JP2013053080A - ペンタメチレンジアミンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業性よく、高収率、低コストかつ省エネルギーで、ペンタメチレンジアミンを製造することができるペンタメチレンジアミンの製造方法を提供すること。
【解決手段】ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解して、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩を得て(熱分解工程)、その後、熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理して、ペンタメチレンジアミンを得る(アルカリ処理工程)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペンタメチレンジアミンの製造方法に関する。
従来より、ペンタメチレンジアミン(別名:カダベリン)およびその塩は、例えば、医薬や農薬の中間体の他、ポリウレタン原料であるポリイソシアネート原料や、例えば、ポリアミド原料、ポリイミド原料、エポキシ原料などの樹脂原料として、有用である。
ペンタメチレンジアミンの製造方法としては、例えば、リシン(別名:リジン)を基質にリシン脱炭酸酵素を作用させることにより、ペンタメチレンジアミン(別名:1,5−ジアミノペンタン、カダベリン)へと変換する方法が知られている。
具体的には、例えば、リシン塩酸塩を、リシン脱炭酸酵素反応させ、ペンタメチレンジアミン塩酸塩(二塩酸塩)を得た後、得られたペンタメチレンジアミン塩酸塩(二塩酸塩)にアルカリ化合物(水酸化ナトリウム)を添加するアルカリ処理によって、ペンタメチレンジアミンを得る方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、その他の方法として、例えば、リシン水溶液に、二酸化炭素を通気し、リシン炭酸塩水溶液を調製した後、そのリシン炭酸塩をリシン脱炭酸酵素反応させ、ペンタメチレンジアミン炭酸塩(二炭酸塩)水溶液を調製し、その後、得られたペンタメチレンジアミン炭酸塩(二炭酸塩)を、二酸化炭素およびペンタメチレンジアミンに熱分解する方法が、提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−292613号公報 国際公開パンフレットWO2010/002000号
しかるに、特許文献1に記載の方法では、アルカリ処理において、ペンタメチレンジアミン塩酸塩(二塩酸塩)1モルあたり、2モルのアルカリ化合物(水酸化ナトリウム)が必要であり、コストがかかるという不具合がある。また、アルカリ処理によって、ペンタメチレンジアミン塩酸塩(二塩酸塩)1モルあたり2モルの塩が副生するため、その除去作業などを要し、作業性に劣るという不具合がある。
また、特許文献2に記載されるように、ペンタメチレンジアミン炭酸塩(二炭酸塩)をペンタメチレンジアミンに熱分解する場合には、その分解率が十分ではなく、ペンタメチレンジアミンの収率に劣る。そのため、高収率でペンタメチレンジアミンを得るためには、高温(例えば、180℃以上)で処理する必要があり、多大なエネルギーを必要とするという不具合がある。さらに、このような方法において、リシン炭酸塩は高価であるため、コスト性にも劣るという不具合がある。
本発明の目的は、作業性よく、高収率、低コストかつ省エネルギーで、ペンタメチレンジアミンを製造することができるペンタメチレンジアミンの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法は、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解して、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩を得る熱分解工程、および、前記熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理して、ペンタメチレンジアミンを得るアルカリ処理工程を備えることを特徴としている。
また、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、熱分解工程における加熱温度が、80〜120℃であることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を、沸騰させることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミン換算濃度が10質量%以上の、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を用いることが好適である。
また、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を、常圧下、100℃を超過し110℃以下の温度で加熱することが好適である。
本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、熱分解により得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理するので、ペンタメチレンジアミンの二塩酸塩をアルカリ処理する場合に比べ、アルカリ化合物の使用量を低減することができ、低コスト化を図ることができる。また、このような方法によれば、副生する塩を低減できるため、作業性の向上を図ることができる。
また、本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、製造および入手の容易なペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を原料として用いるので、リシン炭酸塩を用いる場合に比べ、低コスト化を図ることができる。また、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を用いれば、ペンタメチレンジアミンの二炭酸塩を用いるよりも、低温で分解率よく熱分解させることができるため、ペンタメチレンジアミンの高収率化を図ることができるとともに、低コスト化および省エネルギー化を図ることができる。
本発明のペンタメチレンジアミンの製造方法では、まず、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解して、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩を得る(熱分解工程)。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩としては、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、下記式(3)で示される化合物、および、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2013053080
Figure 2013053080
Figure 2013053080
Figure 2013053080
これらペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩は、上記式(1)〜(4)で示される化合物以外に、場合により、例えば、ペンタメチレンジアミンの二炭酸塩や、例えば、−NHCONH−基を有する直鎖状、分岐鎖状および/または環状の化合物を含有することができる。なお、これらの含有割合は、特に制限されず、任意の割合とすることができる。
このようなペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩は、例えば、生化学的手法により得ることができる。
生化学的手法としては、例えば、酵素反応による酵素法(例えば、水中におけるリシンの脱炭酸酵素反応など)や、例えば、発酵作用による発酵法(例えば、グルコースの微生物発酵など)などが挙げられる。
生化学的手法として、好ましくは、酵素法、より具体的には、水中におけるリシンの脱炭酸酵素反応が挙げられる。
リシンの脱炭酸酵素反応では、リシン(化学式:NH(CHCH(NH)COOH、別名:1,5−ペンタメチレンジアミン−1−カルボン酸、好ましくは、L−リシン)の塩酸塩に、リシン脱炭酸酵素を作用させる。
リシンとして、好ましくは、L−リシンが挙げられ、このようなリシンの塩酸塩として、好ましくは、L−リシン・一塩酸塩が挙げられる。
