JP2013016984A - フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム - Google Patents

フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2013016984A
JP2013016984A JP2011147518A JP2011147518A JP2013016984A JP 2013016984 A JP2013016984 A JP 2013016984A JP 2011147518 A JP2011147518 A JP 2011147518A JP 2011147518 A JP2011147518 A JP 2011147518A JP 2013016984 A JP2013016984 A JP 2013016984A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter coefficient
wave number
wave
cylindrical surface
determination device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011147518A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5596632B2 (ja
Inventor
Hiroaki Ito
弘章 伊藤
Kenichi Furuya
賢一 古家
Yoichi Haneda
陽一 羽田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2011147518A priority Critical patent/JP5596632B2/ja
Publication of JP2013016984A publication Critical patent/JP2013016984A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5596632B2 publication Critical patent/JP5596632B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

【課題】円筒面上に配置された複数のスピーカを用いて、その円筒面から遠ざかる方向(円筒面の円の中心から拡がる方向なので以下「放射方向」ともいう)に急峻に減衰するエバネッセント波を再生し、受聴領域を円筒状に形成する技術を提供する。
【解決手段】複数のスピーカを用いてエバネッセント波を再生する局所再生装置のフィルタ係数を決定する。スピーカは円筒面上に配置されるものとし、エバネッセント波の再生方向の波数情報を算出し、スピーカの配置情報と波数情報とを用いてフィルタ係数を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、特定の場所(装置近傍)にいる聴取者にのみ音を伝えることができる局所再生装置、及び局所再生装置において用いるフィルタの係数を決定する技術に関する。
スピーカを用いて音を放射する場合、そのスピーカの指向特性の影響はあるものの、スピーカに対してほぼ全方向から再生音を聴取することが可能である。そのため、ある特定の場所にのみ音を再生するような局所再生方式の構築を目指した場合、スピーカ等の拡声装置や再生方式に工夫が必要である。特定の場所にいる聴取者にのみ音を伝えることが可能となれば、拡声による通信を行った場合などに再生音が聴取者以外の人々にとって騒音とならないほかに、通信内容が周囲に漏れないという、プライバシーの保護まで可能である。この局所再生方式を実現する一手段として、急峻な距離減衰特性を有するエバネッセント波を再生する手法が従来技術として知られている(非特許文献1参照)。
非特許文献1は平面上に離散配置された複数のスピーカを用いて、空気中の音速より遅く伝搬する波を仮想的に再現することで、エバネッセント波を再生するものである。図1に従来技術の局所再生装置90を示す。局所再生装置90からz方向に遠ざかるにつれて、受聴音圧が指数的に減衰し、その受聴領域は図中の91となる。
伊藤弘章、古家賢一、羽田陽一、「エバネッセント波を用いたエリア再生に関する研究」、音響学会講演論文集(秋)、2010年、pp.689−690
しかしながら、従来技術は平面スピーカアレーを用いているため、その受聴領域91は平面スピーカアレーの前面の平板状に限定される。言い換えると、平板状の厚みはフィルタの設計方法により変更することができるが、その形状は平板状に限定される。
