以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置1を示すものである。この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものであり、所要の外観形状を有する筐体10の内部空間に、画像情報に基づく画像を被記録材の一例としての記録用紙9に形成する画像形成部2や、画像形成装置1に入力される画像情報について所要の処理を施して画像信号を生成する画像処理部3や、画像形成部2、画像処理部3等の構成部品の各動作について総合的に制御する総合制御部4等が配置されている。
画像形成部2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー(現像剤)で現像される未定着のトナー像をそれぞれ形成する4つの作像ユニット20と、各作像ユニット20で形成された各トナー像を中継ぎした後に記録用紙9に転写する中間転写ユニット30と、中間転写ユニット30の転写部に供給すべき所要の記録用紙9を収容して送出する給紙装置40と、未定着のトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置50等で構成されている。図中の矢付き一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が主に搬送される搬送経路を示す。
作像ユニット20(Y,M,C,K)は、所要の間隔をあけて直列的に配置されており、そのいずれも回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に次の各装置が主に配置されている。
主な装置とは、感光ドラム21の像形成が可能な像保持面(外周面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された外周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像することにより可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K)と、そのトナー像を中間転写ユニット30に転写した後の感光ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置26等である。
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置23としては、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用しているが、その他にも、例えば、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用してもよい。
この露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像情報について画像処理部3で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が送信されるようになっている。画像形成装置1には、原稿読取装置や、パーソナルコンピュータ等の情報端末や、記憶媒体の読み書き装置等の図示しない画像情報機器が接続通信部を介して接続可能となっており、その画像情報機器から任意の画像の情報が入力される。
中間転写ユニット30は、図1に示すように、各作像ユニット20(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置されている。
この中間転写ユニット30は、感光ドラム21の転写部となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、各作像ユニット20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上のトナー像を中間転写ベルト31に一次転写させる一次転写装置33と、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)に所定の圧力で接触して回転する二次転写装置35と、二次転写装置35を通過した後に中間転写ベルト31の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置36とで主に構成されている。支持ロール32aは、駆動ロールとして構成されている。一次転写装置33及び二次転写装置35としては、例えば、各転写電圧が供給される接触部材としてロールを使用する接触式の転写装置が適用されている。
給紙装置40は、作像ユニット20の下方側の位置に存在するように配置されている。給紙装置40は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。給紙装置40から送りされる記録用紙9は、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,…や搬送ガイド材で構成される搬送路を経由して中間転写ユニット30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写装置35との間)に搬送される。
定着装置50は、中間転写ユニット30の二次転写位置の上方側の位置に存在するように配置されている。
