JP2013043553A - 操舵反力生成装置、車両及び操舵反力生成方法 - Google Patents

操舵反力生成装置、車両及び操舵反力生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基準ラック軸力をより高精度に推定すること。
【解決手段】基準ラック軸力演算部15Bの車体持ち上げエネルギ演算部15aは、操舵角に基づき、転舵されることにより発生する車体1Aの上下方向の変位による車体持ち上げエネルギを算出し、タイヤ摩擦エネルギ演算部15bは、操舵角に基づき、転舵によってそれら転舵輪と走行路面との間に発生する摩擦によるねじりトルクを算出し、セルフアライニングエネルギ演算部15cは、操舵角及び車速に基づき、セルフアライニングトルクを算出し、加算部15dは、車体持ち上げエネルギ、ねじりトルク、セルフアライニングトルクを加算して総エネルギ量を求め、ラック軸力演算部15eは総エネルギ量とラックストローク量とに基づき基準ラック軸力を推定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の操舵系に操舵反力を発生させる操舵反力生成装置、その操舵反力生成装置を備えた車両、並びに操舵反力生成方法に関する。
操舵フィーリングの低下を伴うことなく路面抵抗の急変に対する車両の安定性の向上を図るために、操舵角と車速とから算出されるラック軸負荷と実際に発生しているラック軸負荷との偏差が大きくなるに従って操舵抵抗力を大きくする電動パワーステアリング装置が知られている(特許文献1)。
また、ラック軸に作用する標準的な負荷を、車速及び操舵角に対応させて標準ラック軸軸力として予め記憶しておき、その標準ラック軸力と、実際に発生しているラック軸力とを比較し、後者の方が小さい場合には、その偏差が大きくなるほど、操舵を減衰させるダンピング力を小さくする電動パワーステアリング装置も知られている(特許文献2)。
特開平11−49000号公報 特開2010−215047号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、摩擦係数が低い所謂低μ路を走行している際、転舵角が大きくなっても運転者に伝わる操舵反力は増加することになるため、却って運転者は路面限界や路面の状態変化を感知し難いという欠点がある。
また、特許文献1、特許文献2に記載された技術は、いずれも演算により求めるラック軸力は、車両の設計値や実験による計測値の同定結果に基づいた内部モデルとして予め設定されているため、その精度を高めるためには、適用される車種ごとに且つ全車速域に渡って実験を行って値を求めて記憶しておく必要があり、従って開発コストが大幅に嵩んでしまうという問題点もあった。
本発明の課題は、コストの大幅な増加を招くことなく、低μ路走行時であっても運転者に路面限界を感知させ易い操舵反力生成装置を提供することである。
以上の課題を解決するため、本発明に係る操舵反力生成装置は、車速及び操舵角に基づきラック軸に発生している基準ラック軸力を推定するとともに、実際に発生しているラック軸力と推定した基準ラック軸力に基づき走行時に転舵輪に発生しているタイヤ横力発生率(タイヤ横力の指標)を演算し、そのタイヤ横力発生率の縮小に応じて操舵反力が減少するようにし、基準ラック軸力を、転舵輪の転舵によって転舵輪と走行路面との間に発生する摩擦エネルギと、転舵輪の転舵に伴う車体の上下方向の変位に基づくポテンシャルエネルギと、セルフアライニングトルクと、ラック軸のストローク量と、に基づいて算出するようにした。
本発明によれば、タイヤ横力発生率の縮小に応じて操舵反力を減少させるので、低μ路走行時であっても運転者に路面限界を感知させることができ、基準ラック軸力を、摩擦エネルギ、ポテンシャルエネルギ、セルフアライニングトルク及びラック軸のストローク量に基づいて算出するため、低コストで高精度の基準ラック軸力を求めることができる。
本発明に係る操舵反力生成装置及び操舵反力生成方法を適用した自動車1の構成を示す概略図である。 コントロール/駆動回路ユニット15における操舵系統の制御機能を示すブロック図である。 コントロール/駆動回路ユニット15が実行する基準ラック軸力推定処理を示すフローチャートである。 ステップS1において設定する車両パラメータを示す模式図である。 ステップS2において設定する座標系を示す模式図である。 タイヤ接地面の任意の点の変位(z軸方向)を示す図である。 タイヤ接地面の任意の点の変位(x軸方向)を示す図である。 タイヤ接地面の任意の点の変位(y軸方向)を示す図である。 タイヤ接地面積の算出方法を示す模式図である。 タイヤ接地面における接地荷重を示す模式図である。 操舵時におけるタイヤ接地面形状の変化を示す模式図である。 単位接地面積あたりの操舵に要する仕事量を示す模式図である。 一輪分のねじりトルクを算出するモデルを示す模式図である。 操舵においてキングピン軸周りに作用する力(左前輪の場合)を示す模式図である。 二輪分のねじりトルクを算出するモデルを示す模式図である。 摩擦ねじりトルク分および車体持ち上げトルク分のラック軸力を示す図である。 車両のタイヤに働くコーナリングフォースにより作用するエネルギを説明するための線形二輪モデルの模式図である。 左前輪におけるラックストローク量を説明するモデルの模式図である。 第1の実施形態における操舵角とラック軸力(実ラック軸力、基準ラック軸力)との関係を示すグラフである。 第1の実施形態における操舵角に対する操舵反力の変化を示すグラフである。 応用例における操舵角とラック軸力(実ラック軸力、基準ラック軸力)との関係を示すグラフである。 応用例における操舵角に対する操舵反力の変化を示すグラフである。
