「第1の実施の形態」
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
ガラス枠16の下部には、皿ユニット24が配置されている。皿ユニット24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと皿ユニット24が開放する。
皿ユニット24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
上皿部28の周縁壁32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
また、皿ユニット24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
皿ユニット24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
ここで、皿ユニット24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、皿ユニット24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっている。なお、透明のアクリル板の裏面側にセルが貼着されたセット板が重ねられる場合もある。
遊技盤18は、その盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図4参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
遊技盤18の遊技領域には、釘19及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105(役物装置)が配置されている。ここで、遊技盤18において、センター役物105の周囲の遊技盤面が通常遊技領域18Aとされ、センター役物105の内側の領域は、この通常遊技領域18Aとは区画された特定遊技部105Aとなる。センター役物105には一部に入賞流入口110が形成され、開閉部材としての羽根部材112が取り付けられ、この羽根部材112が開放しているときにかぎり、通常遊技領域18Aにある遊技球PBを特定遊技部105Aへ入賞させることが可能となっている。なお、センター役物105の構造については、後述する。
センター役物105の左右には、それぞれ一般入賞口114が設けられている。センター役物105よりも下部には、入賞役物装置116が設けられている。
入賞役物装置116には、その中央にセンター特定入賞口118Cが設けられ、その左右に一対のサイド特定入賞口118L、118Rが設けられている。なお、センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rを総称する場合、単に、特定入賞口118という。また、入賞役物装置116の左右には、一般入賞口114が設けられている。
ここで、4個の一般入賞口114はそれぞれ入賞すると、所定数(例えば、10〜15球)の賞球払い出しが実行されるようになっている。
一方、特定入賞口118は、それぞれ入賞すると、所定数(1〜5球)の賞球払い出しが実行されると共に(賞球払い出しがない場合もある)、前記羽根部材112を所定期間開放する契機となる。
また、遊技盤18の通常遊技領域18Aの最下位置には、何れの入賞口にも入賞しない外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
(センター役物105)
図3に示される如く、第1の実施の形態に係るセンター役物105は、左右対称形状とされ、その左右には、それぞれ縦壁部122が形成され、前記遊技盤18の通常遊技領域18Aとは区画されている。また、センター役物105の天井部は、遊技機10のテーマに即した形状の飾り部材124が取り付けられている。
一対の縦壁部122の上端部と、前記飾り部材124との間は開口しており、センター役物105内の特定遊技部105Aへの一対の入賞流入口110とされている。
一対の縦壁部122の上端部には、羽根部材112が回転軸112Aを介して、回転可能に取り付けられている。回転軸112Aは、羽根部材ソレノイド112SL(図4参照)がリンク機構(図示省略)を介して取り付けられている。
羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLへの励磁制御によって、回転軸112Aを中心に回転される。例えば、羽根部材ソレノイド112SLが非励磁の場合は縦位置(図3の実線参照)となり、励磁の場合は横位置(図3の想像線参照)となる。
