JP2013022240A - 印刷したフィルム状製剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このため、フィルム状製剤の製造工程と、
フィルム状製剤表面への文字や模様を印刷する印刷工程を有する製造方法であって、
印刷工程では食用色素と水および/またはアルキルアルコールからなるインクを用いて印刷を施す。
【選択図】図1
Description
しかし、上記印刷方式では印刷版の作成が必要であり、小ロット生産では作業性が悪いという問題を有している。
最近では高速な印刷や非接触で印刷を行う方式や、印刷版を必要とせずに印刷を行う方式などが開発され、特にインクジェット印刷方式のプリンタによる印刷が盛んに行われている傾向にある。
また、製剤技術の発展に伴い、嚥下能力が不十分な患者や摂水制限のある患者にとって有用性の高い製剤として、薄くて軽いフィルム状製剤が開発されている。
しかし、フィルム状製剤には、視認性向上を図るための印刷などが施されておらず、最適な印刷方法が切望される状況にあった。
特に、少量多品種を製造するためには、インクジェット印刷方式が好適であるが、市販されている可食性インクは、ノズルの乾燥防止のために高沸点溶媒が添加されている。
この結果、印刷後に高温での乾燥処理を施さなければ完全に高沸点溶媒が蒸発できず、インク滲みや包材への転写が生じてしまうという問題があった。
しかし、セラックや高分子などを配合したインクにおいては、インクジェット印刷方式を使用した際に、ノズル周辺にセラックや高分子の成分などが堆積し、ノズル詰まりの原因となってしまい、長期間にわたり安定して印刷することができないという問題があった。
さらに、油溶性染料を揮発性の有機溶剤に溶解し、溶解後に樹脂成分を配合した速乾性インクが知られており、この速乾性インクは、耐水性に優れ、擦っても落ちないような耐性を有している。
しかし、食品添加物で構成されていないため、食品や経口投与医薬品の用途には使えないという問題があった。
このような薬物を有するフィルム状製剤には、印刷後に乾燥処理を施さず、かつ、インクの溶媒が薬物の安定性に影響せずにインクが定着するという性能を有する必要があった。
さらに、既知の錠剤用の可食性インクは高沸点溶媒やバインダーが添加されているために乾燥性が悪く、乾燥工程を設ける必要があるなどの問題があった。しかしながら、乾燥工程を設けて風等を当てた場合、フィルム状製剤は薄くて軽いことから、フィルム状製剤の位置ずれが発生したり、カール等により製剤が変形するなどの問題があった。
つまり、本発明は、水および/またはアルキルアルコールと食用色素からなる、バインダーを含まないインクを用いた。
また、印刷はインクジェット印刷方式を採用した。そして、インクの吐出量を最適にするとともに、製剤の構成を工夫し、印刷時にインク成分が薬物含有層以外に留まるようにした。
さらに、水および/またはアルキルアルコールと食用色素からなり、バインダーを含まないインクを用いたことにより、印刷工程においてノズル詰まりを生じさせるおそれが無く、印刷を行ったフィルム状製剤の視認性を改善し、耐摩耗性を向上させた、印刷したフィルム状製剤を得ることが出来る。
フィルム状製剤に機能層は1層のみでも良いし、2層以上あっても良い。さらに、2層以上ある場合、機能層の組成は同一であっても良いし、異なっていても良い。機能層の組成が異なる場合、本明細書中では第1機能層、第2機能層というように、数字をつけて識別する。同様に薬物含有層においても、第1薬物含有層、第2薬物含有層というように数字をつけて識別する。特に、薬物含有層においては各薬物含有層に異なる薬物が含有していても良い。
フィルム状製剤中で機能層および薬物含有層は例えば、図1〜図6の構成に積層される。尚、フィルム状製剤の構成はこれらに限定されるものではない。
フィルム状製剤の厚さは10〜500μm程度であり、印刷を施す機能層の厚みは5〜30μm程度であることが好ましい。
これらを単独で用いても良いし、二つ以上を組み合わせて用いても良い。
これら基剤を、水、エタノール、酢酸エチルまたは、これら溶媒を組み合わせた溶媒に溶解および/または分散し、機能層の調製液を得る。尚、必要に応じて可塑剤、矯味剤、着色剤、香料等の可食性の添加剤を添加することが出来る。
同様に、水、エタノール、酢酸エチルまたは、これら溶媒を組み合わせた溶媒に、薬物を溶解および/または分散し、さらにこれら基剤を溶解および/または分散し、薬物含有層の調製液を得る。尚、必要に応じて可塑剤、矯味剤、着色剤、香料等の可食性の添加剤を添加することが出来る。
上記の積層塗工乾燥法は、例えば支持体の上に第1機能層の調製液を単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って第1機能層を形成し、その上に薬物含有層の調製液を単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って、薬物含有層を形成し、図1に示した、2層型フィルム状製剤を作るなど、塗工と乾燥を繰り返して、多層構造を有するフィルム状製剤を製造する方法である。