以下、図を参照して本発明を適用した自動車の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明に係る操舵反力生成装置及び操舵反力生成方法を適用した車両としての四輪自動車(以下、単に「自動車」と称す。)1の構成を示す概略図である。
図1において、自動車1は、車体1Aと、ステアリングホイール2と、入力側ステアリング軸3aと、出力側ステアリング軸3bと、メカニカルバックアップ3cと、操舵角センサ4(操舵角検出手段)と、電動モータ5a(転舵用電動モータ)と、操舵反力用モータ5b(操舵反力用電動モータ)と、ピニオンギア6と、ステアリングラック部材(ラック軸)7と、タイロッド8と、車輪9FR,9FL,9RR,9RLと、車輪速センサ14FR,14FL,14RR,14RL(車速検出手段)と、コントロール/駆動回路ユニット15(モータ制御手段)と、を備えている。
ステアリングホイール2は、入力側ステアリング軸3aと一体に回転するように構成され、運転者による操舵入力を入力側ステアリング軸3aに伝達する。
メカニカルバックアップ3cは、通常時は入力側ステアリング軸3aと出力側ステアリング軸3bとの間を機械的に分離した状態に維持する一方、フェールセーフ時には入力側ステアリング軸3aと出力側ステアリング軸3bとの間を機械的に結合して両者間で直接的に回転トルクが伝達できる状態とする。
出力側ステアリング軸3bは、電動モータ5aで発生した回転駆動力によって回転し、その回転動作をピニオンギア6に伝達する。
操舵角センサ4は、入力側ステアリング軸3aの回転角度(即ち、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力角度)を検出する。そして、操舵角センサ4は、検出した入力側ステアリング軸3aの回転角度を、コントロール/駆動回路ユニット15に出力する。
電動モータ5aは、コントロール/駆動回路ユニット15から入力する指令値に応じた駆動電流によって、出力側ステアリング軸3bを回転する駆動力を発生する。
つまり、出力側ステアリング軸3bには、通常時は、電動モータ5aによる駆動力のみが加わり、電動モータ5aの駆動力によってのみ車輪9FR,9FL(操向輪)を転舵する、所謂ステアバイワイヤシステムが実現されるようになっている。
ピニオンギア6は、出力側ステアリング軸3bの下端部に一体的に形成されていて、ステアリングラック部材7と噛合しており、出力側ステアリング軸3bから入力した回転をステアリングラック部材7に伝達する。
ステアリングラック部材7は、ピニオンギア6と噛合する平歯を有し、ピニオンギア6の回転を車幅方向の直線運動に変換する。
タイロッド8は、ステアリングラック部材7の両端部と車輪9FR,9FLのナックルアームとを、ボールジョイントを介してそれぞれ連結している。
車輪9FR,9FL,9RR,9RLは、タイヤホイールにタイヤを取り付けて構成したものであり、それぞれサスペンション装置を介して車体1Aと連結している。これらのうち、前輪(車輪9FR,9FL)は、タイロッド8によってナックルアームが揺動することにより、車体1Aに対する車輪9FR,9FLの向きが変化する。
一方、操舵反力用モータ5bは、コントロール/駆動回路15から入力する指令値に応じた駆動電流によって、入力側ステアリング軸3aに操舵反力、即ち、ステアリングホイール2の操舵を妨げる方向の駆動力を発生する。
車輪速センサ14FR,14FL,14RR,14RLは、各車輪の回転速度を示すパルス信号を、コントロール/駆動回路ユニット15に出力する。
コントロール/駆動回路ユニット15は、自動車1全体を制御するものであり、操舵角センサ4から入力する操舵角及び車輪速センサ14FR〜14RLから入力する車輪の回転速度に基づいて、各種制御信号を生成する。
先ず、コントロール/駆動回路ユニット15は、公知のステアバイワイヤシステムの基本動作として、操舵角センサ4から入力する操舵角を基に、ステアリングラック部材7に必要なラックストロークを演算し、その演算されたラックストロークを得るために必要な操舵トルクが出力側ステアリング軸3bに発生するように、電動モータ5aの駆動回路に操舵制御用の駆動制御信号を出力する。
そして、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵角センサ4から入力する操舵角および車輪速センサ14FR〜14RLから入力する車輪の回転速度を基に、後述の操舵反力生成処理を実行し、操舵反力用モータ5bの駆動回路に操舵反力用の駆動制御信号を出力する。
図2は、コントロール/駆動回路ユニット15における操舵反力生成処理に必要な制御機能を示すブロック図である。
図2に示すように、コントロール/駆動回路ユニット15は、ラックストローク演算部(ストローク検出手段)15Aと、基準ラック軸力演算部(基準ラック軸力推定手段)15Bと、操舵反力演算部(モータ制御手段)15Cと、を備えている。
ラックストローク演算部15Aは、操舵角センサ4から操舵角が供給されると、車輪9FR,9FLにそのときの操舵角に対応した転舵角が発生するのに必要なラックストロークを、車両の設計パラメータに基づいて演算する。演算されたラックストロークは、基準ラック軸力演算部15Bにラックストローク信号として供給されるとともに、電動モータ5aの駆動回路5cにも供給されるようになっている。駆動回路5cは、供給されたラックストローク信号に応じた操舵トルクが出力側ステアリング軸3bに発生するように、電動モータ5aを回転駆動させる。
基準ラック軸力演算部15Bは、車体持ち上げエネルギ演算部(ポテンシャルエネルギ算出手段)15aと、タイヤ摩擦エネルギ演算部(摩擦エネルギ算出手段)15bと、セルフアライニングエネルギ演算部(セルフアライニングトルク算出手段)15cと、加算部15dと、ラック軸力演算部(基準ラック軸力算出手段)15eと、を備えている。
