JP2013020165A - 光量調整装置及びこれを備えた光学機器 - Google Patents

光量調整装置及びこれを備えた光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】羽根部材の傾きを抑制することで、正確な露光開口を形成可能な光量調整装置の提供。
【解決手段】この光量調整装置は、光軸開口を有する基板と、光軸開口の周囲に配置され円周方向に鱗状に重なり合う複数枚の羽根部材と、基板との間に羽根部材を挟むように配置され各羽根部材を開閉動する駆動リングと、この駆動リングを回動する駆動手段とから成る光量調整装置であって、前記複数枚の羽根部材の各羽根部材は、前記光軸開口外に位置し前記基板と駆動リングとそれぞれ係合する一対の支軸を有する基端部と、前記光軸開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とから成り、前記基板と駆動リングとの間に、前記各羽根部材の前記基端部を前記基板側若しくは駆動リング側に押圧付勢する弾性手段を備えて成る。
【選択図】図2

Description

本発明はビデオカメラ、スチールカメラなどの撮像装置、或いはプロジェクタその他の投影装置等の光学機器に内蔵され、撮影光量、投映光量などの光量を調整する光量調整装置に関する。
一般に、この種の光量調整装置は、撮影光路(或いは投影光路)に光軸開口を有する基板を配置し、この基板に複数枚の羽根部材を開閉自在に配置して光軸開口を大口径又は小口径に光量調整する装置として知られている。
例えば特許文献1には、基板に形成した光軸開口の周囲に複数枚の羽根部材を配置し、光路口径を小径から大径まで相似形で開閉する虹彩絞り装置が開示されている。この様な絞り装置は、複数枚の羽根部材で円形状に近い口径で多段階に光量調整する特徴が知られている。
同文献には、中央に光軸開口を有する上下一対のリング状基板の間に複数枚の羽根部材(絞り羽根)を配置し、この複数枚の羽根部材を基板の一方に設けた駆動ユニットで開閉する開閉機構が開示されている。
また特許文献2には、文献1と同様にリング形状に形成した基板間に複数枚の羽根部材を配置し、基板の一方に設けた駆動ユニットで羽根部材を開閉動する装置が開示されている。このように光軸開口の周囲に複数枚の羽根部材を鱗状に配置し、基板の一方に設けた駆動ユニットで開閉動する装置は広く知られている。
そして複数枚の羽根部材を開閉動する機構は、基板に羽根部材の運動軌跡に沿ってガイド溝を設け、このガイド溝に羽根部材に植設したピンを嵌合し、他方の基板に設けた伝動リングで羽根部材を所定方向に回動させることによって複数枚の羽根部材の運動を規制している。このため羽根部材を支持する基板には羽根部材の枚数に応じたガイド溝が光軸開口の周縁に配置されている。このガイド溝の構造は特許文献1の図4に開示されている。
特開2009−020438号公報 特開2006−322979号公報
上述のように光軸開口の周縁に複数枚の羽根部材を配置し、この各羽根部材を所定角度回動させて通過光量を大小調整する装置として特許文献1、2などで知られている。この場合その構造は、中央に光軸開口を有する上下一対の基板間に、複数枚の羽根部材を軸支持し、この各羽根部材を基板間に内蔵した駆動リングで開閉する機構が採用されている。
そしてその構造は、基板上に複数枚の羽根部材を互いに隣接する端部を鱗状に重ね合わせて円周方向に配列し、この各羽根部材を駆動リングで同一角度方向に回動させることによって開口径を大小調節するように構成されている。
従って、複数枚の羽根部材は互いに隣接する端部同士が重ね合わされ、羽根部材のクローズ方向(全閉方向)では重ね合わせ面積が徐々に大きくなるように変化し、羽根部材のオープン方向(全開方向)では重ね合わせ面積が徐々に小さくなるように変化する。これと共に羽根部材の構成枚数によっては調整光量に応じて羽根部材の重ね合わせ枚数が変化する場合がある。
図14及び図15には、7枚構成の羽根部材構造を示し、光軸開口100を有する基板101と押さえ板104間に7枚の羽根部材103を円周方向に隣設端部を重ね合わせて配列する。図14(a)は小絞り状態の重ね合わせ平面形状を示し、同図(b)は断面構成((a)矢視方向)を示す。同図(b)に示すように羽根部材103は隣接する羽根部材の一部と重なり合う。
つまり7枚構成の羽根部材を鱗状に重ね合わせた場合、同図(a)に示すように例えば羽根部材103bは羽根部材103aの上重ねられ、羽根部材103cの下側に挿し入れられた状態になり、この関係は最後の重ねた7枚目の羽根部材103gにあっても、羽根部材103gは羽根部材103fの上重ねられ、最初の羽根部材103aの下側に挿し入れられた状態になる。この関係は、n枚構成の羽根部材を鱗状に重ね合わせることによって同様になる。
そこで、駆動リングと基板(地板)との間に鱗状に重ね合わされ配置される羽根部材は、図14(a)で示す小絞り状態において同図(b)の断面構成で示す様に、光軸開口100の周縁部分では羽根部材103a、羽根部材103b、羽根部材103cの3枚が重なった状態になる。従って駆動リング102と基板101との間隔(L)は、最大の重なり枚数(n)と羽根部材の厚さ(s)と各羽根部材の開閉動作に要するクリアランス(dc)によって設定される。例えばこの間隔はL≧n・s+n・dcとなるように設定される。
ところが図15(a)で示す絞り全開放状態において同図(b)の断面構成で示す様に、光軸開口100の外周縁に羽根部材103a、羽根部材103bの2枚が重なった状態になる。このように基板101と駆動リング102との間に挟持される羽根部材は、光軸開口の開口量に応じてその重なり面積と重なり枚数が変化する。このため羽根部材は駆動リングと基板(地板)との間で可也の空間を持って配設されることとなり次の問題が生ずる。
