JP2013037369A - 透明導電性素子、入力装置、および表示装置 - Google Patents

透明導電性素子、入力装置、および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】波長依存性が少なく、視認性の優れた光学調整機能を有し、かつ、優れた電気的信頼性を有する透明導電性素子を提供する。
【解決手段】透明導電性素子1は、可視光の波長以下の平均波長を有する波面Swが設けられた光学層2と、波面上に該波面に倣うように形成された透明導電層6とを備える。波面の平均波長をλmとし、波面の振動の平均幅をAmとしたき、比率(Am/λm)が、0.2以上1.0以下であり、波面のうち斜面の平均角度が、30°以上60°以下の範囲内であり、波面が最も高くなる位置における透明導電層6の膜厚をD1とし、波面が最も低くなる位置における膜厚をD3としたとき、比率D3/D1が0.8以下の範囲内である。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性素子、入力装置、および表示装置に関する。詳しくは、反射防止機能を有する透明導電性素子に関する。
電子ペーパーなどの表示装置、およびタッチパネルなどの入力装置には、透明導電層を基体の平坦面上に形成した透明導電性素子が用いられている。この透明導電性素子に使用されている透明導電層の材料としては、屈折率が約2.0程度である高屈折率材料(例えばITO(Indium Tin Oxide))が用いられている。このため、透明導電層の厚さによっては反射率が高くなってしまい、表示装置および入力装置の品質を損ねてしまうことがある。
従来、透明導電性素子の透過特性を向上するためには、光学多層膜を形成する技術が用いられている。例えば特許文献1では、基材と透明導電層との間に光学多層膜を設けたタッチパネル用の透明導電性素子が提案されている。この光学多層膜は、屈折率の異なる複数の誘電体膜を順次積層して形成されている。しかし、この技術では、光学調整機能に波長依存性が生じてしまう。ここで、光学調整機能とは、透過特性および/または反射特性の光学調整機能を示す。また、近年では、透明導電性素子は種々の表示装置などや入力装置に用いられるため、優れた電気的信頼性を有することが望まれている。
特開2003−136625号公報
したがって、本発明の目的は、波長依存性が少なく、視認性の優れた光学調整機能を有し、かつ、優れた電気的信頼性を有する透明導電性素子、入力装置、および表示装置を提供することにある。
本発明は、可視光の波長以下の平均波長を有する波面が設けられた光学層と、
波面上に該波面に倣うように形成された透明導電層と
を備え、
波面の平均波長をλmとし、波面の振動の平均幅をAmとしたき、比率(Am/λm)が、0.2以上1.0以下であり、
波面のうち斜面の平均角度が、30°以上60°以下の範囲内であり、
波面が最も高くなる位置における透明導電層の膜厚をD1とし、波面が最も低くなる位置における膜厚をD3としたとき、比率D3/D1が0.8以下の範囲内である透明導電性素子である。
本発明に係る透明導電性素子は、入力装置および表示装置などに適用して好適なものである。
本発明において、楕円、円(真円)、球体、楕円体などの形状には、数学的に定義される完全な楕円、円、球体、楕円体のみならず、多少の歪みが付与された楕円、円、球体、楕円体などの形状も含まれる。
本発明において、光学層の波面は、複数の構造体を基体表面に配列することにより形成されていることが好ましい。構造体は、凸状または凹状を有し、所定の格子状に配置されていることが好ましい。格子状としては、四方格子状もしくは準四方格子状、または六方格子状もしくは準六方格子状を用いることが好ましい。
本発明において、同一トラック内における構造体の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。このようにすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.00≦P1/P2≦1.1、または1.00<P1/P2≦1.1の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、各構造体は、トラックの延在方向に長軸方向を有し、中央部の傾きが先端部および底部の傾きよりも急峻に形成された楕円錐または楕円錐台形状であることが好ましい。このような形状にすることで、反射および透過特性の光学調整機能を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、トラックの延在方向における構造体の高さまたは深さは、トラックの列方向における構造体の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。このような関係を満たさない場合には、トラックの延在方向の配置ピッチを長くする必要が生じるため、トラックの延在方向における構造体の充填率が低下する。このように充填率が低下すると、反射特性の低下を招くことになる。
本発明において、構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。このようにすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.4<P1/P2≦1.5の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、各構造体は、トラックの延在方向に長軸方向を有し、中央部の傾きが先端部および底部の傾きよりも急峻に形成された楕円錐または楕円錐台形状であることが好ましい。このような形状にすることで、反射および透過特性の光が調整機能を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体の高さまたは深さは、トラックの列方向における構造体の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。このような関係を満たさない場合には、トラックに対して45度方向または約45度方向における配置ピッチを長くする必要が生じるため、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体の充填率が低下する。このように充填率が低下すると、反射特性の低下を招くことになる。
本発明において、微細ピッチで基体表面に多数配設けられた構造体が、複数列のトラックをなしていると共に、隣接する3列のトラック間において、六方格子パターン、準六方格子パターン、四方格子パターンまたは準四方格子パターンをなしていることが好ましい。これにより、表面における構造体の充填密度を高くすることができ、これにより可視光の反射および透過特性の光学調整機能を高めた光学素子を得ることができる。
本発明において、光ディスクの原盤作製プロセスとエッチングプロセスとを融合した方法を用いて光学素子を作製することが好ましい。光学素子作製用原盤を短時間で効率良く製造することができるとともに基体の大型化にも対応でき、これにより、光学素子の生産性の向上を図ることができる。
本発明では、可視光の波長以下の平均波長を有する波面が設けられた光学層上に、該波面に倣うように所定パターンの透明導電層を形成しているので、波長依存性の少ない、視認性の優れた光学調整機能を得ることができる。
また、波面のうち斜面の平均角度を30°以上60°以下の範囲内としているので、優れた電気的信頼性を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、波長依存性が少なく、視認性の優れた光学調整機能を有し、かつ、優れた電気的信頼性を有する透明導電性素子を実現できる。
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図1Bは、図1Aに示した第1の領域R1を拡大して表す拡大断面図である。図1Cは、図1Aに示した第2の領域R2を拡大して表す拡大断面図である。 図2Aは、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子の構成の他の例を示す断面図である。図2Bは、図2Aに示した第1の領域R1を拡大して表す拡大断面図である。図2Cは、図2Aに示した第2の領域R2を拡大して表す拡大断面図である。 図3Aは、複数の構造体が形成された光学層表面の一例を示す平面図である。図3Bは、図3Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。図3Cは、図3Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す斜視図である。 図4は、構造体の境界が不明瞭な場合の構造体底面の設定方法について説明するための概略図である。 図5Aは、透明導電層の表面形状の一例を説明するための拡大断面図である。図5Bは、凸状の構造体上に形成された透明導電層の膜厚を説明するための拡大断面図である。 図6Aは、ロール原盤の構成の一例を示す斜視図である。図6Bは、図6Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す平面図である。図6Cは、図6BのトラックTにおける断面図である。 図7は、ロール原盤露光装置の構成の一例を示す概略図である。 図8A〜図8Dは、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図9A〜図9Dは、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図10Aは、本発明の第2の実施形態に係る透明導電性素子の光学層表面の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。 図11Aは、本発明の第3の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図11Bは、本発明の第3の実施形態に係る透明導電性素子の光学層表面の一例を示す平面図である。図11Cは、図11Bに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。 図12Aは、本発明の第4の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図12Bは、図12Aに示した透明導電性素子の一部を拡大して表す拡大断面図である。図12Cは、本発明の第4の実施形態に係る透明導電性素子の構成の他の例を示す断面図である。図12Dは、図12Cに示した透明導電性素子の一部を拡大して表す拡大断面図である。 図13Aは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図13Bは、図13Aに示した領域A1および領域A2を拡大して表す拡大断面図である。 図14Aは、図13Aに示した領域A1をさらに拡大して表す拡大断面図である。図14Bは、図13Aに示した領域A2をさらに拡大して表す拡大断面図である。 図15Aは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための分解斜視図である。図15Bは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置に備えられる第1の透明導電性素子の構成の一例を説明するための分解斜視図である。 図16Aは、本発明の第6の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図16Bは、図16Aに示した情報入力装置の一部を拡大して表す拡大断面図である。 図17Aは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図17Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図17Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。 図18Aは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための分解斜視図である。図18Bは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置に備えられる透明導電性素子の構成の一例を説明するための分解斜視図である。 図19Aは、本発明の第8の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図19Bは、図19Aに示した情報入力装置の一部を拡大して表す拡大断面図である。 図20は、本発明の第9の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を説明するための断面図である。 図21Aは、本発明の第10の実施形態に係る情報表示装置の構成の一例を説明するための斜視図である。図21Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図21Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。 図22Aは、本発明の第11の実施形態に係る情報表示装置の構成の一例を説明するための断面図である。図22Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図22Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。 図23Aは、サンプル1−1〜1−3の基体表面に配列された複数の構造体を示す平面図である。図23Bは、サンプル1−1〜1−3の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。 図24は、サンプル2−1〜2−3の透明導電性素子の透過スペクトルの測定結果を示すグラフである。 図25Aは、サンプル3−1〜3−3の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。図25Bは、サンプル3−1〜3−3の透明導電性素子の透過スペクトルを示すグラフである。 図26は、サンプル4−1〜4−4の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。 図27は、サンプル6−1、6−2およびサンプル6−3、6−4の透明導電性素子の反射率の差ΔRを示すグラフである。 図28Aは、サンプル7−1の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。図28Bは、サンプル7−2の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。図28Cは、サンプル7−3の透明導電性素子の反射スペクトルを示すグラフである。 図29Aは、サンプル7−2の透明導電層の厚さD1、D2、D3を示す断面図である。図29Bは、サンプル7−3の透明導電層の厚さD1、D2、D3を示す断面図である。 図30は、サンプル9−1〜10−5の透明導電性シートの表面抵抗値の測定結果を示すグラフである。
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1.第1の実施形態(構造体を六方格子状に配列した透明導電性素子の例)
2.第2の実施形態(構造体を四方格子状に配列した透明導電性素子の例)
3.第3の実施形態(構造体をランダムに配列した透明導電性素子の例)
4.第4の実施形態(波面全体に透明導電層を連続的に形成した透明導電性素子の例)
5.第5の実施形態(情報入力装置に対する透明導電性素子の第1の適用例)
6.第6の実施形態(情報入力装置に対する透明導電性素子の第2の適用例)
7.第7の実施形態(情報入力装置に対する透明導電性素子の第3の適用例)
8.第8の実施形態(情報入力装置に対する透明導電性素子の第4の適用例)
