JP2013022279A - 体外循環装置 - Google Patents

Abstract

【課題】貯血槽の液位の低下を抑えて貯血槽からの空気の吸い込みを防止することが可能な体外循環装置を提供する。
【解決手段】循環回路４の入口２から取り込んだ血液を貯血槽８に一旦貯留し、該貯血槽８の血液を送血ポンプ９により人工肺５等の処理部を経由して循環回路４の出口３に送り出す体外循環装置１において、処理部の出口側と貯血槽８の入口側とを結ぶ還流回路１４と、処理部の出口側から還流回路１４を経由して貯血槽８の入口側に血液を還流させるように設けられた還流ポンプ１５と、貯血槽８の液位が所定の許容液位Ｘよりも低下したか否かを検出する液位センサ１１と、液位センサ１１により許容液位Ｘからの液位の低下が検出された場合に還流ポンプ１５を駆動し、許容液位Ｘからの液位の低下が検出されていない場合には還流ポンプ１５を停止させる制御ユニット２０とを備え付ける。
【選択図】図１

Description

本発明は、血液等の流体を体外で循環させる装置に関する。

体外で血液等の流体を循環させる装置の一例として、患者から取り出された血液を貯液槽（貯血槽と呼ぶことがある。）に蓄え、その貯液槽の血液を送血ポンプにより人工肺に送り込み、人工肺でガス交換された血液を動脈フィルタに通して体内に送り込む体外循環装置が知られている（例えば特許文献１参照）。

特開２００７−１６７６７２号公報

従来の体外循環装置では、何らかの理由で貯液槽からの流体の流出量が同槽への流入量を超えた場合、貯液槽の液位が低下してポンプが空気を吸い込み、それにより気泡が発生して人工肺又はそれ以降の送血回路に気泡が混入するおそれがある。送血回路に気泡が流れ出ても、それらの気泡は動脈フィルタにて捕集される。しかしながら、体内への気泡の混入防止を徹底するためにはさらなる対策が講じられてもよい。そこで、本発明は、貯液槽の液位の低下を抑えて貯液槽からの空気の吸い込みを防止することが可能な体外循環装置を提供することを目的とする。

本発明の体外循環装置は、循環回路の入口から取り込んだ流体を貯液槽に一旦貯留し、該貯液槽の流体を送液ポンプにより所定の処理部を経由して前記循環回路の出口に送り出す体外循環装置であって、前記処理部の出口側と前記貯液槽の入口側とを結ぶ還流回路と、前記処理部の出口側から前記還流回路を経由して前記貯液槽の入口側に流体を還流させるように設けられた還流ポンプと、前記貯液槽の液位が所定の許容液位よりも低下したか否かを検出する液位センサと、前記液位センサにより前記許容液位からの液位の低下が検出された場合に前記還流ポンプを駆動し、前記許容液位からの液位の低下が検出されていない場合には前記還流ポンプを停止させるポンプ制御手段とを備えたものである。

本発明の体外循環装置においては、貯液槽の液位が許容液位よりも低下したことが液位センサにて検出されると、還流ポンプが駆動されて処理部の出口側から貯液槽の入口側へと流体が還流する。それにより、貯液槽の液位の低下が抑制され、貯液槽からの空気の吸い込みが防止される。

本発明の体外循環装置においては、前記処理部の出口側には前記流体中の気泡を捕集するフィルタが設けられ、前記循環回路は前記処理部と前記フィルタとの間から前記流体を取り込むように設けられてもよい。これにより、フィルタへの気泡の流入を抑えて、フィルタの気泡捕集効果を確実に発揮させることができる。

また、前記還流ポンプの駆動時における吐出流量が、前記送液ポンプの吐出流量よりも小さく設定されてもよい。これによれば、処理部を通過した流体の一部を貯液槽に還流させつつ、循環回路の出口に向かって流体を送り出すことができる。

以上に説明したように、本発明の体外循環装置によれば、貯液槽の液位が許容液位よりも低下した場合にその処理部の出口側から貯液槽の入口側へと流体を還流させるようにしたので、貯液槽の液位の低下を抑えて貯液槽からの空気の吸い込みを防止することが可能である。

本発明の一形態に係る体外循環装置の回路図。 還流ポンプの制御手順を示すフローチャート。

以下、図面を参照して本発明の一形態に係る体外循環装置を説明する。図１に示したように、体外循環装置１は、患者の静脈に設けられた脱血口２と動脈に設けられた送血口３とを結ぶ体外の循環回路４を有している。循環回路４は、脱血口２と、血液の処理部としての人工肺５との間を結ぶ入口側回路としての脱血回路６と、人工肺５と送血口３とを結ぶ出口側回路としての送血回路７とに区分可能である。脱血回路６には、脱血口２から取り込んだ血液を一時的に蓄える貯血槽８と、その貯血槽８の血液を人工肺５に送り込む送血ポンプ９とが設けられている。貯血槽８は本発明の貯液槽に、送血ポンプ９は本発明の送液ポンプにそれぞれ相当する。

