JP2013043158A - 分散剤及び分散性金属ナノ粒子組成物 - Google Patents

分散剤及び分散性金属ナノ粒子組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属ナノ粒子を効果的に分散できる分散剤を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I):
Figure 2013043158

[上記式(I)中、基R、基R、基Xは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示すが、基R、基R、基Xのうち少なくとも1つは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示す。]で表されるマロン酸誘導体からなる分散剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属ナノ粒子の凝集を抑制する分散剤及び分散性金属ナノ粒子組成物に関する。
金属微粒子は、バルク金属とは異なる物理的・化学的特性を有することから、例えば、導電性ペーストや透明導電膜などの電極材料、高密度記録材料、触媒材料、インクジェット用インク材料等の様々な工業材料に利用されている。近年では、電子機器の小型化や薄型化に伴い、金属微粒子も、数十〜数百nm程度まで微粒子化が進んでいる。例えば、電子機器の小型化に伴い、積層セラミックコンデンサーの電極は薄膜多層化が進んでおり、これに伴い電極層の材料には、Niナノ粒子などの金属ナノ粒子が使用されている。
上記のように、工業材料に使用される金属ナノ粒子は、その粒子径が例えば150nmを下回る程度に小さく、粒子径が均一で、かつ分散性に優れることが求められる。しかしながら、微粒子化が進むことで、表面エネルギーの増加により、金属ナノ粒子が凝集し易くなる、という問題が生じている。
金属ナノ粒子を分散させるために用いる分散剤として、例えば多価カルボン酸を含む脂肪酸や不飽和脂肪酸などを含むアニオン系分散剤(例えば、特許文献1)、高分子系イオン性分散剤(例えば、特許文献2)、りん酸エステル系化合物(例えば、特許文献3)などが知られている。これらの分散剤は、ある程度の分散効果が得られるものの、微粒子化の進行に伴い、数十〜数百nm程度の金属微粒子に対しては、凝集を抑えることが十分にできていないのが現状である。従って、金属ナノ粒子の微粒子化に対応した高い分散性を示す分散剤が求められている。
金属ナノ粒子は、固相反応や液相反応によって得られることが知られている。ニッケルナノ粒子を例に挙げると、固相反応としては、塩化ニッケルの化学気相蒸着やギ酸ニッケル塩の熱分解等が挙げられる。液相反応としては、塩化ニッケル等のニッケル塩を水素化ホウ素ナトリウム等の強力な還元剤で直接還元する方法、NaOH存在下ヒドラジン等の還元剤を添加して前駆体[Ni(H2NNH22]SO4・2H2Oを形成した後に熱分解する方法、塩化ニッケル等のニッケル塩や有機配位子を含有するニッケル錯体を溶媒とともに圧力容器に入れて水熱合成する方法、ギ酸ニッケル塩や酢酸ニッケル塩を1級アミン等の還元剤を添加して、マイクロ波を照射する方法等が挙げられる。
従来、固相反応で得られたニッケル粒子から積層セラミックコンデンサーなどの内部電極用のペーストを製造する際は、ビヒクル中にニッケル粒子を混練して、所定のタイミングでカチオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性イオン系などの分散剤を添加し、分散させてニッケルペーストを作製していた。しかしながら、この製造方法では凝集したニッケル粒子を含むため、凝集した状態で分散剤による被覆が行われ、十分な分散効果が得られない。また、ジェットミルや高圧ホモジナイザーを用いて、ニッケル粉末の解砕処理を行い、有機溶媒と飽和脂肪酸を加えて有機溶媒中で分散処理する方法も提案されている(特許文献4)。しかし、微粒子化によって生じる凝集を抑えることができていないのが現状である。
液相反応の技術に関して、ニッケル前駆物質、有機アミンおよび還元剤を混合した後、加熱することでニッケルナノ粒子を得る技術が開示されている(特許文献5)。この技術によれば、ニッケルナノ粒子の大きさおよび形状の制御が容易であるとされている。その理由は定かではないが、ニッケルナノ粒子が有機アミンにコーティングされることで有機溶剤中での分散性が優れることが挙げられている。しかしながら、この製造方法で、強力な還元剤を用いると、反応を制御することが難しく、分散性が高度に優れたニッケルナノ粒子は必ずしも好適には得られない。一方、還元力の弱い還元剤を用いると、酸化還元電位が負電位であるニッケル金属を還元するには高温に加熱する必要があり、それに伴った反応制御が必要になる。
また、ポリオール溶液に、還元剤、分散剤、およびニッケル塩を添加して混合溶液を製造する工程と、混合溶液を撹拌および加熱する工程と、混合溶液を反応させてニッケルナノ粒子を生成する工程と、を含むニッケルナノ粒子の製造方法が開示されている(特許文献6)。この場合、還元剤は前記のような強力な還元剤を使用するものではあるが、粒度が均一で、凝集することなく分散性に優れたニッケルナノ粒子を得ることができるとされている。分散剤としては、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、セルロース誘導体等が記載されている。
特開2001−067951号公報 特開2010−135180号公報 特開1998−092226号公報 特開2006−183066号公報 特開2010−037647号公報 特開2009−024254号公報
本発明の目的は、金属ナノ粒子を効果的に分散できる分散剤を提供することである。
本発明の分散剤は、下記の一般式(I)で表されるマロン酸誘導体からなるものである。
Figure 2013043158