車体持ち上げエネルギ演算部15aは、操舵角センサ4から供給される操舵角に基づき、車輪9FR,9FLが転舵されることにより発生する車体1Aの上下方向の変位による車体持ち上げエネルギ(ポテンシャルエネルギ)を算出する。
タイヤ摩擦エネルギ演算部15bは、操舵角センサ4から供給される操舵角に基づき、車輪9FR,9FLの転舵によってそれら車輪9FR,9FLと走行路面との間に発生する摩擦によるねじりトルク(摩擦エネルギ)を算出する。
セルフアライニングエネルギ演算部15cは、操舵角センサ4から供給される操舵角及び車輪速センサ14FR〜14RLから供給される車輪の回転速度(車速)に基づき、セルフアライニングトルクを算出する。
加算部15dは、車体持ち上げエネルギ演算部15aが算出した車体持ち上げエネルギと、タイヤ摩擦エネルギ演算部15bが算出したねじりトルクと、セルフアライニングエネルギ演算部15cが算出したセルフアライニングトルクとを加算して総エネルギ量を求め、その総エネルギ量をラック軸力演算部15eに供給する。
ラック軸力演算部15eは、加算部15dから供給される総エネルギ量と、ラックストローク演算部15Aから供給されるラックストローク量とに基づき、ステアリングラック部材7に発生している基準ラック軸力の推定値を演算し、その演算した基準ラック軸力を操舵反力演算部15Cに供給する。
操舵反力演算部15Cは、実ラック軸力演算部15fと、タイヤ横力発生率演算部15gと、操舵反力目標演算部15hと、を備えている。
実ラック軸力演算部15fは、電動モータ5aの駆動回路5cの駆動電流を検出する電流検出回路5dが検出した駆動電流に基づき、ステアリングラック部材7に実際に発生している進退方向の軸力である実ラック軸力を演算する。即ち、電動モータ5aに実際に流れている駆動電流はステアリングラック部材7の進退力に対応しているから、その駆動電流の値に例えば所定の係数を乗じることで、実ラック軸力を演算することができる。
タイヤ横力発生率演算部15gは、基準ラック軸力演算部15Bから供給された基準ラック軸力と、実ラック実力演算部15fから供給された実ラック軸力とに基づき、走行時に車輪9FR,9FLに発生しているタイヤ横力発生率を演算する。
操舵反力目標演算部15hは、タイヤ横力発生率演算部15gが演算したタイヤ横力発生率に基づき、操舵反力用モータ5bによって発生する操舵反力が、そのタイヤ横力発生率の縮小に応じて減少するように、操舵反力モータ駆動回路5eを駆動制御する。
(基準ラック軸力推定処理)
次に、コントロール/駆動回路ユニット15が実行する基準ラック軸力の推定処理について、詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、多自由度のマルチボディダイナミクスによって車両を取り扱うため、空間内における物体の姿勢の記載方法および用語の定義については、「ロボティクス 機構・力学・制御」(John J.Craig 著、三浦宏文・下山勲 訳、共立出版、1991年発行)に準ずるものとする。
図3は、コントロール/駆動回路ユニット15が実行する基準ラック軸力推定処理を示すフローチャートである。
コントロール/駆動回路ユニット15は、イグニションオンと共に基準ラック軸力推定処理を実行する。
操舵トルク推定処理を開始すると、コントロール/駆動回路ユニット15は、車両パラメータを設定する(ステップS1)。
図4は、ステップS1において設定する車両パラメータを示す模式図である。
図4に示すように、ステップS1において、コントロール/駆動回路ユニット15は、車両の前軸荷重mf(左前輪はmfl、右前輪はmfrと表す)、トレッドle、ホイールセンタ(W/C)の高さWz、タイヤ幅tw、タイヤ半径tr、サスペンションの最大ラックストローク量rsmax、初期キャンバ角φx、初期キャスタ角φy、スクラブ半径Pkpy、キャスタトレイルPkpx、タイヤの摩擦係数μ(ここでは固定値とする)を設定する。これらの車両パラメータは、車両の諸元等に基づいて予め把握することができる。なお、図4中のFはラック軸力、liは単位接地面の移動距離、Tはキングピン軸周りのトルク、dzはホイールセンタの上下変位である。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、キングピン(K/P)軸を基準とした座標系の設定を行う(ステップS2)。
図5は、ステップS2において設定する座標系を示す模式図である。
なお、図5においては、左前輪のキングピン軸について設定する座標系を例として示している。
図5に示すように、ステップS2では、車両前後方向前方をx軸の正方向、車幅方向外方をy軸の正方向、車両上下方向上方をz軸の正方向、車両前軸の中心を原点とする3次元のxyz座標(基準座標{O})を設定する。
ここで、図5においては、車両を基準とする座標系{O}と平行な座標であってキングピン軸と路面との交点を原点とする座標系{A}、座標系{A}と車両前方を同一軸としZ軸がキングピン軸と同一の方向となるように姿勢変換した座標系{K}、座標系{O}と平行な座標であってホイールセンタを原点として設定した座標系{C}を併せて設定する。
図5に示す座標系において、キングピン傾角をφkpx、キャスタ角をΦkpy、キングピン軸周りの回転角をΦkpzとする。また、キャスタトレイルPkpx、スクラブ半径Pkpyとすると、タイヤ接地面の任意の点K(接地面と接触するタイヤの任意の点)からキングピン軸と路面との交点までのベクトルPKは次式(1)のように定義することができる。
CK=[Pkpx,Pkpy,0]C (1)
ただし、PKの添え字Cは、座標系{C}におけるベクトルであることを示す。
また、絶対座標{K}を基準としたタイヤ姿勢を示す回転行列Rは、次式(2)のように表すことができる。
KR=RX(Φkpy)RY(Φkpx)RZ(Φkpz)(RZ(0)RY(−Φkpy)RX(−Φkpx)) (2)
