JP2013057624A - 応答遅れ評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヨーイングを含む走行時の車両の、操舵角とヨーレイトとの関係を示すグラフを得るステップと、このグラフにおける、操舵角とヨーレイトとの対応を示すカーブCの曲率が大きく変化する点である変化点PIの位置から、応答遅れを判断するステップとを含んでいる。上記カーブCの変化点PIの位置における操舵角の値を応答遅れの指数とし、上記変化点PIが、上記カーブCにおける、操舵角の5度以下の2点間を結ぶ第一直線SL1と、8度以上の2点間を結ぶ第二直線SL2との交差点であり、上記第一直線SL1と第二直線SL2との交差角θが、定められた閾値未満の場合は応答遅れ無しとし、この閾値以上の場合は応答遅れ有りとするのが好ましい。
【選択図】図3
Description
ヨーイングを含む走行時の車両の、操舵角とヨーレイトとの関係を示すグラフを得るステップと、
このグラフにおける、操舵角とヨーレイトとの対応を示すカーブの曲率が大きく変化する点である変化点の位置から、応答遅れを判断するステップと、を含んでいる。。
〈1〉操舵波形の、正弦波との相関係数が0.9650以上であること。相関係数が0.9650未満であると、操舵の初期の操作に違いが生じ、応答遅れの絶対値が変化するおそれがあるからである。
〈2〉1回の走行中に複数回(後述する実施例及び比較例では、それぞれ6回)操舵したときの操舵速度の平均が38±10°/秒の範囲内であること。この範囲を外れると、上記と同様に、操舵の初期の操作に違いが生じ、応答遅れの絶対値が変化するおそれがあるからである。
〈3〉1回の走行中に複数回操舵したときの操舵角の平均が20±2°の範囲内であること。この範囲を外れると、上記と同様に、操舵の初期の操作に違いが生じ、応答遅れの絶対値が変化するおそれがあるからである。加えて、供試車両1が動く絶対量が相違し、走行すべき車線を大きく外れる可能性があるからである。
〈4〉1回の走行中に複数回操舵したときの操舵時間の平均が0.8±0.2秒の範囲内であること。この範囲を外れると、上記と同様に、操舵の初期の操作に違いが生じ、応答遅れの絶対値が変化するおそれがあるからである。
〈5〉1回の走行中に複数回操舵したときの走行速度の平均が140±2km/hの範囲内であること。この範囲を外れると、車両1の走行速度が変化するため、「応答遅れ」の絶対値が変化するからである。一般に、高速側に外れるほど応答遅れが大きくなり、低速側に外れるほど応答遅れが小さくなる傾向にある。
異なる仕様の供試タイヤTが装着される車両1の実車走行試験を行った。その目的は、従来の官能のみによる応答遅れ評価(比較例)と、前述したごとく算出された応答遅れ指数による数値評価(実施例)との、評価精度の比較を行うことである。試験要領は以下のとおりである。
車両1に、2種類の異なる仕様(X仕様、Y仕様)のタイヤTを交互に装着し、それぞれ5回ずつ走行した。すなわち、各比較例及び各実施例において、X仕様タイヤTについて5回走行し、Y仕様タイヤTについて5回走行した。各走行後に応答遅れの評価が行われた。すなわち、各例につき5回の評価が行われた。
・車両1 : 日本国内メーカー製造の四輪乗用車である。前述の制御装置10及び各種センサ11、12、13が搭載されている。これらの機器は、応答遅れの数値評価(実施例)を行う際には作動しているが、応答遅れの官能評価(比較例)を行う際には作動しない。
・X仕様のタイヤT : 純正装着品であり、その空気圧は純正指定内圧である。
・Y仕様のタイヤT : 純正装着品であり、その空気圧は純正指定内圧+80kPaである。
・上記車両1を運転する者 : 10年以上の評価経験を有するベテランドライバーA、及び、2年の評価経験を有する新人ドライバーBである。
・応答遅れを評価する評価者 : 上記ドライバーA(評価者Aともいう)、及び、ドライバーB(評価者Bともいう)である。
・応答遅れの官能評価(比較例) : 評価者A、Bが、装着されたタイヤTがX仕様かY仕様か判らない状態で車両1を運転する。その後、評価者A、Bが、いずれのタイヤTの方が応答遅れが大きいかを宣言する。5回の評価の正解率で評価精度を判定する。
・応答遅れの数値評価(実施例) : 評価者Bが、装着されたタイヤTがX仕様かY仕様か判らない状態で車両1を運転する。その後に、6回の測定結果の平均値によって作成された前述のグラフ(図2及び図3に例示)から得られた指数に基づき、評価者Bが、いずれのタイヤTの方が応答遅れが大きいかを宣言する。5回の評価の正解率で評価精度を判定する。この数値評価においては、評価者の主観的判断の入り込む余地はない。
実施例1として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、全て管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価(応答遅れが大きいのはX仕様タイヤかY仕様タイヤかの宣言)は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例2として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、操舵波形のみが管理範囲内にあり(表1中の○印)、他の項目は管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例3として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、操舵角のみが管理範囲内にあり(表1中の○印)、他の項目は管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例4として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、操舵速度のみが管理範囲内にあり(表1中の○印)、他の項目は管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例5として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、操舵時間のみが管理範囲内にあり(表1中の○印)、他の項目は管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、走行速度のみが管理範囲内にあり(表1中の○印)、他の項目は管理範囲から外れていた(表1中の×印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