9.第9の実施形態(情報表示装置に対する透明導電性素子の第1の適用例)
10.第10の実施形態(情報表示装置に対する透明導電性素子の第2の適用例)
11.第11の実施形態(情報表示装置に対する透明導電性素子の第3の適用例)
<1.第1の実施形態>
本発明者らは、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、(1)可視光の波長以下の平均波長を有する波面が設けられた光学層上に、該波面に倣うように透明導電層を形成することで、波長依存性が少ない光学調整機能を実現することができる、(2)上記波面のうち斜面の平均角度を30°以上60°以下の範囲内とすることで、優れた電気的信頼性を得ることができる、ことを見出すに至った。
[透明導電性素子の構成]
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図1Bは、図1Aに示した第1の領域R1を拡大して表す拡大断面図である。図1Cは、図1Aに示した第2の領域R2を拡大して表す拡大断面図である。透明導電性素子1は、一主面に波面Swを有する光学層(第1の光学層)2と、波面Sw上にこの波面Swに倣うように形成された透明導電層6とを備える。光学層2の波面Swには、透明導電層6が形成された第1の領域R1と、透明導電層6が形成されていない第2の領域R2とが交互に設けられ、透明導電層6は所定パターンを有している。また、必要に応じて、図2A〜図2Cに示すように、透明導電層6上に形成された光学層(第2の光学層)7をさらに備え、透明導電層6の両主面がそれぞれ光学層2、光学層7により覆われた構成としてもよい。透明導電性素子1は可撓性を有していることが好ましい。
(光学層)
光学層2は、例えば、基体3と、基体3の表面に形成された複数の構造体4とを備える。基体3の表面に複数の構造体4を形成することにより、波面Swが形成されている。構造体4と基体3とは、例えば、別成形または一体成形されている。構造体4と基体3とが別成形されている場合には、必要に応じて構造体4と基体3との間に基底層5をさらに備えるようにしてもよい。基底層5は、構造体4の底面側に構造体4と一体成形される層であり、構造体4と同様のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを硬化してなる。
光学層7は、例えば、基体3と、基体3と透明導電層6との間に設けられた貼合層8とを備え、この貼合層8を介して基体3が透明導電層6上に貼り合わされる。光学層7はこの例に限定されるものではなく、SiO2などのセラミックコート(オーバーコート)とすることも可能である。
波面Swの平均波長λmに対する波面Swの振動の平均幅Amの比率(Am/λm)が、好ましくは0.2以上1.0以下、より好ましくは0.3以上0.8以下の範囲内である。比率(Am/λm)が0.2未満であると、波面Swによる光学調整機能が低下する傾向がある。一方、比率(Am/λm)が1.0を超えると、電気的信頼性が低下する傾向がある。
波面Swの平均波長λmは、光学調整機能を目的とする光の波長帯域以下であることが好ましい。光学調整機能を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm〜360nmの波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm〜830nmの波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm〜1mmの波長帯域をいう。具体的には、波面Swの平均波長λmは、好ましくは140nm以上300nm以下、より好ましくは150nm以上270nm以下の範囲内である。波面Swの振動の平均幅Amが140nm未満であると、電気特性が悪化する傾向がある。一方、波面Swの振動の平均幅Amが300nmを超えると、視認性が悪化する傾向がある。
波面Swの振動の平均幅Amは、好ましくは28nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上240nm以下、さらに好ましくは80nm以上240nm以下の範囲内である。波面Swの振動の平均幅Amが28nm未満であると、光学調整機能が劣化する傾向がある。一方、波面Swの振動の平均幅Amが300nmを超えると、電気特性が劣化する傾向がある。
ここで、波面Swの平均波長λm、振動の平均幅Am、および比率(Am/λm)は、以下のようにして求めたものである。まず、波面Swの振動の幅が最大となる位置を含むようにして透明導電性素子1を一方向に切断し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、波面Swの波長λおよび振動の幅Aを求める。この測定を透明導電性素子1から無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して波面Swの平均波長λm、および振動の平均幅Amを求める。次に、これらの平均波長λm、および振動の平均幅Amを用いて、比率(Am/λm)を求める。
波面Swのうち斜面の平均角度が、好ましくは60°以下、より好ましくは30°以上60°以下の範囲内である。平均角度が30°未満であると、波面Swによる電気的信頼性が低下する傾向がある。一方、平均角度が60°を超えると、電気的信頼が低下する傾向がある。また、平均角度が60°を超えると、透明導電層6のエッチング耐性が低下する傾向にある。
図2A〜図2Cに示すように、透明導電層6上に光学層7がさらに形成されている場合、透明導電層6が形成された第1の領域R1の反射率R1と、透明導電層6が形成されてない第2の領域R2の反射率R2との反射率差ΔR(=R2−R1)が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下の範囲内である。反射率差ΔRを5%以下にすることで、所定パターンを有する透明導電層6の視認を抑制することができる。
図1A〜図1Cに示すように、透明導電層6が露出している場合、透明導電性素子1の両主面のうち光学層2側の主面でのL*a*b*色度系における透過色相が、好ましくは|a*|≦10かつ|b*|≦10、より好ましくは|a*|≦5かつ|b*|≦5、さらに好ましくは|a*|≦3かつ|b*|≦3である。透過色相を|a*|≦10かつ|b*|≦10とすることで、視認性を向上できる。
図2A〜図2Cに示すように、透明導電層6上に光学層7がさらに形成されている場合、透明導電性素子1の両主面のうち光学層2側の主面でのL*a*b*色度系における透過色相が、好ましくは|a*|≦5かつ|b*|≦5、より好ましくは|a*|≦3かつ|b*|≦3、さらに好ましくは|a*|≦2かつ|b*|≦2である。透過色相を|a*|≦5かつ|b*|≦5とすることで、視認性を向上できる。
図1A〜図1Cに示すように、透明導電層6が露出している場合、透明導電性素子1の両主面のうち透明導電層6側の主面でのL*a*b*色度系における反射色相が、好ましくは|a*|≦10かつ|b*|≦10、反射色相を|a*|≦10かつ|b*|≦10とすることで、視認性を向上できる。
図2A〜図2Cに示すように、透明導電層6上に光学層7がさらに形成されている場合、透明導電性素子1の両主面のうち透明導電層6側の主面でのL*a*b*色度系における反射色相が、好ましくは|a*|≦10かつ|b*|≦10、より好ましくは|a*|≦5かつ|b*|≦5、さらに好ましくは|a*|≦3かつ|b*|≦3である。反射色相を|a*|≦10かつ|b*|≦10とすることで、視認性を向上できる。
(基体)
基体3、8は、例えば、透明性を有する透明基体である。基体3、8の材料としては、例えば、透明性を有するプラスチック材料、ガラスなどを主成分とするものが挙げられるが、これらの材料に特に限定されるものではない。
ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなど(「化学便覧」基礎編、P.I-537、日本化学会編参照)が用いられる。プラスチック材料としては、透明性、屈折率、および分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、および耐久性などの諸特性の観点から、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体及び共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマーなどが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。
基体3、8としてプラスチック材料を用いる場合、プラスチック表面の表面エネルギー、塗布性、すべり性、平面性などをより改善するために、表面処理として下塗り層を設けるようにしてもよい。この下塗り層としては、例えば、オルガノアルコキシメタル化合物、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。また、下塗り層を設けるのと同様の効果を得るために、基体3、8の表面に対してコロナ放電、UV照射処理を行うようにしてもよい。
基体3、8がプラスチックフィルムである場合には、基体3、8は、例えば、上述の樹脂を伸延、あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。また、基体3、8の厚さは、導電性素子211の用途に応じて適宜選択することが好ましく、例えば25μm〜500μm程度である。
基体3、8の形状としては、例えば、シート状、プレート状、ブロック状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。ここで、シートにはフィルムが含まれるものと定義する。
(構造体)
図3Aは、複数の構造体が形成された光学層表面の一例を示す平面図である。図3Bは、図3Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。図3Cは、図3Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す斜視図である。以下では、透明導電性素子1の主面の面内で互いに直交する2方向をそれぞれX軸方向、およびY軸方向とし、その主面に垂直な方向をZ軸方向と称する。構造体4は、例えば、基体3の表面に対して凸状または凹状を有し、基体3の表面に対して2次元配列されている。構造体4は、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下の短い平均配置ピッチで周期的に2次元配列されていることが好ましい。
複数の構造体4は、基体3の表面において複数列のトラックT1,T2,T3,・・・(以下総称して「トラックT」ともいう。)をなすような配置形態を有する。本発明において、トラックとは、構造体4が列をなして連なった部分のことをいう。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックTをウォブル(蛇行)させるようにしてもよい。このようにトラックTをウォブルさせることで、外観上のムラの発生を抑制できる。
トラックTをウォブルさせる場合には、基体3上における各トラックTのウォブルは、同期していることが好ましい。すなわち、ウォブルは、シンクロナイズドウォブルであることが好ましい。このようにウォブルを同期させることで、六方格子または準六方格子の単位格子形状を保持し、充填率を高く保つことができる。ウォブルしたトラックTの波形としては、例えば、サイン波、三角波などを挙げることができる。ウォブルしたトラックTの波形は、周期的な波形に限定されるものではなく、非周期的な波形としてもよい。ウォブルしたトラックTのウォブル振幅は、例えば±10nm程度に選択される。
構造体4は、例えば、隣接する2つのトラックT間において、半ピッチずれた位置に配置されている。具体的には、隣接する2つのトラックT間において、一方のトラック(例えばT1)に配列された構造体4の中間位置(半ピッチずれた位置)に、他方のトラック(例えばT2)の構造体4が配置されている。その結果、図3Bに示すように、隣接する3列のトラック(T1〜T3)間においてa1〜a7の各点に構造体4の中心が位置する六方格子パターンまたは準六方格子パターンを形成するように構造体4が配置されている。
ここで、六方格子とは、正六角形状の格子のことをいう。準六方格子とは、正六角形状の格子とは異なり、歪んだ正六角形状の格子のことをいう。例えば、構造体4が直線上に配置されている場合には、準六方格子とは、正六角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませた六方格子のことをいう。構造体4が蛇行して配列されている場合には、準六方格子とは、正六角形状の格子を構造体4の蛇行配列により歪ませた六方格子、または正六角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませ、かつ、構造体4の蛇行配列により歪ませた六方格子のことをいう。
構造体4が準六方格子パターンを形成するように配置されている場合には、図3Bに示すように、同一トラック(例えばT1)内における構造体4の配置ピッチP1(例えばa1〜a2間距離)は、隣接する2つのトラック(例えばT1およびT2)間における構造体4の配置ピッチ、すなわちトラックの延在方向に対して±θ方向における構造体4の配置ピッチP2(例えばa1〜a7、a2〜a7間距離)よりも長くなっていることが好ましい。このように構造体4を配置することで、構造体4の充填密度の更なる向上を図れるようになる。
構造体4の具体的な形状としては、例えば、錐体状、柱状、針状、半球体状、半楕円体状、多角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではなく、他の形状を採用するようにしてもよい。錐体状としては、例えば、頂部が尖った錐体形状、頂部が平坦な錐体形状、頂部に凸状または凹状の曲面を有する錐体形状が挙げられ、電気的信頼性の観点からすると、頂部に凸状の曲面を有する錐体形状が好ましいが、これらの形状に限定されるものではない。頂部に凸状の曲面を有する錐体形状としては、放物面状などの2次曲面状などが挙げられる。また、錐体状の錐面を凹状または凸状に湾曲させるようにしてもよい。後述するロール原盤露光装置(図7参照)を用いてロール原盤を作製する場合には、構造体4の形状として、頂部に凸状の曲面を有する楕円錐形状、または頂部が平坦な楕円錐台形状を採用し、それらの底面を形成する楕円形の長軸方向をトラックTの延在方向と一致させることが好ましい。
光学調整機能の向上の観点からすると、頂部の傾きが緩やかで中央部から底部に徐々に急峻な傾きの錐体形状が好ましい。また、反射特性および透過特性の光学調整機能の向上の観点からすると、中央部の傾きが底部および頂部より急峻な錐形形状、または、頂部が平坦な錐体形状であることが好ましい。構造体4が楕円錐形状または楕円錐台形状を有する場合、その底面の長軸方向が、トラックの延在方向と平行となることが好ましい。
構造体4は、その底部の周縁部に、頂部から下部の方向に向かってなだらかに高さが低下する曲面部4bを有することが好ましい。透明導電性素子1の製造工程において透明導電性素子1を原盤などから容易に剥離することが可能になるからである。なお、曲面部4bは、構造体4の周縁部の一部にのみ設けてもよいが、上記剥離特性の向上の観点からすると、構造体4の周縁部の全部に設けることが好ましい。
構造体4の周囲の一部または全部に突出部4aを設けることが好ましい。このようにすると、構造体4の充填率が低い場合でも、反射率を低く抑えることができるからである。突出部4aは、成形の容易さの観点からすると、隣り合う構造体4の間に設けることが好ましい。また、構造体4の周囲の一部または全部の表面を荒らし、微細の凹凸を形成するようにしてもよい。具体的には例えば、隣り合う構造体4の間の表面を荒らし、微細な凹凸を形成するようにしてもよい。また、構造体4の表面、例えば頂部に微小な穴を形成するようにしてもよい。