水中において、リシンの塩酸塩の濃度は、特に制限はされないが、例えば、10〜700g/L、好ましくは、20〜500g/Lである。
リシン脱炭酸酵素は、リシン(またはその塩)をペンタメチレンジアミン(またはその塩)に転換させる酵素であって、特に制限されないが、例えば、公知の生物に由来するものが挙げられる。リシン脱炭酸酵素として、より具体的には、例えば、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)などの微生物に由来するものが挙げられる。安全性の観点から、好ましくは、Escherichia coliに由来するものが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素は、例えば、特開2004−114号公報(例えば、段落番号[0015]〜[0042]など)の記載に準拠するなど、公知の方法により製造することができる。
リシン脱炭酸酵素を製造する方法として、より具体的には、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞内で高発現した組換え細胞(以下、内部発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した内部発現細胞を回収および破砕する方法や、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面で局在化した組換え細胞(以下、表面発現細胞)を公知の培地で培養し、その後、増殖した表面発現細胞を回収および必要により破砕する方法などが挙げられる。
このような方法において、組換え細胞としては、特に制限されず、微生物、動物、植物または昆虫由来のものが挙げられる。より具体的には、例えば、動物を用いる場合には、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、植物を用いる場合には、例えば、シロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞などが挙げられ、また、昆虫を用いる場合には、例えば、カイコやその培養細胞などが挙げられ、微生物を用いる場合には、例えば、大腸菌などが挙げられる。
これら組換え細胞は、単独使用または2種類以上併用することができる。
組換え細胞の表面にリシン脱炭酸酵素を局在化させる方法としては、特に制限されず、例えば、分泌シグナル配列の一部、細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列、および、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子配列をこの順で有するDNAを、大腸菌に導入する方法など、公知の方法を採用することができる。
分泌シグナル配列の一部としては、宿主においてタンパク質を分泌するために必要な配列であれば、特に制限されず、例えば、大腸菌においては、例えば、リポプロテインの配列の一部、より具体的には、例えば、アミノ酸配列としてMKATKLVLGAVILGSTLLAGCSSNAKIDQ(アミノ酸の一文字表記)と翻訳される遺伝子配列などが挙げられる。
細胞表面局在タンパク質の一部をコードする遺伝子配列としては、特に制限されないが、大腸菌においては、例えば、外膜結合タンパク質の配列の一部が挙げられ、より具体的には、例えば、OmpA(外膜結合タンパク質)の46番目のアミノ酸から159番目のアミノ酸までの配列の一部などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素遺伝子、リポプロテイン遺伝子およびOmpA遺伝子をクローニングする方法としては、特に制限されないが、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、PCR(polymerase chain reaction)法を用いて必要な遺伝領域を増幅取得する方法、例えば、既知の遺伝子情報に基づき、ゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性や酵素活性を指標としてクローニングする方法などが挙げられる。
なお、これらの遺伝子は、遺伝的多形性(遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているもの)などによる変異型の遺伝子も含む。
このような方法として、より具体的には、例えば、Escherichia coli K12の染色体DNAより、PCR法を用いて、リシン脱炭酸酵素をコードする遺伝子であるcadA遺伝子またはldc遺伝子を、クローニングする。なお、このとき採用する染色体DNAは、Escherichia coli由来であれば、制限されず、任意の菌株由来のものを採用することができる。
また、このようにして得られる表面発現細胞の表面にリシン脱炭酸酵素が局在化していることは、例えば、リシン脱炭酸酵素を抗原として作製した抗体により、表面発現細胞を免疫反応させた後、包埋および薄切りし、例えば、電子顕微鏡(免疫電顕法)により観察することによって、確認することができる。
なお、表面発現細胞は、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化していればよく、例えば、リシン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化するとともに、細胞内部に発現していてもよい。
また、リシン脱炭酸酵素としては、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性が上昇した組換え細胞から調製されるものも挙げられる。
細胞内および/または細胞表面でリシン脱炭酸酵素の活性を上昇させる方法としては、特に制限されず、例えば、リシン脱炭酸酵素の酵素量を増加させる方法、例えば、リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法などが挙げられる。
細胞内もしくは細胞表面の酵素量を増加させる手段としては、例えば、遺伝子の転写調節領域の改良、遺伝子のコピー数の増加、蛋白への翻訳の効率化などが挙げられる。
転写調節領域の改良とは、遺伝子の転写量を増加させる改変を加えることであって、例えば、プロモーターに変異を導入することによってプロモーターを強化し、下流にある遺伝子の転写量を増加させることができる。プロモーターに変異を導入する以外にも、宿主内で強力に発現するプロモーターを導入することもできる。プロモーターとして、より具体的には、例えば、大腸菌においては、lac、tac、trpなどが挙げられる。また、エンハンサーを新たに導入することによって遺伝子の転写量を増加させることができる。なお、染色体DNAのプロモーターなどの遺伝子導入については、例えば、特開平1−215280号公報の記載に準拠することができる。
遺伝子のコピー数の上昇は、具体的には、遺伝子を多コピー型のベクターに接続して組換えDNAを作製し、その組換えDNAを宿主細胞に保持させることにより達成することができる。ベクターとは、プラスミドやファージなど、広く用いられているものを含むが、これら以外にも、例えば、トランソポゾン(Berg,D.E and Berg.C.M., Bio/Technol.,vol.1,P.417(1983))やMuファージ(特開平2−109985号公報)なども挙げられる。さらには、遺伝子を相同組換え用プラスミドなどを用いた方法で染色体に組み込んで、コピー数を上昇させることもできる。
蛋白の翻訳効率を上昇させる方法としては、例えば、原核生物においては、SD配列(Shine, J. and Dalgarno, L., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 71, 1342−1346 (1974))、真核生物では、Kozakのコンセンサス配列(Kozak, M., Nuc. Acids Res., Vol.15,p.8125−8148(1987))を導入、改変する方法や、使用コドンの最適化(特開昭59−125895)などが挙げられる。
リシン脱炭酸酵素の細胞内および/または細胞表面での活性を上昇させる方法としては、リシン脱炭酸酵素の構造遺伝子自体に変異を導入して、リシン脱炭酸酵素そのものの活性を上昇させることも挙げられる。
