JP2013038193A - イオン注入によるシリコン薄膜への等電子中心の導入方法とシリコン発光デバイス - Google Patents

イオン注入によるシリコン薄膜への等電子中心の導入方法とシリコン発光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜が機械的に損傷することを回避できる、シリコン薄膜に等電子中心を導入するための方法を提供する。
【解決手段】SOI基板上のシリコン薄膜に等電子中心を導入する方法であって、室温において、不純物原子イオンを高電圧で加速させシリコン薄膜に照射し、ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において不純物原子イオンを照射したシリコン薄膜をアニールし、ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中においてシリコン薄膜を急冷することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン注入とラピッドサーマルアニール法を用いてシリコン薄膜へ等電子中心を導入する方法と、このシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器が作製されたシリコン発光デバイスに関する。
近年、複数の半導体デバイスを高速に作動させるために、半導体デバイス間を光で結合する光インターコネクトが注目されている。この光データ搬送技術の実現には、電気信号を光信号に変換するための発光デバイスが必要不可欠である。
現在は、発光デバイスとして、主に化合物半導体によって作製されるレーザが用いられる。レーザは、中央演算素子(CPU)などトランジスタ回路が集積されたシリコンデバイスとは半導体材料が異なるため、シリコンデバイスにレーザを集積できず、付加する工程が必要となり、作製が複雑になる。そこで従来のシリコンデバイスに集積可能で作製がより容易なシリコンを用いた発光デバイスが望まれている。
Applied Physics Letters誌、第91巻、211104頁、2007年 Physical Review B誌、第25巻、7688頁、1982年
しかしシリコンは間接半導体であるために発光量子効率が化合物半導体に比べて極めて低く発光デバイスの材料としては適当ではない。そこで近年ではシリコンフォトニック結晶共振器を用いた発光増強効果によって発光効率を上げる試みもなされている(非特許文献1)。しかし、シリコン中の発光体として、光励起された自由キャリアを用いているため、間接遷移による遅い発光過程に比べてオージェ再結合などの速い非発光過程が多く依然として発光効率は高くない。またキャリアの拡散とフォトニック結晶空気孔との接触による表面再結合も非発光過程として発光効率を下げる要因となりうる。
そこで等電子中心と呼ばれるシリコン中の不純物原子に由来した発光体が注目されている(非特許文献2)。この等電子中心は電気的に中性であるため、オージェ再結合による非発光過程がない。また等電子中心に局在した電子・正孔対は直接遷移による発光が可能であるため発光効率が高く自由キャリアよりも強い発光が得られる。
しかし、等電子中心の生成方法としては、厚いシリコン基板へイオン注入もしくは熱拡散によって不純物原子をドープし、高温炉でアニールした後に水などの室温液体に投入して急冷する方法のみが報告されていた。そのため、フォトニックデバイスで用いられるシリコン薄膜に等電子中心を導入した例はなく、更にこの薄膜を用いて発光デバイスを作製した例もこれまでない。
非特許文献2では、シリコン中に等電子中心を生成するためには、不純物原子ドープ後の試料を高温アニールした後に室温の水などに投入して急速に冷却する必要があると述べている。しかし、この方法は通常の半導体プロセスでは行われない方法であることや、SOIウェハでは急な冷却によってシリコン基板とSiO2層の熱膨張係数の差からウェハが機械的に損傷する可能性が高い。
本発明の目的は、シリコン薄膜に等電子中心を導入するための方法であって、非特許文献2に述べられている、厚いシリコン基板に対する、水などの室温液体に投入して急冷する方法によって、薄膜が機械的に損傷することを回避する方法を提供することである。
本発明は、このような目的を達成するために、SOI基板上のシリコン薄膜に等電子中
心を導入する方法であって、室温において、不純物原子イオンを高電圧で加速させ前記シリコン薄膜に照射し、ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において不純物原子イオンを照射したシリコン薄膜をアニールし、ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中においてシリコン薄膜を急冷することを特徴とする。
