JP2013040308A - ハーネス結束テープ用フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、(A)〜(E)を含有する樹脂組成物からなり、(A)ポリ塩化ビニル、(B)トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び/又は、トリメチロールプロパントリアクリレート、(C)ポリエステル系可塑剤、(D)安定化剤、(E)ゴム成分、(E)ゴム成分の配合量が、(A)ポリ塩化ビニル100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とするハーネス結束テープ用フィルム。
【選択図】なし
Description
多数の電線を結束してハーネスとする方法としては、例えば、束ねた電線群の周囲にハーネス結束テープを巻き付ける方法が知られている。
ハーネス結束テープとしては、従来より、塩化ビニル系樹脂からなるものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
(1)の特性については、特に、自動車のエンジン周りに配索されるハーネスに要求される特性である。
(2)の特性については、電線群を結束してハーネスとする作業は手作業で行われることがあり、手作業で行う場合、ハーネス結束テープにかかる力は均一ではなく、力のかかり方に緩急が生じるため、このような緩急に耐えるべく適度な柔軟性が要求されている。
(3)の特性は、ハーネス結束テープを電線群に巻き付けた後、手作業で千切る際に要求される特性であり、上記(2)の特性を満足しつつ、容易に手で千切ることができることが要求されている。
少なくとも、下記(A)〜(E)を含有する樹脂組成物からなり、
(A)ポリ塩化ビニル、
(B)トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び/又は、トリメチロールプロパントリアクリレート、
(C)ポリエステル系可塑剤、
(D)安定化剤、
(E)ゴム成分、
(E)ゴム成分の配合量が、(A)ポリ塩化ビニル100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする。
上記ハーネス結束テープ用フィルムは、カレンダー加工により形成されたものであることが好ましい。
上記ハーネス結束テープ用フィルムにおいて、前記樹脂組成物は、鉛系安定化剤を含有しないことが好ましい。
上記ハーネス結束テープ用フィルムの厚さは、40〜80μmであることが好ましい。
本発明のハーネス結束テープ用フィルムは、
少なくとも、下記(A)〜(E)を含有する樹脂組成物からなり、
(A)ポリ塩化ビニル、
(B)トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び/又は、トリメチロールプロパントリアクリレート、
(C)ポリエステル系可塑剤、
(D)安定化剤、
(E)ゴム成分、
(E)ゴム成分の配合量が、(A)ポリ塩化ビニル100重量部に対して1〜20重量部であり、
厚さが40〜80μmであることを特徴とする。
上記ポリ塩化ビニルは特に限定されないが、平均重合度が700〜1600のものが好ましい。上記平均重合度が700未満では、加熱寸法変化(収縮)が大きくなり、一方、1600を超えると、流動性が高くなりすぎてカレンダー加工に適さない。
上記トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)やトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(以下、両者を併せて、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートともいう)は、ポリ塩化ビニルを架橋する3官能性の架橋剤であり、電子線を照射により、下記式(1)に示す反応によりポリ塩化ビニルを3次元的に架橋することができる。なお、式(1)は、ポリ塩化ビニルとトリメチロールプロパントリアクリレートとの反応を示す反応式である。
そして、ポリ塩化ビニルを3次元的に架橋させることにより、フィルムの耐熱性を著しく向上させることができる。
2重量部未満では、ポリ塩化ビニルに充分な耐熱性を付与することができない場合があり、一方、10重量部を超えると、架橋反応が過剰に働いてしまい、テープとしての特性を損なうおそれがある。
より好ましい配合量は、5〜8重量部である。
上記ポリエステル系可塑剤としては、例えば、ジェイプラス社製のD623、D663、ADEKA社製のPN7535等が挙げられる。
1000未満では、揮発性が高く、長期間に渡って安定した特性を維持することができない場合があり、一方、3000を超えると、ポリ塩化ビニルに混和されにくく、例えば、カレンダー加工によりフィルムを成形した際に、ポリエステル系可塑剤のプレートアウトが発生する等の不具合が生じることがある。
30重量部未満では、破断伸率が低下することがあり、一方、60重量部を超えると、破断強度が低下することがある。
