JP2013037329A - 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013037329A
JP2013037329A JP2011183103A JP2011183103A JP2013037329A JP 2013037329 A JP2013037329 A JP 2013037329A JP 2011183103 A JP2011183103 A JP 2011183103A JP 2011183103 A JP2011183103 A JP 2011183103A JP 2013037329 A JP2013037329 A JP 2013037329A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective film
polarizing plate
saponification treatment
polarizing element
polarizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011183103A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Ishimoto
恵一 石本
Yoichi Inaba
陽一 稲葉
Nobutomo Takashima
伸知 高島
Hiroshi Nakajima
浩 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SANRITSUTSU KK
Sanritsu Electric
Original Assignee
SANRITSUTSU KK
Sanritsu Electric
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SANRITSUTSU KK, Sanritsu Electric filed Critical SANRITSUTSU KK
Priority to JP2011183103A priority Critical patent/JP2013037329A/ja
Publication of JP2013037329A publication Critical patent/JP2013037329A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】 偏光素子を保護するトリアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルムの白濁等の外観不良もなく偏光素子への接着を良好にし、偏光板の製造が高速化しても、耐湿熱性、耐久性のすぐれた偏光板を得る。
【解決手段】 トリアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルムに、処理時間t(分)、規程度n(N)、処理温度T(℃)として、25≦t*n*(T−35)≦110の関係を満たすようにアルカリ溶液でケン化処理を施し、その後この保護フィルムを偏光素子に接着して、偏光板を製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、偏光板の製造方法に関し、とくに偏光板を構成する保護フィルムのケン化処理方法に関する。また、本発明は当該製造方法により得られた偏光板、及び当該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、薄型で低消費電力のため、テレビをはじめ、コンピュータ、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどの表示装置として、広い用途に用いられている。このような液晶表示装置は、主としてバックライトシステムと液晶パネルから構成される。液晶パネルはさらに、液晶セルと、その前面(視認側の面)および背面(バックライトシステム側の面)に、それぞれ粘着剤層を介して設けられた偏光板とで構成される。
このような液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光性能を有する偏光素子と、偏光素子の両面にそれぞれ接着剤層を介して設けられ偏光素子を保護する保護フィルムとから構成される。偏光素子は、一般に、ヨウ素で染色され一軸延伸されたポリビニルアルコール(以下、PVAと称する場合がある)系樹脂で形成される。
保護フィルムとしては、一般にトリアセチルセルロース(以下、TACと称す場合がある)系樹脂が用いられている。TAC系樹脂はTACを主成分とする樹脂であり、TACは基本的にはセルロースを構成するグルコースの水酸基(OH基)がほぼ全てアセチル化(酢化)されたものである。TAC系樹脂は、強靭性と難燃性を供え、また光学的に透明性が高く光学異方性が低いことから、偏光板の保護フィルムとして好適に用いられる。
