JP5691980B2 - 降下煤塵の非定常発塵源の探索方法、装置及びプログラム - Google Patents
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Description
この様な観点から、降下煤塵評価地点において計測された降下煤塵量から、複数の発生源での発生量影響を評価する、即ち、主要な発生源を探索する技術として、特許文献1〜4が開示されている。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×{exp[−(He−z)2/2σz 2]
+exp[−(He+z)2/2σz 2]}…(1)
ここで、数式(1)の記号の意味は以下の通りである。尚、これらの記号の意味は、以下の説明でも同じである。以下の記号は、全てSI単位系である。
(x,y,z):評価地点の3次元直交座標(ガス発生源を原点とする)
x:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に対応する座標値
y:水平面上で、プルーム中心軸がのびる方向に垂直な方向(以下の説明では、この方向を必要に応じて「水平方向」と称する。)の座標値
z:鉛直方向(以下の説明では、この方向を必要に応じて「鉛直方向」と称する。)の座標値
C:評価地点(x,y,z)でのガス濃度[kg/m3、又は、m3/m3]
QP:ガスの発生量[kg/s、又は、m3/s]
WS:風速[m/s]
He:ガス発生源の地表面からの高さ[m]
σy、σz:プルーム拡散幅[m](ガスの流れに垂直な方向のガス濃度分布の標準偏差であり、それぞれ、水平方向のもの、鉛直方向のものである)
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×{exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2]
+α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2]}…(2)
α=1−2Vd/{Vs+Vd+(WS・He−Vs)/σz・(dσz/dx)}…(3)
但し、Vd:沈着速度、Vs:落下速度(SPMの場合。ガスの場合は0)
ここで、αの乗じられた項は、ガス又はSPMの鉛直方向分布形状を地表面において対称に反転させることにより、地表面上方でガスやSPMが吸着されずに滞留する効果を表現したものであり、ガスやSPMの地表への吸着の効果は、αの大小によって調整される。
ここで、σyσzは、プルーム中心軸に垂直方向の「プルーム拡散幅」を表すための特性値であり、プルーム中心軸垂直方向にガウス分布の濃度分布を仮定した際に濃度が標準偏差となる点とプルーム中心軸間の距離が用いられる。
これらのプルーム式に共通する特徴は、第1に、特定濃度評価地点の濃度値を、評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、風向・風速等の気象条件等の関数式で表現して、結果を一意に与えることである。第2に、濃度算出にあたって、中心軸を仮定し、中心軸の周囲に「プルーム拡散幅」σyσzで特徴づけられる高濃度領域を形成する「プルーム」を設定することである。他の手法とプルーム式の比較を行うと、複数の連立物理方程式を数値的に解いて特定濃度評価地点の濃度値を算出する数値解析手法は、プルームを仮定することなく濃度算出を行う点や算出結果が一意であるとは限らない点から、プルーム式とは異なる。また、特定濃度評価地点の濃度値を評価地点と発生源の座標値、発生源での発生速度、風向・風速等の気象条件等を単に変数化して求めた重回帰式も、プルームを仮定することがないので、プルーム式ではない。
即ち、第1の問題点として、発生源を探索する対象の発生物が降下煤塵ではないことが挙げられる。
例えば、特許文献1〜4の技術においては、対象がガスであり、特許文献3の技術には、対象にSPMが含められているに過ぎない。SPMは、降下煤塵に比べて遥かに小さな粒子であり(定義上、直径10μm以下の粒子)、その大気中での拡散挙動は、微小な粒子沈降を生じることを除けば実質的にガスの挙動に等しい。一方、降下煤塵は、SPMに比べて遥かに大きな煤塵粒子であり(直径約10μm超の粒子である)、その落下速度が極めて大きいため、降下煤塵の大気中での拡散には、粒子降下速度の極めて大きな影響を受け、拡散挙動はガスとは大きく異なる。
