以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.全体構成>
図1および図2は、それぞれ本発明の実施の形態における基板ブレーク装置1の構成の一例を示す正面図および背面図である。図3は、ワーク3の構成の一例を示す正面図である。基板ブレーク装置1は、スクライブライン8が形成されている脆性材料基板7(図3参照)を、スクライブライン8に沿ってブレークする(切断する)装置である。
図1および図2に示すように、基板ブレーク装置1は、主として、姿勢変更ユニット10と、本体ユニット40と、搬送ユニット50と、非接触保持ユニット80と、ブレークユニット85と、制御ユニット90と、を有している。
なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく、必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が、付されている。
姿勢変更ユニット10は、平板状のワーク3の姿勢を、水平姿勢および起立姿勢の間で変更するとともに、起立姿勢とされたワーク3を搬送ユニット50に受け渡す。また、姿勢変更ユニット10は、本体ユニット40に対して固定されている。
ここで、搬送ユニット50に固定され、ブレークユニット85によりブレーク処理されるワーク3は、図3に示すように、主として、ダイシングリング4と、ダイシングシート5と、脆性材料基板7と、を有している。
ダイシングリング4(リング体)は、ステンレス等の金属により形成された平板である。図1および図2に示すように、ダイシングリング4の外縁部4aが固定機構60に挟み込まれることによって、ワーク3は、固定機構60に固定される。
また、図3に示すように、ダイシングリング4の中央付近には、開口4bが形成されている。さらに、ダイシングリング4の外縁部4aには、切欠4cが設けられている。この切欠4cの位置が検出されることによって、ワーク3の回転角度が検出される。
ダイシングシート5(シート体)は、ダイシングリング4の開口4bを覆うように、ダイシングリング4に対して取り付けられている。そして、脆性材料基板7は、開口4b上に位置するように、ダイシングシート5に貼付されている。そのため、ワーク3が起立姿勢とされても、脆性材料基板7を確実に固定することができる。ここで、本実施の形態において、ダイシングシート5としては、例えば樹脂製の粘着シートが用いられても良い。
脆性材料基板7は、例えばガラス基板またはセラミックス基板等のように、脆性材料で形成された基板である。図3に示すように、脆性材料基板7上には、複数のスクライブライン8と、複数の電子部品9と、が形成されている。
スクライブライン8は、脆性材料基板7の表面に形成された切りすじ(縦割れ)である。ここで、スクライブライン8は、例えば、焼結ダイヤモンド製のスクライビングホイール(図示省略)を脆性材料基板7の表面に圧接転動させることによって、形成される。そして、複数のスクライブライン8が形成された脆性材料基板7に応力が付与され、各スクライブライン8に沿って脆性材料基板7がブレークされることによって、複数の電子部品9(例えば、複数の液晶表示装置)が得られる。
なお、本実施の形態において、ワーク3(並びにダイシングリング4、ダイシングシート5、および脆性材料基板7)の主面3a、3bのうち、スクライブライン8が形成されていない面を第1主面3aと、スクライブライン8が形成されている面を第2主面3bと、それぞれ称する。
本体ユニット40は、図1および図2に示すように、姿勢変更ユニット10、非接触保持ユニット80、およびブレークユニット85等のユニット、および複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)を固定する固定部として用いられる。
ここで、各ロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)は、圧縮空気の供給状態にしたがって、シャフト(回転軸:図示省略)を回転させる。これにより、シャフトに取り付けられたレバー42(42a〜42c)は、揺動させられ、対応するクランプ部61(61a〜61c)の突当部63(図8参照)に突き当てられる。なお、クランプ部61(61a〜61c)のハードウェア構成については、後述する。
搬送ユニット50は、本体ユニット40上に固定された一対のガイド43、44に沿って走行可能に設けられている。搬送ユニット50は、平板状のワーク3を起立姿勢で保持するとともに、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40に対してこのワーク3を移動させる。ここで、搬送ユニット50による保持は、ワーク3の外縁部4aを接触保持することにより実現される。
このように、搬送ユニット50は、ワーク3を搬送するだけでなく(搬送機能)、脆性材料基板7を含むワーク3の外縁部4aを接触保持することによって、平板状のワーク3を起立姿勢の状態で固定することができる(保持機能)。すなわち、搬送ユニット50は、「保持ユニット」としても用いられる。
また、本実施の形態において、ワーク3が搬送される場合、搬送ユニット50は移動するが、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40は静止している。そこで、本実施の形態において、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40を総称して「固定側ユニット」とも称する。
非接触保持ユニット80は、図2に示すように、ブレーク位置P20に位置する搬送ユニット50と対向するように設けられており、搬送ユニット50の固定機構60により外縁部4aが接触保持されたワーク3を非接触保持する。
このように、起立姿勢とされた平板状のワーク3の外縁部4aを「接触保持」する搬送ユニット50(保持ユニット)と、ワーク3の第1主面3aを「非接触保持」する非接触保持ユニット80と、により保持装置が構成される。
ブレークユニット85は、搬送ユニット50に保持されたワーク3の脆性材料基板7を、スクライブライン8に沿ってブレークする。ここで、ブレークユニット85は、脆性材料基板7に対して応力を付与し、スクライブライン8が形成された脆性材料基板7の主面から、その逆側の主面まで垂直クラックを成長させることによって、脆性材料基板7をブレークする。
