JP2013057292A - ロータリバルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化や低出力化を図ることが可能なロータリバルブを提供する。
【解決手段】ロータリバルブ10は入口側通路P1から出口側通路P2への冷却液の流通を制御する回転弁体13を備える。回転弁体13は内部で互いに連通し、冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を開いている状態で出口側通路P2が開き始めるように開口領域が設定されている第1および第2の開口部G1、G2を備える。開口部G1、G2の開口領域は具体的には入口側通路P1を全開にしている状態で、出口側通路P2を開き始めるように設定されている。開口部G1、G2の開口領域はさらに具体的には入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終えるように設定できる。
【選択図】図3
【解決手段】ロータリバルブ10は入口側通路P1から出口側通路P2への冷却液の流通を制御する回転弁体13を備える。回転弁体13は内部で互いに連通し、冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を開いている状態で出口側通路P2が開き始めるように開口領域が設定されている第1および第2の開口部G1、G2を備える。開口部G1、G2の開口領域は具体的には入口側通路P1を全開にしている状態で、出口側通路P2を開き始めるように設定されている。開口部G1、G2の開口領域はさらに具体的には入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終えるように設定できる。
【選択図】図3
Description
本発明はロータリバルブに関する。
ロータリバルブに関し、本発明と関連性があると考えられる技術が例えば特許文献1で開示されている。特許文献1ではヘッド側供給通路とブロック側供給通路とに対する冷却水の分配を制御するロータリバルブが実施例で開示されている。シリンダブロックおよびシリンダヘッドへの冷却水の流通を制御するロータリバルブは例えば特許文献2、3でも開示されている。特許文献4では回動中心に対して非対称に形成されている弁体を備え、冷却液の圧力によって弁体の回動を可能にするロータリソレノイドバルブが実施例で開示されている。
ロータリバルブにおいて、回転弁体は流通させる流体の圧力を受けている。このため、回転弁体を回転させるためには流体の力を上回る駆動力が必要となる。ところが、流体の力を上回る駆動力を得るには、相応の出力を発生させることが可能なアクチュエータが必要となる。結果、ロータリバルブの小型化や低出力化が妨げられる虞がある。
本発明は上記課題に鑑み、小型化や低出力化を図ることが可能なロータリバルブを提供することを目的とする。
本発明は入口側通路から出口側通路への流体の流通を制御する回転弁体を備え、前記回転弁体が内部で互いに連通し、流体の流通を禁止している状態から流体を流通させる場合に前記入口側通路を開いている状態で前記出口側通路が開き始めるように開口領域が設定されている第1および第2の開口部を備えるロータリバルブである。
本発明は前記第1および第2の開口部の開口領域がさらに流体を流通させている状態から流体の流通を禁止する場合に前記出口側通路を開いている状態で前記入口側通路を閉じ始めるように設定されている構成とすることができる。
本発明によれば、ロータリバルブの小型化や低出力化を図ることができる。
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
図1はロータリバルブ10の概略構成図である。図1ではロータリバルブ10とともにウォータポンプ(以下、W/Pと称す)1も示している。ロータリバルブ10は第1の通路部11と第2の通路部12と回転弁体13と駆動部14と弁体バイパス通路部15とバイパス弁16と第1のサーモスタット17と第2のサーモスタット18とを備えている。また、入口部In1、In2、In3と出口部Out1、Out2とを備えている。出口部Out1はエンジンのシリンダヘッドに、出口部Out2はエンジンのシリンダブロックにそれぞれ接続される。
第1の通路部11はW/P1の冷却液出口部とエンジンとの間に設けられ、流体であるエンジンの冷却液を流通させる。第2の通路部12はW/P1の冷却液入口部とラジエータとの間に設けられ、冷却液を流通させる。通路部11、12は並べて配置されている。通路部11、12は並べて配置された状態でW/P1に端部で接続されている。そして、第1の通路部11はW/P1の冷却液出口部に、第2の通路部12はW/P1の冷却液入口部にそれぞれ接続されている。第1の通路部11ではW/P1側が上流側、第2の通路部12ではW/P1側が下流側となっている。通路部11、12は例えば同一のハウジングの一部として設けられていてよい。
第1の通路部11は回転弁体13の下流側で出口部Out1、Out2に連通している。第2の通路部12は回転弁体13の上流側および下流側で入口部In1に連通している。また、回転弁体13の上流側および下流側で入口部In2に連通している。さらに、回転弁体13の上流側で入口部In3に連通している。なお、図示の都合上、図1では入口部In1と第2の通路部12の上流側および下流側の部分が連通している様子については図示省略している。第2の通路部12は回転弁体13よりも上流側の部分と入口部In2とを連通する第1の連通部B1と、回転弁体13よりも下流側の部分と入口部In2とを連通する第2の連通部B2とを備えている。