尚、同一の調製液を繰り返し塗工乾燥して形成した層は1層として数える。
上記のラミネート法は、支持体の表面上に所定厚さの機能層および/または薬物含有層を、単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って形成する口腔内投与剤層形成工程と、口腔内投与剤層形成工程で得られた機能層/薬物含有層とをロール状に巻いてロールフィルムを形成するロールフィルム形成工程と、上記ロールフィルム形成工程で得られた同一成分または異種成分の薬物含有層または機能層を形成した2つのロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各層面が互いに対向するように重ね合わせて支持体の裏面から一対の押圧ロールで加圧することにより、機能層または薬物含有層相互を密着させ上記重ね合わせる口腔内投与剤層圧着工程、二つの支持体のうち一方の支持体もしくは両方の支持体を剥離する支持体剥離工程からなる。
フィルム状製剤は必要に応じてさらに多数の所望の数だけ機能層および/または薬物含有層を形成することが出来る。
尚、機能層および/または薬物含有層は同一の組成であっても良いし、異なる組成であっても良い。
また、上記のラミネート法は、口腔内投与剤層形成工程と、口腔内投与剤層圧着工程と、支持体剥離工程とを、一連の工程として連続方式で実施することが出来るが、中間の工程で得られた単層または複数層の口腔内投与剤層が形成されているロールフィルムを、次工程の出発材料として使用するバッチ方式によっても製造することが出来る。
さらに、機能層および/または薬物含有層中に塊状物質が存在し表面が凸凹である機能層および/または薬物含有層同士を、当該凸凹表面を互いに対向させて圧着するに際して、塊状物質が実質的に存在しない機能層および/または薬物含有層を介在させて圧着することが出来る。
尚、支持体にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテート、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、トリアセテート、フッ素樹脂(ETFE、PFA、FEP)等の樹脂からなるフィルムから適宣選択して使用することができ、必要に応じて表面に剥離処理を行っても良い。
用いる食用色素は食品添加物として認められている、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号(フロキシンB)、赤色105号(ローズベンガル)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーン)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)および青色2号(インジゴカルミン)等が挙げられる。
また、天然色素としてカラメル色素、クチナシ色素等が挙げられる。
これらは、単独でも良いし、2種以上を混合しても良い。
インクには保存剤として塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、デカリニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等のパラオキシ安息香酸エステル等を添加することが出来る。
特にフィルム状製剤へ印刷するために用いる食用色素は、赤色3号、青色2号および黄色4号が好ましく、中でも食用青色2号がもっとも好ましく、特に濃度0.5〜2%(重量)がより好ましい。
インクの吐出量は1〜6nL/mm2が好ましく、より好ましくは1〜5nL/mm2である。
インクの吐出量が多いと、薬物層まで達し、薬物安定性を悪くする。さらに、乾きが悪く、乾燥工程が必要となる。乾燥工程で風を当てると、フィルムが飛ばされたり、変形(カール)するなどの問題がある。
逆に、インクの吐出量が少ないと、明瞭な印刷が出来ない。さらに、インクが機能層中に溶解浸透せず、インクが製剤表面に付着した状態となるが、インクにバインダーを含まないので上手く定着しないため、こすれ等に弱くなるなどの問題がある。
図7はフィルム状製剤の塗工乾燥装置の概略説図である。また、図8はフィルム状製剤のラミネート装置の概略説図である。
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。支持体の表面に、第1機能層の調製液を塗工乾燥し、第1機能層を形成した。次に、第1機能層の上に薬物含有層の調製液を塗工乾燥し薬物含有層を形成し、ロール状に巻いてロールフィルムを形成した。
ロールフィルムをラミネート装置に装着し、ロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各々の薬物含有層が互いに対向するように重ね合わせてから、支持体の裏面から一対の押し圧ロールで加圧することにより、薬物含有層相互を密着させた。さらに、支持体を剥離し、図2に示した層構成のフィルム状製剤を製した。