また、本発明が対象とする降下煤塵量とは、地表面への降下煤塵の沈着量のことである。特許文献1〜4の技術では、降下煤塵評価地点におけるガス及びSPM濃度を観測及び管理対象としており、地表面への沈着速度を直接知ることはできない。確かに、数式(2)には、沈着速度Vdが記載されているので、Vdを正確に与えることができれば、降下煤塵評価地点上でのガス及びSPM濃度から地表面での沈着量に換算することが可能である。しかし、非特許文献1に記載されているように、SPMに対してVdは地表面の状態や大気乱流の影響を受けて大きく変動する。また、ガスに関しては、沈着速度を一般的に与える手法は開発されていない。従って、Vdの値を正確に与えることは実際には極めて困難であり、特許文献1〜4の技術で降下煤塵を対象とすることは、少なくとも定量的には困難である。
例えば、特許文献1及び2の技術においては、予め想定される全ての発生源及び全ての降下煤塵評価地点について、任意発生源での発生量と任意降下煤塵評価地点での濃度の関係を上記プルーム式等の気象条件の関数として予測し、次に、全ての降下煤塵評価地点における濃度実測値と、前記濃度予測値との差が最小となるように、前記関数のパラメータ(σyやQP等)を最適化手法により調整している。従って、少なくとも全ての発生源位置を予め与える必要があり、また、最適化手法の計算過程の妥当性を確保するためには、各発生源での概略の発生量も初期条件として予め与えることが一般には望ましい。なぜならば、最適化問題においては、実情から極端に解離した初期条件を与えた場合、実情とは大きく異なる局所安定点に解の収束する場合があるからである。
特許文献3の技術においては、図6に示すように、粉塵(SPM)発生箇所a、b、c、d、e等を予め仮定した上で、周辺の複数降下煤塵評価地点ix:2,ix:3,ix:4等でのSPM濃度を長期間、測定し、この期間内で各評価点で風向別SPM濃度平均値1の最も高い風向の風上方向に評価点ix:2,ix:3,ix:4からそれぞれ水平面内で発生源探索線3、4、5を伸長し、これらix:2,ix:3,ix:4発生源探索線の互いに交差した交点6、7、8の内、前記a、b、c、d、eのいずれかに合致した地点を、発生箇所を特に発生量の大きい発生箇所と判定している。
特許文献4の技術においては、想定される発生源の近傍に計測機を設けることが前提であるので、発生源は、予め既知でなければならない。
しかしながら、多数の発生源が存在する場合、これら全ての発生源位置と概略発生量を予め全て把握することは、実際には困難であり、もし、可能だとしても、多大な資源を必要とするため好適ではない。また、原子力発電所の事故地のように、そもそも発塵源に近寄ることのできない場合もある。従って、従来技術は、発生源の数が極めて少数であるか、あるいは、発生源の発生量を十分正確に把握し得る環境下でしか有効に適用することはできない問題がある。
例えば、特許文献1及び2においては、この技術では最適化手法を適用するため、一般的には、降下煤塵評価地点数の数を、適用されるプルーム式等の関数の中で調整可能なパラメータの数よりも、多く設定しなければならない。もし、調整可能なパラメータの数が実質的に降下煤塵評価地点数よりも多ければ、得られる解は、一般に一意に定まらないので手法として破綻するからである。多数の発生源が存在する場合、経済性の観点から降下煤塵評価地点の数を発生源の数よりも少なく設定する場合が多い。このような場合でも、発生源を定常発生源に限定すれば(即ち発生量QPを調整可能なパラメータとはしなければ)、多数の異なる時刻での降下煤塵評価地点での測定値を用いることにより発生源数以上の測定データ数を確保することができ、最適化手法を適用することができる。一方、発生量QPが非定常的に大きく変動する、非定常発生源に対して特許文献1、2の技術を適用する際には、QPを調整可能なパラメータとせざるを得ないため、多数の発生源対象とする場合には、発生源数を超える極めて多数の降下煤塵評価地点を設ける必要があり、経済性の観点から現実的でない。
特許文献3の技術においては、2カ月以上の期間内での離散的に採取された降下煤塵評価地点濃度データを平均化して発生源の探索を行う。従って、発生源は、定常発生源に限定される。
特許文献4の技術においては、想定される発生源の近傍に降下煤塵評価地点を配置するので原理的には非定常発生源を探索することができる。しかし、この技術においては、複数の発生源からのガスが特定降下煤塵評価地点に同時に到達する場合にどの発生源が卓越するのかを判断する方法が開示されておらず、また、想定される全ての発生源の近傍に降下煤塵評価地点を設置するのかも記載されていない。従って、この技術で非定常発塵源を探索することが可能なのは、発生源間の距離が互いに影響を及ぼさない程度に遠い場合に限られる。即ち、この技術は、実質的に発生源と降下煤塵評価地点が一対一に特定できる対象にしか適用できない。