回転弁体13は第1の通路部11と第2の通路部12とに介在するように設けられている。回転弁体13は第1の通路部11を流通する冷却液の流通と、第2の通路部12を流通する冷却液の流通とを回転動作で制御する。回転弁体13は第1の通路部11を流通する冷却液の流通と第2の通路部12を流通する冷却液の流通とを禁止、許可することを含め、これら流通の制限、制限の解除を行うことができる。駆動部14はアクチュエータ14aとギヤボックス部14bとを備えており、回転弁体13を駆動する。アクチュエータ14aは具体的には電動モータである。
弁体バイパス通路部15は、第1の通路部11のうち、回転弁体13よりも上流側の部分と下流側の部分とを連通している。バイパス弁16は差圧弁であり、第1の通路部11のうち、回転弁体13よりも上流側の部分における冷却液の圧力(上流側圧力)と、回転弁体13よりも下流側の部分における冷却液の圧力(下流側圧力)との差圧に応じて、弁体バイパス通路部15を介した冷却液の流通の制限、制限の解除(具体的にはここでは禁止、許可)を行う。
第1のサーモスタット17は第1の連通部B1に、第2のサーモスタット18は第2の連通部B2にそれぞれ設けられている。第1のサーモスタット17は冷却液の温度が第1の所定値よりも高い場合に開弁するとともに、第1の所定値以下である場合に閉弁する。第2のサーモスタット18は冷却液の温度が第2の所定値よりも高い場合に開弁するとともに、第2の所定値以下である場合に閉弁する。第2の所定値は第1の所定値よりも高く設定されている。
図2はロータリバルブ10の垂直断面図である。図2は回転弁体13の中心軸を含む断面でロータリバルブ10を示す。図2に示すように、回転弁体13は第1の通路部11に介在する第1の弁体部R1と、第2の通路部12に介在する第2の弁体部R2とを備えている。弁体部R1、R2の内部は個別に空洞になっており、周壁部に設けられた開口部が弁体部R1、R2を介した冷却液の流通を可能にする。
図3は開口部G1、G2の第1の説明図である。図3(a)から図3(c)は冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させるにあたって変化する回転弁体13の状態を順に示す。回転弁体13は第1の弁体部R1に第1の開口部G1と第2の開口部G2とを備えている。開口部G1、G2は第1の弁体部R1の周壁部に設けられており、空洞となっている内部で互いに連通している。入口側通路P1は第1の通路部11のうち、回転弁体13よりも上流側の部分によって形成される通路となっている。出口側通路P2は第1の通路部11のうち、回転弁体13よりも下流側の部分によって形成される通路であり、出口部Out1またはOut2に対応する通路となっている。開口部G1、G2は例えば第2の弁体部R2に設けられてもよい。
図3(a)に示すように、冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させるにあたり、回転弁体13は第1の開口部G1によって入口側通路P1を開いた状態(具体的にはここでは全開)にする一方で、第2の開口部G2によって出口側通路P2を閉じた状態にすることで、冷却液の流通を禁止している。このとき、第2の開口部G2は回転弁体13の回転方向において出口側通路P2の手前に位置している。
その後、回転弁体13の位相が進むと、図3(b)に示すように回転弁体13は第1の開口部G1によって入口側通路P1を開いている状態で、第2の開口部G2によって出口側通路P2を開き始める。さらに回転弁体13の位相が進むと、図3(c)に示すように回転弁体13は第1の開口部G1によって入口側通路P1を開いている状態で、第2の開口部G2によって出口側通路P2をさらに開く。
このように開口部G1、G2の開口領域は冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を開いている状態で出口側通路P2を開き始めるように設定されている。具体的には開口部G1、G2の開口領域は入口側通路P1を全開にしている状態で、出口側通路P2を開き始めるように設定されている。そしてこのように開口部G1、G2の開口領域を設定することで、回転弁体13の内部には図3(c)に示すように回転弁体13の回転方向に沿った冷却液の流れが発生している。
図4は開口部G1、G2の第2の説明図である。図4(a)から図4(c)は冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止するにあたって変化する回転弁体13の状態を順に示す。図4(a)に示すように、冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止するにあたり、回転弁体13は第2の開口部G2で入口側通路P1を開いた状態(具体的にはここでは全開)にするとともに、第1の開口部G1で出口側通路P2を開いた状態(具体的にはここでは全開)にすることで、冷却液を流通させている。
その後、回転弁体13の位相が進むと、図4(b)に示すように回転弁体13は第1の開口部G1によって出口側通路P2を開いている状態で、第2の開口部G2によって開かれている入口側通路P1を閉じ始める。さらに回転弁体13の位相が進むと、図4(c)に示すように回転弁体13は第1の開口部G1によって開かれている出口側通路P2を閉じ始めるとともに、第2の開口部G2によって開かれている入口側通路P1をさらに閉じる。