駆動リング102と各羽根部材103とは、一方にピン状突起、他方に溝孔が互いに係合するように設けられ、駆動リングの回転で各羽根部材が開閉動する。これと同時に地板101と各羽根部材との間にも一方にピン状突起、他方に溝孔が互いに係合するように設けられている。この2つの溝孔は各羽根部材の開閉軌跡に沿ってこれをガイドするように形成されている。
このような構成において基板(地板)と駆動リングとの間隔は、最大重なり枚数に応じて設定することとなり、各羽根部材は開口量に応じて重なり枚数が変化する。このため図14(b)のように光軸開口中心側の羽根部材先端部側は3枚重なりとなり、図15(b)のように基端部側は2枚重なりの羽根部材構成となる。
そこで図14(a)で示す小絞り状態になった場合、3枚重なりとなる羽根部材先端部側は図8で示す様に他の羽根部材の羽根部材先端部で押し上げられ、各羽根部材は基端部から羽根部材先端部に向かって反り上げられ、ちょうど図15(b)の羽根部材103aのように傾かされる。また図15(a)で示す絞り全開放状態になった場合、図15(a)で示す様に羽根部材は駆動リングと基板(地板)との間で図15(b)の羽根部材103aのように傾かされる。この羽根部材の傾きはピン状突起と溝孔との係合状態が変化することで、図15(c)で示すように羽根部材の開閉位置がずれ、結果絞り口径が変化し光量斑となる問題が有る。特に小絞り状態において光量斑への影響が大きい。
本発明は、この問題点に鑑みて羽根部材の傾きを抑制し光量斑が少なく適正な露光制御が行い得る光量調整装置の提供をその課題としている。
上記課題を達成するため本発明の請求項1に記載の光量調整装置は、中央部に光軸開口を有するリング形状の基板と、前記光軸開口の周囲に配置され円周方向に鱗状に重なり光軸開口の通過光量を調整する複数枚の羽根部材と、前記基板との間に前記複数枚の羽根部材を挟むように配置され各羽根部材を開閉動する駆動リングと、この駆動リングを前記光軸開口を中心に回動する駆動手段と、から成る光量調整装置であって、前記複数枚の羽根部材の各羽根部材は、前記光軸開口外に位置し前記基板と駆動リングとそれぞれ係合する一対の支軸を有する基端部と、前記光軸開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とから成り、前記基板と駆動リングとの間で、前記各羽根部材の前記基端部を前記基板側若しくは駆動リング側に押圧付勢する弾性手段を備えている。
また、本発明の請求項2に記載の光量調整装置は、上述の請求項1に記載する光量調整装置において、前記複数枚の羽根部材は、前記基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板から成り、前記弾性手段は、前記羽根基板の基端部に高低差で形成した弾性力を有する突出面から成る。
また、本発明の請求項3に記載の光量調整装置は、上述の請求項2に記載する光量調整装置において、前記突出面は、前記羽根基板の基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片から成る。
また、本発明の請求項4に記載の光量調整装置は、上述の請求項3に記載する光量調整装置において、前記複数枚の羽根部材は、前記基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板と、前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の支軸と接合面逆側に立設する第2の支軸とから成る前記一対の支軸を形成する補助基板とから成り、前記弾性手段は、前記補助基板が対峙する前記基端部の一部を切り欠いて逆側に段差状に形成した切り欠き片から成る。
また、本発明の請求項5に記載の光量調整装置は、上述の請求項3に記載する光量調整装置において、前記一対の支軸は前記各羽根部材の基端部に対し接着又は溶着支持若しくは一体成形して成り、前記弾性手段は、前記一対の支軸の間で前記基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片から成る。
また、本発明の請求項6に記載の光量調整装置は、上述の請求項1に記載する光量調整装置において、前記弾性手段は、前記各羽根部材の前記一対の支軸のいずれか一方に巻回され、その支軸が係合する前記基板若しくは駆動リングと前記基端部との間に圧縮し配設されたバネ部材から成る。
更に、本発明の請求項7に記載の光学機器は、被写体からの光を結像する結像レンズと、この結像レンズからの光を受光する撮像手段、若しくは被写体に向け光を結像する結像レンズと、この結像レンズからの光を投光する投光手段の一方と、上記被写体から結像レンズに至る光路に配置された光量調整装置と、を備え、前記光量調整装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の光量調整装置は、基板と駆動リングとの間で、光軸開口外に位置し前記基板と駆動リングとそれぞれ係合する一対の支軸を有する基端部と、光軸開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とから成る各羽根部材を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢し、各羽根部材の基端部を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢する弾性力を付与する弾性手段を備えることによって以下の効果を奏する。
互いに重なり合う複数枚の羽根部材は、これを開閉可能に支持する基板と駆動リングとのの間に羽根部材の重なり厚さに比べて大きなギャップが形成され、各羽根部材はこの基板と駆動リングとのギャップ間で、例えば、小絞り状態にあっては、各羽根部材が基端部から先端部に向かって反り上げられることで各羽根部材が傾こうとしても、また絞り全開放状態にあっては、撮像装置の姿勢が変わることによる各羽根部材が傾こうとしても、その各羽根部材の傾きを弾性部材が抑制することによって、開閉する各羽根部材の基端部が大きく傾くことがない。従って、各羽根部材の一対の支軸と基板及び駆動リングに形成されたピン状突起と溝孔の係合位置が傾きによる位置ずれを起こすことがないので各羽根部材による絞り口径を適正値に設定可能で適正な光量調整が出来る。
