JP2013054332A - 投写型映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蛍光体の局所的な劣化を抑制可能な投写型映像表示装置を簡易な構成で提供する。
【解決手段】光源装置10は、励起光を発光する励起光源11と、励起光源10からの励起光により励起されて可視光を発光する蛍光体20とを含む。蛍光体20は、励起光源11の駆動に同期して回転駆動されることにより、その回転方向に沿って励起光の照射位置が移動するように構成される。プロジェクタは、1制御周期における励起光源11の発光期間を示すデューティを制御する駆動部と、蛍光体20における励起光の照射位置が、励起光源11の少なくとも1制御周期ごとにずれるように、該1制御周期における励起光源11の発光タイミングを制御する制御部とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】光源装置10は、励起光を発光する励起光源11と、励起光源10からの励起光により励起されて可視光を発光する蛍光体20とを含む。蛍光体20は、励起光源11の駆動に同期して回転駆動されることにより、その回転方向に沿って励起光の照射位置が移動するように構成される。プロジェクタは、1制御周期における励起光源11の発光期間を示すデューティを制御する駆動部と、蛍光体20における励起光の照射位置が、励起光源11の少なくとも1制御周期ごとにずれるように、該1制御周期における励起光源11の発光タイミングを制御する制御部とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明は、投写型映像表示装置に関し、より特定的には、蛍光体を光源として用いた投写型映像表示装置に関する。
この種の投写型映像表示装置(以下、プロジェクタという)として、たとえば特開2011−95391号公報(特許文献1)は、励起光を出射する励起光照射装置と、この励起光照射装置からの出射光を励起光として蛍光光を発光する蛍光体とを含んで構成された光源ユニットを備えたプロジェクタを開示する。
この特許文献1において、光源ユニットは、少なくとも励起光が通過する周方向全域に敷設された蛍光ホイールと、蛍光ホイールから出射される波長帯域とは異なる波長帯域の光を出射する二種類の光源装置と、励起光照射装置と二種類の光源装置とを時分割制御するとともに、蛍光ホイールの回転を制御する光源制御手段とを有する。そして、光源制御手段は、励起光照射装置および二種類の光源装置が順次一度ずつ点灯した場合に要する時間が、蛍光ホイールが1回転するように要する時間の整数倍とならないように、各光源を時分割制御するとともに、蛍光ホイールの回転速度を制御する。
また、特開2011−95392号公報(特許文献2)には、上記の特許文献1に記載される光源ユニットと同様の構成からなる光源ユニットを搭載したプロジェクタにおいて、励起光照射装置の点灯期間における蛍光ホイールの回転数が1となるように蛍光ホイールの回転速度を制御する光源制御手段が開示される。
上記の特許文献1および2に記載されるプロジェクタにおいては、光源制御手段は、励起光照射装置の点灯期間の変化に対応して、蛍光ホイールの回転速度を変化させる制御を実行する。これにより、蛍光ホイールの同じ位置に常時励起光が照射されることによって、励起光が照射される領域に位置する蛍光体が劣化するのを防止している。
しかしながら、その一方で、光源制御手段は、プロジェクタにおける画像の色合いや明るさを調整するための各種の投影モードの変化に応じて、その都度、蛍光ホイールの回転速度を制御する必要がある。そのため、表示すべき画像に同期して各光源の時分割周期(1フレームに要する時間)が短くなるに従って、当該時分割周期の変化に対応して蛍光ホイールの回転速度を高速に切替えることが困難となっていた。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蛍光体の局所的な劣化を抑制可能な投写型映像表示装置を簡易な構成で提供することである。
この発明のある局面に従えば、投写型映像表示装置は、励起光を発光する励起光源と、励起光源からの励起光により励起されて可視光を発光する蛍光体とを備える。蛍光体は、回転駆動されることにより、その回転方向に沿って励起光の照射位置が移動するように構成される。投写型映像表示装置は、蛍光体における励起光の照射位置を、定期的にずらすための照射位置変更手段をさらに備える。
好ましくは、投写型映像表示装置は、1制御周期における励起光源の発光期間を示すデューティを制御する光源駆動部をさらに備える。蛍光体は、励起光源の駆動に同期して回転駆動されることにより、その回転方向に沿って励起光の照射位置が移動するように構成される。照射位置変更手段は、蛍光体における励起光の照射位置が、励起光源の特定制御周期ごとにずれるように、1制御周期における励起光源の発光タイミングを制御する光源制御部を含む。
好ましくは、光源制御部は、先の制御周期における励起光の照射位置の終点を記憶するとともに、その記憶した終点が、次の制御周期における励起光の照射位置の始点となるように、励起光源の発光タイミングを制御する。
好ましくは、光源駆動部は、入力される画像信号の明るさに応じてデューティを可変に設定可能に構成される。光源制御部は、設定されたデューティにより規定される励起光源の発光期間に応じて励起光源の発光タイミングを制御する。
好ましくは、投写型映像表示装置は、入力される画像信号に応じてオンオフ制御されることにより、蛍光体から出射される可視光を変調する光変調素子と、蛍光体が発光しているときに光変調素子がオン状態となるように、光変調素子をオンオフ制御する素子制御部とをさらに備える。
好ましくは、投写型映像表示装置は、蛍光体が発光する可視光とは異なる波長の可視光を発光するように構成された光源をさらに備える。蛍光体および光源は、1フレーム期間内で時分割で切替えて発光するように構成される。制御部は、少なくとも1フレーム期間ごとに蛍光体および光源が発光する順番を入れ替えるように、該1フレーム期間における励起光源の発光タイミングを制御する。
好ましくは、照射位置変更手段は、蛍光体の回転駆動中に、蛍光体の回転軸を動径方向に移動させるための移動機構を含む。
好ましくは、蛍光体は、回転軸を中心として同心円状に配置された複数の蛍光部を含む。移動機構は、蛍光体における励起光の照射位置が、複数の蛍光部の間で定期的に切り替わるように、蛍光体の回転軸を動径方向に移動させる。
好ましくは、蛍光体は、動径方向の幅が蛍光体における励起光の光径の2倍以上となるように構成された蛍光部を含む。移動機構は、励起光の照射位置が蛍光体上を連続的に移動するように、蛍光体の回転軸を動径方向に移動させる。
好ましくは、励起光源と、励起光源からの励起光を蛍光体に導くための光学部材とが、投写型映像表示装置の光源系を構成する。照射位置変更手段は、蛍光体の回転駆動中に、光源系の構成部材の少なくとも1つを振動させるための振動発生器を含む。
好ましくは、振動発生器は、光源系の構成部材の少なくとも1つを、蛍光体の動径方向に振動させる。
この発明によれば、簡易な構成で、蛍光体の局所的な劣化を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係るプロジェクタの主要部の構成を模式的に示す図である。
図1は、この発明の実施の形態1に係るプロジェクタの主要部の構成を模式的に示す図である。
図1を参照して、プロジェクタは、液晶デバイスを利用して映像を投影する液晶プロジェクタであって、光学エンジン100と、投写レンズ40とを備える。なお、プロジェクタは、スピーカ等の音声を出力するための構成要素や、光学エンジン100の構成要素および音声出力手段を電気的に接続するための回路基板なども搭載されているが、図1では、これを含む一部の構成要素の図示は省略されている。
光学エンジン100は、赤色波長域の光(以下、「R光」という)を発光する赤色LED(Light Emitting Diode)36と、青色波長域の光(以下、「B光」という)を発光する青色LED38と、緑色波長域の光(以下、「G光」という)を発光する光源装置10とを備える。
赤色LED36は、たとえばGaP系、AlGaAs混色系等の材料を用いて構成され、R光を発光する。赤色LED36からのR光は、図示しない集光レンズおよび入射側偏光板を介して液晶パネル30に入射される。液晶パネル30は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。液晶パネル30によって変調されたR光は、図示しない出射側偏光板を介して、ダイクロイックプリズム34に入射される。
青色LED38は、たとえばInGaN系、GaN系または酸化亜鉛系等の材料を用いて構成され、B光を発光する。青色LED38からのB光は、図示しない集光レンズおよび入射側偏光板を介して液晶パネル32に入射される。液晶パネル32は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル32によって変調されたB光は、図示しない出射側偏光板を介して、ダイクロイックプリズム34に入射される。