このように開口部G1、G2の開口領域はさらに冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2を開いている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように設定されている。具体的には開口部G1、G2の開口領域は出口側通路P2を全開にしている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように設定されている。そしてこのように開口部G1、G2の開口領域を設定することで、回転弁体13の内部には図4(c)に示すように回転弁体13の回転方向に沿った冷却液の流れが発生している。
図5は通路P1、P2の開閉タイミングを示す図である。図5では冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合(流通開始の場合)と、冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合(流通停止の場合)における通路P1、P2の開閉タイミングを示している。図5に示すように流通開始の場合、さらに具体的には入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終える(全開にする)ように開口部G1、G2の開口領域を設定することができる。流通停止の場合、出口側通路P2を全開にしている間に入口側通路P1を閉じ始め、且つ閉じ終える(全閉にする)ように開口部G1、G2の開口領域を設定することができる。
図6は開口部の具体例の説明図である。図7は各通路の配置方法の説明図である。図6では丸印で開口していることを示し、三角印で開口形状が先細り形状になっていることを示す。図6に示すように、ロータリバルブ10は出口側通路P2として具体的には出口部Out1に対応するヘッド側通路P21と、出口部Out2に対応するブロック側通路P22とを備えている。そして、開口部として入口側通路P1に対応する第1および第2の入口用開口部Gi1、Gi2と、ヘッド側通路P21に対応するヘッド用開口部Ghと、ブロック側通路P22に対応するブロック用開口部Gbとを備えている。図7に示すように、各通路に対応する開口部それぞれを設けるにあたって、入口側通路P1と、ヘッド側通路P21と、ブロック側通路P22とは回転弁体13の軸方向に沿って互いに異なる位置に設けられている。
ロータリバルブ10では、開口部G1、G2が具体的には第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとで実現されるとともに、第2の入口用開口部Gi2とブロック用開口部Gbとで実現されている。以下、この点について図8、図9、図10を用いて説明する。
図8は回転順序に応じた通路開閉パターンを示す図である。図9、図10は回転順序に応じた通路開閉状態を示す図である。図8では丸印で全開であることを、三角印で半開であることを、バツ印で全閉であることを示す。図9、図10では図6と同様、丸印で開口していることを示し、三角印で開口形状が先細り形状になっていることを示す。図9では回転順序1から6までの回転順序前半に応じた通路開閉状態を図9(a)から(f)までで示し、図10では回転順序7から12までの回転順序後半に応じた通路開閉状態を図10(g)から図10(l)までで示す。
回転順序1は入口側通路P1を開いた状態で冷却液の流通を禁止する状態に対応している。回転順序1では、入口側通路P1が第1の入口用開口部Gi1によって全開になっている一方、ヘッド側通路P21とブロック側通路P22とがともに全閉になっている。
回転順序2はヘッド側通路P21を開き始めた状態に対応している。回転順序2では、入口側通路P1が第1の入口用開口部Gi1によって全開になっている一方、ヘッド側通路P21がヘッド用開口部Ghによって開き始めた状態になっている。ブロック側通路P22は全閉である。したがって、第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとは冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を全開にしている状態で出口側通路P2(具体的にはここではヘッド側通路P21)を開き始めるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序3はヘッド側通路P21に冷却液を流通させる状態に対応している。回転順序3では、入口側通路P1が第1の入口用開口部Gi1によって全開になっており、且つヘッド側通路P21がヘッド用開口部Ghによって全開になっている。ブロック側通路P22は全閉である。したがって、第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとはさらに冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終えるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序4はヘッド側通路P21への冷却液の流通を制限し始めた状態に対応している。