本発明では、円筒面上に配置された複数のスピーカを用いて、その円筒面から遠ざかる方向(円筒面の円の中心から拡がる方向なので以下「放射方向」ともいう)に急峻に減衰するエバネッセント波を再生し、受聴領域を円筒状に形成する局所再生装置、及びその装置で用いるフィルタの係数を決定する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、円筒面上に配置される複数のスピーカを用いてエバネッセント波を再生する局所再生装置のフィルタ係数を決定する。エバネッセント波の再生方向の波数情報を算出し、スピーカの配置情報と波数情報とを用いてフィルタ係数を算出する。
本発明に係る局所再生装置、及びその装置に用いるフィルタの係数を決定する技術であれば、従来とは異なる円筒状の受聴領域を形成することができる。
従来の局所再生装置90を説明するための図。 円筒座標系における波動方程式を説明するための図。 境界面が全ての波源を包含する状態を示す図。 エバネッセント波の再生方向が軸方向の場合を説明するための図。 エバネッセント波の再生方向が周方向の場合を説明するための図。 局所再生装置100の外観図。 局所再生装置100を横から見た概念図。 局所再生装置100を上から見た概念。 局所再生装置100の処理フローを示す図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
<エバネッセント波の理論>
以下、本実施形態において利用するエバネッセント波の理論について説明する。
(1)円筒座標系における波動方程式の一般解
音波はある法則に従って伝搬し、その音波の伝搬の秩序を表す方程式は波動方程式と呼ばれ、式(1)で表される。
Figure 2013016984
xは音波の進行方向における位置を、∂は偏微分を、tは時刻を、cは音速を、pは音圧を表す。
図2の円筒座標系(r,φ,z)(但し、rは半径を、φは角度を、zは高さを表す)における波動方程式の一般解(周波数領域)は、式(2)で与えられる。
Figure 2013016984
但し、jは虚数単位、ωは周波数、k、kはそれぞれr、z方向(なお、r方向は前述の放射方向である。以下、z方向を「軸方向」ともいう)の波数、H(1) (kr)はn次の第1種ハンケル関数、H(2) (kr)はn次の第2種ハンケル関数、A(k,ω)、B(k,ω)は任意の定数を表す。
上記の任意の定数A(k,ω)、B(k,ω)を決定するために、ある境界面r=aにおける境界条件を規定する必要がある。図3のように境界面94(r=a)が全ての波源93を包含する場合を考えると(但し、図中、95は音圧の解析領域を示す)、式(2)の一般解は式(3)のように書き換えられる。
Figure 2013016984
このとき、定数B(k,ω)の値に関わらず音圧を表すことができる。境界面94(r=a)上の測定音圧は式(3)を満たすので、以下のように表すことができる。
Figure 2013016984
ここで円筒座標系における空間スペクトルP(r,k)と測定音圧P(r,φ,z,ω)の関係を考えると、以下のように表すことができる。
Figure 2013016984
Figure 2013016984
従って、境界条件(境界面r=aが全ての波源を包含するとの条件)を満たす場合には、式(4)の右辺と式(B)にr=aを代入したときの右辺から以下のように表すことができる。
Figure 2013016984
これを式(3)に代入すると、以下のようになる。
Figure 2013016984
(2)軸方向におけるエバネッセント波発生条件
軸方向zに沿った波長λ(λ=2π/k)が音源の波長λ(λ=2π/k、但しkは波源の波数)より短い場合、放射方向にエバネッセント波が発生する(図4参照、なお、図中、96は受聴領域を示す)。このときk>kである。また波源の波数kとk、kの間には、
k2 r=k2-k2 z (7)
という関係が成り立つ。k>kの条件下では、
Figure 2013016984
となる。kが純虚数となる場合、式(6)中のハンケル関数H(1) は変形ベッセル関数K(k’r)に書き換えられる。ハンケル関数と変形ベッセル関数の関係式は次式で表される。
Figure 2013016984
ここで変形ベッセル関数の変数k’rが大きいと仮定すると、以下の近似が成り立つ。
Figure 2013016984
従って式(6)中のハンケル関数の比は以下のように書き換えられる。
Figure 2013016984
以上より、軸方向における発生条件を満たす場合のエバネッセント波の式は式(12)で与えられ、k>kにおいて成り立つ。
Figure 2013016984