光源装置10は、蛍光体の励起光を発光する励起光源としてのレーザ光源11と、集光レンズ12,15と、ダイクロイックミラー14と、回転体16とを含む。
レーザ光源11は、励起光としてのB光を含むレーザ光を出射する。レーザ光源11から出射された励起光は、集光レンズ12により集光される。集光レンズ12により集光された励起光は、ダイクロイックミラー14を透過して回転体16に入射される。
回転体16は、レーザ光源(励起光源)11の光軸に平行な回転軸18と、回転軸18を中心に回転可能な蛍光体20とを含む。
回転軸18は、図示しないモータに接続される。当該モータを回転駆動することにより、蛍光体20が回転軸18を中心として回転する。
蛍光体20は、耐熱性ガラス等を基材として円盤状に形成されており、その表面にレーザ光源11から出射された光を受ける。蛍光体20は、レーザ光源11が出射した特定の波長域の光により励起されて可視光を発光する。本実施の形態では、蛍光体20は、レーザ光源11が出射したB光を吸収してG光を発光するように構成される。
回転体16を回転させることにより、蛍光体20に入射する励起光の入射位置は、回転軸18を中心とする円周上を時間的に移動することとなる。なお、本実施の形態では、簡単のため、回転体16の回転周期(1サイクルに要する時間)および励起光源11の制御周期(オンオフ周期)はいずれも、フレーム周期(1フレームあたりの時間)に等しいものとする。
蛍光体20が発光した光は、集光レンズ15を介して、ダイクロイックミラー14に入射される。ダイクロイックミラー14は、レーザ光源11から出射される励起光を透過させる一方、当該励起光から波長変換されたG光を反射させる。ダイクロイックミラー14によって反射されたG光は、集光レンズ22によって集光された後、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射する。G光は、ロッドインテグレータ24の内部を伝搬してロッドインテグレータ24の他方の端部から出射される。ロッドインテグレータ24は、不均一な強度分布を有する光束を略均一な強度分布を有する光束に変換するインテグレータ光学系の機能を有している。
リレー光学系26は、入射側レンズと、リレーレンズと、出射側レンズとを含む。ロッドインテグレータ24から出射された光束は、リレー光学系26および図示しない入射側偏光板を介して、液晶パネル28に導かれる。液晶パネル28は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル28によって変調されたG光は、図示しない出射側偏光板を介して、ダイクロイックプリズム34に入射される。
ダイクロイックプリズム34は、液晶パネル30,28,32によって変調されたR光、G光、B光を色合成し、投写レンズ40へと入射させる。投写レンズ40は、投写光を投写面(スクリーン)SC上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータとを備えている。ダイクロイックプリズム34によって色合成された光は、投写レンズ40によってスクリーンSCに拡大投写される。
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態1によるプロジェクタの制御構造を説明する。
図2を参照して、プロジェクタは、画像供給部200と、画像処理部210と、表示制御部220と、光源駆動部230と、制御部300と、操作受付部310とを備える。
画像供給部200は、画像データを画像処理部210に供給する。具体的には、画像処理部210の入力端子(図示せず)には、映像再生装置等の画像供給装置からのケーブルが接続されている。画像供給部200は、入力端子から入力された画像信号を、画像処理部210で処理可能な形式の画像データに変換し、画像処理部210に出力する。
画像処理部210は、制御部300からの指示に基づいて、画像供給部200から供給された画像データに対し、解像度を液晶パネル28,30,32の解像度(画素数)に合わせる解像度変換や、輝度調整、コントラスト調整、シャープネス調整などの各種画質調整処理を施し、画像信号(RGB信号)を表示制御部220および光源駆動部230に出力する。なお、画像処理部210から出力される画像信号は、液晶パネル28,30,32のすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものである。
画像処理部210は、同期信号生成部212を含む。同期信号生成部212は、各単色光源(赤色LED36、青色LED38、光源装置10)の駆動と、液晶パネル28,30,32の駆動とを同期させるための同期信号を生成する。生成された同期信号は、光源駆動部230に出力される。
表示制御部220は、画像処理部210から出力されたRGB信号に従い、光学エンジン100による画像の表示動作を制御するための駆動信号を生成して光学エンジン100に出力する。具体的には、表示制御部220は、液晶パネル28,30,32のそれぞれに駆動信号を出力する。液晶パネル28,30,32の各々は、液晶の画素が行列状に配列されてなるパネルと、与えられる駆動信号に基づく当該パネルの液晶素子を水平および垂直の各方向に従い駆動するためのパネルドライバとを含む。
光源駆動部230は、画像処理部210から出力されたRGB信号に基づいて、赤色LED36、青色LED38および励起光源11を駆動する。具体的には、パルス幅変調(PWM)方式により駆動信号を生成し、その生成した駆動信号(駆動電流)を赤色LED36、青色LED38および励起光源11に出力する。
すなわち、光源駆動部230は、パルス波のデューティを調整することにより、各単色光源から出射される光(R光、G光、B光)から出射される光量を調整する。なお、本明細書において、デューティは、励起光源11の制御周期(オンオフ周期)における励起光源11の発光期間(オン期間)の比率をいう。
本実施の形態によるプロジェクタにおいては、各単色光源から出射される光量をユーザにより設定することができる。具体的には、プロジェクタは、通常動作に対応する「通常モード」と、通常モードに比べて省電力を重視した「エコモード」とのいずれかを選択して実行可能に構成される。ユーザは、所定の操作を行なうことにより、これらのモードのいずれかを選択することができる。
ここで、エコモードでは、各単色光源からの発光量が通常モードと比べて小さくなるように設定されている。たとえば、光源駆動部230は、通常モードが選択された場合には、駆動信号のデューティを100%に設定する一方で、エコモードが選択された場合には、駆動信号のデューティを100%よりも小さい値(たとえば80%とする)に設定する。このような構成とすることにより、エコモード時における各単色光源の発光量は、通常モード時における単色光源の発光量の約80%に低下する。
制御部300は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部と、入出力インターフェイスとを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。制御部300は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、プロジェクタの動作を統括制御する。
操作受付部310は、外部から与えられる情報を受付けて制御部300に対して出力する。外部から与えられる情報には、ユーザがプロジェクタに対して各種指示を行なうための操作パネルもしくは遠隔操作が可能なリモコンから送信される、ユーザの操作内容に応じた操作信号などが含まれる。
図3には、光源駆動部230(図2)のさらに詳細な構成が示される。
図3を参照して、光源駆動部230は、制御部300からの指示に基づいて、赤色LED36、青色LED38および光源装置10を駆動制御する。具体的には、光源駆動部230は、モード切替部232と、発光位置制御部234とを含む。
図3を参照して、光源駆動部230は、制御部300からの指示に基づいて、赤色LED36、青色LED38および光源装置10を駆動制御する。具体的には、光源駆動部230は、モード切替部232と、発光位置制御部234とを含む。
ユーザが操作パネルなどを操作することにより通常モードおよびエコモードのいずれかを選択すると、操作受付部310を介してモード切替を指示するための操作信号がモード切替部232に入力される。モード切替部232は、操作信号によって指定されたモードを実現するためのデューティの指令値を生成し、発光位置制御部234に出力する。具体的には、モード切替部232は、通常モードが選択された場合にはデューティの指令値を100%に設定する。一方、エコモードが選択された場合には、モード切替部232は、デューティの指令値を80%に設定する。
図4は、光源駆動部230による光源装置10の制御を説明する概念図である。同図において、上述したように、回転体16の回転周期および励起光源11の制御周期はいずれも、フレーム周期に等しいものとする。
図4を参照して、励起光源11の駆動信号のデューティを100%に設定した場合には、励起光源11の発光期間は、回転体16の1サイクルに要する期間に等しくなる。したがって、蛍光体20における励起光の照射位置の移動範囲である照射範囲は、蛍光体20の全周に及ぶ。