回転順序4では、第1の入口用開口部Gi1によって開かれている入口側通路P1が閉じ始めた状態になっている一方、ヘッド側通路P21がヘッド用開口部Ghによって全開になっている。ブロック側通路P22は全閉である。したがって、第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとは冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2(具体的にはここではヘッド側通路P21)を全開にしている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序5はヘッド側通路P21への冷却液の流通を禁止した状態に対応している。回転順序5では、入口側通路P1が全閉になっている。このとき、ヘッド側通路P21はヘッド用開口部Ghによって未だ全開になっている。ブロック側通路P22は全閉である。したがって、第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとはさらに冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2(具体的にはここではヘッド側通路P21)を全開にしている間に入口側通路P1を閉じ始め、且つ閉じ終えるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序6は各通路を閉じた状態で冷却液の流通を禁止している状態に対応している。回転順序6では、入口側通路P1とヘッド側通路P21とブロック側通路P22とがともに全閉になっている。
回転順序7は入口側通路P1を開いた状態で冷却液の流通を禁止する状態に対応している。回転順序7では、入口側通路P1が第2の入口用開口部Gi2によって開いた状態になっている一方、ヘッド側通路P21とブロック側通路P22とがともに全閉になっている。
回転順序8はブロック側通路P22を開き始めた状態に対応している。回転順序8では、入口側通路P1が第2の入口用開口部Gi2によって全開になっている一方、ブロック側通路P22がブロック用開口部Gbによって開き始めた状態になっている。ヘッド側通路P21は全閉である。したがって、第2の入口用開口部Gi2とブロック用開口部Gbとは冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を全開にしている状態で出口側通路P2(具体的にはここではブロック側通路P22)を開き始めるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序9はブロック側通路P22に冷却液を流通させる状態に対応している。回転順序9では、入口側通路P1が第2の入口用開口部Gi2によって全開になっており、且つブロック側通路P22がブロック用開口部Gbによって全開になっている。ヘッド側通路P21は全閉である。したがって、第2の入口用開口部Gi2とブロック用開口部Gbとはさらに冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終えるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序10はブロック側通路P22への冷却液の流通を制限し始めた状態に対応している。回転順序10では、第2の入口用開口部Gi2によって開かれている入口側通路P1が閉じ始めた状態になっている一方、ブロック側通路P22がブロック用開口部Gbによって全開になっている。ヘッド側通路P21は全閉である。したがって、第2の入口用開口部Gi2とブロック用開口部Gbとは冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2(具体的にはブロック側通路P22)を全開にしている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。
回転順序11はブロック側通路P22への冷却液の流通を禁止した状態に対応している。回転順序11では、入口側通路P1が全閉になっている。このとき、ブロック用開口部Gbによって開かれていたブロック側通路P22は閉じ終えた状態になっている。ヘッド側通路P21は全閉である。したがって、第1の入口用開口部Gi1とヘッド用開口部Ghとはさらに冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2(具体的にはここではヘッド側通路P21)を全開にしている間に入口側通路P1を閉じ始めるとともに、閉じ始めた出口側通路P2が開いている間に入口側通路P1を閉じ終えるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を構成している。すなわち、開口部G1、G2の開口領域は必ずしも出口側通路P2を全開にしている間に入口側通路P1を閉じ終えるように設定されていなくてもよい。
回転順序12は各通路を閉じた状態で冷却液の流通を禁止している状態に対応している。回転順序12では、入口側通路P1とヘッド側通路P21とブロック側通路P22とがともに全閉になっている。回転順序12の後には再び回転順序1に戻ることができる。
