JP2013023147A - タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有限要素法(FEM)等の数値解析手法によるタイヤの解析において、カーカスプライやベルト等の骨格部材・補強部材の解析を、高精度に実施することができる。
【解決手段】タイヤモデル作成方法は、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップ202を含む。
【選択図】図4
【解決手段】タイヤモデル作成方法は、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップ202を含む。
【選択図】図4
Description
本発明は、タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、及びタイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法に係り、より詳しくは、有限要素法によりタイヤの性能を解析するためタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法に関する。
タイヤ挙動についての解析は、実際に設計・製造したタイヤを計測したり自動車に装着して得た性能試験結果を用いたりしたものから、計算機(コンピュータ)環境の発達にともなって、計算機上でシミュレーションによって実現できるようになってきている。このタイヤ挙動をシミュレーションによって解析する主要な方法としては、有限要素法(FEM)等の数値解析手法が主に用いられている。FEMは、構造体を有限個の要素でモデル化して、コンピュータを用いて構造体の挙動を解析する手法であり、その特徴から構造体を有限個の要素に分割する(以下、メッシュ分割、または要素分割という。)ことが必要である。
空気入りタイヤにおいて、有限要素法のような数値解析で用いる要素モデルを作成する際、タイヤ内のプライやベルト等の骨格部材・補強部材部分は、その部材が配置されている層に、その部材相当の剛性・異方性を有する膜要素(2Dモデルでは線で定義、3Dモデルでは平面で定義される)を配置するのが一般的である(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
「複合材料工学」,第9章,林毅編,日科技連出版社,1971
しかしながら、上記従来技術のように、タイヤのプライやベルト等の骨格部材・補強部材部分を膜要素でモデル化を行う場合、その要素は実際には厚みを持たないため、特に、曲げ剛性の面で、実際の変形と乖離することがあった。具体的には、タイヤのような2重曲率を有する丸い物体が、路面に接触して平面となる際に、計算モデルでは、タイヤ外面への曲げ変形量が実際のタイヤと異なることで、路面との接触圧分布や、接地面積などが実際の結果と乖離することがある、という問題があった。
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、有限要素法(FEM)等の数値解析手法によるタイヤの解析において、カーカスプライやベルト等の骨格部材・補強部材の解析を、高精度に実施することができるタイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明のタイヤモデル作成方法は、要素分割手段が、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップを含むことを特徴とする。
この発明によれば、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するので、特に曲げ剛性面を実際のタイヤに近いものにすることができ、骨格部材・補強部材の性能の解析精度を向上させることができる。
なお、請求項2に記載したように、前記補強部材は、前記タイヤの周方向に対して傾斜したコードを交差させた少なくとも2層のベルト層を含む構成とすることができる。
また、請求項3に記載したように、前記補強部材は、前記タイヤの周方向に対して平行したコードを含むベルト補強層を含む構成とすることができる。
また、請求項4に記載したように、前記骨格部材は、カーカスプライを含む構成とすることができる。
請求項5記載の発明のタイヤモデル作成装置は、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割する要素分割手段を含むことを特徴とする。