一対の羽根部材112は、前記センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rに遊技球PBが入賞すると開放するようになっている。一例として、遊技球PBが、一対のサイド特定入賞口118L、118Rの何れかに入賞すると、羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。また、遊技球PBがセンター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112が2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。
前記1対の羽根部材112の開放中に、左右の何れかの入賞流入口110から入賞した遊技球PBは、中間ステージ部130へ案内されるようになっている。
中間ステージ部130は、落下面が奥側にいくに従い低位となる傾斜面に形成され、遊技球PBは、中間ステージ部130の奥側に転動するようになっている。
また、中間ステージ部130の奥側における幅方向中央部には、円筒部材132が配置されている。円筒部材132は、円筒部材モータ132M(図4参照)の駆動力により、円筒軸を中心に回転可能となっている。
また、前記中間ステージ部130の奥側における、前記円筒部材132が配置された幅方向中央部以外は、堰き止め壁134が配置されている。堰き止め壁134は、堰き止め壁ソレノイド134SL(図4参照)のアクチュエータに連結され、堰き止め壁ソレノイド134SLの通電、非通電(励磁、非励磁)によって、堰き止め位置又は堰き止め解除位置の少なくとも2位置に移動可能となっている。
前記円筒部材132は、その上端部は半球状に形成され、下端部は前記中間ステージ部130を突き抜けて、当該中間ステージ部130よりも下方に設けられたV入賞案内ステージ部136にまで至っている。
円筒部材132は、その周面の一部に貫通孔132Aが設けられている。貫通孔132Aの上端は、前記中間ステージ部130の遊技球転動面よりも高く、貫通孔132Aの下端は、前記V入賞案内ステージ部136の遊技球転動面まで延設されている。
V入賞案内ステージ部136は、奥側から手前側にいくに従い低位となる傾斜面に形成されている。V入賞案内ステージ部136の手前側は、複数の受入口が設けられ、その中央がV入賞口138、それ以外が外れ口140とされている。V入賞口138、外れ口140に連通する流路には、それぞれ別々の球検出センサ138S、140S(図4参照)が設けられている。
ここで、通常状態では、前記堰き止め部材134が堰き止め解除状態となっており、羽根部材112の開放によって前記中間ステージ部130に案内された遊技球PBは、そのほとんどが、中間ステージ部130の奥側からV入賞案内ステージ部136へ落下し、予め設定した確率の下(遊技球PBの動向が加味されて)、V入賞口138へ至るか、外れ口140へ至るかの何れかの結果となる。なお、このときのV入賞口138への入賞率は、後述する貫通孔132Aを通過した遊技球PBのV入賞口138への入賞率よりも相対的に低い。
ここで、V入賞口138に到達すると大当たりとなり、大役処理が実行される。大役処理とは、前記羽根部材112を通常遊技状態よりも長い期間(開放時間×開放回数)開放する動作を1ラウンドとして、その後のセンター役物105内での遊技球の動向によって、予め定められた最大ラウンドを限度として、複数ラウンド繰り返す(ラウンド更新する)遊技を言う。ラウンド更新は、当該ラウンド中における入賞口138への入賞である。
大役処理中は、前記堰き止め壁134が堰き止め位置にあり、中間ステージ部130には、多くの遊技球PBが貯留されることになる。この遊技球PBの貯留量が所定量を超えると、前記円筒部材132の前方まで遊技球PBが貯留されてくることになる。このとき、貯留されてきた遊技球PBが、貫通孔132Aまで到達すると、遊技球PBは、貫通孔132Aから円筒部材132の内方へ入り、V入賞案内ステージ部136に落下する。
貫通孔132Aは、V入賞ステージ部136の幅方向中央部に位置するため、この遊技球PBは、V入賞案内ステージ部136の傾斜に従って手前側に転動して、V入賞口138に到達し易くなっている。
この結果、遊技球PBを貯留するという遊技者介入によって、ラウンド更新を得るとことになる(自力継続タイプ)。なお、前記堰き止め壁134は、ラウンド更新が決定する、あるいは所定時間が経過すると、堰き止め解除状態となる。
(制御系の構成)
次に、図4を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
第1の実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、図4に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