図11は制御パターンの説明図である。図11では、制御パターンと冷却液の吐出流量および流体力の影響との関係を示す。ロータリバルブ10では制御パターンとして、ヘッド側通路P21およびブロック側通路P22にともに冷却液を流通させない流通停止と、ヘッド側通路P21およびブロック側通路P22のうち、ヘッド側通路P21に冷却液を流通させるヘッド流通と、ヘッド側通路P21およびブロック側通路P22のうち、ブロック側通路P22に冷却液を流通させるブロック流通との3つの制御パターンを切り替えることができる。
流通停止はエンジン始動時および停止時に行うことができる。一方、ヘッド流通はエンジン始動時の流通禁止の後に行うことができ、ブロック流通はヘッド流通の後に行うことができる。また、ブロック流通の後にはエンジン停止時の流通停止を行うことができる。このため、ロータリバルブ10ではエンジン始動からエンジン停止までの流通制御の流れを考慮し、流通停止、ヘッド流通、ブロック流通、流通停止の順に制御パターンの切り替えができるようにしている。
流通停止はエンジン始動時または停止時の制御パターンであるため、冷却液の圧力に応じた流体の力の影響が小さい状態で行われることになる。このため、エンジン始動時または停止時に流通禁止を行う場合に対しては開口部G1、G2の開口領域を適宜設定することができる。一方、ヘッド流通とブロック流通とはエンジンの冷却を要する場合の制御パターンであるため、冷却液の圧力に応じた流体の力の影響が大きい状態で行われることがある。このため、ロータリバルブ10では上述したように開口部G1、G2の開口領域を設定することで、流体の力の影響を考慮した開口領域の設定を行っている。
この点、前述した図8、図9、図10において回転順序10、11、12に示す通路開閉状態はエンジン始動時または停止時に行う流通停止で用いることができる。このため、ロータリバルブ10では例えば回転順序10、11、12に通路開閉状態を廃止するように開口部G1、G2(具体的にはここでは第2の入口用開口部Gi2とブロック用開口部Gb)の開口領域を設定することもできる。
次にロータリバルブ10の作用効果について説明する。図12は開弁パターンの比較図である。開弁パターン1は出口側通路P2を全開にしている状態で入口側通路P1を開き始める場合、開弁パターン2は入口側通路P1を全開にしている状態で出口側通路P2を開き始める場合、開弁パターン3は通路P1、P2を全閉にしている状態で入口側通路P1を開き始める場合、開弁パターン4は通路P1、P2を全閉にしている状態で出口側通路P2を開き始める場合、開弁パターン5は通路P1、P2を全閉にしている状態で通路P1、P2を同時に開き始める場合となっている。通路P1、P2および回転弁体13内部のハッチングは流体の圧力が相対的に高圧であることを示す。
開弁パターン1では、入口側通路P1が高圧、回転弁体13の内部が低圧となっている状態で入口側通路P1を開き始めることになる。このため、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって強い流速が発生する。結果、回転弁体13の内部で強い渦が発生する。但し、渦の回転方向は回転弁体13の回転方向とは逆方向となる。このため、この場合には流体の力が回転弁体13の回転方向とは逆方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力も大きくなる。
開弁パターン2では、入口側通路P1および回転弁体13の内部が高圧となっている状態で出口側通路P2を開き始めることになる。このため、回転弁体13の内部から出口側通路P2に向かって強い流速が発生する。また、回転弁体13の内部では回転弁体13の回転方向に沿って回転する渦が発生する。このため、この場合には流体の力が回転弁体13の回転方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力を低減できる。
開弁パターン3では、入口側通路P1を開き始めても出口側通路P2が閉じているため、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって特段強い流速は発生しない。開弁パターン4では、出口側通路P2を開き始めても入口側通路P1が閉じているため、回転弁体13の内部から出口側通路P2への流れは特に発生しない。
開弁パターン5では、通路P1、P2が同時に開き始めることで、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって強い流速が発生するとともに、回転弁体13の内部から出口側通路P2に向かって強い流速が発生する。この場合、開弁前の流体の圧力状態と発生する流速とに応じて流体の力が回転弁体13の回転方向とは逆方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力も大きくなる。
ロータリバルブ10ではこれらの開弁パターンに鑑み、回転弁体13が内部で互いに連通し、冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を開いている状態で出口側通路P2が開き始めるように開口領域が設定されている開口部G1、G2を備えている。そしてこれにより、開弁パターン2で説明したように流体の力が回転弁体13の回転方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力を低減できる。このため、ロータリバルブ10は小型化や低出力化を図ることができる。またこれにより、コストの低減を図ることもできる。