しかしながら、現実の発生源では発生量が一般に大きく時間変動するので、定常発生源や、発生源と降下煤塵評価地点が一対一に特定できる発生源のみを対象とする従来技術では、現実の発生源探索に対して十分に適用できない問題があった。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、発塵量が非定常的に変動する降下煤塵の発塵源を、発塵源周辺での降下煤塵測定値を基に探索する手法を提供することを目的とする。
(1)時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するための非定常発塵源の探索方法であって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出するステップと、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出するステップと、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出するステップと、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定するステップと、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定するステップとを有することを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。
(2)連続する2つ以上のTd(it)期間から構成されるTg(k)期間において、前記評価地点ixにおいて最大の降下煤塵量mを測定したTd(it)期間の風向平均値及び風速平均値を前記代表風向及び代表風速として用いることを特徴とする(1)に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。
(3)前記参照地点iyの総数をniyと定義し、前記評価関数として、下式
(4)前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類するための方法として、
捕集された降下煤塵粒子の放射線量を測定してその強度に基づいて降下煤塵粒子を分類することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。
(5)前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類するための工程として、
高炉法による製鉄プラントに由来する降下煤塵の煤塵種の判別を前提とし、捕集された降下煤塵試料に磁力を付与して降下煤塵を磁石に着磁する着磁性降下煤塵と磁石に付着しない非着磁性降下煤塵に分離する第1の工程と、
前記着磁性降下煤塵と前記非着磁性降下煤塵それぞれに対して、降下煤塵をカメラで撮影して着磁性降下煤塵画像及び非着磁性降下煤塵画像を得る第2の工程と、
前記着磁性降下煤塵画像及び前記非着磁性降下煤塵画像をそれぞれ画像処理して個々の降下煤塵粒子の代表明度を算出し、前記代表明度と所定の明度しきい値を比較して個々の粒子を暗色粒子と明色度粒子に粒子明度を区分し、さらに、前記粒子明度区分及び前記第1の工程で得られた前記個々の降下煤塵の着磁性の有無との組み合わせを用いて前記個々の降下煤塵粒子を着磁性暗色粒子、着磁性明色粒子、非着磁性暗色粒子、及び非着磁性明色粒子とに煤塵特性を区分する第3の工程と、
前記製鉄プラントにおける代表的降下煤塵種毎の純粋な試料に対して前記第1〜第3の工程を施して得られた煤塵特性の区分と個々の煤塵種の対応関係を求め、前記捕集された降下煤塵の前記第3の工程で得られた煤塵特性と前記純粋な煤塵種の煤塵特性を比較して最も煤塵種特性の類似する煤塵種を求め、前記捕集された降下煤塵の煤塵種を前記最も煤塵種特性の類似する煤塵種と判別する第4の工程とを有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。