食用色素と精製水とを撹拌溶解した後に、インクジェット印刷方式を用いて印刷する。
「第2の実施例」は、食用青色2号:20、精製水:980からなる。
「第3の実施例」は、食用青色2号:20、パラオキシ安息香酸メチル:1、精製水:979からなる。
「第4の実施例」は、食用青色2号:5、精製水:995からなる。
「第5の実施例」は、食用青色2号:20、エタノール:300、精製水:680からなる。
「比較例1」は、インクにグリセリンやプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステルなどの高沸点溶媒を配合したものである。そして、食用青色2号:20、グリセリン:150、プロピレングリコール:150、グリセリン脂肪酸エステル:1、精製水:679からなる。
「比較例2」は、インクにセラックを添加するとともに、溶媒にエタノールなどのアルコールを添加したものである。そして、食用青色2号:20、セラック:10、エタノール:600、精製水:370からなる。
「比較例3」は、インクに高分子であるヒドロキシプロピルセルロースを添加したものである。そして、食用青色2号:20、ヒドロキシプロピルセルロース:10、精製水:970からなる。
「第1の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い。
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第2の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第3の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第4の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第5の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り。ただし、復旧が容易であり、生産には使用可能であった。
「比較例1」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦ると滲むため、悪い。
(2)乾燥処理の必要性 −−−必要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
(追記)インクにグリセリンやプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステルなどの高沸点溶媒を配合すると、乾燥が必要である上、保存中に製剤へ印刷したインクに滲みが生じた。
「比較例2」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り
(追記)インクにセラックを添加するとともに、溶媒にエタノールなどのアルコールを添加すると、高分子がノズルで乾燥したときに、復旧が困難であったため、生産に不向きである。
「比較例3」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り
(追記)インクにヒドロキシプロピルセルロースなどの高分子を添加すると、高分子がノズルで乾燥したときに、復旧が困難であったため、生産に不向きである。
また、フィルム状製剤の基剤成分が可食性水溶性高分子であれば、添加剤の有無に関係なく、問題なく印刷工程を実施することが可能であった。
尚、ノズルから吐出するインク量は、約6nL/mm2以下であれば、インクが薬物含有層にまで染み込むこともなく、良好な印刷を実施することが可能である。
以下の表2には、インク吐出量と薬物含有層への浸食の有無を開示する。
また、上記の表2において、インク吐出量が6nL/mm2であれば、吐出終了から2秒では乾燥を確認することができず、5秒で乾燥を確認することができ、薬物含有層へはやや浸食があった。
さらに、上記の表2において、インク吐出量が13nL/mm2であれば、吐出終了から10秒が経過しても乾燥を確認することができず、薬物含有層への浸食もみられた(図10参照)。
ただし、インク吐出量が0.5nL/mm2の場合には、実施例1〜5のいずれにおいても印刷が明瞭ではなかった。
そして、前記フィルム状製剤の印刷工程における印刷には、オンデマンド型のピエゾ方式のインクジェットプリンタを使用した。
尚、コンティニュアス型では、導電率や粘度調整が必須であるため、使用が困難であった。
尚、本発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
2 ロールフィルム
3 押し圧ロール
4 機能層
5 薬物含有層
しかし、上記印刷方式では印刷版の作成が必要であり、小ロット生産では作業性が悪いという問題を有している。