ただし、(2)式に示す回転行列Rの各係数は、タイヤを据え切りした時の接地面形状の変化を計測することによって実験により求めたり、シミュレーションによって求めたりすることができる。
したがって、任意のベクトルCKがキングピン軸周りにΦkpz回転したときの絶対座標を基準としたベクトルは、KCKで表すことができる。
(2)式に、操舵角を基に算出したキングピン軸の回転角および車両パラメータを代入すると、タイヤ接地面の任意の点のx、y、z軸方向の変位を求めることができる。
図6〜8は、タイヤ接地面の任意の点の変位を示す図であり、図6はz軸方向の変位、図7はx軸方向の変位、図8はy軸方向の変位を示している。なお、図6〜8においては、トー角の変化に対応する各方向の変位を示している。
なお、図6〜8において、横軸に示すトー角は、基準座標から見たZ軸方向の回転角である。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵中立位置でのタイヤ接地面積およびタイヤ姿勢の算出を行う(ステップS3)。
ステップS3において、タイヤ接地面積およびタイヤ姿勢は車両パラメータから算出することができる。
図9は、タイヤ接地面積の算出方法を示す模式図である。
図9においては、初期キャンバ角を0とした場合のタイヤ接地面積を算出する方法を例として示している。
図9に示すように、タイヤ半径trおよびホイールセンタ高さWzから、タイヤ接地面のx軸方向の長さ(タイヤ接地長lx)を算出することができる。そして、タイヤ接地長lxとタイヤ幅twとを乗算することにより、タイヤ接地面積Sfを算出できる。なお、初期キャンバ角が0以外の場合には、実験あるいはシミュレーションを基にタイヤの傾斜を考慮したタイヤ接地面の形状に補正し、タイヤ接地面積Sfを算出できる。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵角センサ4が検出する操舵角を取得する(ステップS4)。
そして、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵時のタイヤ姿勢を算出する(ステップS5)。
ステップS5において、コントロール/駆動回路ユニット15は、キングピン軸周りにタイヤを回転させた場合の座標{K}を基準としたタイヤ姿勢、タイヤ接地面形状およびホイールセンタ位置を算出する。このとき、コントロール/駆動回路ユニット15は、(2)式の行列式(タイヤ姿勢を示す行列式)を基にタイヤ接地面の任意の点のx軸、y軸およびz軸方向の変位を算出する。具体的には、コントロール/駆動回路ユニット15は、タイヤ(車輪)を円柱とみなし、キングピン軸周りにΔΦ回転した(転舵した)ときのタイヤ姿勢を例えば単位量1mmとして算出する。そして、タイヤ接地面積が同一となるように転舵後の新たなホイールセンタ高さを算出し、転舵前の状態からΔΦ回転した姿勢において、各単位接地面あたりで移動した並進量をΔxとして算出する。Δxは、車両の基準座標の値に換算する。なお、タイヤにおける新たに接地した面および路面から離れた面については、Δx=0とする。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵によって発生する仕事量を算出する(ステップS6)。
ここで、ステップS6では、操舵によって発生する仕事量として、タイヤと路面との摩擦に対して行った仕事量と、車体1Aを持ち上げるために行った仕事量とを算出する。
ステップS6において、コントロール/駆動回路ユニット15は、(2)式を用いて幾何学的に算出した操舵によるタイヤ接地面形状の変化を基に、タイヤと路面との摩擦トルクに対して行った仕事量Wfを算出する。
図10は、タイヤ接地面における接地荷重を示す模式図である。
図10において、タイヤ接地面の面圧分布を一定であるものとすると、タイヤ接地面における単位面積当たりの接地荷重は、輪荷重mf(左輪荷重mflあるいは右輪荷重mfr)および接地面積Nfを用いて、mf/Nfと表すことができる。
また、図11は、操舵時におけるタイヤ接地面形状の変化を示す模式図である。
図11に示すように、操舵後のタイヤ接地面積は、操舵中立時のタイヤ接地面積に対して総面積に変化がないものと仮定する。
そして、ステップS5において算出したタイヤ接地面の任意の点の変位を基に、タイヤ接地面における各単位接地面積の移動量Δxについての仕事量を定義する。即ち、転舵前と転舵後において、着目するタイヤ接地面の点(タイヤ側の着目点)は、路面との摩擦を伴いながら路面上を移動する。したがって、各単位接地面積ごとに、路面上を摩擦に抗して移動した距離Δxを算出し、その移動についての仕事量を定義する。
図12は、単位接地面積あたりの操舵に要する仕事量を示す模式図である。
図12において、各単位接地面積が操舵に要する仕事量wi(iは自然数)は、重力加速度gを用いて、
wi=μ×mi×g×Δxi (3)
と表すことができる。
すると、タイヤ接地面積全体での仕事量Wfは、次式(4)のように表すことができる。
Wf=μ(mf・g/Nf)ΣΔxi(ただし、i=1〜Nf) (4)
コントロール/駆動回路ユニット15は、(4)式を基に一輪分の操舵によるねじりトルクを算出するモデルを設定する。
図13は、一輪分のねじりトルクを算出するモデルを示す模式図である。
図13に示すモデルでは、タイヤ接地面の各単位接地面ごとに変位が算出してあり、その変位から決まる仕事量wiが対応付けてある。
また、ステップS6において、車体1Aを持ち上げるために行った仕事量は、ホイールセンタの高さの変化を基に、前軸荷重とホイールセンタ高さの変化との乗算を基に算出することができる。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、車体1Aの上下方向の変位による持ち上げトルク(以下、「車体持ち上げトルク」と称する。)、及びタイヤと路面との摩擦によるねじりトルク(以下、「摩擦ねじりトルク」と称する。)をそれぞれ算出し、これらを合計する。なお、ステップS7において、摩擦ねじりトルクを算出する処理がタイヤ摩擦エネルギ演算部15bに対応し、車体持ち上げトルクを算出する処理が車体持ち上げエネルギ演算15aに対応している。