請求項6記載の発明のタイヤモデル作成プログラムは、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップを含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項7記載の発明のタイヤ性能解析方法は、タイヤモデル作成手段が、前記請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデル作成方法によりタイヤモデルを作成するステップと、タイヤ性能解析手段が、前記タイヤモデルについてタイヤ性能解析を実行するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、カーカスプライやベルト等の骨格部材・補強部材部分の解析を、高精度に実施することができる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には一例として空気入りタイヤのタイヤモデルの作成や性能予測を実施するためのタイヤ性能シミュレーション装置としてのコンピュータの概略が示されている。このコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤの3次元モデルを作成したり性能を予測したりするコンピュータ12、コンピュータ12による演算結果や各種画面等を表示するディスプレイ14、及びディスプレイ14に表示されたカーソルを所望の位置に移動させたり、カーソル位置のメニュー項目やオブジェクト等を選択したり選択解除したりドラッグしたりする操作を行うためのマウス16を含んで構成されている。
コンピュータ12は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、不揮発性メモリ12D、及び入出力インターフェース(I/O)12Eがバス12Fを介して各々接続された構成となっている。
I/O12Eには、キーボード10、ディスプレイ14、マウス16、ハードディスク18、及び記録媒体としてのCD−ROM20が挿抜可能なCD−ROMドライブ22が接続されている。
ハードディスク18には、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラムや、これらの実行に必要な各種パラメータやデータ等が記憶されている。CPU12Aは、ハードディスク18に記憶されたタイヤ性能シミュレーションプログラムを読み込んで実行する。
なお、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラム等は、例えばCD−ROMドライブ22を用いてCD−ROM20に対して読み書き可能とすることもできるので、後述するタイヤ性能シミュレーションプログラムは、予めCD−ROM20に記録しておき、CD−ROMドライブ22を介してCD−ROM20に記録されたタイヤ性能シミュレーションプログラムを読み込んで実行してもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMに限らず、DVD−ROM等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記CD−ROMドライブ22に代えて、またはさらにDVD−ROMドライブ、MDドライブ、MOドライブ等を用いればよい。
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ12で実行されるタイヤ性能シミュレーションプログラムの処理ルーチンについて図3、4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップ100では、挙動解析の対象となるタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料など)を定める。例えば、ハードディスク18に、予め複数種類のタイヤのCADデータ(タイヤ形状、構造、材料等の設計データ)等の設計データを記憶しておき、挙動解析の対象となるタイヤの設計データを選択して読み込むことにより、挙動解析の対象となるタイヤを設定することができる。
なお、ステップ100における設定はタイヤ設計案に限定されるものではなく、現存するタイヤを解析する場合を含む。すなわち、現存するタイヤそのものを対象のモデルとして設定してもよい。
次のステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むためのタイヤのタイヤモデルを作成する。このタイヤモデルの作成は、用いる数値解析手法により若干異なる。本実施の形態では数値解析手法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。
従って、上記ステップ102で作成するタイヤモデルは、有限要素法(FEM)に対応した要素分割、すなわちメッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものをいう。この要素分割とはタイヤ、及び路面(後述)等の対象物を小さな幾つかの(有限の)小部分、すなわち要素に分割することをいう。この要素ごとに計算を行い全ての要素について計算した後、全部の要素を足し合わせることにより全体の応答を得ることができる。
上記ステップ102のタイヤモデルの作成では、図4に示すタイヤモデル作成ルーチンが実行される。
まずステップ200では、タイヤ径方向断面のモデル(タイヤ断面モデル)を作成する。タイヤ断面モデルの外形は、例えばタイヤ外形をレーザー形状測定器等で計測した値を用いて作成することができる。また、タイヤ内部の構造は設計図面および実際のタイヤ断面データ等の正確な値を用いることができる。