このような偏光板の製造にあたっては、一般に、帯状の長尺フィルム状にて連続的に形成される。偏光素子となるPVA系樹脂で構成される帯状の長尺フィルムをヨウ素のヨウ化カリウム水溶液中で染色し一軸延伸して水洗、乾燥させる。次いで、その両面から、それぞれ保護フィルムとなるTAC系樹脂で構成される帯状の長尺フィルムを供給し、偏光素子と保護フィルムとの間にそれぞれ接着剤を塗布し、偏光素子の両面にそれぞれ接着剤層を介して保護フィルムを貼り合わせ、乾燥処理を施して接着剤層を乾燥させ、偏光素子と保護フィルムを接着させる。これによって、PVA系樹脂からなる偏光素子と、その両面に接着剤層を介しTAC系樹脂からなる保護フィルムで構成された偏光板が形成される。接着剤は、PVA系樹脂が親水性のため、一般には親水性の高いPVA系接着剤が好ましく用いられる。
ここで、TAC系樹脂からなる保護フィルムと、PVA系樹脂からなる偏光素子との接着を良好にするために、あらかじめ、保護フィルムの少なくとも偏光素子に接着する面の表面に、ケン化処理が施されていることが一般的である。これは、保護フィルムのTAC系樹脂の表面のアセチル基の一部を水酸基(OH基)に置換することにより親水性を高め、PVA系接着剤による偏光素子との接着を良好にするものである。
このようなTAC系樹脂のケン化処理の条件として、特許文献1(特開2001−166146)の段落0083、0084には、1〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液にて、30℃〜60℃の温度で、1〜10分浸漬させることが開示されている。
従来は、保護フィルムとなる長尺のフィルム状のTAC系樹脂にケン化処理を施し、水洗、乾燥を施した後、いったん長尺のフィルムをロール状に巻きとり、偏光素子に接着させる際は、あらためて、ケン化処理の施されたTAC系樹脂のロールから長尺のフィルムを引き出して、接着させるのが一般的であった。つまり、保護フィルムのケン化処理は、偏光板を製造する主ライン(偏光素子の形成と保護フィルムの接着)とは別のライン、すなわちオフラインで施されていた。このようにオフラインでケン化処理を施す場合、ケン化処理の処理時間は、偏光板を製造する主ラインの移動速度に制約されず、独自に最適な時間を設定することが可能であった。
特開2001−166146号 公報
偏光板の製造において、工程短縮や高速化が求められるようになった。そのため、TAC系樹脂からなる保護フィルムの表面にケン化処理を施し、水洗、乾燥を施した後、いったんロール状に巻き取るのではなく、そのまま偏光素子への接着工程に供給する、インラインでのケン化処理が求められるようになった。この場合、保護フィルムの長尺のフィルムのケン化処理における移動速度を、偏光板を製造する主ライン(偏光素子の製造と保護フィルムの接着)の移動速度に合わせる必要が生じてくる。
このように、インラインでケン化処理を施す場合、偏光板製造速度の高速化に伴い、ケン化処理にもそれに合わせた高速化が求められるようになる。この場合、従来と同じ大きさのケン化処理槽を用いると、高速化した分、ケン化処理時間が短縮されてしまう。そのため、表面のケン化が不充分となり、保護フィルムの偏光素子への接着が不充分となり、偏光板の耐湿熱性、耐久性の不良が生じてしまう。一方で、高速化した分、それに応じてケン化処理槽を大きくして保護フィルムのケン化処理中の移動距離を増やせば、従来と同じケン化処理時間を得ることはできるが、ケン化処理装置の大型化や製造ラインの必要面積の増大を招き、またケン化処理の薬液の使用量も増大して、コストが増加する問題が生じる。また、同じ大きさのケン化処槽で保護フィルムのケン化処理中の移動距離を変化させることによりケン化処理時間を調節することは困難である。そのため、ケン化処理槽を増大させず、移動速度の高速化によりケン化処理時間が短縮しても、最適なケン化処理を施さなくてはならない。
また、製造する偏光板の品種に応じて、偏光板を製造する主ラインの移動速度も異なる場合がある。保護フィルムのケン化処理をインラインで施す場合、保護フィルムのケン化処理での移動速度もそれに応じた速度に合わせなければならず、よってケン化処理時間がそれに応じて異なってくる。また、ケン化処理条件が強すぎても、保護フィルムに白濁等の外観不良を生じ、偏光板の性能を損ねるため、保護フィルムとして不適切になる。
偏光板に求められる耐湿熱性、耐久性等の要求はますます厳しくなってきており、そのため偏光素子と保護フィルムとの良好な接着がより求められるようになった。