後述の波数算出部では、エバネッセント波の再生方向が軸方向と入力された場合に、上記の条件(k>k)を満たすような波数kを出力する。なお、「エバネッセント波の再生方向」とは、円筒面上に配置されたスピーカの内、再生されるスピーカの配置された方向を意味する。例えば、エバネッセント波の再生方向は軸方向とする場合には、図4の斜線部分97に位置するスピーカが再生される。
(3)周方向におけるエバネッセント波発生条件
ここではk≦kとし、軸方向におけるエバネッセント波発生条件を満たさない場合を考える。
周方向φに沿った波長λφ(λφ=2πa/n)が音源の波長λ(λ=2π/k)より短い場合も円筒面から遠ざかる方向(つまり放射方向)にエバネッセント波が発生する(図5参照、なお、図中、98は受聴領域を示す)。ここで2πaは円周の長さであり、nは周方向の波数である。このとき、2πa/n<λであるので、nが十分に大きい場合を考える。n→∞の場合のハンケル関数の漸近展開は、
Figure 2013016984
となる。ここでζ=kr=krである(k=0と仮定)。(ζ/n)<1のとき式の実部は無視することができ、このときハンケル関数はkr-に比例して減少する。従って式(6)中のハンケル関数の比は以下のように書き換えられる。
Figure 2013016984
以上より、周方向における発生条件を満たす場合のエバネッセント波の式は、式(15)で与えられ、kr<nにおいて成り立つ。
Figure 2013016984
後述の波数算出部180では、エバネッセント波の再生方向が周方向と入力された場合に、上記の条件(kr<n)を満たすような波数nを出力する。例えば、図5の斜線部分99に位置するスピーカが再生される。
円筒座標系における波動方程式の一般解において放射方向に急峻に減衰するエバネッセント波の式に着目し、円筒面上に並べた複数のスピーカ(スピーカアレー)によってエバネッセント波を再生する装置を構成した。エバネッセント波発生条件は上述の2種類が存在し、それぞれの条件に則ったフィルタ係数決定方法を以下の実施形態において示す。
<第一実施形態に係る局所再生装置100>
図6、7、8に局所再生装置100の構成を示す。図6は局所再生装置100の外観図であり、図7は局所再生装置100を横から見た概念図であり、図8は局所再生装置100を上から見た概念図である。局所再生装置100は、M×L個のスピーカ110lm(但し、m=1,…,M、lはローマ字のエルでありl=1,…,Lとする。Mは周方向のスピーカ総数であり、Lは軸方向のスピーカ総数である。)と、M×L個のA/D変換器160lmと、M×L個のフィルタ乗算部120lmと、M×L個のD/A変換器150lmと、M×L個のアンプ140lmと、フィルタ係数算出部170と、波数算出部180とを含む(図7参照)。なお、フィルタ乗算部120lmは、ディジタルフィルタによって構成される。
スピーカ110lmは円筒面の周方向と軸方向に離散的に配置される(図6参照)。なお、スピーカ間の間隔は一定でなくてもよいが、各方向に対して一定であるほうが好ましい。図6のスピーカ110lmの位置を(a,φ,z)とする。aは半径(言い換えると、円筒面の軸からの距離)を、φは角度を、zは高さを表し、aは全てのスピーカ110lmに共通であり、φ及びzは各スピーカにより異なる値となる。製造者または利用者によって、これらのスピーカ110lmの位置(以下「配置情報」ともいう)(a,φ,z)は図示しない記憶部に予め記憶されているものとする。
局所再生装置100は信号入力端子30を介して、アナログ入力信号S(k)を受け取る(図9参照、(s1)、但し、kは波源の波数を表す)。A/D変換器160lmはアナログ入力信号S(k)を受け取り、ディジタル入力信号S(k)に変換し、フィルタ乗算部120lmに出力する。
一方、波数算出部180は、再生に先立ち製造者や利用者等によって予め設定されたエバネッセント波の再生方向と波数決定パターンに従って、波数(周方向の波数nまたは軸方向の波数kの何れかの波数)を算出し(s2)、フィルタ係数算出部170に出力する。フィルタ係数算出部170は、スピーカ110lmの位置(a,φ,z)と波数kとを用いて、フィルタ係数H(a,φ,z,k)を算出し(s3)、フィルタ乗算部120lmに設定する。
フィルタ乗算部120lmは、ディジタル入力信号S(k)とフィルタ係数H(a,φ,z,k)とを乗じて駆動信号D(a,φ,z,k)を生成し(s4)、D/A変換器150lmに出力する。
D/A変換器150lmは、ディジタル駆動信号D(a,φ,z,k)をアナログ駆動信号D(a,φ,z,k)に変換し、アンプ140lmに出力する。アンプ140lmはアナログ駆動信号D(a,φ,z,k)を増幅し、スピーカ110lmに供給する。M×L個のスピーカ110lmは、入力信号S(k)に応じたアナログ駆動信号D(a,φ,z,k)を再生し(s5)、音響信号を出力する。以下にフィルタ乗算部120lm、フィルタ係数算出部170、波数算出部180の詳細を説明する。
