS214において、断面積算出工程が実行される。
次に、ステップS215において、発塵源探索装置は、降下煤塵評価地点iM,iNからそれぞれ推定される「ステップS207で選択した座標点pでの仮定発塵量E1、E2」を算出する。仮定発塵量E1、E2は、例えば、次の式(11a)、式(11b)を用いて算出される。
1=B1p1max(iM) ・・・(11a)
2=B1p2M(iN,it) ・・・(11b)
式(11a)及び式(11b)において、B1は、係数である。式(11a)及び式(11b)は、一般的なプルーム式において、局所での濃度は、発生源での発生量に比例し、局所でのプルーム断面積に反比例することと対応している。即ち、もし、ステップS207で選択した座標点pが発塵源であれば、降下煤塵評価地点iM、iNにおけるプルーム断面積に反比例した濃度が検出される。つまり、一定の検出濃度に対して、想定されるプルーム断面積が大きいほど、これに対応する発生源での発生量は、大きくなければならない。よって、発生源での発生量は、降下煤塵評価地点iM、iNにおけるプルーム断面積に比例するはずである。
式(11a)及び式(11b)のB1は、本来、気象条件等の多数のパラメータによって変化すべき係数である。しかし、以下に述べる様に、本実施形態では、発塵源の判定にあたって、仮定発塵量E1、E2の比のみを用いる。また、仮定発塵量E1、E2は、同じ時刻のデータをもとに算出されるので、前提となる気象条件が共通する。したがって、本実施形態においては、簡易な方法として、B1を定数として設定することができる。本実施形態では、例えば、このステップS215において、発塵量算出工程が実行される。
次に、第3工程について説明する。
まず、ステップS216において、発塵源探索装置は、仮定発塵量E1、E2の比Rを算出する。仮定発塵量E1、E2の比Rは、E1/E2であってもE2/E1であってもよい。
次に、ステップS217において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pが発塵源であるか否かを判定する。本実施形態では、発塵源探索装置は、仮定発塵量E1、E2の比Rが、予め設定された上下限閾値の範囲内(Rmax≧R≧Rmin)であるか否かを判定する。この判定の結果、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲内であれば、ステップS207で選択した座標点pは「発塵源」であると判定される。一方、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲外であれば、ステップS207で選択した座標点pは「発塵源でない」と判定される。
この判定法の根拠は次の通りである。時間スケールが周期Δtg以上の非定常発塵源からの発塵量の変動は、定義上、「tg(k)期間」内では十分小さい。したがって、発塵量が他の発塵源に比べて大きい発塵源、即ち、主要発塵源の探索を行う限りにおいては、主要発塵源から発生した降下煤塵は、「tg(k)期間」中に到達し得る全ての降下煤塵評価地点iにおいて支配的であると考えられる。このとき、この「tg(k)期間」中に到達し得る降下煤塵評価地点iが複数存在するのであれば、これらの降下煤塵評価地点iで観測される降下煤塵量は、発塵源(座標点p)とこれら各降下煤塵評価地点iとの間の距離の関数(即ち、プルーム式)に従って、互いに一定の比率を示すはずである。したがって、この条件を満たす座標点pは、主要発塵源としての可能性が高い。よって、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲内である場合に、ステップS207で選択した座標点pが「発塵源」であると判定する。
一方、もし、この各降下煤塵評価地点iで観測される降下煤塵量の比が、プルーム式から算出される値と大きく異なるのであれば、ステップS207で選択した座標点pは、「tg(k)期間」中に複数の評価地点iに降下煤塵が到達し得る位置に存在する座標点pであっても、虚偽の発塵源である可能性が高い。よって、仮定発塵量E1、E2の比Rが予め設定された上下限閾値の範囲外である場合に、ステップS207で選択した座標点pが「発塵源」でないと判定する。
この判定の結果、ステップS207で選択した座標点pが発塵源である場合には、ステップS218に進む。一方、ステップS207で選択した座標点pが発塵源でない場合には、後述するステップS220に進む。
本実施形態では、例えば、ステップS212とステップS217において、発塵源判定工程が実行される。
ステップS218に進むと、発塵源探索装置は、ステップS209で選択した座標点pの発塵源判断モードを「発塵源」に設定する。