図14は、操舵においてキングピン軸周りに作用する力(左前輪の場合)を示す模式図である。
図14において、一輪についての輪荷重は左前輪の前軸荷重mflと重力加速度gとを用いて、mfl・gと表すことができる。また、ホイールセンタの上下変位をdz、操舵によるラック軸のストローク(ラックストローク)をrs、単位接地面の移動距離をliと表す。
車体持ち上げトルクは、ホイールセンタ高さの変化(ホイールセンタ上下変位dz)に基づく仕事量から算出することができ、次式(5)〜(7)のように表すことができる。
車体を持ち上げるポテンシャルエネルギ(一輪分)U1:
U1=−mfl×g×dz (5)
キングピン軸周りに働く持ち上げトルク(一輪分)T1:
T1=∂U1/∂Φkpz (6)
ラック軸力(一輪分)F1:F1=∂U1/∂rs (7)
また、摩擦ねじりトルクは、タイヤ接地面形状の変化から算出することができ、次式(8)〜(10)のように表すことができる。
摩擦力によるポテンシャルエネルギ(一輪分)U2:
U2=−Σ(μ・mfl・g・li/Nf) (8)
ただし、自然数i=1〜Nf。
キングピン軸周りに働く持ち上げトルクT2:
T2=∂U2/∂Φkpz (9)
ラック軸力(一輪分)F2:F2=∂U2/∂rs (10)
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、(5)〜(10)式を基に、キングピン軸周りの回転で生じる二輪分のねじりトルク(摩擦ねじりトルク)を算出するモデルを設定し、合計の操舵トルクを算出する。
図15は、二輪分のねじりトルクを算出するモデルを示す模式図である。
図15に示すモデルでは、左右前輪を対応付けて、キングピン軸、操舵によるステアリングラック部材7の移動軌跡、タイロッド8の移動軌跡、接地面中心の移動軌跡、ホイールセンタの移動軌跡がそれぞれ設定してある。
図15に示すモデルにより、種々の操舵に対して、二輪分のねじりトルクを算出することができる。
そして、コントロール/駆動回路ユニット15は、これら二輪分のねじりトルクと車体持ち上げトルクとを合計することにより、それら二つのトルクに起因した操舵トルクを算出する。
図16は、(5)〜(10)式を基に算出した摩擦ねじりトルク分および車体持ち上げトルク分のラック軸力を示す図である。
図16によれば、操舵量を示すラックストロークに対して、摩擦ねじりトルクおよび車体持ち上げトルクを成分とするラック軸力が発生し、これらのうち摩擦ねじりトルクが支配的であることがわかる。
なお、左右輪において、y方向を逆向き(車幅方向外方)に取っているため、ラック軸力の向きは正負が逆の位相となる。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、操舵角と車速とに基づき、コーナリングフォースにより発生するエネルギ(セルフアライニングトルク)(一輪分)を算出する(ステップS7)。
図17は、車両のタイヤに働くコーナリングフォースにより作用するエネルギを説明するための線形二輪モデルの模式図である。
図17において、mは車両重量、Vは車速、βは重心横滑り角、γはヨーレイト、δは前輪転舵角、lfは重心から前軸中心までのベクトル、lrは重心から後軸中心までのベクトル、ξnはニューマチックトレールであり、Ffは前輪タイヤに働くコーナリングフォースにより作用するエネルギ(一輪分)、Frは後輪タイヤに働くコーナリングフォースにより作用するエネルギ(一輪分)である。
図17に示すモデルから、
mV(dβ/dt+r)=2Ff+2Fr
Iz・dr/dt=2lf・Ff+2lr・Fr
となり、
Ff=β+(lf/V)r−δ
Fr=β+(lr/V)r
となる。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、タイヤ姿勢角からラックストローク量を算出する(ステップS8)。
図18は、左前輪におけるラックストローク量を説明するモデルの模式図である。
キングピン角φkpx、キャスタ角φkpy、キングピン周りの回転角φkpzとすると、キングピン軸周りにφkpz回転したときの絶対座標から見たタイヤ姿勢の回転行列は、
cφ=cosφ、sφ=sinφ
で表すと、
Figure 2013043553
となる。
ラックストロークとキングピン軸周りの回転角とタイロッドタイヤ側の軌跡ベクトルの関係を整理すると、
Figure 2013043553
となる。
そして、整理して両辺を二乗すると、
Figure 2013043553
となる。
そして、ラックストローク量について逆運動学解を求めると、
Figure 2013043553
となる。なお、数式上は2つの解をもつが、実機の動作範囲に基づきゼロに近い解が真値である。
次に、コントロール/駆動回路ユニット15は、ステップS6,S7で演算された各エネルギの総和である総エネルギ量を求め、その総エネルギ量を、ステップS8で求めたラックストロークrsで偏微分して、基準ラック軸力を算出する(ステップS9)。
図19は、本実施形態における操舵角とラック軸力(実ラック軸力、基準ラック軸力)との関係を示すグラフである。即ち、低μ路における実ラック軸力(実値)は、操舵角が大きくなるに従ってあるピーク値までは徐々に増加するが、あるピーク値を超えた後は操舵角が大きくなるに従って減少するようになる。これに対し、基準ラック軸力は、ドライ路相当の値として推定されるものであるため、路面μに関係なく、操舵角が大きくなるに従って大きくなる傾向がある。このため、低μ路においては、操舵角が大きくなるに従って、基準ラック軸力と実ラック軸力との差は大きくなる。