この定着装置50は、図2に示すように、記録用紙9の導入及び排出を行うための開口51a,51bが形成された筐体51を備えており、その筐体51の内部に、電磁誘導加熱される定着ベルト52と、定着ベルト52を電磁誘導加熱する交流磁界を発生する加熱ユニット53と、定着ベルト52と対向する状態で配置される加圧ロール54と、定着ベルト52を介して加圧ロール54から押し付けられる押付けパッド55と、押付けパッド55を支持する支持体56と、加熱ユニット53で生成される交流磁界を誘導して磁路を形成する感温磁性部材57と、感温磁性部材57を通過した磁力線を誘導する誘導部材58と、定着ベルト52の裏面の温度を測定する温度センサ61等が配置されている。
定着ベルト52は、画像形成装置1で使用する記録用紙9の搬送時の幅寸法よりも少し長い幅寸法からなる円筒形状の無端状ベルトである。また、定着ベルト52としては、例えば、基材上に、電磁誘導加熱される導電発熱層、定着性を向上させる弾性層、表面離型層をこの順に積層形成した多層構造のベルトが適用される。温度センサ61としては、定着ベルト52の裏面から与えられる熱量に応じて電気抵抗値が変化することで定着ベルト52の表面の温度を計測するものが使用される。温度センサ61の定着ベルト52の裏面に接触する位置は、例えば、定着ベルト52の幅方向のほぼ中央部に設定されている。
加熱ユニット53は、定着ベルト52の幅方向に長い形状の非磁性部材からなる支持板(ボビン)531と、支持板531の長手方向に沿って複数回に閉ループ状に巻き回れた状態で配置されて交流磁界を発生させる励磁コイル532と、励磁コイル532で生成された交流磁界の磁路を形成する磁心533と、交流磁界を支持板531の長手方向に均すための調整用磁心534と、磁心533を上から覆うように保持する加圧部材535と、磁界の外部への漏洩を抑制するシールド部材536と、励磁コイル532に高周波の交流電流を供給する励磁回路537とで主に構成されている。
励磁回路537は、図3に示すように、外部電源(商用電源)90から入手する商用交流電圧(例えば、AC100V又は200V、周波数50/60Hz)の通電を許可又は禁止する処理を行う通電回路部537aと、その通電回路部537aから通電された交流電圧から高周波(例えば、20kHz〜100kHz)の交流電流を発生させるとともに励磁コイル532に供給する高周波発生回路部537bとを備えている。
加圧ロール54は、心金541に弾性体層542と離型層543をこの順に積層させた状態で形成したものである。加圧ロール54は、心金541の両端部を軸受けする軸受材に対して加圧ばねにより所要の荷重が付与され、これにより定着ベルト52(の押付けパッド55)を加圧する状態に支持されている。また、加圧ロール54は、その心金541の一端部に取り付けられる図示しないギヤに対して電動モータ、回転伝達機構等で構成される回転駆動装置62(図3)から回転動力が伝達され、これにより矢印Aで示す方向に所要の回転速度で回転駆動する。
ちなみに、定着ベルト52は、押付けパッド55により加圧ロール54の外周面に押し付けられた状態に保持され、その加圧ロール54から回転動力を受けて矢印Bで示す方向に連れ回るようにして回転(従動回転)するようになっている。また、定着ベルト52が押付けパッド55により加圧ロール54の外周面に押し付けられた部位(圧接部)が、定着処理がなされる定着処理部Nとなる。
また、この定着装置50は、図3に示すように、加熱ユニット53(実際には励磁回路537)や回転駆動装置62の動作について制御する制御装置65を備えている。制御装置65は、画像形成装置1の総合制御部4と接続されており、これにより必要な制御情報のやり取りがなされるように構成されている。制御装置65及び総合制御部4は、例えば中央演算処理装置、記憶装置、制御回路、入出力装置等で構成されている。また、制御装置65には、加熱ユニット53(励磁回路567)、回転駆動装置62、温度センサ61等が接続されている。
制御装置65による加熱ユニット53の駆動制御は、温度センサ61からの検出情報等に基づいて行われる。
例えば、プリント動作(定着動作を含む)を行うときには、図4に例示するように、最初に、定着ベルト52の温度が予め設定する通紙中の目標温度(定着設定温度)に達するまで加熱ユニット53を駆動して(実際には通電回路部537aの通電を許可して高周波発生回路部573bを駆動させて)励磁コイル532を作動させることで定着ベルト52を電磁誘導加熱し始める。続いて、その加熱したときの定着ベルト52の温度が目標温度に達した時点で、加熱ユニット53の駆動を停止させる(実際には通電回路部537aの通電を禁止して高周波発生回路部573bの駆動を停止させる)ことで定着ベルト52の電磁誘電加熱を停止させ、その後、定着ベルト52の温度が目標温度を基準にした許容下限温度に達した時点で加熱ユニット53を再び駆動して励磁コイル532を作動させることで定着ベルト52を目標温度に達するまで電磁誘導加熱する。このような駆動制御が、要求されたプリント動作が終了するまで繰り返される。
以下、画像形成装置1の画像形成部2による基本的な画像形成動作(プリント動作)について説明する。ここでは、前記4つの作像ユニット20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する場合の動作パターン(フルカラーモード)を説明する。