そのため、特許文献1に開示されたような、漠然とした広範囲のケン化処理の時間、温度、アルカリ濃度の情報では到底不充分であり、ケン化処理時間に応じた、より精密なケン化処理条件が求められるようになった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ケン化処理時間が短縮したり変化したりしてもそれに応じて、TAC系樹脂からなる保護フィルムと偏光素子との接着力を良好に保ち、かつ保護フィルムに白濁等の外観不良を生じない良好なケン化処理を施すことを課題とするものであり、本発明者らによって、偏光板の耐湿熱性、耐久性を良好にしかつ白濁等の外観不良を生じない保護フィルムのケン化処理の、時間、温度とアルカリ濃度との関係を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明の偏光板の製造方法は、ポリビニールアルコール系樹脂からなる偏光素子と、前記偏光素子の少なくとも一方の面に接着剤層を介して形成されたトリアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルムとを有する偏光板の製造方法であって、前記保護フィルムの少なくとも前記偏光素子に接着する面は、前記偏光素子に接着する前に、処理時間t(分)、規程度n(N)、処理温度T(℃)として、25≦t*n*(T−35)≦110の関係を満たすようにアルカリ溶液でケン化処理を施すことを特徴とする。
また、本発明の偏光板は、上述の製造方法によって製造された偏光板である。
また、本発明の液晶表示装置は、上述の偏光板が用いられた液晶表示装置である。
本発明によれば、偏光板の製造速度の向上や変化によって保護フィルムのケン化処理時間が短縮したり変化したりしても、TAC系樹脂からなる保護フィルム表面を充分にケン化することができ、保護フィルムの白濁等の外観不良を生じることなく保護フィルムと偏光素子との接着性を良好にすることができ、偏光板製造を高速化し、かつ偏光板の耐湿熱性、耐久性を良好にすることができる。
本発明の製造方法によって製造された偏光板の一例の断面図である。 本発明の偏光板の製造方法に用いるケン化処理装置の一例の断面図である。 本発明の偏光板が用いられた液晶表示装置の一例の断面図である。
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の偏光板の製造方法によって製造された偏光板の例の断面図である。偏光板10は、偏光性能を有する偏光素子11と、偏光素子11の各面に、それぞれ第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を介して設けられ偏光素子11の各面を保護する第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15とから構成される。
偏光素子11は、ヨウ素で染色され一軸延伸されたPVA系樹脂で形成されており、その膜厚は、たとえば、20μm〜100μmである。本発明では、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15のいずれか少なくとも一方、または両方がTAC系樹脂で形成されている。ここでは、第1の保護フィルム14がTAC系樹脂で形成されている場合について説明する。
第1の保護フィルム14の膜厚は、たとえば5μm〜120μmである。PVA系樹脂からなる偏光素子11と、TAC系樹脂からなる第1の保護フィルム14を接着する第1の接着剤層12は、PVA系樹脂が親水性が高いことから、親水性接着剤が好ましく用いられ、たとえばPVA系接着剤によって形成されていることが好適である。
第1の保護フィルム14を形成するTAC系樹脂は、TACを主成分とする樹脂である。TACは、理論的にはセルロース分子を構成するグルコースの3つの水酸基(OH基)の全てがアセチル化(酢化)された樹脂であるが、実質的には、セルロース中の58%以上の水酸基(OH基)がアセチル化(酢化)されていれば、TACに含めることができる。また、TAC系樹脂には、このようなTAC以外に、トリフェニルホスフェートなどの可塑剤を含むことができる。
第1の保護フィルム14は、接着性を良好にするため、少なくとも接着剤層12に接する面の表面は、偏光素子11に接着される前に、ケン化処理が施されている。つまり、TAC系樹脂の表面のアセチル基の一部が、アルカリによって水酸基(OH基)に置換される。以下に、本発明の偏光板の製造方法による、TAC系樹脂からなる第1の保護フィルム14のケン化処理方法について説明する。
図2は本発明の偏光板の製造方法に用いるケン化処理装置50の断面概略図である。ケン化処理装置50は、ケン化処理槽51、図示しない温度制御機構、ガイドロール61、62、63、64からなり、ケン化処理槽51の内部には、温度の制御された所定濃度のアルカリ溶液、たとえば水酸化ナトリウム水溶液52が満たされている。第1の保護フィルム14は、長尺の帯状のTAC系樹脂フィルムとして、図示しないロール状で供給され、その幅は、接着される偏光素子11の幅に対応し、たとえば、500mm〜2000mmである。ロールから引き出された帯状の第1の保護フィルム14は、ガイドロール61、62、63、64によって、ケン化処理槽51中の水酸化ナトリウム水溶液52内に案内されて移動速度に応じた時間、浸漬される。この水酸化ナトリウム水溶液52への浸漬によって、第1の保護フィルム14の表面にケン化処理が施される。