最近では高速な印刷や非接触で印刷を行う方式や、印刷版を必要とせずに印刷を行う方式などが開発され、特にインクジェット印刷方式のプリンタによる印刷が盛んに行われている傾向にある。
また、製剤技術の発展に伴い、嚥下能力が不十分な患者や摂水制限のある患者にとって有用性の高い製剤として、薄くて軽いフィルム状製剤が開発されている。
しかし、フィルム状製剤には、視認性向上を図るための印刷などが施されておらず、最適な印刷方法が切望される状況にあった。
特に、少量多品種を製造するためには、インクジェット印刷方式が好適であるが、市販されている可食性インクは、ノズルの乾燥防止のために高沸点溶媒が添加されている。
この結果、印刷後に高温での乾燥処理を施さなければ完全に高沸点溶媒が蒸発できず、インク滲みや包材への転写が生じてしまうという問題があった。
しかし、セラックや高分子などを配合したインクにおいては、インクジェット印刷方式を使用した際に、ノズル周辺にセラックや高分子の成分などが堆積し、ノズル詰まりの原因となってしまい、長期間にわたり安定して印刷することができないという問題があった。
さらに、油溶性染料を揮発性の有機溶剤に溶解し、溶解後に樹脂成分を配合した速乾性インクが知られており、この速乾性インクは、耐水性に優れ、擦っても落ちないような耐性を有している。
しかし、食品添加物で構成されていないため、食品や経口投与医薬品の用途には使えないという問題があった。
このような薬物を有するフィルム状製剤には、印刷後に乾燥処理を施さず、かつ、インクの溶媒が薬物の安定性に影響せずにインクが定着するという性能を有する必要があった。
さらに、既知の錠剤用の可食性インクは高沸点溶媒やバインダーが添加されているために乾燥性が悪く、乾燥工程を設ける必要があるなどの問題があった。しかしながら、乾燥工程を設けて風等を当てた場合、フィルム状製剤は薄くて軽いことから、フィルム状製剤の位置ずれが発生したり、カール等により製剤が変形するなどの問題があった。
つまり、本発明は、水および/またはアルキルアルコールと食用色素からなる、バインダーを含まないインクを用いた。
また、印刷はインクジェット印刷方式を採用した。そして、インクの吐出量を最適にするとともに、製剤の構成を工夫し、印刷時にインク成分が薬物含有層以外に留まるようにした。
さらに、水および/またはアルキルアルコールと食用色素からなり、バインダーを含まないインクを用いたことにより、印刷工程においてノズル詰まりを生じさせるおそれが無く、印刷を行ったフィルム状製剤の視認性を改善し、耐摩耗性を向上させた、印刷したフィルム状製剤を得ることが出来る。
フィルム状製剤に機能層は1層のみでも良いし、2層以上あっても良い。さらに、2層以上ある場合、機能層の組成は同一であっても良いし、異なっていても良い。機能層の組成が異なる場合、本明細書中では第1機能層、第2機能層というように、数字をつけて識別する。同様に薬物含有層においても、第1薬物含有層、第2薬物含有層というように数字をつけて識別する。特に、薬物含有層においては各薬物含有層に異なる薬物が含有していても良い。
フィルム状製剤中で機能層および薬物含有層は例えば、図1〜図6の構成に積層される。尚、フィルム状製剤の構成はこれらに限定されるものではない。
フィルム状製剤の厚さは10〜500μm程度であり、印刷を施す機能層の厚みは5〜30μm程度であることが好ましい。
これらを単独で用いても良いし、二つ以上を組み合わせて用いても良い。
これら基剤を、水、エタノール、酢酸エチルまたは、これら溶媒を組み合わせた溶媒に溶解および/または分散し、機能層の調製液を得る。尚、必要に応じて可塑剤、矯味剤、着色剤、香料等の可食性の添加剤を添加することが出来る。
同様に、水、エタノール、酢酸エチルまたは、これら溶媒を組み合わせた溶媒に、薬物を溶解および/または分散し、さらにこれら基剤を溶解および/または分散し、薬物含有層の調製液を得る。尚、必要に応じて可塑剤、矯味剤、着色剤、香料等の可食性の添加剤を添加することが出来る。
上記の積層塗工乾燥法は、例えば支持体の上に第1機能層の調製液を単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って第1機能層を形成し、その上に薬物含有層の調製液を単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って、薬物含有層を形成し、図1に示した、2層型フィルム状製剤を作るなど、塗工と乾燥を繰り返して、多層構造を有するフィルム状製剤を製造する方法である。
尚、同一の調製液を繰り返し塗工乾燥して形成した層は1層として数える。
上記のラミネート法は、支持体の表面上に所定厚さの機能層および/または薬物含有層を、単回、もしくは、複数回塗工乾燥を行って形成する口腔内投与剤層形成工程と、口腔内投与剤層形成工程で得られた機能層/薬物含有層とをロール状に巻いてロールフィルムを形成するロールフィルム形成工程と、上記ロールフィルム形成工程で得られた同一成分または異種成分の薬物含有層または機能層を形成した2つのロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各層面が互いに対向するように重ね合わせて支持体の裏面から一対の押圧ロールで加圧することにより、機能層または薬物含有層相互を密着させ上記重ね合わせる口腔内投与剤層圧着工程、二つの支持体のうち一方の支持体もしくは両方の支持体を剥離する支持体剥離工程からなる。