以上のようにイオン注入とラピッドサーマルアニール(RTA)法を用いることにより低温で強く発光する等電子中心をシリコン薄膜に導入することが可能となる。この方法では、イオン注入する不純物原子の種類として銅以外を用いることによって、波長1230nm以外の様々な発光波長の等電子中心を導入することができる可能性もある。
またこれら等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製することによって発光強度を増大させることができる。また、シリコンのみの発光寿命はマイクロ秒程度であるため発光をマイクロ秒程度以下の高速で変調することは不可能であるが、フォトニック結晶共振器はシリコン中の発光寿命を短縮することにより発光を増強させるため、発光をより速く変調することができる。この効果は高速の光データ転送を可能にする。
本発明の発光デバイスの主な材料はシリコンであり、作製に用いる技術は全て従来のシリコン加工プロセスに組み入れることが容易である。そのため、化合物半導体を用いた発光デバイスに比べてシリコン電子デバイスへの集積がより容易である。
(A)、(B)、(C)は本発明の実施例1にかかる等電子中心を導入する過程を、(D)、(E)、(F)は図1(C)の等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製する過程を示すSOI基板の断面図である。 (A)、(B)、(C)、(D)は本発明の実施例2にかかる等電子中心を導入する過程を、(E)、(F)、(G)、(H)は図2(D)の等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製する過程を示すSOI基板の断面図である。 イオン注入によってシリコン薄膜に注入された銅の、注入された深さに対する銅の濃度を示すグラフである。 銅の注入量を変化させたときの、発光波長に対する発光強度を示すグラフである。 図1(F)のフォトニック結晶の走査電子顕微鏡写真を示す図である。 銅等電子中心を含むフォトニック結晶共振器上面からのフォトルミネッセンススペクトルのグラフである。
以下に、イオン注入とラピッドサーマルアニール(RTA)法を用いて、Silicon−on−insulator(SOI)基板上のシリコン薄膜に不純物原子をドープし、この不純物原子に由来する等電子中心を導入する方法を述べる。さらに、このシリコン薄膜に等電子中心を導入した薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製することにより低温で強い発光が得られるシリコン発光デバイスの作製方法を述べる。
不純物原子の導入に用いるイオン注入法は、不純物原子イオンを高電圧で加速させシリコン薄膜に照射することで不純物原子を薄膜内部へ導入する。このとき照射するイオンの電流量や照射時間を変えることによって試料に導入されるイオン面密度を制御することが出来る。また、イオンの加速電圧を調整することによって銅がシリコン薄膜内に分布する深さを調整することができる。一例として、加速電圧が100kVのときのドープされていないシリコン薄膜に注入された銅の、注入された深さに対する銅の濃度を図3に示す。図3を参照すると、深さ約70nmに濃度のピークをもつ。また図2に示し、実施例2で述べるように、試料表面に電子線露光装置によってパタニングされたレジストを作製すると、このレジストがイオンを遮蔽する薄膜として働くため、レジスト開口部でのみイオンが試料表面に照射される。レジスト開口の大きさおよび位置は電子線描画装置によりナノメートルオーダーで決めることができるため、イオン導入領域の制御も同程度の精度で行うことができる。ここでレジストは照射するイオンが遮蔽される十分な厚さを有している必要があり、この厚さはイオン種と加速電圧に依存する。さらに本発明では、水などの液体に投入して急冷する従来の方法で問題となる薄膜の損傷という課題を解決するために、一般的な半導体プロセス装置であるRTA装置を用いてシリコン薄膜内の不純物原子を等電子中心として活性化させる。このRTA装置は高輝度ランプからの熱線によって試料を高温加熱でき、ランプのスイッチングにより急速に試料の温度を変化させることができる。アニール後に急速な冷却を必要とする等電子中心の作製に十分速い速度で冷却することができる。さらに、この速度は水などの液体に投入する場合の冷却速度よりも遅く、水などの液体に投入して急冷する従来の方法によって、薄膜が機械的に損傷することがない。
以上のように、SOIウェハに対して、室温で銅イオンをウェハ全体に一様に注入し、RTA装置により窒素雰囲気中でアニールし、RTA装置で冷却することによって等電子中心を含むシリコン薄膜を作製した。
また、等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製し、共振器の共振波長と等電子中心の発光波長を一致させることにより、発光強度を増強させた。
