JP2013039600A - 鋳型材及び連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶湯の凝固速度が均一となるような熱伝導率が得られ、強固な固定が可能な優れた機械的強度を有する鋳型材及びこの鋳型材を用いた連続鋳造用鋳型を得る。
【解決手段】連続鋳造用鋳型の溶湯と接する部分に用いられる鋳型材であって、鋳型材は、銅粉末を焼結した焼結金属から成り、鋳型材に用いられる銅粉末の粒度は、鋳型材の溶湯側の方が、溶湯側とは反対側よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳型材及び連続鋳造用鋳型に関し、特に銅合金の連続鋳造に好適に用いられる鋳型材及び連続鋳造用鋳型に関する。
従来より、連続的に溶湯を供給して鋳塊を製造する連続鋳造用鋳型として、例えば図3に示す構成のもの(例えば特許文献1)や、図4に示す構成のものが使用されている。
図3に示す鋳型20は、バックプレート2及び鋳型材としての銅板21の2層構造を有する。すなわち、バックプレート2として、一対の短辺バックプレート2a,2aと、一対の長辺バックプレート2b,2bとを備え、銅板21として、一対の短辺の銅板21a,21aと、一対の長辺の銅板21b,21bとを備えている。そして、鋳塊断面が矩形になるように、バックプレート2及び銅板21がそれぞれ配置されている。すなわち、短辺バックプレート2aと長辺バックプレート2bとはそれぞれ、ボルト4aを用いて固定され、これらの短辺バックプレート2a及び長辺バックプレート2bの内面に、短辺の銅板21a及び長辺の銅板21bがそれぞれ配置されている。そして、鋳型材である銅板21a,21bはそれぞれ、ボルト4bを用いてバックプレート2に固定されている。この構造の利点として、鋳型20の構造がシンプルであることが挙げられる。また、鋳型材として銅板21を用いているので、鋳型材の機械的な強度が高いことも挙げられる。
図4に示す鋳型30は、バックプレート2と、銅板21及び黒鉛板22の2層の鋳型材とから成る3層構造を有する。すなわち、図4に示す鋳型30は、図3に示す鋳型20の銅板21のさらに内面に黒鉛板22を備えている。具体的には、鋳型材として、銅板21及び黒鉛板22を備え、さらに黒鉛板22は、一対の短辺の黒鉛板22a,22a及び一対の長辺の黒鉛板22b,22bを備えている。そして、銅板21の内面に、鋳塊断面が矩形となるように、短辺の黒鉛板22a及び長辺の黒鉛板22bがそれぞれ配置されている。そして、黒鉛板22はそれぞれ、ボルト4cを介してバックプレート2及び銅板21に固定されている。
そして、図3及び図4に示す鋳型20,30が備えるバックプレート2には、鋳型20,30を冷却するための、図示しない冷却水路が設けられている。冷却水路を設けることにより、鋳型20,30の鋳型材の内部に供給された溶湯が抜熱され、鋳塊が連続的に製造される。
特開2003−326338号公報(図1(A),段落[0008])
しかしながら、上述の図3に示す鋳型20に、銅合金の溶湯、特にZr,Ni,Fe,Si等を含有した銅合金(純銅に比べて高温での強度が高い銅合金)の溶湯を供給する場合、溶湯が銅板21と接触し、抜熱されて形成された凝固シェルが、鋳型20の内壁面(鋳型材である銅板21の内周面)から離れてしまう場合があった。凝固シェルが鋳造の進行とともに成長する過程において、溶湯が凝固シェルを鋳型20の内壁面側に(外側に)押し付ける力よりも、凝固シェルが内側に収縮しようとする力の方が強くなり、凝固シェ
ルが鋳型材である銅板21から離れてしまうことがあった。
