JP2013015497A - 粒子測定装置 - Google Patents

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    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/1031Investigating individual particles by measuring electrical or magnetic effects thereof, e.g. conductivity or capacity

Abstract

【課題】高精度な粒子の測定を行う粒子測定装置を提供する。
【解決手段】粒子測定装置15bは、少なくとも2つの電極1aおよび1bと、試料に含まれる粒子の測定が行われる測定部2と、試料が流れる少なくとも1つの上流流路4aおよび下流流路4bを備える。電極1aおよび/または1bは、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bとは異なる領域で、試料の流れの主線となる流線とは異なる領域である特定領域の一部に配置されている。
【選択図】図18

Description

本発明は、例えば試料としての血液中の血球を測定する血球測定装置などの、試料中に存在する粒子に対する測定を行うことが可能な粒子測定装置に関する。
従来から、試料中に存在する粒子を測定することは、エレクトロニクス、メカトロニクス等の分野における製造プロセスの精度管理(例えば、異物混入の検査など)において重要である。また、バイオテクノロジーの分野では、医薬品製造等において古くから試料(サンプル)中の粒子の測定が行われてきた。
今日、医療の分野においては、試料(血液)中の赤血球、白血球、血小板(ここではこれらを血球と称する)の個数を測定し、計数することは、被験者の健康状態を知る上で重要な検査項目である。血液中の血球を測定する方法として、光散乱法および電気抵抗法が挙げられるが、装置構成がシンプルなことから電気抵抗法を用いた血球計数装置が開発されている(例えば特許文献1)。
また、近年、測定に必要な血液量が微量で良い等の利点から、電気抵抗法を用いた血球計数装置のマイクロ化(測定に用いる流路の幅および深さ(高さ)がμm〜mmオーダー)が進められている。
例えば特許文献2では、試料である血液を流すためのマイクロ化された流路(マイクロ流路)の途中にアパチャー(狭隘部)を形成し、血球がアパチャーを通過するときのインピーダンス変化をアパチャー両側のマイクロ流路に設けた2つの電極により検出する構成が開示されている。また、特許文献3では、電圧印加時の電気分解に伴う気泡の影響(気泡がアパチャーを通過することにより電気抵抗が変化するため、測定のノイズ(誤カウント)となる)を除去する目的で、測定用の2つの電極をアパチャーより下流側の流路に配置する構成が開示されている。
なお、上記の電気抵抗法は、血球を含む血液がアパチャーを通過するときに電気抵抗(もしくはインピーダンス)変化が生じることを利用し、血液中の血球を測定する技術である。具体的には、血球が占める容積に比例した電気抵抗(インピーダンス)変化に応じたパルス(信号)強度の検出により血球の種類(赤血球、白血球、血小板)が測定可能であり、当該変化に応じたパルス数の検出により血球数が測定可能である。
特開平4−303285号公報(1992年10月27日公開) 特開2002−277380号公報(2002年9月25日公開) 特開2005−62137号公報(2005年3月10日公開)
しかしながら、特許文献2および3の技術では、試料への電圧印加に伴い、電極では、試料に対する電気分解による気泡が発生するが、その気泡の影響に起因して測定精度が低下するという問題が生じていた。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気抵抗法を用いた試料中の粒子測定において、試料量の増加を招くことなく、高い測定精度を実現可能なマイクロ化された粒子測定装置を提供することにある。
本発明に係る粒子測定装置は、上記課題を解決するために、試料に電圧を印加することにより、前記試料に含まれる粒子の測定を行うことが可能な粒子測定装置であって、前記試料に電圧を印加するための少なくとも2つの電極と、前記試料に電圧が印加されたときの電気抵抗またはインピーダンスが検出されることにより、前記試料に含まれる粒子の測定が行われる測定部と、前記測定部に接続された、前記試料が流れる少なくとも1つの流路と、を備え、前記電極のうち少なくとも何れか1つの電極は、前記測定部および前記流路とは異なる領域で、かつ前記試料が前記測定部および前記流路を流れたときに形成する当該試料の流れの主線となる流線とは異なる領域である特定領域の一部に配置されていることを特徴としている。
前記構成によれば、粒子測定装置では、測定部において、少なくとも2つの電極により試料に電圧が印加されたときの電気抵抗またはインピーダンスが検出されることにより、試料に含まれる粒子の測定が行われる。そして、測定部に流路が接続されることにより、測定部に試料を導入することができる。
また、前記構成によれば、電極が上記特定領域の一部に配置されているため、電極にて発生した気泡が流路および測定部において試料が形成する流線上への流入を抑制できる。すなわち、当該気泡が試料とともに測定部に流入することを抑制できる。また、少なくとも流路への気泡の被覆を抑制できる。それゆえ、本発明の粒子測定装置は、高精度な粒子の測定を行うことができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記特定領域には、前記電極と前記試料とを電気的に導通するための少なくとも1つの導通路が配置されており、前記導通路の一端は前記流路の端部以外の接続領域に接続されていることが好ましい。
前記構成によれば、粒子測定装置は、特定領域に導通路が配置され、導通路の一端が流路に接続されているので、特定領域の一部に電極が配置された構成であっても、測定部に存在する試料に電圧を印加できる。
なお、流路の端部とは、流路において、試料が導入される部分と試料が導出される部分とを指す。
本発明に係る粒子測定装置では、前記導通路の少なくとも一部に、前記電極と前記試料とを電気的に導通する電界質が充填されていることが好ましい。
前記構成によれば、導通路に電解質が充填されているため、導通路を介しての試料への電圧印加を確実に行うことができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記導通路の少なくとも一部に前記電極が配置されていることが好ましい。
前記構成によれば、特定領域に配置された導通路に電極が配置されているので、電極にて発生した気泡が流路および測定部に流入することを抑制できる。
本発明に係る粒子測定装置は、前記特定領域には、前記導通路の他端に接続された、前記電極と前記試料とを電気的に導通する電解質を保持する少なくとも1つのリザーバを備え、前記電極は、前記リザーバの少なくとも一部に配置されていることが好ましい。
前記構成によれば、リザーバが、特定領域に配置され、その一端に流路が接続された導通路の他端に接続されている。そして、このリザーバの少なくとも一部に電極が配置されている。このため、リザーバに電極が配置された構成であっても、導通路を介して、測定部に存在する試料に電圧を印加できる。また、電極で発生した気泡の少なくとも一部をリザーバの内部に留めることが可能となる。すなわち、導通路への気泡の流入を抑制できるので、流路を流れる試料とともに気泡が測定部へ流入することをさらに抑制できる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記導通路の少なくとも一部、または前記導通路の他端に、前記リザーバへの試料の流入を抑制する流入抑制部材が備えられていることが好ましい。
試料がリザーバの内部に導入された場合、この試料は測定部を通過しない試料となるか可能性があり、測定漏れにより測定精度が低下する可能性がある。また、この試料がリザーバ内部で対流した後に再び導通路を介して流路に戻す構成とした場合、電極で発生した気泡がその試料の流れに入り込み、流路に流入してしまう可能性がある。
前記構成によれば、導通路の少なくとも一部、または前記導通路の他端に流入抑制部材が備えられることにより、試料を確実に測定部へと流すことができるので、測定漏れのない精度の高い粒子の測定が可能となる。また、リザーバの内部に試料が流入することを抑制できるので、リザーバの内部で発生した気泡が試料とともに流路に流れ込むことを防ぐことができる。それゆえ、測定部での気泡への電圧印加による誤カウントを防ぐことができ、精度の高い粒子の測定が可能となる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記リザーバの上面に、前記リザーバへの試料の流入を抑制する流入抑制部材が備えられていることが好ましい。
前記構成によれば、試料が導通路を介してリザーバに流入することがないため、リザーバの内部で発生した気泡が試料とともに流路に流れ込むことを防ぐことができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記リザーバに保持された電解質に作用する重力あるいは毛細管力により、または加圧装置により、前記導通路と接続された方向に前記電解質が加圧されることが好ましい。
前記構成によれば、リザーバに保持された電解質が導通路側に加圧されることにより、少なくともリザーバの内部への試料の流入を防ぐことができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記流路の底部を基準とした、前記底部に対向する前記流路の上部へ向かう垂直方向の距離を、前記導通路および前記リザーバの深さとしたとき、前記リザーバの深さが、前記導通路の深さよりも長いことが好ましい。
前記構成によれば、リザーバの深さが導通路の深さよりも長いため、リザーバが保持する電解質に対して、重力(水頭圧)を効果的に作用させることができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記リザーバの材質は疎水性を有することが好ましい。
前記構成によれば、リザーバの材質が疎水性であるため、リザーバが保持する電解質に対して、毛細管力を効果的に作用させることができる。
本発明に係る粒子測定装置では、前記試料を自装置内に導入するための試料導入部と、前記試料を自装置から導出するための試料導出部と、を備え、前記試料導入部および前記試料導出部はそれぞれ、前記流路に接続されていることが好ましい。
前記構成によれば、試料導入部が流路に接続されているので、試料導入部を介して粒子測定装置の外部から試料を効率よく測定部に導入することができる。また、試料導出部が流路に接続されているので、測定部を透過した試料を、試料導出部を介して粒子測定装置の外部へと効率よく導出することができる。
本発明に係る粒子測定装置は、前記電極に接続された電圧印加手段を備えることが好ましい。
前記構成によれば、電圧印加手段が電極を介して試料(あるいはその中に含まれる粒子)に電圧を印加することができるので、粒子の測定を、電気抵抗もしくはインピーダンスの検出により実現できる。
本発明に係る粒子測定装置は、前記試料に電圧を印加するための少なくとも2つの電極と、前記試料に電圧が印加されたときの電気抵抗またはインピーダンスが検出されることにより、前記試料に含まれる粒子の測定が行われる測定部と、前記測定部に接続された、前記試料が流れる少なくとも1つの流路と、を備え、前記電極のうち少なくとも何れか1つの電極は、前記測定部および前記流路とは異なる領域で、かつ前記試料が前記測定部および前記流路を流れたときに形成する当該試料の流れの主線となる流線とは異なる領域である特定領域の一部に配置されている構成である。
それゆえ、本発明の粒子測定装置は、高精度な粒子の測定を行うことができるという効果を奏する。
(a)は、本発明の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 上記粒子測定装置の全体的な概略構成の一例を示す斜視図である。 (a)〜(g)は、上記粒子測定装置が備える導体の配置例を示す上面図である。 (a)〜(f)は、上記粒子測定装置が備える流路の種々の形状を示す上面図である。 上記粒子測定装置が備える流路の更なる変形例を示す上面図である。 上記粒子測定装置が備える流路の更なる変形例を示す上面図である。 上記粒子測定装置が備える試料導入部および試料導出部の形状の一例を示す上面図である。 上記粒子測定装置の変形例を示す図であり、上記流路を1つのみ備える場合の当該粒子測定装置の上面図である。 (a)は、上記粒子測定装置の概略構成の更なる別例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 (a)は、粒子の測定が行われるときに用いられる本発明の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成を示す上面図であり、(b)は、粒子の測定が行われたときに得られる測定結果を示すグラフである。 上記粒子測定装置において大きな抵抗変化率が得られることを説明するための図である。 (a)は、本発明の別の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 上記粒子測定装置が備える試料導入部の概略構成を示す斜視図である。 (a)は、上記粒子測定装置の概略構成の別例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 上記粒子測定装置が備える試料導入部の概略構成を示す斜視図である。 (a)は、上記粒子測定装置の概略構成の変形例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 (a)は、上記粒子測定装置の概略構成の更なる変形例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。 (a)は、本発明の更なる別の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)および(c)は、その断面図である。 (a)〜(c)は、上記粒子測定装置の概略構成の別例を示す上面図である。 (a)〜(d)は、上記粒子測定装置の変形例を示す上面図である。