図5には、一例として乗用車用タイヤのタイヤ断面の一例を示した。同図に示したタイヤモデルは、1枚のカーカスプライ40、カーカスプライ40の外側に2枚の補強交錯ベルト42A、42B、補強交錯ベルト42A、42Bの外側にスパイラルベルト44を備えた構成のタイヤの断面モデルである。
補強交錯ベルト42A、42Bは、タイヤの周方向(赤道面)に対して傾斜したコード(金属コード)を交差させた2層のベルトである。
また、スパイラルベルト44は、タイヤの周方向に対して平行したコードを含むベルト補強層である。
そして、ステップ202では、カーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44を、1層のソリッド要素と、この1層のソリッド要素を挟み込む2層の膜要素と、で要素分割する。
なお、カーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44の全てを1層のソリッド要素及び2層の膜要素で要素分割せず、これらの一部を1層のソリッド要素及び2層の膜要素で要素分割し、その他は例えば膜要素で要素分割するようにしてもよい。
ここで、ソリッド要素とは、厚みを有する立体で定義された要素であり、2Dモデルでは平面で定義され、3Dモデルでは多面体、例えば四面体や五面体、六面体等で定義することができる。また、膜要素とは、面方向にのみ力が作用する要素であり、例えば三角形や四辺形等で定義することができる。
図6には、図5の一点鎖線で囲まれた領域における補強交錯ベルト42A、42Bがソリッド要素で要素分割された場合の一例を示した。また、図7には、従来のように補強交錯ベルト42A、42Bが膜要素で要素分割された場合の一例を示した。
図6に示すように、補強交錯ベルト42Aは、1層のソリッド要素42A1を、2層の膜要素42A2で挟み込んだ構成である。補強交錯ベルト42Bも補強交錯ベルト42Aと同様に、1層のソリッド要素42B1を、2層の膜要素42B2で挟み込んだ構成である。
このように、タイヤの骨格部材・補強部材であるカーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44を厚みのある1層のソリッド要素と、これを挟み込む2層の膜要素と、でモデル化することにより、特に曲げ剛性面を実際のタイヤに近いものにすることができ、タイヤ性能の解析精度を向上させることができる。
なお、1層のソリッド要素と、これを挟み込む2層の膜要素と、でモデル化した部材モデルの厚みは、実際の部材の厚みに近い値に設定することが好ましい。
ステップ204では、その他の部分、例えばビードフィラー、トレッドゴム、サイドゴム、ビードゴム等を、例えばソリッド要素で要素分割する。
ステップ206では、要素分割した各要素に材料物性等を定義する。このとき、1層のソリッド要素と、これを挟み込む2層の膜要素と、でモデル化したカーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44の各要素の各種材料物性(ヤング率や曲げ剛性など)は、例えば、実際のタイヤから切り出した補強材部分を用いて材料試験を行って求めた実際のものに合わせるようにすればよい。例えば、図6に示すように、金属コードを含んで構成された補強交錯ベルト42A、42Bを、1層のソリッド要素と、これを挟み込む2層の膜要素と、でモデル化する場合は、金属コードの引っ張り剛性・異方性を有する2層の膜要素で、薄いゴム(金属コードに対して十分に引っ張り剛性が小さいもの)相当のソリッド要素を挟み込むようにモデル化すればよい。また、当該薄いゴム(金属コードに対して十分に引張り剛性が小さいもの)の物性としては、金属コードのコーティングゴムのものを用いることが望ましい。本手法は、2層の膜要素で、金属コードの引っ張り剛性・異方性を表現し、さらに、当該2層の膜要素に挟まれた薄いソリッド要素を追加することで、金属コード自体の曲げ剛性を表現するモデル化法である。
このように、わずかではあるがソリッド要素と膜要素とを含む複合要素が厚みを持つことにより、例えば当該複合要素が曲げ変形を受ける場合、その複合要素の外層側は、その複合要素が曲げ変形を受けることにより引っ張り変形を受け、その複合要素の内側層は、その複合要素が曲げ変形を受けることにより圧縮変形を受けるようになる。そして、引っ張り変形及び圧縮変形を受ける箇所に高い剛性を持つ膜要素が存在するため、曲げ変形に対して実際の部材と同様の剛性を持たせることができる。
なお、2層の膜要素を定義することにより、実際の1層の補強部材の剛性を超える硬さになる場合は、例えば膜要素各1層の剛性を1/2程度まで小さくすることにより、実際の部材の剛性を表現することが可能となる。
