JP2013018739A - 口腔清拭シート - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔の清拭効果が高いと共に清拭後に薬液が口内に残り難く、水で口をゆすぐ必要がない口腔清拭シートを提供する。
【解決手段】不織布シート10の片面又は両面に、湿潤剤と殺菌剤及び/又は保存剤とを含む清拭水溶液20を片面当り10〜100質量%含有し、JIS-R-3505に規格する50mlのメスシリンダーに、日本薬局方規格の精製水10mlと前記清拭水溶液10mlとを加え、前記メスシリンダーの上部開口を閉塞して上下逆転動作を50回繰り返した直後に目視で泡が生じない口腔清拭シートである。
【選択図】図1

Description

この発明は、口腔を清拭するウェットタイプのシートに関する。
災害時等の水が使えない状況では、通常の歯磨きができずに、口内の雑菌が原因で誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があり、その対策が求められている。又、老齢等の理由で身体が不自由な人においても通常の歯磨きが困難な場合がある。さらに、外出時など水が使いにくい状況でも手軽に口腔内(歯、歯ぐき、舌)を清拭できる方法が求められている。
このようなことから、ティシュペーパー状に形成したグラスファイバーを使用して歯の汚れを除去する技術が開発されている(特許文献1)。
又、指サック状の袋体に薬液となる口腔材を50〜500質量%担持させた技術が開発されている(特許文献2)。
特開2005-177397号公報 特開2000-70290号公報(実施例1)
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、グラスファイバーに薬液が塗布されていないので、口腔の清拭効果に乏しく、口内の雑菌を十分に低減することが難しい。
又、特許文献2記載の技術の場合、口腔材薬液に界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)を含むため、口腔の清拭効果が高いものの清拭後に薬液が口腔内に残り、水で口をゆすぐ必要があるので、災害時等に適用することが難しい。
従って本発明は、口腔の清拭効果が高いと共に清拭後に薬液が口内に残り難く、水で口をゆすぐ必要がない口腔清拭シートの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の口腔清拭シートは不織布シートの片面又は両面に、湿潤剤と殺菌剤及び/または保存剤とを含む清拭水溶液を片面当り10〜100質量%含有し、JIS-R-3505に規格する50mlのメスシリンダーに、日本薬局方規格の精製水10mlと前記清拭水溶液10mlとを加え、前記メスシリンダーの上部開口を閉塞して上下逆転動作を50回繰り返した直後に目視で泡が生じない。
不織布シートへの清拭水溶液の片面当り含有量を100質量%以下に制限すると共に、市販の歯磨き剤のような界面活性剤を含まず、泡が生じない清拭水溶液を用いることで、清拭後に薬液が口内に残り難くなる。
前記不織布シートの片面のみに前記清拭水溶液を含有してなり、前記不織布シートの反対面に前記清拭水溶液が含まれないようにすると、清拭水溶液を含有するシート面で口腔を清拭した後、シートの反対面で清拭水溶液をふき取ることができて便利である。
前記不織布シートは、2枚の不織布シート層の間に前記清拭水溶液を透過しないフィルム層を介装してなってもよい。
前記湿潤剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イラクサエキス、ウイキョウエキス、カミツレエキス、白樺エキス、及びセージエキスの群からなる1種以上を含み、前記殺菌剤は、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムの群からなる1種以上を含み、前記保存剤は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベンの群からなる1種以上を含むとよい。
この発明によれば、口腔の清拭効果が高いと共に清拭後に薬液が口内に残り難く、水で口をゆすぐ必要がない口腔清拭シートが得られる。
2枚の不織布シート層の間にフィルム層を積層した不織布シートを示す断面図である。 発泡試験の方法を示す図である。
本発明の実施形態に係る口腔清拭シートは、不織布シートの片面又は両面に、清拭水溶液を片面当り10〜200質量%含有してなる。
<不織布シート>