なお、図3Bおよび図3Cでは、各構造体4がそれぞれ同一の大きさ、形状および高さを有しているが、構造体4の形状はこれに限定されるものではなく、基体表面に2種以上の大きさ、形状および高さを有する構造体4が形成されていてもよい。
トラックの延在方向における構造体4の高さH1は、列方向における構造体4の高さH2よりも小さいことが好ましい。すなわち、構造体4の高さH1、H2がH1<H2の関係を満たすことが好ましい。H1≧H2の関係を満たすように構造体4を配列すると、トラックの延在方向の配置ピッチP1を長くする必要が生じるため、トラックの延在方向における構造体4の充填率が低下するためである。このように充填率が低下すると、光学調整機能の低下を招くことになる。
なお、構造体4のアスペクト比は全て同一である場合に限らず、各構造体4が一定の高さ分布をもつように構成されていてもよい。高さ分布を有する構造体4を設けることで、光学調整機能の波長依存性を低減することができる。したがって、優れた光学調整機能を有する透明導電性素子1を実現することができる。
ここで、高さ分布とは、2種以上の高さを有する構造体4が基体3の表面に設けられていることを意味する。例えば、基準となる高さを有する構造体4と、この構造体4とは異なる高さを有する構造体4とが基体3の表面に設けるようにしてもよい。この場合、基準とは異なる高さを有する構造体4は、例えば基体3の表面に周期的または非周期的(ランダム)に設けられる。その周期性の方向としては、例えばトラックの延在方向、列方向などが挙げられる。
構造体4の平均配置ピッチPm、平均高さHmおよびアスペクト比(平均高さまたは平均深さHm/平均配置ピッチPm)はそれぞれ、波面Swの平均波長λm、振動の平均幅Amおよび比率(振動の平均幅Am/平均波長λm)と同様である。
同一トラック内における構造体4の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体4の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.00≦P1/P2≦1.1、または1.00<P1/P2≦1.1の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体4の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。
波面Swの面積S1に対する平坦部の面積S2の比率Rs((S2/S1)×100)が、好ましくは0%以上50%以下、より好ましくは0%以上45%以下、さらに好ましくは0%以上30%以下の範囲内である。面積比率Rsを50%以下にすることで、光学調整機能を向上することができる。
ここで、波面Swの面積S1に対する平坦部の面積S2の比率Rs((S2/S1)×100)は以下のようにして求めた値である。
まず、透明導電性素子1の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてTop Viewで撮影する。次に、撮影したSEM写真から無作為に単位格子Ucを選び出し、その単位格子Ucの配置ピッチP1、およびトラックピッチTpを測定する(図3B参照)。また、その単位格子Ucの中央に位置する構造体4の底面の面積S(structure)を画像処理により測定する。次に、測定した配置ピッチP1、トラックピッチTp、および底面の面積S(structure)を用いて、以下の式より比率Rを求める。
比率R=[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100
単位格子面積:S(lattice)=P1×2Tp
単位格子内に存在する構造体の底面の面積:S(structure)=2S
上述した比率Rの算出処理を、撮影したSEM写真から無作為に選び出された10箇所の単位格子Ucについて行う。そして、測定値を単純に平均(算術平均)して比率Rの平均率を求め、これを比率Rsとする。
構造体4が重なっているときや、構造体4の間に突出部4などの副構造体があるときの充填率は、構造体4の高さに対して5%の高さに対応する部分を閾値として面積比を判定する方法で比率Rsを求めることができる。
図4は、構造体4の境界が不明瞭な場合の比率Rsの算出方法について説明するための図である。構造体4の境界が不明瞭な場合には、断面SEM観察により、図4に示すように、構造体4の高さhの5%(=(d/h)×100)に相当する部分を閾値とし、その高さdで構造体4の径を換算し比率Rsを求めるようにする。構造体4の底面が楕円である場合には、長軸および短軸で同様の処理を行う。
構造体4が、その下部同士を重ね合うようにして繋がっていることが好ましい。具体的には、隣接関係にある構造体4の一部または全部の下部同士が重なり合っていることが好ましく、トラック方向、θ方向、またはそれら両方向において重なり合っていることが好ましい。このように構造体4の下部同士を重なり合わせることで、構造体4の充填率を向上することができる。構造体同士は、屈折率を考慮した光路長で使用環境下の光の波長帯域の最大値の1/4以下の部分で重なり合っていることが好ましい。これにより、優れた光学調整機能を得ることができるからである。
配置ピッチP1に対する径2rの比率((2r/P1)×100)が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の範囲内である。このような範囲にすることで、構造体4の充填率を向上し、光学調整機能を向上できるからである。比率((2r/P1)×100)が大きくなり、構造体4の重なりが大きくなりすぎると光学調整機能が低減する傾向にある。したがって、屈折率を考慮した光路長で使用環境下の光の波長帯域の最大値の1/4以下の部分で構造体同士が接合されるように、比率((2r/P1)×100)の上限値を設定することが好ましい。ここで、配置ピッチP1は、図3Bに示すように、構造体4のトラック方向の配置ピッチであり、径2rは、図3Bに示すように、構造体底面のトラック方向の径である。なお、構造体底面が円形である場合、径2rは直径となり、構造体底面が楕円形である場合、径2rは長径となる。
構造体4が準六方格子パターンを形成する場合には、構造体底面の楕円率eは、100%<e<150%以下であることが好ましい。この範囲にすることで、構造体4の充填率を向上し、優れた光学調整機能を得ることができるからである。
(透明導電層)
図5Aは、透明導電層の表面形状の例を説明するための拡大断面図である。透明導電層6は、互いに同期する第1の波面Sw1と第2の波面Sw2とを有する。第1の波面Sw1と第2の波面Sw2との振動の平均幅が異なっていることが好ましい。第1の波面Sw1の振動の平均幅A1は、第2の波面Sw2の振動の平均幅A2よりも小さいことがより好ましい。振動の幅が最大となる位置を含むようにして、第1の波面Sw1または第2の波面Sw2を一方向に向かって切断したときの断面形状は、例えば、三角波形状、正弦波形状、2次曲線もしくは2次曲線の一部を繰り返した波形状、またはこれらに近似する形状などである。2次曲線としては、円、楕円、放物線などが挙げられる。
透明導電層6は、例えば、有機透明導電層または無機透明導電層である。有機透明導電層は、導電性高分子またはカーボンナノチューブを主成分としていることが好ましい。導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系などの導電性高分子材料を用いることができ、ポリチオフェン系の導電性高分子材料を用いることが好ましい。ポリチオフェン系の導電性高分子材料としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)にPSS(ポリスチレンスルホン酸)をドーピングしたPEDOT/PSS系の材料を用いることが好ましい。
無機透明導電層は、透明酸化物半導体を主成分としていることが好ましい。透明酸化物半導体としては、例えば、SnO2、InO2、ZnOおよびCdOなどの二元化合物、二元化合物の構成元素であるSn、In、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つの元素を含む三元化合物、または多元系(複合)酸化物を用いることができる。透明酸化物半導体の具体例としては、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO(Al23、ZnO))、SZO、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化錫(SnO2)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO(In23、ZnO))などが挙げられる。特に、信頼性の高さ、および抵抗率の低さなどの観点から、インジウム錫酸化物(ITO)が好ましい。無機透明導電層を構成する材料は、導電性の向上の観点からすると、アモルファスと多結晶との混合状態であることが好ましい。
透明導電層6を構成する材料としては、生産性の観点からすると、導電性高分子、金属ナノ粒子、およびカーボンナノチューブからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが好ましい。これらの材料を主成分とすることで、高価な真空装置などを用いずに、ウエットコーティングにより透明導電層6を容易に形成することができる。
図5Bは、透明導電層の膜厚を説明するための拡大断面図である。図5Bに示すように、構造体4の頂部における透明導電層6の膜厚をD1、構造体4の傾斜面における透明導電層6の膜厚をD2、構造体間における透明導電層6の膜厚をD3としたときに、膜厚D1、D2、D3が、好ましくはD1>D3、より好ましくはD1>D3>D2の関係を満たしている。構造体4の頂部における透明導電層6の膜厚D1に対する、構造体間の透明導電層6の膜厚D3の比率(D3/D1)が、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下の範囲内である。比率(D3/D1)を0.8以下にすることで、比率(D3/D1)を1とした場合に比して光学調整機能を向上することができる。したがって、透明導電層6が形成された第1の領域R1と、透明導電層6が形成されていない第2の領域R2との反射率差ΔRを低減することができる。すなわち、所定パターンを有する透明導電層6の視認を抑制することができる。
なお、構造体4の頂部における透明導電層6の膜厚D1、構造体4の傾斜面における透明導電層6の膜厚D2、構造体間における透明導電層6の膜厚D3はそれぞれ、波面Swが最も高くなる位置における透明導電層6の膜厚D1、波面Swの傾斜面における透明導電層6の膜厚D2、波面Swが最も低くなる位置における透明導電層6の膜厚D3と等しい。
構造体4の頂部における透明導電層6の膜厚D1は、好ましくは100nm以下、より好ましく10nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下の範囲内である。100nmを超えると、視認性が悪化する傾向がある。一方、10nm未満であると、電気特性が悪化する傾向がある。
上述した透明導電層6の膜厚D1、D2、D3は以下のようにして求めたものである。
まず、透明導電性素子1を構造体4の頂部を含むようにトラックの延在方向に切断し、その断面をTEMにて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、構造体4の頂部における透明導電層6の膜厚D1を測定する。次に、構造体4の傾斜面の位置のうち、構造体4の半分の高さ(H/2)の位置の膜厚D2を測定する。次に、構造体間の凹部の位置のうち、その凹部の深さが最も深くなる位置の膜厚D3を測定する。
なお、透明導電層6の膜厚D1、D2、D3が上記関係を有しているか否かは、このようにして求めた透明導電層の膜厚D1、D2、D3により確認することができる。
透明導電層6の表面抵抗は、50Ω/□以上4000Ω/□以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50Ω/□以上500Ω/□以下の範囲内である。このような範囲の表面抵抗にすることで、静電容量方式のタッチパネルの上部電極、または下部電極として透明導電性素子1を用いることができるからである。ここで、透明導電層6の表面抵抗は、4探針法(JIS K 7194)により求めたものである。透明導電層6の比抵抗は、1×10-3Ω・cm以下であることが好ましい。1×10-3Ω・cm以下であると、上記表面抵抗範囲を実現することができるからである。
(貼合層)
貼合層8は、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系などの粘着剤を用いることができ、透明性の観点からすると、アクリル系粘着剤が好ましい。
[ロール原盤の構成]
図6Aは、ロール原盤の構成の一例を示す斜視図である。図6Bは、図6Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す平面図である。図6Cは、図6BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。ロール原盤11は、上述した構成を有する透明導電性素子1を作製するための原盤、より具体的には、上述した基体表面に複数の構造体4を成形するための原盤である。ロール原盤11は、例えば、円柱状または円筒状の形状を有し、その円柱面または円筒面が基体表面に複数の構造体4を成形するための成形面とされる。この成形面には複数の構造体12が2次元配列されている。構造体12は、例えば、成形面に対して凹状を有している。ロール原盤11の材料としては、例えばガラスを用いることができるが、この材料に特に限定されるものではない。
ロール原盤11の成形面に配置された複数の構造体12と、上述の基体3の表面に配置された複数の構造体4とは、反転した凹凸関係にある。すなわち、ロール原盤11の構造体12の形状、配列、配置ピッチなどは、基体3の構造体4と同様である。
[露光装置の構成]
図7は、ロール原盤を作製するためのロール原盤露光装置の構成の一例を示す概略図である。このロール原盤露光装置は、光学ディスク記録装置をベースとして構成されている。
レーザー光源21は、記録媒体としての原盤ロール11の表面に着膜されたレジストを露光するための光源であり、例えば波長λ=266nmの記録用のレーザー光14を発振するものである。レーザー光源21から出射されたレーザー光14は、平行ビームのまま直進し、電気光学素子(EOM:Electro Optical Modulator)22へ入射する。電気光学素子22を透過したレーザー光14は、ミラー23で反射され、変調光学系25に導かれる。
ミラー23は、偏光ビームスプリッタで構成されており、一方の偏光成分を反射し他方の偏光成分を透過する機能をもつ。ミラー23を透過した偏光成分はフォトダイオード24で受光され、その受光信号に基づいて電気光学素子22を制御してレーザー光14の位相変調を行う。
変調光学系25において、レーザー光14は、集光レンズ26により、ガラス(SiO2)などからなる音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)27に集光される。レーザー光14は、音響光学素子27により強度変調され発散した後、レンズ28によって平行ビーム化される。変調光学系25から出射されたレーザー光14は、ミラー31によって反射され、移動光学テーブル32上に水平かつ平行に導かれる。