次に、ステップS219において、発塵源探索装置は、「発塵源」であると判定された座標点pにおける推定発塵量を算出する。推定発塵量は、例えば、「発塵源」であると判定された座標点pでの発塵源判定(ステップS217)に用いた全ての仮定発塵量Eの平均値とすることができる。そして、後述するステップS221に進む。
一方、ステップS220に進むと、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pの発塵源判断モードを「発塵源でない」に設定する。そして、ステップS221に進む。
ステップS221に進むと、発塵源探索装置は、「tg(k)期間」内の全ての時刻Td(it)を選択したか否かを判定する。この判定の結果、「tg(k)期間」内の全ての時刻Td(it)を選択していない場合には、ステップS211に戻る。一方、「tg(k)期間」内の全ての時刻Td(it)を選択した場合には、ステップS222に進む。
ステップS222に進むと、発塵源探索装置は、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択したか否かを判定する。この判定の結果、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択していない場合には、ステップS209に戻る。一方、他方の降下煤塵評価地点iNとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択した場合には、ステップS223に進む。
ステップS223に進むと、発塵源探索装置は、全ての座標点pを選択したか否かを判定する。この判定の結果、全ての座標点pを選択していない場合には、ステップS207に戻る。一方、全ての座標点pを選択した場合には、ステップS224に進む。
ステップS224に進むと、発塵源探索装置は、一方の降下煤塵評価地点iMとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択したか否かを判定する。この判定の結果、一方の降下煤塵評価地点iMとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択していない場合には、ステップS206に戻る。一方、一方の降下煤塵評価地点iMとして、全ての降下煤塵評価地点iを選択した場合には、ステップS225に進む。
ステップS225に進むと、発塵源探索装置は、発塵源の位置と、当該発塵源における推定発塵量とを表示する。そして、図3のフローチャートによる処理を終了する。尚、全ての座標点pが発塵源と判定されないこともある。この場合には、ステップS225において、発塵源探索装置は、その旨を表示する。
以上のように、第2、第3工程は、「tg(k)期間」内の全ての時刻Td(it)に関して実施でき、特定の座標点pに関して、特定の時刻Td(it)での発塵源であるか否かの判定結果が、「tg(k)期間」を代表する発塵源であるか否かの判定結果となり得る。ステップS207で選択された座標点pにおいて、いずれの時刻Td(it)においても「発塵源ではない」と判定されると、この「tg(k)期間」において当該座標点pは、主要発塵源ではないと判定される。一方、いずれかの時刻Td(it)において、当該座標点pが「発塵源」と判定され、且つ、それ以外のいずれの時刻においても「発塵源ではない」と判定されると、当該座標点pは「tg期間における主要発塵源である」と判定される。
また、第2、第3工程は、必要に応じて、降下煤塵評価地点iM、iNや座標点pを変更して、発塵源であるか否かの判定をそれぞれ独立に行ってよい。いずれの発塵源であるか否かの判定にも与えらなかった座標点pでは、初期値の「未判定」が発塵源判定モードとして残る。また、発塵源が得られた時点で処理を終了してもよい。
第2工程及び第3工程は、特定の降下煤塵降下煤塵評価地点i(=iM)に対して特定の座標点pについて発塵源の判定を行う(前記の発塵源判断のモードをいずれかに設定する)ものである。必要に応じて、降下煤塵評価地点i及び座標点pを変更して同様の判定を行う。
このように、本実施形態では、評価点pから風上方向に伸長させる発生源探索領域に、プルーム式の考え方を導入することによって、時間スケールが周期Δtg以上の、降下煤塵の発生源の位置及び発生源での発塵量の特定を的確に実施することが可能となる。よって、少数の降下煤塵評価地点での降下煤塵の計測によって、非定常発塵源を含む発塵源の探索を効率的に、かつ、正確に実施することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