遺伝子に変異を生じさせる方法としては、例えば、部位特異的変異法(Kramer,W. and frita,H.J., Methods in Enzymology,vol.154,P.350(1987))、リコンビナントPCR法(PCR Technology,Stockton Press(1989)、特定の部分のDNAを化学合成する方法、遺伝子をヒドロキシアミン処理する方法、遺伝子を保有する菌株を紫外線照射処理、または、ニトロソグアニジンや亜硝酸などの化学薬剤で処理する方法などが挙げられる。
また、このような組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞など)を培養する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、微生物を培養する場合には、培地として、例えば、炭素源、窒素源および無機イオンを含有する培地が用いられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、例えば、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、例えば、グルコン酸、フマル酸、クエン酸やコハク酸などの有機酸類などが挙げられる。
これら炭素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、例えば、大豆加水分解物などの有機窒素、例えば、アンモニアガス、アンモニア水などが挙げられる。
これら窒素源は、単独使用または2種類以上併用することができる。
無機イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、マンガンイオン、鉄イオン、リン酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
これら無機イオンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、培地には、必要に応じて、その他の有機成分(有機微量栄養素)を添加することもでき、そのような有機成分としては、例えば、各種アミノ酸、例えば、ビタミンBなどのビタミン類、例えば、RNAなどの核酸類などの要求物質、さらには、例えば、酵母エキスなどが挙げられる。
このような培地として、より具体的には、LB培地が挙げられる。
培養条件としては、特に制限されないが、例えば、大腸菌を培養する場合には、好気条件下において、培養温度が、例えば、30〜45℃、好ましくは、30〜40℃であり、培養pHが、例えば、5〜8、好ましくは、6.5〜7.5であり、培養時間が、例えば、16〜72時間、好ましくは、24〜48時間である。なお、pHの調整には、例えば、無機または有機の酸性またはアルカリ性物質や、アンモニアガスなどを用いることができる。
そして、このような培地において増殖した組換え細胞(内部発現細胞、表面発現細胞)は、例えば、遠心分離などにより回収することができる。
また、この方法では、回収された細胞を、例えば、休止細胞として用いることもできるが、必要により、破砕し、その細胞破砕液(菌体破砕液)として用いることができる。
細胞破砕液(菌体破砕液)の調製においては、公知の方法を採用することができる。より具体的には、例えば、まず、得られた内部発現細胞および/または表面発現細胞を、例えば、超音波処理、ダイノミル、フレンチプレスなどの方法により破砕し、その後、遠心分離により細胞残渣を除去する。
また、この方法では、必要により、得られた細胞破砕液からリシン脱炭酸酵素を精製することができる。
リシン脱炭酸酵素の精製方法としては、特に制限されず、酵素の精製に通常用いられる公知の方法(例えば、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理など)を、必要により適宜組み合わせて採用することができる。
そして、リシンの塩酸塩の脱炭酸酵素反応では、このようにして得られた休止細胞および/またはその細胞破砕液と、リシンの塩酸塩の水溶液とを配合し、水中で、炭酸ガスの存在下、リシン脱炭酸酵素をリシンの塩酸塩に作用させる。
反応に使用するリシンの塩酸塩の総質量に対する、反応に使用する菌体(細胞)の乾燥菌体換算質量の比率は、リシンの塩酸塩をペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩に転換させるのに十分な量であれば、特に制限されないが、例えば、0.01以下、好ましくは、0.007以下である。
なお、反応に使用するリシンの塩酸塩の総質量とは、反応開始時に反応系内に存在するリシンの塩酸塩の質量(反応中に反応系にリシンの塩酸塩を加える場合には、それらリシンの塩酸塩の総量)である。
また、菌体の乾燥菌体換算質量とは、乾燥して水分を含まない菌体の質量である。菌体の乾燥菌体換算質量は、例えば、菌体を含む液(菌体液)から、遠心分離や濾過などの方法で菌体を分離し、質量が一定になるまで乾燥し、その質量を測定することにより求めることができる。
また、このようなリシン脱炭酸反応において、リシンから遊離した炭酸ガスは生成したペンタメチレンジアミン一塩酸塩と反応し、ペンタメチレンジアミン一塩酸・一炭酸塩を生成させる。
なお、反応が進行するとともに遊離した炭酸ガスが反応液から放出され、pHが上昇することがある。このような場合には、反応pHをリシン脱炭酸酵素が作用する範囲に維持できるように反応液に炭酸ガスを供給してもよい。反応pHは厳密な調整ではなく、リシン脱炭酸酵素が作用できればよい。具体的には、例えば、5.0〜9.0、好ましくは、5.5〜8.5である。炭酸ガスは固体、液体、気体の状態で供給することができるが、好ましくは、気体の状態で供給する。炭酸ガスの供給は連続的または間欠的であってもよい。
そのような場合において、炭酸ガスは、リシンの塩酸塩の水溶液中に通気すればよく、その通気量は、リシンの塩酸塩の水溶液1Lに対して、例えば、5vvm以下、好ましくは、1vvm以下、通常、0.01vvm以上である。
リシンの塩酸塩の脱炭酸酵素反応における反応温度は、例えば、28〜60℃、好ましくは、35〜55℃であり、反応時間は、採用されるリシン脱炭酸酵素の種類などにより異なるが、例えば、1〜72時間、好ましくは、5〜36時間である。
これにより、リシンの塩酸塩が脱炭酸酵素反応して、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩に転換され、その結果、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を含有する水溶液(ペンタメチレンジアミン塩水溶液)が得られる。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の反応収率は、リシンの塩酸塩を基準として、例えば、10〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%である。
なお、この反応では、得られるペンタメチレンジアミンがアルカリ性であるため、リシンの塩酸塩がペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩に転換されるに伴って反応液のpHが増加する場合がある。このような場合には、必要により、酸性物質(例えば、有機酸、例えば、塩酸などの無機酸など)や、炭酸ガスなどを添加し、pHを調整することができる。
ペンタメチレンジアミン塩水溶液のpHは、例えば、9以下、好ましくは、8.5以下であり、通常、5以上である。
また、この反応では、必要により、例えば、ビタミンBおよび/またはその誘導体を反応液中に添加することもできる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体としては、例えば、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキサールリン酸などが挙げられる。
これらビタミンBおよび/またはその誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体として、好ましくは、ピリドキサールリン酸が挙げられる。
ビタミンBおよび/またはその誘導体を添加することにより、ペンタメチレンジアミンの生産速度および反応収率を向上することができる。
また、この方法では、必要により、除菌、吸着および濾過などの公知の後処理や、さらには、pH調整(例えば、上記したように酸性物質を添加した場合には、アルカリ性物質を添加するなど)することもできる。
また、この方法では、得られたペンタメチレンジアミン塩水溶液から、必要により、水の一部を留去させることができる。