移動光学テーブル32は、ビームエキスパンダ33、および対物レンズ34を備えている。移動光学テーブル32に導かれたレーザー光14は、ビームエキスパンダ33により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ34を介して、ロール原盤11上のレジスト層へ照射される。ロール原盤11は、スピンドルモータ35に接続されたターンテーブル36の上に載置されている。そして、ロール原盤11を回転させるとともに、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向に移動させながら、レジスト層へレーザー光14を間欠的に照射することにより、レジスト層の露光工程が行われる。形成された潜像は、円周方向に長軸を有する略楕円形になる。レーザー光14の移動は、移動光学テーブル32の矢印R方向への移動によって行われる。
露光装置は、図3Bに示した六方格子または準六方格子の2次元パターンに対応する潜像をレジスト層に形成するための制御機構37を備えている。制御機構37は、フォマッター29とドライバ30とを備える。フォマッター29は、極性反転部を備え、この極性反転部が、レジスト層に対するレーザー光14の照射タイミングを制御する。ドライバ30は、極性反転部の出力を受けて、音響光学素子27を制御する。
このロール原盤露光装置では、2次元パターンが空間的にリンクするように1トラック毎に極性反転フォマッター信号と回転コントロラーを同期させて信号を発生し、音響光学素子27により強度変調している。角速度一定(CAV)で適切な回転数と適切な変調周波数と適切な送りピッチでパターニングすることにより、六方格子または準六方格子パターンを記録することができる。
[透明導電性素子の製造方法]
次に、図8A〜図9Dを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る透明導電性素子1の製造方法について説明する。
(レジスト成膜工程)
まず、図8Aに示すように、円柱状または円筒状のロール原盤11を準備する。このロール原盤11は、例えばガラス原盤である。次に、図8Bに示すように、ロール原盤11の表面にレジスト層13を形成する。レジスト層13の材料としては、例えば有機系レジスト、および無機系レジストのいずれを用いてもよい。有機系レジストとしては、例えばノボラック系レジストや化学増幅型レジストを用いることができる。また、無機系レジストとしては、例えば、1種または2種以上含む金属化合物を用いることができる。
(露光工程)
次に、図8Cに示すように、ロール原盤11の表面に形成されたレジスト層13に、レーザー光(露光ビーム)14を照射する。具体的には、図7に示したロール原盤露光装置のターンテーブル36上に載置し、ロール原盤11を回転させると共に、レーザー光(露光ビーム)14をレジスト層13に照射する。このとき、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向(円柱状または円筒状のロール原盤11の中心軸に平行な方向)に移動させながら、レーザー光14を間欠的に照射することで、レジスト層13を全面にわたって露光する。これにより、レーザー光14の軌跡に応じた潜像15が、例えば可視光波長と同程度のピッチでレジスト層13の全面にわたって形成される。
潜像15は、例えば、ロール原盤表面において複数列のトラックをなすように配置されるとともに、六方格子パターンまたは準六方格子パターンを形成する。潜像15は、例えば、トラックの延在方向に長軸方向を有する楕円形状である。
(現像工程)
次に、例えば、ロール原盤11を回転させながら、レジスト層13上に現像液を滴下して、レジスト層13を現像処理する。これにより、図8Dに示すように、レジスト層13に複数の開口部が形成される。レジスト層13をポジ型のレジストにより形成した場合には、レーザー光14で露光した露光部は、非露光部と比較して現像液に対する溶解速度が増すので、図8Dに示すように、潜像(露光部)16に応じたパターンがレジスト層13に形成される。開口部のパターンは、例えば六方格子パターンまたは準六方格子パターンなどの所定の格子パターンである。
(エッチング工程)
次に、ロール原盤11の上に形成されたレジスト層13のパターン(レジストパターン)をマスクとして、ロール原盤11の表面をエッチング処理する。これにより、図9Aに示すように、トラックの延在方向に長軸方向をもつ楕円錐形状または楕円錐台形状の凹部、すなわち構造体12を得ることができる。エッチングとしては、例えばドライエッチング、ウエットエッチングを用いることができる。このとき、エッチング処理とアッシング処理とを交互に行うことにより、例えば、錐体状の構造体12のパターンを形成することができる。
以上により、目的とするロール原盤11が得られる。
(転写工程)
次に、図9Bに示すように、ロール原盤11と、基体3上に塗布された転写材料16とを密着させた後、紫外線などのエネルギー線をエネルギー線源17から転写材料16に照射して転写材料16を硬化させた後、硬化した転写材料16と一体となった基体3を剥離する。これにより、図9Cに示すように、複数の構造体4を基体表面に有する光学層2が作製される。
エネルギー線源17としては、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、または高周波などエネルギー線を放出可能なものであればよく、特に限定されるものではない。
転写材料16としては、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物が、必要に応じてフィラーや機能性添加剤などを含んでいてもよい。
紫外線硬化性樹脂組成物は、例えばアクリレートおよび開始剤を含んでいる。紫外線硬化性樹脂組成物は、例えば、単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーなどを含み、具体的には、以下に示す材料を単独または、複数混合したものである。
単官能モノマーとしては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸)、ヒドロキシ類(2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル、脂環類(イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレンクリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−(パーフルオロオクチル)エチル アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロオクチルー2−ヒドロキシプロピル アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル アクリレート、2−(パーフルオロー3−メチルブチル)エチル アクリレート)、2,4,6−トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノールメタクリレート、2−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
二官能モノマーとしては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどを挙げることができる。
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどを挙げることができる。
開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
フィラーとしては、例えば、無機微粒子および有機微粒子のいずれも用いることができる。無機微粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al23などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
機能性添加剤としては、例えば、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などを挙げることができる。基体3の材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。
基体3の成形方法は特に限定されず、射出成形体でも押し出し成形体でも、キャスト成形体でもよい。必要に応じて、コロナ処理などの表面処理を基体表面に施すようにしてもよい。
(透明導電層の成膜工程)
次に、図9Dに示すように、複数の構造体4が形成された光学層2の波面Sw上に、透明導電層6を成膜する。透明導電層6を成膜する際に、光学層2を加熱しながら成膜を行うようにしてもよい。透明導電層6の成膜方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition(化学蒸着法):化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)のほか、真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(Physical Vapor Deposition(物理蒸着法):真空中で物理的に気化させた材料を基板上に凝集させ、薄膜を形成する技術)を用いることができる。次に、必要に応じて、透明導電層6に対してアニール処理を施す。これにより、透明導電層6が、例えばアモルファスと多結晶との混合状態となる。
(透明導電層のパターニング工程)
次に、例えばフォトエッチングにより透明導電層6をパターニングすることで、所定パターンを有する透明導電層6を形成する。
以上により、目的とする透明導電性素子1が得られる。
<2.第2の実施形態>
[透明導電性素子の構成]
図10Aは、本発明の第2の実施形態に係る透明導電性素子の光学層表面の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。第2の実施形態に係る透明導電性素子1は、複数の構造体4が、隣接する3列のトラックT間において四方格子パターンまたは準四方格子パターンをなしている点において、第1の実施形態のものとは異なっている。
ここで、四方格子とは、正四角形状の格子のことをいう。準四方格子とは、正四角形状の格子とは異なり、歪んだ正四角形状の格子のことをいう。例えば、構造体4が直線上に配置されている場合には、準四方格子とは、正四角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませた四方格子のことをいう。構造体4が蛇行して配列されている場合には、準四方格子とは、正四角形状の格子を構造体4の蛇行配列により歪ませた四方格子をいう。または、正四角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませ、かつ、構造体4の蛇行配列により歪ませた四方格子のことをいう。
同一トラック内における構造体4の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体4の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。また、同一トラック内における構造体4の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体4の配置ピッチをP2としたとき、P1/P2が1.4<P1/P2≦1.5の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体4の充填率を向上することができるので、光学調整機能を向上することができる。また、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体4の高さまたは深さは、トラックの延在方向における構造体4の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。
トラックの延在方向に対して斜となる構造体4の配列方向(θ方向)の高さH2は、トラックの延在方向における構造体4の高さH1よりも小さいことが好ましい。すなわち、構造体4の高さH1、H2がH1>H2の関係を満たすことが好ましい。
構造体4が四方格子または準四方格子パターンを形成する場合には、構造体底面の楕円率eは、150%≦e≦180%であることが好ましい。この範囲にすることで、構造体4の充填率を向上し、優れた光学調整機能を得ることができるからである。
波面Swの面積S1に対する平坦部の面積S2の比率Rs((S2/S1)×100)が、好ましくは0%以上50%以下、より好ましくは0%以上45%以下、さらに好ましくは0%以上30%以下の範囲内である。比率Rsを50%以下にすることで、光学調整機能を向上することができる。
ここで、波面Swの面積S1に対する平坦部の面積S2の比率Rs((S2/S1)×100)は以下のようにして求めた値である。
まず、透明導電性素子1の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてTop Viewで撮影する。次に、撮影したSEM写真から無作為に単位格子Ucを選び出し、その単位格子Ucの配置ピッチP1、およびトラックピッチTpを測定する(図10B参照)。また、その単位格子Ucに含まれる4つの構造体4のいずれかの底面の面積S(structure)を画像処理により測定する。次に、測定した配置ピッチP1、トラックピッチTp、および底面の面積S(structure)を用いて、以下の式より比率Rを求める。
比率R=[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100
単位格子面積:S(lattice)=2×((P1×Tp)×(1/2))=P1×Tp
単位格子内に存在する構造体の底面の面積:S(structure)=S
上述した比率Rの算出の処理を、撮影したSEM写真から無作為に選び出された10箇所の単位格子Ucについて行う。そして、測定値を単純に平均(算術平均)して比率Rの平均率を求め、これを比率Rsとする。
配置ピッチP1に対する径2rの比率((2r/P1)×100)が、64%以上、好ましくは69%以上、より好ましくは73%以上である。このような範囲にすることで、構造体4の充填率を向上し、光学調整機能を向上できるからである。ここで、配置ピッチP1は、構造体4のトラック方向の配置ピッチ、径2rは、構造体底面のトラック方向の径である。なお、構造体底面が円形である場合、径2rは直径となり、構造体底面が楕円形である場合、径2rは長径となる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施形態>
図11Aは、本発明の第3の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図11Bは、本発明の第3の実施形態に係る透明導電性素子の光学層表面の一例を示す平面図である。図11Cは、図11Bに示した光学層表面の一部を拡大して表す平面図である。
第3の実施形態に係る透明導電性素子1は、複数の構造体4がランダム(不規則)に2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。また、構造体21の形状、大きさおよびは高さの少なくとも1つをさらにランダムに変化させるようにしてもよい。
この第3の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
この透明導電性素子1を作製するための原盤は、例えばアルミニウム基材の表面を陽極酸化する方法を用いることができるが、この方法に限定されるものではない。
第3の実施形態では、複数の構造体4をランダムに2次元配列しているので、外観上のムラの発生を抑制できる。
<4.第4の実施形態>
図12Aは、本発明の第4の実施形態に係る透明導電性素子の構成の一例を示す断面図である。図12Bは、図12Aに示した透明導電性素子の一部を拡大して表す拡大断面図である。図12Cは、本発明の第4の実施形態に係る透明導電性素子の構成の他の例を示す断面図である。図12Dは、図12Cに示した透明導電性素子の一部を拡大して表す拡大断面図である。