凝固シェルが鋳型20の内壁から離れると、鋳型20の内壁と凝固シェルの表面との間に隙間が生じてしまう。この隙間により、溶湯から銅板21への熱伝達が著しく低下する。このため、溶湯の抜熱量が減少し、凝固シェルの成長が滞る。この結果、凝固シェルの温度が上昇し(復熱)、凝固シェルは収縮から転じて膨張する。凝固シェルが膨張すると、再び銅板21と接触して溶湯の抜熱が再度はじまる。そして、凝固シェルの成長が進行する。
鋳造において、凝固シェルの成長の進行が不均一になる(凝固速度が不均一になる)ことは、製造される鋳塊の品質に多大な悪影響を及ぼすことが判っている。特に、Zr,Ni,Fe,Si等を含有する銅合金は、純銅と比較すると、高温での強度が高く、凝固の成長方向の凝固速度の変化点において溶質成分の偏析が発生する。このため、鋳塊が、後に、圧延等の加工工程で加工される際に、カブリやハガレ等のモードによる不良率の増加をもたらすことになる。
上述したような、凝固シェルの成長の不均一な進行は、鋳型20の抜熱能の大きさが要因の一つと考えられている。図4に示す銅板21及び黒鉛板22から成る鋳型材を設けた鋳型30は、図3に示す鋳型20よりも抜熱能が小さく、均一な凝固成長が得られやすいことが判っている。図4に示す鋳型30に供給された溶湯は、まず熱伝導率が銅板21よりも低い黒鉛板22と接し、溶湯の熱は、黒鉛板22から銅板21、バックプレート2へと伝達されて、抜熱される。このように、図4に示す鋳型30では、黒鉛板22を設けることで、供給された溶湯は、図3に示す鋳型20と比べると、ゆっくりと抜熱されて凝固シェルが形成される。このため、凝固シェルの急速な抜熱による収縮が抑制され、凝固シェルの成長の均一な進行が得られやすくなる。
しかしながら、図4に示す鋳型30では、黒鉛板22を直接水冷することができないため、バックプレート2と黒鉛板22との間に銅板21を介して、間接的に冷却を行う必要がある。このため、短辺バックプレート2aと長辺バックプレート2bとを固定するバックプレート固定用ボルト4a、バックプレート2と銅板21とを固定する銅板固定用ボルト4bに加えて、バックプレート2と黒鉛板22とを固定する黒鉛板固定用ボルト4cを使用する必要がある。このとき、銅板21は、機械的強度が高いので、銅板固定用ボルト4bにより、強固にバックプレート2に引き付けて固定することが可能である。しかしながら、黒鉛板22は、銅板21と比べて機械的強度が低い。従って、バックプレート2と黒鉛板22とを黒鉛板固定用ボルト4cを用いて固定する際、例えば黒鉛板22にタップを用いてネジ穴を加工すると、黒鉛板22のネジ穴の周囲が割れてしまうことがある。このため、黒鉛板22の割れの発生を防止するために、黒鉛板固定用ボルト4cには、スプリング等の緩衝装置4dを設置する必要がある。
ここで、鋳造中には、黒鉛板22は、高温の溶湯から熱を吸収し、低温の銅板21へ放熱する。このため、黒鉛板22は、内側(溶湯側)に反ろうとする熱変形が生じる。このとき、黒鉛板固定用ボルト4cに緩衝装置4dを設置しているので、黒鉛板22の熱変形を完全に抑えることができない。従って、黒鉛板22が、銅板21から離れてしまうことがあり、黒鉛板22と銅板21との間に隙間が生じてしまうことがあった。この結果、黒鉛板22から銅板21への熱伝達が低下ないし不安定となり、溶湯の抜熱が不均一になり、凝固シェルの成長の進行が不均一になってしまうことがある。
また、黒鉛板22の割れの発生を防止するために、黒鉛板22の厚さを厚くすることが考えられる。これにより、黒鉛板22の強度を高くし、バックプレート2(及び銅板21)と強固に固定することも可能となる。しかしながら、黒鉛板22の厚さを厚くすると、