[上記式(I)中、基R、基R、基Xは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示すが、基R、基R、基Xのうち少なくとも1つは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示す。但し、Xが水素原子又は炭素数3〜6のアルキル基のとき、基R、基Rのうち少なくとも1つは、炭素数3〜6のアルキル基又はベンジル基を示し、基Xがフェニル基のとき、基R、基Rは独立に、水素原子、炭素数3〜6のアルキル基、又はベンジル基を示す。]
本発明の分散剤は、前記炭素数1〜6のアルキル基が、炭素数3〜6の分岐したアルキル基であってもよい。
また、本発明の分散剤は、前記炭素数1〜6のアルキル基が、分岐したプロピル基又は分岐したブチル基であってもよい。
また、本発明の分散剤は、上記一般式(I)で表されるマロン酸誘導体が、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−t−ブチル、フェニルマロン酸、マロン酸ジベンジル、フェニルマロン酸モノベンジル及びベンジルマロン酸よりなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、金属ナノ粒子と、上記いずれかの分散剤と、を含有する。
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、前記金属ナノ粒子の粒子径が150nm以下であってもよい。
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、前記金属ナノ粒子が、金、銀、白金、銅、ニッケル、チタン及びコバルトよりなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、さらに溶媒を含有するものであってもよい。この場合、前記溶媒がアルコール系溶媒であってもよい。
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、前記金属ナノ粒子が、液相でのマイクロ波照射により得られたニッケルナノ粒子であってもよい。この場合、前記ニッケルナノ粒子は、酸素原子を0.5〜5.0質量%の範囲内で含有し、かつ、炭素原子を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の分散剤によれば、例えば粒子径が150nm以下の微細な金属ナノ粒子についても、凝集を抑制し、単一粒子が分散した粒子径分布のシャープな金属ナノ粒子の集合体を得ることができる。また、本発明の分散剤は、金属ナノ粒子に対し、強い凝集抑制作用を有することから、少量でも優れた分散効果が期待できる。
ニッケル錯体の構造を示す図であり、(a)は二座配位を、(b)は単座配位を、(c)は外圏にカルボン酸イオンが配位した状態をそれぞれ示す。
[分散剤]
分散剤は、上記一般式(I)で表されるマロン酸誘導体からなる。一般式(I)中、基Xは水素原子又はフェニル基であることが好ましく、基R及び基Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はベンジル基であることが好ましい(ただし、基R、基R、基Xのうち少なくとも1つは、炭素数3〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である)。ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などを挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜6の分岐したアルキル基が優れた分散効果を有するので好ましく、その中でも分岐したプロピル基又は分岐したブチル基がより好ましく、イソプロピル基、t−ブチル基が最も好ましい。
上記一般式(I)で表されるマロン酸誘導体の好ましい具体例としては、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−t−ブチル、フェニルマロン酸、マロン酸ジベンジル、フェニルマロン酸モノベンジル、ベンジルマロン酸、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジヘキシルなどを挙げることができる。これらの中でも、優れた分散効果を有するマロン酸ジ−t−ブチル、フェニルマロン酸、マロン酸ジベンジル、フェニルマロン酸モノベンジルが最も好ましい。
上記一般式(I)で表されるマロン酸誘導体は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、発明の効果を損なわない範囲で、他の化合物からなる分散剤と組み合わせて使用することもできる。
[金属ナノ粒子]
本実施の形態の分散剤により分散させる対象である金属ナノ粒子としては、例えば、卑金属又は貴金属のナノ粒子を挙げることができる。卑金属としては、例えば、ニッケル、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム等を挙げることができる。貴金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム等を挙げることができる。上記卑金属又は貴金属のナノ粒子の中でも、例えば、ニッケル、チタン、コバルト、銅、金、銀、白金等のナノ粒子が好ましい。また、これらの中でも特に、後述する液相でのマイクロ波照射により製造することができるナノ粒子が特に好ましく、例えば、ニッケル、コバルト、銅、金、銀、白金等のナノ粒子が挙げられる。なお、金属ナノ粒子は上記の金属元素を単独で又は2種以上含有していてもよく、また水素、炭素、窒素、硫黄等の金属元素以外の元素を含有していてもよいし、これらの合金であってもよい。さらに、単一の金属ナノ粒子で構成されていてもよく、2種以上の金属ナノ粒子を混合したものであってもよい。