(6)時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するための非定常発塵源の探索装置であって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出する手段と、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出する手段と、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出する手段と、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定する手段と、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定する手段とを備えたことを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源の探索装置。
(7)時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するためのプログラムであって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出する手段と、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出する手段と、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出する手段と、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定する手段と、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
(第1の実施形態)
降下煤塵量計測手段によって周期Δtd毎に降下煤塵量計測値の出力される時刻Td(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの時間をTd(it)期間と定義する。itは、降下煤塵計測開始時刻を0とし、1ずつ増加する整数である。このTd(it)及びΔtdは、複数の降下煤塵の連続測定手段においてそれぞれ存在するが、全ての降下煤塵の連続測定手段において、Td(it)及びΔtdを揃えることが、解析の便宜上、好ましい。このように揃えられたTd(it)期間において、各降下煤塵の連続測定手段で測定された降下煤塵量測定値をそれぞれm(i,it)(iは、測定手段の通し番号に対応する)と定義する。
Ra(iy)=Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))…(6)
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2]…(4)
mc(x,y)=VsC(x,y,z)…(5)
Rc(iy)=mc(j,iy)/mc(j,ix)…(7)
全ての仮定発塵源j(j=1〜nj)について評価関数値Ev(j)を求めた後、ステップS109において、最も評価関数値Ev(j)の評価の高い(即ち、Rc(iy)とRa(iy)の一致性の元雄も高い)仮定発塵源を当該Tg(k)期間における降下煤塵評価地点ixに関する主要な非定常降下煤塵発塵源と判定する。
前記捕集された個々の降下煤塵粒子を分類する方法は、例えば、次のように実施することができる。
まず、粒子の落下速度区分ivを判別する方法として、捕集された個々の煤塵粒子を顕微鏡等で観察・測定して、寸法や形状を記録する。次に、個々の煤塵粒子の寸法・形状・密度を用いて当該粒子の等価粒径を算出し、この等価粒径に対して、所定の粒径しきい値を用いて分類することができる。一般に、同一の煤塵種に関して、価粒径が同一の粒子は、粒子落下速度Vsが同一になると考えられているので、等価粒径を用いた粒子の分類は、実質的に同一煤塵種におけるVsによる分類と等価である。等価粒径の算出には各種の手法が提案されており、例えば、個々の煤塵粒子の体積と等しい体積の球形の直径に、煤塵粒子の形状(アスペクト比等)に基づいて予め経験的に定められた補正係数を乗じて等価粒径を算出することができる。粒子の密度は、煤塵種毎に実測してもよいし、文献値が存在するならこれを用いてもよい。粒子落下速度Vsは、実測してもよいし、あるいは、価粒径をストークスの終末速度の式に適用して次の数式(8)で求めてもよい。
Vs={4gDp(ρp−ρf)/3ρfCR}1/2…(8)
g: 重力加速度
Dp: 等価粒子径
ρP,ρf: 粒子、流体の密度
CR: 抵抗係数
次に、粒子の煤塵種区分isを判別する方法として、放射性煤塵粒子の飛散を問題とする場合には、捕集した降下煤塵粒子の放射線量を測定し、その強さに応じて降下煤塵粒子を放射性粒子、非放射性粒子等に分類することができる。捕集した効果煤塵粒子の放射線量の測定方法には、特許文献9〜11に記載の方法等の公知の手法を適用することができる。