前記した画像情報機器や操作パネルなどから総合制御部4に対して画像形成動作(プリント)の開始要求の指示があると、画像形成部2の4つの作像ユニット20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印で示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の像保持面を所要の極性(本実施の形態ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の像保持面に対し、画像処理部3から送信される各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
次いで、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロールから供給して静電的に付着させる。このように現像が行われることで各感光ドラム21上の各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像ユニット20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写位置において一次転写装置33の転写作用により、中間転写ユニット30の中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。各作像ユニット20における一次転写後の感光ドラム21は、その外周面に残留するトナー等の付着物がドラム清掃装置26によって除去されて清掃される。
また、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、その二次転写位置において二次転写装置35の転写作用により、給紙装置40から供給される記録用紙9に一括して二次転写させる。二次転写後の中間転写ベルト31は、その外周面に残留したトナー等の付着物がベルト清掃装置36によって取り除かれ、清掃される。
次いで、トナー像が二次転写された記録用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置50まで搬送される。定着装置50では、加熱ユニット53の励磁回路537から励磁コイル532に交流電流を供給して交流磁界を生成させ、その磁力線を定着ベルト52の内部に通過させることにより、定着ベルト52がその導電発熱層で渦電流が流れて電磁誘電加熱された状態に保たれる。また、加圧ロール54が回転駆動するとともに、定着ベルト52が従動回転する。
定着装置50に搬送された用紙9は、その電磁誘導加熱された定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されて熱及び圧力による定着処理を受け、これによりトナー像が溶融されて用紙9に定着される。定着が終了した後の記録用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときには、排出ロール44や搬送ガイド部材等で構成される排出路を通して例えば筐体10に形成される排出収容部12に排出されて収容される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙9が出力(形成)される。
ところで、この画像形成装置1においては、以下に説明するように、定着装置50に入力される電圧が変動した場合の対策を採用している。
はじめに、定着装置50は、図4に示すように、制御装置65において総合制御画像形成装置1の主電源が投入されたこと(電源ON)又はプリント開始信号を受信したことが把握されると(時間t0)、加熱ユニット53の励磁回路537において通電回路部537aを通して通電がなされて高周波発生回路部537bから高周波の交流電流を励磁コイル532に供給することにより定着ベルト52を電磁誘電加熱し始めるが、その加熱し始めたときの定着ベルト52の温度が予め設定する(初期設定の)作像開始可能温度Taに達した時点(t1)で、制御装置65が画像形成装置1の総合制御部4にプリント動作の許可の信号を送信するように構成されている。つまり、定着装置50における加熱し始めたときの定着ベルト52の温度が作像開始可能温度Taに達した時点(t1)で、前記した画像形成部2によるプリント動作が開始されることになる。
ここで、作像開始可能温度Taは、図4に示すように、通紙中の定着設定温度に達する前の低い温度に設定される。これは、そのプリント動作の許可の信号を受けてから画像形成部2によるプリント動作が開始されても、未定着のトナー像が二次転写された記録用紙9が定着装置50に直ちに搬送されることがなく、或る一定の時間を要するため、その所要の時間が経過する前の段階で定着ベルト52の温度が通紙中の定着設定温度に達していると見込んで設定されるものであり、これにより最初のプリント動作に要する時間の短縮化を可能にしている。この初期設定の作像開始可能温度Taや前記した目標温度などの情報は、例えば、制御装置65の記憶部66に記憶して格納されている。
そして、定着装置50では、加熱し始めた定着ベルト52の温度が作像開始可能温度Taに到達したことを基準にしてプリント動作が開始された場合、図4に点線で示すように、そのプリント動作(定着動作を含む)の間において制御装置65により加熱ユニット53の駆動制御が行われることにより、定着ベルト52の温度が通紙中の目標温度にほぼ維持されるようになる。ただし、これは、外部電源90から定着装置50に入力される電圧が所期の予定電圧(例えば定格電圧)であるとき(平常時)の状態になる。このような状態にあるときには、定着処理が安定した加熱温度で実施されて良好な定着が行われる。