これに対して、励起光源11の駆動信号のデューティを80%に設定した場合には、励起光源11の発光期間は、回転体16の1サイクルに要する期間の80%となる。したがって、蛍光体20における励起光の照射範囲は、蛍光体20の全周の80%となる。すなわち、回転体16の1サイクルに要する期間の20%が励起光源11の発光停止期間となるため、蛍光体20の全周の20%には励起光が照射されない。そのため、連続する複数のフレーム間で励起光源11の発光タイミングを同じとすると、蛍光体20においては、フレームごとに繰り返し励起光が照射される部分と、ほとんど励起光が照射されない部分とが生じてしまう。このように、蛍光体20における励起光の照射位置(蛍光体20の発光位置に相当)が固定されてしまうことによって、蛍光体20の一部分の温度が上昇して、その部分の劣化が進行する虞がある。蛍光体には、高温になると発光効率が低下するという温度依存性が存在することが一般に知られている。したがって、蛍光体20における励起光の照射位置が固定されると、その部分の発光効率の低下を引き起こす虞がある。
そこで、本実施の形態1によるプロジェクタでは、エコモードが選択された場合には、蛍光体20における励起光の照射位置(すなわち、蛍光体20の発光位置)が、1フレームごとにずれるように、励起光源11を駆動制御する。
具体的には、発光位置制御部234は、先のフレーム期間(図4では第nフレーム期間)における蛍光体20の発光位置と、次のフレーム期間(図4では第(n+1)フレーム期間)における蛍光体20の発光位置とが、励起光の照射位置の移動方向(すなわち、回転体16の回転方向)にずれるように、1フレームごとの励起光源11の発光タイミングを制御する。
発光位置制御部234は、蛍光体20における励起光の照射位置を検出するためのカウンタ236を有している。カウンタ236は、同期信号生成部212(図2)からの同期信号に基づいて、回転体16の1サイクル(360°)ごとにカウント値がリセットされ、回転周期の計時を再開する。発光位置制御部234は、先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点に対応するカウント値を記憶部(図示せず)に記憶する。そして、次のフレーム期間では、その記憶した終点を始点として励起光の照射位置が蛍光体20上を移動するように、励起光源11の発光タイミングを制御する。
ここで、図4において、励起光源11の駆動信号のデューティを80%とした場合、第nフレーム期間における励起光の照射範囲は、蛍光体20の全周(360°)に対して0°〜288°の角度範囲となる。そして、第(n+1)フレーム期間における励起光の照射範囲は、288°〜216°(=576°−360°)の角度範囲となる。さらに、第(n+2)フレーム期間における励起光の照射範囲は、216°〜144°(=504°−360°)の角度範囲となる。
発光位置制御部234は、フレームごとの励起光の照射範囲(すなわち、蛍光体20における角度範囲)が決まると、1フレームごとの励起光源11の発光タイミングを制御する。たとえば、第nフレーム期間では、カウンタ236のカウント値が0°〜288°を示す期間において、励起光源11を発光させる。そして、第(n+1)フレーム期間では、カウント値が0°〜216°を示す期間と288°〜360°を示す期間とにおいて、励起光源11を発光させる。さらに、第(n+2)フレーム期間では、カウント値が0°〜144°を示す期間と216°〜360°を示す期間とにおいて、励起光源11を発光させる。
このような構成とすることにより、蛍光体20においては、先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点が、次のフレーム期間における励起光の照射位置の始点となる。これにより、蛍光体20において、あるフレーム期間における励起光の照射範囲は、隣り合うフレーム期間の照射範囲と連続することとなる。したがって、蛍光体20の全周にわたって満遍なく励起光を照射することができる。その結果、蛍光体20における励起光の照射むらを低減できるため、蛍光体20の局所的な劣化が進行するのを抑制できる。
なお、上述した実施の形態1では、1フレームごとに蛍光体20における励起光の照射位置をずらす構成について例示したが、励起光の照射位置をずらす周期は、複数のフレームごと(たとえば、1秒ごとまたは1時間ごと)としても同様の効果を得ることができる。すなわち、励起光源11の特定制御周期ごとに励起光の照射位置をずらすことによって、蛍光体20の局所的な劣化を抑制することができる。
(変更例)
上述した実施の形態1では、エコモードが選択された場合に、発光位置制御部234が蛍光体20における励起光の照射位置をずらす構成について説明したが、入力される映像信号の明るさに応じて、各単色光源の発光量を調整可能に構成されたプロジェクタにおいても、本発明を適用することが可能である。
上述した実施の形態1では、エコモードが選択された場合に、発光位置制御部234が蛍光体20における励起光の照射位置をずらす構成について説明したが、入力される映像信号の明るさに応じて、各単色光源の発光量を調整可能に構成されたプロジェクタにおいても、本発明を適用することが可能である。
図5は、実施の形態1の変更例によるプロジェクタにおける光源駆動部230の構成を示す機能ブロック図である。
図5を参照して、本変更例による光源駆動部230は、図3に示した実施の形態1による光源駆動部230と比較して、モード切替部232に代えて、画像解析部240および発光量算出部242を備える点で異なる。
画像解析部240は、画像処理部210(図2)により生成された画像信号(RGB信号)を受けると、RGB信号により表わされる画像の明るさに応じて、各単色光源(赤色LED36、青色LED38および光源装置10の発光量を調整する。具体的には、画像解析部240は、RGB信号に基づき、表示すべき画像の平均輝度を算出する。そして、画像解析部240は、その算出した平均輝度に基づいて液晶パネル28,30,32に入射される光量の目標値を算出すると、当該入射される光量の目標値に基づいて、各単色光源の発光量の目標値を決定する。画像解析部240は、G光の入射光量の目標値に応じて決定された光源装置10の発光量の目標値に基づいて、励起光源11のデューティの指令値を生成する。画像解析部240は、生成したデューティの指令値を発光位置制御部234に出力する。なお、画像解析部240による各液晶パネルに入射される光量の目標値の算出は、表示すべき映像の最高輝度に基づいて算出してもよい。
発光位置制御部234は、与えられたデューティの指令値に従って、蛍光体20における励起光の照射位置が、1フレームごとにずれるように、1制御周期ごとに励起光源11の発光タイミングを制御する。
このとき、上記のように、発光位置制御部234は、内部のカウンタ236のカウント値に基づいて先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点を記憶すると、次のフレーム期間においては、その記憶した終点を始点として励起光の照射位置が蛍光体20上を移動するように、励起光源11の発光タイミングを制御する。これにより、蛍光体20の全周にわたって満遍なく励起光を照射することができる。
(処理フロー)
図6は、この発明の実施の形態1による光源駆動部の制御処理手順を示したフローチャートである。図6に示す各ステップの処理は、光源駆動部230が図3または図5に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図6は、この発明の実施の形態1による光源駆動部の制御処理手順を示したフローチャートである。図6に示す各ステップの処理は、光源駆動部230が図3または図5に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図6を参照して、光源駆動部230は、ステップS01において、励起光源11のデューティを設定する。デューティは、ユーザによりエコモードが選択された場合には、所定値(たとえば80%)に設定される。あるいは、RGB信号の明るさに応じて励起光源11の発光量を調整する場合には、当該発光量の目標値に基づいてデューティが設定される。
次に、光源駆動部230は、ステップS02により、記憶部に記憶されている先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点に対応するカウント値を読み出すと、ステップS03では、その読み出したカウント値に基づいて、次のフレーム期間における励起光の照射範囲を設定する。このとき、光源駆動部230は、先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点が、次のフレーム期間における励起光の照射位置の始点となるように、励起光の照射範囲を設定する。そして、光源駆動部230は、次のフレーム期間における励起光の照射位置の終点に対応するカウント値を記憶部に記憶させる。
次のフレーム期間において、光源駆動部230は、ステップS02で設定した照射範囲に従って蛍光体20に励起光が照射されるように、励起光源11の発光タイミングを制御する。