煤塵粒子の放射性を問題とせずに、他の性質によって粒子の煤塵種区分isを判別する方法として、当該Tg(k)期間に捕集された個々の降下煤塵粒子の物性を分析すればよい。粒子の物性分析方法としては、例えば、全ての粒子を樹脂等に埋め込み、研磨によって粒子断面を露出させた上でX線を走査しながら粒子断面に照射してその反射の特性から粒子中の元素を特定するEPMAを適用することができる。
即ち、第1の工程において、捕集された前記降下煤塵試料に磁力を付与して前記降下煤塵を磁石に着磁する着磁性降下煤塵と磁石に付着しない非着磁性降下煤塵に分離する。ここで用いる磁石は、0.1T〜0.4T程度の磁力を表面で保持できる電磁石又はネオジウム磁石等の永久磁石である。そして、捕集された前記降下煤塵試料に磁力を付与して前記降下煤塵を磁石に着磁する着磁性降下煤塵と磁石に付着しない非着磁性降下煤塵に分離する。このような磁力の範囲であれば、大部分の鉄鉱石や製鋼スラグ(一般に鉄分を多く含んでいる)を着磁させることができ、かつ、極微量な鉄分を含有する石炭等を着磁させないので、個々の煤塵を着磁性煤塵と非着磁性種煤塵に分離することができる。また、高炉法による製鉄プラントに由来する降下煤塵の煤塵種としては、鉄鉱石や鉄粉等の鉄系煤塵、石炭やコークス等のカーボン系煤塵、高炉スラグ煤塵、並びに、製鋼スラグ煤塵等が代表的なものである。着磁性の煤塵には鉄系煤塵及び製鋼スラグ煤塵が対応し、非着磁性の煤塵にはカーボン系煤塵及び高炉スラグ煤塵が対応する。
第2の工程において、前記着磁性煤塵試料と前記非着磁性種煤塵試料のそれぞれに対して、煤塵粒子が互いに接触しないように二次元的に分散配置させた上で、これらを市販のデジタルカメラ等で撮影して粒子の画像を得る。前記着磁性煤塵試料の画像を「着磁性煤塵試料の画像」と、前記非着磁性煤塵試料の画像を「非着磁性煤塵試料の画像」と、以下に呼ぶことにする。煤塵試料の個々の粒子を互いに接触させないためには、煤塵粒子を高所から散布する等の方法を用いればよい。
第3の工程において、前記着磁性降下煤塵画像及び前記非着磁性降下煤塵画像は、画像処理装置に入力されて、それぞれ画像処理がなされる。個々の画像になされる画像処理の内容は、次のとおりである。まず、画像中の各画素の位置及び明度情報を基に、独立した粒子と判別される連続する画素群を算出する粒子判別を行う。次に、個々の降下煤塵粒子の代表位置及び代表明度を算出する。代表位置としては、個々の粒子において対応する画素群の各画素位置の中心を用いることができる。代表明度としては、個々の粒子において対応する画素群の各画素明度の平均値を用いることができる。次に、前記代表明度と所定の明度しきい値を比較して個々の粒子を暗色粒子と明色度粒子に粒子明度を区分する。所定しきい値に関しては、予め、明色粒子群と暗色粒子群の代表試料を準備して上記と同様の画像処理を行い、得られたそれぞれの粒子群の明度平均値の中間の明度をしきい値として用いることができる。次に、前記粒子明度区分及び前記第1の工程で得られた前記個々の降下煤塵の着磁性の有無との組み合わせを用いて、前記着磁性粒子画像及び非着磁性粒子画像中の全ての粒子を着磁性暗色粒子、着磁性明色粒子、非着磁性暗色粒子、並びに、非着磁性明色粒子のいずれかに分類して煤塵特性を区分する。
画像処理装置として、市販の画像処理ソフト(例えば、「Image Pro Plus version 5」)等を組み込んだ市販のパーソナルコンピュータ等を用いることができ、上記の画像処理操作は、このようなソフトの標準機能(画像の、二値化・境界判別・粒子計測機能等)を用いて実現することができる。
第4の工程において、前記着磁性粒子画像及び非着磁性粒子画像中の全ての粒子を、前記煤塵特性に基づいて、所定の煤塵種のいずれかに判定する。所定の煤塵種とは、代表的な同一種類(鉄鉱石、石炭、コークス、鉄粉、高炉スラグ、転炉スラグ等)の粒子試料に対して上記の磁力選別及び画像処理による粒子明度判別を行って、平均的な煤塵特性(着磁性暗色粒子、着磁性明色粒子、非着磁性暗色粒子、並びに、非着磁性明色粒子のいずれか)を求める。本発明者の調査結果から、鉄鉱石及び鉄粉は着磁性暗色粒子に分類されるので、着磁性暗色粒子を「鉄系煤塵」として所定の煤塵種の1つとして採用できる。また、石炭及びコークスは非着磁性暗色粒子に分類されるので、非着磁性暗色粒子を「カーボン系煤塵」として所定の煤塵種の1つとして採用できる。さらに、製鋼スラグと高炉スラグは、着磁性明色粒子と非着磁性暗色粒子にそれぞれ分類されるので、着磁性明色粒子を「製鋼スラグ系煤塵」として、非着磁性明色粒子を「高炉スラグ系煤塵」として、それぞれ所定の煤塵種の1つとして採用できる。
