JP2013051881A - 誘導電動機、圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転子スロット13内に非磁性かつ導電性の材料を充填して形成されるかご形二次導体である回転子11と、回転子11を包囲し、巻線が捲回された固定子鉄心12aを具備する固定子12と、を有する誘導電動機100において、回転子11の外周の直径を回転子ティース15の数で除した値が、固定子12の固定子ティース16同士の円周方向の距離よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係る誘導電動機を説明するものであって、図1は軸方向断面図、図2は横断面図、図3は固定子鉄心と回転子鉄心の部分拡大平面図である。なお、各図は模式的に描かれたものであって、本発明は描かれた形態(各部の数量や相対的な寸法比率等)に限定されるものではない。
図1において、誘導電動機100は、固定子12と、固定子12の内側に空隙20を介して配置された回転子11とを有している。
図2の(a)において、固定子12は、略リング状の固定子鉄心12aと、固定子鉄心12aに形成される固定子スロット17に挿入された固定子コイル14とを備える。固定子コイル14は各固定子ティース16に巻回される集中巻、もしくは分布巻である。また、単相、もしくは三相である。固定子鉄心12aは外周側にリング状のコアバック21を有し、コアバック21の内周側から複数の固定子ティース16が放射状に回転子11の方向(図示しない回転軸の中心に向かう方向)に伸びている。なお、図2では固定子スロット17の数が24であるものを示しているが、これは一例であり、スロット数が24に限定されるものではない。
固定子スロット17は、内周縁に開口しており、この開口部をスロットオープニングと言う。このスロットオープニングから固定子コイル(巻線に同じ)14が挿入される。
固定子鉄心12aの外周面には、外周円形状を略直線状に切り欠いた略直線部をなす切欠きが4ヶ所に設けられている。4ヶ所の切欠きは、隣り合うもの同士が略直角に配置される。なお、略直線状の切欠きの数、形状及び配置は図示された形態に限定するものではない。
固定子鉄心12aは、板厚が例えば0.1mm〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層し、カシメや溶接、接着材等により固定して製作される。
回転子11は、回転子鉄心11aと、アルミバー30と、コア積層方向の両側に形成される一対のエンドリング32と、で構成されるかご形二次導体33とを備える(図2の(b)参照)。
アルミバー30とエンドリング32は、アルミダイキャストにより同時にアルミを鋳込むことで製作される。
なお、かご形二次導体33は、アルミに替えて銅にすることができる。
回転子鉄心11aは、断面の形状が略円形で、外周に沿って、複数の回転子スロット13が周方向に略等間隔に形成されている。隣接する二つの回転子スロットの間に回転子ティース15が形成される。なお、この例では、回転子スロットの数は30であるが、本発明はスロット数を30に限定するものではない。
また、回転子鉄心11aの中央部には駆動軸が嵌合される軸孔19が形成されている。
回転子鉄心11aは、板厚が例えば、0.1mm〜1.5mmの電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、軸方向に積層し、カシメや接着剤により固定して製作される。
誘導電動機100の損失を分類すると、一次銅損、二次銅損、鉄損に分けられる。
誘導電動機を高効率にする為、二次銅損を低くするにはアルミバー30を太くするために回転子スロット13を大きくした方が良い(回転子11の磁束飽和により鉄損増加)。
また、鉄損を小さくするには磁束飽和しない様に回転子ティース15を太く(スロットを小さく)した方が良い。
Hr>Hs ・・・・・(式1)
また、回転子ティース15の円周方向の巾(Lr)と回転子ティース15の数(Nr)との積である「回転子の磁路幅(Lr・Nr)」が、固定子ティース16の円周方向の巾(Ls)と固定子ティース16の数(Ns)との積である「固定子の磁路幅(Ls・Ns)」以上であるようにする。すなわち、以下の式を満足する。