具体的には、光源駆動部230は、ステップS04において、カウンタ236のカウント値が360°よりも小さいか否かを判定する。カウント値が360°以上、すなわち、カウント値が360°に達したときには(ステップS04においてNO)、処理はメインルーチンに戻される。
一方、カウント値が360°よりも小さいとき(ステップS04においてYES)には、光源駆動部230は、続いてステップS05により、カウント値がステップS03で設定された照射範囲内に含まれるか否かを判定する。カウント値が照射範囲内に含まれると判定された場合(ステップS05においてYES)には、光源駆動部230は、ステップS06により、励起光を発光するように励起光源11を駆動する。一方、カウント値が照射範囲内に含まれないと判定された場合(ステップS05においてNO)には、光源駆動部230は、ステップS07により、励起光源11の発光を停止させる。
ステップS06またはS07の処理が実行されると、ステップS08において、カウント値に1が加算される。
このように、本実施の形態1によるプロジェクタによれば、蛍光体における励起光の照射位置を、励起光源の特定制御周期ごとにずらすことにより、蛍光体20の局所的な劣化が進行するのを抑制することができる。
また、本実施の形態1によるプロジェクタによれば、先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点を記憶し、その記憶した終点を次のフレーム期間における励起光の照射位置の始点となるように、蛍光体の発光タイミングを制御することによって、蛍光体における励起光の照射位置を容易にずらすことができる。したがって、光源装置の点灯時間の変化に応じて蛍光体の回転速度を変化させる制御を実行する従来のプロジェクタと比較して、高速な蛍光体の回転速度の制御を必要としないため、簡易な構成で蛍光体の局所的な劣化を抑制することが可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、各単色光源から出射された光を変調して画像光を形成する光変調素子として、3枚のDMD(Digital Micromirror Device)を備えるプロジェクタに対する本発明の適用について説明する。
実施の形態2では、各単色光源から出射された光を変調して画像光を形成する光変調素子として、3枚のDMD(Digital Micromirror Device)を備えるプロジェクタに対する本発明の適用について説明する。
図7は、この発明の実施の形態2に係るプロジェクタの主要部の構成を模式的に示す図である。図7では、3枚のDMDのうちの光源装置10から出射されるG光を変調するように構成されたDMDについて抽出して示す。
図7を参照して、実施の形態2によるプロジェクタは、光学エンジン110と、投写レンズ40とを備える。実施の形態2による光学エンジン110は、図1に示した実施の形態1による光学エンジン100と比較して、液晶パネル28,30,32に代えて、DMD60を含む点で異なる。
光源装置10から出射されたG光は、集光レンズ22によって集光された後、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射する。G光は、ロッドインテグレータ24の内部を伝搬してロッドインテグレータ24の他方の端部から出射されると、リレー光学系26を介して、DMD60に導かれる。なお、リレー光学系26は、ロッドインテグレータ24から出射された不均一な光束をDMD60に結像させる機能を有する。
DMD60は、行列状に配列された複数の微小ミラーによって構成されている。複数の微小ミラーは可動式であり、各微小ミラーが1画素に相当する。DMD60は、表示制御部220(図8)により制御されて各微小ミラーの角度を変更することによって、リレー光学系26から受けた光を投写レンズ40側に反射するか否かを切替える。具体的には、ある画素の微小ミラーがオフ状態のときには、この微小ミラーによる反射光は投写レンズ40には入射しない。一方、微小ミラーがオン状態のときには、この微小ミラーによる反射光は投写レンズ40に入射する。単色光源の発光期間に占める微小ミラーがオン状態となる期間の比率を調整することにより、1画素ごとに画像の階調が調整される。
DMD60で変調されたG光は、投写レンズ40を経てスクリーンSCに投写される。なお、スクリーンSCには、R光による画像およびB光による画像がG光による画像に重ね合わせて投写される。
図7に示す構成において、DMD60は、G光が照射されるタイミングに同期して、各微小ミラーのオンオフが制御される。したがって、各微小ミラーによる反射光をRGB信号に従って正常に投写レンズ40に入射させるためには、光源装置10がG光を出射するタイミングと、DMD60の各微小ミラーがオン状態となるタイミングとを同期させる必要がある。
そこで、本実施の形態2によるプロジェクタでは、実施の形態1で示した励起光源11の発光タイミングの制御を実行するとともに、光源装置10内部の蛍光体20がG光を出射するタイミングと各微小ミラーがオン状態となるタイミングとが同期するように、DMD60の駆動を制御する。
図8は、本発明の実施の形態2によるプロジェクタの制御構造を説明する機能ブロック図である。
図8を参照して、実施の形態2による制御構造は、図2に示した実施の形態1による制御構造と比較して、表示制御部220が、画像処理部210からのRGB信号に基づいて、DMD60の駆動信号(オンオフ信号)を生成する点で異なる。表示制御部220は、生成したDMD駆動信号を、同期信号に従って、1フレームごとにDMD60に出力する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る光源駆動部230による光源装置10の制御および表示制御部220によるDMD60の制御を説明する概念図である。図9において、回転体16の回転周期および励起光源11の制御周期はいずれも、フレーム周期に等しいものとする。
図9を参照して、励起光源11の駆動信号のデューティを所定値(たとえばx%とする)に設定した場合には、励起光源11の発光期間は、回転体16の1サイクルに要する期間のx%となる。これにより、蛍光体20における励起光の照射範囲は、蛍光体20の全周のx%となる。
光源駆動部230は、先のフレーム期間における励起光の照射位置と、次のフレーム期間における励起光の照射位置とが、励起光の照射位置の移動方向にずれるように、1フレームごとの励起光源11の発光タイミングを制御する。具体的には、実施の形態1に示したように、先のフレーム期間における蛍光体20の発光位置の終点が、次のフレーム期間における蛍光体20の発光位置の始点となるように、1フレームごとの励起光源11の発光タイミングを設定する。
表示制御部220は、フレームごとに設定された励起光源11の発光期間内で、DMD60を構成する微小ミラーがオンされるように、DMD駆動信号を生成する。したがって、図9に示すように、1フレーム期間におけるDMD60のオン期間は、励起光源11の発光位置が1フレームごとにずれるのに伴なって、1フレームごとにずれることとなる。
なお、各フレームにおけるDMD60のオン期間は、各微小ミラーのオン期間の論理和に相当する。図9では、励起光源11の発光期間とDMD60のオン期間とが等しい場合が示されているが、励起光源11の発光期間は、DMD60のオン期間(各微小ミラーのオン期間の論理和相当)以上であればよく、DMD60のオン期間よりも長い期間としてもよい。たとえば、光源装置10から出射されるG光の光量が、表示すべき画像の色情報に適した光量となるように、RGB信号に応じて励起光源11の発光期間を設定してもよい。
このように、光源装置10からG光が出射されている期間に、G光に対応するDMD駆動信号がDMD60に出力されることにより、投写画像の色再現性を損なうことなく、局所的に蛍光体20の劣化が進行するのを抑制することができる。
図10は、実施の形態2によるプロジェクタにおける光源駆動部230の構成を説明する機能ブロック図である。
図10を参照して、実施の形態2による光源駆動部230は、図3に示した実施の形態1による光源駆動部230と比較して、モード切替部232に代えて、画像解析部240および発光量算出部242を備える点で異なる。
画像解析部240は、画像処理部210(図8)により生成された画像信号(RGB信号)を受けると、RGB信号により表わされる画像の明るさに応じて、各単色光源の発光量を調整する。具体的には、画像解析部240は、RGB信号に基づき、表示すべき画像の平均輝度を算出する。そして、画像解析部240は、その算出した平均輝度に基づいて液晶パネル28,30,32に入射される光量の目標値を算出すると、当該入射される光量の目標値に基づいて、各単色光源の発光量の目標値を決定する。画像解析部240は、G光の入射光量の目標値に応じて決定された光源装置10の発光量の目標値に基づいて、励起光源11のデューティの指令値を生成する。画像解析部240は、生成したデューティの指令値を発光位置制御部234に出力する。