制御ユニット90は、姿勢変更ユニット10、本体ユニット40、搬送ユニット50、非接触保持ユニット80、およびブレークユニット85に含まれる各要素の動作を制御し、並びにデータ演算を実現する。図1および図2に示すように、制御ユニット90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93と、を有している。
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納されている。
CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)および複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)の駆動制御等)を所定のタイミングで実行する。
なお、姿勢変更ユニット10、搬送ユニット50、非接触保持ユニット80、並びにブレークユニット85の詳細なハードウェア構成については、後述する。
<2.姿勢変更ユニットの構成>
図4および図5は、それぞれ姿勢変更ユニット10の構成の一例を示す側面図および平面図である。ここで、姿勢変更ユニット10は、上述のように、ワーク3の姿勢を変更する動作、およびワーク3を搬送ユニット50に受け渡す動作、を実行する。
図4および図5に示すように、姿勢変更ユニット10は、主として、複数の支持部11(11a〜11d)と、複数の位置決めハンド13(13a〜13d)と、受渡部20と、揺動部30と、押圧部35と、を有している。
複数(本実施の形態では4つ)の支持部11(11a〜11d)は、姿勢変更ユニット10に受け渡されたワーク3を支持する。図4および図5に示すように、各支持部11(11a〜11d)は、ワーク3のダイシングリング4の外縁部4aを支持できる位置で、かつ、受渡部20の昇降台21と干渉しない位置に、固定されている。
また、各支持部11(11a〜11d)は、図4および図5に示すように、その先端に、回動自在に設けられたボール12(12a〜12d)を有している。これにより、各ボール12(12a〜12d)は、ワーク3を点的に支持しつつ、回転できる。そのため、各支持部11(11a〜11d)に支持されたワーク3の位置は、容易かつ滑らかに変更できる。
ここで、複数の支持部11(11a〜11d)に支持されるワーク3は、例えば、不図示の搬送ロボットから姿勢変更ユニット10に受け渡されても良い。また、基板ブレーク装置1の作業者(以下、単に、「作業者」とも称する)が、複数の支持部11上にワーク3を載置しても良い。
複数(本実施の形態では4つ)の位置決めハンド13(13a〜13d)は、図4および図5に示すように、対応する把持爪23(23a〜23d)と隣接して設けられている。各位置決めハンド13(13a〜13d)は、基部20a上に設けられた移動機構(図示省略)により、対応するアーム26(26a〜26d)の長手方向に沿って進退する。これにより、各位置決めハンド13(13a〜13d)は、各支持部11(11a〜11d)に支持されたワーク3の位置が所望範囲となるように、ワーク3(より具体的には、ダイシングシート5)の外縁部4aを、昇降台21の中心21aに向かう方向に押す。
ワーク確認センサ15は、複数の支持部11にワーク3が支持されているか否かを検出する。図5に示すように、ワーク確認センサ15は、支持部11bに隣接して、かつ、受渡部20の昇降台21と干渉しない位置に、固定されている。ワーク確認センサ15としては、例えば、非接触でワーク3の有無を検出する近接センサが用いられてもよい。
受渡部20は、水平姿勢とされ、複数の支持部11に支持されたワーク3を保持する。また、受渡部20は、揺動部30により起立姿勢とされたワーク3を搬送ユニット50との間で受け渡す。図4および図5に示すように、受渡部20は、主として、昇降台21と、複数の把持爪23(23a〜23d)と、複数の吸着部25(25a〜25d)と、受渡用シリンダ28と、を有している。
昇降台21は、図5に示すように、中心21aから外方に放射状に延びる複数(本実施の形態では4本)のアーム26(26a〜26d)を有している。昇降台21は、把持爪23および吸着部25により保持されたワーク3の変形を防止する。
複数(本実施の形態では4つ)の把持爪23(23a〜23d)(複数の把持部)は、水平姿勢および起立姿勢の間で姿勢変更されるワーク3(より具体的にはダイシングリング4)の外縁部4aを把持する。図4および図5に示すように、各把持爪23(23a〜23d)は、対応するアーム26(26a〜26d)の先端27(27a〜27d)付近に設けられている。
ここで、図4に示すように、各位置決めハンド13(13a〜13d)の上端付近は(図示の都合上、位置決めハンド13bの上端付近のみ)、二股とされている。したがって、各位置決めハンド13(13a〜13d)がワーク3の位置決めのために進退させられても、各位置決めハンド13(13a〜13d)と、対応する把持爪23(23a〜23d)および吸着部25(25a〜25d)と、は干渉しない。
また、各位置決めハンド13(13a〜13d)によって、ワーク3の位置が所望範囲となるように位置決めされた場合、ワーク3は、各把持爪23(23a〜23d)により囲繞される。
複数(本実施の形態では4つ)の吸着部25(25a〜25d)は、各把持爪23(23a〜23d)に対応して設けられており、ワーク3(より具体的にはダイシングリング4)の外縁部4aを吸着する。
したがって、複数の位置決めハンド13(13a〜13d)による位置決め後、複数の吸着部25(25a〜25d)によりワーク3が吸着されることによって、複数の支持部11(11a〜11d)に支持されたワーク3は、受渡部20に受け渡される。
このように、各把持爪23(23a〜23d)および各吸着部25(25a〜25d)は、ダイシングリング4を把持および吸着する。すなわち、脆性材料基板7は、各把持爪23(23a〜23d)および各吸着部25(25a〜25d)によっては、把持も吸着もされない。そのため、受渡部20および揺動部30は、脆性材料基板7上に形成されたスクライブライン8(図3参照)に影響を与えることなく、ワーク3の保持および姿勢変更を実行することができる。
受渡用シリンダ28は、起立姿勢とされたワーク3を受渡部20および搬送ユニット50の間で受け渡す場合において、受渡部20および搬送ユニット50の間でワーク3を移動させる。図4に示すように、受渡用シリンダ28は、本体部28aと、ロッド29と、を有している。