図12Aおよび図12Bに示すように、第4の実施形態に係る透明導電性素子1は、透明導電層6が光学層(第1の光学層)2の波面Swのほぼ全体に渡って連続的に形成されている点において、第1の実施形態とは異なっている。
また、必要に応じて、図12Cおよび図12Dに示すように、透明導電層6上に形成された光学層(第2の光学層)7をさらに備え、透明導電層6の両主面がそれぞれ光学層2、光学層7により覆われた構成としてもよい。なお、構造体4の凹凸の向きが逆であってもかまわない。
この第4の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
<5.第5の実施形態>
図13Aは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図13Aに示すように、情報入力装置101は、表示装置102の表示面上に設けられる。情報入力装置101は、例えば貼合層111により表示装置102の表示面に貼り合わされている。情報入力装置101が適用される表示装置102は特に限定されるものではないが、例示するならば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置が挙げられる。
情報入力装置101は、いわゆる投影型静電容量方式タッチパネルであり、第1の透明導電性素子11と、第1の透明導電性素子11上に設けられた第2の透明導電層12と、第2の透明導電層12上に設けられた光学層7とを備える。第1の透明導電性素子11と第2の透明導電層12とは、第1の透明導電性素子11の透明導電層61側の面と第2の透明導電性素子12の基体3側の面とが対向するように貼合層112を介して貼り合わされている。光学層7は、貼合層8を介して基体3を第2の透明導電性素子12の透明導電層8側の面に貼り合わせることにより形成される。
図13Bは、図13Aに示した領域A1および領域A2を拡大して表す拡大断面図である。図14Aは、図13Aに示した領域A1をさらに拡大して表す拡大断面図である。図14Bは、図13Aに示した領域A2をさらに拡大して表す拡大断面図である。
図13Bに示すように、第1の透明導電性素子11の透明導電層61と第2の透明導電性素子12の透明導電層62とは、情報入力装置101の厚さ方向に重ならないように設けられていることが好ましい。すなわち、第1の透明導電性素子11の第1の領域R1と第2の透明導電性素子12の第2の領域R2とが情報入力装置101の厚さ方向に重なり、第2の透明導電性素子11の第2の領域R2と第2の透明導電性素子12の第1の領域R1とが情報入力装置101の厚さ方向に重なっていることが好ましい。このようにすることで、第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12との重ね合わせによる透過率差を低減することができる。なお、図13Aおよび図13Bでは、第1の透明導電性素子11の透明導電層61と、第2の透明導電性素子12の透明導電層62とがいずれも入力面側となるように、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の向きが設定されている場合を例として示しているが、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の向きは特に限定されるものではなく、情報入力装置101の設計に応じて適宜設定可能である。
図14Aに示すように、領域A1では、第1の透明導電性素子11の波面Swには透明導電層61が形成されていないのに対して、第2の透明導電性素子12の波面Swには透明導電層62が形成されていることが好ましい。また、図14Bに示すように、領域A2では、第1の透明導電性素子11の波面Swには透明導電層61が形成されているのに対して、第2の透明導電性素子12の波面Swには透明導電層62が形成されていないことが好ましい。
第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12としては、第1〜第3の実施形態の透明導電性素子1のうちの1種を用いることができる。すなわち、第1の透明導電性素子11の光学層21、基体31、構造体41、基底層51および透明導電層61はそれぞれ、第1〜第3の実施形態のうちの1種の光学層2、基体3、構造体4、基底層5および透明導電層6と同様である。また、第2の透明導電性素子12の光学層22、基体32、構造体42、基底層52および透明導電層62はそれぞれ、第1〜第3の実施形態のうちの1種の光学層2、基体3、構造体4、基底層5および透明導電層6と同様である。
図15Aは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための分解斜視図である。この情報入力装置101は、ITO Grid方式の投影型静電容量方式タッチパネルである。第1の透明導電性素子11の透明導電層61は、例えば、所定のパターンを有するX電極(第1の電極)である。第2の透明導電性素子12の透明導電層62は、例えば、所定のパターンを有するY電極(第2の電極)である。これらのX電極とY電極とは、例えば互いに直交する関係にある。
図15Bは、本発明の第5の実施形態に係る情報入力装置に備えられる第1の透明導電性素子の構成の一例を説明するための分解斜視図である。なお、第2の透明導電性素子12は、透明導電層62からなるY電極の形成方向以外の点では第1の透明導電性素子11と同様であるので、分解斜視図の図示を省略する。
光学層21の波面Swの領域R1には、透明導電層61からなる複数のX電極が配列されている。光学層22の波面Swの領域R2には、透明導電層61からなる複数のY電極が配列されている。X軸方向に延びるX電極は、単位形状体C1をX軸方向に繰り返し連結してなる。Y軸方向に延びるY電極は、単位形状体C2をY軸方向に繰り返し連結してなる。単位形状体C1および単位形状体C2の形状としては、例えば菱形形状(ダイヤモンド形状)、三角形状、四角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。
第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12とを重ね合わせた状態において、第1の透明導電性素子11の第1の領域R1と、第2の透明導電性素子12の第2の領域R2とが重ね合わされ、第1の透明導電性素子11の第2の領域R2と、第2の透明導電性素子12の第1の領域R1とが重ね合わされる。したがって、情報入力装置101を入力面側から見た場合には、単位形状体C1および単位形状体C2が重ならず、一主面に敷き詰められて細密充填された状態として見える。
<6.第6の実施形態>
図16Aは、本発明の第6の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図16Bは、図16Aに示した情報入力装置の一部を拡大して表す拡大断面図である。
情報入力装置101は、いわゆる表面型静電容量方式タッチパネルであり、透明導電性素子1を備える。透明導電性素子1としては、第4の実施形態に係る透明導電性素子1が用いられ、透明導電層6上には光学層(第2の光学層)7が設けられる。
第6の実施形態において、上記以外のことは第5の実施形態と同様である。
<7.第7の実施形態>
図17Aは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図17Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図17Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。
図17Aに示すように、情報入力装置101は、いわゆるマトリックス対向膜方式タッチパネルであり、第1の透明導電性素子11と、第2の透明導電性素子12と、貼合121とを備える。第1の透明導電性素子1と第2の透明導電性素子12とは、互いの透明導電層61および透明導電層62が対向するように所定間各離して対向配置されている。貼合層121は、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の周縁部間に配置されて、貼合層121を介して第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の対向面の周縁部が貼り合わされる。貼合層121としては、例えば、粘着ペースト、粘着テープなどが用いられる。
情報入力装置101の両主面のうち、第2の透明導電性素子12の側の主面が情報を入力するタッチ面(情報入力面)となる。このタッチ面上にハードコート層122をさらに設けることが好ましい。タッチパネル50のタッチ面の耐擦傷性を向上することができるからである。
図17Bおよび図17Cに示すように、第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12との波面Swが所定間隔離して対向配置されている。マトリックス対向膜方式タッチパネルである情報入力装置101では、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の波面Swにはそれぞれ、所定パターンを有する透明導電層61および透明導電層62が形成されている。このため、情報入力装置101では、透明導電層61が形成された波面Swと透明導電層62が形成された波面Swとが対向する領域(図17B)、透明導電層61が形成されておらず露出した波面Swと透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図17C)、および透明導電層61または透明導電層62が形成された波面Swと透明導電層61または透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図示省略)とが存在する。
図18Aは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための分解斜視図である。図18Bは、本発明の第7の実施形態に係る情報入力装置に備えられる透明導電性素子の構成の一例を説明するための分解斜視図である。第1の透明導電性素子11の透明導電層61は、例えば、ストライプ形状を有するX電極(第1の電極)である。第2の透明導電性素子12の透明導電層61は、例えば、ストライプ形状を有するY電極(第2の電極)である。これらのX電極とY電極とが互いに対向するとともに直交するように、第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12とは対向配置される。
第7の実施形態において、上記以外のことは第5の実施形態と同様である。
<8.第8の実施形態>
図19Aは、本発明の第8の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図19Bは、図19Aに示した情報入力装置の一部を拡大して表す拡大断面図である。
図19Aに示すように、第8の実施形態に係る情報入力装置101は、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12としては第4の実施形態に係る透明導電性素子1を用いている点において、第7の実施形態に係る情報入力装置101とは異なっている。
図19Bに示すように、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12との波面Swが対向配置され、この対向配置された波面それぞれに透明導電層61、透明導電層62が形成されている。
第8の実施形態において、上記以外のことは第7の実施形態と同様である。
<9.第9の実施形態>
図20は、本発明の第9の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を説明するための断面図である。図20に示すように、第9の実施形態に係る液晶表示装置は、第1の主面および第2の主面を有する液晶パネル(液晶層)131と、第1の主面上に形成された第1の偏光子132と、第2の主面上に形成された第2の偏光子133と、液晶パネル131と第2の偏光子133との間に配置された情報入力装置101とを備える。情報入力装置101は、液晶ディスプレイ一体型タッチパネル(いわゆるインナータッチパネル)である。光学層22を省略して、第2の偏光子133の表面に複数の構造体4を直接形成するようにしてもよい。第2の偏光子133が、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどの保護層を表面に備えている場合には、保護層上に複数の構造体4を直接形成することが好ましい。このように第2の偏光子133に複数の構造体4を形成し、これらの構造体4上に透明導電層62を形成することで、液晶表示装置をさらに薄型化することができる。
(液晶パネル)
液晶パネル131としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのものを用いることができる。
(偏光子)
第1の偏光子132および第2の偏光子133は、その透過軸が互いに直交するようにして液晶パネル131の第1の主面および第2の主面上に対してそれぞれ、貼合層134および貼合層136を介して貼り合わされる。第1の偏光子132および第2の偏光子133は、入射する光のうち直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収により遮へいするものである。第1の偏光子132および第2の偏光子133としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムに、ヨウ素錯体や二色性染料を一軸方向に配列させたものを用いることができる。第1の偏光子132および第2の偏光子133の両面には、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの保護層を設けることが好ましい。
(タッチパネル)
情報入力装置101は、第5〜第8の実施形態のいずれかのものを用いることができる。
第9の実施形態では、第2の偏光子133を液晶パネル135と情報入力装置101とで共用した構成としているので、光学特性を向上することができる。
<10.第10の実施形態>
図21Aは、本発明の第10の実施形態に係る情報表示装置の構成の一例を説明するための斜視図である。図21Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図21Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。
図21Aに示すように、この情報表示装置は、パッシブマトリックス駆動方式(単純マトリックス駆動方式ともいう。)の液晶表示装置であり、第1の透明導電性素子11と、第2の透明導電性素子12と、液晶層141とを備える。第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12とは、互いの透明導電層61および透明導電層62が対向するように所定間隔離して対向配置されている。液晶層141は、所定間隔離して配置された第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12との間に設けられる。第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12としては、第1〜第3の実施形態の透明導電性素子1のうちの1種を用いることができる。すなわち、第1の透明導電性素子11の光学層21、基体31、構造体41、基底層51および透明導電層61はそれぞれ、第1〜第3の実施形態のうちの1種の光学層2、基体3、構造体4、基底層5および透明導電層6と同様である。また、第2の透明導電性素子12の光学層22、基体32、構造体42、基底層52および透明導電層62はそれぞれ、第1〜第3の実施形態のうちの1種の光学層2、基体3、構造体4、基底層5および透明導電層6と同様である。ここでは、パッシブマトリックス駆動方式の液晶表示装置に対して本発明を適用した例について説明するが、情報表示装置はこの例に限定されるものではなく、パッシブマトリックス駆動方式などの所定の電極パターンを有する情報表示装置であれば本発明を適用可能である。例えば、パッシブマトリックス駆動方式のEL表示装置などにも適用可能である。