予め、発塵源が地表付近の高さに限定されると判明しているときには、発塵源探索領域を、第1の実施形態のように三次元の領域ではなく、水平面内(二次元の領域内)に設定することにより、発塵源探索の過程を簡略化することができ、発塵源探索に要する計算不可を低減することができる。
具体的には、図3のステップS204において、発塵源探索装置は、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸の鉛直方向での傾斜及び鉛直方向の拡散幅σzを省略し(仰角θを0°、拡散幅σzを0とし)、発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を二次元化する。
ステップS202、S208における位置ベクトルP、Scについても鉛直成分を省略して二次元ベクトル化する。
但し、このように発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を二次元化する場合であっても、座標点pにおける発塵量を算出する際には、煤塵プルームの鉛直方向への拡散の影響を考慮する必要がある。このため、ステップS214において、発塵源探索装置は、ステップS207で選択した座標点pにおける「降下煤塵評価地点iM、iNに関する発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2」を算出する必要がある。この降下煤塵評価地点iM、iNに関する発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の中心軸垂直断面積Sp1、Sp2は、既に算出された「距離Ld(iM)、Ld(iN)における降下煤塵粒子の「水平方向の拡散幅σy[Ld]」を半径とする円の断面積とすることができる。又は、「距離Ld(iM)、Ld(iN)における降下煤塵粒子の「水平方向の拡散幅σy[Ld]」に対応する「距離Ld(iM)、Ld(iN)における降下煤塵粒子の「鉛直方向の拡散幅σz[Ld]」を用いて、長軸及び短軸を2×σyまたは2×σZとする楕円の断面積としてもよい。
本実施形態においては、「tg(k)期間」に含まれる各時刻Td(it)において、風向及び風速が一般に変化する。本実施形態では、特定の降下煤塵評価地点iMに関する主要な発塵源を探索するので、「tg(k)期間」において最大の降下煤塵量となる風向WDmax(iM)の風上方向に第1の発塵源探索範囲γ(iM,it)を設定することは自然である。第1の発塵源探索範囲γ(iM,it)内で発塵源を特定するためには、他の評価地点iNにおける第2の発塵源探索領域γ(iN,it)と、第1の発塵源との交差が生じることが必要である。本実施形態では、「tg(k)期間」内の風向WDmax(iM)とは異なる風向WD(iN、it)となる時刻の「降下煤塵評価地点iNでの降下煤塵量の計測値M(iN,it)」を用いることによって、第1、第2の発塵源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)の交差が生じ易くなり、より多くの座標点pで発塵源の有無の判定を実施することができ、「未判定」の座標点pを減少させることができる。
このとき、風向WD(iN、it)は、従来法のように、降下煤塵評価地点iNにおいて最大の降下煤塵量が計測されたときの風向である必要はない。これは、本発明の実施形態では、プルーム式に基づく発塵源探索領域内での発塵量の推定値が存在するので、従来法のように、最大の降下煤塵量となる風向か否かの情報だけではなく、特定の風向における降下煤塵量の測定値の絶対量の情報(即ち、他の風向条件での降下煤塵量との相対値情報ではない)を発塵源の有無の判定に適用することができるからである。
従来法における発生源の探索方法を説明する模式図である図7と同じ対象系を用いて、本発明の実施形態の利点を説明する。前述の様に、従来技術では、図7において、発生源探索線2、3、4の交点6、7、8を発塵源とみなす。しかし、従来技術では、発生源探索線2、3、4上での発生量の情報を欠いている。このため、これら個々の交点6、7、8が発塵源として妥当であるかについて、これ以上情報を得ることはできない。例えば、交点6は、実際に主要な発生源である可能性もあるが、他の主要な発塵源による降下煤塵評価地点i1、i2への影響によって見掛け上、単にこの交点6で発生源探索線2、3が交差しただけかもしれない(例えば、降下煤塵評価地点i1に関する主要な発生源は、交点7であり、降下煤塵評価地点i2に関する主要な発塵源は、交点8、もしくは、施設(粉塵(SPM)の発生箇所)cよりも降下煤塵評価地点i2に近い位置に存在する未知の発生源であるのかもしれない)。従来法では、これらのいずれが真の発塵源であるかを判断することは不可能であった。特に、発生源とは想定されていない地点で発生源探索線2、3、4の交差が生じた場合(例えば、交点7、8)、この交点が未知の発塵源であるのか、あるいは、単なる見掛け上の発生源探索線の交差(即ち、発生源ではない)であるのかを識別することはできない。よって、発塵源を過検出する(交差点を全て発生源と判定する場合)か、あるいは、未知の発塵源の検出が不可能である(予め発生源として想定していない地点での発生源探索線の交差を全て虚偽と判定する)かのいずれかの不具合に陥ることが避けられなかった。