ロッド29は、本体部28aに対して進退可能とされている。図4に示すように、ロッド29の先端は、昇降台21の底面に固定されている。したがって、昇降台21に固定された起立姿勢のワーク3は、ロッド29の進出または後退動作に応じて、受渡部20および搬送ユニット50の間を移動させられる。
揺動部30は、揺動軸31を中心として受渡部20を揺動させることによって、受渡部20に保持されたワーク3の姿勢を水平姿勢と起立姿勢との間で変更する。図4および図5に示すように、揺動部30は、主として、揺動軸31と、揺動枠32と、揺動用シリンダ33と、を有している。
揺動軸31は、受渡部20を基部20aに対して揺動させる中心軸として用いられる。図5に示すように、軸受け30a、30bにより回転可能に支持(軸支)されている。また、軸受け30a、30bは、それぞれ対応するブラケット30c、30dに固定されている。
揺動枠32は、複数(本実施の形態では、3枚)の板体32a〜32cにより形成された枠体である。図5に示すように、板体32a、32cの間には、揺動軸31が固定されている。一方、板体32bには、受渡部20の受渡用シリンダ28が固定されている。
揺動用シリンダ33は、受渡部20を揺動させる駆動部である。図4に示すように、揺動用シリンダ33は、主として、本体部33aと、ロッド34と、を有している。
ロッド34は、本体部33aに対して進退可能とされている。図4および図5に示すように、本体部33aは受渡部20の基部20aに、ロッド34の先端34aは揺動枠32の板体32aに、それぞれ固定されている。
したがって、ロッド34が本体部33aから進出する場合、把持爪23および吸着部25により保持されたワーク3の姿勢は、水平姿勢から起立姿勢に変更される。一方、ロッド34が本体部33aに後退する場合、把持爪23および吸着部25により保持されたワーク3の姿勢は、起立姿勢から水平姿勢に変更される。
押圧部35は、搬送ユニット50の固定機構60からワーク3に付与される荷重を調整する。これにより、受渡部20から搬送ユニット50に受け渡されたワーク3を固定する動作、およびワーク3の固定状態を解除する動作が、固定機構60により実行される。
図4および図5に示すように、押圧部35は、主として、取付枠35aと、複数のブラケット36(36a〜36d)と、複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)と、を有している。
取付枠35aおよび複数のブラケット36(36a〜36d)は、複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)を姿勢変更ユニット10に固定するために用いられる。図2および図4に示すように、取付枠35aは、枠体状とされており、基部20aに固定されている。また、複数(本実施の形態では4つ)のブラケット36(36a〜36d)は、図2に示すように、取付枠35aの縦板から搬送ユニット50の搬送方向(矢印AR1方向)に沿って延びる取付板である。
複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)のそれぞれは、対応する付勢部材73(73a〜73d:図7参照)を圧縮する。図4および図5に示すように、各押圧用シリンダ37(37a〜37d)は、主として、複数のロッド38(38a〜38d)と、複数のローラ39(39a〜39d)と、を有している。
複数(本実施の形態では4つ)のロッド38(38a〜38d)のそれぞれは、矢印AR2方向に沿って進退可能とされている。また、各ロッド38(38a〜38d)の先端には、対応するローラ39(39a〜39d)が取り付けられている。
したがって、各ロッド38(38a〜38d)が進出する場合、各付勢部材73(73a〜73d:図7参照)は対応するローラ39(39a〜39d)により圧縮される。
一方、各ロッド38(38a〜38d)が後退する場合、各付勢部材73(73a〜73d:図7参照)から対応するローラ39(39a〜39d)が離隔する。これにより、各付勢部材73(73a〜73d)の圧縮状態が、解除される。
複数(本実施の形態では4個)のローラ39(39a〜39d)のそれぞれは、対応するロッド38(38a〜38d)の先端に設けられた回転体である。図5に示すように、各ローラ39(39a〜39d)は、鉛直方向(Z軸と略平行な方向:矢印AR1方向と略垂直な方向)に延びる回転軸を中心に回転可能とされている。
したがって、各ローラ39(39a〜39d)によって付勢部材73(73a〜73d)が圧縮された状態で、搬送ユニット50が搬送方向(矢印AR1方向)に移動する場合、各ローラ39(39a〜39d)は、対応する付勢部材73(73a〜73d)を圧縮しつつ、搬送方向に沿って回転する。そのため、搬送ユニット50は、各ローラ39(39a〜39d)による圧縮状態を維持しつつ、搬送方向に移動することができる。その結果、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40(固定側ユニット)に対して搬送ユニット50が移動する場合であっても、ワーク3の固定解除状態を維持することができる。
<3.搬送ユニットの構成>
図6および図7は、搬送ユニット50の構成の一例を示す正面図および背面図である。図8は、可動クランプ部61(61a〜61c)の構成の一例を示す正面図である。図9は、図8のV−V線から見たガイド爪69(69a)付近の断面図である。図10は、図7のW−W線から見たガイド爪69(69d)付近の断面図である。
ここで、搬送ユニット50は、ワーク3の外縁部4aを接触保持しつつ、ワーク3の授受が実行される受渡位置P10と、ブレークユニット85により脆性材料基板7のブレークが実行されるブレーク位置P20と、の間で、起立姿勢のワーク3を搬送する。
これにより、搬送経路上を含めた搬送ユニット50の設置面積(すなわち、搬送ユニット50の移動領域サイズ)を抑制することができる。そのため、基板ブレーク装置1のサイズを低減させることができる。
図6および図7に示すように、搬送ユニット50は、主として、固定台51と、回転台52と、を有している。ここで、本実施の形態の搬送ユニット50は、例えば不図示のリニアモータによって、姿勢変更ユニット10、本体ユニット40、および非接触保持ユニット80等に対して移動可能に設けられている。