煤塵種毎に等価粒径を用いて捕集された全降下煤塵粒子を分類した後、各粒径区分に含まれる個々の粒子の密度及び体積を用いて算出された個々の粒子の質量を積算することにより、当該煤塵種に当該粒径区分における降下煤塵質量を求めることができる。さらに、降下煤塵の全分類に対して同様に求めた降下煤塵質量を積算して全降下煤塵質量を算出し、当該分類の降下煤塵質量と全降下煤塵質量の比を降下煤塵の当該分類の質量構成率Com(iy,iv,is)として算出することができる。
上記の規格化計算降下煤塵量Ra(iy)と規格化計算降下煤塵量Rc(iy)との一致性を評価する評価関数として、例えば、次の関数を用いることができる。
このように、評価関数にRc/Raを用いることにより、仮定発塵源の妥当性評価に際して、個々の降下煤塵量評価地点における降下煤塵量の多寡がその降下煤塵参照地点の評価関数に対する重みに影響しなくなるので、降下煤塵量の多寡によって特定の降下煤塵参照地点の影響が評価関数値算出時に支配的となるという構造的な問題を回避することができる。
本発明で修正されたプルーム式について具体的に説明する。従来のプルーム式を用いた降下煤塵量の整合性(あるいは妥当性)の評価の際には、数式(2)における地表面反射項α・exp[−(He+z−Vsx/WS)2/2σz 2]の取り扱いが困難なため、高い精度での評価が困難であった。しかし、本発明者の調査の結果、この地表面反射項が問題となるのは、従来技術が主にガスやSPMを対象としていたためであることを突き止めた。降下煤塵の場合には、粒子の落下速度が大きいために、沈着速度Vd≒落下速度Vsとなるので、地表面での反射の影響は小さく、α=0と見做すことができる。そこで、修正した降下煤塵濃度に対する大気拡散式として、数式(2)にα=0を代入した次の数式(4)を用いる。
C(x,y,z)=(QP/2πσyσzWS)exp[−y2/2σy 2]
×exp[−(He−z−Vsx/WS)2/2σz 2]…(4)
ここで、プルーム拡散幅(水平)σy及びプルーム拡散幅(鉛直)σzは、Δtdを固定して(これを基準期間とする)求められた数表化又は図表化された値として、非特許文献1に記載される、Pasquill−GiffordによるものやBriggsによるもの等を用い、Δtdの影響を経験式で補正して求められる。Δtdの影響を経験式で補正する方法は、非特許文献2に示されるように、σyに、([実際に使用するΔtd]/[基準純時間のΔtd])Pを乗じるものである。
煤塵種と煤塵粒径が与えられれば、粒子落下速度Vsが終末速度として決まるので、降下煤塵量計算値mcは、濃度CにVsを乗じた次の数式(5)で表現できる。
mc(x,y)=VsC(x,y,z)…(5)
このように、気象・地表状態・煤塵種等の影響によって大きく変化してプルーム式の予測精度を悪化させ得る要因である経験常数αを用いずに降下煤塵量を表現できるので、プルーム式での予測誤差が小さい利点がある。
以上のような降下煤塵量のプルーム式を変形した発塵源探索範囲の単純、かつ、定量的な表現は、従来のガスやSPMを前提としたプルーム式では実現し得なかったものであり、本発明者が降下煤塵ではVsが比較的大きいことに着目した上で行った一連の洞察によって、初めて可能になったものである。
代表的な鉄鉱石である赤鉄鉱は、代表的な永久磁石であるフェライト磁石の磁力では磁石に吸着しない。このため、一般の鉄鋼業技術者は、赤鉄鉱と石炭の分離に磁力を用いるという発想をそもそも持ち得なかった。
また、本発明者の調査の結果、単に赤鉄鉱が着磁し得る強力な磁石を用いれば煤塵微粒子を前記の代表的な煤塵種毎に分離できる訳ではないことを本発明者は見出した。これは、強力過ぎる磁石を煤塵種に接触させた場合、僅かな鉄分(鉄・鉄鋼・銑鉄・酸化鉄)を含む煤塵でも着磁してしまうので、単に、全く鉄分を含まない微粒子と鉄分を含む微粒子に選別できるのみである。高炉法による製鉄プラントで発生する煤塵は、多かれ少なかれ鉄分を含有することが普通なので(石炭には灰分中に1%程度の酸化鉄が含まれことが多い。また、高炉スラグにも通常、少なくとも0.3%程度以上の鉄分が含有されている)、実質的には全く鉄分を含まない微粒子とは製鉄所内土壌由来の石英系土砂等のような主要ではない煤塵種に限定される。従って、このような磁力選別は、少なくとも製鉄プラントでの煤塵種の判別にはあまり役立たない。そこで、本発明では、適度に強い磁石を用いることで、鉄分を含むが含有量の少ない煤塵種(石炭系と高炉スラグ系)を着磁させないことで、着磁性の煤塵種(鉄系と製鋼スラグ系)から分離することができる。