主制御部150には、入力系として、一般入賞口114への入賞球を検出する一般入賞センサ114S、センター特定入賞口118Cへの入賞球を検出するセンター特定入賞センサ118CS、サイド特定入賞口118L、118Rへの入賞球を検出するサイド特定入賞センサ118LS、118RS、入賞流入口110からセンター役物105内に流入したことを検出する球検出センサ110S、V入賞口138に入賞した遊技球PBを検出するV入賞球検出センサ138S、外れ口140に流入した遊技球を検出する外れ球検出センサ140Sが接続されている。
また、主制御部150には、遊技とは直接関係ない入力系として、ガラス枠16の開閉状態を検出するガラス枠開閉状態検出センサ16S、皿ユニット24の開閉状態を検出する皿ユニット開閉状態検出センサ24Sが接続されている。
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報や遊技状態をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、羽根部材112を開閉するための羽根部材ソレノイド112SL、円筒部材132を回転するための円筒部材モータ132M、堰き止め壁134を動作するための堰き止め壁ソレノイド134SLが接続されている。
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、7セグ表示器139、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
(異常振動監視制御)
第1の実施の形態の主制御部150には、遊技盤18上の遊技球PBの各部への入賞を検出するセンサ以外に、振動検出センサ142が接続されている。振動検出センサ142は、遊技盤18、ひいてはパチンコ機10全体に加わる振動を検出する機能を有している。
前述したように、第1の実施の形態のセンター役物105では、遊技球PBの動向によって、ラウンド継続されるか否かが決まるため、遊技者の心理状態から、外部からの衝撃によって、遊技球PBの動向に変化を加えるべく、パチンコ機10の枠体やガラス枠16を叩く場合がある。このような、外部からの衝撃は、現実に遊技球PBの動向に変化があろうとなかろうと、不正に相当する。
そこで、第1の実施の形態では、パチンコ機10に振動検出センサ142を配置し、主制御部150でこれを監視すると共に、振動検出センサ142により、予め定めた異常信号検出があった場合に、ある期間のV入賞を無効にする、或いは、一部又は全部の電気部品への通電を止めるといった不正防止処理が実行されるようになっている。
図5には、振動検出センサ142の構成の一例が示されている。図5に示す振動検出センサ142は、所謂振り子式構造であり、皿状(円弧面状)の受け台142Aと、受け台142Aに載せられて自由状態となっている金属製の球体142Bとを備えている。
受け台142Aには、LC発振回路143に接続されたコイル部142Cが埋設されている。LC発振回路143には、電源回路144が所定の電圧の電源が供給され、通常状態で一定の発振周波数で発振されており、その信号は信号処理回路145へ送出されるようになっている。
ここで、前記金属製の球体142Bは、パチンコ機10の振動に応じて受け台142A上で動くようになっており、この球体142Bが動くことで、LC発振回路143に磁界の変化に応じて変化する電流が入力されることで、発振周波数に変化が生じ、信号処理回路145では、予め定めたしきい値を超える信号が入力されると、トランジスタ146のベースにH(ハイレベル)信号を出力してオン状態とし、出力信号(OUT端子148OUT)を反転させるようになっている。
この出力信号が前記主制御部150に入力されると、主制御部150では、「異常振動検出」と判断し、不正防止処理を実行する。
ところで、パチンコ機10では、遊技盤上(センター役物内を含む)で遊技球PBが球詰まりを起こす場合がある。
第1の実施の形態で説明したセンター役物105に代表されるような、所謂自力継続タイプでは、特に、中間ステージ部130に遊技球PBを意図的に貯留する構造であり、球詰まりが置き易い構造でもある。
球詰まりが発生すると、遊技者は、店員(係員)を呼び出し、店員がガラス枠16等を開放して、直接手で球詰まりを解消する場合がある。この作業中も、前述した振動検出センサ142は監視が継続されており、当該作業が終了した後、店員がカラス枠16等を閉止することになるが、この閉止動作は、遊技盤18面を緊密に閉塞する構造上、ある程度勢いをもって閉止動作を行うため、振動検出センサ142から異常時の信号が出力され、主制御部150で「異常振動検出」と判断し、不正防止処理がなされることがあった。