回転台52は、固定台51に対して回転する円盤状の回転部である。図6および図7に示すように、回転台52は、固定台51に形成された円形状の貫通孔51aに回動自在に嵌め込まれている。また、回転台52は、ワーク3を固定する固定機構60を有している。なお、固定機構60の構成については、後述する。
固定台51は、例えば、回転台52を回転させるための回転要素、および固定台51および回転台52を本体ユニット40に対して走行させるための走行要素、を取り付ける取付部として用いられる。図6および図7に示すように、固定台51は、主として、ガイドブロック55と、モータ56と、ベルト57と、を有している。
複数(本実施の形態では6個)のガイドブロック55は、図6に示すように、固定台51の正面51bに設けられている。また、各ガイドブロック55の内部には、複数のボール(図示省略)が回転可能に設けられている。そして、各ガイドブロック55が対応するガイド43、44に取り付けられた場合、各ガイドブロック55内のボール(図示省略)は、回転可能な状態で対応するガイド43、44と接触する。
これにより、各ガイドブロック55が、対応するガイド43、44に沿って(すなわち、搬送方向(矢印AR1方向)に沿って)移動すると、各ガイドブロック55内のボール(図示省略)は、対応するガイド43、44上を回転する。そのため、固定台51は、ガイド43、44に沿って滑らかに走行することができる。
モータ56は、回転台52に回転力を付与する駆動部である。ベルト57は、モータ56から付与された回転力を回転台52に伝達する。図6に示すように、ベルト57は、回転台52と、モータ56の回転軸56a先端に取り付けられたモータ用プーリ58と、に巻き掛けられている。これにより、モータ56が回転すると、固定機構60に固定されたワーク3が回転する。
張力調整用プーリ59は、ベルト57に付与される張力を調整する。本実施の形態において、張力調整用プーリ59の位置(例えば、Z軸方向における位置)は、不図示の位置決め機構によって調整される。これにより、ベルト57の弛みが容易に取り除かれるとともに、ベルト57の張力が容易に調整される。そのため、回転台52の回転状態が良好に維持できる。
<3.1.固定機構の構成>
固定機構60は、平板状のワーク3を起立姿勢で固定する。図6および図7に示すように、固定機構60は、主として、複数のクランプ部61(61a〜61c)、62と、複数の押さえ部71と、を有している。
複数のクランプ部61(61a〜61c)、62は、押さえ部71との間に配置されたワーク3の外縁部4aを挟み込む。図7に示すように、複数のクランプ部61(61a〜61c)、62のそれぞれは、押さえ枠72に沿って設けられている。
なお、以下の説明において、符号61(61a〜61c)が付されたクランプ部を「可動クランプ部」と、符号62が付されたクランプ部を「固定クランプ部」と、それぞれ称する。
すなわち、複数のクランプ部は、複数の可動クランプ部61(61a〜61c)と、固定クランプ部62と、を含む。さらに換言すれば、複数のクランプ部のうちの一部は複数の可動クランプ部61(61a〜61c)であり、複数のクランプ部のうちの残部は固定クランプ部62である。
複数(本実施の形態では、3つ)の可動クランプ部61(61a〜61c)のそれぞれは、押さえ枠72に対して近接または離隔する方向に進退する。図7および図8に示すように、各可動クランプ部61(61a〜61c)は、主として、突当部63と、回動板64と、付勢部材66と、可動ガイド67(67a〜67c)と、ガイド爪69(69a〜69c)と、を有している。
ここで、可動クランプ部61a〜61cは、互いに同様なハードウェア構成を有している。したがって、以下では、可動クランプ部61aのハードウェア構成についてのみ説明する。
突当部63は、例えば金属により成形された球状体であり、回動板64上に取り付けられている。回動板64は、回動軸64aを中心に回動する板体である。例えば、ロータリーアクチュエータ41(41a)のレバー42(42a)(図1および図2参照)が揺動し、レバー42(42a)が対応するクランプ部61(61a)の突当部63に突き当てられると、回動板64は、回動軸64aを中心として矢印R1方向に回動する。
リンク65は、回動板64および可動ガイド67(67a)を連結する細幅の板体である。リンク65の一端は回動軸65aにより回動板64と、リンク65の他端は回動軸65bにより可動ガイド67(67a)と、それぞれ連動連結されている。
付勢部材66は、バネ等の弾性部材により形成されている。図8に示すように、付勢部材66の一端66aは可動側の回動板64に、付勢部材66の他端66bは固定側の補強板64bに、それぞれ固定されている。これにより、回動板64が矢印R1方向に回動すると、付勢部材66は、回動板64を矢印R1方向と逆方向に付勢する。
可動ガイド67(67a)は、平板状の可動部材である。可動ガイド67は、押さえ枠72に対して近接または離隔する方向に進退することによって、ワーク3の固定状態を調整する。
すなわち、ロータリーアクチュエータ41(41a)によりレバー42(42a)が揺動し、回動板64が矢印R1方向に回動すると、可動ガイド67(67a)は、押さえ枠72から離隔する方向に移動する。これにより、可動ガイド67(67a)は、クランプ解除状態となる。
一方、ロータリーアクチュエータ41(41a)によりレバー42(42a)が揺動前の位置に戻り、付勢部材66の付勢力により回動板64が矢印R1方向と逆方向に回動すると、可動ガイド67(67a)は、押さえ枠72に近接する方向に移動する。これにより、可動ガイド67(67a)は、押さえ枠72との間でワーク3をクランプ可能な状態となる。
このように、本体ユニット40に設けられている複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)は、複数のクランプ部61(61a〜61c)、62のうちの一部(複数の可動クランプ部61a〜61c)を、押さえ枠72に対して近接または離隔する方向に進退させる駆動部(第1駆動部)として用いられる。
切欠60aは、図8に示すように、可動ガイド67の押さえ枠72側に形成された凹みである。ここで、姿勢変更ユニット10の受渡部20と搬送ユニット50との間でワーク3が受け渡される場合、把持爪23(23a)は、切欠60aにより形成される空間(例えば、間隙75(75a))に配置できる(図8、および図11から図13参照)。そのため、ワーク3の受渡時において、把持爪23(23a)と可動ガイド67(67a)とが干渉することを有効に防止できる。