発光位置制御部234は、デューティの指令値に従って、蛍光体20における励起光の照射位置が、1フレームごとにずれるように、1フレーム期間における励起光源11の発光タイミングを制御する。このとき、発光位置制御部234は、内部のカウンタ236のカウント値に基づいて先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点を記憶すると、次のフレーム期間においては、その記憶した終点を始点として励起光の照射位置が蛍光体20上を移動するように、励起光源11の発光タイミングを制御する。これにより、蛍光体20の全周にわたって満遍なく励起光を照射することができる。
表示制御部220は、発光位置制御部234内部のカウンタ236のカウント値に基づいて、1フレーム期間においてDMD60をオン状態とするタイミングを制御する。表示制御部220は、カウンタ236のカウント値に基づいて先のフレーム期間における励起光の照射位置の終点を記憶すると、次のフレーム期間においては、その記憶した終点を始点としてDMD60がオン状態に駆動されるように、DMD駆動信号を生成する。
図11は、この発明の実施の形態2による光源駆動部230および表示制御部220の制御処理手順を示したフローチャートである。図11に示す各ステップの処理は、光源駆動部230および表示制御部220が図10に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図11を参照して、光源駆動部230は、図6と同様のステップS01〜S08により、励起光源11を駆動する。
さらに、表示制御部220は、ステップS03により設定された、次のフレーム期間における励起光の照射範囲を取得すると、ステップS09において、その取得した励起光の照射範囲に基づいて、次のフレーム期間におけるDMD60のオン期間を設定する。
次のフレーム期間において、表示制御部220は、ステップS09で設定したオン期間に従ってDMD60の各微小ミラーがオン状態とされるように、微小ミラーごとのオンタイミングを制御する。表示制御部220は、ステップS10において、カウンタ236のカウント値が設定されたオン期間内に含まれるか否かを判定する。カウント値がオン期間内に含まれると判定された場合(ステップS10においてYES)には、表示制御部220は、ステップS11により、画素単位のRGB信号値に基づいて、各微小ミラーをオン状態に駆動するタイミングを設定する。そして、その設定したタイミングに従って、各微小ミラーをオン状態に駆動する。一方、カウント値がオン期間内に含まれないと判定された場合(ステップS10においてNO)には、表示制御部220は、ステップS12により、DMD60の全ての微小ミラーをオフ状態とする。
このように、実施の形態2によるプロジェクタによれば、蛍光体の発光期間内に、光変調素子であるDMDのオンオフ制御を実行することにより、投写画像の色再現性を損なうことなく、蛍光体の局所的な劣化の進行を抑制することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、複数の単色光源を時分割で順次発光させるフィールドシーケンシャル駆動方式のプロジェクタに対する本発明の適用について説明する。
実施の形態3では、複数の単色光源を時分割で順次発光させるフィールドシーケンシャル駆動方式のプロジェクタに対する本発明の適用について説明する。
図12は、この発明の実施の形態3に係るプロジェクタの主要部の構成を模式的に示す図である。
図12を参照して、実施の形態3によるプロジェクタは、光学エンジン120と、投写レンズ40とを備える。実施の形態3による光学エンジン120は、図1に示した実施の形態1による光学エンジン100と比較して、液晶パネル28,30,32およびダイクロイックプリズム34に代えて、ダイクロイックミラー25、集光レンズ23およびDMD60を含む点で異なる。
光源装置10から出射されたG光は、集光レンズ22によって集光された後、ダイクロイックミラー25および集光レンズ23を透過してロッドインテグレータ24の一方の端部に入射する。赤色LED36から出射されたR光は、ダイクロイックミラー14および25と集光レンズ22および23を透過した後に、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射される。青色LED38から出射されたB光は、ダイクロイックミラー25で反射されると、集光レンズ23で集光された後、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射される。
図13は、本発明の実施の形態3によるプロジェクタの制御構造を説明する機能ブロック図である。
図13を参照して、実施の形態3による制御構造は、図2に示した実施の形態1による制御構造と比較して、表示制御部220が画像処理部210からのRGB信号に基づいて、DMD60の駆動信号(オンオフ信号)を生成する点、および光源駆動部230がRGB信号に基づいて赤色LED36、青色LED38および光源装置10を時分割で切替えて駆動する点で異なる。
表示制御部220は、R光、G光、B光にそれぞれ対応するDMD駆動信号を生成すると、その生成した各色光に対応するDMD駆動信号を、同期信号に従って、1フレームごとに時分割にてDMD60に出力する。
光源駆動部230は、赤色LED36、青色LED38および光源装置10を時分割で切替えて駆動する。これにより、図12におけるロッドインテグレータ24には、R光、G光、B光が時分割で入射される。R光、G光、B光は、ロッドインテグレータ24の内部を伝搬してロッドインテグレータ24の他方の端部から出射されると、リレー光学系26を介して、DMD60に導かれる。DMD60は、R光、G光、B光が順に照射されるタイミングに同期して、各微小ミラーのオンオフが制御される。すなわち、R、G、Bの色光の発光タイミングと、それぞれの色光に対応するDMD駆動信号がDMD60に出力されるタイミングとは、同期している。
DMD60で変調された色光は、投写レンズ40を経てスクリーンSCに投写される。スクリーンSCには、R、G、Bの色光による画像が順に投写される。スクリーンSC上に順に投写される各色光による画像は、人間の目には、それらの色光による画像が重ね合わされて生成されるカラー画像として認識される。
図12に示したようなフィールドシーケンシャル駆動方式のプロジェクタにおいては、1フレーム期間内に、赤色LED36を発光させる期間(以下、「赤色発光期間」という)と、青色LED38を発光させる期間(以下、「青色発光期間」という)と、光源装置10を発光させる期間(以下、「緑色発光期間」という)とが設けられる。したがって、光源装置10では、この緑色発光期間に励起光源11を発光させることにより、蛍光体20に励起光が照射される。
ここで、赤色発光期間、青色発光期間および緑色発光期間を互いに等しい長さに設定した場合には、緑色発光期間は1フレーム期間の1/3となる。回転体16の回転周期がフレーム周期に等しいものとすると、励起光源11の発光期間は、回転体16の1サイクルに要する期間の1/3となる。したがって、蛍光体20における励起光の照射範囲は、蛍光体20の全周の1/3となる。そのため、連続する複数のフレーム間で励起光源11の発光タイミングを同じとすると、蛍光体20における励起光の照射位置が、この全周の1/3の領域に固定されてしまうため、当該領域の劣化が進行してしまう虞がある。
そこで、本実施の形態3によるプロジェクタにおいては、1フレーム期間における赤色発光期間、緑色発光期間および青色発光期間の順番を入れ替えるように、各単色光源を駆動制御する。
図14は、本発明の実施の形態3による光源駆動部230における各単色光源の駆動制御を説明する概念図である。図14では、回転体16の回転周期はフレーム周期に等しいものとして説明するが、回転体16の回転周期がフレーム周期の整数倍であれば、本実施の形態に係る単色光源の駆動制御は適用可能である。
図14(a)を参照して、1フレーム期間内で赤色発光期間、緑色発光期間、青色発光期間の順番となるように各単色光源を駆動すると、光源装置10においては、蛍光体20の全周の中間の1/3に位置する領域に励起光が照射される。
光源駆動部230は、所定数のフレームごとに、各色発光期間の順番を入れ替える。具体的には、第1フレームから第3フレームまでの期間は、第3図14(b)に示すように、緑色発光期間、赤色発光期間、青色発光期間の順番となるように各単色光源を駆動する。この結果、蛍光体20における励起光の照射位置は、所定数のフレームごとにずれていく。
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、複数の単色光源を時分割で発光させる構成のプロジェクタにおいて、当該複数の単色光源の発光期間の順番を入れ替えることによって、単色光を発光する蛍光体の特定の領域に励起光が繰り返し照射されるのを防止できる。この結果、蛍光体の局所的な劣化が進行するのを抑制することができる。
なお、実施の形態3では、3個の単色光源のうちの1つに本発明による光源装置を適用する構成について例示したが、残りの単色光源についても本発明による光源装置を適用することが可能である。
[実施の形態4]