本発明の各実施の形態について、図1〜図20に基づいて説明する。
各実施の形態では、粒子とは、球形のビーズや血球に限定されず、球形以外の、例えば、塵、埃、細胞や、タンパク質や核酸などの試料中にコロイドとして分散するものも含まれる。
また、各実施の形態では、粒子の測定とは、電気抵抗またはインピーダンスを検出することにより粒子の測定が行われればよく、試料における粒子の有無、試料に含まれる粒子数の計数、試料の質量(あるいは体積)に対する粒子の濃度、試料に含まれる粒子のサイズなど、が含まれる。
また、各実施の形態において使用される試料には、電気抵抗またはインピーダンスで測定可能なものが全て含まれ、例えば、空気、ガスなどの気体試料、水溶液、血液などの液体試料、ゲルなどの高分子溶液試料が挙げられる。
また、各部の「深さ」は、流路の底部(底面)を基準とした、底部に対向する流路の上部(上面)へ向かう垂直方向の距離であり、各部の「長さ」は、流路を試料が流れると仮定した場合のその流れる主方向(流れ方向)の距離であり、各部の「幅」は、各部の「深さ」および「長さ」とそれぞれ垂直な方向の距離である。なお、各部の「深さ」について、流路の底部とそれ以外の部材の底部とが同一平面上にない場合には、当該部材の底部が流路の底部と同一平面上に形成されたと仮定したときの上記距離を「深さ」と定義するものとする。
なお、以下の説明では、粒子測定装置15、15aおよび15bは、粒子を含む試料に対する電気抵抗あるいはインピーダンス検出(抵抗測定)を行うことを前提として説明するが、これに限らず、粒子を含まない試料(例えば標準試料)の抵抗測定を行うことも可能である。粒子を含まない試料の抵抗測定を行う場合には、例えば、測定された電気抵抗値の差分をとることにより試料中の粒子の有無を確認することとなる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
<本実施の形態の概要>
一般に、バルク測定では、バルク(広い空間)に配置された電極間の電気抵抗に対してアパチャーの電気抵抗が支配的であるため、血球がアパチャーを通過した時に大きな抵抗変化率が得られる。しかし、アパチャーに接続された流路がマイクロ化された従来の粒子測定装置(例えば血球計数装置)では、電極間のアパチャー以外の部分(例えば流路)での電気抵抗が無視できないほど大きくなる。これにより、粒子がアパチャーを通過しても、当該部分を含む全体の電気抵抗に対する当該アパチャーでの抵抗変化率が小さくなってしまう。
また、この抵抗変化率が小さくなってしまうことを防ぐ目的で、アパチャー以外を広く深く形成することが考えられるが、これはファブリケーション上困難である上に、必要な試料量の増加を招くこととなってしまう。
このように、試料の微量化を目的として粒子測定装置をマイクロ化した場合には、得られる測定信号の強度が弱められるという問題があった。
本実施の形態に係る粒子測定装置は、上記の問題を解決するために、複数の電極のうち何れか1つの電極と測定部との間に生じる電気抵抗またはインピーダンスを抑制する少なくとも1つの導体を備える構成である。これにより、粒子測定装置は、測定信号(シグナル)の強度が弱められることを防ぐことができる、すなわち強度の強い測定信号を得ることができるので、高精度な粒子の測定を行うことができる。
<粒子測定装置15の全体構造>
まず、図2に基づいて、本実施の形態に係る粒子測定装置15の概略構成について説明する。図2は、粒子測定装置15の全体的な概略構成の一例を示す斜視図である。
図2に示すように、粒子測定装置15は、主に、電極1a、1bと、測定部2と、上流流路4aと、下流流路4bと、導線5と、試料導入部6aと、試料導出部6bと、コネクタ7とを備えている。
電極1aおよび1bはそれぞれ、導線5を介して、コネクタ7に接続(連結)されている。コネクタ7は電圧印加装置(電圧印加手段)(不図示)に接続されるように構成されている。
粒子測定装置15が電圧印加装置に接続された場合、電圧印加装置が電極1a、1bに所定の電圧を印加することにより、電極1aおよび1bを介して、粒子測定装置15の内部に導入された試料に電圧を印加することができる。すなわち、粒子測定装置15は、電気抵抗法により、試料に含まれる粒子の測定を行うことが可能となる。
なお、図2では、コネクタ7を備え、粒子測定装置15と接続可能な構成となっているが、これに限らず、粒子測定装置15が電圧印加装置を備える構成であってもよい。
また、粒子測定装置15では、測定部2を試料が通過する、あるいは測定部2に試料が載置されることにより、試料に電圧が印加されたときの電気抵抗またはインピーダンス(以降では、主に電気抵抗の場合を例に挙げて説明する)が検出される。すなわち、粒子測定装置15は、試料が流れた状態でも静止状態でも、測定部2において粒子の測定を行うことが可能である。
例えば、粒子測定装置15では、試料導入部6aから導入された試料は、上流流路4aを介して測定部2に運ばれた後、下流流路4bを介して試料導出部6bから粒子測定装置15の外部へと導出される。なお、電極1a、1bと、測定部2と、上流流路4aと、下流流路4bと、試料導入部6aと、試料導出部6bとについては以下に詳しく述べる。
また、本実施の形態に係る粒子測定装置15は、電極1aおよび1bの何れか一方の電極と測定部2との間に生じる電気抵抗(その絶対値)を抑制する導体3aおよび3bを備えていることにより、上述したように高精度な粒子の測定を可能としている。なお、粒子測定装置15が導体3aあるいは3bを備えた場合に高精度な粒子の測定が可能となる理由については以下に詳しく述べる。
<粒子測定装置15の製造方法>
ここで、図2に基づいて、粒子測定装置15の製造方法の一例について説明する。
また、粒子測定装置15の上記構成は、例えば、ガラスや樹脂などからなる基板8a、8bを加工した後に貼りあわせることにより作製される。すなわち、基板8bは、基板8aの蓋として機能する。
この場合、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bは、ウエットエッチング/ドライエッチングや機械加工等により、基板8aを削るようにして形成される。導体3a、3bが金属の場合、電極1a、1bおよび導体3a、3bは、基板8aに対して例えばスパッタ、リフトオフを用いて形成される。導体3a、3bがカーボンの場合には、導体3a、3bは、基板8aに対して例えばスクリーン印刷を用いて形成される。また、導体3a、3bが非流動性電界質の場合には、導体3a、3bを形成する位置に非流動性電解質を充填、もしくは流動性電解質として充填後少なくともその一部を硬化(例えば熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いる)することにより形成される。また、試料導入部6aおよび試料導出部6bは、例えば基板8aおよび8bに対する機械加工により形成される。このとき、基板8bの上面(基板8aと対向する面と反対側の面)に、試料導入部6aおよび試料導出部6bの位置と対応する箇所に貫通孔(図12に示す試料導入口9aおよび試料導出口9b)を形成してもよい。
なお、上記では、基板8aおよび8bを貼りあわせて粒子測定装置15を形成する方法について説明したが、これに限らず、基板8aにのみ上記の形成方法が適用されることにより粒子測定装置15を形成することも可能である。また、電極1a、1bおよび導体3a、3bを形成した電極基板と、測定部2、上流流路4a、下流流路4b、試料導入部6aおよび試料導出部6bを形成した流路基板とを接着することにより、粒子測定装置15が形成されてもよい。
<粒子測定装置15の具体的構成>
次に、図1に基づいて、粒子測定装置15の概略構成をより詳しく説明する。図1は、(a)は、本発明の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。
粒子測定装置15は、上述したように、電極1a、1bと、測定部2と、上流流路4aと、下流流路4bと、試料導入部6aと、試料導出部6bとを備えている。図1(a)および(b)に示すように、電極1aおよび1bの間に、上流流路4aおよび下流流路4bを介して測定部2が備えられている。すなわち、上流流路4aおよび下流流路4bのそれぞれの一端と測定部2とが接続されている。
また、上流流路4aおよび下流流路4bの下面(底面)のほぼ全面にはそれぞれ、導体3aおよび3bが備えられている。なお、例えば図3(c)などに示すように、導体3aおよび3bはそれぞれ上流流路4aおよび下流流路4bの少なくとも一部に備えられていてもよい。本発明において、測定信号の強度は、測定部2の構造のみではなく、測定部2の構造と導体3aおよび3bの配置との関係によって規定される。そのため、上記のように導体3aおよび3bが備えられていることにより、粒子測定装置15を形成する基板8aおよび8bの材料や加工精度などの影響を受けて、測定信号の強度が弱まってしまうことを防ぐことができる。
ただし、上流流路4aおよび下流流路4bは、必ずしも試料を測定部2に流すために使用される必要はなく、試料を測定部2に載置するために使用されてもよい。すなわち、上流流路4aおよび下流流路4bは、試料を測定部2に導入(載置)可能な構成であれば、必ずしも流路としての機能を有している必要はない。また、上流流路4aおよび下流流路4bは、必ずしも直線形状である必要はなく、後述の図4(a)に示すように、例えばS字形状などの湾曲形状を有していてもよい。また、粒子測定装置15が上流流路4aおよび下流流路4bのように2つの流路を備えている場合には、後述の図4(b)のようなV字形状、図4(c)のような階段形状、図4(d)のようなコの字型形状を有していてもよい。
なお、上流流路4aおよび下流流路4bにおける試料の流れ方向に垂直な平面(断面)形状は、矩形でなくてもよく、円形、楕円形、三角形など、試料が流れることが可能な形状(あるいは測定部2に載置可能な形状)であればよい。なお、矩形の場合、試料が流れる側の表面(図1(b)で導体3aおよび3bが配置されている表面)が底面、当該底面に対向する表面が上面としている。一方、矩形でない場合、上記底面および上面に対応する上流流路4aおよび下流流路4bの領域はそれぞれ、底部および上部となる。
また、図1では、粒子測定装置15が上流流路4aおよび下流流路4bを備える構成を図示しているが、これに限らず、例えば後述の図8に示すように、上流流路4a(導体3a)のみを備える構成であってもよい。すなわち、粒子測定装置15は、2つの電極1aおよび1bの何れか一方の電極と測定部2との間に生じる電気抵抗を抑制する少なくとも1つの導体を備えていればよい。また、粒子測定装置15は、測定部2と、2つの電極1aおよび1bの何れか一方の電極とに(電気的に)接続された、試料が流れる少なくとも1つの流路を備えていればよい。
また、図1(a)および(b)では、試料導入部6aおよび試料導出部6bが備えられている。試料導入部6aは、上流流路4aの他端に接続されており、その内部の一部には電極1aが配置されている。試料導出部6bは、下流流路4bの他端に接続されており、その内部の一部には電極1bが配置されている。なお、試料を測定部2に導入(載置)可能な構成であれば、必ずしも図1に示すような試料導入部6aおよび試料導出部6bを備えている必要はない。また、試料導入部6aおよび試料導出部6bの両方を備えている必要はなく、例えば1回の粒子の測定を行うことを目的とした粒子測定装置15であれば試料導入部6aのみを備えていればよい。また、例えば試料を測定部2に載置して粒子の測定が行われる場合には、1つの導入/導出部を備えていればよい。
以下、図1(a)および(b)の構成に基づいて、各部の構成をより具体的に説明する。
電極1aおよび1bはそれぞれ、試料中の粒子の測定を電気抵抗(あるいは電気抵抗の変化)として検出するために試料に電圧を印加するためのものである。すなわち、電極1aおよび1bは、測定部2に導入される試料に電圧を印加するためのものである。
上述のように、電極1aおよび1bは、例えば試料導入部6aおよび試料導出部6bの一部(例えば下面など)に設けられ、外部の電圧印加装置(不図示)に接続されている。電極1aおよび1bは、試料導入部6aおよび試料導出部6bに配置されている形状に限らず、例えば図2に示すように、液体として導入された試料中に差し込む構成であってもよい。
また、電極1aおよび1bの材料としては、例えば金、白金、銅、アルミなどの金属、カーボン、導電性高分子などが挙げられ、試料による腐食が少ないことから、特に金、白金が好ましい。
なお、本実施の形態では、粒子測定装置15が電極1aおよび1bを備えている構成について説明しているが、これに限らず、例えば試料導入部6aに電極1aとして機能する電極群を、試料導出部6bに電極1bとして機能する電極群をそれぞれ備えていてもよい。換言すれば、粒子測定装置15は少なくとも2つの電極を備えている。
測定部2は、試料に電圧が印加されたときの電気抵抗が検出されることにより、試料に含まれる粒子の測定が行われる領域であり、アパチャーを形成している。測定部2の幅(図1(a)における紙面の上下方向)は1〜1000μm、好ましくは1〜100μmであり、その深さ(図1(a)における紙面と直交する方向)は1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、その長さ(図1(a)における紙面の左右方向、A−A’線と平行方向)は、0.1〜5000μmである。
