JP2013040912A - 成人t細胞白血病診断器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
イムノクロマト診断キットの構造において、標識抗体パッドの標識抗体と判定ラインの検出抗体に、抗原たんぱく質の異なる部位を認識する抗TSLC1抗体を用いる。すなわち、標識抗体には、ニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体(clone 3E1 Anti−SynCAM/TSLC1)を用い、検出抗体には、この標識抗体との組み合わせで高精度に検出可能なファージディスプレイヒト抗TSLC1抗体を使用する。この組み合わせにより、本発明では、検液中の抗原TSLC1タンパク質が微量でも、高精度で安定してATLの診断ができる。このことは、ATL患者の診断はもとより、TSLC1タンパク質量が少ないHTLV−1母子感染者中のATL発症リスク群におけるATLの早期診断に効果的である。
【選択図】なし
Description
厚生労働省による全国調査によれば、HTLV−1感染者数は約108万人(2009年)、ATL患者数は増加傾向(年間1000人超)にある。乳幼時に感染すると、40〜60年の感染期間を経て4〜6%の感染者が発症する。HTLV−1感染者中の発症危険率は低いが、臓器浸潤をともなう予後不良の疾患である。一旦急性化すると、今のところ適正な治療法はなく、予後生存率の中央値は1年未満である。
項1:固相化されたファージディスプレイヒト抗TSLC1モノクローナル抗体と、標識されたニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体(clone 3E1 Anti−SynCAM/TSLC1)との組み合わせからなるTSLC1検出キット。
項2:ニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体が着色粒子又は酵素で標識されている請求項1記載のTSLC1検出キット。
項3:着色粒子標識が、金コロイド、有色ラテックス粒子、及び着色セルロース粒子からなる群から選ばれたひとつである請求項2のTSLC1検出キット。
項4:酵素標識が、アルカリホスファターゼと発色基質BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸)との組み合わせからなる請求項2のTSLC1検出キット。
項5:酵素標識が、パーオキシダーゼと発色基質TMBZ(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)との組み合わせからなる請求項2のTSLC1検出キット。
項6:請求項1〜5記載のTSLC1検出キットを用いたエライザーキット。
項7:請求項1〜5記載のTSLC1検出キットを用いたイムノクロマトキット。
項8:検液滴下パッド、標識パッド、反応膜、及び検疫吸引部位をこの順序で上流から下流へと連通するように配置した検査スティックを有し、該標識パッド抗体がニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体であり、反応膜上の検出ラインが個相化されたファージディスプレイヒト抗TSLC1モノクローナル抗体であるイムノクロマトキット。
項9:反応膜上の検出ラインの下流に、さらに抗マウスIgGヒツジモノクローナル抗体からなる参照ラインを備えている請求項8のTSLC1検出キット。
この反応は、約5−30分で終了する。
TSLC1の調製は、TSLC1タンパク質のアミノ酸配列の1番目から373番目までのアミノ酸をコードする遺伝子をプラスミド(pET28b/TSLC1)に、組み換えDNA法により、以下のように組み込み調製した。
・判定ライン用のファージヒト抗TSLC1抗体には、株式会社医学生物学研究所社製;phage035−181、phage035−212、phage035−273、phage035−283を使用した。
・ 標識用のトリ抗TSLC1抗体には、株式会社医学生物学研究所社製;
商品名anti−SynCAM/TSLC1/CADM1;Clone 3E1;IgY1を使用した。
・参照ライン用の抗マウスIgGヒツジ抗体には、Anti IgG(H+L)(Rockland社製)を使用した。
反応膜2は、幅30mm×横300mmのニトロセルロース膜を用いた。反応膜2上の判定ライン6は、アドテック社製塗布機を用いて、反応膜2の下流端から13mmの位置に、前記ファージヒト抗TSLC1抗体(No.035−212)の1mg/mLを0.025mL/30mmとなるように線状に塗布した。参照ライン7は、同反応膜2の同端から22mmの位置に、0.5mg/mLに調製した抗マウスIgGヒツジ抗体を0.025mL/30mmとなるように線状に塗布した。判定ライン6と参照ライン7を塗布後の反応膜2は、室温で1時間放置し、ブロッキング液に室温で30分間浸漬し、脱イオン水で5分間の洗浄を3回繰り返した後、再び室温に放置し、乾燥した。
金コロイド液(付記3)500mL中に、炭酸カリウム緩衝液(pH9.0)で0.1mg/mLに希釈した前記抗TSLC1トリモノクローナル抗体(3E1)25.0mLを加え、室温で30分間反応させた。次いで、0.1g/mL牛血清アルブミン水溶液5mLを更に加えて、20分間反応させた。8,000×Gで4℃、30分間遠心後、沈渣を回収した。5%グルコース及び2.5%BSAを含む水溶液を全量で100mLとし金コロイド標識抗体液とした。調製した金コロイド標識抗体液をガラスパッド(MILLIPORE社製;商品名 NEW SUREWICK GFCP G041)に5mL/mm2になるように吸収させ、常温で風乾した。乾燥後、縦10±1mm×横300±5mmに裁断した。裁断した本ガラスパッドを金コロイド標識トリ抗TSLC1モノクローナル抗体パッド3として用いた。