黒鉛板22の熱抵抗が大きく、銅板21(バックプレート2)からの冷却が不十分となり、連続的な鋳造が困難となる。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、溶湯の凝固速度が均一となるような熱伝導率が得られ、強固な固定が可能な優れた機械的強度を有する鋳型材及びこの鋳型材を用いた連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様は、連続鋳造用鋳型の溶湯と接する部分に用いられる鋳型材であって、前記鋳型材は、銅粉末を焼結した焼結金属から成り、前記鋳型材に用いられる前記銅粉末の粒度は、前記鋳型材の溶湯側の方が、溶湯側とは反対側よりも大きい鋳型材が提供される。
本発明の第2の態様によれば、前記鋳型材は、溶湯側に位置する粗粒焼結金属層と、溶湯側とは反対側に位置する細粒焼結金属層とを有し、前記粗粒焼結金属層は、粒度が10μm〜30μmの前記銅粉末を焼結した焼結金属層であり、前記細粒焼結金属層は、粒度が1μm〜5μmの前記銅粉末を焼結した焼結金属層である第1の態様に記載の鋳型材が提供される。
本発明の第3の態様によれば、前記鋳型材に用いられる前記銅粉末の粒度は、溶湯側から溶湯側とは反対側に向かうにしたがい、次第に小さくなる第1の態様に記載の鋳型材が提供される。
本発明の第4の態様によれば、前記鋳型材の溶湯側の表面に、Niめっき層又はCrめっき層が形成されている第1〜第3の態様のいずれかに記載の鋳型材が提供される。
本発明の第5の態様によれば、第1〜第4の態様のいずれかに記載の鋳型材を用い、前記鋳型材の外側にバックプレートを設けた連続鋳造用鋳型が提供される。
本発明によれば、溶湯の凝固速度が均一となるような熱伝導率が得られ、強固な固定が可能な優れた機械的強度を有する鋳型材及びこの鋳型材を用いた連続鋳造用鋳型を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる鋳型材を用いた連続鋳造用鋳型を示す横断面図である。 図1のA−A線断面図である。 従来の連続鋳造用鋳型を示す横断面図である。 従来の連続鋳造用鋳型を示す横断面図である。
(本発明の一実施形態)
以下に、本発明にかかる鋳型材及びこの鋳型材を用いた連続鋳造用鋳型の一実施形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る連続鋳造用鋳型1(以下、単に鋳型とも言う。)は、バックプレート2と、鋳型材3とを備えて構成されている。鋳型材3は、鋳型1の溶湯Mと接する部分に用いられる鋳型1の一構成部材である。そして、バックプレ
ート2は、鋳型材3を支持する部材である。
バックプレート2は、一対の短辺バックプレート2a,2aと、一対の長辺バックプレート2b,2bとを備えている。そして、平行に対向させて配置された短辺バックプレート2a,2aに対して、短辺バックプレート2a,2aの両端部を挟むように、長辺バックプレート2b,2bがそれぞれ配置されている。これにより、鋳型1の鋳塊断面が矩形状となる。短辺バックプレート2aと長辺バックプレート2bとは、それぞれボルト4aを用いて固定されている。
バックプレート2には、鋳型材3を冷却する冷却水路5が設けられている。冷却水路5は、バックプレート2の内周面に沿うように多数配設されている。そして、冷却水Wは、バックプレート2の下部に設けられた給水口5aから導入され、冷却水路5を上昇し、バックプレート2の上部に設けられた排水口5bからバックプレート2の外部に排出される。このように冷却水路5を設けることにより、効率的に鋳型1に供給された溶湯Mを抜熱し、連続鋳造を行うことができる。
バックプレート2の内周面に沿うように、鋳型材3が配設されている。具体的には、鋳型材3は、一対の短辺鋳型材3a,3aと、一対の長辺鋳型材3b,3bとを備えている。そして、短辺バックプレート2aの内面には、短辺鋳型材3aが配置され、長辺バックプレート2bの内面には、短辺鋳型材3bが配置される。そして、短辺鋳型材3a及び長辺鋳型材3bはそれぞれ、ボルト4bを用いてバックプレート2に固定されている。