実施例として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。前述した試験条件(操舵の管理項目等)の充足度は、表1に示されるとおりである。すなわち、制御装置及び各センサが作動し、グラフによる応答遅れの指数化が実現した(表1中の○印)。しかし、操舵入力及び走行速度については、全ての項目が管理範囲内にあった(表1中の○印)。評価は、評価者Bがグラフによる指数に基づいて行った。
比較例1として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。制御装置及び各センサは作動せず、グラフによる応答遅れの指数化は行われなかった。従って、操舵入力及び走行速度の全項目について、管理範囲内か外かは不明である(表1中の×印)。評価は、評価者Aが官能のみで行った。
比較例2として、以上説明された評価試験の条件及び結果の一例が示される。制御装置及び各センサは作動せず、グラフによる応答遅れの指数化は行われなかった。従って、操舵入力及び走行速度の全項目について、管理範囲内か外かは不明である(表1中の×印)。評価は、評価者Bが官能のみで行った。
実施例1から7、並びに、比較例1及び2の各評価試験の結果とし、「評価精度」が表1に示されている。比較例1の評価者Aによる官能評価では、5回の走行のうち4回について、X仕様タイヤの方が応答遅れが大きいと判断された。X仕様タイヤの方が応答遅れが大きいとする判断が正解である。ベテランの全官能評価ドライバーの85%の意見と一致するからである。従って、比較例1の評価者Aによる官能評価の精度は80%となる。比較例1の評価者Bによる官能評価では、5回の走行のうち2回について、X仕様タイヤの方が応答遅れが大きいと判断された。評価精度は40%となる。実施例1から6の数値評価においても、それぞれ5回走行したが、操舵入力等の管理項目のうちの一項目のみ管理範囲内に入っていた。管理範囲内に入っている項目は、実施例1から6のそれぞれで異なる。評価精度は50%から80%の範囲である。この実施例1から6の評価精度の相違により、管理項目の重要度を推測することができる。実施例7の数値評価では、全管理項目について管理範囲内に入っていた。実施例7では、5回の走行の全てについて、X仕様タイヤの方が応答遅れが大きいと判断された。評価精度は100%となる。
2・・・前輪
3・・・後輪
4・・・ステアリングホイール
5・・・ステアリングシャフト
6・・・車軸
10・・・制御装置
11・・・操舵角センサ
12・・・ヨーレイトセンサ
13・・・車速センサ
C・・・カーブ
PI・・・変化点
SL1・・・第一直線
SL2・・・第二直線
θ・・・交差角
T・・・供試タイヤ
Claims (10)
- ヨーイングを含む走行時の車両の、操舵角とヨーレイトとの関係を示すグラフを得るステップと、
このグラフにおける、操舵角とヨーレイトとの対応を示すカーブの曲率が大きく変化する点である変化点の位置から、応答遅れを判断するステップとを含む、応答遅れ評価方法。 - 操舵角とヨーレイトとの関係を示すカーブの変化点位置における操舵角の値を応答遅れの指数とする、請求項1に記載の応答遅れ評価方法。
- 上記変化点が、上記カーブにおける、操舵角の5度以下の2点間を結ぶ第一直線と、8度以上の2点間を結ぶ第二直線との交差点である、請求項2に記載の応答遅れ評価方法。
- 上記グラフにおける第一直線と第二直線との交差角の値が、定められた閾値未満の場合は応答遅れ無しとし、この閾値以上の場合は応答遅れ有りとする、請求項3に記載の応答遅れ評価方法。
- 上記閾値は、
上記交差角が第二直線の傾斜角から第一直線の傾斜角を減じた角度であり、上記操舵角の単位が(度)であり、上記ヨーレイトの単位が(度/秒)であり、上記各傾斜角の単位が(1/秒)であるときの、0.2±0.05(1/秒)の範囲内の値に相当する値である、請求項4に記載の応答遅れ評価方法。 - 上記車両の走行において、操舵の波形と正弦波との相関係数が0.9650以上である、請求項1から5のいずれかに記載の応答遅れ評価方法。
- 上記車両の走行において、操舵速度の平均が38±10度/秒の範囲である、請求項1から6のいずれかに記載の応答遅れ評価方法。
- 上記車両の走行において、操舵角の平均が20±2度の範囲である、請求項1から7のいずれかに記載の応答遅れ評価方法。
- 上記車両の走行において、操舵時間の平均が0.8±0.2秒の範囲である、請求項1から8のいずれかに記載の応答遅れ評価方法。
- 上記車両の走行において、走行速度の平均が140±2km/hの範囲である、請求項1から9のいずれかに記載の応答遅れ評価方法。
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JP2015017876A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤの操縦安定性能評価方法 |
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