図21Bおよび図21Cに示すように、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12との波面Swが所定間隔離して対向配置されている。パッシブマトリックス駆動方式の液晶表示装置では、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の波面Swにはそれぞれ、所定パターンを有する透明導電層61および透明導電層62が形成されている。このため、透明導電層61が形成された波面Swと透明導電層62が形成された波面Swとが対向する領域(図21B)、透明導電層61が形成されておらず露出した波面Swと透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図21C)、および透明導電層61または透明導電層62が形成された波面Swと透明導電層61または透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図示省略)とが存在する。
第1の透明導電性素子11の透明導電層61は、例えば、ストライプ形状を有するX電極(第1の電極)である。第2の透明導電性素子12の透明導電層62は、例えば、ストライプ形状を有するY電極(第2の電極)である。これらのX電極とY電極とが互いに対向するとともに直交するように、第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12とは対向配置される。
<11.第11の実施形態>
図22Aは、本発明の第11の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を説明するための断面図である。図22Bは、透明導電層が形成された波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。図22Cは、透明導電層が形成されておらず露出した波面が対向する領域を拡大して表す断面図である。
図22Aに示すように、この情報表示装置は、いわゆるマイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーであり、第1の透明導電性素子11と、第2の透明導電性素子12と、マイクロカプセル層(媒質層)151とを備える。第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12とは、互いの透明導電層61および透明導電層62が対向するように所定間隔離して対向配置されている。マイクロカプセル層151は、所定間隔離して配置された第1の透明導電性素子11と第2の透明導電性素子12との間に設けられる。
また、必要に応じて、粘着剤などの貼合層153を介して第2の透明導電性素子12をガラスなどの支持体154に貼り合わせるようにしてもよい。ここでは、マイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーに対して本発明を適用した例について説明するが、電子ペーパーはこの例に限定されるものではなく、対向配置された導電性素子間に媒質層が設けられた構成であれば本発明は適用可能である。ここで、媒質には液体および固体以外に、空気などの気体も含まれる。また、媒質には、カプセル、顔料および粒子などの部材が含まれていてもよい。
マイクロカプセル電気泳動方式以外に本発明を適用可能な電子ペーパーとしては、例えばツイストボール方式、サーマルリライタブル方式、トナーディスプレイ方式、In−Plane型電気泳動方式、電子粉粒方式の電子パーパーなどが挙げられる。マイクロカプセル層151は、多数のマイクロカプセル152を含んでいる。マイクロカプセル内には、例えば、黒色粒子おび白色粒子が分散された透明な液体(分散媒)が封入されている。
第1の透明導電性素子11の透明導電層61、および第2の透明導電性素子12の透明導電層62は、電子ペーパーである情報表示装置の駆動方式に応じて所定の電極パターン状に形成されている。駆動方式としては、例えば単純マトリックス駆動方式、アクティブマトリックス駆動方式、セグメント駆動方式などが挙げられる。
図22Bおよび図22Cに示すように、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12との波面Swが所定間隔離して対向配置されている。パッシブマトリックス駆動方式電子ペーパーでは、第1の透明導電性素子11および第2の透明導電性素子12の波面Swにはそれぞれ、所定パターンを有する透明導電層61および透明導電層62が形成されている。このため、透明導電層61が形成された波面Swと透明導電層62が形成された波面Swとが対向する領域(図22B)、透明導電層61が形成されておらず露出した波面Swと透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図22C)、および透明導電層61または透明導電層62が形成された波面Swと透明導電層61または透明導電層62が形成されておらず露出した波面Swとが対向する領域(図示省略)とが存在する。
この第11の実施形態において、上記以外のことは、第10の実施形態と同様である。
以下、サンプルにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのサンプルのみに限定されるものではない。
(平均高さHm、平均配置ピッチPm、アスペクト比(Hm/Pm))
以下において、透明導電性シートなどの構造体の平均高さHm、平均配置ピッチPm、およびアスペクト比(Hm/Pm)は次のようにして求めた。
まず、透明導電性シートを構造体の頂部を含むように切断し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した。次に、撮影したTEM写真から、構造体の配置ピッチP、構造体の高さHを求めた。この測定を透明導電性シートから無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、平均配置ピッチPm、および平均高さHmを求めた。次に、これらの平均配置ピッチPm、および平均高さHmを用いて、アスペクト比(Hm/Pm)を求めた。
なお、構造体の平均高さHm、平均配置ピッチPm、およびアスペクト比(Hm/Pm)はそれぞれ、波面の振動の平均幅Am、波面の平均波長をλm、および比率(Am/λm)に対応する。
(ITO膜の膜厚)
以下において、ITO膜の膜厚は次のようにして求めた。
まず、透明導電性シートを構造体の頂部を含むように切断し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影し、撮影したTEM写真から、構造体の頂部におけるITO膜の膜厚を測定した。
(構造体斜面の平均角度)
以下において、構造体斜面の平均角度は次のようにして求めた。
まず、透明導電性シートを構造体の頂部を含むように切断し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した。次に、撮影したTEM写真から、底部から頂部への斜面の角度の平均値(1個の構造体の斜面角度の平均値)を求めた。このような平均値を求める処理を透明導電性シートから無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、10個の構造体の斜面角度の平均値を単純に平均(算術平均)して、構造体斜面の平均角度とした。
サンプル1−1〜10−5について以下の順序で説明する。
1.平坦部面積比(サンプル1−1〜1−3)
2.色調(サンプル2−1〜2−3)
3.透明導電層の膜厚比(サンプル3−1〜3−3)
4.アスペクト比(サンプル4−1〜4−4)
5.電気的信頼性(サンプル5−1〜5−6)
6.反射率差ΔR(サンプル6−1〜6−4)
7.構造体の形状(サンプル7−1〜7−3)
8.パターン歪み(サンプル8−1、8−2)
9.エッチング耐性(サンプル9−1〜10−5)
<1.平坦部面積比>
サンプル1−1〜1−3では、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)による光学シミュレーションにより、平坦部面積比と反射率との関係について検討を行った。
(サンプル1−1)
光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求めた。その結果のグラフを図23Bに示す。
以下に、光学シミュレーションの条件を示す。
(透明導電性素子の構成)
透明導電性素子は以下の積層構造体とした。
(入射側)基体/構造体/透明導電層/光学層(出射側)
図23Aは、基体表面に配列された複数の構造体を示す平面図である。図23Aにおいて、円形状は構造体底面を示し、Ucは単位格子、rsは構造体底面の半径を示す。基体表面には、図23Aに示すように、複数の構造体が配列されている。
(基体)
屈折率n:1.52
(構造体)
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の底面:円形
配置ピッチ(波長λ)P:250nm
構造体の高さ(振幅A)H:150nm
アスペクト比(H/P):0.6
単位格子Ucの面積S(lattice):2×2√3
構造体の底面の半径rs:0.9
構造体の底面の面積S(structure):2×πrs 2=2×π×0.92
平坦部の面積比率Rs:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=26.54%
(透明導電層)
透明導電層の屈折率n:2.0
透明導電層の厚さt:60〜75nm
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:75nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:60nm
膜厚比D3/D1:0.8
(光学層)
屈折率n:1.52
(入射光)
偏光:無偏光
入射角:5度(透明導電性素子の法線に対して)
(サンプル1−2)
以下の条件を変更する以外はサンプル1−1と同様にして、光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求めた。その結果のグラフを図23Bに示す。
(構造体)
構造体の底面の半径rs:0.8
構造体の底面の面積S(structure):2×πrs 2=2×π×0.82
平坦部の面積比率:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=41.96%
(サンプル1−3)
以下の条件を変更する以外はサンプル1−1と同様にして、光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求めた。その結果のグラフを図23Bに示す。
(構造体)
構造体の底面の半径rs:0.7
構造体の底面の面積S(structure):2×πrs 2=2×π×0.72
平坦部の面積比率:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=55.56%
図23Bから以下のことがわかる。
透明導電性素子の表面において平坦部の面積比率を50%以下とすることで、視感反射率(波長550nmにおける反射率)を2%以下にすることができる。
視感反射率2%以下にすることで、視認性を向上することができる。
なお、構造体の底面の半径rs、構造体の底面の面積S(structure)、および平坦部の面積比率Rsを以下のように設定した場合には、サンプル1−1に比して反射率をさらに低減することができる。
構造体の底面の半径rs:1.0
構造体の底面の面積S(structure):2×πrs 2=2×π×1.02
平坦部の面積比率Rs:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=9.31%
<2.色調>
サンプル2−1〜2−3では、透明導電性シートを実際に作製することにより、色調について検討を行った。
(サンプル2−1)
まず、外径126mmのガラスロール原盤を準備し、このガラスロール原盤の表面に以下のようにしてレジスト層を着膜した。すなわち、シンナーでフォトレジストを1/10に希釈し、この希釈レジストをディッピング法によりガラスロール原盤の円柱面上に厚さ70nm程度に塗布することにより、レジスト層を着膜した。次に、記録媒体としてのガラスロール原盤を、図7に示したロール原盤露光装置に搬送し、レジスト層を露光することにより、1つの螺旋状に連なるとともに、隣接する3列のトラック間において六方格子パターンをなす潜像がレジスト層にパターニングされた。
具体的には、六方格子状の露光パターンが形成されるべき領域に対して、前記ガラスロール原盤表面まで露光するパワー0.50mW/mのレーザー光を照射し六方格子状の露光パターンを形成した。なお、トラック列の列方向のレジスト層の厚さは60nm程度、トラックの延在方向のレジスト厚さは50nm程度であった。
次に、ガラスロール原盤上のレジスト層に現像処理を施して、露光した部分のレジスト層を溶解させて現像を行った。具体的には、図示しない現像機のターンテーブル上に未現像のガラスロール原盤を載置し、ターンテーブルごと回転させつつガラスロール原盤の表面に現像液を滴下してその表面のレジスト層を現像した。これにより、レジスト層が六方格子パターンに開口しているレジストガラス原盤が得られた。
次に、ロールエッチング装置を用い、CHF3ガス雰囲気中でのプラズマエッチングを行った。これにより、ガラスロール原盤の表面において、レジスト層から露出している六方格子パターンの部分のみエッチングが進行し、その他の領域はレジスト層がマスクとなりエッチングはされず、楕円錐形状の凹部がガラスロール原盤に形成された。この際、エッチング量(深さ)は、エッチング時間によって調整した。最後に、O2アッシングにより完全にレジスト層を除去することにより、凹形状の六方格子パターンを有するモスアイガラスロールマスタが得られた。列方向における凹部の深さは、トラックの延在方向における凹部の深さより深かった。
次に、上記モスアイガラスロールマスタを用いて、UVインプリントにより複数の構造体を厚さ125μmのPETシート上に作製した。具体的には、上記モスアイガラスロールマスタと、紫外線硬化樹脂を塗布したPET(ポリエチレンテレフタレート)シートを密着させ、紫外線を照射し硬化させながら剥離した。これにより、以下の構造体が一主面に複数配列された光学シートが得られた。
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の平均配置ピッチ(波長λ)Pm:250nm
構造体の平均高さ(振幅A)Hm:125nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):0.5
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜することにより、透明導電性シートを作製した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:10
ITO層の膜厚:75nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
次に、透明導電性シートを屈折率1.5のガラス基板上に、粘着シートを介してITO層側の面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル2−2)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル2−1と同様にして光学シートを作製した。