このケン化処理をインラインで施す場合、ケン化処理後、水洗、乾燥を施された第1の保護フィルム14は、いったん長尺のフィルムをロール状に巻かれることなく、偏光素子11への貼り合わせに供される。この場合、ケン化処理における保護フィルム14の移動速度は、偏光素子11の製造と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15の接着の移動速度(以下、これを偏光板製造の主ラインの移動速度と称する)に、実質的に同等にする必要がある。
たとえば、ケン化処理槽51でのケン化処理時間が、第1の保護フィルム14の移動速度が18m/分の場合に、2.0分であるとする。この場合、偏光板製造の主ラインの移動速度が36m/分に向上したら、第1の保護フィルム14のケン化処理での移動速度も36m/分と合わせる必要があり、このケン化処理槽51でケン化処理を施すと、ケン化処理時間は1.0分となる。第1の保護フィルム14のケン化処理での移動速度の範囲は、たとえば9m/分〜45m/分であって、この場合、ケン化処理時間は、0.8分〜4.0分となる。
このように、ケン化処理時間が変動しても第1の保護フィルム14の表面を充分に良好にケン化する条件を発明者らは鋭意研究し、その結果、最適なケン化処理を施すことができるケン化処理時間、アルカリ溶液の濃度、処理温度の関係を見出した。
その関係は、ケン化処理時間tを分、アルカリ溶液の濃度nを規程度N、処理温度Tを℃、の単位でそれぞれ表した場合、式(I):25≦t*n*(T−35)≦110を満たすことである。ここで、*は積を示す。つまり、ケン化処理時間t(分)の値、アルカリ溶液の規定度n(N)の値、温度T(℃)から35を減じた値、これら3つの値の積が25以上110以下である場合に、良好なケン化処理が施されることが発明者らによって見出された。
ここで、ケン化処理の温度、つまり水酸化ナトリウム水溶液52の温度T(℃)は、40≦T≦80であることが好ましく、温度が低いとケン化処理時間が多くかかり、温度が高いとトリフェニルホスフェートなどの可塑剤が溶出しやすくなることから、より好ましくは、45≦T≦55である。
アルカリ溶液の規定度、ここでは水酸化ナトリウム水溶液52の規定度n(N)は、1.0≦n≦4.0であることが好ましく、より好ましくは1.5≦n≦3.0である。ここで、アルカリ溶液の規定度とは、たとえば水酸化ナトリウム水溶液の場合、1Nは1mol/Lである。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液を例示したが、これに限定されず、水酸化カリウムなど他の強アルカリ水溶液を用いることもできる。
ケン化処理時間、つまり第1の保護フィルム14のケン化処理槽51中の水酸化ナトリウム水溶液52での浸漬時間t(分)は、0.8≦t≦4.0であることが好ましく、より好ましくは、0.8≦t≦2.2であり、さらに本発明では高速化によりケン化処理時間が短縮された場合、0.8≦t≦1.2の場合に、より効果的である。つまり、偏光板製造の主ラインの移動速度が高速化され、第1の保護フィルム14のケン化処理をインラインで施す場合、ケン化処理時間がこのように短縮されても、式(I)を満たすように、温度T、アルカリ溶液の規定度nを選ぶことによって、良好なケン化処理を施すことができる。
さらに、本発明では、偏光板の品種に応じて、偏光板製造の主ラインの移動速度が変化する場合にも効果を発揮する。ケン化処理をインラインで施す場合、その品種に応じてケン化処理時間が変更されても、式(I)を満たすように、温度T、アルカリ溶液の規定度nを設定することによって、良好なケン化処理を施すことができる。ケン化処理槽51の大きさやその中での第1の保護フィルム14の移動距離を品種に応じて変更することは困難であるが、ケン化処理の温度Tやアルカリ溶液の規定度nの変更は比較的容易に可能である。
このような条件によってケン化処理の施された第1の保護フィルム14は、図示は省略するが、水洗して表面に残留したアルカリ溶液を除去する。水洗に用いる純水は、室温でもよいが、ケン化処理の温度とほぼ同等かそれに近い温度に上げられた純水を用いてもよい。その後、第1の保護フィルム14は乾燥され、ヨウ素など二色性染料で染色され一軸延伸された偏光素子11に第1の接着剤層12を介して接着される。ここで、偏光素子11は既知の装置、製法を用いて製造することができ、図示や詳細な説明は省略するが、以下にその一例を簡単に説明する。
偏光素子11となるPVA系樹脂フィルムはロール状で供給され、このロールから帯状の長尺のPVA系樹脂フィルムを引き出し、純水中で膨潤させる。ついで、ヨウ素のヨウ化カリウム水溶液中に浸漬し、PVA系樹脂フィルムをヨウ素で染色する。ついで、ヨウ素で染色されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸が含有された水溶液に浸漬して架橋処理を施す。ついで、このPVA系樹脂フィルムを所定の倍率で一軸延伸する。延伸倍率は、たとえば、4倍〜7倍である。延伸は2段階以上にわけて施してもよく、染色前あるいは染色と同時に施してもよく、架橋処理工程で施してもよい。その後PVA系樹脂フィルムを乾燥させ、偏光性能を有する偏光素子11を得る。