また、本発明の請求項2に記載の光量調整装置は、上述の請求項1に記載する光量調整装置において、前記複数枚の羽根部材が基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板から成り、弾性手段をその羽根基板の基端部に高低差で形成した弾性力を有する突出面で構成することによって、装置構成部品の数を増やすことなく、しかも何らの組み込み工程数も増やすことなく、単に各羽根部材を通常の組み込み工程で組み込むことで、各羽根部材を自身の弾性力で、各羽根部材の基端部を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢することが出来る。
また、本発明の請求項3に記載の光量調整装置は、上述の請求項2に記載する光量調整装置において、複数枚の羽根部材が基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板から成り、弾性手段をその羽根基板の基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片で構成することによって、装置構成部品の数を増やすことなく、しかも何らの組み込み工程数も増やすことなく、単に各羽根部材を通常の組み込み工程で組み込むことで、各羽根部材を自身の弾性力で、各羽根部材の基端部を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢することが出来る。
また、本発明の請求項4に記載の光量調整装置は、上述の請求項3に記載する光量調整装置において、複数枚の羽根部材が基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板と、その基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の支軸と接合面逆側に立設する第2の支軸とから成る一対の支軸を形成する補助基板とから成り、弾性手段をその補助基板が対峙する各羽根部材の基端部の一部を切り欠いて逆側に段差状に形成した切り欠き片で構成することによって、装置構成部品の数を増やすことなく、しかも何らの組み込み工程数も増やすことなく、単に各羽根部材を通常の組み込み工程で組み込むことで、各羽根部材を自身の弾性力で、各羽根部材の基端部を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢することが出来る。
また、本発明の請求項5に記載の光量調整装置は、上述の請求項3に記載する光量調整装置において、各羽根部材の基端部には接着又は溶着支持若しくは一体成形して成る一対の支軸を有し、弾性手段がその一対の支軸の間で各羽根部材の基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片から構成することによって、装置構成部品の数を増やすことなく、しかも何らの組み込み工程数も増やすことなく、単に各羽根部材を通常の組み込み工程で組み込むことで、各羽根部材を自身の弾性力で、各羽根部材の基端部を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢することが出来る。また、一対の支軸の間に弾性手段を配設することで、弾性手段による弾性力が均一に各支軸に付与され、各羽根部材の傾き抑制効果が増す。
また、本発明の請求項6に記載の光量調整装置は、上述の請求項1に記載する光量調整装置において、弾性手段が各羽根部材の一対の支軸のいずれか一方に巻回され、その支軸が係合する前記基板若しくは駆動リングと前記基端部との間に圧縮し配設されたバネ部材から構成することによって、各羽根部材の支軸を中心に、各羽根部材を基板側若しくは駆動リング側に位置付勢することが出来る。また、弾性手段としてバネ部材を用いることで、羽根部材の材料に関係無く適宜な弾性力を設定することが出来、適正な条件の下で各羽根部材の傾き抑制効果が得られ、円滑な作動が確保できる。しかも、支軸を使うことで隣接する羽根部材の開閉動を邪魔する恐れも解消される。
更に、本発明の請求項7に記載の光学機器は、上記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光量調整装置を構成することによって、その光量調整装置が光量斑が少なく適正な露光制御を行うことで、画像斑の無い画像読み取り、若しくは画像投影が出来る光学機器の提供が可能で有る。
本発明に係わる光量調整装置の一実施形態を示す斜視構成の説明図。 図1の装置における第1基板(地板)と羽根組の拡大した構成説明図。 図1の装置における第2基板(駆動リング)の拡大した構成説明図。 (a)は図1の装置における第1基板(地板)の形状、(b)はマイラープレートの状態を示す説明図。 図1の装置における羽根部材形状の説明図であり、(a)は羽根部材の組み立て分解状態を、(b)は羽根部材の断面構成を、(c)は羽根部材の開閉軌跡の説明図である。 駆動リングとはねとの関係を示す説明図であり(a)は駆動リンクの全体形状を(b)は駆動リングの要部の拡大説明図。 図1の実施形態に於ける作用の説明図であり、(a)は羽根部材が絞り全開状態(全開放口径)の重なり状態の説明図、(b)は断面状態の説明図。 図1の実施形態に於ける作用の説明図であり、(a)は羽根部材が小絞り状態(最小絞り口径)の重なり状態の説明図、(b)は断面状態の説明図。 図1の装置の駆動ユニットの説明図(中央縦断面図)。 図2に対応した異なる実施形態を示す斜視構成の説明図。 図10の実施形態に於ける作用の説明図であり、(a)は羽根部材が絞り全開状態(全開放口径)の重なり状態の説明図、(b)は断面状態の説明図。 図10の実施形態に於ける作用の説明図であり、(a)は羽根部材が小絞り状態(最小絞り口径)の重なり状態の説明図、(b)は断面状態の説明図。 本発明に係わる撮像装置の構成を示す説明図。 従来技術の説明図であり、(a)は羽根部材を小絞り状態に絞ったときの平面構成の説明図であり、(b)はそのa−a線断面図。 従来技術の説明図であり、(a)は羽根部材を絞り全開放状態にしたときの平面構成の説明図であり、(b)はそのa−a線断面図で、(c)は羽根部材の傾きによる開閉状態を示す状態図。