<フィルタ乗算部120lm
フィルタ乗算部120lmでは、フィルタ係数算出部170から出力されるフィルタ係数H(a,φ,z,k)とAD変換器160lmにより変換されたディジタル入力信号S(k)とを入力として、スピーカ110lmを駆動するための信号である駆動信号D(a,φ,z,k)を生成し、出力する。
フィルタ乗算部120lmには、再生に先立ち後述のフィルタ係数算出部170で計算しておいたフィルタ係数H(a,φ,z,k)を設定しておく。フィルタ乗算部120lmにディジタル入力信号S(k)が入力されると、フィルタ乗算部120lmは入力されたディジタル入力信号S(k)にフィルタ係数H(a,φ,z,k)を畳み込むことでエバネッセント波を発生するためのディジタル駆動信号D(a,φ,z,k)を生成し、この駆動信号D(a,φ,z,k)を対応するD/A変換器150lmに出力する。なお、駆動信号D(a,φ,z,k)は以下の式であらわされる。
Figure 2013016984
フィルタ係数の算出方法についてはフィルタ係数算出部170で説明する。
<フィルタ係数算出部170>
フィルタ係数算出部170では、スピーカ110lmの配置情報(a,φ,z)とエバネッセント波を再生するための波数(以下「波数情報」ともいう)kまたはnの一方を入力とし、フィルタ乗算部120lmに与えるフィルタ係数H(a,φ,z,k)を算出し、フィルタ乗算部120lmへ出力する。
フィルタ係数算出部170は軸方向の波数k、周方向の波数nとスピーカ位置(a,φ,z)を用いて、
Figure 2013016984
により、フィルタ係数H(a,φ,z,k)を算出する。式(17)は周波数領域におけるフィルタ係数H(a,φ,z,k)である。なお、入力信号の波数kと周波数fの関係は、音速をcとして
Figure 2013016984
と表す。
A/D変換器160lmにおける入力信号のサンプリング周波数をfs、周波数の帯域分割数をQとし、q=0,1,・・・,Q−1とした場合に、各周波数帯域を
Figure 2013016984
と表す。式(C)より、kは各周波数帯域f(q)により異なる値
Figure 2013016984
となる。式(17)で用いる波数情報はkまたはnは、後述する波数算出部180において波数k(とエバネッセント波の再生方向、波数決定パターン)を用いて算出されるので、フィルタ係数算出部170は各周波数帯域f(q)におけるフィルタ係数を算出することができる。フィルタ係数算出部170は、周波数帯域f(q)におけるフィルタ係数を逆フーリエ変換したものをフィルタ乗算部120lmにおけるフィルタ係数として設定する。つまり、Q個の周波数領域のフィルタ係数を算出し、それを逆フーリエ変換により時間領域のフィルタ係数に変換し、これをフィルタ乗算部120lmに設定する。なお、周波数の帯域分割数Qの値を大きくとればフィルタとしての精度は高くなるが計算コストが大きくなる。Qは任意に設定することができ、例えば数百程度の値とする。また2のべき乗数に設定すると演算が高速化できる。
<波数算出部180>
波数算出部180はエバネッセント波の再生方向(軸方向または周方向)と波数決定パターン(波数決定パターンの種類については後述する)を入力として、エバネッセント波の再生方向の波数k、nを算出し、フィルタ係数算出部170へ出力する。以下では各入力条件における波数算出方法を説明する。
(1)周方向にエバネッセント波を発生させる場合
ここではエバネッセント波の再生方向が軸方向と入力された場合の波数算出方法を示す。軸方向にエバネッセント波を発生させるため、周方向の波数nはn=0と決定される。なお、これは周方向のスピーカが同相で駆動することを表すため、装置構成における周方向のスピーカ個数Mは1個でもよい。M=1の場合は円筒面状スピーカアレーではなく、軸方向の直線状スピーカアレーとして実現される。
ここでは軸方向にエバネッセント波が発生する条件であるk>kを満たすような波数kを決定する。決定された波数を用いることで、式(12)で表されるエバネッセント波が再生される。これは放射方向に対して、指数関数的に音圧が減衰する特性をもつ。従って単一スピーカより急峻に減衰する特徴をもつが、波数の設定次第では可聴範囲が狭まりすぎてしまうという欠点もある。
以下では3種類の波数kの決定方法(波数決定パターン)を示す。
(i)波数kを音源の波数kの最大値kmaxを用いて決定する方法
入力信号が含む波数kの最大値をkmaxとすると、k=αmaxとして指定する。但し、αは1より大きい任意の定数である。このようにして決定したkは音源の波数kに依存しない。言い換えると、式(C’)に示す最大値kmax=k(Q−1)以外の波数k(0),k(1),…,k(Q−2)に依存しない。ここでのαの値は1〜数十程度が目安であり、値を変化させると減衰しない周波数の位置が変わる傾向があるため、入力信号の周波数特性の応じた減衰特性の制御が可能である。