すなわち、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩が、その水溶液(ペンタメチレンジアミン塩水溶液)として得られる場合には、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の熱分解において、水の蒸発潜熱によって、加熱効率が低下する場合がある。このような場合には、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の分解率が低下し、未分解のペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩が析出するなどの不具合を生じる場合がある。
そのため、必要により、熱分解の前に、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液から、水の一部を留去させることができる。
より具体的には、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、ペンタメチレンジアミン塩水溶液を加熱し、蒸留することにより、水の一部が留去されたペンタメチレンジアミン塩水溶液を得ることができる。
ペンタメチレンジアミン塩水溶液におけるペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の、ペンタメチレンジアミン換算濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、とりわけ好ましくは、10質量%以上であり、通常、70質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、40質量%以下、とりわけ好ましくは、30質量%以下である。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の、ペンタメチレンジアミン換算濃度が上記範囲であれば、ペンタメチレンジアミンの高収率化を図ることができるとともに、低コスト化および省エネルギー化を図ることができる。
そして、熱分解工程では、上記のように得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解し、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩および二酸化炭素(炭酸ガス)を得る。
熱分解の方法としては、例えば、バッチ式、連続式など、公知の方法を採用することができる。
バッチ式が採用される場合には、公知の反応槽(分解槽)に、所定量のペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を供給し、後述する熱分解条件において加熱する。
また、連続式が採用される場合には、公知の連続運転装置を用い、後述する熱分解条件に保たれた一段または多段の反応槽に、所定量のペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を供給し、加熱する。
熱分解条件としては、加熱温度が、例えば、40〜200℃、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは、80〜120℃、とりわけ好ましくは、100〜120℃である。
加熱温度が上記範囲未満であれば、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩が分解せず、収率の低下を惹起する場合や、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩が析出する場合がある。また、加熱温度が上記範囲を超過すると、ペンタメチレンジアミンが分解する場合がある。
一方、加熱温度が上記範囲であれば、優れた分解率でペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を分解させることができ、収率よくペンタメチレンジアミンを得ることができる。
また、熱分解における圧力条件は、例えば、5〜1600kPa、好ましくは、10〜500kPa、より好ましくは、70〜250kPaである。
圧力条件が上記範囲未満であると、内温が上昇せず、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の分解率の低下を惹起する場合がある。また、圧力条件が範囲を超過すると、二酸化炭素の分圧が大きく、分解させるために加熱温度を高くする必要があるが、加熱温度を高くすると、ペンタメチレンジアミンが分解する場合がある。
一方、圧力条件が上記範囲であれば、優れた分解率でペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を分解させることができ、収率よくペンタメチレンジアミンを得ることができる。また、加圧(101.3kPaを超過)により、水の沸点を上昇させ、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を、効率よく分解させることもできる。
また、熱分解において、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一硝酸塩の水溶液の、ペンタメチレンジアミン換算濃度が10質量%以上である場合には、とりわけ好ましくは、常圧(101.3kPa)下、100℃を超過し110℃以下の温度で加熱する。
このような熱分解条件によれば、ペンタメチレンジアミンの高収率化を図ることができるとともに、低コスト化および省エネルギー化を図ることができる。
また、熱分解における加熱時間は、特に制限されないが、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上、より好ましくは、2時間以上、例えば、48時間未満、好ましくは、24時間未満、より好ましくは、12時間以下である。
また、熱分解工程では、好ましくは、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を、沸騰させる。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を沸騰させるためには、水溶液を、その圧力条件下における水の沸点以上に加熱する。なお、水は、常圧(101.3kPa)下においては、通常、100℃で沸騰し、また、減圧下においては、100℃未満で沸騰する。そのため、減圧下で加熱する場合には、100℃未満の温度条件でも水溶液を沸騰させることができる。
また、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液は、そのペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩により、沸点上昇されていてもよい。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を沸騰させる条件として、具体的には、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の濃度や、圧力条件にもよるが、例えば、常圧(101.3kPa)下において、例えば、100〜120℃、好ましくは、101〜110℃であり、減圧下、具体的には、例えば、10〜100kPa下において、例えば、70〜100℃、好ましくは、80〜99℃である。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を沸騰させることにより、より優れた分解率でペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を分解させることができ、一層収率よくペンタメチレンジアミンを得ることができる。
また、熱分解においては、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液に、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)を吹きこむことができる。これにより、二酸化炭素分圧を低下させることができ、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を効率良く分解させることができる。