本実施形態にかかる鋳型1に用いられる鋳型材3(短辺鋳型材3a及び長辺鋳型材3b)は、銅粉末を焼結させることによって形成された焼結金属から成る板状のものである。そして、本実施形態にかかる鋳型材3では、溶湯M側(内側)に用いられる銅粉末として、溶湯M側とは反対側、すなわちバックプレート2側(外側)に用いられる銅粉末よりも、粒度が大きい銅粉末を用いて形成されている。このように、本実施形態にかかる鋳型材3は、板状の鋳型材3の厚み方向で、使用する銅粉末の粒度を変化させている。これにより、溶湯Mの凝固速度が均一となるような熱伝導率を有するとともに、優れた機械的強度を有する鋳型材3とすることができる。
具体的には、図2に示すように、本実施形態にかかる鋳型材3は、粗粒焼結金属層6と細粒焼結金属層7との2層構造で構成されている。粗粒焼結金属層6には、粒度が10μm〜30μmの銅粉末が用いられる。そして、細粒焼結金属層7には、粒度が1μm〜5μmの銅粉末が用いられる。そして、粗粒焼結金属層6が溶湯M側に位置し、細粒焼結金属層7がバックプレート2側に位置するように、配置されている。
このように、鋳型材3の溶湯Mと接する側を、粒度が大きい銅粉末を用いた粗粒焼結金属層6とすることにより、鋳型材3の溶湯M側は、ポーラスな状態の焼結金属層となる。これにより、鋳型材3の溶湯M側の熱伝導率を、上述した黒鉛板22と同等な小さな熱伝導率にすることができる。従って、上述した従来の銅板21の鋳型材における急速な抜熱による凝固シェルSの収縮が抑えられ、凝固シェルSが鋳型材3から離れてしまうことを抑制でき、溶湯Mの凝固速度が均一となる。そして、鋳型材3のバックプレート2側に、溶湯M側よりも粒度が小さい銅粉末を用いることにより、鋳型材3のバックプレート2側では、密度が高くなり、バックプレート2側の鋳型材3の機械的強度を、上述した従来の銅板21に近いものとすることができる。従って、鋳型材3を、ボルト4bを用いて、強固にバックプレート2に引き付けて固定することができる。また、上述した従来の黒鉛板22で用いたスプリング等の緩衝装置4dが不要となるため、鋳型材3の熱変形により発生する鋳型材3とバックプレート2との間の隙間が低減ないし阻止される。
細粒焼結金属層7の厚さは15mm以上が好ましい。細粒焼結金属層7の厚さが15mm未満であると、ボルト4a,4bで固定する場合の鋳型材3の機械的強度を得ることが難しくなる場合がある。また、粗粒焼結金属層6の厚さは、最適な冷却条件が得られるように、25mm以下とすることが好ましい。
ここで、鋳型材3の厚さは、図3に示す従来の鋳型20に用いられる銅板21の厚さ、又は図4に示す従来の鋳型30に用いられる銅板21と黒鉛板22との合計の厚さと同等の厚さとすることが好ましい。これにより、本実施形態にかかる鋳型材3は、従来の鋳型20,30のバックプレート2をそのまま使用することができる。
上述したように、本実施形態にかかる鋳型材3は、粗粒焼結金属層6と細粒焼結金属層7との2層構造であるため、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7に用いられる銅粉末の粒度と、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7の厚さとを調整することにより、所望とする熱伝導率及び機械的強度を有する鋳型材3を作製することができる。なお、鋳型材3の厚さが決まっている場合には、所望とする熱伝導率を考慮して、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7に用いられる銅粉末の粒度だけを調整することもできる。すなわち、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7を形成する銅粉末の粒度及び厚さを調整することで、鋳型材3の熱伝導率(熱抵抗)を調整することができる。これにより、供給される溶湯Mの合金成分等に応じ、所望とする熱伝導率を有する鋳型材3を容易に形成することができる。このため、供給される溶湯Mの合金成分に応じた抜熱能を得ることができ、溶湯Mの凝固速度、すなわち凝固シェルSの形成速度をより均一なものとすることができる。