金属ナノ粒子の粒子径は、特に制限はなく、その使用目的に応じて、例えば1〜200nmの範囲内から選択される。本実施の形態の分散剤は、公知の分散剤では分散効果が期待できない小さな粒子径、例えば150nm以下、特に100nm以下の粒子径の金属ナノ粒子に対しても、優れた分散効果が得られる。換言すれば、本実施の形態の分散剤の適用対象は、例えば粒子径が150nm以下の金属ナノ粒子が好ましく、100nm以下の金属ナノ粒子がより好ましい。別の観点から、金属ナノ粒子の平均粒子径は、好ましくは10〜150nmの範囲内、より好ましくは20〜120nmの範囲内がよい。
[金属ナノ粒子への適用方法]
分散剤の適用方法は、特に制限はなく、例えば、a)金属ナノ粒子に対して所定量の分散剤を混合し、混練分散させる方法、b)金属ナノ粒子を液相法で合成した後で液相中に分散剤を所定量添加する方法、c)高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて金属ナノ粒子を機械的に解砕し、その解砕の前又は後に、分散剤を所定量添加し分散させる方法など、様々な方法が挙げられる。一般式(I)で表されるマロン酸誘導体は、常温で固体(粉末)であるため、そのまま金属ナノ粒子に混合してもよいし、任意の溶媒に溶解した状態で金属ナノ粒子に混合してもよい。
本実施の形態の分散剤は、強い凝集抑制作用を有することから、少量でも優れた分散効果が期待できる。本実施の形態の分散剤の使用量は、金属ナノ粒子100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の範囲内とすることが好ましく、1質量部以上30質量部以下の範囲内がより好ましい。金属ナノ粒子100質量部に対する分散剤の使用量が0.1質量部未満では分散効果が十分に得られない傾向があり、40質量部を超えると、分散剤の残渣による凝集体が発生する傾向がある。また、上記の上限を超えて分散剤を過剰に使用すると、金属ナノ粒子中に残留した分散剤によって製品に影響を与える場合がある。例えば、本実施の形態の分散剤を用いて分散させた金属ナノ粒子を、積層セラミックコンデンサーの製造に使用する場合、分散剤の使用量が過剰であると、製造工程おける焼成時の体積変化が大きくなり、剥離や膜切れの原因となる場合がある。
金属ナノ粒子に分散剤を適用した後、余剰の分散剤を洗浄して除去することが好ましい。洗浄は、例えばイソプロパノールなどのアルコール系溶媒を用いて行うことができる。
一般式(I)で表されるマロン酸誘導体が、金属ナノ粒子に対して優れた分散作用を有する理由は未だ明らかではないが、金属ナノ粒子と一般式(I)で表されるマロン酸誘導体との間に、何らかの相互作用が生じているものと推測される。例えば、一般式(I)で表されるマロン酸誘導体は、分子内に2つのカルボン酸又は該カルボン酸から誘導された2つのエステル構造と、これらのエステル構造の形成に関与する嵩高い又は疎水性の芳香環又はアルキル基(好ましくは分岐したアルキル基)を有している。このような構造が分散作用に関与している可能性がある。すなわち、2つのカルボン酸又はエステル構造と、嵩高い又は疎水性の芳香環又はアルキル基(好ましくは分岐したアルキル基)によって金属ナノ粒子との間に相互作用が生じ、金属ナノ粒子の周囲に前記マロン酸誘導体が近接した状態で存在することによって、金属ナノ粒子の表面の電気的性質を変化させ、あるいは立体的な障害によって、金属ナノ粒子同士の凝集を抑制し、更には溶媒との親和性によって分散性を付与しているものと考えられる。ここで、相互作用としては、例えばイオン性結合、共有結合、静電結合、配位結合、水素結合等が考えられる。
本実施の形態に係る分散剤を用いることによって、粒子径が150nm以下の微細な金属ナノ粒子についても、凝集を抑制し、単一粒子が分散した粒子径分布のシャープな金属ナノ粒子の集合体を得ることができる。また、本実施の形態に係る分散剤は、強い凝集抑制作用を有することから、少量でも優れた分散効果が期待できる。さらに、余剰の分散剤を除去することで、焼成工程などで発生する揮発分を低減できる効果も得られる。このように、凝集粒子が少なく、シャープな粒子径分布を持つ金属ナノ粒子は、例えば積層セラミックコンデンサーの内部電極材料等の工業材料として好適に用いることができる。
[分散性金属ナノ粒子組成物]
本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、分散剤と、金属ナノ粒子と、を含有する。ここで、分散剤及び金属ナノ粒子としては、上記のものが用いられる。
また、本発明の分散性金属ナノ粒子組成物は、任意成分として、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数3〜18のアルコール系溶媒等を使用することができる。好ましい溶媒の具体例としては、イソプロパノール、テトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。また、後述するように、金属ナノ粒子の液相合成に使用した1級アミンをそのまま溶媒として用いることもできる。
分散性金属ナノ粒子組成物において、分散剤と金属ナノ粒子とは、複合体を形成していてもよい。ここで複合体とは、一般式(I)で表されるマロン酸誘導体が有する官能基と、金属ナノ粒子の表面又は該表面に存在する官能基(例えば水酸基)との相互作用により、金属ナノ粒子の周囲に前記マロン酸誘導体が付着したり、配位したりしている状態を意味する。
本実施の形態において、分散性金属ナノ粒子組成物の調製は、特に制限はなく、分散剤と、金属ナノ粒子とを混合し、必要により、混練、攪拌等を行えばよい。この場合、金属ナノ粒子への分散剤の適用は、例えば上記a)〜c)に準じて実施できる。
本実施の形態の分散性金属ナノ粒子組成物における分散剤の含有量は、金属ナノ粒子100質量部に対して0.1質量部以上40質量部以下の範囲内とすることが好ましく、1質量部以上30質量部以下の範囲内がより好ましい。金属ナノ粒子100質量部に対する分散剤の含有量が0.1質量部未満では分散性が低下する傾向があり、40質量部を超えると、凝集が生じ易くなる傾向がある。