なお、熱分解工程では、例えば、上記した水の一部を留去するために蒸留する場合には、その加熱によって、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解することができる。なお、バッチ式で水を留去させるとともに熱分解する場合には、水の全量が除去されてしまうと、得られるペンタメチレンジアミンの一塩酸塩が固化するため、水を一部残留させる。
これにより、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩は、その水溶液として得られる。
ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の水溶液において、全ペンタメチレンジアミン換算濃度(ペンタメチレンジアミン濃度(質量%)+ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩濃度(質量%)×ペンタメチレンジアミンの分子量/ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩の分子量+ペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度(質量%)×ペンタメチレンジアミンの分子量/ペンタメチレンジアミン一塩酸塩の分子量として定義される。)は、例えば、5〜50質量%、好ましくは、10〜30質量%であり、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の濃度は、例えば、4〜68質量%、好ましくは、13〜41質量%である。
なお、全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の濃度は、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の水溶液を、例えば、塩酸などで滴定することにより、求めることができる。
また、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の熱分解率は、例えば、10モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上、とりわけ好ましくは、99モル%以上、通常、100モル%以下である。
なお、熱分解率は、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の水溶液中の、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩およびペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の総量に対する、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の割合として、求めることができる。
そして、このような熱分解工程では、水の留去および熱分解における加熱によって、水が回収されるとともに、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の熱分解により二酸化炭素が副生する。
回収される水は、特に制限されず、リシンの塩酸塩からペンタメチレンジアミンの一塩酸塩を製造するまでのいずれの工程においても再利用することができる。好ましくは、脱炭酸酵素反応工程において再利用する。
なお、回収される水は、そのまま再利用することもできるが、例えば、水中にペンタメチレンジアミンの分解物などが不純物として含有される場合があるため、好ましくは、例えば、イオン交換樹脂法、活性炭処理法などの吸着法や、例えば、逆浸透膜などによる膜処理、例えば、蒸留などにより、不純物を除去してから再利用する。
また、副生する二酸化炭素は、例えば、水から分離された後、必要により圧縮され、例えば、上記した脱炭酸酵素反応におけるpH調整などにおいて再利用することができる。
次いで、この方法では、熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理して、ペンタメチレンジアミンを得る(アルカリ処理工程)。
アルカリ処理工程では、具体的には、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩の水溶液に、アルカリ化合物を配合する。
アルカリ化合物としては、特に制限されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物などが挙げられる。
これらアルカリ化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルカリ化合物として、好ましくは、アルカリ金属化合物が挙げられる。
アルカリ化合物の配合割合は、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩1モルに対して、1モル以上であればよく、具体的には、例えば、1モル以上2モル未満、好ましくは、1モル以上1.2モル未満である。
これにより、ペンタメチレンジアミンを、その水溶液(ペンタメチレンジアミン水溶液)として得ることができる。
ペンタメチレンジアミンの水溶液において、その濃度は、例えば、4〜42質量%、好ましくは、9〜27質量%である。
なお、このようなアルカリ処理では、塩が生成するため、好ましくは、公知の方法(例えば、濾過など)により、塩を除去する。
また、この方法では、必要により、上記により得られたペンタメチレンジアミン水溶液から、ペンタメチレンジアミンを抽出する。抽出では、例えば、液−液抽出法が採用される。
液−液抽出法では、例えば、(1)回分的、半連続的または連続的にペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、混合および撹拌することにより、ペンタメチレンジアミンを抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミンを分離する方法、(2)多孔板を備えた塔(スプレー塔、段型抽出塔)や、充填物、ノズル、オリフィス板、バッフル、インジェクターおよび/またはスタティックミキサーを備えた塔(向流微分型抽出塔、非撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧、p566から569、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンを、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミンを分離する方法、(3)邪魔板および撹拌羽根を備えた塔(撹拌式段型抽出塔:改訂五版 化学工学便覧 p569から574、化学工学会編、丸善(1988))に、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒(後述)とを、向流で連続的に供給し、ペンタメチレンジアミンを、抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)した後、抽出溶媒(後述)を連続的に流出させ、その抽出溶媒(後述)から、ペンタメチレンジアミンを分離する方法、(4)ミキサーセトラー抽出器、または、遠心式抽出機(改訂五版 化学工学便覧 p563から566、p574、化学工学会編、丸善(1988))を用いて、ペンタメチレンジアミン水溶液に、抽出溶媒(後述)を接触させ、ペンタメチレンジアミンを抽出溶媒(後述)へと抽出(分配)し、その抽出溶媒(後述)からペンタメチレンジアミンを分離する方法などが採用される。
これら液−液抽出法としては、単独使用または2種類以上併用することができる。
液−液抽出法として、生産効率の観点から、好ましくは、ペンタメチレンジアミンを、抽出溶媒(後述)へと連続的に抽出(分配)する方法、より具体的には、例えば、上記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