複数(本実施の形態では2つ)のガイド爪69(69a)は、可動ガイド67(67a)および押さえ枠72と協働して、ワーク3を挟み込む。図8に示すように、ガイド爪69(69a)は、可動ガイド67(67a)上であって、対向する押さえ枠72の輪郭線に沿った方向に離隔して、取り付けられている。また、図9に示すように、ガイド爪69(69a)の段差面60bが、可動ガイド67(67a)の下端面60cより下方に位置するように、ガイド爪69(69a)は、可動ガイド67(67a)に取り付けられている。
したがって、図9に示すように、可動クランプ部61(61a)および押さえ部71によるワーク3の挟み込みは、可動ガイド67(67a)の下端面60c、ガイド爪69(69a)の段差面60b、および押さえ枠72の対向面60dが、ワーク3と接触することによって、実現される。
固定クランプ部62は、図7に示すように、押さえ枠72付近に固定されている。図7に示すように、固定クランプ部62は、主として、固定ガイド68と、ガイド爪69(69d)と、を有している。
固定ガイド68は、平板状の固定部材である。すなわち、固定ガイド68は、可動ガイド67(67a〜67c)と異なり、押さえ枠72に対して近接または離隔する方向に進退せず、回転台52に固定されている。
これにより、固定クランプ部62の位置を基準に、固定機構60に対するワーク3の位置決めを容易に実行することができる。そのため、複数の可動クランプ部61(61a〜61c)、および固定クランプ部62を用いることによって、ワーク3のクランプおよびクランプ解除を良好に実行することができる。
切欠68aは、図7に示すように、固定ガイド68の押さえ枠72側に形成された凹みである。ここで、姿勢変更ユニット10の受渡部20と搬送ユニット50との間でワーク3が受け渡される場合、把持爪23(23d)は、切欠68aにより形成される空間(例えば、間隙75(75d))に配置できる(図7、および図11から図13参照)。そのため、ワーク3の受渡時において、把持爪23(23d)と固定ガイド68とが干渉することを有効に防止できる。
複数(本実施の形態では2つ)のガイド爪69(69d)は、固定ガイド68および押さえ枠72と協働して、ワーク3を挟み込む。図7に示すように、ガイド爪69(69d)は、固定ガイド68上であって、対向する押さえ枠72の輪郭線に沿った方向に離隔して、取り付けられている。また、図10に示すように、ガイド爪69(69d)の段差面60bが、固定ガイド68の側端面68bより押さえ枠72側に位置するように、ガイド爪69(69d)は、固定ガイド68に取り付けられている。
したがって、図9に示すように、固定クランプ部62および押さえ部71によるワーク3の挟み込みは、固定ガイド68の側端面68b、ガイド爪69(69d)の段差面60b、および押さえ枠72の対向面60dが、ワーク3と接触することによって、実現される。
押さえ部71は、可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62との間に、ワーク3を挟み込むことによって、ワーク3の外縁部4aを押さえる。図7に示すように、押さえ部71は、主として、押さえ枠72と、複数の付勢部材73(73a〜73d)と、を有している。
押さえ枠72は、図6および図7に示すように、環状(より具体的には、矩形環状)とされており、回転台52の中央付近に取り付けられている。図9および図10に示すように、押さえ枠72は、ワーク3の第2主面3b側からワーク3の外縁部4aを押さえる。
複数(本実施の形態では4つ)の付勢部材73(73a〜73d)は、バネ等の弾性部材により形成されている。図7に示すように、各付勢部材73(73a〜73d)は、押さえ枠72の4隅のうちの対応するコーナーと連結されている。
ここで、各付勢部材73(73a〜73d)が、図7の紙面の表面から裏面に向かう方向(すなわち、矢印AR2方向と逆方向)の力を、対応する押圧用シリンダ37(37a〜37d)(図4および図5参照)より受けると、各付勢部材73(73a〜73d)は、圧縮される。すなわち、押圧部35の押圧用シリンダ37(37a〜37d)は、対応する付勢部材73(73a〜73d)に圧縮力を付与する駆動部(第2駆動部)として用いられる。
一方、ロッド38(38a〜38d)が後退して、ローラ39(39a〜39d)が対応する付勢部材73(73a〜73d)から離隔すると、各付勢部材73(73a〜73d)は、矢印AR2方向(付勢方向)の付勢力を押さえ枠72に付勢する。
これにより、ワーク3は、各付勢部材73(73a〜73d)からの付勢力によって、可動クランプ部61(61a〜61c)、および固定クランプ部62と、押さえ枠72とに挟み込まれる。その結果、ワーク3は、固定機構60に固定される。
このように、固定機構60におけるワーク3の固定状態は、姿勢変更ユニット10の押圧用シリンダ37(37a〜37d)(第2駆動部)と、本体ユニット40のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)(第1駆動部)と、により調整される。
すなわち、搬送対象となるワーク3の固定は、搬送ユニット50の固定機構60と、姿勢変更ユニット10の押圧用シリンダ37(37a〜37d)と、本体ユニット40のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)と、により実行される。
そこで、本実施の形態において、姿勢変更ユニット10、本体ユニット40、および搬送ユニット50を総称して「搬送システム」とも称する。
<3.2.ワークの固定方法>
図11ないし図13は、固定機構60によるワーク3の固定手順および固定解除手順を説明するための背面図である。ここでは、起立姿勢とされたワーク3を固定機構60に固定する手順について説明する。
なお、この固定手順は、制御ユニット90が、姿勢変更ユニット10、本体ユニット40、搬送ユニット50に含まれる各要素の動作を制御することによって、実現される。
また、本固定手順の開始に先だって、搬送ユニット50は、受渡位置P10の解除位置P11(図2参照)に移動させられており、ワーク3は、各吸着部25(25a〜25d)により吸着保持されている。
本固定手順では、まず、揺動部30により受渡部20が移動(揺動)させられる。これにより、受渡部20に保持されたワーク3が、起立姿勢としつつ搬送ユニット50の固定機構60付近に移動させられる。