鋳型材3の溶湯M側の表面には、Niめっき又はCrめっきが施されている。すなわち、粗粒焼結金属層6の表面には、Niめっき層又はCrめっき層のめっき層8が設けられている。これにより、鋳型1の内面を平滑にすることができるので、鋳型材3の耐摩耗性を向上させることができる。なお、めっき層8の厚さは30μm〜50μmとすることが好ましい。
すなわち、粗粒焼結金属層6は、上述したように粒度が大きな銅粉末を焼結して形成されている。このため、粗粒焼結金属層6の表面は粗くなる。溶湯Mが凝固することによって形成された鋳塊を鋳型1から引き出す際、凝固シェルS(鋳塊)の外面が、鋳型材3の内面、すなわち粗粒焼結金属層6の表面と接触して移動する。このとき、粗粒焼結金属層6の表面が粗いと、鋳型材3の内面と凝固シェルSとの間の摩擦力が増大する。この結果、鋳型材3の耐摩耗性が低下するという問題が発生する。これに対し、本実施形態では、上述したように、粗粒焼結金属層6の表面にめっき層8を設けて表面を平滑にしている。これにより、鋳型材3の耐摩耗性を向上させることができる。
また、上述した図3に示すような、バックプレート2及び銅板21の2層構造を有する従来の鋳型20において、鋳型材である銅板21の、溶湯と接する面にめっきを施してめっき層(図示せず)を設ける場合がある。しかしながら、銅板21の表面は平滑であるため、銅板21の表面に設けられためっき層では、耐剥離性が低い。従って、鋳造途中で、めっき層が銅板21から剥離してしまうことがあった。これに対し、本実施形態にかかるめっき層8は、粒度が大きな銅粉末を焼結した表面粗さが粗い粗粒焼結金属層6上に設けられている。このため、粗粒焼結金属層6の表面の凹凸部や、ポーラス部分にまでめっきが浸透・侵入する。従って、このアンカー効果により、めっき層8の耐剥離性を向上させることができる。
(本実施形態にかかる効果)
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、鋳型1の溶湯Mと接する部分に用いられる鋳型材3であって、鋳型材3は、銅粉末を焼結した焼結金属からなる。そして、鋳型材3の溶湯M側に用いられる銅粉末の粒度が、鋳型材3の溶湯M側とは反対側に用いられる銅粉末の粒度よりも大きい。これにより、溶湯Mの凝固速度が均一となるような熱伝導率が得られ、強固な固定が可能な優れた機械強度を有する鋳型材3とすることができる。
(b)すなわち、鋳型材3の溶湯M側を、粒度が大きい銅粉末を用いた粗粒焼結金属層6とすることにより、溶湯Mの凝固速度を均一にすることができる。これにより、得られる鋳塊の鋳塊品質を向上させることができる。このため、特にZr,Ni,Fe,Si等を含有した高温での強度が高い銅合金の鋳塊を製造する場合であっても、溶質成分の偏析の発生を抑制することができる。従って、後に、鋳塊が圧延等の加工工程で加工される際、カブリやハガレ等の不良品の発生を低減させることができる。
(c)また、鋳型材3の溶湯M側とは反対側を、粒度が小さい銅粉末を用いた細粒焼結金属層7とすることにより、鋳型材3の機械的強度を向上させることができる。これにより、鋳型材3とバックプレート2とのボルト4を用いた強固な固定を保持することができる。また、例えば、鋳型材3にタップを用いてネジ穴を加工してボルトを固定した場合であっても、ネジ穴の周囲の割れの発生を低減することができる。この結果、鋳型材3の寿命を延長させることができる。