さらに、煤塵微粒子の明度を用いて暗色煤塵種(石炭系・鉄系)と明色煤塵種(高炉スラグ系・製鋼スラグ系)に分離できる。その結果、高炉法による製鉄プラントで発生する前記主要な4つの煤塵種に限定すれば、着磁性と明度の組み合わせを用いることで、個々の煤塵を実用的、かつ、簡易に、全ての主要な煤塵種に分類できる。このことを本発明者は初めて見出した。これに対して、一般の粒子分析技術者(特に電子顕微鏡を用いた分析技術者)は、より汎用性の高い煤塵種分析手法を指向していた。このため、本発明法でのように、単に4つの主要な煤塵種に個々の煤塵を分類することだけでも高い実用性を有する分析を実現できることに、一般の粒子分析技術者は思い至らず、一般の粒子分析技術者は、徒に分析可能な元素数・分子数を増やすことや、成分構成率の高精度化に労力を傾注していたため、本発明法に想至することはなかった。
まず、ステップS101において、図2に示す降下煤塵評価地点ix、降下煤塵参照地点iyの水平面内配置において、j:1及びj:2なる2つの仮定発塵源を図中に配置した。
302・・・メモリ
303・・・HDD
304・・・インターフェース
ix・・・降下煤塵評価地点
iy・・・降下煤塵参照地点
j・・・仮定発塵源
Claims (7)
- 時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するための非定常発塵源の探索方法であって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出するステップと、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出するステップと、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出するステップと、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定するステップと、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定するステップとを有することを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。 - 連続する2つ以上のTd(it)期間から構成されるTg(k)期間において、前記評価地点ixにおいて最大の降下煤塵量mを測定したTd(it)期間の風向平均値及び風速平均値を前記代表風向及び代表風速として用いることを特徴とする請求項1に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。
- 前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類するための方法として、
捕集された降下煤塵粒子の放射線量を測定してその強度に基づいて降下煤塵粒子を分類することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。 - 前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類するための工程として、
高炉法による製鉄プラントに由来する降下煤塵の煤塵種の判別を前提とし、捕集された降下煤塵試料に磁力を付与して降下煤塵を磁石に着磁する着磁性降下煤塵と磁石に付着しない非着磁性降下煤塵に分離する第1の工程と、
前記着磁性降下煤塵と前記非着磁性降下煤塵それぞれに対して、降下煤塵をカメラで撮影して着磁性降下煤塵画像及び非着磁性降下煤塵画像を得る第2の工程と、
前記着磁性降下煤塵画像及び前記非着磁性降下煤塵画像をそれぞれ画像処理して個々の降下煤塵粒子の代表明度を算出し、前記代表明度と所定の明度しきい値を比較して個々の粒子を暗色粒子と明色度粒子に粒子明度を区分し、さらに、前記粒子明度区分及び前記第1の工程で得られた前記個々の降下煤塵の着磁性の有無との組み合わせを用いて前記個々の降下煤塵粒子を着磁性暗色粒子、着磁性明色粒子、非着磁性暗色粒子、及び非着磁性明色粒子とに煤塵特性を区分する第3の工程と、