次に、本体ユニット40に設けられている複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)(図2参照)が動作させられ、各レバー42(42a〜42c)が揺動させられる。これにより、各可動クランプ部61(61a〜61c)の可動ガイド67(67a〜67c)が、押さえ枠72から離隔する方向に移動させられる。
続いて、複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)が動作させられ、各ロッド38(38a〜38d)がシリンダ本体から進出する。これにより、各付勢部材73(73a〜73d)が対応するローラ39(39a〜39d)により圧縮され、押さえ枠72は、各付勢部材73(73a〜73d)の付勢方向(矢印AR2方向)とは逆方向に移動させられる。
続いて、搬送ユニット50が受渡位置P10の解除位置P11から固定位置P12(図1および図2参照)に移動させられる。これにより、各押圧用シリンダ37(37a〜37d)の先端のローラ39(39a〜39d)は、対応する付勢部材73(73a〜73d)を圧縮しつつ、付勢部材73(73a〜73d)上を回転する。そのため、搬送ユニット50は、押さえ枠72をワーク3から離隔させた状態で、搬送方向に沿って移動する。そして、押さえ枠72が、ワーク3から離隔した状態で、ワーク3の外縁部4aが、固定ガイド68の側端面68b(図10)に突き当てられる。
続いて、ワーク3の外縁部4aは、固定ガイド68の側端面68b(図10)に突き当てられた状態で、ロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)が動作させられ、対応するレバー42(42a〜42c)が揺動前の位置に戻される。
これにより、各可動クランプ部61(61a〜61c)の可動ガイド67(67a〜67c)が押さえ枠72に近接する方向に移動する。そのため、ワーク3の外縁部4aが、各可動ガイド67(67a〜67c)に突き当てられる。
続いて、各可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62にワーク3の外縁部4aが突き当てられた状態で、各押圧用シリンダ37(37a〜37d)が動作させられ、各ロッド38(38a〜38d)が後退させられる。
これにより、各押圧用シリンダ37(37a〜37d)から対応する付勢部材73(73a〜73d)に付与される圧縮力が付与されなくなり、押さえ枠72は、各付勢部材73の付勢方向に移動させられる。そして、図9および図10に示すように、可動ガイド67(67a〜67c)および固定ガイド68の段差面60bと、押さえ枠72の対向面60dと、の距離が狭まる。
そのため、ワーク3は、可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62と、押さえ部71と、の間に挟み込まれ、起立姿勢のワーク3は、固定機構60により固定される。すなわち、本固定手順によれば、起立姿勢のワーク3を固定機構60に良好に固定することができる。
続いて、ワーク3が固定機構60により固定された状態で、各吸着部25(25a〜25d)の吸着状態が解除される。これにより、受渡部20によるワーク3の保持状態が解除され、ワーク3の固定手順が完了する。
<3.3.ワークの固定解除方法>
ここでは、図11ないし図13を参照しつつ、固定機構60により起立姿勢で固定されたワーク3について、このワーク3の固定状態を解除する手順について説明する。
なお、この解除手順は、ワーク3の固定手順と同様に、制御ユニット90が、姿勢変更ユニット10、本体ユニット40、搬送ユニット50に含まれる各要素の動作を制御することによって、実現される。
また、本解除手順の開始に先立って、搬送ユニット50は、受渡位置P10の固定位置P12(図2参照)に移動させられており、ワーク3は、固定機構60により固定されている。
本解除手順では、まず、固定機構60により固定されているワーク3が、各吸着部25(25a〜25d)により吸着される。これにより、ワーク3が、固定機構60に固定された状態で、受渡部20に保持される。
次に、複数の可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62にワーク3の外縁部4aが突き当てられた状態で、複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)(第2駆動部)が動作させられ、各ロッド38(38a〜38d)がシリンダ本体から進出する。
これにより、各付勢部材73(73a〜73d)が対応するローラ39(39a〜39d)により圧縮され、押さえ枠72は、各付勢部材73(73a〜73d)の付勢方向(矢印AR2方向)とは逆方向に移動させられる。そして、図9および図10に示すように、可動ガイド67(67a〜67c)および固定ガイド68の段差面60bと、押さえ枠72の対向面60dと、の距離が広がる。そのため、固定機構60による起立姿勢のワーク3の固定が解除され、ワーク3は受渡部20の各吸着部25(25a〜25d)により吸着保持される。
このように、押圧部35の各押圧用シリンダ37(37a〜37d)は、対応する付勢部材73(73a〜73d)を圧縮することによって、ワーク3の固定状態を解除することができる。
続いて、複数の可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62にワーク3の外縁部4aが突き当てられた状態で、複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)(第1駆動部)を動作させられ、各レバー42(42a〜42c)が揺動させられる。これにより、各可動クランプ部61(61a〜61c)の可動ガイド67(67a〜67c)が、押さえ枠72から離隔する方向に移動させられる。
続いて、搬送ユニット50が、受渡位置P10の固定位置P12から解除位置P11(図1および図2参照)に移動させられる。これにより、各押圧用シリンダ37(37a〜37d)の先端のローラ39(39a〜39d)は、対応する付勢部材73(73a〜73d)を圧縮しつつ、付勢部材73(73a〜73d)上を回転する。そのため、搬送ユニット50は、押さえ枠72をワーク3から離隔させた状態で、搬送方向に沿って移動する。そして、押さえ枠72が、ワーク3から離隔した状態で、ワーク3の外縁部4aが、固定ガイド68の側端面68b(図10)から離隔する。このように、本解除手順によれば、固定機構60に固定されたワーク3の固定状態を良好に解除することができる。