上記の実施の形態1〜3では、励起光源の発光タイミングを制御することにより、蛍光体における励起光の照射位置を、励起光の照射位置の移動方向(すなわち、回転体16の回転方向)に定期的にずらす構成について例示した。
上記の実施の形態1〜3では、励起光源の発光タイミングを制御することにより、蛍光体における励起光の照射位置を、励起光の照射位置の移動方向(すなわち、回転体16の回転方向)に定期的にずらす構成について例示した。
本実施の形態4では、励起光の照射位置を定期的にずらすための別の実施態様として、励起光の照射位置を回転体の動径方向に沿ってずらすための構成について説明する。
図15は、この発明の実施の形態4に係るプロジェクタの主要部の構成を模式的に示す図である。
図15を参照して、実施の形態4によるプロジェクタは、光学エンジン130と、投写レンズ40とを備える。実施の形態4による光学エンジン130は、図12に示した実施の形態3による光学エンジン120と比較して、移動機構200と、ミラー50,54,56と、光量センサ52とをさらに含む点で異なる。
光源装置10は、蛍光体の励起光を発光する励起光源(レーザ光源)11と、集光レンズ12,15と、ダイクロイックミラー14と、回転体16とを含む。回転体16の回転軸は図示しないモータに接続される。当該モータを回転駆動することにより、蛍光体(図示せず)が回転軸を中心として回転する。
移動機構200は、回転体16に接続され、回転体16を動径方向(図中の矢印方向に相当)に移動可能に構成される。
すなわち、回転体16を回転させることにより、回転体16上の蛍光体に入射する励起光の入射位置は、回転軸を中心とする円周上を時間的に移動する。さらに、移動機構200が回転体16を動径方向に移動させることにより、蛍光体における励起光の入射位置は、動径方向に移動する。
図15に示す構成において、光源装置10から出射されたG光は、集光レンズ22によって集光された後、ダイクロイックミラー25および集光レンズ23を透過してロッドインテグレータ24の一方の端部に入射する。赤色LED36から出射されたR光は、ダイクロイックミラー14および25と集光レンズ22および23を透過した後に、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射される。青色LED38から出射されたB光は、ダイクロイックミラー25で反射されると、集光レンズ23で集光された後、ロッドインテグレータ24の一方の端部に入射される。
R光、G光、B光は、ロッドインテグレータ24の内部を伝搬してロッドインテグレータ24の他方の端部から出射されると、リレー光学系26およびミラー50,54,56を介して、DMD60に導かれる。DMD60は、R光、G光、B光が順に照射されるタイミングに同期して、各微小ミラーのオンオフが制御される。DMD60で変調された色光は、投写レンズ40を経てスクリーンSCに投写される。
ミラー50の透過方向には、光量センサ52が設けられている。光量センサ52は、内部にG光のみを透過可能なフィルタを有しており、ミラー50を透過したG光の光量を検出する。なお、光源装置10が出射したG光の光量を検出可能な限りにおいて、光量センサ52を図15に示す位置とは異なる位置(たとえばミラー54の透過方向)に配置することも可能である。
図16には、回転体16および移動機構200(図15)のさらに詳細な構成が示される。
図16(a)を参照して、回転体16は、励起光源11の光軸に平行な回転軸18と、回転軸18を中心に回転可能な蛍光体とを含む。蛍光体は、回転軸18を中心として同心円状に配置された複数の蛍光部を含む。以下の説明では、蛍光体が2個の蛍光部200,210を有する構成について例示する。また、2個の蛍光部のうちの内周側に位置する蛍光部200を「内側蛍光部」とも称し、外周側に位置する蛍光部210を「外側蛍光部」とも称する。
蛍光部200,210は、耐熱性ガラス等を基材として円盤状に形成されており、その表面に励起光源11から出射された光を受ける。蛍光部200,210は、励起光源11が出射したB光を吸収してG光を発光するように構成される。
移動機構200は、動力駆動源としてのモータ204と、歯車機構などの動力伝達機構202とを組み合わせて構成される。モータ204の回転力が、動力伝達機構202によって動径方向の直線移動力に変換されることにより、回転体16を動径方向に移動させることができる。回転体16の動径方向の移動量は、図示しない制御部により制御される。このようにして、蛍光体における励起光の照射位置を動径方向に移動させることができる。
具体的には、図16(a)では、励起光の照射位置(図中の点P)は外側蛍光体210となっている。すなわち、回転体16を回転させることにより、励起光の照射位置Pは、外側蛍光体210の円周上を時間的に移動する。
そして、図16(a)に示す状態において移動機構200が回転体16を動径方向に所定量だけ移動させることにより、図16(b)に示す状態に切替わる。図16(b)では、励起光の照射位置Pは内側蛍光体200となっている。すなわち、回転体16を回転させることにより、励起光の照射位置Pは、内側蛍光体200の円周上を時間的に移動する。
本実施の形態4では、移動機構200は、図16(a)に示される回転体16の位置と、図16(b)に示される回転体16の位置とを定期的に変更する。これにより、蛍光体における励起光の照射位置は、外側蛍光部210と内側蛍光部200との間で、定期的に切替わる。このような構成とすることにより、蛍光体における励起光の照射位置を動径方向に定期的にずらすことができる。これにより、蛍光体の局所的な劣化の進行を抑制することができる。
蛍光体における励起光の照射位置を切替えるタイミングについては、たとえば、ユーザ操作によりプロジェクタの電源がオンされたタイミングとすることができる。この場合、電源がオンされるごとに、励起光の照射位置は、外側蛍光部210と内側蛍光部200との間で切替わる。あるいは、ユーザ操作によりプロジェクタの電源がオフされたタイミングとしてもよい。これによれば、次回にプロジェクタの電源がオンされた後は、前回のプロジェクタの動作時に用いられていた蛍光部とは異なる蛍光部に対して励起光が照射されることとなる。
あるいは、光量センサ52(図15)により検出されるG光の光量に応じて、励起光の照射位置を切替える構成としてもよい。図17は、本実施の形態4による蛍光体における励起光の照射位置の切替え処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに実行される。
図17を参照して、ステップS11では、制御部は、移動機構200により図16(a)に示す位置に回転体16を移動させることにより、励起光源11からの励起光を外側蛍光部210に照射する。ステップS12において、外側蛍光部210が発光したG光の光量G1は、光量センサ52により検出される。制御部は、光量センサ52が検出したG光の光量G1を取得する。
次に、ステップS13により、制御部は、移動機構200により図16(b)に示す位置に回転体16を移動させることにより、励起光源11からの励起光を内側蛍光部200に照射する。ステップS14において、内側蛍光部200が発光したG光の光量G2は、光量センサ52により検出される。制御部は、光量センサ52により検出されたG光の光量G2を取得する。
ステップS15において、制御部は、ステップS12で取得したG光の光量G1とステップS14で取得したG光の光量G2とを比較する。G光の光量G1がG光の光量G2よりも大きいとき(ステップS15においてYES)には、励起光の照射位置に外側蛍光部210を選択する。一方、G光の光量G2がG光の光量G1以上となるとき(ステップS15においてNO)には、制御部は、励起光の照射位置に内側蛍光部200を選択する。
図17に示すフローチャートの処理は、外側蛍光部210および内側蛍光部200のうち、照射するG光の光量が大きい方の蛍光部を励起光の照射位置に選択する。蛍光部の劣化が進行すると、蛍光部が発光するG光の光量が減少する。したがって、外側蛍光部210および内側蛍光部220の一方のみに励起光を照射し続けることにより、該一方の蛍光部の劣化が進行し、蛍光部200,200の間で発光量にばらつきが生じる。そのため、図17では、光量センサ52の検出値の比較結果に基づいて一方の蛍光部が他方の蛍光部よりも劣化が進んでいると判断された場合には、励起光の照射位置を該他方の蛍光部に切替える。これにより、該一方の蛍光部の劣化が進行するのを抑制することができる。
(変更例)
図18は、本実施の形態4の変更例に係るプロジェクタが備える回転体16および移動機構200の構成を説明する図である。
図18は、本実施の形態4の変更例に係るプロジェクタが備える回転体16および移動機構200の構成を説明する図である。
図18を参照して、本変更例に係る回転体16は、図16に示す回転体16と比較して、2個の蛍光部200,210に代えて、単一の蛍光部220を備える点で異なる。
蛍光部220は、耐熱性ガラス等を基材として円盤状に形成されており、その表面に励起光源11から出射された光を受ける。蛍光部220は、励起光源11が出射したB光を吸収してG光を発光する。