上流流路4aおよび下流流路4bは、試料が流れる流路の一部を形成するものであり、これらの幅は1〜5000μm、好ましくは1〜1000μmであり、その深さは1〜1000μm、好ましくは1〜100μmである。また、上流流路4aおよび下流流路4bは、例えば図4(e)および(f)に示すように、分岐構造を有していてもよい。
また、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bの断面形状は、図1(a)では矩形状となっているが、これに限らず、その他円形状、楕円形状などであってもよい。
ここで、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bにおいて粒子が詰まることを防ぐために、上述した測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bの幅および深さは、それぞれ粒子の最大直径よりも大きいことが好ましい。さらに、粒子通過時の抵抗変化率を大きくするために、測定部2の断面積(例えば矩形形状の場合、幅×深さ)は、測定対象の粒子の最大断面積(例えば球形状の場合、円周率×粒子の半径×粒子の半径)よりも少し大きい(粒子の断面積に対する測定部2の断面積比が1以上15以下、好ましくは10以下)ことが好ましい。
試料導入部6aは、試料を自装置内に導入、具体的には試料を上流流路4aを介して測定部2へ導入するためのものであり、上流流路4aと、測定部2とが接続された領域とは異なる接続領域で接続されている。また、試料導出部6bは、試料を下流流路4bから粒子測定装置15の外部へ導出するためのものであり、下流流路4bと、測定部2とが接続された領域とは異なる接続領域で接続されている。これにより、粒子測定装置15に対する試料の導入/導出を効率よく行うことができる。また、試料導入部6aおよび試料導出部6bのそれぞれの幅は1〜50000μm、深さは1〜50000μm、長さは1〜50000μmである。
例えば、図1(a)では、A−A’線と平行方向において、上流流路4aの一端が測定部2に接続され、他端が試料導入部6aに接続されている。同様に、下流流路4bの一端が測定部2に接続され、他端が試料導出部6bに接続されている。換言すれば、上流流路4aは、測定部2の上流側、すなわち試料が測定部2に導入される側の試料導入部6aに接続されるように配置されており、下流流路4bは、測定部2の下流側、すなわち試料が測定部2から導出される側の試料導出部6bに接続されるように配置されている。これにより、測定部2に対する試料の導入/導出を効率よく行うことができる。
また、試料導入部6aおよび試料導出部6bにチューブを差込み、粒子測定装置15の外部から試料(液体)を導入、または外部へ当該試料を導出する構成であってもよい。
導体3aおよび3bは、測定部2以外の部分(本実施形態では上流流路4aおよび下流流路4b)の電気抵抗を低減し、測定信号(粒子の測定部2の通過に伴う抵抗変化率)を大きくする目的で、電極1a、1bと測定部2との間に形成されている(本実施形態では上流流路4aおよび下流流路4bに形成)。これにより、電極1a、1bと測定部2との間の電気抵抗の影響を極力排除することができる。
導体3aおよび3bの材料としては、試料より高い導電性を有する物質が好ましく、例えば金属、カーボン、導電性高分子、非流動性電解質などが挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、ニッケル、スズ、銅、銀、白金、金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、タングステンなどが挙げられる。カーボンとしては、例えば、グラッシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、炭素繊維などが挙げられる。導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなどが挙げられる。非流動性電解質としては、例えば塩化物イオン伝導性固体電解質、βアルミナ、安定化ジルコニアなどの固体電解質、および、例えば塩橋(塩化カリウム、硝酸アンモニウムまたは酢酸リチウムを含むアガロース)、塩化カリウムなどの液体電解質を含むポリ塩化ビニル、またはポリアクリルアミドなど、液体電解質を含むゲル状物質が挙げられる。また、図4(e)および(f)で説明するように、導体3aおよび3bとして非流動性電解質が用いられる場合、液体電解質を分岐路24aおよび24b内に充填しゲル状物質でその分岐路24aおよび24bのそれぞれの両端(第1分岐点241および第2分岐点242)を封止することも可能である。
また、導体3aおよび3bは、電極1aおよび1bと測定部2とを結ぶ方向の長さが1mm以上10cm以下である。この場合、製造工程を考慮して導体3aおよび3bを粒子測定装置15に備えることができる。すなわち、導体3aおよび3bが金属およびカーボンの場合、その長さを1mm以上とすることで、粒子測定装置15をスパッタやリフトオフ、スクリーン印刷等により容易に作製することができる。また、導体3aおよび3bを配置することにより粒子測定の信号強度を効果的に高めることができる(後述)。また、導体3aおよび3bを10cm以下とすることで、粒子測定装置15の小型化(チップ化)を図ることができる。
また、導体3aおよび3bは、電極1a、1bおよび電圧印加装置には直接接続されていない(試料を通して導通する)構成である。すなわち、導体3aおよび3bは、電極1a、1bと離間して備えられている。これにより、導体3aおよび3bが、測定部2での粒子の測定に与える、電極1a、1bと測定部2との間での電気抵抗の影響を抑制することができる。
また、図1(b)のように、導体3aおよび3bが、必ずしも上流流路4aおよび下流流路4bの下面にそれぞれ形成される必要はない。2つの導体3aおよび3bをそれぞれ、例えば上流流路4aおよび下流流路4bの下面(2つの導体を対応する同じ表面)に配置した場合には、それぞれに生じる電気力線が略半円状になる。主として測定部2の深さ方向に電気力線の粗密が生じるため、2つの導体3aおよび3b間の距離が近い場合、測定部2において深さ方向に電場の強弱が生じる可能性がある。このとき、粒子が測定部2の上方を流れた場合、その上方部分が弱電場のため、測定部2の下方を流れるとき(強電場)と比べ信号強度が低くなる可能性がある。
この信号強度の低下を防止するために、例えば、上流流路4aの下面に導体3aを配置した場合、下流流路4bの上面に導体3bを配置することが好ましく、また、その上面および下面の両方に配置してもよい。一方、その配置関係が上流流路4aと下流流路4bとで逆の構成であってもよい。さらに、導体3aが上流流路4aの上面および下面の両方に、導体3bが下流流路4bの上面および下面の両方にそれぞれ備えられていてもよい。また、導体3aおよび3bがそれぞれ上流流路4aおよび下流流路4bの側面に備えられていてもよい。
換言すれば、上流流路4aおよび下流流路4bのうちの一方の流路を形成する一表面に備えられた導体3aまたは3bは、その一表面に対応する、他方の流路を形成する一表面の対向面に少なくとも備えられている。このように、少なくとも一方の導体を対向面に配置することで、上記電気力線が測定部2においてより均一にすることができ、導体3aおよび3b間の距離が近い場合においても、測定部2における粒子通過に伴う信号強度を高く維持することが可能となる。すなわち、この導体配置により、上流流路4aおよび下流流路4bを流れる試料中の粒子に効果的に電場がかかるので、強度の強い測定信号を得ることができ、上記の信号強度の低下を防止できる。
それゆえ、本実施の形態の粒子測定装置15を用いることにより、電気抵抗法を用いた試料中の粒子の測定において、試料量の増加を招くことなく、高い測定信号の強度(S/N比)および高い測定精度での粒子の測定が可能となる。このため、粒子測定装置15を、例えば、極微量血液を試料として用い、かつ流路がマイクロ化された血球測定装置として提供することが可能となる。
次に、図3〜図8に基づいて、導体3aおよび3b、上流流路4a、下流流路4b、試料導入部6a、試料導出部6bの形状の変形例について説明する。
(導体の形状)
まず、導体3aおよび3bの形状の変形例について、図3(a)〜(g)に基づいて説明する。
図3(a)に示すように、導体3a、3bは、上流流路4aおよび下流流路4bだけでなく、測定部2の一部にも形成されていてもよいし、試料導入部6aおよび試料導出部6bの一部にも形成されていてもよい。この構成の場合、粒子が測定部2を通過するときに測定される抵抗変化率をより大きくすることができる。
また、図3(b)に示すように、導体3aおよび3bの幅は、上流流路4aおよび下流流路4bの幅よりも大きくてもよい。この構成の場合、上述した電極基板と流路基板との貼り合わせにおける位置合わせが容易となる。
また、図3(c)に示すように、導体3aおよび3bの幅は、上流流路4aおよび下流流路4bの幅より小さくてもよい。この構成の場合、上述した電極基板と流路基板との貼り合わせにおいて、流路基板における接着面と電極基板との間に導体3aおよび3bが存在しないため、これらの基板の接着が容易となる。
なお、図3(d)に示すように、導体3aおよび3bの幅は一様である必要はなく、例えば、試料導入部6a、試料導出部6bおよび測定部2に近接する側でその幅が大きく、他の領域でその幅が小さい構成としてもよい。
また、図3(e)に示すように、導体3aおよび3bが上流流路4aおよび下流流路4bの内部に全て形成される必要はない。すなわち、試料導入部6a、試料導出部6bおよび測定部2に近接する側においては、上流流路4aおよび下流流路4bの内部にそれぞれ導体3aおよび3bが形成され、その他の領域では上流流路4aおよび下流流路4bの外部において接続されている構成でもあってもよい。換言すれば、導体3aおよび3bは、上流流路4aおよび下流流路4bそれぞれの内部において離間して備えられ、上流流路4aおよび下流流路4bそれぞれの外部において接続されている。
この構成の場合、上流流路4aおよび下流流路4bを試料が流れることによる、上流流路4aおよび下流流路4bに備えられた導体3aおよび3bの劣化を防ぐことができる。これにより、長寿命の粒子測定装置15を実現でき、粒子測定装置15を連続的にあるいは繰り返して使用することができる。例えば、導体3aおよび3bの劣化現象としては、試料との接触による導体の酸化や、試料が血液の場合には、当該血液に含まれるタンパク質の導体への吸着などが挙げられる。
また、例えば上流流路4aでは、その内部において離間して(図3(e)では2箇所)備えられた導体3aが、上流流路4aの外部において接続されている。このため、導体3aを上流流路4aの下面の全面に備えた場合と同等に、粒子の測定に対する上流流路4aでの電気抵抗の影響を抑制することができる。
さらに、例えば上流流路4aでは、上流流路4aの内部において離間して備えられた2つの導体3a間のスペース(導体が存在しない上流流路4a内の領域)に、電気的なセンサを配置することができる。この場合、これらのセンサからの検知結果を受けることにより、導体3aのみを備えた場合よりも高精度な粒子の測定、もしくは1回の粒子の測定で複数項目の測定を行うことが可能となる。なお、上記の電気的なセンサとしては、例えば、流量センサや流体検知センサ、アナライト(イオンやタンパク質など)を分析するための電気化学検出センサなどが挙げられる。
なお、上記では、上流流路4aを例として説明したが、下流流路4bの場合についても同様のことがいえる。
また、図3(f)および(g)に示すように、導体3aおよび3bは、上流流路4aおよび下流流路4bの長さ方向、または上流流路4aおよび下流流路4bの幅方向にストライプ状に形成されてもよい。
図3(a)〜(g)では、図1(a)と同様、導体3aおよび3bが離間して設けられている(互いに接続されておらず、試料を通して導通する)。この場合、導体3aおよび3b間の直線最短距離は、0.1〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmである。換言すれば、上流流路4aに備えられた導体3aと、下流流路4bに備えられた導体3bとは、少なくとも0.1μm以上1000μm以下だけ離間して備えられている。このように離間して備えることにより、簡単な製造方法で、強度の強い測定信号(測定部において大きな抵抗変化率)を得ることができる。
なお、導体3aおよび3bの長さは、当該導体作製上の精度から0.1μm以上であることが好ましい。また、一般に、導体3aおよび3bのそれぞれに生じる電気力線の粗密が均等化されると仮定した場合、基本的には導体3aおよび3b間の距離が近い程、測定部2における粒子通過に伴う信号強度(測定部2における抵抗変化率)が強くなる(系全体の抵抗が下がるため)。このため、導体3aおよび3bを離間しすぎると信号強度が低下する可能性がある。この点を考慮すればその距離が1000μm以下であることが好ましい。
また、例えば、導体3aまたは3bをそれぞれ、上流流路4aまたは下流流路4bの上面および下面の両方に設ける場合、その上面の導体と下面の導体とが接続されていない方向は、各流路の深さ方向となる。このとき、測定部2まで導体3aおよび3bが形成される場合、測定部2の一部で、かつ測定部2の上面および下面の両方に、導体3aおよび3bが配置される。
なお、上記の他、導体3aおよび3bは、上流流路4aおよび下流流路4bの外部(例えば試料導入部6a、試料導出部6bなど)からそれぞれ、その内部へ差し込む構成としてもよい。また、導体3aおよび3bは、直線形状である必要はなく、例えば図4(a)〜(f)に示す上流流路4aおよび下流流路4bの形状にあわせて、例えばS字形状、コの字型形状などの湾曲形状を有していてもよい。
(上流流路4aおよび下流流路4bの形状)
次に、上流流路4aおよび下流流路4bの形状の変形例について、図4(a)〜(f)に基づいて説明する。