図5は、本発明の実施形態における発塵源を探索する方法の一例を模式的に説明する図である。
図5に示すように、本発明の実施形態を適用した場合には、発塵源探索領域の交差領域において、発塵源として妥当であるか否かの吟味を行うことができる。即ち、例えば、図5において、図7の交点6、7、8にそれぞれ対応する降下煤塵評価地点として、発塵源探索領域γ(i1,itmax)、γ(i2,itmax)、γ(i3,itmax)間の共通領域内に存在する、座標点p1、p2、p3が得られたものとする。このとき、例えば、座標点p1の発塵源としての妥当性を評価するためには、座標点p1の降下煤塵評価地点i1及びi2にそれぞれ対する推定発塵量E(p1,i1)とE(p1,i2)を比較することにより、定量的に発塵源を判定することができる。
また、従来法では原理的に、風向別の濃度検出量が最大値(少なくとも極大値)を示す方向での発生源の探索しか実施できない。非定常発塵源の探索を対象とする場合には、測定期間が比較的短いため、この間の風向の変動は一般に限定される。したがって、各降下煤塵評価地点において、全ての風向条件で濃度測定値を得ることは実質的には不可能である。このため、主要な発生源、降下煤塵評価地点、並びに、測定値の得ることのできる風向範囲の組み合わせによっては、特定の降下煤塵評価地点において、本来、濃度最大値を示すべき風向が測定期間中に発生しないために、発生源の探索が不可能(若しくは、虚偽の識別)になる場合がある。本来であれば、限られた風向条件での濃度測定値であっても、発生源に関する何らかの情報を有しているはずである。したがって、風向データの存在する方位で発塵源の探索を行うことができれば(例えば、図7に示す発生源探索線5のような発生源探索線の設定ができれば)、少なくとも他の降下煤塵評価地点における発生源の識別に有用な情報を提供し得る。しかし、従来法では、図7に示す発生源探索線5の様な発生源探索線を設定する手法がそもそも存在しないので、濃度最大値を示す風向以外での濃度測定データは活用されることがない。
図6は、濃度最大値を示す風向以外の方向に発塵源探索領域を設定する方法の一例を模式的に説明する図である。
本発明の実施形態では、図6に示すように、濃度最大値を示す風向以外の方向にも発塵源探索領域(例えば、発塵源探索領域γ(i3,it2))を設定することができる。その結果、発塵源探索領域γ(i1,itmax)とγ(i3,it2)の共通領域内の座標点p4といった、従来、発塵源の評価を実施できなかった領域でも、発塵源の有無の判定を実施することができる。この結果、発塵源の有無の判定を実施可能な座標点pは、従来法に比べて飛躍的に増大させることができ、より精密な発塵源の探索を行うことができる。
さらに、図7に示す従来法においては、発塵源の有無の判定を二次元平面上で行うため、発塵源探索線2、3、4の交点6、7、8を全て発塵源とみなすという弊害があった。これに対して、本発明の第1の実施形態では、発塵源探索領域γ(i,it)は、降下煤塵評価地点iで得られた降下煤塵サンプルの粒径の分析結果を用いて、三次元空間上に展開される。このため、従来法において、図5に示すような平面図では一見、発塵源探索範囲同士が交差しているようにみえても、鉛直方向も含めてみると、当該発源探索範囲間に共通領域の存在しない場合が多々、発生する。このため、本発明の実施形態では、図7に示すような平面上での交差点6、7、8に対応する特定点の内、実際には発塵源とはなり得ない(即ち、三次元空間上で塵源探索領域間の共通領域に含まれない)点を発塵源の候補から除外することができる。これにより、発塵源の探索をより高精度に行うことができる。
このように、本発明の実施形態によって、発塵源になり得ない座標点pを除外しつつ、発塵源の候補となり得るより多くの座標点pを設定することができ、設定した座標点pにおいて、より高精度に発塵源の位置及び発塵源での発塵量の特定を実施することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