なお、式(C’)及び式(18)より、
max=2πfmax/c
max=f(Q−1)
である。
(ii)波数kを音源の波数kの定数倍として決定する方法
βを1より大きい任意の定数として、k(k)=βkとして指定する。ここでのβの値は1〜数十程度が目安である。なお、式(C’)よりkは各周波数帯域f(q)に応じて変化する値なので、kも各周波数帯域f(q)及びkに応じて変化する値となる。
(iii)波数kを減衰制御項から決定する方法
エバネッセント波の式(12)において、P(r,φ,z)のr方向の指数減衰項がe-kar(但し、添え字kaはkを表す)となるとすると、
Figure 2013016984
式(20)は、任意の減衰量と音源の波数から波数kを求めることができることを示している。指定するkの値については、あまりに大きいと装置近傍ですぐに減衰してしまう制御となるため、k=1〜数十として設計するのが目安である。なお、前述の通り、式(C’)よりkは各周波数帯域f(q)に応じて変化する値なので、(ii)の場合と同様に、kも各周波数帯域f(q)及びkに応じて変化する値となる。
Figure 2013016984
(2)周方向にエバネッセント波を発生させる場合
ここではエバネッセント波の再生方向が周方向と入力された場合の波数算出方法を示す。
周方向に発生させるため、軸方向の波数kはk=0と決定される。なお、これは軸方向のスピーカが同相で駆動することを表すため、装置構成における軸方向のスピーカ個数Lは1個でもよい。但しL=1の場合は円筒面状スピーカアレーではなく、円状スピーカアレーとして実現される。
周方向にエバネッセント波が発生する条件であるn>kaを満たすような波数nを決定する。決定された波数nを用いることで、式(15)で表されるエバネッセント波が再生される。これは放射方向に対して、べき乗関数に従って音圧が減衰する特性をもつ。従って軸方向に再生する場合と比較して減衰特性は緩やかになるが、波数を調整することで減衰特性を制御することが可能であり、可聴範囲を制御するのが容易であるといえる。
以下では2種類の波数nの決定方法(波数決定パターン)を示す。
(i)波数nを音源の波数の最大値を用いて決定する方法
入力信号が含む波数kの最大値をkmaxとすると、n=αmaxaとして指定する。但し、αは1より大きい任意の定数である。このようにして決定したnは音源の波数kに依存しない(言い換えると最大値kmax以外の波数kに依存しない)。ここでのαの値は1〜数十程度が目安であり、値を変化させると減衰しない周波数の位置が変わる傾向があるため、入力信号の周波数特性の応じた減衰特性の制御が可能である。なお、kmaxについては、(1)(i)で説明した値と同様である。
(ii)波数nを音源の波数の定数倍として決定する方法
βを1より大きい任意の定数として、n(k)=βkaとして指定する。ここでのβの値は1〜数十程度が目安である。kについては(1)(ii)で説明した値と同様である。
<効果>
このような構成とすることで、円筒面スピーカアレーを用いてエバネッセント波を再生し、その受聴領域を従来とは異なる円筒状とし、減衰効果範囲を拡大できる、さらに指数減衰だけでなくべき乗関数に従うような減衰特性を有するエバネッセント波を再生することができる。
<その他の変形例>
第一実施形態では、局所再生装置100内部にフィルタ係数算出部170と波数算出部180を含む構成としたが、フィルタ係数算出部170と波数算出部180を含むフィルタ係数決定装置190を別装置として設けてもよい。フィルタ係数決定装置190は、局所再生装置100の内部に組込まれてもよいし、別装置として外部に設けてもよい。フィルタ係数決定装置190は、発生方向と波数決定パターンとスピーカの位置情報を用いて、フィルタ係数を決定し、局所再生装置100内のフィルタ乗算部120lmに出力する構成とする。各処理内容は第一実施形態において説明した通りである。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
<プログラム及び記録媒体>
上述した局所再生装置またはフィルタ係数決定装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合はコンピュータに、目的とする装置(各種実施例で図に示した機能構成をもつ装置)として機能させるためのプログラム、またはその処理手順(各実施例で示したもの)の各過程をコンピュータに実行させるためのプログラムを、CD−ROM、磁気ディスク、半導体記憶装置などの記録媒体から、あるいは通信回線を介してそのコンピュータ内にダウンロードし、そのプログラムを実行させればよい。