Lr・Nr≧Ls・Ns ・・・・(式2)
式2を満足することによって、回転子11と固定子12との磁束のバランスがよくなり、また、磁束飽和を抑制することができる(図3の(b)参照)。
図4は本発明の実施の形態2に係る誘導電動機を説明する部分拡大平面図である。誘導電動機103は、誘導電動機100(実施の形態1)における回転子スロット13の形状を変更したものである。なお、回転子スロット13を除く部位については実施の形態1と同じであるから、一部の説明を省略する。
図4(a)において、回転子スロット40は実施の形態1における回転子スロット13を、外周側に突起41を形成した形状に適応させたものである。
すなわち、図4の(b)に示すように、突起が無く、ブリッジ部10が狭い場合、short磁束でアルミにマイナー電流が発生するため効率が悪化する。また、図4の(c)に示すように、突起が無く、ブリッジ部10を拡大した場合、short磁束は減小するものの、漏れ磁束が増加し、効率が悪化する。一方、図4の(d)に示すように、slot先端に突起41が形成された場合、漏れ磁束、short磁束とも改善され、効率が改善される。
図5は本発明の実施の形態3に係る誘導電動機を説明する部分拡大平面図である。誘導電動機104は、誘導電動機100(実施の形態1)における回転子スロット13の形状を変更したものである。なお、回転子スロット13を除く部位については実施の形態1と同じであるから、一部の説明を省略する。
図5の(a)において、回転子スロット50は実施の形態1における回転子スロット13を、外周側が略V字状に形状された菱形形状のV字先端51を具備する形態に適応させたものである。菱形形状にすることで、固定子磁束が回転子ティース15にスムーズに入り込む為、回転子ティース15の磁束が一般的な円弧形状(図3参照)よりも高くなる。
そして、図5の(b)に示すように、slot先端をV字状にすることによって、実施の形態2と同様に、漏れ磁束、short磁束とも改善され、効率が改善される。
図6は本発明の実施の形態4に係る誘導電動機を説明する部分拡大平面図である。なお、実施の形態1、2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図の(a)において、誘導電動機105は、隣接する回転子スロット40の外周側頂点(突起41に同じ)間の距離bを、固定子ティース16の先端巾aより大きくするものである。すなわち、式3を満足する。
b>a ・・・・・(式3)
したがって、磁気抵抗を小さくすることができ、効率を改善することができる(図6の(b)参照)。
図7は本発明の実施の形態5に係る圧縮機を説明する部分拡大平面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
圧縮機1は、実施の形態1〜4に示す誘導電動機100、102〜105の何れかを圧縮機に用いることにより、圧縮機を高効率化することが可能であるから、誘導電動機100を搭載する回転式圧縮機(以下、「圧縮機」と称す)1について説明する。
図7において、圧縮機1は密閉容器4内に、圧縮要素200と、電動要素である誘導電動機100と、図示しない冷凍機油とを収納している。
冷凍機油は密閉容器4内の底部に貯留している。冷凍機油は主に圧縮要素200の摺動部を潤滑する。
誘導電動機100は、固定子12および回転子11を備え、回転子11には、ガス流路2が設けられ、冷媒、油が通過する。
一般的に密閉型圧縮機(圧縮機1に同じ)の性能を確保するために、電動機(誘導電動機100に同じ)に一定の冷媒の流路が必要である。
圧縮要素200は、シリンダ5、上軸受6(軸受の一例)、下軸受7(軸受の一例)、回転軸3、ローリングピストン9、吐出マフラ8、ベーン(図示せず)等で構成される。圧縮要素200の構成は、回転軸3の構成を除き一般的な圧縮機の構成と同じであるが、概略を説明する。
圧縮要素200において、内部に圧縮室が形成されるシリンダ5は、外周が平面視略円形で、内部に平面視略円形の空間であるシリンダ室を備える。シリンダ室は、軸方向両端が開口している。