ロータリバルブ10では冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路P1を全開にしている状態で出口側通路P2が開き始めるように開口部G1、G2の開口領域を設定している。そしてこれにより、出口側通路P2を開き始めるにあたり、回転弁体13の内部の圧力と入口側通路P1の圧力とが予め等しい状態になり易くすることで、回転弁体13の回転方向に流体の力を好適に作用させることができる。結果、小型化や低出力化を好適に図ることができる。
ロータリバルブ10では冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合にさらに具体的には入口側通路P1を全開にしている間に出口側通路P2を開き始め、且つ開き終えるように開口部G1、G2の開口領域を設定することで、上述したように小型化や低出力化を図りつつ、冷却液の流通を禁止している状態から冷却液の流通を特段制限しない態様で冷却液を流通させることができる。
図13は閉弁パターンの比較図である。閉弁パターン1は出口側通路P2を全開にしている状態で入口側通路P1を閉じ始める場合、閉弁パターン2は入口側通路P1を全開にしている状態で出口側通路P2を閉じ始める場合、閉弁パターン3は出口側通路P2を全閉にしている状態で入口側通路P1を閉じ始める場合、閉弁パターン4は入口側通路P1を全閉にしている状態で出口側通路P2を閉じ始める場合、閉弁パターン5は通路P1、P2を開いている状態で通路P1、P2を同時に閉じ始める場合となっている。通路P1、P2および回転弁体13内部のハッチングは流体圧力が相対的に高圧であることを示す。
閉弁パターン1では、回転弁体13の内部が低圧となる状態で入口側通路P1を閉じ始めることになる。このため、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって強い流速が発生する。結果、回転弁体13の内部で強い渦が発生する。渦の回転方向は回転弁体13の回転方向と同じになっている。このため、この場合には流体の力が回転弁体13の回転方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力を低減できる。
閉弁パターン2では、入口側通路P1および回転弁体13の内部が高圧となる状態で出口側通路P2を閉じ始めることになる。このため、回転弁体13の内部から出口側通路P2に向かって強い流速が発生する。このため、この場合には流体の力が回転弁体13の回転方向とは逆方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力が大きくなる。
閉弁パターン3では、入口側通路P1を閉じ始めても出口側通路P2が閉じているため、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって特段強い流速は発生しない。閉弁パターン4では、出口側通路P2を閉じ始めても入口側通路P1が閉じているため、回転弁体13の内部から出口側通路P2への流れは特に発生しない。
閉弁パターン5では、通路P1、P2が同時に閉じ始めることで、入口側通路P1から回転弁体13の内部に向かって強い流速が発生するとともに、回転弁体13の内部から出口側通路P2に向かって強い流速が発生する。この場合、閉弁時に発生する流体の圧力状態と発生する流速とに応じて流体の力が回転弁体13の回転方向に作用することから、必要な回転弁体13の駆動力を低減できる。但し、この場合には回転弁体13の内部に回転弁体13の回転方向と同方向に回転する大きな渦は発生しない。
ロータリバルブ10ではこれらの閉弁パターンに鑑み、開口部G1、G2の開口領域がさらに冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2を開いている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように設定されている。そしてこれにより、閉弁パターン1で説明したように流体の力が回転弁体13の回転方向に作用する分、必要な回転弁体13の駆動力を低減できる。このため、ロータリバルブ10は閉弁時と閉弁時に必要となる駆動力それぞれの低減を図ることで、小型化や低出力化を好適に図ることができる。
ロータリバルブ10では冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に出口側通路P2を全開にしている状態で入口側通路P1を閉じ始めるように開口部G1、G2の開口領域を設定している。そしてこれにより、冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合に回転弁体13の内部に強い渦を発生させるようにすることで、回転弁体13の回転方向に流体の力を好適に作用させることができる。結果、小型化や低出力化を好適に図ることができる。
ロータリバルブ10では冷却液を流通させている状態から冷却液の流通を禁止する場合にさらに具体的には出口側通路P2を全開にしている間に入口側通路P1を閉じ始め、且つ閉じ終えるように開口部G1、G2の開口領域を設定することで、入口側通路P1を閉じ終えるまでの間、回転弁体13の内部に強い渦をより確実に発生させるようにすることもできる。