図4(a)〜(d)に示すように、測定部2と上流流路4aおよび下流流路4bとは、直線状に接続されている必要はなく、例えば、図4(a)に示されるように、上流流路4aおよび下流流路4bがS字形状に湾曲していてもよい。また、図4(b)のV字型形状、図4(c)に示す階段形状、図4(d)に示すコの字型形状であってもよい。
また、図4(e)および(f)に示すように、上流流路4aおよび下流流路4bは分岐構造を有していてもよい。この場合、分岐路24aは、上流流路4a内の電極1a側の第1分岐点241と、上流流路4a内の測定部2側の第2分岐点242とにおいて、上流流路4aから分岐した構造であり、この分岐路24a内に導体3aを配置することが好ましい。
また、上流流路4aを流れる試料は分岐路24a内に導入されないことが好ましい。分岐路24a内の電気抵抗(絶対値)が、上流流路4a(図4(e)および(f)では直線流路)の電気抵抗よりも低くなるよう、分岐路24aの構造の設計および導体3aの配置を行うことで、粒子の測定に対する上流流路4aでの電気抵抗の影響を抑制することが可能である(後述)。
分岐路24aの構造として、分岐路24aの幅および/または深さを上流流路4aの幅または/および深さより大きくすることが挙げられる。ただし、導体3aの導電率が試料の導電率よりも高い場合は、分岐路24aの幅および/または深さは上流流路4aの幅および/または深さと同等かそれ以下でもよい。
また、分岐路24aへの試料の導入を防ぐために、導体3aは、上述の非流動性電解質であることが好ましい。または、分岐路24a内に、上述の金属、カーボン、導電性高分子を導体3aとして、例えば食塩水などの流動性電解質と共に配置し、分岐路24aの第1分岐点241および第2分岐点242をゲルなどの非流動性物質で封止する構成としてもよい。試料の分岐路24aへの導入を防ぐことで、測定に使用する試料の体積は、分岐路24a分の体積増加に影響されないため、微量試料での測定が可能となる。
また、分岐路24aへの試料の導入を防ぐ場合であっても、分岐路24aの第1分岐点241および第2分岐点242において、上流流路4a(測定部2)と試料を介して電気的に導通されている。
このように、上流流路4aに分岐路24aを接続し、分岐路24a内に導体3aを配置することで、試料が流れる上流流路4aに影響を与えることなく、強度の強い測定信号(測定部2において大きな抵抗変化率)を得ることができる。また、導体3aの種類の選択の幅を広げることも可能となる。なお、上記では、上流流路4aを例として説明したが、下流流路4bの場合についても同様のことがいえる。
なお、図4(a)〜(c)では、導体3aおよび3bはそれぞれ、上流流路4aおよび下流流路4bを全て含むように形成されているが、これに限らず、上述したように、上流流路4aおよび下流流路4bの形状に沿ってその内部に備えられる構成であってもよい。また、図4(a)〜(f)では、導体3aおよび3bはそれぞれ、上流流路4aおよび下流流路4b(図4(e)および(f)では分岐路24aおよび24b)の全領域に形成されているが、上述したように、その一部に備えられる構成であってもよい。また、上流流路4aおよび下流流路4bの形状がそれぞれ異なっていてもよい。例えば、上流流路4aの形状が図4(a)に示すS字形状、下流流路4bの形状が図4(b)に示すV字形状の片側であってもよい。
また、図4(e)および(f)において、分岐路24aおよび分岐路24bのみに導体3aおよび3bが備えることにより、強度の強い測定信号を得て、導体3aおよび3bの種類の選択の幅を広げている。しかし、この点を考慮しなければ、分岐路24aおよび分岐路24bだけでなく、上流流路4aおよび下流流路4bのそれぞれにも導体3aおよび3bが備えられてもよい。
(その他の形状)
また、図5〜図8に示すような、導体3a、3b、上流流路4aおよび下流流路4b、試料導入部6aおよび試料導出部6bの形状であってもよい。
例えば、図5に示すように、上流流路4aおよび下流流路4bは、測定部2側において切り欠き形状(上流流路4aおよび下流流路4bが円錐状の場合テーパ構造となる)を有しており、各流路の内表面(試料と接する側の表面)が徐々に測定部2の断面の大きさへと減少していてもよい。この場合、粒子が(流れの淀みに伴い)測定部2の前後(上流流路4aおよび下流流路4bと接続された領域)において詰まることがないので、精度の高い粒子の測定が可能となる。また、このとき、導体3aおよび3bも、上流流路4aおよび下流流路4bの形状に沿うように上記の切り欠き形状を有してもよい。
また、図6に示すように、測定部2の断面積が、上流流路4aおよび下流流路4bの断面積と略同一(例えば、断面積が等しい、あるいは、測定部2に対する上流流路4aおよび下流流路4bの断面積比が0.5以上2以下など)を有する構造としてもよい。本実施の形態において、上流流路4aおよび下流流路4bの断面積を測定部2の断面積と略同一としても、測定信号(抵抗変化率)は、測定部2以外の領域における電気抵抗の影響を受けない(後述)。このため、上記の断面積を略同一とすることにより、粒子の測定に必要な試料量をさらに低減できる。
例えば、図7に示すように、試料導入部6aおよび試料導出部6bはそれぞれ、上流流路4aおよび下流流路4b側において切り欠き形状(テーパ構造)を有しており、試料導入部6aおよび試料導出部6bの内表面が徐々に各流路の断面の大きさへと減少していてもよい。この場合、試料導入部6aおよび試料導出部6bでの流れの淀みに伴う粒子の詰まりがないので、精度の高い粒子の測定が可能となる。
また、図8に示すように、導体および流路は必ずしも2つある必要はなく、例えば上流流路4aに導体3aを配置し、上流流路4aと試料導出部6bの間に測定部2を形成する構成としてもよい。また、その逆の構成、すなわち下流流路4bに導体3bを配置し、下流流路4bと試料導入部6aとの間に測定部2を形成してもよい。
<粒子測定装置15の更なる別例(その1)>
次に、図9に基づいて、粒子測定装置15の更なる別例について説明する。図9は、粒子測定装置15の概略構成の更なる別例を示す上面図および断面図である。
図9(a)に示すように、粒子測定装置15を上面からみたときの形状は、例えば図1(a)と同様の構成であるが、図9(b)に示すように、この粒子測定装置15の測定部2の深さが、上流流路4aおよび下流流路4bの深さよりも浅くなっている。例えばその深さは、1〜500μm、好ましくは1〜100μmである。
上流流路4aおよび下流流路4bと、測定部2との深さが等しく、2つの導体3aおよび3bを上流流路4aおよび下流流路4bの下面にそれぞれ配置した場合、電気力線が略半円状になる。この場合、上述したように、測定部2において深さ方向に電場の強弱が生じ、測定部2の上方を流れる粒子が、その下方を流れる粒子に比べ信号強度が低くなる可能性がある。測定部2の深さを上流流路4aおよび下流流路4bの深さより浅くすることで、電気力線が測定部2においてより均一にすることができ、導体3aおよび3b間の距離が近い場合においても、測定部2における粒子通過に伴う信号強度を高く維持することが可能となる。すなわち、この深さ設定により、上記の信号強度の低下を防止できる。
<試料測定方法>
以下に、本実施の形態に係る粒子測定装置15を用いた試料中の粒子測定方法について図10および図11を参照して述べる。なお、図10は、粒子の測定が行われるときに用いられる粒子測定装置15の概略構成を示す上面図と、そのときに得られる測定結果を示すグラフである。また、図11は、粒子測定装置15において大きな抵抗変化率が得られることを説明するための図である。なお、図10(a)に示す粒子測定装置15は、図1に示す粒子測定装置15に対応するものである。また、以下の説明において、従来の粒子測定装置(導体3a(3b)を備えない構成)についても、便宜上、図10に示す粒子測定装置15の部材番号を用いる場合がある。
本実施の形態に係る粒子測定方法は、試料に電圧を印加することにより、試料に含まれる粒子の測定を行うことが可能なものである。この粒子測定方法は、試料に含まれる粒子の測定が行われる測定部2に試料を配置する配置工程と、少なくとも2つの電極1aおよび1bを介して、試料に電圧を印加する電圧印加工程と、測定部2において、電気抵抗またはインピーダンスを検出する検出工程と、を含む。そして、電圧印加工程における電圧の印加は、2つの電極1aおよび1bの何れか一方の電極と測定部2との間に生じる電気抵抗またはインピーダンスを抑制する少なくとも1つの導体3a(3b)が配置されて行われる。
この方法により、上述したように、測定部2における電気抵抗(その変化)を示す測定信号の強度が弱められることを防ぐ(測定信号の強度を強める)ことができるので、高精度な粒子の測定を行うことができる。
また、上記配置工程が、試料を上流流路4aおよび下流流路4bを介して測定部2に流すことより行われてもよい。この場合、連続的に試料中の粒子の測定を行うことができる。また、上記粒子測定方法は、試料を上流流路4aに接続された試料導入部6aから導入する導入工程と、下流流路4bに接続された試料導出部6bから導出する工程をさらに含んでもよい。
本実施の形態で用いられる電気抵抗法もしくはインピーダンス法による試料中の粒子の測定は、少なくとも2つ以上の電極を用いて試料に電圧を印加した場合に、試料中に粒子(略絶縁体)が存在することによる電極間の抵抗(もしくはインピーダンス)が、粒子が存在しない場合に対して変化する(大きくなる)ことを利用して行われる。また、上記試料が血液で、粒子が血球の場合、血球が占める容積に比例した電気抵抗(インピーダンス)変化に応じたパルス(信号)強度の検出により血球の種類(赤血球、白血球、血小板)が測定可能であり、当該変化に応じたパルス数の検出により血球数が測定可能である。
電気抵抗もしくはインピーダンス(変化)の測定に際し、測定用の電極間に定電流を印加した場合の、電極間の抵抗変化を、次式(1)、すなわち、
ΔV = I・ΔR …(1)
により、電圧変化として測定することが一般的である。ここで、ΔVは粒子の有無による電圧変化、Iは定電流値、ΔRは粒子の有無による抵抗変化である。実際の測定では、印加電圧の大きさに比例するノイズ(測定電圧値の揺らぎ)が発生するため、電圧変化を測定可能な信号(測定信号)としてとらえるためには、S/N比が重要となり、初期電圧Vと電圧変化量との比であるΔV/V(=ΔR/R、抵抗変化率)が測定信号の検出指標として重要となる。
また、一般に、電気抵抗Rは、
R = ρ・L/S …(2)
で表される。ここで、ρは試料の電気抵抗率(導電率の逆数)、Lは抵抗の長さ、Sは抵抗の断面積である。
図10において導体3aおよび3bが無い(従来のマイクロ化された粒子測定装置に相当する)場合において、粒子が無い場合の電極1aおよび1b間の電気抵抗R1は、次式(3)に示すように、
R1 = R16a+R14a+R1+R14b+R16b …(3)
となる。ここで、R16aは試料導入部6aの電気抵抗、R14aは上流流路4aの電気抵抗、R1は測定部2の電気抵抗、R14bは下流流路4bの電気抵抗、R16bは試料導出部6bの電気抵抗である。
試料導入部6aおよび試料導出部6bはそれぞれ、上流流路4aおよび下流流路4bに比して断面積が大きいため、電気抵抗R16aおよびR16bは、上流流路4aおよび下流流路4bの電気抵抗R14a、R14bおよび測定部2の電気抵抗R1に比べて無視できるほど小さい値となる(実質、R1≒R14a+R1+R14bとなる)。測定部2を粒子が通過するとき、測定部2に導入された導電体である試料の一部が、略絶縁体である粒子によって遮蔽されるため、測定部2における電気抵抗が増加する。このときの、電極1aおよび1b間の電気抵抗R1’は、次式(4)に示すように、
R1’ = R16a+R14a+R1’+R14b+R16b …(4)
となる。ここで、R1’は試料中に粒子が存在する場合の測定部2の電気抵抗である。
よって、粒子の存在を測定信号として検出するには、抵抗変化率を示す次式(5)、すなわち、
ΔR1/R1 = (R1’−R1)/R1=(R1’−R1)/R1
…(5)
が検出指標となる。
ここで、マイクロ化された従来の粒子測定装置では、(5)式の分母R1に含まれるR14a(上流流路4aの電気抵抗)およびR14b(下流流路4bの電気抵抗)が非常に大きい(マイクロ化された各流路の断面積が非常に小さい)ため、抵抗変化率が小さく測定信号が得られにくい(ノイズに埋もれる)という問題が生じていた。これは特に、例えば、血液中の血小板(2μm相当)などの小さな粒子を赤血球(8μm相当)と同時に検出する場合に大きな問題となる。なお、測定部は赤血球サイズより小さくできない(小さくすると赤血球が詰まってしまう)ので、測定部のサイズを小さくし、測定部での抵抗変化率を上げることによる対策を採用することは困難である。また、これを防ぐ目的で、測定部以外の各流路を広く深く形成することが考えられるが、これはファブリケーション上困難である上に、必要な試料量の増加を招く結果となる。
図10(b)に、従来の粒子測定装置において、当該粒子測定装置における位置(紙面の左右方向)と電圧値(抵抗値に比例)との関係を、点線にて示す。従来の粒子測定装置の全体(系全体)の印加電圧をVINとすると、上流流路4aおよび下流流路4bでの電圧降下が生じるため、粒子の測定に関与する電圧(測定部での電位差V1)が小さくなる。よって、粒子の有無による測定部での電圧変化は測定部での電位差内の値となるため、測定信号の検出指標であるΔV/Vは、V1/VINよりも小さな値となる。
これに対し、本実施の形態に係る粒子測定装置15(粒子測定方法)では、上流流路4aおよび下流流路4bに、試料より高い導電性(低い電気抵抗)を有する導体3aおよび3bを配置している。本実施の形態に係る粒子測定装置15において、粒子が無い場合の電極1aおよび1b間の電気抵抗R2は、次式(6)に示すように、
R2 = R26a+R24a+R2+R24b+R26b …(6)
となる。ここで、R26aは試料導入部6aの電気抵抗、R24aは上流流路4aの電気抵抗、R2は測定部2の電気抵抗、R24bは下流流路4bの電気抵抗、R26bは試料導出部6bの電気抵抗である。