[金属ナノ粒子の製造方法]
本発明の分散剤の適用対象である金属ナノ粒子、又は本発明の分散性金属ナノ粒子組成物に含有される金属ナノ粒子は、上記例示の金属種のナノ粒子であれば特に制限はないが、分散剤の効果を十分に発揮させるために、粒子径が150nm以下で粒子径分布が狭い(例えば、CV値が0.2以下の)金属ナノ粒子であることが好ましい。このような粒子径分布の金属ナノ粒子を製造することは一般に困難を伴うが、液相でのマイクロ波照射により製造することができる。そこで、ニッケルナノ粒子を例に挙げて、液相でのマイクロ波照射による製造方法を説明する。
ニッケルナノ粒子は、次の工程A及びB;
A)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
及び、
B)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、金属ニッケルナノ粒子のスラリーを得る金属ニッケルナノ粒子スラリー生成工程、
を含むマイクロ波照射による液相法により調製することができる。このように製造されたニッケルナノ粒子に対して、本実施の形態の分散剤は、後記実施例に示すように、非常に優れた分散効果を示す。液相でのマイクロ波照射により製造されたニッケルナノ粒子は、例えば酸素原子を0.5〜5.0質量%の範囲内で含有し、炭素原子を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することが好ましい。これらの酸素原子及び炭素原子は、液相反応によるニッケルナノ粒子の合成過程で、ニッケルナノ粒子の表面に、水酸化物又は有機物として付着したものである。なお、「ニッケルナノ粒子」とは、ニッケル以外の金属を含むニッケル合金のナノ粒子であってもよい。この場合、ニッケル以外の金属として、例えば、銅、コバルト等を挙げることができる。
<工程A;錯化反応液生成工程>
(カルボン酸ニッケル)
カルボン酸ニッケル(カルボン酸のニッケル塩)は、カルボン酸の種類を限定するものではなく、例えば、カルボキシル基が1つのモノカルボン酸であってもよく、また、カルボキシル基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。このようなカルボン酸ニッケルとして、非環式モノカルボン酸ニッケルを好適に用いることができ、非環式モノカルボン酸ニッケルのなかでも、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、安息香酸ニッケル等を用いることがより好ましい。これらの非環式モノカルボン酸ニッケルを用いることによって、得られるニッケルナノ粒子は、その形状のばらつきが抑制され、均一な形状として形成されやすくなる。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。
なお、カルボン酸ニッケルに代えて、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等の無機塩を用いることも考えられるが、無機塩の場合、解離(分解)が高温であるため、解離後のニッケルイオン(又はニッケル錯体)を還元する過程で更なる高い温度での加熱が必要となるため好ましくない。また、Ni(acac)(β-ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等の有機配位子により構成されるニッケル塩を用いることも考えられるが、これらのニッケル塩を用いると、原料コストが高くなり好ましくない。
(1級アミン)
1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)に対する還元能を効果的に発揮する。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも単独では使用できないが、1級アミンを使用する上で、生成するニッケルナノ粒子の形状に支障を与えない範囲でこれらを併用することは差し支えない。1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級アミンであっても、100℃以上の加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成するナノ粒子の粒子径を制御することができ、特に平均粒子径が20nm〜100nmの範囲内にあるナノ粒子を製造する場合において有利である。ナノ粒子の粒子径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られるナノ粒子の粒子径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。例えばオレイルアミンは、ナノ粒子生成過程に於ける温度条件下において液体状態として存在するため均一溶液で反応を効率的に進行できる。
1級アミンは、ナノ粒子の生成時に表面修飾剤として機能するため、1級アミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、1級アミンは、還元反応後に、生成したナノ粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元して金属ニッケルナノ粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級アミンにおいては沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましく、また、炭素数が9以上のものが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族アミン[C21N(ノニルアミン)]の沸点は201℃である。1級アミンの量は、ニッケル1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましく、4mol以上用いることが望ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られるニッケルナノ粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