(d)本実施形態によれば、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7を形成する銅粉末の粒度及び厚さを調整することで、鋳型材3の熱伝導率を調整することができる。これにより、供給される溶湯Mの合金成分に応じて、所望とする熱伝導率を考慮して、鋳型材3を形成することが容易にできる。これにより、供給される溶湯Mの合金成分に応じた抜熱能を得ることができ、溶湯Mの凝固速度、すなわち凝固シェルSの形成速度をより均一なものとすることができる。
(e)本実施形態によれば、鋳型材3の溶湯M側の表面に、Niめっき又はCrめっきが施されている。すなわち、鋳型材3の粗粒焼結金属層6の表面に、Niめっき層又はCrめっき層のめっき層8が形成されている。これにより、鋳型1の内面を平滑にすることができる。従って、鋳型材3の耐摩耗性を向上させることができる。
(f)また、粗粒焼結金属層6の粗い表面に、めっき処理を施してめっき層8が形成される。このため、アンカー効果を得ることができるので、めっき層8の耐剥離性を向上させることができる。従って、鋳型材3の寿命をさらに延長させることができる。
(g)本実施形態によれば、鋳型1の構造をシンプルなものとすることができる。また、鋳型材3を、従来の鋳型のバックプレートに用いることができる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述した実施形態では、鋳型材3として、粗粒焼結金属層6及び細粒焼結金属層7の2層で構成されたものを用いた。しかしながら、例えば、板状の鋳型材3の厚み方向において、溶湯M側からバックプレート2側(溶湯M側とは反対側)に向かうにしたがい、次第に又はほぼ連続的に粒度が小さくなる銅粉末を用いて焼結形成した鋳型材3であってもよい。なお、この場合においても、溶湯M側には粒度が10μm〜30μmの銅粉末、バックプレート2側には粒度が1μm〜5μmの銅粉末を用いることが好ましい。
さらに、鋳型材3は2層構造であったが、粗粒焼結金属層6と細粒焼結金属層7との間に、少なくとも1層を設けて、鋳型材3を3層以上から構成してもよい。鋳型材3を3層以上で構成する場合であっても、板状の鋳型材3の厚み方向で、溶湯M側からバックプレート2側に向かうにしたがって、各層に用いられる銅粉末の粒度が小さくなるようにする。また、鋳型材3は、上述したような断面形状が平板状である場合に限らず、例えば断面形状がL字状やコ字状等であってもよい。
これらの実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、粗粒焼結金属層6を形成する原料粉末として、粒度が10μmの銅粉末を用意した。細粒焼結金属層7を形成する原料粉末として、粒度が5μmの銅粉末を用意した。そして、原料粉末を焼結させることによって、厚さが25mmの粗粒焼結金属層6と、厚さが30mmの細粒焼結金属層7とを備える板状の鋳型材3を形成した。そして、鋳型材3の溶湯M側の表面、すなわち粗粒焼結金属層6の表面にNiめっきを施し、厚さが35μmのNiめっき層8を設けた。表1に、実施例1において使用した銅粉末の粒度と、各層の層厚と、めっき層の種類及び厚さとを示す。なお、表1には、後述する実施例2〜5において、同様に使用した銅粉末の粒度等を示す。
(実施例2)
実施例2では、粗粒焼結金属層6を形成する原料粉末として、粒度が30μmの銅粉末を用意した。細粒焼結金属層7を形成する原料粉末として、粒度が1μmの銅粉末を用意した。そして、原料粉末を焼結させることによって、厚さが15mmの粗粒焼結金属層6と、厚さが25mmの細粒焼結金属層7とを備える鋳型材3を形成した。そして、鋳型材3の溶湯M側の表面、すなわち粗粒焼結金属層6の表面に、厚さが30μmのCrめっき層8を設けて、鋳型材3を作製した。
(実施例3)