なお、本発明において、破断伸率及び破断強度はそれぞれ、測定サンプルの形状を幅19mm×長さ180mmとした以外は、JIS K 6732の引張試験(伸び及び引張切断強さ)の規定に準じた方法で測定した値である。
上記安定化剤としては、例えば、Ca−Zn系安定化剤、Ba−Zn系安定化剤、スズ系安定化剤、鉛系安定化剤等が挙げられる。
これらのなかでは、Ca−Zn系安定化剤が好ましい。その理由は、環境や健康に悪影響を与えるおそれがなく、FDA(米食品医薬品局)に適合し、JHPA(塩ビ食品衛生協議会)で認定された低毒性安定剤だからである。
また、上記ハーネス結束テープ用フィルムは、鉛系安定化剤を含有しないことが好ましい。環境や健康に悪影響を与える懸念を払拭することができるからである。
0.8重量部未満では、塩化水素(HCl)補足効果が不充分であり、ポリ塩化ビニルの分解が進行してしまうことがあり、一方、3.0重量部を超えても、塩化水素補足効果はさほど向上せず、経済的に不利である。
上記ゴム成分としては、例えば、MBS(メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、IR(イソプレンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、これらの複合体等が挙げられる。これらは単独でも用いても良いし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、MBS、EVA及びSBSが好ましい。その理由は、電子線照射によりポリ塩化ビニルが架橋したハーネス結束テープ用フィルムに対して、耐熱性を確保しつつ、所望の特性、即ち、手作業での巻き付けに良好に対応でき、手切れ性に優れるとの特性を付与するのに好適だからである。上記ゴム成分としては、MBSが特に好ましい。
上記ゴム成分の好ましい配合量は、5〜15重量部である。
上記Sb2O3の配合量は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して、1〜7重量部が好ましい。1重量部未満では、耐熱性の向上効果が乏しく、一方、7重量部を超えるとハーネス結束テープ用フィルムの破断伸率や引裂強度が低下することがあるからである。
上記厚さが40μm未満では、充分な破断強度を確保することができない場合があり、
一方、80μmを超えると、重量が嵩むこととなるからである。
例えば、普通乗用車では、通常、ハーネスは、約1.5〜2.0km使用されており、ハーネス結束テープは、ハーネス全体量の約9%を占めている。そのため、ハーネス結束テープの厚さを上記のように薄くすることで、自動車の燃費を向上させることができるのである。
破断強度は、30.0N/19mm未満では、ハーネスを結束するため巻きつける際にテープが千切れてしまうことがあり、また、使用時に結束した配線の屈曲等にテープが耐えられないことがある。
また、上記破断強度は、40.0N/19mm以下であることが好ましい。
破断伸率が125%未満では、ハーネスを結束するため巻きつける際にテープが千切れてしまうことがあり、また、使用時に結束した配線の屈曲等にテープが耐えられないことがある。
また、上記破断伸率は、400%以下であることが好ましい。
上記ハーネス結束テープ用フィルムは、例えば、上記(A)〜(E)成分、及び、必要に応じてSb2O3や上記各種添加剤を、所定量の溶融、混練して樹脂組成物とした後、これをカレンダー加工によってフィルムとすることによって製造することができる。
即ち、上記(A)〜(E)成分、及び、必要に応じてSb2O3や上記各種添加剤を配合した後、これを連続混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等によって、通常、100〜150℃の温度で加熱混練して溶融し、樹脂組成物(混錬物)を調製する。続いて、この混練物を、ロール温度140〜190℃、好ましくは、160〜175℃のカレンダーロールに供給し圧延することより、所要厚さのフィルムをカレンダー加工によって得ることができる。
ここで、カレンダー装置としては、3本型、4本L型、4本逆L型、4本Z型、6本型等、適宜のものを使用すればよい。
しかしながら、上記ハーネス結束テープ用フィルムの成形方法は、カレンダー加工が望ましい。
その理由は、フィルムの厚さが薄い場合、厚さの均一なフィルムを製造するのに適しているからである。
また、カレンダー成形は、成形機の構造上、多くのサイズに対応し易く、小ロットにも対応し易い点でも好適である。
上記ハーネス結束テープは、本発明のハーネス結束テープ用フィルムに電子線照射処理が施され、更にその片面に粘着剤層が形成されたものである。
上記電子線照射処理は、例えば、下記の方法(条件)で行えばよい。
即ち、フィルムを連続で送りながら、40〜250kGyの線量のEB照射を照射すればよい。上記線量は、100kGy程度がより好ましい。
上記粘着剤層の厚さは、通常、5〜15μmであることが好ましい。