Claims (10)

  1. 複数のスピーカを用いてエバネッセント波を再生する局所再生装置のフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定装置であって、
    前記スピーカは円筒面上に配置されるものとし、
    前記エバネッセント波の再生方向の波数情報を算出する波数算出部と、
    前記スピーカの配置情報と前記波数情報とを用いて前記フィルタ係数を算出するフィルタ係数算出部と、を含む、
    フィルタ係数決定装置。
  2. 請求項1記載のフィルタ係数決定装置であって、
    前記エバネッセント波の再生方向を円筒面の軸方向とし、
    maxを入力信号が含む波数の最大値とし、αを1より大きい所定の値とし、前記波数算出部は、波数情報k=αmaxを算出し、
    前記フィルタ係数算出部は円筒面の軸方向に配置された複数のスピーカの配置情報と前記波数情報kとを用いて前記フィルタ係数を算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  3. 請求項1記載のフィルタ係数決定装置であって、
    前記エバネッセント波の再生方向を円筒面の軸方向とし、
    kを入力信号の波数とし、βを1より大きい所定の値とし、前記波数算出部は、波数情報k(k)=βkを算出し、
    前記フィルタ係数算出部は円筒面の軸方向に配置された複数のスピーカの配置情報と前記波数情報k(k)とを用いて前記フィルタ係数を算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  4. 請求項1記載のフィルタ係数決定装置であって、
    前記エバネッセント波の再生方向を円筒面の軸方向とし、
    を1より大きい所定の値とし、kを入力信号の波数とし、前記波数算出部は、波数情報k(k)=±√(k +k)を算出し、
    前記フィルタ係数算出部は円筒面の軸方向に配置された複数のスピーカの配置情報と前記波数情報k(k)とを用いて前記フィルタ係数を算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  5. 請求項1記載のフィルタ係数決定装置であって、
    前記エバネッセント波の再生方向を円筒面の周方向とし、
    αを1より大きい所定の値とし、kmaxを入力信号が含む波数の最大値とし、aを前記円筒面の成す円の半径とし、前記波数算出部は、波数情報n=αmaxaを算出し、
    前記フィルタ係数算出部は円筒面の周方向に配置された複数のスピーカの配置情報と前記波数情報nとを用いて前記フィルタ係数を算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  6. 請求項1記載のフィルタ係数決定装置であって、
    前記エバネッセント波の再生方向を円筒面の周方向とし、
    βを1より大きい所定の値とし、kを入力信号の波数とし、aを前記円筒面の成す円の半径とし、前記波数算出部は、波数情報n(k)=βkaを算出し、
    前記フィルタ係数算出部は円筒面の周方向に配置された複数のスピーカの配置情報と前記波数情報n(k)とを用いて前記フィルタ係数を算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のフィルタ係数決定装置であって、
    (a,φ,z)を前記スピーカの配置情報とし、kを入力信号の波数とし、kを軸方向の前記波数情報とし、nを周方向の前記波数情報とし、前記フィルタ係数算出部は、フィルタ係数を
    Figure 2013016984