実施例3では、粗粒焼結金属層6を形成する原料粉末として、粒度が30μmの銅粉末を用意した。細粒焼結金属層7を形成する原料粉末として、粒度が5μmの銅粉末を用意した。そして、原料粉末を焼結させることによって、厚さが25mmの粗粒焼結金属層6と、厚さが15mmの細粒焼結金属層7とを備える鋳型材3を形成した。そして、鋳型材3の溶湯M側の表面、すなわち粗粒焼結金属層6の表面に、厚さが30μmのNiめっき層8を設けて、鋳型材3を作製した。
(実施例4)
実施例4では、粗粒焼結金属層6を形成する原料粉末として、粒度が30μmの銅粉末を用意した。細粒焼結金属層7を形成する原料粉末として、粒度が5μmの銅粉末を用意した。そして、原料粉末を焼結させることによって、厚さが25mmの粗粒焼結金属層6と、厚さが15mmの細粒焼結金属層7とを備える鋳型材3を形成した。そして、鋳型材3の溶湯M側の表面、すなわち粗粒焼結金属層6の表面に、厚さが45μmのCrめっき層8を設けて、鋳型材3を作製した。
(実施例5)
実施例5では、鋳型材3を形成する原料粉末として、粒度が5μm〜10μmの銅粉末を用意した。そして、板状の鋳型材3の厚み方向において、溶湯M側からバックプレート2側(溶湯M側とは反対側)に向かうにしたがい、連続的に銅粉末の粒度が小さくなるよ
うにして、厚さが40mmの鋳型材3を形成した。そして、鋳型材3の溶湯M側の表面に、厚さが30μmのNiめっき層8を設けて、鋳型材3を作製した。
Figure 2013039600
表1に示すように、実施例1〜5の鋳型材3はいずれも、供給された溶湯Mの凝固速度が均一となるような熱伝導率が得られ、ボルトを用いて強固に固定することができる優れた機械的強度を有することが判った。また、実施例1〜5の鋳型材3は、粗粒焼結金属層6の表面にめっき層8を設けたので、耐摩耗性及び耐剥離性に優れることも判った。
1 連続鋳造用鋳型
2,2a,2b バックプレート
3,3a,3b 鋳型材
4a,4b ボルト
6 粗粒焼結金属層
7 細粒焼結金属層
8 めっき層
M 溶湯
S 凝固シェル

Claims (5)

  1. 連続鋳造用鋳型の溶湯と接する部分に用いられる鋳型材であって、
    前記鋳型材は、銅粉末を焼結した焼結金属から成り、
    前記鋳型材に用いられる前記銅粉末の粒度は、前記鋳型材の溶湯側の方が、溶湯側とは反対側よりも大きい
    ことを特徴とする鋳型材。
  2. 前記鋳型材は、溶湯側に位置する粗粒焼結金属層と、溶湯側とは反対側に位置する細粒焼結金属層とを有し、
    前記粗粒焼結金属層は、粒度が10μm〜30μmの前記銅粉末を焼結した焼結金属層であり、
    前記細粒焼結金属層は、粒度が1μm〜5μmの前記銅粉末を焼結した焼結金属層である
    ことを特徴とする請求項1に記載の鋳型材。
  3. 前記鋳型材に用いられる前記銅粉末の粒度は、溶湯側から溶湯側とは反対側に向かうにしたがい、次第に小さくなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の鋳型材。
  4. 前記鋳型材の溶湯側の表面に、Niめっき層又はCrめっき層が形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋳型材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の鋳型材を用い、前記鋳型材の外側にバックプレートを設けた
    ことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104759596A (zh) * 2015-04-23 2015-07-08 西峡龙成特种材料有限公司 一种长寿命复合镀层连铸结晶器铜板及其制备工艺

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