そして、このような抽出において、抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの、直鎖状の炭素数1〜4の1価アルコール類、例えば、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノールなどの、直鎖状の炭素数5以上の1価アルコール類、例えば、iso−プロパノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの、分岐状の炭素数3〜4の1価アルコール類、例えば、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、tert−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、イソヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−2−メチル−1−ブタノールなどの、分岐状の炭素数5以上の1価アルコール類、例えば、フェノール、クレゾールなどの芳香族1価アルコール類、例えば、シクロヘキサノールなどの脂環族1価アルコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの2価以上の多価アルコールなどのアルコール類、例えば、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、環状エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、モノまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルなど)などのエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ラウリン酸n−ブチルなどのエステル類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン炭化水素類、例えば、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、ギ酸、酢酸、オレイン酸などのカルボン酸類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、などの非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
これら抽出溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
抽出溶媒として、好ましくは、アルコール類、より好ましくは、直鎖状の炭素数1〜4の1価アルコール類、分岐状の炭素数3〜4の1価アルコール類、さらに好ましくは、直鎖状の炭素数1〜4の1価アルコール類が挙げられる。
液−液抽出におけるペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒との配合割合は、ペンタメチレンジアミン水溶液(抽出が連続的である場合は、単位時間あたりの供給量。以下同様。)100質量部に対して、抽出溶媒が、例えば、30〜300質量部であり、経済性および生産性の観点から、好ましくは、50〜200質量部、より好ましくは50〜150質量、とりわけ好ましくは、80〜120質量部である。
また、液−液抽出では、ペンタメチレンジアミン水溶液と抽出溶媒とを、例えば、常圧(大気圧)下、例えば、5〜60℃、好ましくは、10〜60℃、より好ましくは、15〜50℃、さらに好ましくは、15〜40℃において、例えば、撹拌羽根などにより、例えば、1〜120分間、好ましくは、5〜90分間、好ましくは、5〜60分間混合する。
撹拌羽根としては、特に限定されないが、例えば、プロペラ、平羽根、角度付平羽根、ピッチ付平羽根、平羽根ディスクタービン、傾斜付羽根ディスクタービン、湾曲羽根、ファウドラー型、ブルーマージン型、ディゾルバー、アンカーなどが挙げられる。
また、混合における回転数としては、例えば、5〜3000rpm、好ましくは、10〜2000rpm、より好ましくは、20〜1000rpmである。
これにより、ペンタメチレンジアミンを、抽出溶媒中へと抽出する。
次いで、この方法では、ペンタメチレンジアミンと抽出溶媒との混合物を、例えば、5〜300分間、好ましくは、10〜240分間、より好ましくは、20〜180分間静置し、その後、ペンタメチレンジアミンが抽出された抽出溶媒(ペンタメチレンジアミン抽出液、すなわち、抽出溶媒とペンタメチレンジアミンとの混合物)を、公知の方法により取り出す。
なお、1回の液−液抽出によりペンタメチレンジアミンを十分に抽出できない場合には、複数回(例えば、2〜5回)繰り返し液−液抽出することもできる。
これにより、ペンタメチレンジアミン水溶液中のペンタメチレンジアミンを、抽出溶媒に抽出することができる。
このようにして得られる抽出溶媒(抽出溶媒とペンタメチレンジアミンとの混合物)において、ペンタメチレンジアミンの濃度は、例えば、0.2〜40質量%、好ましくは、0.3〜35質量%、より好ましくは、0.4〜30質量%、とりわけ好ましくは、0.8〜25質量%である。
また、抽出後におけるペンタメチレンジアミンの収率(抽出率)は、リシンの塩酸塩を基準として、例えば、65〜100モル%、好ましくは、70〜100モル%、より好ましくは、80〜100モル%、とりわけ好ましくは、90〜100モル%である。
なお、この方法では、必要により、得られた抽出溶媒とペンタメチレンジアミンとの混合物から、例えば、ペンタメチレンジアミンを単離することもできる。ペンタメチレンジアミンの単離では、特に制限されないが、例えば、連続多段蒸留塔、回分多段蒸留塔などを備えた蒸留装置などにより、例えば、50〜182℃、0.1kPa〜常圧下、抽出溶媒とペンタメチレンジアミンとの混合物を蒸留し、抽出溶媒を除去する。
なお、このような抽出は、上記したように、アルカリ処理後にすることができ、また、例えば、アルカリ処理をしながら抽出することもできる。
また、ペンタメチレンジアミン水溶液からペンタメチレンジアミンを得る方法としては、上記の抽出に限定されず、例えば、蒸留など、公知の単離精製方法を採用することもできる。
そして、このようなペンタメチレンジアミンの製造方法では、熱分解により得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理するので、ペンタメチレンジアミンの二塩酸塩をアルカリ処理する場合に比べ、アルカリ化合物の使用量を低減することができ、低コスト化を図ることができる。また、このような方法によれば、副生する塩を低減できるため、作業性の向上を図ることができる。
また、このようなペンタメチレンジアミンの製造方法では、製造および入手の容易なペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を原料として用いるので、リシン炭酸塩を用いる場合に比べ、低コスト化を図ることができる。また、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を用いれば、ペンタメチレンジアミンの二炭酸塩を用いるよりも、低温で分解率よく熱分解させることができるため、ペンタメチレンジアミンの高収率化を図ることができるとともに、低コスト化および省エネルギー化を図ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。また、製造例などに用いられる測定方法を、以下に示す。
<ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩の反応収率(単位mol%)>
以下の高速液体クロマトグラフ(HPLC)条件下で得られたクロマトグラムの面積値から作成した検量線により、ペンタメチレンジアミンの濃度を算出し、L−リシン・一塩酸塩およびペンタメチレンジアミンの合計濃度に対する、ペンタメチレンジアミンの濃度の割合をペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩の反応収率とした。
カラム:Asahipak ODP−50 4E(昭和電工社製)
カラム温度:40℃
溶離液:0.2M リン酸ナトリウム(pH 7.7)+2.3mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム
流量:0.5mL/min
L−リシン・一塩酸塩およびペンタメチレンジアミンの検出には、オルトフタルアルデヒドを用いたポストカラム誘導化法[J.Chromatogr., 83, 353−355(1973)]を採用した。
<ペンタメチレンジアミンの濃度>
各試料中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度、および、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩の濃度は自動滴定装置(平沼産業社製、COM500)を使用し、滴定により測定した。