<銅等電子中心の導入>
(実施例1)
図1に、SOI基板上のシリコン薄膜に不純物原子をドープし、この不純物原子に由来する等電子中心を導入する方法を示す。図1(A)、(B)、(C)は等電子中心を導入する過程を、(D)、(E)、(F)は(C)の等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製する過程を示している。実施例1では図1(A)、(B)、(C)の過程を説明する。図1(D)、(E)、(F)の過程は実施例3で説明する。
等電子中心として機能する不純物原子は金、銀、白金、硫黄など複数存在することが報告されている。本実施例では、銅は従来の電子デバイスで電気信号線として用いられており、従来の半導体加工プロセスへの適用を容易にできることから、等電子中心となる不純物原子に銅を用いた。
初めに厚さ300nmのドープされていないシリコン薄膜1、薄膜1の下に厚さ2000nmのシリコン酸化膜2をシリコン基板3上に設けたアンドープSOIウェハを用意する(図1(A))ただし、シリコン薄膜の厚さに制限はない。実施例3でのちに示すような、等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶を作製する場合は、シリコン酸化膜厚さは1000nm以上必要であるが、その他のデバイスを作製する場合には酸化膜の厚さについても制限はない。次に、イオン注入装置を用いて試料に銅イオンを注入する(図1(B))。イオン注入装置では銅ターゲットをプラズマでイオン化して引き出した後、質量分析装置で原子種およびそのアイソトープを分離し選択する。ここでは63銅イオンを注入に使用する。このイオンを高電圧で加速した後、室温のウェハ全面に照射する。本実施例において、銅イオンの加速電圧を100KVとし、図3に示すようにSOIウェハの表面からの深さ70nmに銅の濃度が最大となるようにイオンを注入した。なお深さ方向にできるだけ均一な銅を注入するために、シリコン薄膜1の深さ150nmを中心に銅が分布するようにイオンの加速電圧を調整することが望ましいと考えられるが、そのためには極めて高いイオンの加速電圧が必要となり装置による制限があるため、本実施例においては銅イオンの加速電圧を100KVとし、その結果深さ70nmを中心に分布するように銅が注入された。また等電子中心は銅原子のペアによって形成されるため、最近接の銅原子を増やすためにイオン注入量は、図4に示すように、5×1013cm-2以上と高濃度である必要がある。図4は、銅の注入量を1×1012cm-2、1×1013cm-2、5×1013cm-2としたときの発光波長に対する発光強度を示すグラフである。銅の注入量を5×1013cm-2としたときに、1230nm付近の波長の発光強度が大きくなる様子が観られる。
イオン注入されたシリコン薄膜4は高エネルギーイオンによって単結晶構造が破壊されアモルファス化する。このようなアモルファスシリコンは単結晶シリコンに比べて結晶格子内に欠陥が多く、この欠陥がシリコンの非発光過程の原因となる。非発光過程は光デバイスの損失や発光効率低下をもたらすため、光デバイスとして用いるためには、格子欠陥を除去し再び欠陥の少ない単結晶のシリコンに回復させる必要がある。また、イオン注入された銅原子はシリコン原子間に導入されただけであり、このままでは等電子中心として機能しない。等原子中心として機能させるためには、ここでアニールさせる必要があるが、アニールによる機能の発現の機構は次のように考えられている。アモルファス状態のイオン注入されたシリコン薄膜4をアニールすることでアモルファス状態のシリコンは単結晶構造に配列する。また同時にアモルファス状態中に存在するシリコン原子欠陥においてシリコン原子のイオン注入された銅原子が共有結合することで銅原子は電気的に活性化し、さらにそれらの活性化した銅原子が近隣の同様の銅原子とペアを作ることではじめてシリコン薄膜内で発光する等電子中心として機能すると考えられている。そこでシリコン薄膜の結晶性回復とイオン注入した銅原子をシリコン原子と置換させ等電子中心として活性化するためにRTA装置を用いて窒素雰囲気中において最高温度800度以上、30秒間以上でアニールさせる。等電子中心として活性化される割合は降温速度がより速いほど高く、効率よく作製できると考えられるため、アニール直後は同装置で降温速度毎秒75度以上で室温まで冷却させる。
この試料を液体ヘリウム温度(4K)に冷却し試料上面からフォトルミネッセンス測定した。その時の発光スペクトルを図4に示す。銅等電子中心が導入されたシリコン薄膜のみを励起するために、励起光の波長は373nm、強度は120μWを用いた。図4の7に示すように、波長1230nm付近に銅等電子中心に由来する鋭い発光ピークが見られる。この波長の発光は、銅等電子中心に局在化した電子・正孔対がフォノンを介さない直接遷移によって発光しており、最も発光強度が大きい。またこの結果から本発明の方法によりシリコン薄膜に銅等電子中心が確かに導入されていることが示されている。また図4より銅イオン注入量が高いほど発光強度は大きい。低注入量(1×1012cm-2)では発光ピークは見られないことから、注入量は高いほう(5×1013cm-2以上)が望ましい。