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
図1は本発明に係わる光量調整装置Aの全体構成を示す組み立て分解図である。光量調整装置Aは図1に示すように、第1基板組(地板組)1と、羽根組2と、駆動リング31と、第2基板組3(押さえ板組)で構成されている。
そして、第2基板組3の駆動リング31(第2基板)上に羽根組2が組み込まれ、この羽根組2の上に第1基板組1の地板11(第1基板)がマイラープレート15を挟んで組み込まれている。そして第1基板組1の地板11と第2基板組3の押さえ板41とは互いに組み合わされてビスなどの固定手段で一体化され、このとき羽根部材21と駆動リング31が両基板間にサンドイッチ状に支持される。
このような構成によって光軸開口12は地板11に形成され、この光軸開口12を複数枚の羽根部材21a〜21iで大小口径に開口調整する。このため図示押さえ板41(地板11であっても良い。)に駆動モータMがマウントされ、モータMの回転で駆動リング31が所定角度回転し、その回転とマイラープレート15に形成されたガイド溝16(マイラープレート15を介在しない場合は地板11の第1の溝孔13が代行)によって複数枚の羽根部材21が同一量ずつ移動して光軸開口12の口径を大小に調節する。尚、駆動リング31に形成される中央開口部は地板11の光軸開口12より一般に大きに開口設定されている。
[第1基板組の構成]
図2は図1の組み立て分解図における第1基板組1及び羽根組2を拡大した分解説明図である。第1基板組1は、地板11とマイラープレート15で構成されている。地板11(以下地板として説明する)とマイラープレート15とは、中央に光軸開口12を有するリング形状に形成され、地板11の上にマイラープレート15が積層状に積み重ねられている。
図2に従って地板(第1基板)11、マイラープレート15の順に説明する。
地板11には中央部に光軸開口12が形成され、その外形状は撮像装置(不図示)の鏡筒形状に応じた形状に構成される。この地板11は金属、合成樹脂などで光量調整装置A全体に強靭性を持たせる装置基盤に適した材質・寸法に形成されている。
上記光軸開口12の周縁には、後述する羽根部材21を支持する羽根支持面11x(平坦面若しくは突起ガイド面)が形成されている。この羽根支持面11xと後述する各羽根部材21の一方に第1のピン状突起22が、他方にこれと係合する第1の溝孔13(以下ガイド溝として説明する)が設けられている。
このピン状突起22とガイド溝13とは互いにマイラープレート15に形成されたガイド溝16を介し嵌合して羽根部材21をガイド溝16の溝孔に沿って所定の軌跡で開閉動するようになっている。各羽根部材21には後述する駆動リング31との間に、その一方に第2のピン状突起23が、他方に第2の溝孔33が形成されている。
図2に示す装置(一実施形態)では、後述する羽根部材21の地板11と面す側に第1のピン状突起22が駆動リング31と面する側に第2のピン状突起23が設けられている。そして地板11に第1の溝孔(ガイド溝)13が、駆動リング31に第2の溝孔33が形成され、前者に第1のピン状突起22がマイラープレート15に形成されたガイド溝16を介し、後者に第2のピン状突起23が嵌合されている。また第1の溝孔13は羽根部材21の開閉軌跡に沿ったスリット溝(以下「ガイド溝」という)で形成されている。この第1の溝孔13は貫通した溝孔では無く、地板11側から来る光が第1の溝孔13を通し光路内に不要な光が入らない様にしている。
「地板の構成」
図2に示す地板11は、合成樹脂のモールド成形で形成してある。この場合地板に強靭性を持たせる場合にはガラス繊維を混入し、帯電性を帯びさせる場合にはカーボン繊維などを混入する。このように合成樹脂で成形することによって複雑な形状であっても加工が容易であり、安価に製造することが出来る。これと共に装置基板としての地板を軽量に構成することが可能である。合成樹脂としては耐熱性に富んだエポキシ樹脂、強靭性に富んだガラス繊維強化樹脂、導電性に富んだカーボン繊維混入樹脂などを用途に応じて使用する。
このように地板11は合成樹脂のモールド成形によって製造することが薄型化、小型軽量化などから好ましい。また、耐久性、導電性などから樹脂に強化繊維、導電性繊維などを混入することによって所望の特性が得られる。その反面、合成樹脂で基板(地板)を成形することによって加工精度が劣る問題、或いは混入繊維によって表面粗さが劣り摩擦抵抗が増大する問題がある。本発明はこれらの問題を下記のように「地板と羽根部材の間に弾性部材を介在させる」ことによって解決したことを特徴としている。
「マイラープレートの構成」
本発明に係わる一実施形態は、地板11に後述する羽根部材21を直接載置して支持することなく、この地板11と羽根部材21との間にマイラープレート15を介在させることを特徴とし、以下その構成を説明する。
マイラープレート15は、図2にその斜視構造を、図4(b)に平面構造を示すように地板11と略々同一形状のリング形状に形成されている。このリング形状は各羽根部材21に対し均一に押圧可能な形状で、且つ加工し易いことから最良の形状であるが、このリング形状で無くとも各羽根部材21に対し均一に押圧可能な非リング形状であっても良い。このマイラープレート15は図7(b)に断面構造を示すように地板11の羽根支持面11xと羽根部材21との間に介在し、羽根部材21が直接地板11と接触するのを避ける。図示のマイラープレート15は地板11と略々同一の平面形状に形成している。