本実施の形態では、上流流路4aおよび下流流路4b中に導体3aおよび3bが存在するので、R24aおよびR24bは導体3aおよび3bが無い場合に比べ小さな値となる。特に導体3aおよび3bとして金属を用いた場合には、R24aおよびR24bの値は、実質0となる。よって、(6)式は次式(7)、すなわち、
R2 = R26a+R2+R26b …(7)
に書き換えられる。ここで、試料導入部6aおよび試料導出部6bは測定部2に比して断面積が大きいため、電気抵抗R26aおよびR26bは測定部2の電気抵抗R2に比べて無視できるほど小さい値となる(実質、R2≒R2となる)。
測定部2を粒子が通過するとき、測定部2に導入された導電体である試料の一部が、略絶縁体である粒子によって遮蔽されるため、測定部2の電気抵抗が増加する。このときの、電極1aおよび1b間の電気抵抗R2’は、
R2’ = R26a+R2’+R26b …(8)
となる。ここで、R2’は粒子が存在する場合の測定部2の電気抵抗である。
よって、粒子の存在を測定信号として検出するには、抵抗変化率である次式(9)、すなわち、
ΔR2/R2=(R2’−R2)/R2=(R2’−R2)/R2 …(9)
が検出指標となる。
ここで、(9)式の分母R2が、導体3aおよび3bが無い場合の分母R1((5)式参照)より、上流流路4aおよび下流流路4bの抵抗分だけ小さいため、抵抗変化率は大きな値となる。
図10(b)に、本実施の形態に係る粒子測定装置15において、粒子測定装置15における位置と電圧値との関係を実線にて示す。
粒子測定装置15の全体(系全体)の印加電圧をVINとすると、上流流路4aおよび下流流路4bでの電圧降下が実質無いため、粒子の測定に関与する電圧(測定部2での電位差V2)が大きくなる(V2>V1)。よって、粒子の有無による測定部2での電圧変化は測定部2での電位差内の値となるため、測定信号の検出指標であるΔV/V(≦V2/VIN)は、上流流路4aおよび下流流路4bのそれぞれに導体3aおよび3bが無い場合と比べ大きくなる。よって、本実施の形態に係る粒子測定装置15(当該装置を用いた粒子測定方法)では、必要試料量の増加を招くことなく、極微量の試料で電気抵抗法による粒子の測定を高い信号強度(S/N比)で得ることが可能となる。
次に、図4(e)および(f)に示す粒子測定装置15を用いた試料中の粒子測定方法においても、高い信号強度が得られることを説明する。
図4(e)および(f)に示す分岐路24a、24bおよび導体3a、3bを有する構成において、粒子が無い場合の電極1aおよび1b間の電気抵抗R3は、次式(10)に示すように、
R3 = R36a+R3+R3+R3+R36b …(10)
となる。ここで、R36aは試料導入部6aの電気抵抗、R3は上流流路4aおよび分岐路24aからなる電気抵抗(合成抵抗)、R3は測定部2の電気抵抗、R3は下流流路4bおよび分岐路24bからなる電気抵抗(合成抵抗)、R36bは試料導出部6bの電気抵抗である。
R3の合成抵抗は、上流流路4aおよび分岐路24aが並列に接続されているため、次式(11)に示すように、
1/R3 = 1/R34a+1/R324a …(11)
となる。ここで、R34aは上流流路4aの電気抵抗、R324aは分岐路24aの電気抵抗である。(11)式を変形することで、合成抵抗R3は、次式(12)に示すように、
R3 = (R34a・R324a)/(R34a+R324a) …(12)
となる。分岐路24aに導電性の高い(電気抵抗の低い)導体3aを配置することで、R34a≫R324aとなり、R3は、実質、
R3 = (R34a・R324a)/(R34a) = R324a …(13)
となる。
よって、マイクロ化された従来の粒子測定装置(分岐路および導体が無い場合)における上流流路4aの高い抵抗は、本実施の形態の分岐路24aおよび導体3aの配置により、低い抵抗(導体3aとして金属を用いる場合、実質0)に置換される。これは、下流流路4bにおいても同様である。そして、試料導入部6aおよび試料導出部6bの断面積が、上流流路4a、下流流路4bおよび測定部2の断面積より大きいため、実質、R3≒R3となる。
よって、粒子の存在を測定信号として検出するには、(9)式と同様に、抵抗変化率であるΔR3/R3が検出指標となり、上述した(3)〜(9)式での説明と同様に、分母R3が、分岐路24a、24bおよび導体3a、3bが無い場合の分母R1((5)式参照)より、上流流路4aおよび下流流路4bの抵抗分だけ小さいため、抵抗変化率は大きな値となる。
また、上述の図10(b)を用いた説明と同様に、上流流路4aおよび下流流路4bでの電圧降下が実質無いため、粒子の測定に関与する電圧(測定部2での電位差V3(図10(b)ではV2)が大きくなる(V3>V1)。このため、粒子の有無による測定部2での電圧変化は測定部2での電位差内の値となるため、測定信号の検出指標であるΔV/V(≦V3/VIN)は、上流流路4aおよび下流流路4bのそれぞれに分岐路24a、24bおよび導体3a、3bが無い場合と比べ大きくなる。
よって、図4(e)および(f)に示す粒子測定装置15(当該装置を用いた粒子測定方法)では、必要試料量の増加を招くことなく、極微量の試料で電気抵抗法による粒子の測定を高い信号強度(S/N比)で得ることが可能となる。
(大きな抵抗変化率が得られる理由について)
また、本実施の形態では、基板8aまたは8bの加工精度や材料などを問わず、大きな抵抗変化率を得ることが可能である。その理由について、図11に基づいて説明する。なお、説明を簡略化するために、図11に示すように、測定部2の断面は矩形であり、測定部2を通過する粒子は一辺aの立方体であるとする。また、図10と同様、図11に示す粒子測定装置15は図1に示す粒子測定装置15に対応するものである。
図11に示すように、測定部2は幅W、深さH、長さDを有するものとする。粒子が存在しないときの測定部2(アパチャー)の電気抵抗Rは、(2)式より、
R = ρ・D/(H・W) …(14)
と表される。ここで、ρは試料の電気抵抗率である。
一辺aの粒子が測定部2内に存在するときの電気抵抗R’は、簡略化のため、粒子存在領域のみが遮蔽されるとすると、
R’ = ρ・a/(H・W−a)+ρ・(D−a)/(H・W) …(15)
と表される。よって、抵抗変化ΔRは、
ΔR = R’−R = ρ・a/(H・W−a)−ρ・a/(H・W)
…(16)
と表される。
また、測定信号の検出指標となる抵抗変化率ΔR/Rは、
ΔR/R = (1/D)・{(1/(H・W−a))−1/(H・W)}・a・H・W …(17)
と表される。
抵抗変化率を上げるためには、上述したように、測定部2の断面積と粒子の断面積との関係はもちろん重要となるが、(17)式より、測定部の長さDをできるだけ小さく形成することが重要である。しかし、実際の加工では、測定部2の長さを小さくすると、測定部2の壁が薄くなり崩れるため、現実的には測定部2の長さには制限が生じるという問題がある。特に、基板材料として樹脂、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)を用いたときは機械強度が低いため、上記問題が顕著となる。
本実施の形態に係る粒子測定装置15では、測定部2の一部にも導体3aおよび3bを形成してもよく(図3(a)参照)、この場合、測定部2の長さではなく、導体3aおよび3b間の距離が(17)式の長さDに相当することとなる。実際の加工において、スパッタやリフトオフを用いての導体3aおよび3bの形成など、導体3aおよび3b間の距離を短く形成することは容易である。よって、本実施の形態に係る粒子測定装置15では、基板8aおよび8bの加工精度や材料などを問わず、大きな抵抗変化率(測定信号)が得られる。
<実施例>
次に、上述した粒子測定装置15の具体的な実施例について、例えば図1を用いて説明する。なお、以下に示す実施例はあくまで一例である。
当該実施例では、まず、ガラス基板上に、リフトオフによって、電極1a、電極1b、導体3aおよび導体3bを形成することにより、電極基板を作製した。電極1a、1bの材料としては金、導体3a、3bの材料としてはアルミを用いた。電極1aおよび1bは、幅(図1(a)の紙面の上下方向)1mm、長さ(図1(a)の紙面の左右方向)1mmであり、導体3aおよび3bと距離を隔てて形成した。また、導体3aおよび3bは、幅100μm、長さ5mmであり、導体3aおよび3b間の距離(図1(a)の紙面の左右方向)を100μmとした。
一方で、凸型の金型にモールディングする形で、PDMS樹脂を用いて流路基板を作製した。上流流路4aおよび下流流路4bは、幅600μm、長さは5mm、深さ(図1(b)の紙面の垂直方向)20μmとした。また、測定部2は、幅20μm、長さ100μm、深さ20μmとした。また、ドリルを用いて、幅5mm、長さ5mm、深さ5mmの貫通孔(試料導入口9aおよび試料導出口9b(図12参照))を試料導入部6aおよび試料導出部6bに相当する位置に設けた。
そして、流路基板および電極基板を、上流流路4a、下流流路4bと、導体3a、3bとの位置がそれぞれ合うように貼り合わせることにより、粒子測定装置15を作製した。
試料としての電解液に分散させた直径10μmのポリスチレンビーズ(測定対象の粒子)を、粒子測定装置15の外部からチューブを用いて試料導入部6aに導入し、上流流路4a、測定部2、下流流路4bおよび試料導出部6bの順に送液した。また、試料導出部6bにはチューブを差込み、試料を粒子測定装置15から外部へ排出する構成とし、試料導入部6aおよび試料導出部6bの一部が、粒子測定装置15への試料の導入後も大気開放されている構成(例えば開口部10aおよび10bを備えた構成(図14参照))とした。
粒子測定装置15を顕微鏡下で観察しながら、電極1aおよび1b間に定電流を印加し、電極1aおよび1b間の電圧値をモニターした。この実施例における測定条件は、以下のとおりである。
・定電流30μA(このとき電圧は約5V)
・測定温度20℃
・ポンプ流量1uL/min(このとき粒子速度(測定部2の通過時)は40mm/s)。
なお、上記の測定条件は一例であり、測定条件(範囲)は、例えば以下のとおりに設定できる。
・印加電圧:試料が液体の場合、1〜100V(交流のときは±50V)、好ましくは1〜10V(交流のときは±5V)。試料が気体の場合、0.1k〜100kV、好ましくは1k〜10kV。定電流の場合、0.1μA〜10mA、好ましくは1μA〜1mA。(なお、電圧−電流の関係は、粒子測定装置15の寸法と試料の導電率とで決まる。)
・電圧周波数:0.1Hz〜100MHz、好ましくは1Hz〜10MHz。
・測定温度:5〜90℃、好ましくは10〜30℃。
・ポンプ流量:1nL/min〜1mL/min、好ましくは1nL/min〜10uL/min。
・印加圧力(ゲージ圧):1k〜1MPa、好ましくは1k〜100kPa。(なお、実際の実験では、主としてシリンジポンプによる流量制御で行う。この場合、圧力設定は行われない。)
・粒子の速度:1μm/s〜10m/s、好ましくは10μm/s〜1m/s。(なお、粒子が試料の流れと同速度で動くと仮定した場合、粒子の速度は、設定流量もしくは印加圧力と粒子測定装置15の寸法とで決まる。)
上記測定条件による測定の結果、粒子が測定部2を通過するのと同期する形で、高いS/N比をもって、粒子による抵抗変化に起因する電圧信号(測定信号)を確認した。また、電極1aおよび1bにおいて電気分解によって発生した気泡は、試料導入部6aおよび試料導出部6bの上方に排出され、気泡が上流流路4a、下流流路4bおよび電極1a、1bの表面を塞ぐこと、および気泡が測定部2を通過することなく、精度の高い粒子の測定が確認された。気泡が及ぼす粒子測定への影響については、実施の形態2で説明する。
具体的には、上記の測定条件における測定結果は、以下のとおりである。
・粒子による電圧変化100mV。
・ノイズレベル1mV(なお、シールド等により改善される余地がある)。
・S/N比は100。
よって、本実施の形態に係る粒子測定装置15は、電気抵抗法を用いたサンプル中の粒子測定において、サンプル量の増加を招くことなく、高い測定信号の強度(S/N比)および高い測定精度での測定に大きな効果を奏することが示された。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の一形態について図12〜図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
<本実施の形態の概要>
一般に、試料が液体である場合、試料への電圧印加に伴い、電極では、試料に対する電気分解による気泡が発生する。従来では、マイクロ化された流路を用いる系において、血球のアパチャー通過に伴う抵抗変化率を大きくするためには、測定用の電極をアパチャー近傍(即ち、アパチャー両端の当該流路内)に形成する必要があった。しかし、この場合、電圧印加に伴う電気分解による気泡の影響(発生した気泡が流路を塞ぐ、測定に関わる電極の表面を覆う、気泡がアパチャーを通過し抵抗変化を起こすことによる誤カウントが生じる、など)に起因して測定精度が低下するという問題が生じていた。
なお、気泡の影響を下げるために印加電圧を下げることが考えられるが、これは測定信号の強度の低下を招くこととなる。また、特許文献3に記載されるように、測定用の電極をアパチャーより下流に配置する構成とすることで、電気分解により発生した気泡のアパチャーへの通過を防ぐことができるが、この場合、発生した気泡が流路および/または測定用の電極の表面を覆うといった問題が生じていた。ここで、試料を高速で流すことにより発生した気泡の影響を下げることも可能であるが、送液に高機能なポンプが必要、粒子の測定に高いサンプリングレート(粒子のアパチャー通過時間が短いため)が必要となるなど、複雑で高価な粒子測定装置が必要となるという問題が生じてしまう。また、高速で流す必要があるため、試料は低い粘性のものに限定されるという問題が生じてしまう。