本スティック(図1参照)は、次のように組み立てた。すなわち、バックシート1(幅6mm×長さ69mm×厚さ0.1mm)の下流端から21mmの位置に、反応膜2(幅6mm×長さ30mm)下流端が位置するように、判定ライン6及び参照ライン7を上にして貼り付けた。次にこの反応膜2の上流端側に、標識抗体パッド3(幅6mm×長さ10mm)を両接触端が2mm重なるように貼り付けた。さらに検液滴下パッド4(幅6mm×長さ20mm)を標識抗体パッド3上に、互いの下流端が一致するように貼り付けた。一方、検液吸引パッド5(幅6mm×長さ25mm)は、反応膜2の下流端と4mm重なるように貼り付けた。本スティック1本を専用ケースに入れ、TSLC1検査用スティック(図2参照)とした。
試料の調製;ATL患者、HTLV−1感染者及び健常者の血清又は血漿を用いた。血清又は血漿は、リン酸緩衝液で、10倍希釈し、試料とした。ATL患者の病型は、参考までに表5に示す。
試験方法:各試料約100μlをの検液滴下部4a実施例1のキット(図1)に滴下した。15分間静置後、判定ライン6の有無を金コロイド判定用色見本(アドテック社製)により判定した。結果を表3、4及び5に示す。
方法
血清又は血漿をSDS sample bufferで溶解し95℃で5分間heatする。SDS−PAGEにより電気泳動を行い、タンパク質を分離し、その後PVDF膜に転写した。膜は5%スキムミルクを含むPBSでブロッキングし、その後anti−SynCAM/TSLC1/CADM1;Clone 3E1;IgY1を一次抗体として作用し、ついでHRPラベルしたanti−chiken IgYを二次抗体として作用した。基質を添加して、HRPの酵素活性により生じた化学発光をイメージアナライザーにて解析した。結果を表3、4及び5に示す。
方法
TSLC1陽性抗原(0.63mg/mL)を陽性抗原希釈液(リン酸緩衝液にtween−20(1g/L)、牛血清アルブミン(1g/L)、アジ化ナトリウム(1g/L)及びフェーノールレッド(10mg/L)を含む)を用いて25、50、100、200、400、800,1600倍に希釈した。血清又は血漿を検体希釈液を用いて5倍あるいは10倍希釈した。
希釈した陽性抗原及び検液をwellにそれぞれ50μLずつ入れた。POD希釈液(リン酸緩衝液にtween−20(1g/L)、牛血清アルブミン(1g/L)、及びブリリアングリー(50mg/L)を含む)で200倍希釈したPOD−3E1をそれぞれ100μL入れて、よく撹拌した。フィルムでカバーして、遮光、室温にて6時間静置した。6時間後、中の液を捨てて300μLのwash bufferで3回洗浄してよく水気を切った。エライザー発色液(TMB−Z)(A液及びB液を容積比1:1で混合。A液:蒸留水中に無水クエン酸(40g/L)及び過酸化水素(400μl/L)を含む。B液:70%メタノール中にTMB−Z(250mg/L)を含む。)をそれぞれ200μLずつ入れてよく撹拌し遮光、室温にて10分静置した。10分後反応停止液をそれぞれ50μLずつ入れてよく撹拌し、撹拌後すぐにオートリーダー(吸光度450nm)で測定した。結果を表3、4及び5に示す。
2:反応膜
3:標識抗体パッド
4:検液滴下パッド
4a:検液滴下部
5:検液吸引パッド
6:判定ライン
7:参照ライン
8:カバー
8a:検液滴下口
9:開放口
Claims (9)
- 固相化されたファージディスプレイヒト抗TSLC1モノクローナル抗体と、標識されたニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体(clone 3E1 Anti−SynCAM/TSLC1)との組み合わせからなるTSLC1検出キット。
- ニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体が着色粒子又は酵素で標識されている請求項1記載のTSLC1検出キット。
- 着色粒子標識が、金コロイド、有色ラテックス粒子、及び着色セルロース粒子からなる群から選ばれたひとつである請求項2のTSLC1検出キット。
- 酵素標識が、アルカリホスファターゼと発色基質BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸)との組み合わせからなる請求項2のTSLC1検出キット。
- 酵素標識が、パーオキシダーゼと発色基質TMBZ(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)との組み合わせからなる請求項2のTSLC1検出キット。
- 請求項1〜5記載のTSLC1検出キットを用いたエライザーキット。
- 請求項1〜5記載のTSLC1検出キットを用いたイムノクロマトキット。
- 検液滴下パッド、標識パッド、反応膜、及び検疫吸引部位をこの順序で上流から下流へと連通するように配置した検査スティックを有し、該標識パッド抗体がニワトリIgY抗TSLC1モノクローナル抗体であり、反応膜上の検出ラインが固相化されたファージディスプレイヒト抗TSLC1モノクローナル抗体であるイムノクロマトキット。
- 反応膜上の検出ラインの下流に、さらに抗マウスIgGヒツジモノクローナル抗体からなる参照ラインを備えている請求項8のTSLC1検出キット。
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