このマイラープレート15は、後述する羽根部材21との摩擦係数が小さい樹脂フィルムで形成されている。図示のマイラープレート15は後述する羽根部材21と同一素材で、例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)の型抜き成形で形成されている。そして図4(b)にその形状を示すように地板11のガイド溝13と一致するガイド溝16が形成されている。このガイド溝16については後述する。
従って、地板11を樹脂のモールド成形で、マイラープレート15を樹脂フィルムの型抜き成形で形成する場合には、地板11の形状精度に比べマイラープレート15の形状精度を高精細に形成することが出来る。このことは成形型に溶かした樹脂を流し込むモールド成形に比べ、圧延ロールによってシート状に形成した素材を型抜き成形することによって寸法精度が得られる為である。またマイラープレート15の材質を羽根部材21と同一材質にすることによって熱変化などの温度特性は羽根部材と実質的に同一となり、羽根部材21とマイラープレート15は同一素材で帯電列が同一であるから両者が摺動しても静電気を帯びることがない。
図示のマイラープレート15は地板11と略々同一形状に形成され、中央に位置する光軸開口12の周縁に複数枚の羽根部材21の基端部21xを支持し、先端部21yは光軸開口内部に臨ませるように支持する。
[ガイド溝とカイドピンの関係]
上述の地板11に形成されたガイド溝13とマイラープレート15に形成されたガイド溝16と各羽根部材21に形成されたガイドピン(第1のピン状突起)22の関係について説明する。
地板11のガイド溝13は図7(b)に示すように凹陥溝で構成され地板外部の光が透過されない盲穴形状に形成されている。また地板11をモールド成形で形成する関係から抜きテーパθが形成され、その溝幅の平均寸法はdgに設定されている。
またマイラープレート15のガイド溝16は、地板11の溝幅dgより狭くガイドピン22が食付くこと無くスリット溝を移動自在の溝幅dbよりの貫通孔で形成されている。この貫通孔は樹脂フィルムの型抜き成形で均一径に形成されている。
一方、各羽根部材21a〜21iにはガイドピン22が植設され、その外径はdaに設定されている。そこで、このガイドピン22のピン外径daと地板11のガイド溝13の溝幅dgとマイラープレート15のガイド溝16の溝幅dbとの関係は、da≦db<dgの関係に設定されている。つまりマイラープレート15のガイド溝16は地板11のガイド溝13より狭小幅(db<dg)でガイドピン外径daと適合する寸法(da≦db)に設定されている。
従って同図に示すように各羽根部材21a〜21iに植設されたガイドピン22(第1の突起)の基端部はマイラープレート15のガイド溝16と係合して運動規制され、ガイドピン22(第1の突起)の先端部は地板11のガイド溝13とは接触しないように成っている。このためガイドピン(第1の突起)22はテーパθを有する地板11のガイド溝13と不安定に係合することが無く、各羽根部材21a〜21iは円滑に作動する。
そこで、地板11、マイラープレート15から成る第1基板組1は駆動リング31との間に隙間ギャップL(図8(b)参照)を形成し、羽根部材21が移動自在に支持する。
[羽根部材]
図5に羽根形状の一例を示すが、基端部21xは上述のマイラープレート15を介して地板11と駆動リング31との間に支持される。また羽根部材の先端部21yは光軸開口12を開閉する。このとき複数枚の羽根部材の先端部21yは互いに鱗状に重なり合って先端部21yで円形状の光路口径12内に虹彩絞りを形成する形状になっている。
なお、前述したように各羽根部材21は、地板11と駆動リング31との一方にピン状突起、他方に軸孔で係合され、駆動リング31の回転で各羽根部材21は溝孔(ガイド溝13,16)に沿って開閉動する。例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)の型抜き成形で形成されている。
「弾性手段」
また、その型抜き成形時に同時に基端部21xには、図5(a)、(b)に示すようにその基端部21xの一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片(弾性手段)21rが形成されている。この切り欠き片21rは、各羽根部材21が例えばポリエチレン樹脂フィルム(PETシート)から成ることから弾性力を有する。そして、図7(b)で示す様に切り欠き片21rは駆動リング31の平面に当接し弾性変形し、その反力が弾性力として基端部21xをマイラープレート15を介して地板11側に付勢する。この付勢により各羽根部材21の基端部21xは地板11(マイラープレート15)の平面11xに平行な姿勢状態が維持され、傾くことが無いので上述の光量斑を起こすことが無い。尚、切り欠き片21rは加工上最も実施が容易な形状で、弾性手段としては弾性力が得られる例えば羽根基板の基端部に高低差で形成した突出面(例えば、切り欠き片21rの切り欠き部が連結した突起部の上部平面)であっても良い。
また、切り欠き片21rは、第1のピン状突起(ガイドピン)22と第2のピン状突起(作動ピン)23との間に配設されることで、弾性力が均一に各支軸に付与され、各羽根部材の傾き抑制効果が増している。
尚、この切り欠き片21rは、各羽根部材21とは別部材で構成し、その部材を各羽根部材21の基端部21xに接着又は溶着で設けることも出来る。また、この切り欠き片21rに代え、図10及び図12で示す様に、各羽根部材21の第2のピン状突起(作動ピン)23の回りに巻回され、その第1のピン状突起22が係合する駆動リング31との間に圧縮され配設されたバネ部材21t(弾性手段)を用いて、そのバネ部材21tの付勢により各羽根部材21の基端部21xは地板11(マイラープレート15)の平面11xに平行な姿勢状態を維持するようにしても良い。また、このバネ部材21tは、第1のピン状突起(ガイドピン)22側に配設しても同様な効果を得ることが出来る。そして、各羽根部材21とは別部材で切り欠き片21r及びバネ部材21tの弾性手段を設けることで、羽根部材の材料に関係無く適宜な弾性力を設定することが出来、適正な条件の下で各羽根部材の傾き抑制効果が得られ、円滑な作動が確保できる。しかも、バネ部材21tにより第2のピン状突起(作動ピン)23若しくは第1のピン状突起22の支軸を使うことで隣接する羽根部材の開閉動を邪魔する恐れも解消される。