そこで、第1の実施の形態の主制御部150では、ガラス枠16の開閉に応じて、振動検出センサ142からの信号を無効にする期間を設けるようにした。この無効期間の設定のため、主制御部150には、タイマ回路150Tが内蔵されている。なお、このタイマ回路150Tは、主制御部150を動作するための動作用クロックから生成してもよいし、別途タイマ回路を接続してもよい。第1の実施の形態では、タイマ回路150Tは、ガラス枠16が開放された時点で、リセットスタートし、予め定められた期間中は、振動検出センサ142からの信号に対する判定を無効するようになっている(無効期間の設定)。
すなわち、振動検出センサ142は、常時検出が継続されており、当然ガラス枠16の開閉動作による振動においても、予め定めたしきい値を超えた場合には、出力信号(OUT信号)が異常を示す信号に反転する。
主制御部150では、この信号を受けて、「異常振動検出」と判定する前に、タイマ回路150Tによる無効期間中か否かを判断して、当該無効期間中の場合には、「異常振動検出」を無効とする。
なお、例えば、センター役物105内での球詰まりにおいて、球詰まりした遊技球PBを取り除き、かつ回収してしまうと、センター役物105内に流入した遊技球PBの数と、V入賞する又は外れる遊技球PBの合計数とに差が発生することがある(IN−OUT不一致)。このようなエラー監視に関しては、無効としない方が好ましい。エラー監視を無効とせず、例えば、IN−OUT不一致を認識した上で、店員(係員)が手動によりエラー解除動作をすればよい。
以下に第1の実施の形態の作用を説明する。
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
また、遊技球PBが遊技領域内に設けたセンター特定入賞口118C、或いはサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、遊技仕様に基づく処理(例えば、羽根部材112の開閉動作等)が実行されると共に、発光素子137を用いた視覚演出や、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、一般入賞口114に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
ここで、羽根部材112の開放によって、センター役物105内に遊技球PBが入賞した場合は、その後の遊技球PBの動向により、V入賞するか否かが決定し、V入賞となった場合に、大役処理が実行される。
(センター役物105による通常遊技状態での遊技)
遊技盤18上のセンター特定入賞口118Cに遊技球PBが入賞すると、羽根部材112が、2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放する。また、サイド特定入賞口112L、112Rに遊技球PBが入賞すると、羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放する。
羽根部材112が開放している間は、遊技球PBはセンター役物105内に流入可能であり、流入した遊技球PBは、まず中間ステージ部130へ到達し、当該中間ステージ部130の傾斜面に沿って手前側から奥側へ転動する。このとき、堰き止め壁134は、非堰き止め位置にあるため、遊技球PBは中間ステージ部130の奥側からV入賞案内ステージ部136へ落下する。なお、中間ステージ部130において、運良く、円筒部132の貫通孔132Aに入った遊技球PBもV入賞案内ステージ部136へ落下する。
V入賞案内ステージ部136は、中間ステージ部130とは逆傾斜となっており、遊技球PBが奥側から手前側へ転動して、V入賞口138或いは外れ口140の何れかに流入する。
このとき、貫通孔132Aを介してV入賞案内ステージ部136に到達した遊技球PBの方が、堰き止め壁134を通過して落下してきた遊技球PBよりもV入賞し易い。
遊技球PBがV入賞すると大当たりとなり、通常遊技状態の羽根部材112の開放期間(開放時間×開放回数)よりも多くの開放期間で開閉処理(ラウンド処理)が繰り返される大役処理が予め定めた最大ラウンドを限度して、複数ラウンド実行される。
ここで、ラウンドの継続は、ラウンド中にV入賞するか否かによって決定するようになっている。
(大役処理)
第1の実施の形態における遊技仕様は、所謂自力継続タイプとなっており、大役処理が開始されると、前記堰き止め壁134が堰き止め位置となり、センター役物105に流入してくる遊技球PBは、中間ステージ部130に貯留されることになる。
中間ステージ130に遊技球PBを貯留する理由は、この貯留されればされることで、円筒部132の貫通孔132Aに遊技球PBが入り易くなり、ひいては、V入賞案内ステージ部136に落下したときに、V入賞し易くなるためである。