(実施例2)
実施例1に示した、SOI基板上のシリコン薄膜に等電子中心を導入する方法において、イオン注入前に図2に示すように、パタニングされたレジスト膜をウェハ上面に作製すると、シリコン薄膜へのイオン注入領域を制御することが出来る。
図2(A)、(B)、(C)、(D)は等電子中心を導入する過程を、(E)、(F)、(G)、(H)は(D)の等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器を作製する過程を示している。実施例2では図2(A)、(B)、(C)、(D)の過程を説明する。図2(E)、(F)、(G)、(H)は、図1(D)、(E)、(F)と同様の過程を示している。
実施例1で用いたアンドープSOIウェハ(図2(A))上に、電子線用レジストZEP520を塗布する。電子線描画装置によって点ビームの電子線をレジスト6上に照射し、任意の形状に走査する。その後ZEP−N50もしくはキシレンで現像することによって、レジスト上の電子ビームが照射された部位が溶解し開口7が形成される(図2(B))。次に、実施例1と同様にイオン注入を行うと、レジスト6によるレジストマスクがイオンマスクの働きをし、レジスト6の開口部7のシリコン薄膜にのみイオンが注入される(図2(C))。次に、レジスト6を除去し、実施例1と同様にRTA装置を用いてアニールさせる(図2(D))。以上の方法で、シリコン薄膜の任意の部位に等電子中心を導入することができる。
<シリコン発光デバイス作製>
(実施例3)
銅等電子中心を導入したシリコン薄膜を用いた応用例として、フォトニック結晶共振器を作製できる。図1(D)、(E)、(F)および図2(E)、(F)、(G)、(H)にその過程を示す。図1(D)、(E)、(F)と図2(E)、(F)、(G)、(H)とは同様の過程を示しており、図1(D)は図2(E)、図1(E)は図2(F)、図1(F)は図2の(G)、(H)に相当する。
フォトニック結晶共振器の形状には様々なものがあるが、本実施例では一例として3つの空気孔欠陥領域に光を閉じ込めるL3共振器と呼ばれる形状のフォトニック結晶共振器を作製する。
銅等電子中心をドープした厚さ300nmのシリコン薄膜(図1(C)および図2(D))上に、実施例2の図2(B)と同様に、電子線用レジストZEP520を塗布する。この時のレジスト厚さは270nmである。電子線描画装置によって点ビームの電子線をレジスト上に照射する。点ビームを走査することによってレジスト上に直径150nmの円形アレイ(三角格子状)を285nm間隔で描画する。ここで、本実施例では、直線状に3つ連続した格子点上には円形アレイを描画しない。また、円形アレイを描画しなかった領域の両となりの円は、外側にシフトさせる。このシフトによって、シリコンフォトニック結晶共振器を用いた発光増強効果による発光効率が増大することが知られている(非特許文献1)。シフト量は三角格子の格子定数の15%であり、本実施例においては43nmとした。この領域は、フォトニック結晶共振器を作製後、図5の10に示される。その後ZEP−N50もしくはキシレンで現像することで、電子ビームが照射されたレジスト上の円形アレイ部分が溶解し開口8が形成される(図1(D)および図2(E))。
この円形開口アレイ8を有するレジストをシリコンのドライエッチングマスクとする。この試料をプラズマエッチング装置に取り付けプラズマ中のイオンによってシリコン薄膜をエッチングする。このとき、円形開口が開いている部分でのみシリコン薄膜はプラズマの暴露をうけるためエッチングが進む。その結果シリコン薄膜にレジストの円形開口アレイを反映した円形空気孔アレイ9が形成される(図1(E)および図2(F))。深さ300nmまでシリコン薄膜のエッチングを行った後に、レジストを除去し、(図2(G))試料をプラズマエッチング装置から取り出しフッ酸液中に投入してシリコン薄膜の下のシリコン酸化膜層2を除去する。このときフッ酸はシリコン薄膜の円形空気孔アレイを通過してシリコン薄膜の下層のシリコン酸化膜層2をエッチングする。そのため、エッチング領域は円形空気孔アレイ下部に限られる。ここでフッ酸はシリコン薄膜を侵さない。これらのプロセスによって、空気中に保持されたフォトニック結晶が作製される(図1(F)および図2(H))。