一方、図7に示したように、従来の厚みのない膜要素で補強交錯ベルト42A、42B等の補強部材やカーカスプライ等の骨格部材を定義した場合、上記のような剛性を持たないために、曲げ剛性面で実際の部材よりも剛性が低いモデルとなってしまう。このため、本実施形態では、タイヤの骨格部材・補強部材であるカーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44を厚みのある1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素でモデル化している。
以上のようにして、図5に示すような要素分割されたタイヤ断面モデルが作成される。
ステップ208では、タイヤ断面モデルを周方向に一周分(360度)展開し、タイヤの3次元(3D)モデルを作成する。この周方向に一周分(360度)展開するときに、予め定めた分割条件で要素分割する。このようにして、タイヤモデルが作成される。
上記のようにして作成したタイヤの有限要素モデル(解析モデル)を含むタイヤモデルを作成した後には、図3のステップ104へ進み、路面の設定すなわち路面モデルの作成と共に路面状態の入力がなされる。このステップ104では、路面をモデル化し、そのモデル化した路面を実際の路面状態に設定するために入力するものである。路面のモデル化は、路面形状を要素分割してモデル化し、路面の摩擦係数μを選択設定することで路面状態を入力する。例えば、路面状態により乾燥(DRY)、濡れ(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面の摩擦係数μが存在するので、摩擦係数μについて適正な値を選択することで、実際の路面状態を再現させることができる。
なお、流体モデルを作成して、路面とタイヤモデルの間に設けても良い。流体モデルは、タイヤの一部(または全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域を含む流体領域を分割し、モデル化するものである。
このようにして、路面状態の入力がなされると、次のステップ106において、境界条件の設定がなされる。この境界条件とは、タイヤモデルに解析上すなわちタイヤの挙動をシミュレートする上で必要なものであり、タイヤモデルに付与する各種条件である。このステップ106の境界条件の設定では、まず、タイヤモデルには内圧を与える。次に、所望の計算条件に応じて、タイヤモデルに回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)、予め定めた負荷荷重等を与える。
次に、ステップ106までに作成・設定した数値モデルをもとに、解析としてのタイヤモデルの変形計算を行う。すなわち、上記ステップ106で境界条件の設定が終了すると、ステップ108へ進み、タイヤモデルの変形計算を行う。このステップ108では、タイヤモデルおよび与えた境界条件より、有限要素法に基づいてタイヤモデルの変形計算を行う。この変形計算では、公知の転動解析手法や擬似転動解析手法を用いることができる。
次のステップ110では、上述の計算結果を出力する。この計算結果とは、タイヤ変形時の物理量を採用する。具体的には、サイドのたわみ量や接地形状、接地圧分布、タイヤ中心に作用する横力、モーメント、タイヤの上下方向の偏心固有値等である。
なお、計算結果の出力は、タイヤの接地部の形状や接地圧の分布、タイヤ中心に作用する力等の値または分布を可視化することを採用してもよい。これらは計算結果の値や変化量または変化率、力の向き(ベクトル)そして分布から導出することができ、それらをタイヤモデル周辺やパターン周辺と共に線図等で表せば、把握しやすく提示可能な可視化をすることができる。
このように、本実施形態では、タイヤの骨格部材・補強部材であるカーカスプライ40、補強交錯ベルト42A、42B、及びスパイラルベルト44を厚みのある1層ソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素でモデル化する。これにより、特に曲げ剛性面を実際のタイヤに近いものにすることができ、タイヤ性能の解析精度を向上させることができる。
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。タイヤサイズ195/65R15の乗用車用タイヤに対して、内部空気圧210kPa、キャンバー角0度、スリップアングル0度で垂直荷重4kNを負荷し、路面との摩擦係数1.0、速度50km/hの擬似転動解析を行ってタイヤ接地面での接地圧分布を計算した結果について、実タイヤの場合と比較した。
図8には、接地圧分布の一例を示した。同図において実線が実タイヤの接地圧分布を、丸印で示したのが擬似転動解析によるシミュレーションにより算出した接地圧分布を示す。
図8に示すように、実タイヤでの接地圧と擬似転動解析によるシミュレーションにより算出した接地圧との各接地位置におけるズレ量をΔPiとし、これを二乗したΔPi2を全接地領域で積算したものをΣΔPi2と定義して、従来例を100とした指数により比較を行った。その結果を下記表1に示す。なお、ΣΔPi2は実タイヤとの差を示す指標であり、この値が小さいほど計算精度が良いことを示す。