以上のように、従来では、試料の微量化を目的として粒子測定装置(当該装置が備える流路)をマイクロ化すると、測定精度が低下するという問題が生じていた。
本実施の形態に係る粒子測定装置は、上記問題を解決するために、上述した少なくとも2つの電極、測定部と、測定部に接続された、試料が流れる少なくとも1つの流路と、を備えている。そして、電極のうち少なくとも何れか1つの電極が、測定部および流路とは異なる領域で、かつ試料が測定部および流路を流れたときに形成する当該試料の流れの主線となる流線(図12(b)参照)とは異なる領域である特定領域の一部に配置されている。
これにより、電極が特定領域の一部に配置されているため、電極にて発生した気泡が流路および測定部において試料が形成する流線上への流入を抑制できる。すなわち、当該気泡が試料とともに測定部に流入することを抑制できる。また、少なくとも流路への気泡の被覆を抑制できる。それゆえ、高精度な粒子の測定を行うことができる。
また、本実施の形態に係る粒子測定装置は、上記特定領域の一部には、電極のうち何れか1つの電極である特定電極を含む試料導入部を備えている。これにより、従来のように流路に電極を配置する場合に比べ、電極にて発生した気泡の測定部への流入を抑制できる。
<粒子測定装置15aの具体的構成>
まず、図12に基づいて、本実施の形態に係る粒子測定装置15aの概略構成と、当該構成がもたらす、気泡が及ぼす粒子測定への影響抑制とについて説明する。図12(a)は、本発明の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)は、その断面図である。
粒子測定装置15aは、実施の形態1と同様、電極1a、1bと、測定部2と、上流流路4aと、下流流路4bと、試料導入部6aと、試料導出部6bとを備えており、これらの材質、形状、大きさ、接続関係などは、実施の形態1で説明したとおりである。但し、粒子測定装置15aは、導体3aおよび3bを備えていない点で、粒子測定装置15とは異なる。なお、粒子測定装置15aの全体構造およびその製造方法は、導体3aおよび3bが含まれる点を除き、実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、試料への電圧印加用の電極1aおよび1bのそれぞれを、上流流路4aおよび下流流路4bよりも断面積の大きい試料導入部6aおよび試料導出部6bに配置している。換言すれば、試料導入部6aの深さが、上流流路4aの深さよりも長い構成となっている。このため、電極1aで発生した気泡11を、試料導入部6aの内部に留めておくことができるので、その気泡11の測定部2への流入、並びに、上流流路4aおよび下流流路4bの表面と、電極1a、1bの表面とへの気泡11の被覆を確実に防ぐことが可能となる。また、試料導出部6bの深さが、下流流路4bの深さよりも長い構成となっているので、上記と同様、電極1bで発生した気泡11の測定部2への流入、並びに、少なくとも下流流路4bの表面と、電極1bの表面とへの気泡11の被覆を確実に防ぐことが可能となる。
以下、図12(b)に基づいて、この現象についてさらに説明する。図12(b)は、図12(a)に示すA−A’線に沿った粒子測定装置15aの概略断面図である。
従来、試料として液体もしくは高分子溶液を用いた場合には、抵抗変化の検出において必要となる電圧印加により、電極から電気分解に伴う気泡が発生し、測定精度が低下するという問題があった。
具体的には、従来の粒子の測定においては、アパチャー(粒子測定装置15の測定部2に相当)内の粒子の有無を電気抵抗の変化としてとらえる場合、アパチャーを挟む形で2つの電極を配置し、これらの電極に電圧(もしくは電流)を印加する。この電圧(電流)印加に伴い、試料中の主に水成分が電気分解を起こし、これらの電極において気泡(水の場合、水素および酸素)が発生する。発生した気泡(絶縁体)がアパチャーを通過するとアパチャーの電気抵抗が変化するため、測定信号の検出における誤カウントの原因となり、測定精度が低下するという問題を生じていた。また、これらの電極をマイクロ流路内に形成すると、電圧印加に伴う電気分解による気泡の影響(発生した気泡が流路を塞いでしまう、測定に関わる電極の表面を覆うなど)により、測定精度が著しく低下するという問題が生じていた。
一方、図12(b)に示すように、粒子の測定時には、例えば、粒子を含む試料が試料導入部6aから導入され、試料導入部6a、上流流路4a、測定部2、下流流路4bおよび試料導出部6bの順に送液される。
電気抵抗の検出のために、電極1a、1b間に電圧(電流)が印加されると、電気分解に伴う気泡11が電極1aおよび1bの表面から発生する。
電極1aおよび1bは、上流流路4aおよび下流流路4bといった狭い空間ではなく、試料導入部6a、試料導出部6bの広い空間に配置されているため、発生した気泡11が上流流路4aおよび下流流路4bを塞いでしまう事態を防ぐことができる。また、発生した気泡11には浮力が働くため、当該気泡11は試料導入部6aおよび試料導出部6bの上方(深さ方向)へ移動する。このため、電極1aおよび1bの表面と上流流路4aおよび下流流路4bとを覆ってしまうことにより粒子の測定精度を低下させることはない。
したがって、本実施の形態では、上記の電気分解に伴う気泡11の影響を排除できるため、試料として、気体、液体、高分子溶液などを用いた場合であっても、精度の高い粒子の測定を行うことができる。
また、図12(b)に示すように、試料導出部6bの上方に移動した気泡11を粒子測定装置15aの外部へ逃すために、試料導入部6aおよび試料導出部6bのそれぞれの上方には、粒子の測定に伴う粒子測定装置15aへの試料充填または試料の流れによる導入後に、気体(例えば空気)層12が形成されることが好ましい。あるいは、試料導入部6aおよび試料導出部6bのそれぞれの少なくとも一部に開口部10aおよび10b(例えば図14)を備え、開口部10aおよび10bが直接または間接的に大気開放されていることが好ましい。なお、これらの構成については後述する。
このように、試料が液体である場合、本実施の形態においては、従来の粒子測定装置のように、発生した気泡の影響を抑制するために、試料を高速で流す必要がない。このため、高機能なポンプや粒子の測定における高いサンプリングレートを必要としないので、粒子測定装置15aを単純な構成とすることができ、低コストで製造することができる。また、本実施の形態では、試料を高速で流す必要がないため、試料として、例えばゲルなどの高分子溶液などの粘性を有するものを使用することができる。
なお、試料が気体の場合、電気分解による気泡は発生しないが、気体中の粒子による抵抗変化を測定するために高電圧を印加する必要がある。この場合、測定用の電極1aおよび1b間の距離が短いと、高電圧に起因した測定部2以外へのリークや電圧の不安定化などが起こり、粒子の測定精度が低下してしまう可能性がある。本実施の形態では、電極1aおよび1bが、それぞれ試料導入部6a、試料導出部6bに配置され、上流流路4aおよび下流流路4bを介して離間するように備えられているので、電極1aおよび1b間の距離を長くすることができる。このため、粒子測定装置15aの装置構成の自由度が上がり、高電圧リークなどのない、測定精度の高い粒子の測定を行うことが可能となる。
このように、流路がマイクロ化されている場合には、流路の内部で発生した気泡が、試料が形成する流れから逃れにくいので、測定部への流入が顕著となる。本実施の形態の粒子測定装置15aでは、少なくとも電極1a(特定電極)が、試料導入部6aの一部に配置されている。すなわち、上流流路4aおよび下流流路4b(例えばマイクロ化された流路)とは異なる試料導入部6aが備えられ、当該試料導入部6aに電極1aが備えられている。粒子測定装置15aは、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bとは異なり、試料が形成する流線とは異なる領域である特定領域の一部に、少なくとも電極1aを備えているともいえる。
このため、試料導入部6aの内部で気泡が発生することになり、少なくとも気泡の一部をその試料導入部6aの内部に留めることが可能となる。すなわち、気泡が上記の流れの中に入り込みにくくし、従来生じていた測定部2への流入を抑制でき、上流流路4aおよび下流流路4bへの気泡の被覆を抑制できる。
また、図12に示すように、試料導入部6aは、試料を試料導入部6aの内部に導入することが可能な試料導入口9aを備え、試料導出部6bは、試料導出部6bの外部に試料を導出することが可能な試料導出口9bを備えている。これにより、試料が液体または気体である場合には、試料導入口9aから導入された試料が、試料導入部6aおよび上流流路4aを介して測定部2に流れ、その後、下流流路4bおよび試料導出部6bを介して試料導出口9bから導出される。図12では、試料の主流の一例を流線として図示している。
また、図12に示す粒子測定装置15aは、試料導入口9aおよび試料導出口9bを備えている。試料導入口9aおよび試料導出口9bを備えている様子の一例を図13に示す。図13では、試料導入口9aおよび試料導出口9bの形状が円形である場合を示しているが、これに限らず、楕円状、矩形状など、試料の導入/導出を行うことが可能なように試料導入部6aおよび試料導出部6bの例えば上面を貫通していればよい。
また、例えば、ポンプを使って試料を導入する場合は、試料導入口9aは、送液のためのチューブを取り付けることができる形状であることが好ましい。このように、その導入/導出の態様によって、試料導入口9aおよび試料導出口9bの形状を変形することが好ましい。
また、ポンプを使って試料導入口9aに送液するために試料導入口9aにチューブ等をつなぐ場合、あるいは毛細管力で試料を導入する場合には、試料導入口9aの一部は後述の開口部10aとして機能することも可能である。
さらに、図12に示すように、試料導入口9aは、電極1aと、試料導入部6aと上流流路4aとが接続された接続領域と、の間に設けられている。すなわち、電極1aは、試料導入口9aに対してその接続領域の反対側(上流流路4aにおける流線の方向を内側としたときの流線の外側)に設けられ、電極1aの鉛直線と交差する試料導入部6aの上面領域以外の領域に設けられている。
この場合、電極1aから発生した気泡11は、試料導入部6aにて対流している試料(液体)中を浮力によって鉛直方向に上昇する。したがって、流線の外側に電極1aが配置されていることにより、電極1aで発生した気泡11が流線に沿って測定部2に流れ込むことを防ぐことができるので、測定部2での気泡11への電圧印加による誤カウントを防ぐことができ、精度の高い粒子の測定が可能となる。
また、試料導入部6aの容積に対する、試料導入部6aに試料が導入されているときの試料導入部6a内の試料量の割合が、1/50000以上0.9以下であることが好ましい。
この場合、少なくとも試料導入部6aの下面(図9において電極1aが設けられている底面)付近には試料が満たされている状態となるので、試料に対して電圧を印加することができる。一方で、上記の割合が1でない(すなわち試料導入部6aの内部全てに試料が充填されている状態ではない)ので、試料導入部6aには気体層12が形成されることになる。このため、電極1aから試料導入部6aの内部を上昇してきた気泡11を気体層12で吸収することができるので、気泡11が測定部2に流れ込むことを確実に防ぐことができる。
なお、電圧を印加するためには、試料導入部6aの内部には、少なくとも電極1a上から上流流路4aとの接続領域(上流流路4aの入口領域)にかけて試料が導入されている必要がある。すなわち、試料導入部6aの底面が最低限、試料で満たされている必要がある。上記のように、上流流路4aの深さ(最小1μm)および試料導入部6aの深さ(最大50000μm)比から算出した場合、上記の割合が1/50000以上であることが好ましい。
なお、試料導出部6bおよび試料導出口9bについても試料導入部6aおよび試料導入口9aと同様の構成であってもよいが、試料液が試料導入部6aから測定部2を介して試料導出部6bに流れるため、試料導出部6b内の電極1bで発生した気泡は、測定部2を通過することがないことを考慮すれば、試料導出口9bは必ずしも必要な構成ではない。
<粒子測定装置15aの別例(その1)>
次に、図14および図15に基づいて、粒子測定装置15aの更なる別例について説明する。図14は、粒子測定装置15aの概略構成の更なる別例を示す上面図および断面図である。図14に示す粒子測定装置15aは、試料導入口9aおよび試料導出口9bに加え、開口部10aおよび10bを備えている。
図14に示すように、試料導入部6aおよび試料導出部6bはそれぞれ、電極1aおよび1bから発生した気泡11を大気中に開放する開口部10aおよび10bを備えている。これにより、試料導入部6aおよび試料導出部6bの上方に移動した気泡11が対流(ジュール熱や試料の流れなどに起因)により流線上に移動して測定部2に流入する可能性を確実に排除することができる。なお、試料液が試料導入部6aから測定部2を介して試料導出部6bに流れるため、試料導出部6b内の電極1bで発生した気泡11は、測定部2を通過することがないことを考慮すれば、開口部10bは必ずしも必要な構成ではない。
また、上述のように、電極1aおよび1bで発生した気泡11はそれぞれ、試料導入部6aおよび試料導出部6bの上方へと移動する。このため、開口部10aおよび10bはそれぞれ、試料導入部6aおよび試料導出部6bのそれぞれにおいて、電極1aおよび1bの鉛直線上(電極1aおよび1bの鉛直線と交差する試料導入部6aおよび試料導出部6bそれぞれの上面領域)に配置されていることが好ましい。この場合、電極1aおよび1bのそれぞれで発生した気泡11を、粒子測定装置15aの外部に確実に逃がすことができる。