不織布シートは親水性繊維を10〜90質量%含む。親水性繊維としてはレーヨン、コットン、銅アンモニウムレーヨン繊維が挙げられる。又、親水性繊維以外の繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維やアクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、あるいはこれらの複合繊維が挙げられる。親水性繊維として、クリンプを有するコットン繊維や、捲縮性複合繊維を含むことで、クッション性やボリューム感が得られとともに、不織布シートにある程度の摩擦抵抗を付与し、清拭効果を向上することができる。また、親水性繊維として、断面が突起形状を有する分割繊維を用いても良い。親水性繊維として、0.3dtx未満の細径繊維を用いると、微細な汚れの清拭にも適応できる。
不織布シートは、例えばスパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法で製造できるが、これらの方法に限られるものではない。
不織布シートは例えば、坪量30〜100g/m2、引張強度2〜10kg/25mm、タテ/ヨコ強度比1〜4とすることができる。又、不織布シートの寸法は50〜300cm2とすることができる。
<清拭水溶液>
清拭水溶液は、少なくとも湿潤剤と殺菌剤及び/又は保存剤とを含む。湿潤剤は、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イラクサエキス、ウイキョウエキス、カミツレエキス、白樺エキス、及びセージエキスの群からなる1種以上を含む。殺菌剤は、例えば塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸ジカリウム、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムの群からなる1種以上を含む。また、保存剤は、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びパラベン類の群からなる1種以上を含む。
清拭水溶液はさらに、抗炎剤、香味料、pH調整剤等の成分を含んでもよい。抗炎剤は、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、トラネキサム酸などが挙げられる。香味料は、例えば甘み成分として、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール;トレハロース、甘草抽出成分等の天然甘味成分;サッカリンナトリウム、アスパルテームなどの人工甘味料が挙げられる。清涼感を付与する成分として、ハッカ油、メントール、ペパーミントなどを含んでも良い。pH調整剤は、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム,リン酸二ナトリウムなど挙げられる。又、エナメル質補強剤としてフッ素供給化合物を含んでもよい。
清拭後に清拭水溶液が口腔内に残り難く、水で口をゆすぐ必要がないことが要求される。このため、清拭水溶液は界面活性剤を含まないことが必要であり、以下の発泡試験で目視で泡が生じない。
この発泡試験は、図2に示すように、JIS-R-3505に規格する50mlのメスシリンダーMに、日本薬局方規格の精製水10mlと上記清拭水溶液10mlとを加え、メスシリンダーMの上部開口を閉塞して上下逆転して振る動作を50回繰り返した直後に目視で泡の有無を判定する。清拭水溶液が界面活性剤を含まない場合、試験後に泡は見られない。
<清拭水溶液のシートへの担持>
清拭水溶液は、含浸、スプレー、印刷等により不織布シートの片面又は両面に含有させることができる。
不織布シートの片面当り、清拭水溶液の含有量を不織布シートに対して10〜100質量%とする。含有量が10質量%未満であると、清拭効果が十分でない。含有量が100質量%を超えると、清拭後に口腔内に清浄水溶液が残存し、ゆすぎが必要になる。清拭水溶液の含有量を30〜100質量%とすると好ましい。
又、清拭水溶液のうち、水分を除く成分の片面又は両面の合計含有量が不織布シートに対して30〜50質量%であると好ましい。
不織布シートの片面のみに清拭水溶液を含有(担持)させ、不織布シートの反対面に清拭水溶液を含まない構成とすると、清拭水溶液を含有するシート面で口腔を清拭した後、シートの反対面で清拭水溶液をふき取ることができて便利である。この場合、不織布シートの表と裏で色を変えると、識別ができるので好ましい。
なお、不織布シートの片面に含有させる清拭水溶液の量を適宜調整し、不織布シートの反対面まで清拭水溶液が浸み込まないようにすれば、不織布シートの片面のみに清拭水溶液を含有(担持)させることができる。