ロータリバルブ10は第1の通路部11に介在する第1の弁体部R1と、第2の通路部12に介在する第2の弁体部R2とを有し、第1の通路部11における流体の流通と、第2の通路部12における流体の流通とを回転動作で同時に制御可能な回転弁体13を備えている。この点、かかるロータリバルブ10では弁体部R1、R2それぞれに流体の力が作用する分、小型化や低出力化が妨げられ易くなっている。このため、上述したように開口部G1、G2の開口領域を設定することは、ロータリバルブ10がかかる回転弁体13を備えるロータリバルブである場合に特に好適である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば第1および第2の開口部の開口領域は冷却液の流通を禁止している状態から冷却液を流通させる場合に入口側通路を開いている状態で出口側通路が開き始めるように設定されるところ、この場合に入口側通路は必ずしも全開になっていなくてもよい。この点、入口側通路は回転弁体の回転動作に応じて回転弁体の回転方向に流体の力を作用させることが可能な範囲内で開いている状態とすることができる。これは、出口側通路が開き終わる場合についても同様である。
また、例えば第1および第2の開口部の開口領域は流体を流通させている状態から流体の流通を禁止する場合に出口側通路を開いている状態で入口側通路を閉じ始めるように設定されるところ、この場合に出口側通路は必ずしも全開になっていなくてもよい。この点、出口側通路は回転弁体の回転動作に応じて回転弁体の回転方向に流体の力を作用させることが可能な範囲内で開いている状態とすることができる。これは、入口側通路が開き終わる場合についても同様である。
ロータリバルブは必ずしもエンジンの冷却液を流通させるロータリバルブに限られず、その他の用途に用いられるロータリバルブであってもよい。この点、ロータリバルブがエンジンの冷却液を流通させるロータリバルブである場合、冷却液の流量が所定値よりも大きい場合にバルブの開閉を行わなければならなくなる場合があることに起因して、小型化や低出力化が妨げられ易い構成上、本発明の適用が効果的である。
W/P 1
ロータリバルブ 10
第1の通路部 11
第2の通路部 12
回転弁体 13
ロータリバルブ 10
第1の通路部 11
第2の通路部 12
回転弁体 13
Claims (2)
- 入口側通路から出口側通路への流体の流通を制御する回転弁体を備え、
前記回転弁体が内部で互いに連通し、流体の流通を禁止している状態から流体を流通させる場合に前記入口側通路を開いている状態で前記出口側通路が開き始めるように開口領域が設定されている第1および第2の開口部を備えるロータリバルブ。 - 請求項1記載のロータリバルブであって、
前記第1および第2の開口部の開口領域がさらに流体を流通させている状態から流体の流通を禁止する場合に前記出口側通路を開いている状態で前記入口側通路を閉じ始めるように設定されているロータリバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011196001A JP2013057292A (ja) | 2011-09-08 | 2011-09-08 | ロータリバルブ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011196001A JP2013057292A (ja) | 2011-09-08 | 2011-09-08 | ロータリバルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=48133370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011196001A Withdrawn JP2013057292A (ja) | 2011-09-08 | 2011-09-08 | ロータリバルブ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013057292A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10316731B2 (en) | 2016-02-26 | 2019-06-11 | Hyundai Motor Company | Method and system for controlling coolant circulating in engine |
CN110700933A (zh) * | 2018-07-10 | 2020-01-17 | 长城汽车股份有限公司 | 用于车辆热管理系统的阀体及车辆 |
-
2011
- 2011-09-08 JP JP2011196001A patent/JP2013057292A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10316731B2 (en) | 2016-02-26 | 2019-06-11 | Hyundai Motor Company | Method and system for controlling coolant circulating in engine |
CN110700933A (zh) * | 2018-07-10 | 2020-01-17 | 长城汽车股份有限公司 | 用于车辆热管理系统的阀体及车辆 |
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