蛍光部220は、動径方向に所定の幅を有する。この所定の幅は、蛍光部220における励起光の光径(スポットサイズ)の2倍以上となるように設定されている。なお、光径とは、蛍光体における励起光のピークの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)に相当する。
本変更例では、移動機構200は、回転体16を動径方向に沿って連続的に移動可能に構成される。これにより、蛍光部220における励起光の照射位置(図中の点P)を、動径方向に連続的に変更することができる。
蛍光部220における励起光の照射位置を変更するタイミングについては、上記の実施の形態4と同様に、ユーザ操作によりプロジェクタの電源がオン(またはオフ)されたタイミングとすることができる。あるいは、光量センサ52(図15)により検出されるG光の光量に応じて、励起光の照射位置を切替える構成としてもよい。図19は、本実施の形態4の変更例による蛍光体における励起光の照射位置の切替え処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートの処理は、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに実行される。
図18および図19を参照して、蛍光部220における励起光の照射位置をr(i)とすると、制御部は、ステップS21により、光量センサ52により検出される照射位置r(i)でのG光の光量を取得する。
ステップS22において、制御部は、今回の検出タイミングで検出されたG光の光量が、前回の検出タイミングで検出されたG光の光量よりも小さいか否かを判定する。そして、今回の検出タイミングの検出値が前回の検出タイミングの検出値よりも小さいとき(ステップS23においてYES)には、ステップ23により、制御部は、励起光の照射位置を、現在の照射位置r(i)から動径方向に所定量Δrだけ変位させた位置r(i+1)に変更する。一方、今回の検出タイミングの検出値が前回の検出タイミングの検出値以上となるとき(ステップS23においてNO)には、ステップS24により、制御部は、励起光の照射位置を、現在の照射位置r(i)に維持する。
図19に示すフローチャートの処理は、光量センサ52の検出値を監視し、該検出値が低下したと判定されたときに励起光の照射位置を所定量Δrだけ変更するものである。これにより、励起光の照射位置は、蛍光部220上を動径方向に連続的に移動する。その結果、蛍光部220の局所的な劣化を抑制することが可能となる。
[実施の形態5]
本実施の形態5では、励起光の照射位置を回転体の動径方向に沿ってずらすための他の構成について説明する。
本実施の形態5では、励起光の照射位置を回転体の動径方向に沿ってずらすための他の構成について説明する。
図20は、この発明の実施の形態5に係るプロジェクタに適用される光源装置10の構成を模式的に示す図である。
図20を参照して、光源装置10は、蛍光体20の励起光を発光する励起光源(レーザ光源)11と、集光レンズ12,15と、ダイクロイックミラー14と、回転体16と、振動発生器1240とを含む。本実施の形態5においては、集光レンズ12およびダイクロイックミラー14は、励起光源11からの励起光を蛍光体20に導くための光学部材を構成する。そして、これらの光学部材および励起光源11は、プロジェクタの「光源系」を構成する。
実施の形態5による光源装置10は、図1に示した実施の形態1による光源装置10と比較して、振動発生器1240をさらに含む点で異なる。
振動発生器1240は、集光レンズ12を構成する複数のレンズ1200,1220のうちの1つに接続される。振動発生器1240としては、たとえば圧電素子(ピエゾ素子)を利用したピエゾアクチュエータが適用される。本実施の形態5では、ピエゾアクチュエータは、圧電素子の伸縮方向が回転体16の動径方向に一致するように、レンズ1200に接続される。したがって、圧電素子が逆圧電効果によって伸縮すると、レンズ1200は、圧電素子の伸縮量に応じた分だけ回転体16の動径方向(図中の矢印方向に相当)に変位する。
このように振動発生器1240がレンズ1200を回転体16の動径方向に振動させることにより、レンズ1200における励起光の入射位置は、回転体16の動径方向に変化する。そして、励起光の入射位置が回転体16の動径方向に変化すると、レンズ1200から出射される励起光の出射方向も回転体16の動径方向に変化する。
レンズ1200から出射された励起光は、レンズ1220、ダイクロイックミラー14および集光レンズ15を透過して回転体16に入射される。回転体16上の蛍光体20に入射する励起光の入射位置は、回転体16の回転に応じて回転軸18を中心とする円周上を時間的に移動する。さらに、レンズ1200を回転体16の動径方向に振動させたことにより、蛍光体20における励起光の照射位置は動径方向に変化する。
蛍光体20が発光したG光は、集光レンズ15を介してダイクロイックミラー14に入射される。G光は、ダイクロイックミラー14によって反射されると、集光レンズ22(図1)に入射される。
なお、図20では、レンズ1200を回転体16の動径方向に振動させる構成について例示したが、レンズ1200における励起光の入射位置を時間的に移動させることが可能であれば、蛍光体20における励起光の照射位置をずらすことができる。したがって、レンズ1200の振動方向は回転体16の動径方向に限られることはない。たとえば、レンズ1200の光軸を励起光源11の光軸から平行にずらすようにレンズ1200を配置した状態で、レンズ1200の光軸を励起光源11の光軸を中心として回転させる構成としてもよい。この場合、レンズ1200における励起光の入射位置はレンズ1200の光軸を中心とする円周上を移動する。
ただし、蛍光体20における励起光の照射むらを低減するためには、励起光の照射位置の移動方向である回転体16の回転方向に垂直な方向、すなわち回転体16の動径方向にレンズ120を振動させるのが最も効果的である。
図21には、回転体16のさらに詳細な構成が示される。
図21を参照して、回転体16は、励起光源11の光軸に平行な回転軸18と、回転軸18を中心に回転可能な蛍光体20とを含む。回転軸18に接続されたモータ(図示せず)を回転駆動することにより、蛍光体20が回転軸18を中心として回転する。これにより、励起光の照射位置(図中の点P)は、蛍光体20の円周上を時間的に移動する。
図21を参照して、回転体16は、励起光源11の光軸に平行な回転軸18と、回転軸18を中心に回転可能な蛍光体20とを含む。回転軸18に接続されたモータ(図示せず)を回転駆動することにより、蛍光体20が回転軸18を中心として回転する。これにより、励起光の照射位置(図中の点P)は、蛍光体20の円周上を時間的に移動する。
そして、振動発生器1240(図20)が集光レンズ12のレンズ1200を回転体16の動径方向に振動させることにより、励起光の照射位置Pは動径方向に移動する。図21では、励起光の照射位置Pは、回転軸18から半径方向の距離がr1となる位置と、回転軸18から半径方向の距離がr2(>r1)となる位置との間を移動する。したがって、蛍光体20が回転軸18を中心として回転することにより、励起光の照射位置Pは、半径の異なる2つの同心円で囲まれた範囲内を時間的に移動することになる。
図22は、蛍光体20における励起光の照射位置Pの移動の様子を模式的に示す図である。図22中の横軸は蛍光体20の周方向を示し、縦軸は蛍光体20の径方向を示す。
図22を参照して、励起光の照射位置Pは、径方向の移動量の変化により、正弦波を描くように移動する。この正弦波の振幅は、レンズ1200の曲率、レンズ1200から回転体16までの光路長、および振動発生器1240によるレンズ1200の移動量(振動量)などによって決まる。したがって、振動発生器1240によるレンズ1200の移動量を調整することにより、正弦波の振幅を変更することができる。具体的には、振動発生器1240を構成するピエゾアクチュエータの伸縮量を変更することによって、正弦波の振幅を変更することができる。
あるいは、たとえば図23に示すように、レンズ1200に代えて、レンズ1200とは異なる曲率を有するレンズ1220を振動させることによっても、正弦波の振幅を変更することができる。レンズ1220の曲率がレンズ1200の曲率よりも小さい場合、正弦波の振幅はより小さくなる。
または、図24に示すように、複数のレンズ1200,1220をそれぞれ振動させる構成とすれば、正弦波の振幅の調整可能な範囲をさらに広げることが可能となる。たとえば図24に示すように、振動発生器1240によりレンズ1200を回転体16の動径方向に振動させるとともに、振動発生器1260によりレンズ1220を回転体16の動径方向に振動させる。そして、レンズ1200とレンズ1220との間で、振動量および振動周期などを異ならせることにより、正弦波の振幅を調整することができる。
なお、正弦波の振幅を一定とした場合、図24に示す複数のレンズ1200,1220を振動させる構成とすれば、レンズ1200および1220のいずれか一方のみを振動させる構成と比較して、レンズ1枚あたりの振動量を小さくすることが可能となる。これによれば、振動発生器1240,1260のサイズを小型化することができる。