フィルム状製剤は必要に応じてさらに多数の所望の数だけ機能層および/または薬物含有層を形成することが出来る。
尚、機能層および/または薬物含有層は同一の組成であっても良いし、異なる組成であっても良い。
また、上記のラミネート法は、口腔内投与剤層形成工程と、口腔内投与剤層圧着工程と、支持体剥離工程とを、一連の工程として連続方式で実施することが出来るが、中間の工程で得られた単層または複数層の口腔内投与剤層が形成されているロールフィルムを、次工程の出発材料として使用するバッチ方式によっても製造することが出来る。
さらに、機能層および/または薬物含有層中に塊状物質が存在し表面が凸凹である機能層および/または薬物含有層同士を、当該凸凹表面を互いに対向させて圧着するに際して、塊状物質が実質的に存在しない機能層および/または薬物含有層を介在させて圧着することが出来る。
尚、支持体にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテート、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、トリアセテート、フッ素樹脂(ETFE、PFA、FEP)等の樹脂からなるフィルムから適宣選択して使用することができ、必要に応じて表面に剥離処理を行っても良い。
用いる食用色素は食品添加物として認められている、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号(フロキシンB)、赤色105号(ローズベンガル)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーン)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)および青色2号(インジゴカルミン)等が挙げられる。
また、天然色素としてカラメル色素、クチナシ色素等が挙げられる。
これらは、単独でも良いし、2種以上を混合しても良い。
インクには保存剤として塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、デカリニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等のパラオキシ安息香酸エステル等を添加することが出来る。
特にフィルム状製剤へ印刷するために用いる食用色素は、赤色3号、青色2号および黄色4号が好ましく、中でも食用青色2号がもっとも好ましく、特に濃度0.5〜2%(重量)がより好ましい。
インクの吐出量は1〜6nL/mm2が好ましく、より好ましくは1〜5nL/mm2である。
インクの吐出量が多いと、薬物層まで達し、薬物安定性を悪くする。さらに、乾きが悪く、乾燥工程が必要となる。乾燥工程で風を当てると、フィルムが飛ばされたり、変形(カール)するなどの問題がある。
逆に、インクの吐出量が少ないと、明瞭な印刷が出来ない。さらに、インクが機能層中に溶解浸透せず、インクが製剤表面に付着した状態となるが、インクにバインダーを含まないので上手く定着しないため、こすれ等に弱くなるなどの問題がある。
図7はフィルム状製剤の塗工乾燥装置の概略説図である。また、図8はフィルム状製剤のラミネート装置の概略説図である。
支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。支持体の表面に、第1機能層の調製液を塗工乾燥し、第1機能層を形成した。次に、第1機能層の上に薬物含有層の調製液を塗工乾燥し薬物含有層を形成し、ロール状に巻いてロールフィルムを形成した。
ロールフィルムをラミネート装置に装着し、ロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各々の薬物含有層が互いに対向するように重ね合わせてから、支持体の裏面から一対の押し圧ロールで加圧することにより、薬物含有層相互を密着させた。さらに、支持体を剥離し、図2に示した層構成のフィルム状製剤を製した。
食用色素と精製水とを撹拌溶解した後に、インクジェット印刷方式を用いて印刷する。
「第2の実施例」は、食用青色2号:20、精製水:980からなる。
「第3の実施例」は、食用青色2号:20、パラオキシ安息香酸メチル:1、精製水:979からなる。
「第4の実施例」は、食用青色2号:5、精製水:995からなる。
「第5の実施例」は、食用青色2号:20、エタノール:300、精製水:680からなる。
「比較例1」は、インクにグリセリンやプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステルなどの高沸点溶媒を配合したものである。そして、食用青色2号:20、グリセリン:150、プロピレングリコール:150、グリセリン脂肪酸エステル:1、精製水:679からなる。