このように、大役処理中に、羽根部材112が通常遊技状態よりも多く開放されているときに、センター役物105内に遊技球PBが流入すればするほど、ラウンド継続し易くなるため、単調になり易い大役遊技中の遊技も趣向性を向上することができる。
(異常振動監視制御)
第1の実施の形態のセンター役物105では、遊技球PBの動向によって、ラウンド継続されるか否かが決まるため、遊技者の心理状態から、外部からの衝撃によって、遊技球PBの動向に変化を加えるべく、パチンコ機10の枠体やガラス枠16を叩く場合がある。そこで、パチンコ機10に振動検出センサ142を配置し、主制御部150でこれを監視している。
一方、第1の実施の形態で説明したセンター役物105に代表されるような、所謂自力継続タイプでは、特に、中間ステージ部130に遊技球PBを意図的に貯留する構造であり、球詰まりが置き易い構造でもある。
球詰まりが発生すると、店員(係員)による球詰まり解消作業を行い、最後にカラス枠16等をある程度勢いをもって閉止動作を行うため、振動検出センサ142から振動を検出したことを示す信号が出力され、主制御部150で「異常振動検出」と判断し、不正防止処理がなされることがあった。
そこで、第1の実施の形態の主制御部150では、ガラス枠16の開閉に応じて、振動検出センサ142からの信号を無効にする期間を設けるようにした。
以下、図6、図7のフローチャート及び図8のタイミングチャートに従い、異常振動監視制御の流れについて説明する。
まず、図6のフローチャートに従い、振動検出センサ142に基づく、異常振動検出を無効とするための無効フラグ処理ルーチンについて説明する。
図6に示される如く、ステップ200では、タイマ回路部150Tが起動中か否かが判断され、否定判定されると、無効フラグFはリセット(0)状態であると判断し、ステップ202へ移行してガラス枠開閉検出センサ16S及び/又は皿ユニット開閉状態検出センサ24Sの出力信号を確認する。すなわち、ガラス枠16が開放されたか及び/又は皿ユニット24が開放されたか否かの判断材料を取得する。なお、図8のタイミングチャートでは、ガラス枠16の開閉状態を例にとり説明しているが、皿ユニット24についても同様であり、上記において「及び/又は」としたのは、何れか一方でもよいし、双方が開放されたときとしてもよいことを示す。
次のステップ204では、ステップ202で取得した情報に基づき、ガラス枠16が開放されたか及び/又は皿ユニット24が開放されたか否かが判断される。
このステップ204で否定判定された場合は、無効フラグFがリセット状態のまま、このルーチンは終了する。
また、ステップ204で肯定判定されると、ステップ206へ移行してタイマ回路部150Tをリセット・スタートさせ、ステップ208へ移行する。ステップ208では、無効フラグFをセット(1)し、ステップ210へ移行する。また、前記ステップで肯定判定された場合は、無効フラグFはセット(1)状態であると判断し、ステップ210へ移行する。
ステップ210では、タイマ回路部150Tのカウントで予め定めた時間が経過したか否か(タイムアップしたか否か)が判断される。
このステップ210で否定判定された場合は、無効フラグFをセット状態のまま、このルーチンは終了する。また、ステップ210で肯定判定された場合は、ステップ212で無効フラグFをセット状態とし、このルーチンは終了する。
このように、無効フラグFは、ガラス枠16及び/又は皿ユニット24が開放されたときにセット(1)され、タイマ回路部150Tによる計時により所定時間経過するとリセット(0)されることになる。
なお、タイマ回路部150Tの起動トリガとして、ガラス枠16及び/又は皿ユニット24の開放としたが、パチンコ機10の裏面側をチェックするためにパチンコ機10全体を島に対して回転させたり、取り外したりする場合等、他の動作を起動トリガとしてもよい。
次に、図7のフローチャートに従い、主制御部150における異常振動監視制御ルーチンを説明する。
ステップ220では、振動検出センサ142から反転信号(すなわち、振動検出信号)が入力されたか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。また、ステップ220で肯定判定されると、ステップ222へ移行して無効フラグFの状態を取り込み、ステップ224へ移行する。
ステップ224では、無効フラグFがリセット(0)か否かが判断され、肯定判定された場合は、今回検出した振動検出信号が有効であると判断し、ステップ226へ移行する。ステップ226では、異常振動発生時エラー処理を実行し、このルーチンは終了する。