評価地点にて捕集した降下煤塵の放射線を測定してその強度に基づいて、個々の降下煤塵粒子(のサンプル)、又は、当該降下煤塵粒子(のサンプル)全体を放射性降下煤塵又は非放射性降下煤塵に分類し、放射性降下煤塵のみ(又は非放射性降下煤塵のみ)を対象にした放射性降下煤塵(又は非放射性降下煤塵)の非定常発塵源を探索することができる。
降下煤塵の放射線強度の測定方法には公知の方法を用いることができる。例えば、特許文献7〜9に記載される手法を用いることができる。
放射線強度に基づく降下煤塵試料の分類方法には、例えば、前記Td(it)期間(時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの時間(期間))に各評価地点で捕集された試料中の個々の降下煤塵粒子を1個ずつ分離してそれぞれの放射線強度を測定し、放射線強度が所定閾値以上の場合には、当該放射線強度を有する降下煤塵粒子を放射性降下煤塵とし、それ以外を非放射性降下煤塵と分類することができる。この試料全体の質量は、降下煤塵量として測定されているので、前記試料全体の質量に放射性降下煤塵の個数比率(=[放射性降下煤塵の個数÷(放射性降下煤塵の個数+非放射性降下煤塵の個数)])を乗じた値をこの試料中の放射性降下煤塵の質量とすることができる。あるいは、捕集された特定の降下煤塵粒子の試料全体の放射線強度を測定して、放射線強度が所定閾値以上の場合には、当該試料全体の質量を放射性降下煤塵の質量とし、それ以外の場合には当該試料全体の質量を非放射性降下煤塵試料の質量としてもよい。図3のステップS102では、このようにして得られた放射性降下煤塵の質量(又は非放射性降下煤塵の質量)が、降下煤塵量M(i)として設定される。そして、放射性降下煤塵(又は非放射性降下煤塵)について、「発塵源」、「発塵源でない」、及び「未判定」の何れかが設定される。
このような取扱によって、例えば、放射性降下煤塵の非定常発塵源を、放射性発塵源に近寄ることなく、遠方での降下煤塵計測データを用いて特定することができる。尚、放射性降下煤塵及び非放射性降下煤塵の何れを発塵源の探索対象とするかについては、例えば、図3のフローチャートを開始する前に、情報処理装置に接続されたキーボードやコンソール画面等を用いて、予め人力で設定(入力)することができる。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
i 降下煤塵評価地点
o 発塵源
a,b,c,d,e 予め想定される発生源
p 座標点
α プルーム
γ 発塵源探索範囲
10 プルームの中心軸
11 発塵源探索領域の中心軸
41 発塵源探索領域間の共通領域

Claims (5)

  1. 時間周期Δtdごとのit番目の時刻Td(it)において、互いに異なる2つ以上の降下煤塵評価地点における、時刻Td(it−1)から時刻Td(it)までの期間であるTd(it)期間での平均的な降下煤塵量Mの測定値を設定する煤塵量設定工程と、
    前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風向を基に、前記Td(it)期間での代表風向WD(it)を導出する代表風向導出工程と、
    前記降下煤塵評価地点のそれぞれの近傍において、前記時間周期Δtdよりも短い時間周期Δtwintで連続的に測定された風速を基に、前記Td(it)期間での代表風速WS(it)を導出する代表風速導出工程と、
    前記Td(it)期間に前記降下煤塵評価地点で捕集された降下煤塵の落下速度の測定値を基に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを導出する代表落下速度導出工程と、
    連続する2つ以上の前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtgごとの時刻であって、k番目の時刻をtg(k)とした場合の、時刻tg(k−1)から時刻tg(k)までの評価期間であるtg(k)期間に含まれる任意の前記Td(it)期間における降下煤塵探索領域γ(i,it)として、互いに異なる2つの前記降下煤塵評価地点iM、iNを始点とし、前記代表風向WDの風上方向にのびる中心軸を有すると共に、前記中心軸の周囲に降下煤塵発生源探索領域幅を設けて前記中心軸から垂直方向に前記降下煤塵発生源探索領域幅までの距離の範囲を領域とする第1、第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,it)、γ(iN,it)を設定する降下煤塵発生源探索領域設定工程と、
    前記降下煤塵評価地点iについて、tg(k)期間内で最大の降下煤塵量Mとなる時刻Td(it)の降下煤塵量Mmax(i)と、当該時刻Td(it)におけるitであるimax(i)と、当該時刻Td(it)における代表風向及び代表風速であるWDmax及びWSmaxとを導出する最大降下煤塵情報導出工程と、