また、上記粘着剤層との密着性を向上させるため、上記ハーネス結束テープ用フィルムの表面にはプライマー処理が施されていてもよい。
表1に示した組成からなる樹脂組成物を下記の方法で混合し、その後、下記の方法により製膜し、厚さ60μmのフィルムを製造した。
次に、得られたフィルムを下記の条件で電子線照射処理した後、下記の方法でフィルムの片面側に粘着剤層を形成し、幅19mm、長さ180mmに打ち抜き、評価サンプル(ハーネス結束テープ)とした。
PVC(ポリ塩化ビニル):カネカ社製、S−1000、重合度1000
Ca−Zn系熱安定剤:堺化学工業社製、OW5301
Sb2O3:東湖産業社製、Sb2O3
TMPTMA:新中村化学工業社製、A-TMPT
ゴム成分:MBS(カネカ社製、M−511)
ポリエステル系可塑剤:ADEKA社製、PN7535
各成分を計量した後、ヘンシェルミキサーによりブレンドし、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をバンバリーにて混練し、逆L型4本カレンダーにて圧延成型し、フィルムを作製した。
得られたフィルムを送りながら、線量約100kGyの電子線を連続照射した。
電子線照射を施したフィルムの片面に、マチスコーターにて下記粘着剤組成物を乾燥後の膜厚が10〜20μmになるように塗工し、90℃×2.5minの条件で乾燥させ、粘着剤層を形成した。
粘着剤組成物としては、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン1604N)100重量部、硬化剤(綜研化学社製、L45)1.5重量部、酢酸エチル5重量部、トルエン10重量部を混合したものを使用した。
破断強度及び破断伸率を引張試験機(島津製作所製、AG−1kNE)を用いて、引張速度300mm/minで測定した。なお、破断強度が30.0N/19mm以上、破断伸率が125%以上の場合、それぞれ「○」と判定し、それ未満の場合は「×」と判定した。
評価サンプルの長さ方向の一端を固定し、評価サンプルを自重で垂れ下がらせた状態でオーブン内に投入し、200℃で30分間加熱した後、評価サンプルの形状を目視観察し、下記の基準で耐熱性を評価した。
◎:加熱前の形状と比べて評価サンプルの形状がほぼ変化しない。
○:加熱前の形状と比べるとやや収縮しているが、ハーネス結束テープ用として使用することができる。
△:加熱前の形状に比べて大きく収縮しており、ハーネス結束テープ用として使用することができない。
×:加熱中に評価サンプルが溶けて、垂れ落ちてしまい形状を保っていない。
評価サンプルを手で引き千切れるか否かを下記の基準で評価した。
◎:適切な力で引き千切ることができる。
○:やや力をいれれば引き千切ることができる。
△:力をいれれば引き千切ることができる。
×:評価サンプルが伸びきるか、または硬すぎて手で千切ることは困難である。
◎:巻付け時の引張の緩急に対して適度な抵抗がある。
○:抵抗がやや強い、または力が入りすぎると伸びるが、使用に影響はない。
×:テープが千切れる、または伸び切ってしまいハーネス結束テープ用として使用することができない。
また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含有しない樹脂組成物からなるハーネス結束テープ用フィルムでは、EB照射を行っても架橋が進行せず、耐熱性が不充分になり、高温下では使用することができない。これに対し、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの量が多くなると、ハーネス結束テープ用フィルムが架橋しすぎて破断伸率が大きくなり、その結果、手切れ性が悪化することが明らかとなった。
Claims (6)
- 少なくとも、下記(A)〜(E)を含有する樹脂組成物からなり、
(A)ポリ塩化ビニル、
(B)トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び/又は、トリメチロールプロパントリアクリレート、
(C)ポリエステル系可塑剤、
(D)安定化剤、
(E)ゴム成分、
(E)ゴム成分の配合量が、(A)ポリ塩化ビニル100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とするハーネス結束テープ用フィルム。 - (D)安定化剤は、Ca−Zn系安定化剤である請求項1に記載のハーネス結束テープ用フィルム。
- カレンダー加工により成形された請求項1又は2に記載のハーネス結束テープ用フィルム。
- (E)ゴム成分は、MBS、EVA及びSBSからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のハーネス結束テープ用フィルム。
- 前記樹脂組成物は、鉛系安定化剤を含有しない請求項1〜4のいずれかに記載のハーネス結束テープ用フィルム。
- 厚さが40〜80μmである請求項1〜5のいずれかに記載のハーネス結束テープ用フィルム。
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