しかし、定着装置50において定着ベルト52を電磁誘導加熱し始めるときに、外部電源90から定着装置50に入力される電圧が所期の予定電圧Vaよりも低下した状態(低下変動時)になった場合には、図4に実線で示すように、まず電圧が低下した分だけ加熱ユニット53による定着ベルト52の電磁誘導加熱する能力が低下し、定着ベルト52の加熱し始めたときの温度の上昇率(上昇速度)が鈍く(遅く)なる。
このようなときに定着ベルト52の温度が作像開始可能温度Taに達した時点(t2)でプリント動作を許可して開始すると、定着ベルト52が十分に加熱されない状態にあるときに定着対象の記録用紙9が定着処理部Nを通過して定着が行われることになるため、定着ベルト52の温度が平常時よりも低い加熱状態から低下することになって最終的に目標温度を基準にした許容下限温度よりも低い温度になりやすくなる。また、その許容下限温度よりも低い温度の状態から電磁誘導加熱が再開されても、定着処理が実行されることにより、定着ベルト52の温度が再び許容下限温度よりも低い温度に低下しやすくなる。この結果、定着ベルト52が目標温度に維持されにくくなり、その定着ベルト52が許容下限温度よりも低いときに定着が実行されることが発生し、加熱不足による定着不良が発生することがある。ちなみに、作像動作の開始を定着ベルト52の実際の温度状態に関する情報に基づいて制御せずに、単に予測して設定する時間の条件だけで制御した場合にも、定着ベルト52の温度の上昇率が変動していることが適確に把握されないので、同様の定着不良を誘発することがある。
そこで、この画像形成装置1においては、図3に示すように、定着装置50の加熱ユニット53に、定着ベルト52を加熱し始めるときに入力される電圧の予定電圧に対する変動を検出するための電圧検出部70を設置したうえで、その電圧検出部70で検出される電圧の変動に応じて作像開始可能温度を初期の設定値(初期設定の作像開始可能温度)Taと異なる値に補正する補正手段71と、その補正手段71で作像開始可能温度が補正された場合、温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達した時点で画像形成部2によるプリント動作(作像ユニット20の作像動作を含む)の開始を許可する制御手段72を設けている。
電圧検出部70は、加熱ユニット53における通電回路部537aと高周波発生回路部537bの間に設置し、通電回路部537aから高周波発生回路部537bに通電される電気の電圧の変動状態を検出するように構成されている。予定電圧としては、例えば外部電源90から定格電圧が100V(60Hz)の電圧を入力して使用する場合、97Vに設定される。入力電圧の変動は、例えば、実際に入力される電圧が予定電圧よりも2V程度低下した状態を設定している。このような電圧検出部70については、具体的に、電圧計、電圧検出素子、電圧検出回路等を用いて構成される。また、入力電圧の変動の有無については、最終的に制御装置65の情報処理により判断される。
補正手段71については、入力電圧の変動に応じた補正後の作像開始可能温度Tbを用意しておく。この場合、入力電圧の変動を複数レベルに分類して検出するときには、その変動レベルに応じた補正後の異なる作像開始可能温度Tbを複数用意しておければよい。入力電圧が予定電圧よりも低下する方向に変動した場合、その補正後の作像開始可能温度Tbは初期設定の作像開始可能温度Taよりも高い温度にシフトされた値になる。この入力電圧の変動に応じた補正後の作像開始可能温度Tbの設定情報は、例えば、制御装置65の記憶部66に記憶されて格納される。制御手段72は、加熱され始めるときの定着ベルト52の温度(温度センサ61の計測値に基づいて算出される温度)が補正後の作像開始可能温度Tbに達するか否かを判別し、達したときにプリント動作の開始を許可する制御動作を行うよう構成される。このような補正手段71と制御手段72は、制御装置65の一部の処理機能として構成されるが、画像形成装置1の総合制御部4に一部の処理機能として組み込むよう構成してもよい。
次に、この定着装置50の入力電圧の変動に対する対策を採用した画像形成装置の動作について説明する。
図5に示すように、まず画像形成装置1の総合制御部4において、画像形成装置1の電源ONの情報又はプリント開始信号を受信すると(ステップ10:ST10)、総合制御部4からの制御信号の送信により、画像形成部2(作像ユニット20、中間転写ユニット30、給紙装置40及び定着装置50)がプリント動作を開始できる状態になるよう起動する(ST11)。定着装置50においては、加熱ユニット53の励磁回路537が駆動して定着ベルト52を電磁誘導加熱し始める状態になる。
次いで、定着装置50の励磁回路537における電圧検出部70により、定着ベルト52を加熱し始めるときに通電回路部537aから高周波発生部537bに入力される電圧(入力電圧)Vinが検出され(ST12)、その検出情報が制御装置65に入力される。このときの入力電圧Vinの検出は、定着装置50における定着ベルト52の電磁誘導加熱動作の開始と同時に行われる(図6:時間t0)。またこのとき、制御装置65では、検出された入力電圧Vinと予定電圧Vaとの差分ΔV(=|Vin−Va|)が算出される。
続いて、制御装置65において電圧検出部70で検出された入力電圧Vinに変動がないか否かが判断される(ST13)。