    g(k)期間における前記降下煤塵評価地点iMに関する唯一の非定常降下煤塵探索領域である第1の降下煤塵発生源探索領域γ(iM,imax)と、tg(k)期間の任意の時刻Td(it)における前記降下煤塵評価地点iMとは異なる降下煤塵評価地点iNに関する第2の降下煤塵発生源探索領域γ(iN,it)との双方の中にある座標点pと、前記2つの降下煤塵評価地点iM、iNとの間の距離Ld(iM)、Ld(iN)を算出する距離算出工程と、
    前記座標点pを含む前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の中心軸の垂直面における前記第1、第2の降下煤塵発生源探索領域の断面積である発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2を、前記降下煤塵発生源探索領域幅を用いてそれぞれ算出する断面積算出工程と、
    前記発塵源探索領域中心軸垂直断面積Sp1、Sp2に比例する仮定発塵量E1、E2を算出する発塵量算出工程と、
    前記座標点pの含まれる全ての降下煤塵発生源探索領域の全ての組み合わせに対して、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が全て所定の上下限閾値の範囲内であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源であると判断し、前記発塵量算出工程において算出された、いずれかの前記仮定発塵量E1、E2の比が所定の上下限閾値の範囲外であれば、前記座標点pを、tg(k)期間における時間周期Δtg以上の時間スケールを有する主要な非定常発塵源ではないと判断すると共に、前記座標点pがいずれの前記降下煤塵発生源探索領域にも含まれない場合には前記座標点pでの降下煤塵の非定常発塵源の判断を行わない、発塵源判定工程と、
    を有し、
    前記降下煤塵発生源探索領域幅は、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出されたプルーム拡散幅であることを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
  2. 前記降下煤塵発生源探索領域中心軸は、前記風向の風上方向を水平成分として有すると共に、前記降下煤塵の代表落下速度Vsを前記代表風速WSで除した値Vs/WSを鉛直勾配として有し、
    前記降下煤塵発生源探索領域幅として、プルーム式において前記降下煤塵発生源探索領域中心軸をプルーム中心軸として前記プルーム中心軸上の前記距離において算出された、水平方向のプルーム拡散幅σy及び鉛直方向のプルーム拡散幅σzを水平成分及び鉛直成分としてそれぞれ用いることを特徴とする請求項1に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
  3. 前記プルーム拡散幅σy及びσzと、プルーム中心軸上の発生源からの距離xと、発塵量QPと、前記代表速度WSと、定数Bと、前記プルーム拡散幅σy及びσzを用いて定義されるプルーム範囲と、を用いて、プルーム中心軸上の発生源からの距離xでの煤塵濃度C(x)を表現する以下の式(A)及び(B)を、前記プルーム式として用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
    C(x)=B(QP/2πσyσzWS) (プルーム範囲内) ・・・(A)
    C(x)=0 (プルーム範囲外) ・・・(B)
  4. 前記プルーム拡散幅σy及びσzの内、より長い方の2倍を長軸、短い方の2倍を短軸とした楕円をプルーム中心軸に垂直な方向のプルームの断面形状としたときの、前記楕円の内側をプルーム範囲内として、前記プルーム範囲を算出することを特徴とする請求項3に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
  5. 前記Td(it)期間に前記評価地点で捕集された降下煤塵試料の放射線量を測定してその強度に基づいて前記降下煤塵試料を煤塵種ごとに分類する煤塵種分類工程を更に有し、
    前記捕集された降下煤塵試料の内、前記煤塵種分類工程で分類されたいずれかの煤塵種に対応する部分の降下煤塵の質量を前記降下煤塵量Mとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の降下煤塵の非定常発塵源位置の探索方法。
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