あるいは、図24に示す構成において、複数のレンズ1200,1220を切換えて振動させる構成としてもよい。図21に示したように、蛍光体20における励起光の照射位置は正弦波状に変化するため、蛍光体20においては、回転体16の径方向に沿って励起光の照射密度が高くなる部分と励起光の照射密度が低くなる部分とが生じる。したがって、励起光の照射位置の振幅が固定されると、励起光の照射密度が高くなる部分の温度が上昇する可能性がある。レンズ1200とレンズ1220とでは、蛍光体20における励起光の照射位置の振幅が異なるため、これらのレンズを切換えて振動させることにより励起光の照射密度が高くなる部分が蛍光体20の特定の領域に集中するのを抑制することができる。
(変更例1)
図25は、本実施の形態5の第1の変更例に係るプロジェクタが備える光源装置10の構成を説明する図である。
図25は、本実施の形態5の第1の変更例に係るプロジェクタが備える光源装置10の構成を説明する図である。
図25を参照して、本変更例1に係る光源装置10は、図20に示した光源装置10と比較して、振動発生器1240に代えて、ミラー1300および振動発生器1320を備える点で異なる。
ミラー1300は、励起光源11と集光レンズ12との間に設けられる。ミラー1300は、励起光源11から出射された励起光を、ほぼ平行光で集光レンズ12へと入射させる。ミラー1300は、中心部に設けられた軸1310を回動中心として回動可能に構成される。
振動発生器1320は、ミラー1300の軸1310に接続される。振動発生器1320は、一例として、ピエゾアクチュエータで構成される。ピエゾアクチュエータの圧電素子が逆圧電効果によって伸縮すると、ミラー1300は、図中の矢印方向に回動する。これにより、ミラー1300の反射面に対する励起光の入射角が変化する。励起光の入射角が変化することにより、ミラー1300から出射される励起光の出射方向も変化する。
本変更例1では、集光レンズ12における励起光の入射位置が回転体16の動径方向に変化するように、ミラー1300を回動させる。集光レンズ12における励起光の入射位置が回転体16の動径方向に変化することにより、蛍光体20における励起光の照射位置が動径方向に変化する。その結果、図22で説明したのと同様の態様で、蛍光体20における励起光の照射位置が移動することとなり、蛍光体20の局所的な劣化を抑制することができる。
(変更例2)
図26は、本実施の形態5の第2の変更例に係るプロジェクタが備える光源装置10の構成を説明する図である。
図26は、本実施の形態5の第2の変更例に係るプロジェクタが備える光源装置10の構成を説明する図である。
図26を参照して、本変更例2に係る光源装置10は、図20に示した光源装置10と比較して、振動発生器1240に代えて、振動発生器1100を備える点で異なる。
振動発生器1100は、励起光源11に接続される。振動発生器1100は、一例として、ピエゾアクチュエータで構成される。ピエゾアクチュエータは、圧電素子の伸縮方向が回転体16の動径方向に一致するように、励起光源11に接続される。したがって、圧電素子が逆圧電効果によって伸縮すると、励起光源11は、圧電素子の伸縮量に応じた分だけ回転体16の動径方向(図中の矢印方向に相当)に変位する。
このように振動発生器1240が励起光源11を回転体16の動径方向に振動させることにより、集光レンズ12における励起光の入射位置は、回転体16の動径方向に変化する。そして、集光レンズ12における励起光の入射位置が回転体16の動径方向に変化すると、蛍光体20における励起光の照射位置も動径方向に変化する。その結果、図22で説明したのと同様の態様で、蛍光体20における励起光の照射位置が移動することとなり、蛍光体20の局所的な劣化を抑制することができる。
このように、本実施の形態5によるプロジェクタにおいては、励起光源および励起光源からの励起光を蛍光体に導くための光学部材からなる光源系の少なくとも1つの構成部材を振動させることにより、蛍光体における励起光の照射位置をずらすことができる。これにより、蛍光体の局所的な劣化の進行を抑制することができる。
なお、上記の実施の形態5では、集光レンズ120を構成する複数のレンズ120,122を振動させる構成を例示したが、複数のレンズ120,122の少なくとも1つと、励起光源11およびミラー130の少なくとも1つとを同時(または切換えて)振動させる構成としても同様の効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 光源装置、11 励起光源(レーザ光源)、12,15,22,23 集光レンズ、14,25 ダイクロイックミラー、16 回転体、18 回転軸、20 蛍光体、24 ロッドインテグレータ、26 リレー光学系、28,30,32 液晶パネル、34 ダイクロイックプリズム、40 投写レンズ、100,110,120,130 光学エンジン、200 画像供給部、210 画像処理部、212 同期信号生成部、220 表示制御部、230 光源駆動部、232 モード切替部、234 発光位置制御部、236 カウンタ、240 画像解析部、242 発光量算出部、300 制御部、310 操作受付部、36 赤色LED、38 青色LED、1200,1220 レンズ、1100,1240,1260,1320 振動発生器、1300 ミラー。
Claims (11)
- 励起光を発光する励起光源と、
前記励起光源からの励起光により励起されて可視光を発光する蛍光体とを備え、
前記蛍光体は、回転駆動されることにより、その回転方向に沿って前記励起光の照射位置が移動するように構成され、
前記蛍光体における前記励起光の照射位置を、定期的にずらすための照射位置変更手段をさらに備える、投写型映像表示装置。 - 1制御周期における前記励起光源の発光期間を示すデューティを制御する光源駆動部をさらに備え、
前記蛍光体は、前記励起光源の駆動に同期して回転駆動されることにより、その回転方向に沿って前記励起光の照射位置が移動するように構成され、
前記照射位置変更手段は、前記蛍光体における前記励起光の照射位置が、前記励起光源の特定制御周期ごとにずれるように、1制御周期における前記励起光源の発光タイミングを制御する光源制御部を含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。 - 前記光源制御部は、先の制御周期における前記励起光の照射位置の終点を記憶するとともに、その記憶した終点が、次の制御周期における前記励起光の照射位置の始点となるように、前記励起光源の発光タイミングを制御する、請求項2に記載の投写型映像表示装置。
- 前記光源駆動部は、入力される画像信号の明るさに応じて前記デューティを可変に設定可能に構成され、
前記光源制御部は、前記設定されたデューティにより規定される前記励起光源の発光期間に応じて前記励起光源の発光タイミングを制御する、請求項2または3に記載の投写型映像表示装置。 - 入力される画像信号に応じてオンオフ制御されることにより、前記蛍光体から出射される可視光を変調する光変調素子と、
前記蛍光体が発光しているときに前記光変調素子がオン状態となるように、前記光変調素子をオンオフ制御する素子制御部とをさらに備える、請求項2に記載の投写型映像表示装置。 - 前記蛍光体が発光する可視光とは異なる波長の可視光を発光するように構成された光源をさらに備え、
前記蛍光体および前記光源は、1フレーム期間内で時分割で切替えて発光するように構成され、
前記制御部は、少なくとも1フレーム期間ごとに前記蛍光体および前記光源が発光する順番を入れ替えるように、該1フレーム期間における前記励起光源の発光タイミングを制御する、請求項2に記載の投写型映像表示装置。 - 前記照射位置変更手段は、前記蛍光体の回転駆動中に、前記蛍光体の回転軸を動径方向に移動させるための移動機構を含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
- 前記蛍光体は、前記回転軸を中心として同心円状に配置された複数の蛍光部を含み、
前記移動機構は、前記蛍光体における前記励起光の照射位置が、前記複数の蛍光部の間で定期的に切り替わるように、前記蛍光体の回転軸を動径方向に移動させる、請求項7に記載の投写型映像表示装置。 - 前記蛍光体は、動径方向の幅が前記蛍光体における前記励起光の光径の2倍以上となるように構成された蛍光部を含み、
前記移動機構は、前記励起光の照射位置が前記蛍光体上を連続的に移動するように、前記蛍光体の回転軸を動径方向に移動させる、請求項7に記載の投写型映像表示装置。 - 前記励起光源と、前記励起光源からの励起光を前記蛍光体に導くための光学部材とが、前記投写型映像表示装置の光源系を構成し、
前記照射位置変更手段は、前記蛍光体の回転駆動中に、前記光源系の構成部材の少なくとも1つを振動させるための振動発生器を含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。 - 前記振動発生器は、前記光源系の構成部材の少なくとも1つを、前記蛍光体の動径方向に振動させる、請求項10に記載の投写型映像表示装置。
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