続いて、揺動部30により受渡部20が、移動(揺動)させられることによって、受渡部20に保持されたワーク3が、搬送ユニット50の固定機構60から離隔する。そして、ワーク3が固定機構60から離隔した後に、複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)のロッド38(38a〜38d)が後退させられることによって、押さえ枠72が付勢方向(矢印AR2方向)に移動し、ワーク3の固定解除手順が完了する。
<4.非接触保持ユニットの構成>
図14は、非接触保持ユニット80の構成の一例を示す正面図である。ここで、非接触保持ユニット80は、上述のように搬送ユニット50に接触保持されたワーク3の第1主面3aを、補助的に非接触保持する。図14に示すように、非接触保持ユニット80は、主として、取付台81と、複数の第1吸引部83と、複数の第2吸引部84と、を有している。
ここで、本実施の形態において、符号83の「第1吸引部」と符号84の「第2吸引部84」とを総称して「吸引部」とも称する。すなわち、複数の吸引部は、複数の第1吸引部83と、複数の第2吸引部84と、を有している。
取付台81は、ブレーク位置P20まで走行した搬送ユニット50と対向するように設けられている。図2に示すように、取付台81は、本体ユニット40に固定されている。また、図1および図14に示すように、取付台81の鉛直面81aは、複数の第1吸引部83と、複数の第2吸引部84と、を取り付ける取付面として用いられる。
挿入孔81bは、鉛直方向(Z軸と平行な方向)に延びる貫通長孔であり、取付台81の中央付近に形成されている。第1ブレークバー86は、挿入孔81bを経由してワーク3の第1主面3aに到達する。
複数の吸引部(複数の第1吸引部83および複数の第2吸引部84)は、図1および図14に示すように、取付台81の鉛直面81a上に設けられている。複数の吸引部が、対向する起立姿勢のワーク3の第1主面3aを引きつけることによって、ワーク3が非接触状態で保持される。ここで、本実施の形態において、複数の第1吸引部83および複数の第2吸引部84としては、ベルヌーイチャックが用いられてもよい。
複数(本実施の形態では12個)の第1吸引部83は、図14に示すように、取付台81に形成された挿入孔81bの長手方向両側に沿った状態で、取付台81の鉛直面81a上に設けられている。各第1吸引部83は、例えばベルヌーイチャックにより構成されている。これにより、各第1吸引部83は、対向するワーク3を引きつけることによって、ワーク3を非接触状態で保持することができる。
複数(本実施の形態では12個)の第2吸引部84は、図14に示すように、複数の第1吸引部83を両側から挟み込んだ状態で、取付台81の鉛直面81a上に設けられている。各第2吸引部84は、第1吸引部83と同様に、例えばベルヌーイチャックにより構成されている。これにより、各第2吸引部84は、第1吸引部83と同様に、対向するワーク3を引きつけることによって、ワーク3を非接触状態で保持することができる。
ここで、図14に示すように、各第1吸引部83の直径は各第2吸引部84の直径より小さい。また、図14に示すように、複数の第1吸引部83のうち、隣接するもの同士の間隔D1(第1間隔)は、複数の第2吸引部84のうち、隣接するもの同士の間隔D2(第2間隔)より小さい。
このように、複数の第1吸引部83は、複数の第2吸引部84より密集して配置されている。これにより、挿入孔81b付近のワーク3(換言すれば、第1ブレークバー86付近のワーク3)を、より確実に非接触保持することができる。そのため、脆性材料基板7のブレークを良好に実行することができる。
<5.ブレークユニットの構成>
図15は、ブレークユニット85の構成の一例を示す平面図である。ここで、ブレークユニット85は、搬送ユニット50および非接触保持ユニット80により保持状態とされた脆性材料基板7を、スクライブライン8に沿ってブレークする。図15に示すように、ブレークユニット85は、主として、第1ブレークバー86と、複数の第2ブレークバー87と、を有している。
第1ブレークバー86は、挿入孔81bを経由して搬送ユニット50側に到達するように進退する。図14および図15に示すように、第1ブレークバー86は、取付台81の挿入孔81bに沿って一方向(挿入孔81bの長手方向:Z軸方向)(以下、単に、「延伸方向」とも称する)に延伸する。
複数(本実施の形態では2本)の第2ブレークバー87は、搬送ユニット50に保持されたワーク3を挟んで、第1ブレークバー86の逆側に設けられている。各第2ブレークバー87は、第1ブレークバー86と平行な方向(Z軸方向)に延伸する。
ここで、図15に示すように、搬送方向(矢印AR1方向)における複数の第2ブレークバー87は、所望距離D3だけ隔てて配置されている。また、図15に示すように、第2ブレークバー87、第1ブレークバー86、および第2ブレークバー87は、受渡位置P10からブレーク位置P20に向かう方向(Y軸マイナス方向)に沿って、この順番に配置されている。
また、第1ブレークバー86は、スクライブライン8が形成されている第2主面3bとは逆側の第1主面3a側から(この場合、第1ブレークバー86は、ダイシングシート5に突き当てられる)、スクライブライン8に沿って荷重を付与する。
すなわち、荷重は、スクライブライン8が形成された第2主面3bとは逆側の第1主面3aから、スクライブライン8に付与される。そのため、スクライブライン8に沿った脆性材料基板7のブレークを良好かつ確実に実行することができる。
第1進退駆動部86aは、第1ブレークバー86に駆動力を付与することによって、第1ブレークバー86を進退方向(矢印AR6方向:図15参照)に進退させる。例えば、第1進退駆動部86aは、第1ブレークバー86の延伸方向と、スクライブライン8と、が略平行とされた状態で、第1ブレークバー86をX軸マイナス方向に移動させることによって、第1ブレークバー86を脆性材料基板7の第1主面3aに接近させる。
第2進退駆動部87aは、複数の第2ブレークバー87に駆動力を付与することによって、複数の第2ブレークバー87を進退方向(矢印AR6方向:図15参照)に進退させる。例えば、第2進退駆動部87aは、複数の第2ブレークバー87の延伸方向と、スクライブライン8と、が略平行とされた状態で、複数の第2ブレークバー87をX軸プラス方向に移動させることによって、複数の第2ブレークバー87を脆性材料基板7の第2主面3bに接近させる。