ステップS9の後、コントロール/駆動回路ユニット15は、イグニションオフとなるまで基準ラック軸力の推定処理を繰り返す。
基準ラック軸力が推定されると、操舵反力演算部15Cのタイヤ横力発生率演算部15gはタイヤ横力発生率τを演算する。
即ち、タイヤ横力発生率τは、基準ラック軸力演算部15Bで推定した基準ラック軸力と、実ラック軸力演算部15fで演算した実ラック軸力とに基づき、
τ=実ラック軸力/基準ラック軸力 (11)
で求めることができる。
図19に示したように、基準ラック軸力は実ラック軸力よりも大きいため、
0<τ<1
となる。
タイヤ横力発生率τが求められたら、操舵反力目標演算部15hは、操舵反力Tstrgを下記式に従って演算する。
Tstrg=ki・Imotor−ks(1−τ)θstrg (12)
ki、ksは比例係数、Imotorは操舵角のみによって決まる操舵反力用モータ5bの駆動電流、θstrgは操舵角である。
即ち、操舵反力Tstrgは、タイヤ横力発生率τが大きい領域であれば操舵角に略々比例した値となるが、タイヤ横力発生率τが小さくなると、上記式の右辺第2項が操舵角に比例して大きくなるため減少することになる。つまり、操舵反力Tstrgは、タイヤ横力発生率τの縮小に応じて減少するようになっている。
図20は、本実施形態における操舵角に対する操舵反力の変化を示すグラフであり、本発明を適用した本実施形態にあっては、操舵角が大きくなるに従って徐々に操舵反力は増加するものの、操舵角が大きくなるに従って上記(12)式の右辺第2項の影響が大きくなり、そのときのタイヤ横力発生率τに応じて操舵反力は小さくなる。図20に示すように、操舵角が大きくなるに従って操舵反力は小さくなるが、その小さくなる傾向は、タイヤ横力発生率τが縮小するほど強くなる。
(動作)
次に、動作を説明する。
本実施形態に係る自動車1は、イグニションオンと共に、基準ラック軸力推定処理の実行を開始する。このとき、コントロール/駆動回路ユニット15が、車両パラメータの設定、キングピン軸の位置の座標設定および操舵中立位置でのタイヤ接地面積とタイヤ姿勢の算出を行う(図3のステップS1〜S3)。
そして、運転者が操舵入力を行うと、その操舵角を操舵角センサ4が検出し、操舵時のタイヤ姿勢の変化から、コントロール/駆動回路ユニット15が操舵によって発生する仕事量を算出する(図3のステップS4〜S6)。
さらに、コントロール/駆動回路ユニット15が、操舵によって生じるキングピン軸周りのモーメントを、車体持ち上げトルク分および摩擦ねじりトルク分それぞれについて算出することにより、左右輪それぞれのモーメントを算出する。
コントロール/駆動回路ユニット15は、このように算出した左右輪それぞれのキングピン軸周りのモーメントを加算して二輪分の操舵トルクを算出し、この操舵トルクを制動時の据え切り力Fbrとして、制動力係数τを乗じた後に、走行時の据え切り力Frunと加算して操舵トルクの推定値Fを算出する(図3のステップS6)。
さらに、コントロール/駆動回路ユニット15は、コーナリングフォースにより発生するエネルギ(セルフアライニングトルク)を算出し(ステップS7)、ラックストロークを算出する(ステップS8)。
そして、コントロール/駆動回路ユニット15は、ステップS6、S7で算出した各エネルギの総和を求め、その総エネルギとラックストローク変化から、基準ラック軸力を推定する(ステップS9)。
さらに、コントロール/駆動回路ユニット15の操舵反力演算部15Cのタイヤ横力発生率演算部15gは、基準ラック軸力演算部15Aによって推定された基準ラック軸力と、実ラック軸力演算部15fが演算した実ラック軸力とに基づき、上記(11)式に従って、タイヤ横力発生率τを演算し、そのタイヤ横力発生率τに基づき、操舵反力目標演算部15hは、操舵反力Tstrgを上記(12)式に従って演算する。
この結果、操舵反力用モータ5bによって入力側ステアリング軸3aに発生する操舵反力は、図20に示すような傾向を示すことになる。しかも、操舵角が大きくなるに従って操舵反力が小さくなる傾向は、タイヤ横力発生率τが小さくなるに従って大きくなる。このため、例えば低μ路を走行している際に、運転者は、大きく操舵した段階において急激に操舵反力が小さくなることを感じることで、タイヤのグリップ力が縮小に転じていることを容易に感知することができる。
しかも、本実施形態に係る操舵反力生成装置は、タイヤと路面との摩擦に対して行った仕事と、車体1Aを持ち上げるために行った仕事量と、セルフアライニングトルクとをそれぞれ算出し、それら算出結果を合算して総エネルギを算出し、その総エネルギとストローク量とから、基準ラック軸力を算出する。
そのため、ラック軸力を車両の設計値や実験による計測値の同定結果に基づいた内部モデルとして予め設定する場合とは異なり、実車両におけるタイヤと路面の摩擦、車体の持ち上げに要する力及びセルフアライニングトルクを算入して基準ラック軸力を推定することができる。
したがって、基準ラック軸力をより高精度に推定することができ、操舵反力制御をより適切に行うことができる。
なお、本実施形態において、車輪速センサ14FR,14FL,14RR,14RLが車速検出手段に対応し、操舵角センサ4が操舵角検出手段に対応する。また、電動モータ5が操舵用電動モータに対応し、ステアリングラック部材7がラック軸に対応する。
また、ラックストローク演算部15Aがストローク検出手段に対応し、基準ラック軸力演算部15Bが基準ラック軸力推定手段に対応する。そして、車体持ち上げエネルギ演算部15aがポテンシャルエネルギ算出手段に対応し、タイヤ摩擦エネルギ演算部15bが摩擦エネルギ算出手段に対応し、セルフアライニングエネルギ演算部15cがセルフアライニングトルク算出手段に対応し、加算部15d及びラック軸力演算部15eが基準ラック軸力算出手段に対応する。
(第1実施形態の効果)