測定に際し、試料中の全ペンタメチレンジアミンの量が0.2〜0.8gになるように試料を測り、純水で希釈した後、0.2M HCl水溶液(和光純薬工業社製)にて滴定を行った。
滴定の結果、当量点が3点存在する場合、1番目の当量点でのHCl滴定量をxmL、3番目の当量点でのHCl滴定量をymLとすると、それぞれのイオン濃度は、下記式(4)および(5)で表される。
なお、ペンタメチレンジアミンの分子量を102.18、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩の分子量を138.64、試料の重量をag、0.2M HCl水溶液のファクターをfとする。ファクターfは、試薬に記載された補正値であって、試料調整時の重量から算出した規定度に対する逆滴定等により算出した真の規定度の比である。
全ペンタメチレンジアミン換算濃度(質量%)
={y÷1000×0.2×f}×102.18÷a×100 (4)
ペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度(質量%)
={x÷1000×0.2×f}×138.64÷a×100 (5)
また、滴定測定の結果、当量点が1点である場合、この当量点はペンタメチレンジアミン一塩酸塩によるものであり、試料中にペンタメチレンジジアミン一塩酸一炭酸塩は含まれていないものとする。
調製例1(菌体破砕液の調製)
(リシン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニング)
Escherichia coli W3110株(ATCC27325)から常法に従い調製したゲノムDNAをPCRの鋳型に用いた。
PCR用のプライマーには、リシン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)(GenBank Accession No.AP009048)の塩基配列に基づいて設計した配列番号1および2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(インビトロジェン社に委託して合成した)を用いた。これらのプライマーは、5’末端付近にそれぞれKpnIおよびXbaIの制限酵素認識配列を有する。
上記のゲノムDNA1ng/μLおよび各プライマー0.5pmol/μLを含む25μLのPCR反応液を用いて、変性:94℃、30秒間、アニーリング:55℃、30秒間、伸長反応:68℃、2分間からなる反応サイクルを30サイクルの条件で、PCRを行った。
PCR反応産物およびプラスミドpUC18(宝酒造社製)をKpnIおよびXbaIで消化し、ライゲーション・ハイ(東洋紡社製)を用いて連結した後、得られた組換えプラスミドを用いて、Eschrichia coli DH5α(東洋紡社製)を形質転換した。形質転換体を、アンピシリン(Am)100μg/mLおよびX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地で培養し、Am耐性でかつ白色コロニーとなった形質転換体を得た。このようにして得られた形質転換体よりプラスミドを抽出した。
通常の塩基配列の決定法に従い、プラスミドに導入されたDNA断片の塩基配列が配列番号3に示す塩基配列であることを確認した。
得られたリシン脱炭酸酵素をコードするDNAを持つプラスミドをpCADAと命名した。pCADAを用いて形質転換した大腸菌を培養することで、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するリシン脱炭酸酵素を生産することができた。
(形質転換体の作製)
pCADAを用いてEscherichia coli W3110株を通常の方法で形質転換し、得られた形質転換体をW/pCADAと命名した。
この形質転換体をバッフル付き三角フラスコ中のAm100μg/mLを含むLB培地500mlに接種し、30℃にてOD(660nm)が0.5になるまで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)が0.1mmol/Lとなるように添加し、さらに14時間振盪培養した。培養液を8000rpmで20分間遠心分離し、菌体を得た。この菌体を20mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁した後、超音波破砕を行い、菌体破砕液を調製した。
調製例2(ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液の製造1)
300mLのフラスコに、L−リシン・一塩酸塩を終濃度が45質量%となるように、および、ピリドキサールリン酸を終濃度が0.15mmol/Lとなるように調整した基質溶液300gを加えた。次に上記のW/pCADA菌体破砕液(乾燥菌体換算重量0.0898g)を添加し、反応を開始した。反応条件は42℃、350rpmとした。24時間後のペンタメチレンジアミンの反応収率は98%に達していた。上記の反応24時間後の反応液を遠心分離(8000rpm、20分)で固形分を除去した後に、1gの活性炭(三倉化成社製、粉末活性炭PM−SX)を添加し、室温で1時間撹拌した後、ろ紙(ADVANTEC社、5C)にてろ過し、ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を得た。
調製例3(ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液の製造2)
L−リシン・一塩酸塩を終濃度が30質量%となるように配合した以外は、調製例2と同様にして、ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン換算濃度16.3質量%)を得た。
調製例4(ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液の製造3)
L−リシン・一塩酸塩を終濃度が20質量%となるように配合した以外は、調製例2と同様にして、ペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン換算濃度11.3質量%)を得た。
調製例5(ペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液の製造1)
300mLフラスコに、ペンタメチレンジアミンの終濃度が26質量%となるように調整したペンタメチレンジアミン溶液300gを加えた。次に、炭酸ガスを通気(流量120mL/分)するとともに反応を開始した。反応条件は42℃、350rpmとした。反応時間は24時間とした。
これにより、ペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン換算濃度21.4質量%)を得た。
調製例6(ペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液の製造2)
ペンタメチレンジアミンの終濃度が45質量%となるように調整したペンタメチレンジアミン溶液を用いた以外は、調製例5と同様にして、ペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液(ペンタメチレンジアミン換算濃度34.2質量%)を得た。
実施例1
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液120g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を、フラスコに入れ、還流しながら内温71℃(オイルバス温度73℃)、101.3kPa、すなわち、常圧(非沸騰状態)にてペンタメチレンジアミン一塩酸塩と二酸化炭素とに分解した。5時間後に得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度はそれぞれ、27.1質量%、4.3質量%であった。この測定結果より、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩およびペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩に対するペンタメチレンジアミン一塩酸塩の濃度、すなわち、熱分解率は、11.7mol%であった(熱分解工程)。結果を表1に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例2