    として算出する、
    フィルタ係数決定装置。
  8. 請求項1から請求項7の何れかに記載のフィルタ係数決定装置で決定されたフィルタ係数を複数のスピーカに設定し該スピーカを用いてエバネッセント波を再生する局所再生装置であって、
    前記フィルタ係数と前記入力信号とを乗じて前記スピーカを駆動するための駆動信号を生成するフィルタ乗算部と、をさらに含む、
    局所再生装置。
  9. 複数のスピーカを用いてエバネッセント波を再生する局所再生方法のフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定方法であって、
    前記スピーカは円筒面上に配置されるものとし、
    前記エバネッセント波の再生方向の波数情報を算出する波数算出ステップと、
    前記スピーカの配置情報と前記波数情報とを用いて前記フィルタ係数を算出するフィルタ係数算出ステップと、を含む、
    フィルタ係数決定方法。
  10. コンピュータを請求項1から請求項7の何れかに記載のフィルタ係数決定装置または請求項8に記載の局所再生装置として機能させるためのプログラム。
JP2011147518A 2011-07-01 2011-07-01 フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム Expired - Fee Related JP5596632B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011147518A JP5596632B2 (ja) 2011-07-01 2011-07-01 フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011147518A JP5596632B2 (ja) 2011-07-01 2011-07-01 フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013016984A true JP2013016984A (ja) 2013-01-24
JP5596632B2 JP5596632B2 (ja) 2014-09-24