図5に、図1(F)に示したフォトニック結晶の上面の走査電子顕微鏡写真を示す。図5のドットは、円形空気孔アレイ9である。中央の円形空気孔アレイ9の存在しない領域10は、図1(D)および図2(E)において、電子線描画装置によって円形アレイを描画しなかった領域に相当する。円形空気孔アレイ9はフォトニック結晶として中央部の空気孔がない部分10にのみ光を閉じ込める効果をもつため、図5の10の領域が光の共振器となる。この共振器領域では、強い光閉じ込め効果によって光と等電子中心との相互作用がより強くなり発光強度が増大される。これをパーセル効果という。図6に銅等電子中心を含むフォトニック結晶共振器上面からのフォトルミネッセンススペクトルの結果を示す。ここで空気孔の周期を約285nm、直径を約150nmと調整すると、図6に示すように、共振器に閉じ込められる光の共振波長と銅等電子中心発光との波長、すなわちスペクトルのピークが約1230nmの領域で一致するため、両者が結合し発光強度が増大する。共振器の波長が等電子中心と一致しないときの等電子中心の発光強度に比べると約3倍に増強されている。発光強度に比例する発光レートは共振器によって増大し、その比Fp(パーセルファクタ)はQ/Vに比例する。ここでQは共振器のQ値、Vはフォトニック結晶共振器の光モード体積である。我々が作製した共振器のQ値は約17,000と見積もられた。より小さいV値を有し、で高いQ値をもつフォトニック結晶共振器を用いれば、より大きな等電子中心の発光増強を得ることが可能である。
また等電子中心は自由キャリアと異なりオージェ再結合による非発光過程が無いため、長い寿命をもつ。そのため、フォトニック結晶共振器を用いて非発光過程よりも発光過程を増強させることによって、高い量子効率で発光を得ることが可能である。
1 ドープされていないシリコン薄膜
2 シリコン酸化膜
3 シリコン基板
4 イオン注入されたシリコン薄膜
5 アニール後のイオン注入されたシリコン薄膜
6 レジスト
7 レジスト開口部
8 レジスト円形開口アレイ
9 シリコン円形空気孔アレイ
10 共振器領域

Claims (6)

  1. SOI基板上のシリコン薄膜に等電子中心を導入する方法であって、
    室温において、不純物原子イオンを高電圧で加速させ前記シリコン薄膜に照射するステップと、
    ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において前記不純物原子イオンを照射した前記シリコン薄膜をアニールするステップと、
    前記ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において前記シリコン薄膜を急冷するステップと
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記照射するステップの前に、前記シリコン薄膜上に電子線用レジストを塗布し、電子線描画装置によって電子線を前記電子線用レジスト上に照射し、前記電子線を前記シリコン薄膜上で任意の形状に走査し、前記電子線用レジストを現像して前記任意の形状に前記電子線用レジストを除去するステップをさらに備え、前記任意の形状と同じ形状に、前記シリコン薄膜に等電子中心を導入することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記不純物原子イオンは、銅原子イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. SOI基板上の、等電子中心を導入したシリコン薄膜上にフォトニック結晶共振器が作製されたシリコン発光デバイスであって、
    前記等電子中心を導入したシリコン薄膜は、室温において不純物原子イオンを高電圧で加速させ前記シリコン薄膜に照射し、ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において前記不純物原子イオンを照射した前記シリコン薄膜をアニールし、前記ラピッドサーマルアニール法によって窒素雰囲気中において前記シリコン薄膜を急冷することによって作製され、
    前記等電子中心を導入したシリコン薄膜は、前記等電子中心を導入したシリコン薄膜の表面に対して垂直方向に空けられた、等間隔に配置された複数の空気穴を有し、前記空気穴は前記等電子中心を導入したシリコン薄膜を貫通し、前記等電子中心を導入したシリコン薄膜の前記空気穴が存在する領域の下層は空気層であり、前記空気穴が存在する領域は共振器領域を有し、前記共振器領域には空気穴は存在せず、前記共振器領域は長方形の形状を有し、前記長方形の長軸は前記等電子中心によって発せられる光の波長の長さを有することを特徴とするシリコン発光デバイス。
  5. 前記空気穴は三角格子状に空けられたことを特徴とする請求項4に記載のシリコン発光デバイス。
  6. 前記共振器領域は、前記三角格子の直線上の空気穴が存在しないことによって形成される形状であることを特徴とする請求項5に記載のシリコン発光デバイス。
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