また、電極1aは、試料導入口9aに対して、試料導入部6aと上流流路4aとの接続領域の反対側(上流流路4aにおける流線の方向を内側としたときの流線の外側)に設けられている。また、電極1bは、試料導出口9bに対して、試料導出部6bと下流流路4bとの接続領域の反対側(下流流路4bにおける流線の方向と反対方向を内側としたときの流線の外側)に設けられている。このため、電極1aおよび1bで発生した気泡11が流線に沿って測定部2に流れ込むことを防ぐことができ、より効果的に試料導入部6aおよび試料導出部6bから気泡11を排除することができる。
また、図15では、試料導入部6aおよび試料導出部6bがそれぞれ、開口部10aおよび10bを備えている様子の一例を示している。図15では、開口部10aおよび10bの形状が円形である場合を示しているが、これに限らず、楕円状、矩形状など、大気中に気泡を逃がすことが可能なように試料導入部6aおよび試料導出部6bの上面を貫通していればよい。
なお、実施の形態2においても、上流流路4aおよび下流流路4bの形状は、図12および図14に示す形状に限らず、例えば図4〜図8に示すような形状であってもよい。
<変形例>
次に、図16および図17に基づいて、粒子測定装置15aの変形例について説明する。図16は、図12に示す粒子測定装置15aが導体3aおよび3bを備えた構成の一例を示し、図17は、図14に示す粒子測定装置15aが導体3aおよび3bを備えた構成の一例を示す。いずれの場合も、上述のように粒子測定における気泡の影響を抑制するとともに、実施の形態1で述べたように、導体3aおよび3bにより、強度の強い測定信号を得ることができるので、高精度な粒子の測定を行うことができる。
また、試料が気体の場合には、上述のように粒子の測定精度が低下してしまう可能性がある。本変形例では、導体3aおよび3bが電極1a、1bと測定部2とを離間するように備えられているので、電極1aおよび1b間の距離を長くすることができる。このため、粒子測定装置15aの装置構成の自由度が上がり、高電圧リークなどのない、測定精度の高い粒子の測定を行うことが可能となる。なお、実施の形態1および3についても同様のことが言える。
〔実施の形態3〕
本発明の実施の一形態について図18〜図20に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1または2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
<本実施の形態の概要>
実施の形態2で述べたように、従来では、電極にて発生する気泡の影響により測定精度が低下するという問題が生じていた。
本実施の形態に係る粒子測定装置は、実施の形態2でも述べたように、上記の問題を解決するために、電極のうち少なくとも何れか1つの電極が、測定部および流路とは異なる領域で、かつ試料が測定部および流路を流れたときに形成する当該試料の流れの主線となる流線とは異なる領域である特定領域の一部に配置されている。
これにより、電極が特定領域の一部に配置されているため、電極にて発生した気泡が流路および測定部において試料が形成する流線上への流入を抑制できる。すなわち、従来のように流路に電極を配置する場合に比べ、当該気泡が試料とともに測定部に流入することを抑制できる。また、少なくとも流路への気泡の被覆を抑制できる。それゆえ、高精度な粒子の測定を行うことができる。
<粒子測定装置15bの具体的構成>
次に、図18に基づいて、本実施の形態に係る粒子測定装置15bの概略構成と、当該構成がもたらす、気泡が及ぼす粒子測定への影響抑制とについて説明する。図18(a)は本発明の一実施形態に係る粒子測定装置の概略構成の一例を示す上面図であり、(b)は(a)のA−A’線に沿った概略断面図、(c)はB−B’線に沿った概略断面図である。
粒子測定装置15bは、実施の形態1および2と同様、電極1a、1bと、測定部2と、試料導入部6aと、試料導出部6bとを備えており、これらの材質、形状、大きさなどは、実施の形態1で説明したとおりである。粒子測定装置15bは、さらに、上流流路21aと、下流流路21bと、導通路22a、22bと、リザーバ23a、23bとを備えている。なお、上流流路21aおよび下流流路21bは、実施の形態1で説明した機能と同様である。
図18(a)に示すように、上流流路21aの一端は測定部2に接続され、その他端は試料導入部6aに接続されている。また、下流流路21bの一端は測定部2に接続され、他端は試料導出部6bに接続されている。
また、導通路22aおよび22bは、上流流路21aおよび下流流路21bと電気的に接続された(これらの流路から分岐した)電極1aおよび1bのそれぞれと、試料とを電気的に導通するためのものである。すなわち、導通路22aおよび22bは、上述した特定領域に備えられている。
また、導通路22aの一端は、上流流路21aの端部(測定部2および試料導入部6aに接続された端部)以外の接続領域251に接続されている。同様に、導通路22bの一端は、下流流路21bの端部(測定部2および試料導出部6bに接続された端部)以外の接続領域252に接続されている。
導通路22aおよび22bには、試料と電極1a、1bとを電気的に導通させるための電解質が充填されている。これにより、導通路22aおよび22bを介しての試料への電圧印加を確実に行うことができる。電解質としては、例えば液体の電解質(すなわち、電解液)、および非流動性電解質が挙げられる。電解液としては、例えば塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液などが挙げられる。
また、非流動性電解質としては、固体電解質と、液体電界物質を含むゲル状物質との二つの性質の物質が挙げられる。固体電界質としては、例えば塩化物イオン伝導性固体電解質、βアルミナ、安定化ジルコニアなどが挙げられる。液体電解質を含むゲル状物質としては、例えば塩橋(塩化カリウム、硝酸アンモニウムまたは酢酸リチウムを含むアガロース)、塩化カリウムなどの液体電解質を含むポリ塩化ビニル、またはポリアクリルアミドなどが挙げられる。
導通路22aおよび22bの電解質として非流動性電解質を用いる場合(導通路22aおよび22bの内容物の流動性が低い場合)、試料を流しながら測定を行う場合であっても、試料は、導通路22aおよび22bに流れ込むことなく、上流流路21aおよび下流流路21bを流れる(例えば図18(b)および(c)参照)。逆に言えば、リザーバ23aおよび23bのそれぞれに備えた電極1aおよび1bにおいて電気分解に伴う気泡11が発生しても、気泡11が上流流路21a、下流流路21bおよび測定部2に流れ込むことがない。そのため、測定部2に気泡11が流れ、測定部2での気泡11への電圧印加による誤カウントを防ぐことができ、精度の高い粒子の測定が可能となる。また、試料が導通路22aおよび22bへ流入することが無いため、試料量の増加を招くことなく粒子の測定が可能である。なお、非流動性電解質は導通路22aおよび22bの必ずしも全領域に形成される必要はなく、少なくとも一部形成されればよい。この場合、導通路の非流動性電解質が形成された以外の領域は、例えば液体の電解質(後述)を形成すればよい。
一方、導通路22aおよび22bの電解質として液体の電解質を用いる場合(導通路22aおよび22bの内容物の流動性が高い場合)には、導通路22a、22bとリザーバ23a、23bとの接続領域に、例えば蓋またはシール材を設けてもよい。この場合、リザーバ23aおよび23bを密閉して物理的に封止できるので、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が導通路22aおよび22bへ流入することを防ぐことができる。
なお、導通路22a、22bとリザーバ23a、23bとは電気的に接続されている必要があるため、上記蓋およびシール材は、電気伝導性を有する材料からなることが好ましい。また、上記蓋およびシール材は、上記の接続領域ではなく、導通路22aおよび22bの少なくとも一部に備えられてもよい。また、液体の電解質を導通路22aおよび22b内に充填しゲル状物質で例えば上記の接続領域を封止することも可能である。
また、液体の電解質を充填後、リザーバ23aおよび23bの上面を蓋およびシール材で物理的に封止する構成としてもよい。この場合、リザーバ23aおよび23bは、試料が流れる上流流路21aおよび下流流路21bに対して、試料が導通路22aおよび22bへと流れることを防止する堰き止め構造となっている。
例えばリザーバ23aおよび23bに開口部が存在する場合には、開口部が大気開放されているため、導通路22a、22bおよびリザーバ23a、23bに導入された電解質が、試料の流れ(試料を流すための印加圧力)の影響をうけて、開口部に移動する可能性がある。それにより、リザーバ23aおよび23bの内部に試料が流入してしまう可能性がある。
上記の堰き止め構造の場合、試料は、リザーバ23aに接続された導通路22aおよびリザーバ23bに接続された導通路22bに流入することなく、上流流路21a、測定部2、下流流路21bの順に流れる。すなわち、導通路22a、22bおよびリザーバ23a、23bに導入された電解質は略静止している。
よって、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が導通路22aおよび22bへ流入することを防ぐことができる。上記蓋およびシール材は、リザーバ23aおよび23bを形成した基板に対して密閉性を有していればよく、幅広い材料の選択が可能である。
また、導通路22aおよび22bの電解質として非流動性電解質を用いた場合には、上述のように、導通路22aおよび22bへの試料の流入(または気泡11の流入)を防ぐことができるが、この場合であっても、より確実にこれらの流入を防ぐために上述のような物理的な封止を行ってもよい。
以上のように、導通路22aおよび22bの少なくとも一部、または導通路22aおよび22bの他端(リザーバ23aおよび23bとの接続領域)には、リザーバ23aおよび23bへの試料の流入を抑制する非流動性電解質、蓋、シール材などの流入抑制部材が備えられている。または、リザーバ23aおよび23bの上面には、リザーバ23aおよび23bへの試料の流入を抑制する蓋、シール材などの流入抑制部材が備えられている。これにより、リザーバ23aおよび23bの内部に試料が流入することを抑制できるので、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が試料とともに上流流路21aおよび下流流路21bに流れ込むことを防ぐことができる。
リザーバ23aおよび23bは、上述した特定領域に備えられ、電極1a、1bと試料とを電気的に導通する電解質を保持するものであり、導通路22aおよび22bの他端にそれぞれ接続されている。また、リザーバ23aおよび23bの少なくとも一部にはそれぞれ電極1aおよび1bが配置されている。この配置により、電極1aおよび1bのそれぞれが、導通路22aおよび22bと接続されている。
この構成によれば、リザーバ23aおよび23bにそれぞれ電極1aおよび1bが配置された構成であっても、導通路22aおよび22bを介して、測定部2に存在する試料に電圧を印加できる。また、リザーバ23aおよび23bに電極1aおよび1bを配置しているので、電極1aおよび1bで発生した気泡11の少なくとも一部をリザーバ23aおよび23bの内部に留めることができ、導通路22aおよび22bへの気泡11の流入を抑制できる。
リザーバ23aおよび23bには、電極1aおよび1bから発生した気泡11をその上方に逃す目的で、上述した液体の電解質を充填することが好ましい。何れの電解質を用いる場合も、電極1aおよび電極1bに印加された電圧が、リザーバ23aおよび23b中の電解質または電解液を介して、上流流路21aおよび下流流路21b中の試料に印加されることにより、測定部2において粒子通過に伴う抵抗測定を行うことを可能とする。
また、導通路22aおよび22bの幅は1〜5000μmであり、好ましくは1〜1000μmであり、その深さは1〜1000μm、好ましくは1〜100μmである。また、リザーバ23aおよび23bの幅は1〜50000μm、深さは1〜50000μm、その長さは1〜50000μmである。
粒子測定装置15bでは、試料は、試料導入部6aから導入され、上流流路21a、測定部2および下流流路21bをこの順で通過し、試料導出部6bから外部に排出される。すなわち、粒子測定装置15bでは、試料の導入が上流流路21aおよび下流流路21bに対して行われ、上流流路21aおよび下流流路21bに接続された導通路22aおよび22bに対しては行われないため、上流流路21a、測定部2および下流流路21bが試料の主流路である。
<電極1aおよび1bの配置の別例>
上記では、上述した特定領域の一部にリザーバ23aおよび23bが備えられ、リザーバ23aおよび23bに電極1aおよび1bがそれぞれ備えられている構成について説明したが、これに限られない。例えば、電極1aおよび1bが、上記特定領域の一部に備えられた導通路22aおよび22bにそれぞれ備えられていてもよい。すなわち、導通路22aおよび22bの少なくとも一部に電極1aおよび1bがそれぞれ配置されていてもよい。この場合、リザーバ23aおよび23bは必ずしも必要ではない。
この構成の場合でも、測定部2に存在する試料に電圧を印加でき、また、電極1aおよび1bで発生した気泡11の少なくとも一部を導通路22aおよび22bの内部に留めることが可能となる。このため、上流流路4aまたは下流流路4bへの気泡11の流入を抑制できる。
<リザーバ23aおよび23b内の加圧について>
また、粒子測定装置15bでは、リザーバ23aおよび23bに充填した電解液(電解質)は、導通路22aおよび22bと接続された方向に加圧される構成となっている。
上記加圧の大きさは、少なくともリザーバ23aおよび23bの内部への試料の流入を防ぐ大きさであることが好ましい。これは、リザーバ23aと導通路22aとの接続領域、またはリザーバ23bと導通路22bとの接続領域において、試料の流れによる圧力よりも、上記加圧による圧力を大きく設定することにより達成される。なお、試料の流れによる圧力は、試料を流すための印加圧力と、試料の流れに伴う圧力損失(装置構造に依存)とにより決まるものである。