「アタッチメント」
また、第1のピン状突起(ガイドピン)22と第2のピン状突起(作動ピン)23は、この実施例にあってはアタッチメント24の表裏に植設されている。このガイドピン22は各羽根部材に地板11側に面する位置に配置され、作動ピン23はその反対面(後述する第2基板側)に配置されている。図示24zは溶着面であり、21zは溶融面を示す。そしてガイドピン22は後述するように地板11のガイド溝13と、マイラープレート15のガイド溝16に嵌合し、作動ピン23は後述する駆動リング31の第2の溝孔33に嵌合する。
[第2基板組の構成]
図3に従って第2基板組3について説明する。第2基板組3は押さえ板41と、補強板42と、駆動リング31及び押さえ板41に固定した駆動ユニットMで構成されている。以下各構成について説明する。
「押さえ板」
押さえ板41は図3に示すように中央部に開口43を有するリング形状に形成され、前述の地板11と略々同一形状に形成されている。図示の押さえ板41は樹脂のモールド成形で、外周の一部に駆動ユニットMの取付座46が設けてある。この取付座46に後述する駆動ユニットMがビスなどで固定される。図示45は押さえ板41を地板11の連結突起14にビス止めする連結孔である。
「補強板」
補強板42は、図3に示すように金属などの比較的強靭な板材で構成され、樹脂製の押さえ板41を補強する。従って押さえ板41に十分な強度が得られるときには補強板42を省くことが可能である。この補強板42は押さえ板41と略々同一形状に形成され、中央に開口44が形成してある。
上記押さえ板41の開口43と補強板42の開口44は、いずれも光軸開口12の開口径Dより大きく設定してあり、開口43の開口径D1と開口44の開口径D2と光軸開口12の開口径Dとは、D2≧D1>Dに設定されている。
「駆動リング」
駆動リング31は図3に示すように例えば樹脂のモールド成形で中央部に光軸開口12を有するリング形状(以下「駆動リング」という)に形成されている。この駆動リング31は、補強板42を介して押さえ板41に回動自在に取り付けられている。
このため駆動リング31には光軸開口12の周縁にフランジ32と係合突起34が形成してある。フランジ32は押さえ板41の開口43と補強板42の開口44に嵌合し、光軸開口12の中心と一致する回転中心で回動する。また係合突起34は補強板42と摺接する面に形成され両者を円滑に摺動するのを補助している。
駆動リング31は上述のように押さえ板41に回動自在に組み込まれ、その周縁の一部には受動歯35が形成してある。この受動歯35は押さえ板41の取付座46に取付けられた後述する駆動ユニットMの駆動歯車53と噛合する位置に設けられている。
上記駆動リング31には、各羽根部材21a〜21iに植設された作動ピン(第2のピン状突起)23と嵌合する第2の溝孔33が光軸開口12の周縁に設けられている。この第2の溝孔33は羽根部材21の枚数に応じて光軸開口12の周縁に複数(図示のものは9個所)配置されている。
このような構成において駆動リング31は、押さえ板41に回動自在に支持され、駆動ユニットMの駆動歯車53によって所定角度回転することとなる。そして駆動リング31の回転は各羽根部材21a〜21iに伝達されることとなる。
[駆動ユニットの構成]
図11に駆動ユニットMの一実施形態を示す。同図の駆動ユニットMは多極(例えば8極)着磁されたマグネットロータ50と、複数(例えば12個)のステータコイル51と駆動回転軸52と、駆動歯車53と、ヨーク54で構成される所謂パルスモータである。マグネットロータ50は駆動回転軸52と永久磁石56を一体化して構成され、駆動回転軸52を挟みマグネットロータ50の周囲に等間隔にコアー55にコイル58を巻回してなるステータコイル51が設けられている。永久磁石56は外周にNS極が他極着磁形成され、駆動回転軸52には駆動歯車53が取り付けられている。
このように構成された駆動ユニットMは押さえ板41の取付座46にブラケット57をネジなどで固定する。そして駆動歯車53を駆動リング31の受動歯35に噛合する。これによって駆動リング31は、図3時計方向と反時計方向に所定角度往復動し、絞り羽根21を開閉動する。
[組立て状態の説明]
図1の装置は、第2基板組3の上に駆動リング31、羽根組2、次いで第1基板組1の手順で組み立てる。図1を使って説明すると、まず駆動ユニットMを押さえ板41にビスなどで固定し、その上に駆動リング31の係合突起34を押さえ板41の開口43に嵌め込むとともに、駆動ユニットMの駆動歯車53と駆動リング31の受動歯35が噛合するように駆動リング31の係合突起34を押さえ板41の開口43に差し込み、駆動リング31を押さえ板41に回動自在に取り付ける。そして第2基板組3体を作業台にセットし、駆動リング31上に各羽根部材21a〜21iから成る羽根組2を重ね合わせる。
このとき光軸開口12の外周に各羽根部材の作動ピン23(第2のピン状突起)を駆動リング31の溝孔33に勘合させながら、羽根部材21aを置き、次に羽根部材21aが下になるよう羽根部材21bを上に、引き続き羽根部材21c〜21iを上に順次重ね、最後の羽根部材21iの羽根部材21aに隣接する箇所を羽根部材21a下に差し入れることで鱗状に配列することによって第1〜第nの羽根部材21a〜21iの何れの羽根部材21も円周方向の両端縁が一方は隣接する羽根部材の上側に重ねられ、他方は隣接する羽根部材の下側に重ねられ、所謂鱗状に積み重ねられることとなる。