又、図1に示すように、不織布シート10として、2枚の不織布シート層6、8の間に、清拭水溶液を透過しないフィルム層(例えばポリエチレンフィルム等)4を介装した積層体を用いれば、不織布シートの片面(不織布シート層6)に清拭水溶液20を含有させたときに、不織布シートの反対面(不織布シート層8)に清拭水溶液20が浸み込まず、不織布シートの片面のみに清拭水溶液を含有(担持)させることができる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
表1に示す組成の不織布シート(スパンボンド法)を準備した。なお、実施例1については、図1の3層構造を持つ不織布シートとし、清拭水溶液塗布面となる不織布シート層6(レーヨン90wt%+PEwt10%)の坪量を35g/m2とし、フィルム層(PE100%フィルム)4の坪量を5g/m2とし、不織布シート層8(レーヨン90wt%+PEwt10%)の坪量を35g/m2とした。その他の実施例及び比較例については、単層の不織布シートを用いた。
各不織布シートのタテ及びヨコの引張強さを、JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験法」に従って測定した。不織布のタテ・ヨコについては不織布製造時の流れ方向をタテとし、その直交方向をヨコとした。
各不織布シートの片面又は両面に、表1に示す組成の清拭水溶液を塗布し、口腔清拭シートを作製した。なお、比較例1,2は、清拭水溶液の代わりに表1に示す市販の歯磨を評価した。
なお、表中のPGはプロピレングリコールを表し、CPCは塩化セチルピリジニウムを表し、GK2はグリチルリチン酸ジカリウムを表す。
<発泡試験>
清拭水溶液及び上記市販の歯磨につき、図2に示す発泡試験を行った。まず、JIS-R-3505に規格する50mlのメスシリンダーMに、日本薬局方規格の精製水10mlと上記清拭水溶液(又は上記市販の歯磨)10ml(但し、比較例1の練り歯磨きは0.2g)とを加え、メスシリンダーMの上部開口を閉塞して上下逆転して振る動作を50回繰り返した直後に泡の高さ(cm)を測定し、さらに1分後に同様に泡の高さを測定した。
<清拭水溶液の口内への残存感>
各実施例の口腔清拭シートを5人のパネラーが実際に使用し、口腔を5分間清拭した後の口内の感覚を評価した。比較例1,2はそれぞれ通常の歯ブラシを使用して評価した。口をゆすぐ必要がないと感じたとき、残存感なしとした。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2013018739
表1から明らかなように、各実施例の場合、清拭水溶液が界面活性剤を含まないので泡が発生せず、清拭後の口内への残存感がなかった。
一方、市販の練り歯磨を使用した比較例1の場合、発泡したために清拭後のゆすぎが必要になった。
市販の液体歯磨を使用した比較例2の場合、ゆすぎは不要であったが、発泡が若干生じたために薬液の残存感があり、不快感が残った。
4 フィルム層
6,8 不織布シート層
10 不織布シート
20 清拭水溶液

Claims (4)

  1. 不織布シートの片面又は両面に、湿潤剤と殺菌剤及び/又は保存剤とを含む清拭水溶液を片面当り10〜100質量%含有し、
    JIS-R-3505に規格する50mlのメスシリンダーに、日本薬局方規格の精製水10mlと前記清拭水溶液10mlとを加え、前記メスシリンダーの上部開口を閉塞して上下逆転動作を50回繰り返した直後に目視で泡が生じない口腔清拭シート。
  2. 前記不織布シートの片面のみに前記清拭水溶液を含有してなり、前記不織布シートの反対面に前記清拭水溶液が含まれない請求項1記載の口腔清拭シート。
  3. 前記不織布シートは、2枚の不織布シート層の間に前記清拭水溶液を透過しないフィルム層を介装してなる請求項2記載の口腔清拭シート。
  4. 前記湿潤剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イラクサエキス、ウイキョウエキス、カミツレエキス、白樺エキス、及びセージエキスの群からなる1種以上を含み、
    前記殺菌剤は、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムの群からなる1種以上を含み、
    前記保存剤は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン類の群からなる1種以上を含む請求項1〜3のいずれか記載の口腔清拭シート。
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