なお、従来例及び各実施例のタイヤモデルは、1層のカーカスプライと、カーカスプライの外層側に2層の補強交錯ベルト、補強交錯ベルトの外層側に1層の周方向ベルト補強層(スパイラルベルト)を有するモデルである(図5参照)。また、ソリッド要素に定義した異方性の材料物性は、各部材ごとに均質化法で算出し、実際の材料試験で求めた物性で検証を行った信頼性の高いものを使用した。
下記表1に示すように、「従来例」は、タイヤの骨格部材・補強部材の各々全てを、膜要素でモデル化したものである。
また、「実施例1」は、カーカスプライの外層側の2層の補強交錯ベルトを、1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素でモデル化したものである。
また、「実施例2」は、実施例1の内容に加えて、補強交錯ベルト外層側の1層のベルト補強層も1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素でモデル化したものである。
また、「実施例3」は、実施例2の内容に加えて、1層のカーカスプライも1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素でモデル化したものである。
なお、各実施例を比較すると、スチールベルトである補強交錯ベルトを1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素に置換した実施例1が特に精度向上の効果が大きいことが判る。このスチールベルトである補強交錯ベルトは、タイヤの骨格部材及び補強部材のうち、最も曲げ剛性が高い部分といえる。すなわち、従来のように、骨格部材や補強部材を膜要素で定義するモデル化では、特に補強交錯ベルトの曲げ剛性を精度良くモデル化できていなかったことを示している。
以上、本発明のように、タイヤの骨格部材・補強部材を1層のソリッド要素及びこれを挟み込む2層の膜要素で要素分割することにより、大幅に計算精度を向上させることができることが判った。
10 キーボード
12 コンピュータ
14 ディスプレイ
16 マウス
18 ハードディスク
20 CD−ROM
22 CD−ROMドライブ
40 カーカスプライ
42A、42B 補強交錯ベルト
44 スパイラルベルト
12 コンピュータ
14 ディスプレイ
16 マウス
18 ハードディスク
20 CD−ROM
22 CD−ROMドライブ
40 カーカスプライ
42A、42B 補強交錯ベルト
44 スパイラルベルト
Claims (7)
- 要素分割手段が、タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップ
を含むタイヤモデル作成方法。 - 前記補強部材は、前記タイヤの周方向に対して傾斜したコードを交差させた少なくとも2層のベルト層を含む
請求項1記載のタイヤモデル作成方法。 - 前記補強部材は、前記タイヤの周方向に対して平行したコードを含むベルト補強層を含む
請求項1又は請求項2記載のタイヤモデル作成方法。 - 前記骨格部材は、カーカスプライを含む
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のタイヤモデル作成方法。 - タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割する要素分割手段
を含むタイヤモデル作成装置。 - タイヤを構成する骨格部材及び補強部材の少なくとも一つを、1層のソリッド要素と、当該1層のソリッド要素を挟み込んだ2層の膜要素と、で要素分割するステップ
を含む処理をコンピュータに実行させるためのタイヤモデル作成プログラム。 - タイヤモデル作成手段が、前記請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤモデル作成方法によりタイヤモデルを作成するステップと、
タイヤ性能解析手段が、前記タイヤモデルについてタイヤ性能解析を実行するステップと、
を含むタイヤ性能解析方法。
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JP2011162282A JP2013023147A (ja) | 2011-07-25 | 2011-07-25 | タイヤモデル作成方法、タイヤモデル作成装置、タイヤモデル作成プログラム、及びタイヤ性能解析方法 |
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JP2015052924A (ja) * | 2013-09-06 | 2015-03-19 | 株式会社Jsol | 織物材または複合材を用いるプレス成形のfem解析モデル生成システムおよびプログラムとそれを備えたfem解析システムおよびプログラム |
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- 2011-07-25 JP JP2011162282A patent/JP2013023147A/ja not_active Withdrawn
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