次に羽根組2の上から各羽根部材21のガイドピン(第1のピン状突起)22が地板11のガイド溝13内に収納するようにマイラープレート15を取り付け、その上から同様に地板11を被せ第1基板組1を組み立てる。
そこで地板11と押さえ板41をビス等の固定手段で固定する。これによって第1基板(地板)11、羽根組2(羽根部材21)、駆動リング31、第2基板(押さえ板)41が一体化されたユニットとして光量調整装置Aを組上げることもできる。
[羽根部材の開閉動作]
次に、図5及び図6に従って羽根部材の開閉動作について説明する。図6(a)は光軸開口12の周囲に複数枚の羽根部材21を配置した絞り全開放状態を示し、図6(b)はこの複数枚の羽根部材21の1枚の開閉動作状態を示す。
図6(a)のように光軸開口12の周囲には、光路中心Oを基準に所定角度隔てた位置(図示のものは9枚の羽根部材21を角度θ=40度ずつ隔てた位置)に複数枚の羽根部材21が鱗状に配置されている。
各羽根部材21は地板11に形成したガイド溝13(第1の溝孔)にガイドピン(第1のピン状突起)22が嵌合してある。これと共に各羽根部材21に形成された作動ピン23(第2のピン状突起)は、駆動リング31の溝孔(嵌合孔)33に嵌合されている。
図6(b)に示すように駆動リング31が光路中心Oを中心に前述の駆動ユニットMによって所定角度範囲で時計方向と反時計方向に回転する。このとき図5(c)に示すように作動ピン23は駆動リング31の回転で図示光路中心Oから半径Lの円弧軌跡x−xで図示c点からd点に同図時計方向に回転移動する。またガイドピン(第1の突起)22はガイド溝16に沿って図示y−y軌跡でa点からb点に移動する。
この作動ピン(第2の突起)23とガイドピン(第1の突起)22の移動で羽根部材21は実線で示す絞り全開放状態から破線で示す小絞り状態に開閉動する。従って駆動ユニットMに供給する電流に応じて羽根部材21は、小絞り状態から絞り全開放状態の間で任意の開口径に開閉し、光軸開口12を通過する光量を大小調整することとなる。
[作用の説明]
次に図7及び図8に従って図1に示す装置の動作状態について説明する。図7は開放状態に有る装置の状態を示し、図8は小絞り状態に有る装置の状態をそれぞれ示すもので、図示の様にマイラープレート15と駆動リング31の間のギャップGaは地板11に設けた連結突起14(第2基板に設けても良い)の高さで設定される(図7(b)参照)。この連結突起の高さ(H)は、マイラープレート15の厚さをt1、駆動リング31の厚さをt2、羽根部材の厚さをt3、羽根部材の最大重なり枚数をm、羽根部材相互間の作動クリアランスをdcとすると、[H=t1+t2+t3・m+dc・m]となるように設定されている。
このような条件のもとで、羽根部材21を図7(a)の絞り全開状態から図8(a)の小絞り状態へと開閉動すると、マイラープレート15と駆動リング31との間で図7(a)で示すように絞り全開状態で各羽根部材21a〜21iはそれぞれ上に3枚が重ねられ、図8(a)で示すように小絞り状態で各羽根部材21a〜21iはそれぞれ下に3枚が差し込まれた状態となっている。
例えば図7(a)に示すように羽根が全開状態のときには、羽根部材21aの先端部21yの上には羽根部材21bの基端部が、その上に羽根部材21cの基端部の2枚が重なっている。また図8(a)に示すように羽根部材が小絞り状態のときには、羽根部材21aの基端部21xの下には羽根部材21bの1枚が介在するのに対し、羽根部材21aの先端部21yの下には羽根部材21bの先端部が、その下に羽根部材21cの先端部が、更にその下に羽根部材21dの先端部が差し込まれた状態となっている。従って、地板11の光軸開口12の周縁近傍では羽根部材21が最低3枚程度重なった状態と成る。
このことから、マイラープレート15と駆動リング31との間のギャップGaは、羽根部材の厚さ(t3)と重なり枚数(n)の積と羽根部材相互間の作動クリアランス(dc)と重なり枚数(n)の積の総和[Ga=t3・n+dc・n]となる。
従って羽根部材の重なり枚数が少ないときにはギャップGaが小さくて良いのに、マイラープレート15と駆動リング31とのギャップは最大重なり枚数で設定される。
その結果、図15に示すように羽根部材の全開状態或いは全開状態に接近した開口状態では羽根部材の重なり枚数に比べ大きなギャップが形成されるため羽根部材103aが傾き易い。この状態を図15(b)に示す。これに対し、図7(b)に示すように羽根部材21aの基端部21xに形成した切り欠き片21rの段差面が駆動リング31の平面に圧接し弾性へ変形する。その切り欠き片21rの変形による反作用を受け羽根部材21aの基端部21xがマイラープレート15を介し地板11の平面11xに押付けられ、結果、羽根部材21aの傾きは抑制される。
また図8(a)に示す羽根部材の小絞り状態或いは小絞り状態に接近した絞り開口状態では羽根部材21の先端部21yが他の羽根部材21の先端部21yとの重なりによって反らされ、この先端部21yの反りで基端部21xが傾こうとするのを羽根部材21aの基端部21xに形成した切り欠き片21rの段差面が駆動リング31の平面に圧接し弾性へ変形し、その切り欠き片21rの変形による反作用を受け羽根部材21aの基端部21xがマイラープレート15を介し地板11の平面11xに押付けることで羽根部材21aの傾きは抑制される。
[弾性部材の異なる実施形態]
以上説明した羽根部材21aの傾きを抑制する弾性手段として羽根部材21aの基端部21xに形成した切り欠き片21rを示した。この形態に換えてその弾性手段として次の実施形態を採用することも可能である。尚、図2、図3に示す実施形態と同一の構成については同一の符合を付して説明を省略する。