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液125g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表1に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表1に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例3
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液125g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表1に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表1に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例4
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液126g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表1に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表1に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液27gを挿入した(アルカリ処理)。その後、180gのn−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
得られたペンタメチレンジアミンの収率は、L−リシン・一塩酸塩を基準として97モル%であった。
実施例5
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液126g(ペンタメチレンジアミン換算濃度24.9質量%)を用いて、表1に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表1に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例6
調製例3の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液103g(ペンタメチレンジアミン換算濃度16.3質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例7
調製例4の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液100g(ペンタメチレンジアミン換算濃度11.3質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例8
調製例4の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液112g(ペンタメチレンジアミン換算濃度11.3質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
得られたペンタメチレンジアミンの収率は、L−リシン・一塩酸塩を基準として98.5モル%であった。
実施例9
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液100g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
得られたペンタメチレンジアミンの収率は、L−リシン・一塩酸塩を基準として98.4モル%であった。
実施例10
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液121g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
実施例11
調製例2の方法により得られたペンタメチレンジアミン一塩酸一炭酸塩水溶液150g(ペンタメチレンジアミン換算濃度26.1質量%)を用いて、表2に示す熱分解条件とした以外は、実施例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミン一塩酸塩を得た(熱分解工程)。
熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミン一塩酸塩水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン一塩酸塩濃度、熱分解率を、表2に示す。
次いで、得られた反応溶液に48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を挿入した(アルカリ処理)。その後、n−ブタノールでペンタメチレンジアミンを抽出し、次いで、蒸留することによりペンタメチレンジアミンを得た。
比較例1
調製例5の方法により得られたペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液120g(ペンタメチレンジアミン換算濃度21.4質量%)をフラスコに入れ、還流しながら内温71℃(オイルバス温度73℃)、常圧(非沸騰状態)にてペンタメチレンジアミンと二酸化炭素とに分解した。5時間後に得られたペンタメチレンジアミン水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン濃度はそれぞれ、23.0質量%、1.3質量%であった。この測定結果より、ペンタメチレンジアミンおよびペンタメチレンジアミン二炭酸塩に対するペンタメチレンジアミンの濃度、すなわち、熱分解率は、5.8mol%であった。
結果を表3に示す。
比較例2
調製例5の方法により得られたペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液124g(ペンタメチレンジアミン換算濃度21.4質量%)を用いて、表3に示す熱分解条件とした以外は、比較例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミンを得た。
得られたペンタメチレンジアミン水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン濃度、熱分解率を、表3に示す。
なお、この濃度では103℃が沸点となり、103℃以上には昇温できなかった。
比較例3
調製例6の方法により得られたペンタメチレンジアミン二炭酸塩水溶液116g(ペンタメチレンジアミン換算濃度34.2質量%)を用いて、表3に示す熱分解条件とした以外は、比較例1と同様にして熱分解し、ペンタメチレンジアミンを得た。
得られたペンタメチレンジアミン水溶液中の全ペンタメチレンジアミン換算濃度およびペンタメチレンジアミン濃度、熱分解率を、表3に示す。
Figure 2013053080
Figure 2013053080
Figure 2013053080

Claims (5)

  1. ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩を熱分解して、ペンタメチレンジアミンの一塩酸塩を得る熱分解工程、および、
    前記熱分解工程において得られたペンタメチレンジアミンの一塩酸塩をアルカリ処理して、ペンタメチレンジアミンを得るアルカリ処理工程
    を備えることを特徴とする、ペンタメチレンジアミンの製造方法。
  2. 熱分解工程における加熱温度が、80〜120℃であることを特徴とする、請求項1に記載のペンタメチレンジアミンの製造方法。
  3. 前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を、沸騰させることを特徴とする、請求項1または2に記載のペンタメチレンジアミンの製造方法。
  4. 前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミン換算濃度が10質量%以上の、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペンタメチレンジアミンの製造方法。
  5. 前記熱分解工程において、ペンタメチレンジアミンの一塩酸一炭酸塩の水溶液を、常圧下、100℃を超過し110℃以下の温度で加熱することを特徴とする、請求項4に記載のペンタメチレンジアミンの製造方法。
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