ステップST13において入力電圧Vinに変動がないと判断された場合には、制御装置65において、図6に点線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Taに達したか否かが判断される(ST14)。そして、定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Taに達した時点(t1)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST15)。
これにより、画像形成装置1においては、画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。また、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態(目標温度にほぼ維持された状態)にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
一方、ステップST13において入力電圧Vinに変動があると判断された場合には、制御装置65において、その入力電圧Vinの変動に応じて初期設定の作像開始可能温度Taが補正される(ST16)。このときの入力電圧Vinの変動は、前述したように入力電圧Vinが予定電圧Vaよりも前記した閾値よりも低い値になったとき(換言すれば前記した差分ΔVが閾値を超えたとき)になる。また、初期設定の作像開始可能温度Taの補正は、例えば、制御装置65の記憶部66に予め格納されている入力電圧の変動に応じた作像開始可能温度の情報を読み出し、その補正後の作像開始可能温度Tbを初期の設定値Taに代えて適用することで行われる。
この場合は引き続き、制御装置65において、図6に実線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達したか否かが判断される(ST17)。そして、定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達した時点(t3)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST15)。
これにより、画像形成装置1においては、入力電圧Vinが変動した場合における画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。
このように定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達した時点(t3)でプリント動作を許可して開始すると、入力電圧Vinの変動の影響を受けて温度の上昇率が低下する定着ベルト52も十分に加熱された状態になる。特に定着ベルト52の温度を温度センサ61により実測しており、この実際に計測した温度情報が補正後の作像開始可能温度Tbに達することを確認したうえでプリント動作を開始するので、定着ベルト52はより確実に、十分に加熱された状態にされる。このため、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態(目標温度にほぼ維持された状態)にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
また、このような時点(t3)でプリント動作を許可して開始した場合は、定着動作により定着ベルト52の温度が低下しても、その温度が許容下限温度になると電磁誘導加熱が再開される。ただし、このときも入力電力の変動の影響により定着ベルト52の温度の上昇率が鈍い。しかし、最初に定着ベルト52が十分に加熱された後に定着が行われるので、このときの定着ベルト52の温度も通紙中の目標温度に確実に回復されて維持される。この結果、このときの定着ベルト52の温度も目標温度に維持されやすくなり、このためその定着ベルト52が許容下限温度よりも低いときに定着が実行されることが回避されるようになり、加熱不足による定着不良が発生することが防止される。
ちなみに、この入力電力Vinの変動が発生したときに、補正後の作像開始可能温度Tbに達することに基づいてプリント動作を開始した場合は、図6に示すように、初期設定の作像開始可能温度Taに達することに基づいてプリント動作を開始した場合に比べて、そのプリント動作の開始時期が「t3−t2」の時間だけ遅くなるが、上述したような定着不良が発生するおそれのない適確な定着を行うことができ、ひいては良好な画像の形成を行うことが可能になる。
なお、加熱し始めたときの定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Ta又は補正後の作像開始可能温度Tbのいずれかに達した時点でプリント動作を開始する制御動作(図5に示す制御動作)は、画像形成装置1がプリント開始信号を受信したときにプリント動作をスタートさせた場合について説明したが、画像形成装置1の電源がONされた情報を得たときにプリント動作をスタートさせてもよい(図5のステップST10を参照)。この場合、その電源ONの情報を受信した時点(t0)における定着ベルト52の温度(Ts:図6)は、画像形成装置1の電源がOFFされていたとき(定着装置50への外部電源90からの電圧の入力がないとき)の温度になる。