(有機溶媒)
工程Aでは、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。有機溶媒を用いる場合、有機溶媒をカルボン酸ニッケル及び1級アミンと同時に混合してもよいが、カルボン酸ニッケル及び1級アミンを先ず混合し錯形成した後に有機溶媒を加えると、1級アミンが効率的にニッケル原子に配位するので、より好ましい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
2価のニッケルイオンは配位子置換活性種として知られており、形成する錯体の配位子は温度、濃度によって容易に配位子交換により錯形成が変化する可能性がある。例えばカルボン酸ニッケルおよび1級アミンの混合物を熱処理して反応液を得る工程において、用いるアミンの炭素鎖長等の立体障害を考慮すると、例えば、図1に示すように、カルボン酸イオン(RCOO、RCOO)が二座配位(a)または単座配位(b)いずれかで配位する可能性があり、さらにアミンの濃度が大過剰の場合は外圏にカルボン酸イオンが存在する(c)の少なくとも3種の可能性がある。目的とする反応温度(還元温度)に於いて均一溶液とするには、図1(a)〜(c)において、少なくともA、B、C、D、E、Fの配位子のうち少なくとも一箇所は1級アミンが配位している必要がある。その状態をとるには、1級アミンが過剰に反応溶液内に存在している必要があり、少なくともニッケルイオン1molに対し2mol以上存在していることが好ましく、2.2mol以上存在していることがより好ましく、4mol以上存在していることが望ましい。
この錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して反応を行う。この加熱は、カルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル2水和物や酢酸ニッケル4水和物のようなカルボン酸ニッケルの水和物を用いた場合に特に有利である。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した配位水と1級アミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、錯体配位子としての水分子を解離させることができ、さらにその水を系外に出すことができるので効率よくアミンとの錯体を形成させることができる。例えば、ギ酸ニッケル2水和物は、室温では2個の配位水と2座配位子である2個のギ酸イオンが存在した錯体構造をとっているため、この2つの配位水と1級アミンの配位子置換により効率よく錯形成させるには、100℃より高い温度で加熱することでこの錯体配位子としての水分子を解離させることが好ましい。また、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応における熱処理は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記の上限温度以下とし、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下とすることがよい。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができるが、錯形成反応を完結させるという観点から、10分以上とすることが好ましい。加熱時間の上限は特にないが、長時間熱処理することはエネルギー消費及び工程時間を節約する観点から無駄である。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応は、カルボン酸ニッケルと1級アミンとを有機溶媒中で混合して得られる溶液を加熱したときに、溶液の色の変化によって確認することができる。また、この錯形成反応は、例えば紫外・可視吸収スペクトル測定装置を用いて、300nm〜750nmの波長領域において観測される吸収スペクトルの吸収極大の波長を測定し、原料の極大吸収波長(例えばギ酸ニッケル2水和物ではその極大吸収波長は710nmであり、酢酸ニッケル4水和物ではその極大吸収波長は710nmである。)に対する錯化反応液のシフト(極大吸収波長が600nmにシフト)を観測することによって確認することができる。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成が行われた後、得られる反応液を、次に説明するように、マイクロ波照射によって加熱することにより、ニッケル錯体のニッケルイオンが還元され、ニッケルイオンに配位しているカルボン酸イオンが同時に分解し、最終的に酸化数が0価のニッケルを含有する金属ニッケルナノ粒子が生成する。一般にカルボン酸ニッケルは水を溶媒とする以外の条件では難溶性であり、マイクロ波照射による加熱還元反応の前段階として、カルボン酸ニッケルを含む溶液は均一反応溶液とする必要がある。これに対して、本実施の形態で使用される1級アミンは、使用温度条件で液体であり、かつそれがニッケルイオンに配位することで液化し、均一反応溶液を形成すると考えられる。
<工程B;ナノ粒子スラリー生成工程>
本工程では、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して金属ニッケルナノ粒子スラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られるナノ粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。なお、加熱温度は、例えばカルボン酸ニッケルの種類や金属ニッケルナノ粒子の核発生を促進させる添加剤の使用などによって、適宜調整することができる。