図10及び図12に示すように、各羽根部材21の駆動リング31側に配設(図1参照)される各作動ピン(第2の突起)23にバネ部材21tが配設されている。そのバネ部材21tは図11(b)に示すように、その作動ピン23が係合する駆動リング31との間に圧縮された状態で組み込まれ、常時、羽根部材21aの基端部21xをマイラープレート15を介し地板11の平面11xに押付け、羽根部材21aの傾きを抑制している。
[撮像装置]
次に上述の光量調整装置Aを用いた撮像装置について図13に基づいて説明する。
スチールカメラ、ビデオカメラ等のレンズ鏡筒に前述の光量調整装置を組込む。図示Bは撮影光路に配置した前レンズ、Cは後レンズであり、これ等のレンズで被写体像を結像しその結像面に撮像手段Sを配置する。撮像手段SとしてはCCDなどの固体撮像素子或いは感光フィルムなどを用いる。
そして制御はCPU制御回路、露出制御回路で実行するように構成する。図示のSW1はメイン電源スイッチであり、SW2はシャッタレリーズスイッチを示す。カメラ装置としての制御には、この他オートフォーカス回路などが用いられるが良く知られた構成であるので説明を省く。
そこでレンズ鏡筒に組込まれた前レンズBと後レンズCとの間に絞り装置Eとシャッタ装置(不図示)を組込む。この絞り装置Eには前述の羽根部材21及び駆動ユニットMが組込まれている。
そこで制御CPUは露出量、シャッタスピードなどの撮影条件を設定し、露出制御回路に指示信号を発する。まず露光量は露出制御回路が制御CPUからの指示信号で駆動装置Mのコイルに所定方向の電流を供給する。すると羽根部材21は駆動装置Mの回転を駆動歯車53を介して作動ピン23から伝達され、最適露光量に光軸開口12を絞る。
次いで、レリーズ釦が操作されると、CCDなどの固体撮像素子の場合すでにチャージされている電荷を放出し、撮影を開始する。そこでシャッタ駆動回路は制御CPUから予め設定された露光時間の経過後、シャッタ動作開始の信号を受け駆動装置のコイルにシャッタ閉成方向の電流を供給する。このシャッタ動作の後、撮像手段SがCCD(固体撮像素子)の場合は画像処理回路に画像データが転送されメモリなどに蓄積される。
A 光量調整装置
M 駆動モータ
L 羽根部材の支持間隙
1 第1基板組(地板組)
2 羽根組
3 第2基板組(押さえ板組)
11 第1基板(地板)
11x 羽根支持面
12 光軸開口
13 第1の溝孔(ガイド溝)
15 マイラープレート
16 ガイド溝
21 羽根部材(21a〜21i)
21x 基端部
21y 先端部
21r 切り欠き片(弾性手段)
21t バネ部材(弾性手段)
22 第1のピン状突起(ガイドピン)
23 第2のピン状突起(作動ピン)
31 駆動リング
41 第2基板(押さえ板)

Claims (7)

  1. 中央部に光軸開口を有するリング形状の基板と、
    前記光軸開口の周囲に配置され円周方向に鱗状に重なり光軸開口の通過光量を調整する複数枚の羽根部材と、
    前記基板との間に前記複数枚の羽根部材を挟むように配置され各羽根部材を開閉動する駆動リングと、
    この駆動リングを前記光軸開口を中心に回動する駆動手段と、
    から成る光量調整装置であって、
    前記複数枚の羽根部材の各羽根部材は、前記光軸開口外に位置し前記基板と駆動リングとそれぞれ係合する一対の支軸を有する基端部と、前記光軸開口に対し進退し絞り開口を形成する羽根部とから成り、
    前記基板と駆動リングとの間で、前記各羽根部材の前記基端部を前記基板側若しくは駆動リング側に押圧付勢する弾性手段を備えて成ることを特徴とする光量調整装置。
  2. 前記複数枚の羽根部材は、前記基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板から成り、
    前記弾性手段は、前記羽根基板の基端部に高低差で形成した弾性力を有する突出面から成ることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
  3. 前記突出面は、前記羽根基板の基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片から成ることを特徴とする請求項2に記載の光量調整装置。
  4. 前記複数枚の羽根部材は、
    前記基端部と羽根部とを形成する弾性変形可能な羽根基板と、
    前記基端部に接合する接合面を備え、その接合面から基端部を貫通する第1の支軸と接合面逆側に立設する第2の支軸とから成る前記一対の支軸を形成する補助基板とから成り、
    前記弾性手段は、
    前記補助基板が対峙する前記基端部の一部を切り欠いて逆側に段差状に形成した切り欠き片から成ることを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
  5. 前記一対の支軸は前記各羽根部材の基端部に対し接着又は溶着支持若しくは一体成形して成り、
    前記弾性手段は、
    前記一対の支軸の間で前記基端部の一部を切り欠いて段差状に形成した切り欠き片から成ることを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
  6. 前記弾性手段は、
    前記各羽根部材の前記一対の支軸のいずれか一方に巻回され、その支軸が係合する前記基板若しくは駆動リングと前記基端部との間に圧縮し配設されたバネ部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
  7. 被写体からの光を結像する結像レンズと、この結像レンズからの光を受光する撮像手段、若しくは被写体に向け光を結像する結像レンズと、この結像レンズからの光を投光する投光手段の一方と、
    上記被写体から結像レンズに至る光路に配置された光量調整装置と、
    を備え、
    前記光量調整装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構成を有していることを特徴とする光学機器。
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