また、上記制御動作は、画像形成装置1がプリント開始信号を受信したときにプリント動作をスタートさせる場合、そのプリント動作の開始前において定着装置50が定着ベルト52の加熱温度を定着温度よりも低い温度に維持しておく状態「省エネ(節電)待機モード」にできる構成を備えているものであるとき、その省エネ待機モードの際にプリント開始信号を受信してプリント動作をスタートさせる場面がある。この場合、そのプリント開始信号を受信した時点(t0)における定着ベルト52の温度(Ts:図6)は、定着装置50が省エネ待機モード時に維持される温度になる。そして、この場合でも、入力電圧Vinが変動したときには、初期設定の作像開始可能温度Taの補正がなされ、その補正後の作像開始可能温度Tbに基づいて制御動作が実行される。またこのときに用意される補正後の作像開始可能温度Tbは、省エネ待機モードからプリント動作を開始(復帰)させる場合における定着ベルト52の温度の上昇特性を加味して値に設定される。
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示すものである。
実施の形態2に係る画像形成装置は、定着装置50に入力される電圧が変動した場合の対策として、実施の形態1における電圧検出部70を使用しない構成の対策を採用した点で変更したものであり、それ以外については実施の形態1に係る画像形成装置1と同じ構成からなるものである。
その変更した対策とは、図7に示すように、定着装置50において定着ベルト52を加熱し始めたときの定着ベルト52の温度上昇率Trが予め用意される基準上昇率Traに対する変動を検出するための加熱検出手段73と、その加熱検出部73で検出される温度上昇率Trの変動に応じて作像開始可能温度を初期の設定値(初期設定の作像開始可能温度)と異なる値に補正する補正手段71と、その補正手段71で作像開始可能温度が補正された場合、温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度に達した時点で画像形成部2によるプリント動作の開始を許可する制御手段72を設けている。つまり、この対策では、定着装置50に入力される電圧の変動について、加熱開始時における定着ベルト52の温度上昇率Trの変動の有無を検出することで間接的に検出するようにしている。
加熱検出手段73は、定着ベルト52を加熱し始めたときの定着ベルト52の温度上昇率Trとして、定着ベルト52の温度計測曲線における単位時間に対する温度の上昇量に該当する傾き(図9等に示す傾きαなど)を求めるように構成される。このため、加熱検出手段73は、温度上昇率Trを求めるに際して温度センサ61の検出情報を利用することになる。基準の温度上昇率Traとしては、定着装置50への入力電力Vinが予定電圧であるときに予め測定して得た温度上昇率(傾きα1)が使用される。また、基準の温度上昇率Traは、電源ON時の場合と省エネ待機モードの復帰時の場合とで定着ベルト52の加熱前における温度(Ts,Tss:図9、図10)が異なることに起因して互いに相違したもの(傾きα1、β1:図9、図10)になるため、その電源ON時の場合と省エネ待機モードの復帰時の場合とで別々に用意しておく必要がある。さらに、基準温度上昇率Traの情報は、例えば、制御装置65の記憶部66に記憶されて格納される。
補正手段71については、温度上昇率Trの変動に応じた補正後の作像開始可能温度を用意しておく。この場合、温度上昇率Trの変動を複数レベルに分類して検出するときには、その変動レベルに応じた補正後の異なる作像開始可能温度を複数用意しておければよい。また、温度上昇率Trは、電源ON時の場合と省エネ待機モードの復帰時の場合とで定着ベルト52の加熱前における温度が異なることに起因して互いに相違するものになるため、その温度上昇率Trの変動に応じた補正後の作像開始可能温度についても、電源ON時の場合と省エネ待機モードの復帰時の場合とで別々に用意しておく必要がある。温度上昇率Trが基準上昇率Traよりも低下する(傾きが小さくなる)方向に変動した場合、その補正後の作像開始可能温度は初期設定の作像開始可能温度よりも高い温度にシフトされた値にする。この温度上昇率Trの変動に応じた補正後の作像開始可能温度の設定情報は、例えば、制御装置65の記憶部66に記憶されて格納される。制御手段72は、加熱され始めるときの定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度に達するか否かを判別し、達したときにプリント動作の開始を許可する制御動作を行うよう構成される。
このような加熱検出手段73をはじめ補正手段71及び制御手段72は、制御装置65の一部の機能として構成されるが、画像形成装置1の総合制御部4に一部の機能として組み込むよう構成してもよい。
次に、この定着装置50の入力電圧の変動に対する対策を採用した画像形成装置の動作について説明する。
はじめに、電源ONをしたときの動作内容について説明する。まず、図8に示すように、画像形成装置1の総合制御部4において、画像形成装置1の電源ONの情報を受信すると(ステップ20:ST20)、総合制御部4からの制御信号の送信により、画像形成部2がプリント動作を可能にする状態になるよう起動する(ST21)。定着装置50においては、加熱ユニット53の励磁回路537が駆動して定着ベルト52を電磁誘導加熱し始める状態になる。
次いで、定着装置50の制御装置65における加熱検出手段73により、定着ベルト52を加熱し始めたときの定着ベルト52の温度上昇率Trを検出される(ST22)。具体的には、その温度上昇率Trについては、図9に示すように、温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が電源ON時(時間t0)のときのベルト温度(Ts)から単位時間で上昇するときの温度量で求められる「傾きα」を検出する。