本工程では、マイクロ波が反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒子径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。
均一な粒子径を有するナノ粒子を生成させるには、工程Aの錯化反応液生成工程(ニッケル錯体の生成が行われる工程)でニッケル錯体を均一にかつ十分に生成させることと、本工程Bのマイクロ波照射によって加熱する工程で、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元により生成するニッケル(0価)の核の同時発生・成長を行う必要がある。すなわち、錯化反応液生成工程の加熱温度を上記の特定の範囲内で調整し、ナノ粒子スラリー生成工程におけるマイクロ波による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒子径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、ナノ粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、ナノ粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、ナノ粒子の収率の点からも好ましくはない。
マイクロ波照射によって加熱して得られる金属ニッケルナノ粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、ニッケルナノ粒子が得られる。ナノ粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることが好ましい。
以上のようにして、表面に水酸基を有する平均粒子径150nm以下のニッケルナノ粒子を調製することができる。なお、ニッケルナノ粒子に限らず、他の金属ナノ粒子を製造する場合も、上記方法に準じて行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[平均粒子径の測定]
平均粒子径の測定は、SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの粒子径を求め、平均粒子径を算出した。
[分散性の評価]
分散性の評価は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名;LA−950V2)を用いて、金属粒子をイソプロパノールに分散させたスラリー溶液(固形分濃度10wt%)を所定の濃度に希釈して、該粒子径分布測定装置内にて超音波で5分間分散させ、体積分布の測定を行い、粒度分布の結果にて分散性の比較評価を行った。
(合成例1)
125.9gのラウリルアミンに18.5gのギ酸ニッケル二水和物を加え、窒素フロー下、120℃で10分間加熱することによって、ギ酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、さらに83.9gのラウリルアミンを加え、マイクロ波を用いて180℃で10分間加熱することによって、ニッケルナノ粒子スラリーを得た。
ニッケルナノ粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥することによって、ニッケルナノ粒子(平均粒子径;100nm)を得た。このニッケルナノ粒子は、元素分析の結果、C;0.9、N;<0.1、O;1.4(単位は質量%)であった。
(参考例1)
合成例1で得られたニッケルナノ粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄した後、圧力200MPaの条件にて高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製、商品名;スターバースト)を用いてニッケルナノ粒子を分散させたスラリー溶液1(固形分濃度10wt%)を調製した。このスラリー溶液1の粒度分布の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例1−1)
参考例1で調製したスラリー溶液1の10gを分取し、これにマロン酸ジ−t−ブチルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1−1)
参考例1で調製したスラリー溶液1の10gを分取し、これにマロン酸の0.2gを添加し、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表1に示す。
以上の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2013043158
(参考例2)
合成例1で得られたニッケルナノ粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄した後、圧力100MPaの条件にて高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製、商品名;スターバースト)を用いてニッケルナノ粒子を分散させたスラリー溶液2(固形分濃度10wt%)を調製した。このスラリー溶液2の粒度分布の測定を行った。結果を表2に示す。
(実施例2−1)
参考例2で調製したスラリー溶液2の10gを分取し、これにフェニルマロン酸の0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表2に示す。
以上の結果をまとめて表2に示す。
Figure 2013043158
(参考例3)