次いで、このようにして得られた偏光素子11と、第1の保護フィルム14との接着が施される。この接着方法は、図示は省略するが、既知の方法で施すことができる。たとえば、水平方向または鉛直方向に移動する帯状の長尺の偏光素子11の一方の面に、ケン化処理の施された第1の保護フィルム14を同じ移動速度で接近させ、偏光素子11と第1の保護フィルム14との間に、第1の接着剤層12となる第1の接着剤を塗布し、ピンチロールで圧力をかけて偏光素子11と第1の保護フィルム14を貼り合わせる。この際、第1の保護フィルム14のケン化処理の施された面が偏光素子11に貼り合わせられる。ここで、塗布される第1の接着剤は、第1の接着剤層12を構成する材質を塗布できるように溶媒で希釈したものであり、第1の接着剤層12がPVA系接着剤で構成される場合、その溶媒は水が好適である。その後、第1の接着剤層12中の溶媒を乾燥させ、第1の保護フィルム14と偏光素子11の接着が完了する。
第1の保護フィルム14と偏光素子11の接着の際、第2の保護フィルム15と偏光素子11との接着を同時に行ってもよい。その場合、偏光素子11の他方の面に、第2の保護フィルム15を、第1の保護フィルム14と対称的に同時に近接させ、偏光素子11と第2の保護フィルム15との間に、第2の接着剤層13となる第2の接着剤を塗布し、第1の保護フィルム14ともあわせてピンチロールで圧力をかけて偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15を同時に貼り合わせる。また、第2の保護フィルム15と偏光素子11との貼り合わせは、第1の保護フィルム14と偏光素子11の貼り合わせとは別に施してもよい。偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15を貼り合わせた後、乾燥装置によって、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13が乾燥され、この貼り合わせと乾燥によって接着が完了し、偏光板10が得られる。
TAC系樹脂で形成される第1の保護フィルム14の、偏光素子11と貼り合わされる面とは反対の面は、表面にAG(アンチグレア)層、LR(低反射)層やハードコート層が設けられていてもよく、位相差フィルムなど他のフィルムが積層されていてもよい。第1の保護フィルム14にこのような層が設けられた場合、この面はケン化処理においてケン化が施されなくともよい。あるいは、第1の保護フィルム14のケン化処理において、AG層、LR層やハードコート層、あるいは他のフィルムが積層された面を、ケン化処理のアルカリ溶液に接することがないよう、さらに別のフィルムで保護してケン化処理を施してもよい。この場合、偏光素子11に接着する前または後に、この別のフィルムは剥離、除去される。また、第1の保護フィルム14にこのような層や他のフィルムが形成されていない場合、別のフィルムで保護されていない場合は、ケン化処理において、第1の保護フィルム14の両面がケン化される。本発明では、TAC系樹脂で形成される第1の保護フィルム14の一方の面、つまり偏光素子11に接着される面の表面が本発明によるケン化処理が施されていればよく、両面がケン化されていてもよい。また、位相差フィルムなど他のフィルムは、偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15を接着させて偏光板10の構成が得られた後に形成することもできる。
また、第1の保護フィルム14のケン化処理がインラインで施される場合に本発明はとくに効果を奏するが、必ずしもこれに限定されず、オフラインで施される場合、つまりケン化処理後、水洗、乾燥を施された第1の保護フィルム14の長尺のフィルムをロール状に巻きとり、偏光素子11に接着させる際はあらためてこのロールから引き出して接着させる場合にも適用できる。オフラインの場合、第1の保護フィルム14のケン化処理での移動速度を偏光板製造の主ラインの移動速度に合わせる必要はないが、同じであってもよい。また、オフラインの場合でもケン化処理の高速化のため、時間を短縮することが望ましく、例示したケン化処理時間t(分)、アルカリ溶液の規定度n(N)、温度T(℃)の条件は、すべて適用することができる。
本発明の偏光板10は、第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15のいずれか一方が、このようなケン化処理が施されたTAC系樹脂で形成されていればよく、第1の保護フィルム14がこのような場合について説明した。この場合、第2の保護フィルム15の材質は限定されない。第2の保護フィルム15は、第1の保護フィルム14と同じTAC系樹脂で形成されていてもよく、第1の保護フィルム14と同じように本発明によるケン化処理を施してもよい。この場合、第2の保護フィルム15の表面をケン化するための、ケン化処理装置50と同様のケン化処理装置をもう1台設けることが好ましい。また、この場合、第2の接着剤層15は、第1の接着剤層14と同じ材質であることが好ましい。
第2の保護フィルム15は、第1の保護フィルム14と異なる材質のものを用いてもよい。たとえば、ノルボルネンなどシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、アクリル系樹脂を用いてもよく、これらの積層フィルム、あるいはTAC系樹脂からなるフィルムとこれらの積層フィルムを用いてもよい。また、このようにTAC系樹脂とは異なる材質のフィルムを用いた場合においても、表面にAG層、LR層やハードコート層が設けられていてもよく、内部にヘイズを有していてもよく、また位相差フィルムとしての機能を有していてもよい。また、偏光素子11と第2の保護フィルム15を接着する第2の接着剤層13は、第2の保護フィルム15の材質に応じて、PVA系接着剤のほか、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤などを用いることができ、塗布の際はこれら接着剤の材質に応じて有機溶媒などの適切な溶媒を用いることができる。
また、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13の接着剤として、紫外線(UV)などの活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いる場合もある。この場合、貼り合わせ後、接着剤の乾燥装置にかえて、接着剤を硬化させる活性エネルギー線硬化硬化装置を用いて接着剤に硬化処理を施して、第1の接着剤層12、第2の接着剤層13を形成するものとする。活性エネルギー線硬化型の接着剤の例として、紫外線硬化型エポキシ系接着剤が挙げられ、活性エネルギー線硬化装置の例として、紫外線硬化装置が挙げられる。
次に、本発明の偏光板の製造方法を用いて製造された本発明の偏光板10を用いた本発明の液晶表示装置について説明する。図3は、本発明の液晶表示装置を構成する液晶パネル20の断面概略図である。液晶表示装置は、このほか、液晶パネル20の背面側に配置されたバックライトシステムからなるが、公知の構成をとることができるため、図示及び説明を省略する。
液晶パネル20は、液晶セル21と、液晶セル21の前面側(視認側、つまりバックライトシステムとは反対側)の面に第1の粘着剤層22fを介して貼合された第1の偏光板10f,液晶セル21の背面側(バックライトシステム側)の面に第2の粘着剤層22rを介して貼合された第2の偏光板10rで構成される。
第1の偏光板10f,第2の偏光板10rは、その偏光軸が、クロスニコルに配置されている。液晶セル21はTN型、STN型、VA型、IPS型のいずれでもよく、公知のものを用いることができ、その説明及び内部構造の図示を省略する。本発明の液晶表示装置の液晶パネル20では、第1の偏光板10f,第2の偏光板10rのいずれか一方、または両方に、本発明による偏光板10が用いられていればよい。なお、図3では、第1の偏光板10f,第2の偏光板10rの膜構成を省略している。第1の粘着剤層22f、第2の粘着剤層22r(以下、第1の粘着剤層22f、第2の粘着剤層22rを区別せず、粘着剤層として説明する)を構成するそれぞれの粘着剤についても、公知のものを用いることができる。たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、紫外線(UV)カット機能やAS(アンチスタティック)機能を有する粘着剤を用いてもよい。
粘着剤層は、製造上は、一般的には、偏光板メーカーによって予め偏光板10に形成されていることが多い。偏光素子11と第1の保護フィルム14、第2の保護フィルム15の接着が完了して偏光板10の膜構成の帯状の長尺の積層フィルムを得た後、切断する前に、この積層フィルムの液晶セル21に貼合されるべき面に粘着剤層を塗布によって形成し、粘着剤層の表面に剥離フィルム(図示せず)を貼合する。その後、貼合されるべき液晶セル21の形状に応じて、粘着剤層と剥離フィルムをあわせて切断して、偏光板10の一方の面に粘着剤層と剥離フィルムの形成されたシート状の偏光板製品を得る。これを液晶パネル製造ラインに納入して、そこにおいて、偏光板10の表面上に形成された粘着剤層によって偏光板10と液晶セル21との貼合が実施される。ここで、剥離フィルムは粘着剤層の表面を保護するために設けられたものであり、液晶セル21に偏光板10を貼合する直前に剥離除去される。また、偏光板10の膜構成の帯状の長尺の積層フィルムの液晶セル21に貼合されるべき面に粘着剤層と剥離フィルムを形成したのち、完全に切断することなく、たとえば、剥離フィルムおよび粘着剤層の部分のみに貼合すべき液晶セル21の形状に応じて切断面を形成しておき(ハーフカット)、帯状の長尺フィルムのままロール状にした偏光板製品として液晶パネル製造ラインに供給して、そこにおいて、液晶セル21に貼合する直前にロールから引き出して剥離フィルムを除去して、液晶セル21の形状に応じて完全に切断して貼合してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
TAC系樹脂で形成される第1の保護フィルムと第2の保護フィルムにケン化処理を以下の条件で施し、水洗、乾燥した後、PVA系樹脂からなる偏光素子の各面に接着して、それぞれのケン化処理条件によって作成された偏光板を得た。ケン化処理時間t=1(分)、アルカリ溶液の規定度n=1.5、2.0、2.5、3.0、3.5(N)、温度T=45、50、55、65、80(℃)。アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム水溶液を用い、第1の接着剤層、第2の接着剤層は、PVA系接着剤を用いて形成した。なお、それぞれの偏光板において、第1の保護フィルム、第2の保護フィルムは同じケン化処理条件が施されている。
このようにして得られた偏光板について、耐湿熱試験を実施し、接着力の耐久性を調べた。また、ケン化処理後の第1の保護フィルム、第2の保護フィルムの外観を調べた。その結果を、アルカリ溶液の規定度nを縦に、温度Tを横にあらわした表1に示す。表1の各欄にて、○は接着力の耐久性が良好であり外観も問題ないもの、×は外観は問題ないが接着力の耐久性が不可であったもの、△は接着力の耐久性は良好であったが第1の保護フィルム、第2の保護フィルムのいずれか又は両方に白濁が見られ外観不良であったもの、−はデータなしを示す。また表1の各欄の括弧内の値は、式(I)におけるt*n*(T−35)の値を示す。
Figure 2013037329
このように、式(I)を満たしている場合、接着力の耐久性は良好で、外観上も問題なく、良好なケン化処理が施されていることがわかる。これに対し、式(I)のt*n*(T−35)の値が25より小さい場合、接着力の耐久性が悪く、ケン化処理が不充分であることがわかる。また、式(I)のt*n*(T−35)の値が110より大きい場合、接着力の耐久性は問題なくとも、外観上は白濁が見られ、ケン化処理条件として好ましくないことがわかる。
また、n=1.5(N)、T=45(℃)で、t=2(分)とすると、接着力の耐久性は良好であり、外観上も問題なかった。この場合、式(I)のt*n*(T−35)の値は30であり、式(I)を満たしている。
10 偏光板
10f 第1の偏光板
10r 第2の偏光板
11 偏光素子
12 第1の接着剤層
13 第2の接着剤層
14 第1の保護フィルム
15 第2の保護フィルム
20 液晶パネル
21 液晶セル
22f 第1の粘着剤層
22r 第2の粘着剤層
50 ケン化処理装置
51 ケン化処理槽
52 水酸化ナトリウム水溶液
61、62、63、64 ガイドロール

Claims (8)

  1. ポリビニールアルコール系樹脂からなる偏光素子と、前記偏光素子の少なくとも一方の面に接着剤層を介して形成されたトリアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルムとを有する偏光板の製造方法であって、
    前記保護フィルムの少なくとも前記偏光素子に接着する面は、前記偏光素子に接着する前に、処理時間t(分)、規程度n(N)、処理温度T(℃)として、25≦t*n*(T−35)≦110の関係を満たすようにアルカリ溶液でケン化処理を施すことを特徴とする偏光板の製造方法。
  2. 前記処理時間t(分)は、0.8≦t≦4.0である請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記規程度n(N)は、1.0≦n≦4.0である請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記処理温度T(℃)は、40≦T≦80である請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  5. 前記保護フィルムに前記ケン化処理を施して水洗、乾燥を施した後、前記保護フィルムをロール状に巻き取ることなく、前記偏光素子に接着する請求項1乃至4のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  6. 前記保護フィルムの前記ケン化処理における移動速度は、前記偏光素子の製造における移動速度と実質的に同等である請求項1乃至5のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の偏光板の製造方法で製造された偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
JP2011183103A 2011-08-09 2011-08-09 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置 Withdrawn JP2013037329A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011183103A JP2013037329A (ja) 2011-08-09 2011-08-09 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011183103A JP2013037329A (ja) 2011-08-09 2011-08-09 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013037329A true JP2013037329A (ja) 2013-02-21