続いて、制御装置65において電源ON時の基準温度上昇率Tra(傾きα1)が読み出されるととともに(ST23)、加熱検出手段73で検出された温度上昇率Tr(傾きα)に変動がないか否かが判断される(ST24)。その変動の有無については、制御装置65で検出された温度上昇率Tr(傾きα)と基準の温度上昇率Tra(傾きα1)との差分Δαが参照され、その差分Δαが同一とみさせる数値範囲(閾値)にあるか否かで判断される。
ステップST24において実際の温度上昇率Tr(傾きα)に変動がない(α≒α1)と判断された場合には、制御装置65において、図9に点線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Taに達したか否かが判断される(ST25)。そして、定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Taに達した時点(t1)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST26)。
これにより、画像形成装置1においては、画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。また、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
一方、ステップST24において実際の温度上昇率Tr(傾きα)が例えば傾きα2となって、基準温度上昇率Tra(傾きα1)と相違して変動がある(α≠α1)と判断された場合には、制御装置65において、その温度上昇率Tr(傾きα)の変動(α2−α1)に応じて初期設定の作像開始可能温度Taが補正される(ST27)。このときの温度上昇率Tr(傾きα)の変動は、前述したように実際の温度上昇率Tr(傾きα=α2)が基準温度上昇率Tra(傾きα1)よりも前記した閾値を超えた低い値になったとき(換言すれば前記した差分Δαが閾値を超えたとき)になる。また、初期設定の作像開始可能温度Taの補正は、例えば、制御装置65の記憶部66に予め格納されている温度上昇率Trの変動に応じた作像開始可能温度の情報を読み出し、その補正後の作像開始可能温度Tbを初期の設定値Taに代えて適用することで行われる。
この場合は引き続き、制御装置65において、図9に実線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達したか否かが判断される(ST28)。そして、定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達した時点(t3)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST26)。
これにより、画像形成装置1においては、入力電圧Vinが変動したことに起因して加熱開始時における定着ベルト52の温度上昇率Trが変動した場合における画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。
このように定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tbに達した時点(t3)でプリント動作を許可して開始すると、入力電圧Vinの変動の影響を受けて温度上昇率Trが低下する定着ベルト52も十分に加熱された状態になる。特に実施の形態2でも定着ベルト52の温度を温度センサ61により実測しており、この実際に計測した温度情報が補正後の作像開始可能温度Tbに達することを確認したうえでプリント動作を開始するので、定着ベルト52はより確実に、十分に加熱された状態にされる。このため、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
次に、省エネ待機モードから復帰したときの動作内容について説明する。
まず、図8に示すように、画像形成装置1の総合制御部4において、定着装置50の省エネ待機モードから復帰した情報を受信すると(ST20)、総合制御部4からの制御信号の送信により、画像形成部2がプリント動作を可能にする状態になるよう起動する(ST21)。
次いで、定着装置50の制御装置65における加熱検出手段73により、定着ベルト52を加熱し始めたときの定着ベルト52の温度上昇率Trを検出される(ST22)。具体的には、その温度上昇率Trについては、図10に示すように、温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が省エネ待機モードの復帰時(時間t0)のときのベルト温度(Tss>Ts)から単位時間で上昇するときの温度量で求められる「傾きβ」を検出する。
続いて、制御装置65において省エネ待機モード復帰時の基準温度上昇率Tra(傾きβ1)が読み出されるととともに(ST23)、加熱検出手段73で検出された温度上昇率Tr(傾きβ)に変動がないか否かが判断される(ST24)。その変動の有無については、制御装置65で検出された温度上昇率Tr(傾きβ)と基準の温度上昇率Tra(傾きβ1)との差分Δβが参照され、その差分Δβが同一とみさせる数値範囲(閾値)にあるか否かで判断される。