合成例1で得られたニッケルナノ粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンを用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄した後、圧力150MPaの条件にて、高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製、商品名;スターバースト)を用いてニッケルナノ粒子を分散させたスラリー溶液3(固形分濃度10wt%)を調製した。このスラリー溶液3の粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
(実施例3−1)
参考例3で調製したスラリー溶液3の10gを分取し、これにフェニルマロン酸モノベンジルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
(実施例3−2)
参考例3で調製したスラリー溶液3の10gを分取し、これにマロン酸ジベンジルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例3−1)
参考例3で調製したスラリー溶液3の10gを分取し、これにマロン酸ジエチルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例3−2)
参考例3で調製したスラリー溶液3の10gを分取し、これにマロン酸ジメチルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
(比較例3−3)
参考例3で調製したスラリー溶液3の10gを分取し、これにイソブチルマロン酸ジエチルの0.2gを加え、15分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、粒度分布の測定を行った。結果を表3に示す。
以上の結果をまとめて表3に示す。
Figure 2013043158
平均粒子径100nmのニッケルナノ粒子を用いて評価した結果、表1〜3に示したように、実施例1−1、2−1、3−1〜3−2では、体積分布D50[メジアン径;小粒子径側からの積算粒度分布(体積基準)が50%となる粒子径]が十分に小さいのに対し、比較例ではD50が大きく、凝集体が多く存在し、分散性が低いことが判明した。また、粗大凝集粒子の目安となる体積分布D90[小粒子径側からの積算粒度分布(体積基準)が90%となる粒子径]、D99[同99%となる粒子径]についても、実施例は比較例に比べて格段に小さく、凝集粒子が少なく、粒子径分布がシャープで、分散性が良好なことが確認された。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。

Claims (11)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 2013043158
    [上記式(I)中、基R、基R、基Xは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示すが、基R、基R、基Xのうち少なくとも1つは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を示す。但し、Xが水素原子又は炭素数3〜6のアルキル基のとき、基R、基Rのうち少なくとも1つは、炭素数3〜6のアルキル基又はベンジル基を示し、基Xがフェニル基のとき、基R、基Rは独立に、水素原子、炭素数3〜6のアルキル基、又はベンジル基を示す。]
    で表されるマロン酸誘導体からなる分散剤。
  2. 前記炭素数1〜6のアルキル基が、炭素数3〜6の分岐したアルキル基である請求項1に記載の分散剤。
  3. 前記炭素数1〜6のアルキル基が、分岐したプロピル基又は分岐したブチル基である請求項1に記載の分散剤。
  4. 上記一般式(I)で表されるマロン酸誘導体が、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−t−ブチル、フェニルマロン酸、マロン酸ジベンジル、フェニルマロン酸モノベンジル及びベンジルマロン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の分散剤。
  5. 金属ナノ粒子と、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の分散剤と、
    を含有する分散性金属ナノ粒子組成物。
  6. 前記金属ナノ粒子の粒子径が150nm以下である請求項5に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
  7. 前記金属ナノ粒子が、金、銀、白金、銅、ニッケル、チタン及びコバルトよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項5又は6に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
  8. さらに溶媒を含有するものである請求項5から7のいずれか1項に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
  9. 前記溶媒がアルコール系溶媒である請求項8に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
  10. 前記金属ナノ粒子が、液相でのマイクロ波照射により得られたニッケルナノ粒子である請求項5から9のいずれか1項に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
  11. 前記ニッケルナノ粒子は、酸素原子を0.5〜5.0質量%の範囲内で含有し、かつ、炭素原子を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有するものである請求項10に記載の分散性金属ナノ粒子組成物。
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