前記製鉄プラントにおける代表的降下煤塵種毎の純粋な試料に対して前記第1〜第3の工程を施して得られた煤塵特性の区分と個々の煤塵種の対応関係を求め、前記捕集された降下煤塵の前記第3の工程で得られた煤塵特性と前記純粋な煤塵種の煤塵特性を比較して最も煤塵種特性の類似する煤塵種を求め、前記捕集された降下煤塵の煤塵種を前記最も煤塵種特性の類似する煤塵種と判別する第4の工程とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の降下煤塵の非定常発塵源の探索方法。 - 時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するための非定常発塵源の探索装置であって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出する手段と、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出する手段と、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出する手段と、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定する手段と、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定する手段とを備えたことを特徴とする降下煤塵の非定常発塵源の探索装置。 - 時間周期Δtd毎のit番目の時刻であるTd(it)において、Td(it−1)からTd(it)までの期間であるTd(it)期間に任意の降下煤塵観測地点iで降下煤塵を捕集して算出される降下煤塵量m(i,it)と、
前記各降下煤塵観測地点iの近傍において、前記時間周期Δtdよりも長くない時間周期Δtwdにて連続的に計測された風向及び風速測定値を基に算出される代表風向WD及び代表風速WSと、
1つ以上の連続する前記時刻Td(it)を含む時間周期Δtg毎の、k番目の時刻tg(k)を設けてtg(k−1)からtg(k)までの期間であるTg(k)期間を設定し、任意の時刻tg(k)において、Tg(k)期間に捕集された降下煤塵を他から区別して降下煤塵試料としてそれぞれ保存し、特定のTg(k)期間において、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して算出される個々の降下煤塵粒子の粒子落下速度Vsを用いて個々の降下煤塵粒子を2つ以上の粒子落下速度区分ivのいずれかに分類すると共に、前記特定のTg(k)期間に捕集された降下煤塵試料を分析して個々の降下煤塵粒子を2つ以上の煤塵種区分isのいずれかに分類し、前記粒子落下速度区分iv及び前記煤塵種区分isを用いて算出される、前記特定のTg(k)期間に特定の降下煤塵観測点iで捕集された降下煤塵試料の区分毎の算出された質量又は体積構成率Com(i,iv,is)と、を用いて、発塵量が非定常に変動する降下煤塵発生源の位置を特定するためのプログラムであって、
1つ以上の降下煤塵観測地点である評価地点ixを設けて、前記各評価地点ixにおいて降下煤塵量m(ix,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(ix)を算出する手段と、
3つ以上の降下煤塵観測地点である参照地点iyを設けて、前記各参照地点iyにおいてそれぞれ降下煤塵m(iy,it)を測定してTg(k)期間における代表降下煤塵量M(iy)を算出する手段と、
2つ以上の、発塵源として仮定した仮定発塵源jを設け、前記仮定発塵源jに関して、単位発塵量を前提としてプルーム式を用いて前記評価地点ixにおける降下煤塵量計算値mc(j,ix)及び前記参照地点iyにおける降下煤塵量計算値mc(j,iy)を算出する手段と、
前記特定のTg(k)期間で前記評価地点ixにおいて最大の構成率Com(ix,iv,is)をCommax(ix)と定義すると共に、このときの粒子落下速度区分iv及び煤塵種区分isをivmax(ix)及びismax(ix)と定義し、Com(iy,ivmax(ix),ismax(ix))・M(iy)/(Commax(ix)・M(ix))で表現される規格化実績降下煤塵量Ra(iy)及びmc(j,iy)/mc(j,ix)で表現される規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の比率Rc(iy)/Ra(iy)を用いた評価関数を設定する手段と、
全ての前記仮定発塵源jについて、前記規格化計算降下煤塵量Rc(iy)の前記規格化実績降下煤塵量Ra(iy)に対する一致性を前記評価関数を用いて評価し、最も一致性の高い仮定発塵源jを前記特定のTg(k)期間における非定常発塵源と判定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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