一方、ステップ224で否定判定、すなわち、無効フラグFがセット(1)されていると判断された場合は、今回検出した振動検出信号が無効であると判断し、異常振動発生時エラー処理を実行せずに、このルーチンは終了する。
このように、第1の実施の形態では、ガラス枠16が開放されたときに、無効フラグFをセット(1)し、かつタイマ回路部150Tを起動し、例えば、球詰まり解消作業が終了し得ると予測される所定時間経過後に、無効フラグFをリセット(0)するようにした。この結果、球詰まり作業中並びに当該作業終了後のガラス枠16の閉止動作による振動を、異常振動と誤判定することがなくなる。
「第2の実施の形態」
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第2の実施の形態の特徴は、タイマ回路部150Tの起動時期にある。
すなわち、前記第1の実施の形態では、ガラス枠16(及び/又は皿ユニット24)が開放されたときにタイマ回路部150Tを起動するようにしたのに対し、第2の実施の形態では、図9のタイミングチャートに示される如く、ガラス枠16(及び/又は皿ユニット24)が閉止されたときにタイマ回路部150Tを移動するようにした。
ガラス枠16の閉止時期をトリガとすることで、当該ガラス枠16の閉止による振動を無効にすることができると共に、振動検出センサ142の無効期間を第1の実施の形態よりも短くすることができるため、異常振動の誤検出を防止すると共に、不正行為に対する強固な監視体制を必要以上に緩めることがなくなる。
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、タイマ回路150Tを用いて無効フラグFのセット時間を決定するようにしたが、例えば、ガラス枠16の開閉時の誤検出に特化できるのであれば、ガラス枠開閉状態検出センサ16Sと、振動検出センサ142との検出信号の論理積に基づいて、異常振動か否かを判断するようにしてもよい。すなわち、振動検出センサ142から振動検出信号が入力されても、ガラス枠開閉状態検出センサ16Sでガラス枠16の開放が検出されている期間中は、振動検出信号を無効とする。
「第3の実施の形態」
以下に本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第1の実施の形態では、無効フラグがセット(1)されている状態では、異常振動発生時エラー処理の全てを実施しないようにした(図7のステップ224の否定判定による、ステップ226の不実行)。これに対して、第3の実施の形態では、異常振動発生時エラー処理の内、報知に関しては通常通り実行するようにした。
図10は、第1の実施の形態で説明した制御タイミングチャート(図8参照)に、報知に関するタイミングチャートを付加したものである。報知は、視覚、聴覚を通じたもの或いはこれらの併用等、店員(係員)が認識しうるものであればよく、パチンコ機10自体での報知以外に、島やホールコンピュータへの通報のみであってもよい。
この一部の異常振動発生時エラー処理を実行するため、主制御部150では、振動検出センサ142から振動検出信号を受け付けたとき、異常振動発生であると認識する必要がある。その後、無効フラグFの状態を判断し、セット(1)されている場合に、報知のみを実行する。
「第4の実施の形態」
以下に本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第4の実施の形態の特徴は、タイマ回路部150Tによる無効フラグFのセット期間を調整可能とした点にある。
図11(A)に示される如く、主制御部150には、設定スイッチ151が設けられ、前記タイマ回路部150Tに接続されている。設定スイッチ151には、複数段階(ここでは、3段階であるが、段階数は限定されるものではない。)の切替部151Aが設けられ、それぞれの切替位置によって、タイマ回路部150Tに異なる信号が出力されるようになっており、この異なる信号に応じて、無効フラグFをセット(1)しておく時間が設定される。
例えば、切替部151Aが3段階の場合、図11(B)に示される如く、設定1ではタイマ回路部150Tでは、振動エラー非発生期間(無効フラグFのセット(1)時間)が10秒に設定され、設定2ではタイマ回路部150Tでは、振動エラー非発生期間(無効フラグFのセット(1)時間)が20秒に設定され、設定3ではタイマ回路部150Tでは、振動エラー非発生期間(無効フラグFのセット(1)時間)が30秒に設定される。
なお、この第4の実施の形態では、設定変更対象をタイマ回路の無効フラグFのセット時間としたが、無効フラグFをセットする条件の設定を行ってもよい。例えば、第1の実施の形態のような自力継続タイプでは、不正に振動させるのが大役中に集中されるため、大役中のみ振動センサを有効とし、それ以外は、無効とするようにしてもよい。