シリンダ5は、側面視で所定の軸方向の高さを持つ。シリンダ5は、略円形の空間であるシリンダ室に連通し、半径方向に延びる平行なベーン溝(図示せず)が軸方向に貫通して設けられる。また、ベーン溝背面(外側)に、ベーン溝に連通する平面視略円形の空間である背圧室(図示せず)が設けられる。
シリンダ5には、冷凍サイクルからの吸入ガスが通る吸入ポート(図示せず)が、シリンダ5の外周面からシリンダ室に貫通している。
そして、ローリングピストン9が、シリンダ室内を偏心回転する。ローリングピストン9はリング状で、ローリングピストン9の内周が回転軸3の偏心軸部に摺動自在に嵌合する。
ベーンがシリンダ5のベーン溝内に収納され、背圧室に設けられるベーンスプリング(図示せず)でベーンが常にローリングピストン9に押し付けられている。
下軸受7が、回転軸3の副軸部(偏心軸部より下の部分)に摺動自在に嵌合するとともに、シリンダ5のシリンダ室(ベーン溝も含む)の他方の端面(冷凍機油側)を閉塞する。下軸受7は、側面視略T字状である。上軸受6には、その外側(誘導電動機100側)に吐出マフラ8が取り付けられる。
圧縮要素200で圧縮された高温・高圧のガス冷媒は、吐出マフラ8の吐出穴(図示しない)から誘導電動機100を通過して、吐出管70から外部の冷媒回路(図示せず)へ吐出される。
密閉容器4の胴部と各切欠きとの間に、ガス冷媒とともに回転子11に形成されたガス流路2を通過して電動要素100の上に吐出され、図示しない油分離器で分離された冷凍機油を密閉容器4の底部に戻す油戻し通路が形成されている。
回転子鉄心11aは、中心付近に断面が円形の軸孔を備える。軸孔には、回転軸3が焼き嵌め等により固定される。
かご形誘導電動機では、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せが、同期トルク、非同期トルク、振動・騒音等の異常現象に密接に関係する。そのため、固定子のスロット数と回転子のスロット数との組合せは、慎重に選ばれる。
図8は本発明の実施の形態6に係る冷凍サイクル装置を説明する構成図である、なお、実施の形態1および5と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図8において、冷凍サイクル装置300は、例えば、空気調和機に搭載されるものである。冷凍サイクル装置300は回転式圧縮機1(実施の形態1)を構成要素としている。
すなわち、回転式圧縮機1は電源18に接続され、回転式圧縮機1の単相誘導電動機100の補助巻線(図示しない)と電源18との間に運転コンデンサが接続される。電源18から電力が回転式圧縮機1に供給され、回転式圧縮機1が駆動する。
冷凍サイクル装置(空気調和機)は、回転式圧縮機1、冷媒の流れる方向を切り替える四方弁301、室外熱交換器302、減圧装置303、室内熱交換器304、およびこれらを接続した冷媒を循環させる冷媒配管305等で構成される。
一方、冷凍サイクル装置(空気調和機に同じ)300の暖房運転時は、四方弁によって冷媒の流れる方向が切り替えられる。すなわち、冷房運転時(図8の矢印の方向)とは反対の方向の流れとなり、室外熱交換器は蒸発器として機能し、室内熱交換器は凝縮器として機能する。
冷凍機油としてアルキルベンゼン系油に代表される弱相溶性の油が使用される。また、エステル油に代表される相溶性の油が使用される。
誘導電動機100を搭載した圧縮機1を冷凍サイクル装置300に用いることにより、冷凍サイクル装置300の性能の向上、小型化、低価格化が可能となる。
Claims (3)
- 回転子スロット内に非磁性かつ導電性の材料を充填して形成されるかご形二次導体である回転子と、
前記回転子を包囲し、巻線が捲回された固定子鉄心を具備する固定子と、
を有する誘導電動機において、
前記回転子の外周を回転子ティースの数で除した値が、前記固定子の固定子ティース同士の円周方向の距離よりも大きいことを特徴とする誘導電動機。 - 密閉容器と、
該密閉容器に収納された請求項1記載の誘導電動機と、
前記密閉容器に収納され、前記誘導電動機によって回転駆動される圧縮要素と、を有することを特徴とする圧縮機。 - 請求項2記載の圧縮機と、凝縮器と、絞り装置と、蒸発器と、これらを接続する冷媒配管と、を有することを特徴とする冷凍サイクル装置。
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