このように、第1および第2進退駆動部86a、87aにより第1および第2ブレークバー86、87が進退させられると、脆性材料基板7がこれら第1および第2ブレークバー86、87に挟み込まれる。その結果、起立姿勢とされた脆性材料基板7がスクライブライン8に沿ってブレークされる。
すなわち、基板ブレーク装置1により実行されるブレーク処理において、第1および第2ブレークバー86、87が脆性材料基板7に接近する方向(進退方向(矢印AR6方向))は、いずれも重力方向(Z軸マイナス方向)に対して略垂直である。
これにより、第1および第2ブレークバー86、87に対する重力の影響は、同様なものとなる。そのため、第1および第2ブレークバー86、87毎に重力の影響を軽減するための方策を講ずることなく、脆性材料基板7を良好にブレークすることができる。
<6.本実施の形態の基板ブレーク装置の利点>
以上のように、本実施の形態の基板ブレーク装置1において、搬送ユニット50(保持ユニット)に脆性材料基板7が保持された場合、第1および第2ブレークバー86、87は、起立姿勢で保持された脆性材料基板7の両主面3a、3b側に配置される。
ここで、本実施の形態と異なり、第1および第2ブレークバーが脆性材料基板の上下に配置され、脆性材料基板の上側および下側から、それぞれ第1および第2ブレークバーが接近する場合について検討する。この場合、第1および第2ブレークバーが脆性材料基板に接近する方向と重力方向とのなす角は、それぞれ約0°(deg)、180°(deg)となる。すなわち、第1および第2ブレークバーに対する重力の影響は、異なったものとなる。その結果、重力の影響に関して何らの調整がなされていない場合、第1および第2ブレークバーから脆性材料基板に付与される荷重が異なったものとなるという問題が生ずる。
次に、本実施の形態のように、起立姿勢で保持されている脆性材料基板7の両主面3a、3b側から、それぞれ第1および第2ブレークバー86、87が接近する場合について検討する。この場合、第1および第2ブレークバー86、87が脆性材料基板7に接近する方向と重力方向とのなす角は、いずれも約90°(deg)となる。
これにより、第1および第2ブレークバー86、87に対する重力の影響は、同様なものとなる。そのため、第1および第2ブレークバー86、87毎に重力の影響を軽減するための方策を講ずることなく、脆性材料基板7を良好にブレークすることができる。
また、本実施の形態の基板ブレーク装置1およびその固定機構60によれば、ワーク3の外縁部4aは、可動クランプ部61(61a〜61c)および固定クランプ部62と、押さえ部71と、によって良好に挟み込まれる。そのため、起立姿勢のワーク3を良好に固定することができる。
また、本実施の形態の基板ブレーク装置1およびその姿勢変更ユニット10において、搬送ユニット50の固定機構60は、姿勢変更ユニット10の押圧部35から付与される荷重によって、ワーク3の固定、およびワーク3の固定解除を実行する。すなわち、搬送ユニット50は、ワーク3の固定、およびワーク3の固定解除を実行させるための要素を必要とせず、この要素に関連した配管および配線を移動側(搬送ユニット50)と固定側(例えば、姿勢変更ユニット10等)との間に設ける必要がない。そのため、姿勢変更ユニット10を用いることによって、走行時における搬送ユニット50の安全性、およびメンテナンス時における作業者の作業効率を向上させることができる。
また、本実施の形態の基板ブレーク装置1により実現される搬送システムにおいて、本体ユニット40および姿勢変更ユニット10(固定側ユニット)に設けられた複数のロータリーアクチュエータ41(41a〜41c)(第1駆動部)および複数の押圧用シリンダ37(37a〜37d)(第2駆動部)からの駆動力によって、ワーク3の固定、およびワーク3の固定解除を実行する。
すなわち、搬送ユニット50は、ワーク3の固定、およびワーク3の固定解除を実行させるための駆動部(第1および第2駆動部)を必要とせず、この要素に関連した配管および配線を移動側(搬送ユニット50)と固定側(姿勢変更ユニット10および本体ユニット40)との間に設ける必要がない。そのため、走行時における搬送ユニット50の安全性、およびメンテナンス時における作業者の作業効率を向上させることができる。
さらに、本実施の形態の基板ブレーク装置1、およびこの基板ブレーク装置1により実現される保持装置は、搬送ユニット50の固定機構60によりワーク3の外縁部4aを接触保持するだけでなく、非接触保持ユニット80によりワーク3の主面(より具体的には第1主面3a)、をも非接触保持することができる。そのため、ワーク3の特性によりワーク3の外縁部4a以外(例えば、ワークの主面3a、3b)を接触保持できない場合であっても、搬送ユニット50(保持ユニット)および非接触保持ユニット80を用いることによってワーク3を良好に保持することができる。
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
(1)本実施の形態において、可動ガイド67(67a〜67c)およびガイド爪69(69a〜69c)は、図8および図9に示すように、互いに別体として構成されものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、可動ガイド67(67a)およびガイド爪69(69a)は、一体的に成形されても良い。
(2)また、本実施の形態において、搬送ユニット50が、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40に対して移動するとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40が、搬送ユニット50に対して移動してもよい。
このように、各ユニット10、40、および50の移動態様は、姿勢変更ユニット10および本体ユニット40(固定側ユニット)に対して搬送ユニット50が相対的に移動すれば、十分である。
(3)また、本実施の形態において、姿勢変更ユニット10のワーク確認センサ15(図4および図5参照)は、昇降台21付近に1つだけ設けられているが、ワーク確認センサ15の個数は、これに限定されるものでない。昇降台21付近に複数(2以上)のワーク確認センサ15が設けられても良い。