一方、送血回路７には、人工肺５から送られる血液中の気泡及び粒子を除去する動脈フィルタ１０が設けられている。人工肺５は、血液から炭酸ガスを除去する一方でその血液に酸素を添加するガス交換部の他に、血液の温度を調整するための熱交換部を含んでいる。送血ポンプ９は、吐出流量を調整可能な可変流量型ポンプである。体外循環装置１には、上記以外にも、例えば患者の出血箇所から血液を吸い上げて貯血槽８に送り込むローラポンプといった各種の付属機器が設けられるが、それらの図示は省略した。

患者に送られる血液への気泡の混入を抑えるため、貯血槽８には液位センサ１１が設けられている。液位センサ１１は、貯血槽８の血液の液位が所定の許容液位Ｘよりも低下すると所定の液位低下信号を出力する。許容液位Ｘは、送血ポンプ９が空気を吸い込むおそれが生じるときの液位を限界液位とすれば、その限界液位よりも適度に高い液位に設定される。

さらに、脱血回路６と送血回路７との間には還流回路１４が設けられ、その還流回路１４には還流ポンプ１５が設けられている。還流回路１４の送血回路７に対する接続位置１４ａは、人工肺５と動脈フィルタ１０との間に設定されている。一方、還流回路１４の脱血回路６に対する接続位置１４ｂは、貯血槽８の上流側に設定されている。還流ポンプ１５は、送血回路７から脱血回路６に向かって血液を送ることができるように設けられている。還流ポンプ１５の定格流量は送血ポンプ９の定格流量よりも小さく設定されている。

還流ポンプ１５の動作は制御ユニット２０によって制御される。制御ユニット２０は、図２の還流ポンプ制御ルーチンを繰り返し実行することにより、液位センサ１１の出力に基づいて還流ポンプ１５の動作を制御するポンプ制御手段として機能する。すなわち、制御ユニット２０は、液位センサ１１が液位低下信号を出力しているか否かを判別し（ステップＳ１）、出力していなければ還流ポンプ１５を停止させ（ステップＳ２）、出力しているときは還流ポンプ１５を駆動させる（ステップＳ３）。このような制御が実行されることにより、貯血槽８の液位が許容液位Ｘを超えて低下したとき、人工肺５から送血回路７に送り出された血液の一部が還流回路１４を経由して貯血槽８に戻される。これにより、貯血槽８の液位低下が抑制され、貯血槽８からの空気の吸い込みに起因する気泡の発生が未然に防止される。

本発明は上述した形態に限定されず、各種の変形が可能である。例えば、還流ポンプ１５として可変流量型のポンプを設けるとともに、貯血槽８の液位センサ１１を液位に応じた信号を出力できるように構成し、液位が許容液位Ｘ以上のときは還流ポンプ１５を停止させ、液位が許容液位Ｘよりも低下した場合には、その低下量が大きいほど吐出流量が増加するように還流ポンプ１５の動作を制御してもよい。

本発明は体内から取り出した血液の処理部として人工肺を有する体外循環装置に限らず、体内から取り出した血液等の循環流体を貯液槽に一旦蓄え、その貯液槽の流体を人工臓器等の処理部を経由して体内に戻すように構成された体外循環装置であれば適宜にこれを適用することが可能である。

１ 体外循環装置
２ 脱血口（回路の入口）
３ 送血口（回路の出口）
４ 循環回路
５ 人工肺（処理部）
６ 脱血回路
７ 送血回路
８ 貯血槽（貯液槽）
９ 送血ポンプ（送液ポンプ）
１０ 動脈フィルタ
１１ 液位センサ
１４ 還流回路
１５ 還流ポンプ
２０ 制御ユニット（ポンプ制御手段）
Ｘ 許容液位

Claims (3)

1. 循環回路の入口から取り込んだ流体を貯液槽に一旦貯留し、該貯液槽の流体を送液ポンプにより所定の処理部を経由して前記循環回路の出口に送り出す体外循環装置において、
   前記処理部の出口側と前記貯液槽の入口側とを結ぶ還流回路と、
   前記処理部の出口側から前記還流回路を経由して前記貯液槽の入口側に流体を還流させるように設けられた還流ポンプと、
   前記貯液槽の液位が所定の許容液位よりも低下したか否かを検出する液位センサと、
   前記液位センサにより前記許容液位からの液位の低下が検出された場合に前記還流ポンプを駆動し、前記許容液位からの液位の低下が検出されていない場合には前記還流ポンプを停止させるポンプ制御手段と、
   を備えた体外循環装置。
2. 前記処理部の出口側には前記流体中の気泡を捕集するフィルタが設けられ、前記循環回路は前記処理部と前記フィルタとの間から前記流体を取り込むように設けられている請求項１に記載の体外循環装置。
3. 前記還流ポンプの駆動時における吐出流量が、前記送液ポンプの吐出流量よりも小さく設定されている請求項１又は２に記載の体外循環装置。

Images