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の平均配置ピッチPm:250nm
構造体の構造体の平均高さHm:150nm
アスペクト比(Hm/Pm):0.6
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜することにより、透明導電性シートを作製した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:10
ITO層の膜厚:100nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
次に、透明導電性シートを屈折率1.5のガラス基板上に、粘着シートを介してITO層側の面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル2−3)
まず、ITO層の形成を省略する以外は、サンプル2−1と同様にして光学シートを作製した。
次に、光学シートを屈折率1.5のガラス基板上に、粘着シートを介して複数の構造体が形成された側の面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(透過色相)
上述のようにして作製した透明導電性シートおよび光学シートを測定試料として、分光光度計により可視周辺の波長域(350nm〜800nm)での透過スペクトルを測定し、その透過スペクトルから透過色相a*、b*を算出した。透過スペクトルの測定結果を図24に示す。透過色相a*、b*の算出結果を表1に示す。
表1は、サンプル2−1〜2−3の透過色相の算出結果を示す。
Figure 2013037369
表1から以下のことがわかる。
サンプル2−1、2−2の透明導電性シートでは、a*、b*ともに3より小さい値となり、無色透明で良好な特性を有していることがわかる。
<3.透明導電層の膜厚比>
サンプル3−1〜3−3では、RCWAによる光学シミュレーションにより、透明導電層の膜厚比(D3/D1)と反射率との関係について検討を行った。
(サンプル3−1)
光学シミュレーションにより透明導電性素子の反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図25Aおよび表2に示す。
同様に、光学シミュレーションにより透明導電性素子の透過スペクトルを求め、この透過スペクトルから透過色相a*、b*を求めた。その結果のグラフを図25Bおよび表3に示す。
以下に、光学シミュレーションの条件を示す。
(透明導電性素子の構成)
透明導電性素子は以下の積層構造体とした。
(入射側)基体/構造体/透明導電層/光学層(出射側)
(基体)
屈折率n:1.52
(構造体)
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の底面:円形
配置ピッチ(波長λ)P:250nm
構造体の高さ(振幅A)H:150nm
アスペクト比(H/P):0.6
単位格子Ucの面積S(lattice):2×2√3
平坦部の面積比率Rs:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=42%
(透明導電層)
透明導電層の屈折率n:2.0
透明導電層の厚さt:50nm
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:50nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:50nm
膜厚比D3/D1:1
(光学層)
屈折率n:1.52
(入射光)
偏光:無偏光
入射角:5度(透明導電性素子の法線に対して)
(サンプル3−2)
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、サンプル3−1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図25Aおよび表2に示す。
同様に、光学シミュレーションにより透明導電性素子の透過スペクトルを求め、この透過スペクトルから透過色相a*、b*を求めた。その結果のグラフを図25Bおよび表3に示す。
(透明導電層)
透明導電層の厚さt:40〜50nm
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:50nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:40nm
膜厚比D3/D1:0.8
(サンプル3−3)
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、サンプル3−1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図25Aおよび表2に示す。
同様に、光学シミュレーションにより透明導電性素子の透過スペクトルを求め、この透過スペクトルから透過色相a*、b*を求めた。その結果のグラフを図25Bおよび表3に示す。
(透明導電層)
透明導電層の厚さt:30nm〜50nm
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:50nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:30nm
膜厚比D3/D1:0.6
Figure 2013037369
Figure 2013037369
図25Aから以下のことがわかる。
膜厚比D3/D1を1未満とすることで反射特性を向上することができる。具体的には膜厚比D3/D1が、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。
<4.アスペクト比>
サンプル4−1〜4−4では、RCWAによる光学シミュレーションにより、構造体のアスペクト比と反射率との関係について検討を行った。
(サンプル4−1)
光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果を図26および表4に示す。
以下に、光学シミュレーションの条件を示す。
(透明導電性素子の構成)
透明導電性素子は以下の積層構造体とした。
(入射側)基体/構造体/透明導電層/光学層(出射側)
(基体)
屈折率n:1.52
(構造体)
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の底面:円形
配置ピッチ(波長λ)P:250nm
構造体の高さ(振幅A)H:200nm
アスペクト比(H/P):0.8
単位格子Ucの面積S(lattice):2×2√3
平坦部の面積比率Rs:[(S(lattice)−S(structure))/S(lattice)]×100=42%
(透明導電層)
透明導電層の屈折率n:2.0
透明導電層の厚さt:60〜75nm
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:75nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:60nm
膜厚比D3/D1:0.8
(光学層)
屈折率n:1.52
(入射光)
偏光:無偏光
入射角:5度(透明導電性素子の法線に対して)
(サンプル4−2)
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、サンプル4−1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図26および表4に示す。
(構造体)
配置ピッチ(波長λ)P:250nm
構造体の高さ(振幅A)H:150nm
アスペクト比(H/P):0.6
(サンプル4−3)
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、サンプル4−1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図26および表4に示す。
(構造体)
配置ピッチ(波長λ)P:250nm
構造体の高さ(振幅A)H:100nm
アスペクト比(H/P):0.4
(サンプル4−4)
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、サンプル4−1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*および反射Y値を求めた。その結果のグラフを図26および表4に示す。
(構造体)
配置ピッチ(波長λ)P:400nm
構造体の高さ(振幅A)H:60nm
アスペクト比(H/P):0.15
Figure 2013037369
図26から以下のことがわかる。
構造体のアスペクトを0.2以上1.0以下の範囲内にすると、優れた光学調整機能を得ることができる。
<5.電気的信頼性>
サンプル5−1〜5−5では、透明導電性シートを実際に作製することにより、構造体斜面の平均角度と電気的信頼性との関係について検討を行った。
(サンプル5−1)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル2−1と同様にして光学シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:円錐台形状
構造体の平均配置ピッチPm:220nm
構造体の平均高さHm:240nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):1.091
構造体斜面の平均角度θm:65度
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜することにより、透明導電性シートを作製した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:13
ITO層の膜厚:36nm〜40nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
(サンプル5−2)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル5−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:円錐台形状
構造体の平均配置ピッチPm:250nm
構造体の平均高さHm:180nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):0.72
構造体斜面の平均角度θm:55度
(サンプル5−3)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル5−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:円錐台形状
構造体の平均配置ピッチPm:270nm
構造体の平均高さHm:150nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):0.55
構造体斜面の平均角度θm:70度
(サンプル5−4)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル5−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:円錐台形状
構造体の平均配置ピッチPm:250nm
構造体の平均高さHm:135nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):0.54
構造体斜面の平均角度θm:50度
(サンプル5−5)
構造体の形成を省略し、PETシートの平坦な一主面に厚さ20nmのITO層を成膜する以外は、サンプル5−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル5−6)
構造体の形成を省略し、PETシートの平坦な一主面に、厚さ20nmのNbO層、厚さ90nmのSiO2層、厚さ20nmのITO層を順次成膜する以外は、サンプル5−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(ヒートショック試験)
まず、上述のようにして作製した透明導電性シートを、大気中雰囲気下において150度、30分間エージングした。次に、−30度の低温環境下に30分間保持した後、70度の高温環境下に30分間保持する環境試験を透明導電性シートに50サイクル行った。次に、透明導電性シートの表面抵抗を4探針法(JIS K 7194)により測定した。その結果を表5に示す。
(高温試験)
まず、上述のようにして作製した透明導電性シートを、大気中雰囲気下において150度、30分間エージングした。次に、透明導電性シートを80度の低温環境下に240時間保持した後、透明導電性シートの表面抵抗を4探針法(JIS K 7194)により測定した。その結果を表5に示す。
表5は、サンプル5−1〜5−6のヒートショック試験および高温試験(以下信頼性試験という。)の結果を示す。
Figure 2013037369
表5から以下のことがわかる。
単層ITO、多層ITOの構成を有するサンプル5−5、5−6では、信頼性試験により表面抵抗が10%以上上昇する。
高アスペクト1.09の構造体を表面に形成したサンプル5−1では、傾斜角度が65度と大きいため、信頼性試験により表面抵抗が大きく上昇する。
低アスペクト0.55の構造体を形成したサンプル5−3でも、構造体の形状が楕円錐台であるため、射面傾斜角度が70度と大きくなり、信頼性試験により表面抵抗が上昇する。
1.0以下の低アスペクトであり、60度以下の緩やかな射面傾斜角度であるサンプル5−2、5−4では、信頼製試験による表面抵抗の抵抗が極めて少ない。
ITO層が数10nmの膜厚であると、基材の膨張収縮率による変化に応力を受けて一部断線すると考えられるが、構造体を基材表面に付与することで応力が緩和されて信頼性が飛躍的に向上すると考えられる。
したがって、構造体の形状としては、電気的信頼性の観点から、頂部に凸状の曲面を有する錐体状が好ましい。また、電気的信頼性の観点から、構造体の平均傾斜角度は、60度以下であることが好ましい。
<6.反射率差ΔR>
(サンプル6−1)
まず、以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル1−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
構造体の配列:六方格子
構造体の形状:釣鐘型
構造体の平均配置ピッチPm:250nm
構造体の平均構造体の高さHm:90nm
構造体のアスペクト比(Hm/Pm):0.36
構造体の傾斜部平均角度θm:36deg
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜することにより、透明導電性シートを作製した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:13
ITO層の膜厚:30nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
次に、透明導電性シートを屈折率1.5のガラス基板上に、粘着シートを介してITO層側の面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル6−2)
まず、ITO層の形成を省略する以外は、サンプル6−1と同様にして光学シートを作製した。
次に、光学シートを屈折率1.5のガラス基板上に、粘着シートを介して複数の構造体が形成された面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする光学シートが作製された。
(サンプル6−3)