(1)操向輪の操舵において発生する路面と操向輪との摩擦エネルギを算出し、その算出された摩擦エネルギを用いて、基準ラック軸力を推定する。
そのため、実際の操舵時における路面と操向輪との摩擦エネルギを算入して基準ラック軸力が推定されるため、操向輪のねじりに基づく力を含む基準ラック軸力の推定値とすることができる。
したがって、基準ラック軸力をより高精度に推定することが可能となる。
(2)操向輪の操舵に伴う車体の上下方向の変位に基づくポテンシャルエネルギを算出し、その算出されたポテンシャルエネルギを用いて、基準ラック軸力を推定する。
したがって、実際の操舵時における車体を持ち上げる力を含む基準ラック軸力の推定値とできるため、より高精度な推定を行うことができる。
(3)操舵角及び車速に基づいてセルフアライニングトルクを算出し、その算出されたセルフアライニングトルクを用いて、基準ラック軸力を推定する。
したがって、実際の操舵時におけるセルフアライニングトルクを含む基準ラック軸力の推定値とできるため、より高精度な推定を行うことができる。
(4)実際の操舵時における路面と操向輪との摩擦エネルギと、実際の操舵時における車体を持ち上げる力と、実際の操舵時におけるセルフアライニングトルクとを算出し、それらの総和から総エネルギ量を求め、その総エネルギ量とラック軸のストローク量とに基づいて基準ラック軸力を演算する。
このため、ラック軸力を車両の設計値や実験による計測値の同定結果に基づいた内部モデルとして予め設定する場合とは異なり、精度を高めるために、適用される車種ごとに且つ全車速域に渡って実験を行って値を求めて記憶しておく必要がない。よって、開発コストが大幅に嵩んでしまうこともない。
(5)操舵反力用モータによって入力側ステアリング軸に発生する操舵反力を、タイヤ横力発生率の縮小に応じて減少させることができる。
このため、本実施形態における操舵反力生成装置及び車両は、低μ路を走行している際に、運転者は、大きく操舵した段階において急激に操舵反力が小さくなることを感じることで、タイヤのグリップ力が縮小に転じていることを容易に感知することができる。
(6)基準ラック軸力を、摩擦エネルギ、持ち上げる力及びセルフアライニングトルクの総エネルギ量をストローク量で偏微分することで基準ラック軸力を演算する。
このため、ラック軸力を高精度に求めることができる。
(7)ストローク量を、操舵角と設計パラメータとに基づいて算出するため、ストロークセンサを別途設けなくてもストローク量を求めることができる。
(8)実ラック軸力を、操舵用電動モータの駆動電流に基づいて検出するため、実ラック軸力を検出するためのセンサを別途設けなくても実ラック軸力を検出することができる。
(応用例1)
第1実施形態では、操舵角とラック軸力との関係を図19に示したような傾向としているが、この傾向を車速に応じて可変とすることで、より正確な制御が行えるようになる。
即ち、図21(a)に示すように、車両が極低速で走行している際のラック軸力は、操舵角が小さい範囲でも大きく、操舵角が大きくなってもそれほど急激には増加しない。これに対し、図21(b)に示すように、車両が中高速で走行している際には、ラック軸力は、操舵角が小さい範囲では大きくなく、そこから操舵角が大きくなるに従って比較的急峻に増加する。また、図21(a)に示すように、極低速走行時には、低μ路であっても、実ラック軸力(実値)は操舵角が大きくなっても急激には減少しないため、基準ラック軸力との差は、急激には大きくならない。図21(b)に示すように、中高速走行時には、低μ路では、実ラック軸力(実値)は操舵角が大きくなると急激に減少するため、基準ラック軸力との差は比較的急激に増大する。
そこで、操舵反力Tstrgを、下記式に基づいて算出するようにする。
Tstrg=ki・Imotor−a・ks(1−τ)θstrg (13)
但し、aは車速Vに比例した係数(a=bV、b比例定数)である。
この結果、図22(a)に示すように、極低速走行時には、操舵角の増大に応じた操舵反力の減少は、比較的緩やかになり、図22(b)に示すように、中高速走行時には、操舵角に応じた操舵力の減少は、比較的急峻になるため、運転者は、より正確にタイヤのグリップ力が縮小に転じていることを感知することができる。
(効果)
より正確な基準ラック軸力を推定することで、運転者は、より正確にタイヤのグリップ力が縮小に転じていることを感知することができる。
1 自動車、1A 車体、2 ステアリングホイール、3a 入力側ステアリング軸、3b 出力側ステアリング軸、4 操舵角センサ(操舵角検出手段)、5a 電動モータ(転舵用電動モータ)、5b 操舵反力用モータ、6 ピニオンギア、7 ステアリングラック部材、8 タイロッド、9FR,9FL,9RR,9RL 車輪、14FR,14FL,14RR,14RL 車輪速センサ(車速検出手段)、15 コントロール/駆動回路ユニット、15A ラックストローク演算部(ストローク検出手段)、15B 基準ラック軸力演算部(基準ラック軸力推定手段)、15C 操舵反力演算部、15a 車体持ち上げエネルギ演算部(ポテンシャルエネルギ算出手段)、15b タイヤ摩擦エネルギ演算部(摩擦エネルギ算出手段)、15c セルフアライニングエネルギ演算部(セルフアライニングトルク算出手段)、15d 加算部、15e ラック軸力演算部(基準ラック軸力算出手段)

Claims (8)

  1. 運転者による操舵操作が入力される入力側ステアリング軸と、この入力側ステアリング軸から機械的に分離した出力側ステアリング軸と、この出力側ステアリング軸の回転力によって進退して転舵輪を転舵するラック軸と、前記出力側ステアリング軸を回転駆動する転舵用電動モータと、を備えた車両に適用され、前記入力側ステアリング軸に操舵反力を発生させる操舵反力生成装置であって、