「比較例2」は、インクにセラックを添加するとともに、溶媒にエタノールなどのアルコールを添加したものである。そして、食用青色2号:20、セラック:10、エタノール:600、精製水:370からなる。
「比較例3」は、インクに高分子であるヒドロキシプロピルセルロースを添加したものである。そして、食用青色2号:20、ヒドロキシプロピルセルロース:10、精製水:970からなる。
「第1の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い。
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第2の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第3の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第4の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
「第5の実施例」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り。ただし、復旧が容易であり、生産には使用可能であった。
「比較例1」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦ると滲むため、悪い。
(2)乾燥処理の必要性 −−−必要
(3)ノズル詰まりの有無−−−無し
(追記)インクにグリセリンやプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステルなどの高沸点溶媒を配合すると、乾燥が必要である上、保存中に製剤へ印刷したインクに滲みが生じた。
「比較例2」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り
(追記)インクにセラックを添加するとともに、溶媒にエタノールなどのアルコールを添加すると、高分子がノズルで乾燥したときに、復旧が困難であったため、生産に不向きである。
「比較例3」の場合
(1)インク定着性 −−−指で擦っても滲むことはなく、良い
(2)乾燥処理の必要性 −−−不要
(3)ノズル詰まりの有無−−−有り
(追記)インクにヒドロキシプロピルセルロースなどの高分子を添加すると、高分子がノズルで乾燥したときに、復旧が困難であったため、生産に不向きである。
また、フィルム状製剤の基剤成分が可食性水溶性高分子であれば、添加剤の有無に関係なく、問題なく印刷工程を実施することが可能であった。
尚、ノズルから吐出するインク量は、約6nL/mm2以下であれば、インクが薬物含有層にまで染み込むこともなく、良好な印刷を実施することが可能である。
以下の表2には、インク吐出量と薬物含有層への浸食の有無を開示する。
また、上記の表2において、インク吐出量が6nL/mm2であれば、吐出終了から2秒では乾燥を確認することができず、5秒で乾燥を確認することができ、薬物含有層へはやや浸食があった。
さらに、上記の表2において、インク吐出量が13nL/mm2であれば、吐出終了から10秒が経過しても乾燥を確認することができず、薬物含有層への浸食もみられた(図10参照)。
ただし、インク吐出量が0.5nL/mm2の場合には、実施例1〜5のいずれにおいても印刷が明瞭ではなかった。
そして、前記フィルム状製剤の印刷工程における印刷には、オンデマンド型のピエゾ方式のインクジェットプリンタを使用した。
尚、コンティニュアス型では、導電率や粘度調整が必須であるため、使用が困難であった。
尚、本発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
2 ロールフィルム
3 押し圧ロール
4 機能層
5 薬物含有層
6 乾燥炉
7 ミクロンコーター
8 調製液
Claims (4)
- フィルム状製剤の製造工程と、
フィルム状製剤表面への文字や模様を印刷する印刷工程を有する製造方法であって、
印刷工程では食用色素と水および/またはアルキルアルコールからなるインクを用いて印刷を施す
ことを特徴とするフィルム状製剤の製造方法。 - フィルム状製剤が可食性水溶性高分子からなる薬物を含まない機能層と、
薬物を含む薬物含有層からなる、多層型のフィルム状製剤であって、
印刷時にインク成分が薬物含有層以外に留まる
ことを特徴とする請求項1のフィルム状製剤の製造方法。 - 印刷用インクが水および食用色素からなり、
バインダーを含まない
ことを特徴とする請求項1乃至2のフィルム状製剤の製造方法。 - 印刷工程におけるインクの吐出量が1〜6nL/mm2である請求項1乃至3のフィルム状製剤の製造方法。
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