構造体の形成を省略し、PETシートの平坦な一主面に30nmの厚さのITO層を成膜する以外は、サンプル6−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル6−4)
ITO層の形成を省略する以外は、サンプル6−3と同様にして光学シートを作製した。
(反射スペクトル)
まず、上述のようにして作製した透明導電性シートおよび光学シートのガラス基板を貼り合わせた側とは反対側の面に黒色テープを貼り合わせることにより、測定試料を作製した。次に、この測定試料の可視周辺の波長域(350nm〜700nm)での反射スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−550)により測定した。次に、以下の式により反射率の差ΔRを算出した。反射率の差ΔRの算出結果を図27に示す。視感反射率の差ΔRの算出結果を表6に示す。ここで、視感反射率とは、波長550nmにおける反射率である。
ΔR=((サンプル6−2の反射率)−(サンプル6−1の反射率))
ΔR=((サンプル6−4の反射率)−(サンプル6−3の反射率))
(反射色相)
上述のようにして測定した反射スペクトルから反射色相a*、b*を算出した。その結果を表6に示す。
表6は、サンプル6−1〜6−4の視感反射率の差ΔRおよび反射色相の算出結果を示す。
Figure 2013037369
図27および表6から以下のことがわかる。
傾斜角度が制御された構造体上に透明導電層を形成することで、視感反射率の差ΔRを抑制することができる。また、a*、b*の値の絶対値を小さくできる。
<7.構造体の形状>
サンプル7−1〜7−3では、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)による光学シミュレーションにより、構造体の形状と反射率との関係について検討を行った。
(サンプル7−1)
光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*を算出した。その結果を図28Aおよび表7に示す。
以下に、光学シミュレーションの条件を示す。
(透明導電性素子の構成)
透明導電性素子は以下の積層構造体とした。
(入射側)基体/透明導電層/光学層(出射側)
(基体)
屈折率n:1.52
(透明導電層)
透明導電層の屈折率n:2.0
透明導電層の厚さt:70nm
(出射面側の樹脂層)
屈折率n:1.52
(入射光)
偏光:無偏光
入射角:5度(透明導電性素子の法線に対して)
(サンプル7−2)
図29Aは、サンプル7−2の透明導電層の厚さD1、D2、D3を示す断面図である。図29A中、n1、n2およびn3はそれぞれ、構造体頂部、構造体斜面および構造体間の垂線方向を示す。膜厚D1、膜厚D2、および膜厚D3はそれぞれ、構造体頂部における垂線n1方向の透明導電層の厚さ、構造体斜面における垂線n2方向の透明導電層の厚さ、および構造体間における垂線n3方向の透明導電層の厚さを示す。
光学シミュレーションにより、透明導電性素子の反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*を算出した。その結果を図28Bおよび表7に示す。
以下に、光学シミュレーションの条件を示す。
(透明導電性素子の構成)
透明導電性素子は以下の積層構造体とした。
(入射側)基体/構造体/透明導電層/光学層(出射側)
(基体)
屈折率n:1.52
(構造体)
構造体の配列:正方格子
構造体の形状:四角錐(底面の辺の長さ:100nm、上面の辺の長さ:40nm)
構造体の底面:四角形
構造体の屈折率n:1.52
配置ピッチP:120nm
構造体の高さH:100nm
アスペクト比(H/P):0.83
(透明導電層)
図29Aに示すように、構造体頂部における垂線方向n1の透明導電層の厚さD1、構造体斜面における垂線方向n2の透明導電層の厚さD2が70nmとなるように透明導電層を設定した。
透明導電層の屈折率n:2.0
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:70nm
構造体斜面の透明導電層の厚さD2:70nm
膜厚比D3/D1:1以上
(出射面側の樹脂層)
屈折率n:1.52
(入射光)
偏光:無偏光
入射角:5度(透明導電性素子の法線に対して)
(サンプル7−3)
図29Bは、サンプル7−3の透明導電層の厚さD1、D2、D3を示す断面図である。図29B中、n0は、透明導電性素子表面(または基体表面)の垂線方向を示す。膜厚D1、膜厚D2、および膜厚D3はそれぞれ、構造体頂部における垂線方向n0の透明導電層の厚さ、構造体斜面における垂線方向n0の透明導電層の厚さ、および構造体間における垂線n0方向の透明導電層の厚さを示す。
以下の光学シミュレーション条件を変更する以外のことは、試験例1と同様にして光学シミュレーションを行い、反射スペクトルを求め、この反射スペクトルから反射色相a*、b*を算出した。その結果を図28Cおよび表7に示す。
(透明導電層)
図29Bに示すように、構造体頂部における垂線方向n0の透明導電層の厚さD1、構造体斜面における垂線方向n0の透明導電層の厚さD2、構造体間における垂線方向n0の透明導電層の厚さD3がすべて70nmとなるように透明導電層を設定した。
透明導電層の屈折率n:2.0
構造体頂部の透明導電層の厚さD1:70nm
構造体間の透明導電層の厚さD3:70nm
膜厚比D3/D1:1
表7は、サンプル7−1〜7−3の視感反射率および透過色相の算出結果を示す。
Figure 2013037369
図28A〜図28Cおよび表7から以下のことがわかる。
平坦面上に透明導電層を形成した構成を有するサンプル7−1では、a*、b*の絶対値は小さいが、視感反射率が高くなってしまう。
構造体上に透明導電層を一定の厚さで形成したサンプル7−2では、視感反射率をある程度低減することはできるが、a*、b*の絶対値が大きくなってしまう。
構造体上に、この構造体が形成された表面の垂線方向に一定の厚さで透明導電層を形成したサンプル7−3では、視感反射率を低減することはできるが、a*、b*の絶対値が大きくなってしまう。
<8.電極パターン歪み>
サンプル8−1、8−2では、透明導電性シートを実際に作製することにより、構造体の有無と電極パターン歪みとの関係について検討した。
(サンプル8−1)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル1−1と同様にして光学シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:円錐台形状
配置ピッチP:250nm
構造体の高さH:150nm
アスペクト比:0.6
傾斜部平均角度:50deg
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:10
ITO層の膜厚:30nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
次に、ITO層をパターニングしてダイヤモンド形状が繋がった複数の電極を形成することにより、透明導電性シートを作製した。次に、上述のようにして作製した2枚の透明導電性シートを、複数の電極が形成された面が上側となるようするとともに、互いのダイヤモンド形状の電極が重ならないようにして、紫外線硬化樹脂により貼り合わせた。次に、上側に位置する透明導電性シートを、屈折率1.5のガラス基板に粘着シートを介してITO層側の面がガラス基板の面側になるように接着した。
以上により、目的とする入力素子が得られた。
(サンプル8−2)
構造体の形成を省略し、PETシートの平坦な一主面にITO層を成膜する以外は、サンプル8−1と同様にして入力素子を作製した。
(パターン歪み評価)
上述のようにして作製した入力素子表面に蛍光灯を写し込み、入力素子表面に電極パターンに応じた歪みが生じているか否かを観察した。その結果、サンプル8−1では歪みが観察されなかったのに対して、サンプル8−2では歪みが観察された。
<9.エッチング耐性>
(サンプル9−1)
(転写工程)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル2−1と同様にして光学シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:釣鐘型
配置ピッチP:250nm
構造体の高さH:180nm
アスペクト比:0.55
斜面の平均角度:55度
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、複数の構造体が形成されたPETシート表面に、ITO層を成膜した。
以下にITO層の成膜条件を示す。
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:10
ITO層の膜厚:30nm
ここで、ITO層の膜厚は構造体の頂部における膜厚である。
(アニール工程)
次に、ITO層を形成したPETシートに対して、大気中にて150℃、120分間のアニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In23のピークが確認された。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル9−2)
(転写工程、成膜工程、アニール工程)
まず、サンプル9−1と同様にして転写工程、成膜工程およびアニール工程を順次行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
(エッチング工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、HCl10%希釈溶液に20秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
(洗浄工程)
次に、エッチング処理を施したPETシートに対して純水洗浄を行った。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル9−3)
浸漬時間を40秒間に変更する以外はサンプル9−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル9−4)
浸漬時間を60秒間に変更する以外はサンプル9−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル9−5)
浸漬時間を100秒間に変更する以外はサンプル9−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル10−1)
以下の構造体をPETシートの一主面に複数配列する以外のことは、サンプル9−1と同様にして透明導電性シートを作製した。
構造体の配列:六方最密
構造体の形状:釣鐘型
配置ピッチP:200nm
構造体の高さH:180nm
アスペクト比:0.62
斜面の平均角度:61度
(サンプル10−2)
(転写工程、成膜工程、アニール工程)
まず、サンプル10−1と同様にして転写工程、成膜工程およびアニール工程を順次行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
(エッチング工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、HCl10%希釈溶液に20秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
(洗浄工程)
次に、エッチング処理を施したPETシートに対して純水洗浄を行った。
以上により、目的とする透明導電性シートが作製された。
(サンプル10−3)
浸漬時間を40秒間に変更する以外はサンプル10−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル10−4)
浸漬時間を60秒間に変更する以外はサンプル10−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(サンプル10−5)
浸漬時間を100秒間に変更する以外はサンプル10−2と同様にして透明導電性シートを作製した。
(表面抵抗)
上述のようにして得られたサンプル9−1〜10−5の透明導電性シート表面の表面抵抗値を4端針法にて測定した。その結果を表8および図30に示す。
(初期変化率の逆数)
上述のようにして得られたサンプル9−1〜10−5の透明導電性シート表面の初期変化率の逆数(仮想厚さの変化)を以下の式より求めた。その結果を表9に示す。
(初期表面抵抗に対する変化率の逆数)=(エッチング前のサンプルの表面抵抗)/(エッチング後のサンプルの表面抵抗)
表8は、サンプル9−1〜10−5に係る透明導電性シートの表面抵抗の評価結果を示す。
Figure 2013037369
表9は、サンプル9−1〜10−5に係る透明導電性シートの初期変化率の逆数の評価結果を示す。
Figure 2013037369
表8、表9および図30から以下のことがわかる。
斜面の平均角度が60度を超えると、ITO層のエッチング耐性が低下し、エッチング時間の経過に伴って表面抵抗が上昇する傾向がある。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
1 透明導電性素子
1 第1の透明導電性素子
2 第2の透明導電性素子
2、21、22 光学層
3、31、32 基体
4、12 構造体
5、51、52 基底層
6、61、62 透明導電層
7 光学層
8 貼合層
11 ロール原盤
101 情報入力装置
Sw 波面

Claims (11)

  1. 可視光の波長以下の平均波長を有する波面が設けられた光学層と、
    上記波面上に該波面に倣うように形成された透明導電層と
    を備え、
    上記波面の平均波長をλmとし、上記波面の振動の平均幅をAmとしたき、比率(Am/λm)が、0.2以上1.0以下であり、
    上記波面のうち斜面の平均角度が、30°以上60°以下の範囲内であり、
    上記波面が最も高くなる位置における透明導電層の膜厚をD1とし、上記波面が最も低くなる位置における膜厚をD3としたとき、比率D3/D1が0.8以下の範囲内である透明導電性素子。
  2. 上記波面のうち平坦部の面積が、50%以下である請求項1記載の透明導電性素子。
  3. 上記波面が最も高くなる位置における透明導電層の膜厚が、100nm以下である請求項1記載の透明導電性素子。
  4. 上記波面の平均波長λmが、140nm以上300nm以下であり、
    上記波面の振動の平均幅Amが、28nm以上300nm以下である請求項1記載の透明導電性素子。
  5. 上記透明導電層が、所定パターンを有する電極である請求項1記載の透明導電性素子。
  6. 上記光学層の波面のうち上記電極が形成された部分と、上記電極が形成されてない部分との反射率差ΔRが5%以下である請求項5記載の透明導電性素子。
  7. 上記光学層が、
    表面を有する基体と、
    上記基体の表面に可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体と
    を備え、
    上記複数の構造体の配列により、上記波面が形成されている請求項1記載の透明導電性素子。
  8. 上記構造体が、頂部に凸状の曲面を有する錐体である請求項7記載の透明導電性素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載された透明導電性素子を備える入力装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載された透明導電性素子を備える表示装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載された透明導電性素子を作製するための原盤。
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