ステップST24において実際の温度上昇率Tr(傾きβ)に変動がない(β≒β1)と判断された場合には、制御装置65において、図10に点線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Tcに達したか否かが判断される(ST25)。このときの作像開始可能温度Tcは、電源ONを受信したときの制御動作で使用した初期設定の作像開始可能温度Ta(図9)と同じ値であっても、あるいは異なる値であってもよい。そして、定着ベルト52の温度が初期設定の作像開始可能温度Tcに達した時点(t5)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST26)。
これにより、画像形成装置1においては、画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。また、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
一方、ステップST24において実際の温度上昇率Tr(傾きβ)が例えば傾きβ2となって、基準温度上昇率Tra(傾きβ1)と相違して変動がある(β≠β1)と判断された場合には、制御装置65において、その温度上昇率Tr(傾きβ)の変動(β2−β1)に応じて初期設定の作像開始可能温度Tcが補正される(ST27)。このときの温度上昇率Tr(傾きβ)の変動は、前述したように実際の温度上昇率Tr(傾きβ=β2)が基準温度上昇率Tra(傾きβ1)よりも前記した閾値を超えた低い値になったとき(換言すれば前記した差分Δβが閾値を超えたとき)になる。また、初期設定の作像開始可能温度Tcの補正は、例えば、制御装置65の記憶部66に予め格納されている温度上昇率Trの変動に応じた作像開始可能温度の情報を読み出し、その補正後の作像開始可能温度Tdを初期の設定値Taに代えて適用することで行われる。このときの補正後の作像開始可能温度Tdは、電源ONを受信したときの制御動作で使用した初期設定の作像開始可能温度Tb(図9)と同じ値であっても、あるいは異なる値であってもよい。
この場合は引き続き、制御装置65において、図10に実線で示すように温度センサ61で計測される定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tdに達したか否かが判断される(ST28)。そして、定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tdに達した時点(t7)で、制御装置65はプリント動作の開始が可能であると判断し、プリント動作の許可の信号を画像形成装置1の総合制御部4に送信する(ST26)。
これにより、画像形成装置1においては、入力電圧Vinが変動したことに起因して加熱開始時における定着ベルト52の温度上昇率Trが変動した場合における画像形成部2による前記したプリント動作が開始される。
このように定着ベルト52の温度が補正後の作像開始可能温度Tdに達した時点(t7)でプリント動作を許可して開始すると、入力電圧Vinの変動の影響を受けて温度上昇率Trが低下する定着ベルト52も十分に加熱された状態になる。特に実施の形態2でも定着ベルト52の温度を温度センサ61により実測しており、この実際に計測した温度情報が補正後の作像開始可能温度Tdに達することを確認したうえでプリント動作を開始するので、定着ベルト52はより確実に、十分に加熱された状態にされる。このため、そのプリント動作により最初の未定着トナー像が二次転写された記録用紙9は、十分に加熱された状態にある定着ベルト52と加圧ロール54の間の定着処理部Nに導入されることにより、十分に加熱されて良好な定着がなされる。
[他の実施の形態]
実施の形態1,2では、入力電圧Vinが予定電圧に対して低下して変動した場合と温度上昇率Trが基準温度上昇率Trに対して低下して変動した場合について例示したが、入力電圧Vinが予定電圧に対して増加した変動した場合や温度上昇率Trが基準温度上昇率Trに対して増加するように変動した場合には、定着ベルト52が基準よりも早めに電磁誘導加熱されるので、作像開始可能温度について補正する必要がない。一方、このように増加する方向に変動した場合において作像開始可能温度の補正をするように構成するときには、プリント開始が必要以上に速まることを回避する等の観点から、作像開始可能温度を初期の設定値よりも低い温度(値)に補正するように構成することができる。
また、実施の形態1,2では、定着装置50として電磁誘導加熱する定着ベルト52を使用する定着装置を採用する画像形成装置を例示したが、画像形成装置としては、他の方式で加熱する定着ベルト52を使用する定着装置を採用するものであってもよい。この他、定着装置50は、例えば定着ベルト52を加熱し始めるときに、加圧ロール54を定着ベルト52から離れた位置に移動させ、定着ベルト52が十分に加熱された後に加圧ロール54を定着ベルト52に接触させた状態に移動させるよう構成してもよい。さらに、画像形成装置についても、加熱ロール等のロール形態の加熱定着部材を適用する定着装置を採用するものや、画像形成部2として他の形式で未定着の画像を形成する画像形成部を採用するものであってもよい。
さらに、実施の形態1,2では、電圧検出手段70を励磁回路537の通電回路部537aと高周波発生回路部537bの間に設置した場合を例示したが、電圧検出手段70を外部電源90と定着装置50又は画像形成装置1との間に存在するように設置しても構わない。