Family

ID=47689232

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011147518A Expired - Fee Related JP5596632B2 (ja) 2011-07-01 2011-07-01 フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5596632B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013236216A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム
KR20190132572A (ko) * 2014-09-30 2019-11-27 애플 인크. 라우드스피커
US10609473B2 (en) 2014-09-30 2020-03-31 Apple Inc. Audio driver and power supply unit architecture
US11256338B2 (en) 2014-09-30 2022-02-22 Apple Inc. Voice-controlled electronic device

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109343A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Yamaha Corp スピーカアレイシステム
JP2007121439A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Toshiba Corp 音響信号再生装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006109343A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Yamaha Corp スピーカアレイシステム
JP2007121439A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Toshiba Corp 音響信号再生装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014009954; 伊藤弘章,古家賢一,羽田陽一: '平面スピーカアレーを用いたエバネッセント波再生手法の検討' 電子情報通信学会技術研究報告 EA2010-131, 201103, 29-34, 社団法人電子情報通信学会 *

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013236216A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム
US11256338B2 (en) 2014-09-30 2022-02-22 Apple Inc. Voice-controlled electronic device
USRE49437E1 (en) 2014-09-30 2023-02-28 Apple Inc. Audio driver and power supply unit architecture
US10652650B2 (en) 2014-09-30 2020-05-12 Apple Inc. Loudspeaker with reduced audio coloration caused by reflections from a surface
US10728652B2 (en) 2014-09-30 2020-07-28 Apple Inc. Adaptive array speaker
KR102130365B1 (ko) * 2014-09-30 2020-08-05 애플 인크. 라우드스피커
US11818535B2 (en) 2014-09-30 2023-11-14 Apple, Inc. Loudspeaker with reduced audio coloration caused by reflections from a surface
US10609473B2 (en) 2014-09-30 2020-03-31 Apple Inc. Audio driver and power supply unit architecture
US11290805B2 (en) 2014-09-30 2022-03-29 Apple Inc. Loudspeaker with reduced audio coloration caused by reflections from a surface
KR20190132572A (ko) * 2014-09-30 2019-11-27 애플 인크. 라우드스피커
US10911863B2 (en) 2016-09-23 2021-02-02 Apple Inc. Illuminated user interface architecture
US10834497B2 (en) 2016-09-23 2020-11-10 Apple Inc. User interface cooling using audio component
US11693488B2 (en) 2016-09-23 2023-07-04 Apple Inc. Voice-controlled electronic device
US11693487B2 (en) 2016-09-23 2023-07-04 Apple Inc. Voice-controlled electronic device
US10771890B2 (en) 2016-09-23 2020-09-08 Apple Inc. Annular support structure

Also Published As

Publication number Publication date
JP5596632B2 (ja) 2014-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9402145B2 (en) Wireless speaker system with distributed low (bass) frequency
JP5457874B2 (ja) 局所再生装置とその方法と、プログラム
WO2018008395A1 (ja) 音場形成装置および方法、並びにプログラム
US20150264510A1 (en) Audio Rendering System
JP5024792B2 (ja) 全方位周波数指向性音響装置
JP2010109579A (ja) 音響出力素子アレイ及び音響出力方法
JP5342521B2 (ja) 局所再生方法、局所再生装置及びそのプログラム
Okamoto et al. Experimental validation of spatial Fourier transform-based multiple sound zone generation with a linear loudspeaker array
JP2004172661A (ja) オーディオ信号の処理方法および処理装置
JP5596632B2 (ja) フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム
Møller et al. A moving horizon framework for sound zones
US20140098971A1 (en) System and Method for Directional Sound Transmission with a Linear Array of Exponentially Spaced Loudspeakers
JP7036008B2 (ja) 局所消音音場形成装置および方法、並びにプログラム
Olivieri et al. Theoretical and experimental comparative analysis of beamforming methods for loudspeaker arrays under given performance constraints
JP5705162B2 (ja) フィルタ係数決定装置、局所再生装置、フィルタ係数決定方法、及びプログラム
Poletti et al. Generation of half-space sound fields with application to personal sound systems
JP6970366B2 (ja) 音像再現装置、音像再現方法及び音像再現プログラム
JP2015037207A (ja) 音場収音再生装置、方法及びプログラム
US11676598B2 (en) System and method for data augmentation for multi-microphone signal processing
JP5458041B2 (ja) 局所再生装置とフィルタ係数決定装置とそれらの方法と、プログラム
US20230017323A1 (en) Generating an audio signal associated with a virtual sound source
JP5506748B2 (ja) フィルタ係数決定装置と局所再生装置とそれらの方法とプログラム
JP2006074442A (ja) エリア限定拡声方法、フィルタ特性設定方法、エリア限定拡声装置、エリア限定拡声プログラム、フィルタ特性設定プログラム及びこれを記録した記録媒体
NL2024434B1 (en) Generating an audio signal associated with a virtual sound source
Coleman et al. Numerical optimization of loudspeaker configuration for sound zone reproduction

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130718

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140311

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140807

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5596632

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees