JP2013030408A - 集電体、電極構造体、非水電解質電池及び蓄電部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基材3の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層5を有する集電体1であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系ペースト接触角が20度以上80度以下であり、及び/又は、水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることを特徴とする集電体、および、この集電体を具備した電極構造体、非水電解質電池、蓄電部品。
【選択図】図1
Description
(1)導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系モデル活物質ペーストの接触角が20度以上80度以下であることを特徴とする集電体、
(2)導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることを特徴とする集電体、
(3)導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系モデル活物質ペーストの接触角が20度以上80度以下であり且つ水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることを特徴とする集電体と、この集電体を具備した電極構造体、非水電解質電池、蓄電部品(例:電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ)が提供される。
図1に示すように、本発明の集電体1は、導電性基材3の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層(集電体用樹脂層)5を有する集電体1であり、導電性樹脂層5は、硝化綿系樹脂と導電材を含み、樹脂層5表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系ペースト接触角が20度以上80度以下であり、及び/又は、水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下である。
また、図2に示すように、集電体1の樹脂層5上に活物質層又は電極材層9を形成することによって、非水電解質電池用、電気二重層キャパシタ用、又はリチウムイオンキャパシタ用として好適な電極構造体7を形成することができる。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
本発明の導電性基材としては、非水電解質電池用、電気二重層キャパシタ用、又はリチウムイオンキャパシタ用の各種金属箔が使用可能である。具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、負極用として銅、ステンレス、ニッケルなどが使用可能である。その中でも導電性の高さとコストのバランスからアルミニウム、アルミニウム合金、銅が好ましい。正極としてアルミニウム箔を用いる場合、本発明はハイレート特性の向上を目的としていることから、導電性の高いJIS A1085などの純アルミニウム系を用いることが好ましい。導電性基材の厚さとしては、特に制限されるものではないが、0.5μm以上、50μm以下であることが好ましい。厚さが0.5μmより薄いと箔の強度が不足して樹脂層等の形成が困難になる場合がある。一方、50μmを超えるとその分、その他の構成要素、特に活物質層あるいは電極材層を薄くせざるを得ず、特に非水電解質電池や、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等の蓄電部品とした場合、十分な容量が得られなくなる場合がある。
本発明では導電性基材の上に導電材を添加した樹脂層を形成する。導電性樹脂層の形成方法は特に限定されないが、樹脂の溶液や分散液、ペースト等を上記導電性基材上に塗工することが好ましい。塗工方法としてはロールコーター、グラビアコーター、スリットダイコーター等が使用可能であるが、特に制限されるものではない。本発明に用いる導電性樹脂層は、硝化綿系樹脂でなければならない。ここで、硝化綿系樹脂とは、樹脂成分として硝化綿を必ず含む樹脂をいい、樹脂成分全てが硝化綿である場合も含むものとする。これは種々の樹脂に導電材を添加して樹脂層の体積固有抵抗を調査した結果、ペースト接触角を規定したこれらの樹脂を用いると意外にも十分に低い抵抗が得られるという本発明者の知見に基づくものである。なお、この抵抗の違いは、同じ導電材を添加しても樹脂によって樹脂層中での分布状態が異なり、後述するペースト接触角の規定と相まって抵抗に差が出るためと推定される。
本発明において、上述したように硝化綿系樹脂は、樹脂成分として硝化綿を含む樹脂であり、硝化綿のみからなるものであってもよく、硝化綿と別の樹脂とを含有するものであってもよい。硝化綿はニトロ基を有するセルロースであるが、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の他のセルロース類と比較して、電極に使用する用途としては例示される場合があっても、最適化に対する提案は行われておらず、積極的に使用するための最適化は従来なされていなかった。
また、本発明において、特にアクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、メラミン系樹脂、及び硝化綿の合計を100質量%としたとき、メラミン系樹脂が5〜55質量%であり、硝化綿が40〜90質量%であることがさらに好ましい。100質量%からメラミン系樹脂と硝化綿の配合量を引いた残りが、アクリル系樹脂又はポリアセタール系樹脂の配合量である。この場合に、放電レート特性、電池長寿命化特性がさらに良好になるからである。メラミン系樹脂の含有量は、具体的には例えば5,10,15,20,25,30,35,40,45,50,55質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。硝化綿の含有量は、40,45,50,55,60,65,70,75,80,85,90質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本発明の導電性樹脂層は、導電性基材と活物質層又は電極材層との間に設けられ、この間を移動する電子の通路となるので、この樹脂層にも電子導電性が必要である。樹脂は絶縁性が高いので、電子伝導性を付与するために導電材を配合しなければならない。本発明に用いる導電材としては公知の炭素粉末、金属粉末などが使用可能であるが、その中でも炭素粉末が好ましい。炭素粉末としてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブなどが使用可能である。導電材の添加量は、樹脂層の樹脂成分100質量%に対して30〜100質量%が好ましく、40〜80質量%がさらに好まし、50〜70質量%がさらに好ましい。30質量%未満では樹脂層の体積固有抵抗が高くなり、100質量%を超えると導電性基材との密着性が低下するからである。導電材を樹脂成分液に分散するには公知の方法を用いることができ、例えば、プラネタリミキサ、ボールミル、ホモジナイザ等を用いることによって分散することが可能である。
本発明の樹脂層表面のペースト接触角は、溶剤系ペースト接触角が20度以上80度以下であり、及び/又は、水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることが必要である。単に樹脂に導電材を添加して樹脂層を形成しても、導電性基材と樹脂層の界面および樹脂層と活物質層の界面あるいは樹脂層と電極材層の界面に十分な密着性が得られない場合がある。これは硝化綿系樹脂であっても樹脂の種類や形成条件によって、樹脂層の状態が変化するためである。特に密着性に影響が大きい表面性状として液体の濡れ性を示す接触角があり、実際に活物質層を形成する際に使用される活物質ペーストをモデル化したモデル活物質ペーストの接触角を測定することにより、集電体とその上に形成する活物質層や電極材層の密着性を評価することができる。この場合、樹脂層とペースト接触角について一見、ペースト接触角が小さいほど密着性が向上し、放電レートの向上が図れるように見えるが、接触角が小さすぎると、導電性基材との密着性や放電レート特性に悪影響を及ぼす可能性がでてくるため、本発明においてはペースト接触角を規定することが必要になる。なお、この点については後にも述べる。
本発明の集電体の少なくとも片面に活物質層又は電極材層を形成することによって、本発明の電極構造体を得ることができる。電極材層を形成した蓄電部品用の電極構造体については後述する。まず、活物質層を形成した電極構造体の場合、この電極構造体とセパレータ、非水電解質溶液等を用いて非水電解質電池用、例えばリチウムイオン二次電池用の電極構造体(電池用部品を含む)を製造することができる。本発明の非水電解質電池用電極構造体および非水電解質電池において集電体以外の部材は、公知の非水電池用部材を用いることが可能である。
ここで、本発明において電極構造体として形成される活物質層は、従来、非水電解質電池用として提案されているものでよい。例えば、正極としてはアルミニウムを用いた本発明の集電体に、活物質としてLiCoO2、LiMnO2、LiNiO2等を用い、導電材としてアセチレンブラック等のカーボンブラックを用い、これらをバインダであるPVDFや水分散型PTFEに分散したペーストを塗工・乾燥させることにより、本発明の正極構造体を得ることができる。
負極の電極構造体とする場合に、導電性基材として銅を用いた本発明の集電体に活物質として例えば黒鉛、グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等を用い、これらを増粘剤であるCMCに分散後、バインダであるSBRと混合したペーストを活物質層形成用材料として塗工・乾燥させることにより、本発明の負極構造体を得ることができる。
本発明は非水電解質電池であってもよい。この場合、本発明の集電体を使用する以外には特に制限されるものではない。例えば、本発明の集電体を構成要素とする前記正極構造体と負極構造体の間に非水電解質を有する非水電解質電池用電解液を含浸させたセパレータで挟むことにより、本発明の非水電解質電池を構成することができる。非水電解質およびセパレータは公知の非水電解質電池用として用いられているものを使用可能である。電解液は溶媒として、カーボネート類やラクトン類等を用いることができ、例えば、EC(エチレンカーボネイト)とEMC(エチルメチルカーボネイト)の混合液に電解質としてLiPF6やLiBF4を溶解したものを用いることができる。セパレータとしては例えばポリオレフィン製のマイクロポーラスを有する膜を用いることができる。
本発明の電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等は、本発明の集電体を大電流密度での高速の充放電が必要な電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等の蓄電部品にも適応可能である。本発明の蓄電部品用電極構造体は本発明の集電体に電極材層を形成することによって得られ、この電極構造体とセパレータ、電解液等によって、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等の蓄電部品を製造することができる。本発明の電極構造体および蓄電部品において集電体以外の部材は、公知の電気二重層キャパシタ用やリチウムイオンキャパシタ用の部材を用いることが可能である。
<集電体の作製>
実施例1〜29及び比較例1〜4では、表1に示す各種樹脂をMEK(メチルエチルケトン)に溶解した樹脂液に、アセチレンブラックを表1に示す配合量で混合し、ボールミルにて8時間分散して塗料とした。この塗料を厚さ20μmのアルミニウム箔(JIS A1085)の片面にバーコータで塗布し、表1に示す条件にて焼き付けて集電体を作製した。表1の温度はいずれも基材到達温度である。
比較例5〜8では、表1に示す各種樹脂をNMP(Nメチル2ピロリドン)に溶解して樹脂液を作製した以外は、上記と同様の方法で集電体を作製した。
表1において、硝化綿の重量は固形分の重量である。また、表1で略称している樹脂詳細を表2に示す。
樹脂層の厚さは、フィルム厚み測定機 計太郎G(セイコーem製)を用いて、樹脂層形成部と未形成部(アルミ箔のみの部分)の厚みの差から樹脂層の厚さを算出した。
樹脂層の上に1辺が20mmの立方体の銅製ブロック(樹脂に接触する面は鏡面仕上げ)を載せ、700gfの荷重をかけて、アルミ箔と銅製ブロックの間の電気抵抗を測定した。
樹脂層の表面にセロハンテープを貼り付け、一気に引き剥がしたときの、樹脂層の剥離状況にて評価した。
A:剥離なし
B:1/4程度剥離
C:1/2程度剥離
D:3/4程度剥離
E:全面剥離
溶剤系又は水系ペースト接触角は接触角計(協和界面科学社製ドロップマスターDM−500)を用い、23℃の恒温室内にて2μリットルの溶剤系又は水系モデル活物質ペーストを樹脂層表面に付着させ、2秒後の接触角をθ/2法にて測定した。
以下に示すように、溶媒系活物質ペーストを用いて活物質層を形成して形成したリチウムイオン電池の放電レート特性評価、電極寿命評価を測定した。
正極には、活物質のLiCoO2と導電材のアセチレンブラックをバインダであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に分散したペーストを厚さ70μmにて前記各集電体に塗工したものを用いた。負極には、活物質の黒鉛をCMC(カルボキシメチルセルロース)に分散後、バインダであるSBR(スチレンブタジエンゴム)と混合したペーストを厚さ20μmの銅箔に厚さ70μmにて塗工したものを用いた。これらの電極構造体にポリプロピレン製マイクロポーラスセパレータを挟んで電池ケースに収め、コイン電池を作製した。電解液としてはEC(エチレンカーボネート)とEMC(エチルメチルカーボネート)の混合液に1MのLiPF6を添加した電解液を用いた。
充電上限電圧4.2V、充電電流0.2C、放電終了電圧2.8V、温度25℃において、放電電流レート1C、5C、10C、20Cの条件で、これらのリチウムイオン電池の放電容量(0.2C基準、単位%)を測定した。(1Cはその電池の電流容量(Ah)を1時間(h)で取り出すときの電流値(A)である。20Cでは1/20h=3minでその電池の電流容量を取り出すことができる。あるいは充電することができる。)
電解液温度40℃にて、上限電圧4.2V、充電電流20Cで充電した後、終了電圧2.8V、放電電流20Cで放電して、1サイクル目の放電容量に対して、放電容量が60%未満になる回数(最大500回)を測定し、以下の基準で評価した。
A:500回以上
B:450回以上500回未満
C:400回以上450回未満
D:400回未満
以下に示すように、、溶媒系電極材ペーストを用いて活物質層を形成して形成した電気二重層キャパシタの放電レート特性評価、電極寿命評価を測定した。
電極材の活性炭、導電材のケッチェンブラックをバインダのPVDFに分散したペーストを厚さ80μmにて前記集電体電極に塗工し、正極、負極共同じ電極構造体とした。この電極構造体2枚に電解液を含浸した電気二重層キャパシタ用不織布を挟んで固定し、電気二重層キャパシタを構成した。電解液は溶媒であるプロピレンカーボネートに1.5MのTEMA(トリエチルメチルアンモニウム)と四フッ化ほう酸を添加したものを用いた。
充電上限電圧2.8V、充電電流1C、充電終了条件2h、放電終了電圧0V、温度25℃、放電電流レート100C、300C、500Cの条件で、これらの電気二重層キャパシタの放電容量(1C基準、単位%)を測定した。
電解液温度40℃にて、上限電圧2.8V、充電電流500Cで充電した後、放電電流500Cで終了電圧0Vまで放電して、1サイクル目の放電容量に対して、放電容量が80%未満になる回数(最大5000回)を測定し、以下の基準で評価した。
A:5000回以上
B:4500回以上5000回未満
C:4000回以上4500回未満
D:4000回未満
表1によれば、樹脂層の樹脂が硝化綿系樹脂であり且つ樹脂層表面の溶剤系ペースト接触角が20度以上80度以下である全ての実施例では、溶剤系ペーストを用いて作製したリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタの両方で、優れたハイレート特性、電池寿命を示した。これに対し、樹脂層の樹脂としてエチルセルロースを用いた比較例3〜10ではハイレート特性が良好でなかった。また、溶剤系ペースト接触角が大きすぎる比較例1や小さすぎる比較例2でも、ハイレート特性が良好でなかった。
3:導電性基材
5:樹脂層(集電体用樹脂層)
7:電極構造体
9:活物質層又は電極材層
Claims (8)
- 導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系モデル活物質ペーストの接触角が20度以上80度以下であることを特徴とする集電体。
- 導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることを特徴とする集電体。
- 導電性基材の少なくとも片面に導電性を有する樹脂層を有する集電体であって、該樹脂層は硝化綿系樹脂と導電材を含み、該樹脂層表面の23℃の恒温室内でθ/2法によって測定した溶剤系モデル活物質ペーストの接触角が20度以上80度以下であり且つ水系モデル活物質ペーストの接触角が80度以上120度以下であることを特徴とする集電体。
- 前記硝化綿系樹脂は、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、エポキシ系樹脂のうちの少なくとも一種と、硝化綿とを含む請求項1〜3の何れか1つに記載の集電体。
- 前記硝化綿系樹脂は、アクリル系樹脂とポリアセタール系樹脂のうちの少なくとも一種と、メラミン系樹脂と、硝化綿とを含む請求項1〜3の何れか1つに記載の集電体。
- アクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、メラミン系樹脂、及び硝化綿の合計を100質量%としたとき、メラミン系樹脂は、5〜55質量%であり、硝化綿は、40〜90質量%である、請求項5に記載の集電体。
- 請求項1〜6の何れか1つに記載の集電体の前記樹脂層上に活物質層又は電極材層を備える、電極構造体。
- 請求項7に記載の電極構造体を備える、非水電解質電池又は蓄電部品。
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