    前記入力側ステアリング軸に前記操舵反力を付与する操舵反力用電動モータと、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記入力側ステアリング軸の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記ラック軸に実際に発生している進退方向の軸力である実ラック軸力を検出する実ラック軸力検出手段と、
    前記車速検出手段、前記操舵角検出手段及び前記ラック軸力検出手段の検出結果に基づいて前記操舵反力用電動モータを駆動制御するモータ制御手段と、
    を備え、
    前記モータ制御手段は、
    前記車速検出手段及び前記操舵角検出手段の検出結果に基づき、前記ラック軸に発生している基準ラック軸力を推定する基準ラック軸力推定手段と、
    前記実ラック軸力検出手段が検出した前記実ラック軸力及び前記基準ラック軸力推定手段が推定した前記基準ラック軸力に基づき、走行時に前記転舵輪に発生しているタイヤ横力発生率を演算するタイヤ横力発生率演算手段と、を備えるとともに、
    前記タイヤ横力発生率演算手段が演算した前記タイヤ横力発生率の縮小に応じて、前記操舵反力用電動モータによって発生する前記操舵反力が減少するように前記操舵反力用電動モータを駆動制御するようになっており、
    前記基準ラック軸力推定手段は、
    前記操舵角検出手段が検出した操舵角に基づき、前記転舵輪の転舵によって当該転舵輪と走行路面との間に発生する摩擦エネルギを算出する摩擦エネルギ算出手段と、
    前記操舵角検出手段が検出した操舵角に基づき、前記転舵輪の転舵に伴う車体の上下方向の変位に基づくポテンシャルエネルギを算出するポテンシャルエネルギ算出手段と、
    前記操舵角検出手段が検出した操舵角及び前記車速検出手段が検出した車速に基づき、セルフアライニングトルクを算出するセルフアライニングトルク算出手段と、
    前記ラック軸のストローク量を検出するストローク検出手段と、
    前記摩擦エネルギ、前記ポテンシャルエネルギ及び前記セルフアライニングトルクから求められるラック軸の総エネルギ量と前記ストローク量とに基づいて前記基準ラック軸力を算出する基準ラック軸力算出手段と、
    を備えたことを特徴とする操舵反力生成装置。
  2. 前記モータ制御手段は、前記車速検出手段が検出した前記車速が高くなるほど、前記タイヤ横力発生率の縮小に対する前記操舵反力の減少率を大きくすることを特徴とする請求項1記載の操舵反力生成装置。
  3. 基準ラック軸力算出手段は、前記摩擦エネルギ、前記ポテンシャルエネルギ及び前記セルフアライニングトルクに基づいたラック軸の総エネルギ量を前記ストローク量で偏微分することで前記基準ラック軸力を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の操舵反力生成装置。
  4. 前記ストローク検出手段は、前記操舵角検出手段が検出した前記操舵角と、前記車両の設計パラメータとに基づいて、前記ストローク量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の操舵反力生成装置。
  5. 前記実ラック軸力検出手段は、前記転舵用電動モータの駆動電流に基づいて前記実ラック軸力を検出するようになっている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の操舵反力生成装置。
  6. 運転者による操舵操作が入力される入力側ステアリング軸と、この入力側ステアリング軸から機械的に分離した出力側ステアリング軸と、この出力側ステアリング軸の回転力によって進退して転舵輪を転舵するラック軸と、前記出力側ステアリング軸を回転駆動する転舵用電動モータと、この転舵用電動モータを制御する転舵制御手段と、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の操舵反力生成装置と、を備えたことを特徴とする車両。
  7. 運転者による操舵操作が入力される入力側ステアリング軸と、この入力側ステアリング軸から機械的に分離した出力側ステアリング軸と、この出力側ステアリング軸の回転力によって進退して転舵輪を転舵するラック軸と、前記出力側ステアリング軸を回転駆動する転舵用電動モータと、を備えた車両に適用され、前記入力側ステアリング軸に操舵反力を発生させる操舵反力生成装置であって、
    前記ラック軸に発生している基準ラック軸力を、転舵輪の転舵によって転舵輪と走行路面との間に発生する摩擦エネルギと、前記転舵輪の転舵に伴う車体の上下方向の変位に基づくポテンシャルエネルギと、車速及び操舵角に基づくセルフアライニングトルクと、前記ラック軸のストローク量と、に基づいて推定する基準ラック軸力推定手段を備え、
    実際に発生しているラック軸力と推定した前記基準ラック軸力に基づき走行時に転舵輪に発生しているタイヤ横力の指標を演算し、そのタイヤ横力の指標の縮小に応じて前記操舵反力を減少させることを特徴とする操舵反力生成装置。
  8. 運転者による操舵操作が入力される入力側ステアリング軸と、この入力側ステアリング軸から機械的に分離した出力側ステアリング軸と、この出力側ステアリング軸の回転力によって進退して転舵輪を転舵するラック軸と、前記出力側ステアリング軸を回転駆動する転舵用電動モータと、を備えた車両の前記入力側ステアリング軸に操舵反力を発生させる方法において、
    前記ラック軸に実際に発生している実ラック軸力と、操舵角及び車速に基づいて演算により求められる基準ラック軸力とに基づき、走行時に前記転舵輪に発生しているタイヤ横力発生率を演算し、そのタイヤ横力発生率の縮小に応じて前記入力側ステアリング軸に発生する操舵反力を減少させることを特徴とする操舵反力生成方法。
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