Family

ID=47886956

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011183103A Withdrawn JP2013037329A (ja) 2011-08-09 2011-08-09 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013037329A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108594352A (zh) * 2018-07-17 2018-09-28 湖北谱莱光电材料有限公司 可快速切换的偏光片生产系统及方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108594352A (zh) * 2018-07-17 2018-09-28 湖北谱莱光电材料有限公司 可快速切换的偏光片生产系统及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106471404B (zh) 长条状的偏光件的制造方法
TWI514042B (zh) An optical function film continuous roll, and a method for manufacturing the liquid crystal display device using the same, and an optical function film bonding apparatus
TWI545017B (zh) An optical function film continuous roll, and a method for manufacturing the liquid crystal display device using the same, and an optical function film bonding apparatus
KR101799133B1 (ko) 액정 패널 및 액정 표시 장치
KR102092974B1 (ko) 편광판의 제조 방법
US20160103260A1 (en) Thin film polarizer having superior optical properties, manufacturing method thereof, and polarizing plate and display device including the same
JPWO2017195813A1 (ja) ポリビニルアルコール系フィルム、およびその製造方法、ならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜
JP2011113018A (ja) 偏光板および偏光板の製造方法
KR20140091363A (ko) 액정표시장치
KR102556376B1 (ko) 편광판, 화상 표시 장치 및 해당 화상 표시 장치의 제조 방법
JP2018041113A (ja) 偏光子、偏光フィルム、および偏光子の製造方法
CN107399095B (zh) 层叠膜的制造方法以及偏振板的制造方法
CN104395075A (zh) 拉伸层压体、制造薄偏光片的方法、由该方法制造的薄偏光片、及包含该薄偏光片的偏光板
JP2002365432A (ja) 偏光板の製造方法及びそれを用いた表示装置
CN104395793A (zh) 拉伸层压体、制造薄偏光片的方法、通过该方法制造的薄偏光片、以及包含该薄偏光片的偏光板
KR20130143476A (ko) 편광판 및 이를 포함하는 액정표시장치
JP2016501386A (ja) 偏光板及びこれを含む液晶表示装置
TWI432492B (zh) 偏光板的製造方法
TWI683749B (zh) 光學積層體及其製造方法、以及使用該光學積層體之圖像顯示裝置
KR20190139854A (ko) 폴리비닐알코올계 필름, 편광막 및 편광판, 및 폴리비닐알코올계 필름의 제조 방법
JP4971119B2 (ja) 偏光子の製造方法
JP2013037329A (ja) 偏光板の製造方法、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP6772402B1 (ja) 偏光子の製造方法、偏光フィルムの製造方法、積層偏光フィルムの製造方法、画像表示パネルの製造方法、および画像表示装置の製造方法
WO2010044218A1 (ja) 液晶パネルの製造方法
JP2008026352A (ja) 複合偏光板、その製造方法、複合光学部材及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20141104