ここで、上記圧力損失ΔPは、試料の流れが層流の場合(例えば、マイクロ流路での流れの場合)、次式(18)(ハーゲン−ポアズイユの式)、すなわち、
ΔP = 32・μ・L・v/D …(18)
により見積もることが可能である。ここで、μは試料の粘度、Lは流路長さ、vは試料流れの速度、Dは流路の直径(幅および/または深さ)である。上記加圧の大きさは、試料の流れによる圧力より大きくなるよう、粒子測定装置の構造、印加圧力、および測定に用いる試料の性質に応じて適宜設定される。
さらに、上記加圧の大きさは、導通路22aまたは導通路22bの内部への試料の流入を防ぐ大きさであることが好ましい。これは、導通路22aと上流流路21aとの接続領域251、または導通路22bと下流流路21bとの接続領域252において、試料の流れによる圧力よりも、上記加圧による圧力を大きく設定することにより達成される。
これらの加圧の大きさの設定により、リザーバ23aおよび23bの内部、または導通路22aまたは導通路22bの内部への試料の流入を防ぐことが可能であり、試料量の増加を招くことなく粒子の測定を行うことが可能となる。また、電極1aおよび1bから発生した気泡11は、浮力によりリザーバ23aおよび23bの上方に逃すことが可能なため、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が試料とともに上流流路21aおよび下流流路21bに流れ込むことを防ぐことができる。
さらには、上記加圧による圧力と試料の流れによる圧力とが、(1)リザーバ23aと導通路22aとの接続領域、あるいはリザーバ23bと導通路22bとの接続領域、または、(2)導通路22aと上流流路21aとの接続領域251、あるいは導通路22bと下流流路21bとの接続領域252において、略等しくなるよう設定されることが好ましい。上記加圧による圧力と試料の流れによる圧力とが略等しい場合、導通路22a、22bおよびリザーバ23a、23bに導入された電解質は略静止している。よって、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が導通路22aおよび22bへ流入することを確実に防ぐことができる。
上記加圧の手段としては、例えば、リザーバ23aおよび23b、もしくは、導通路22aおよび22bに保持された電解液に作用する重力(水頭圧)あるいは毛細管力、またはポンプ(加圧装置)などが挙げられる。
その加圧の手段として重力を用いる場合、重力による圧力(水頭圧)ΔPHDは、次式(19)、すなわち、
ΔPHD = ρ・g・h …(19)
により見積もることが可能である。ここで、ρは電解液の密度、gは重力加速度、hはリザーバ23aおよび23bの深さである。粒子測定装置15bにおいて、リザーバ23aおよび23bの深さが、導通路22aおよび22bの深さよりも長いことが好ましい。この構成において、リザーバ23aおよび23bに保持されている電解液の深さ(液面の高さ)が導通路22aおよび22bの深さより長い場合、電解液に対して重力(水頭圧)を効果的に作用させることができ、当該重力の作用により当該電解液を導通路22aおよび22b側に確実に加圧できる。
なお、本実施の形態では、導通路22aとリザーバ23aとの接続領域、および、導通路22bとリザーバ23bとの接続領域はこれらの部材の底面に接している。しかし、これに限らず、上記重力の作用により加圧可能なように、導通路22aとリザーバ23aとが接続され、導通路22bとリザーバ23bとが接続されていればよい。すなわち、導通路22aおよび22bはそれぞれ、リザーバ23aおよび23bの側面と接続され、その側面において、リザーバ23aおよび23bの上面に非接触な位置に少なくとも接続されていればよい。
また、上記加圧の手段として毛細管力を用いる場合、毛細管力による圧力(ラプラス圧)ΔPLPは、次式(20)(ヤング−ラプラスの式)、すなわち、
ΔPLP = −2・γ・cosθ/R …(20)
により見積もることが可能である。ここで、γは電解液の表面張力、θは電解液の接触角、Rはリザーバ23aおよび23bの半径(深さ方向と垂直な面の半径)(導通路22aおよび22bにおいてはリザーバ23aおよび23bとの接続領域断面の半径)である。粒子測定装置15bにおいて、リザーバ23aおよび23bの材質が疎水性を有することが好ましい。特に、リザーバ23aおよび23bに充填された電解液に対して疎水性が高い(電解液の接触角が90度以上)ことが好ましい。この場合、電解液に対して毛細管力を効果的に作用させることができ、当該毛細管力の作用により当該電解液を導通路22aおよび22b側に確実に加圧できる。
また、上記加圧の手段としてポンプを用いる場合、リザーバ23aおよび23bの形状、その材質が疎水性であるか否かを考慮することなく、当該電解液を導通路22aおよび22b側に確実に加圧できる。ポンプとしては、例えばシリンジポンプ、ペリスタポンプ、空気圧を用いた圧力コントローラなどが好適に利用される。
上記何れの加圧の手段を用いた場合も、上述した加圧の大きさとなるよう適宜設定することで、リザーバ23aおよび23bの内部で発生した気泡11が試料とともに上流流路21aおよび下流流路21bに流れ込むことを防ぐことができる。
以上の構成により、電極1aと上流流路21aとが導通路22aを介して、電極1bと下流流路21bとが導通路22bを介してそれぞれ配置されているので、電極1aおよび1bにて発生した気泡11が各流路を流れる試料とともに測定部2へ流入することを抑制できる。また、上流流路21aおよび下流流路21bの表面と、電極1a、1bの表面とへの気泡11の被覆も抑制できる。
<粒子測定装置15bの種々の構成>
次に、図19に基づいて、粒子測定装置15bの種々の構成について説明する。図19(a)〜(c)は、粒子測定装置15bの概略構成の別例を示す上面図である。
図19(a)では、上流流路21aに接続領域251を介して導通路22aが接続され、当該導通路22aと接続されたリザーバ23aに電極1aが配置されている一方、下流流路4bには導通路22bが接続されていない。この場合、電極1bは、試料導出部6bの内部に配置されている。すなわち、粒子測定装置15bは、少なくとも1つの導通路を備えていればよい。この構成であっても、リザーバ23aへの試料の流入、および電極1aにて発生した気泡11の上流流路21aへの流入を防ぐことができる。試料は上流流路21aから下流流路21bへと流れるため、試料導入部6a側のリザーバ23aに電極1aを配置した構成でも、測定部2への気泡の流入を十分に防ぐことができる。
また、導通路22a、22b、およびリザーバ23a、23bは、図18に示すように、上流流路21aおよび下流流路21bに対して必ずしも片側に配置される必要はなく、例えば図19(b)に示すように、上流流路21aおよび下流流路21bの長さ方向を軸として反対側に配置されてもよい。また、上流流路21aおよび下流流路21bが直線形状でなくてもよく、図19(c)では下流流路21bの一部が略直角に折れ曲がったコの字形状となっている(図4(d)参照)。このような構成であっても、図18の構成と同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態3においても、上流流路21aおよび下流流路21bの形状は、図18および図19に示す形状に限らず、例えば図4〜図8に示すような形状であってもよい。
<変形例>
次に、図20に基づいて、粒子測定装置15bの変形例について説明する。図20(a)は、図18に示す粒子測定装置15bが導体3aおよび3bを備えた構成の一例を示し、図20(b)〜(d)は、図19に示す粒子測定装置15bが導体3aおよび3bを備えた構成の一例を示す。図20では、電極1aおよび1b間に備えられた上流流路21a、下流流路21b、導通路22a、および/または導通路22bに配置されている。
いずれの場合も、上述のように粒子測定における気泡の影響を抑制するとともに、実施の形態1で述べたように、導体3aおよび3bにより、強度の強い測定信号を得ることができるので、高精度な粒子の測定を行うことができる。
また、図20(a)〜(d)では、導体3aおよび3bはそれぞれ、導通路22aおよび22bの全領域に形成されているが、その一部に備えられる構成であってもよく、またリザーバ23aおよび23bの一部にも電極1a、1bと離間する形で備えられる構成でもよい。
〔本発明の別の表現〕
本発明は、以下のようにも表現できる。
本発明の粒子測定装置は、サンプル中の粒子の測定をインピーダンスまたは電気抵抗で測定する粒子測定装置であって、前記粒子測定装置が、サンプルに電圧を印加するための少なくとも2つの電極と、前記少なくとも2つの電極の間に位置する測定部と、前記少なくとも一方の電極と前記測定部の間に位置する少なくとも1つの導体からなり、前記2つの電極と前記導体が連結されていない構成である。
また、前記粒子測定装置が、サンプルを流して測定するための少なくとも1つの流路をさらに備え、前記流路と前記測定部が連結されており、前記導体が前記流路の少なくとも一部に備えられていることが好ましい。
また、前記導体が前記流路の少なくとも2箇所に備えられ、前記2箇所の導体が前記流路内では連結されておらず、前記流路外の領域で連結されていることが好ましい。
また、前記流路が少なくとも2つあり、前記少なくとも2つの流路が、前記測定部の上流側に位置する上流流路と、前記測定部の下流側に位置する下流流路であり、前記導体が前記上流流路の少なくとも一部ないし/あるいは前記導体が前記下流流路の少なくとも一部に備えられていることが好ましい。
また、前記導体が少なくとも2つあり、前記上流流路の少なくとも一部かつ前記下流流路の少なくとも一部に備えられ、前記少なくとも2つの導体が互いに連結されていないことが好ましい。
また、前記少なくとも2つの導体の何れか一方が前記上流流路の上面ないし/あるいは下面に備えられ、前記少なくとも2つの導体の他方が前記下流流路の上面ないし/あるいは下面に備えられていることが好ましい。
また、前記上流流路の少なくとも一部に備えられた導体と、前記下流流路の少なくとも一部に備えられた導体の、導体間の直線最短距離が0.1〜1000μmであることが好ましい。
また、前記導体が、金属、カーボン、導電性高分子、非流動性電解質からなる群より選択されることが好ましい。
また、前記粒子測定装置が、サンプルを導入するためのサンプル導入部ないし/またはサンプルを導出するためのサンプル導出部をさらに備え、前記サンプル導入部ないし/または前記サンプル導出部が前記流路と、前記流路の前記測定部との連結領域とは異なる領域で連結されていることが好ましい。
また、前記サンプルに電圧を印加するための少なくとも2つの電極の何れか一方が、前記サンプル導入部の少なくとも一部に配置され、ないし/または、前記電極の他方が、前記サンプル導出部の少なくとも一部に配置されることが好ましい。
また、前記サンプル導入部ないし/または前記サンプル導出部が、前記流路との連結領域とは異なる領域に開口部を備え、前記開口部が直接または間接的に大気開放されていることが好ましい。
また、前記粒子測定装置が、さらに電圧印加手段を備え、前記電圧印加手段が前記サンプルに電圧を印加するための少なくとも2つの電極に接続されていることが好ましい。
また、本発明の粒子測定方法は、サンプルを測定部に配置する工程と、前記サンプルに少なくとも2つ以上の電極から電圧を印加する工程と、前記測定部におけるサンプルのインピーダンスまたは電気抵抗を検出する工程を含み、前記電圧印加が、前記少なくとも1つの電極と前記測定部の間に導体を配置して行う方法である。
また、前記サンプルを測定部に配置する工程が、サンプルを測定部に対して流す工程によって行われることが好ましい。
また、前記粒子測定方法が、前記サンプルをサンプル導入部より導入する工程と、サンプル導出部より導出する工程をさらに含むことが好ましい。
また、前記サンプルが液体サンプルであることが好ましい。
また、前記液体サンプルを前記サンプル導入部に導入、あるいは/ないし、前記サンプル導出部より導出する工程において、前記サンプル導入部あるいは/ないし前記サンプル導出部に気体層が存在する、あるいは/ないし、少なくとも一部直接もしくは間接的に大気開放されていることが好ましい。
また、前記導体が、金属、カーボン、導電性高分子、非流動性電解質からなる群より選択されることが好ましい。
また、前記流路は、前記2つの電極の何れか一方の電極側で分岐し、前記測定部側で前記流路に再合流する分岐流路構造を有していることが好ましい。
さらに、本発明の粒子測定装置は、少なくとも2つの電極と、測定部と、少なくとも1つの流路と、試料導入部を備え、前記2つの電極の何れか一方の電極が、前記試料導入部の少なくとも一部に第1電極として配置されている。
また、前記試料導入部の深さが、前記流路の深さよりも深いことが好ましい。
また、記試料導入部は、前記第1電極から発生した気泡を大気中に開放する開口部を備えていることが好ましい。
また、前記2つの電極に接続された電圧印加手段を備えることが好ましい。
さらに、本発明の粒子測定装置は、少なくとも2つの電極と、測定部と、前記測定部に接続され、前記試料が流れる少なくとも1つの試料用流路を備え、前記試料用流路が、前記試料用流路から分岐し、前記2つの電極の何れか一方の電極と接続された、前記試料と電気的に導通するための少なくとも1つの導通用流路を備えている。
また、前記導通用流路の少なくとも一部に、前記試料と電気的に導通するための非流動性電界質が充填されていることが好ましい。
また、前記粒子測定装置が、前記試料に電圧を印加するための電解質を保持するための少なくとも1つのリザーバを備え、前記導通用流路が、前記試料用流路との接続領域とは異なる領域で、前記リザーバに接続され、前記2つの電極の何れか一方の電極が、前記リザーバの少なくとも一部に第1電極として配置されていることが好ましい。
また、前記リザーバが、前記導通用流路との接続領域以外の領域において封止されていることが好ましい。
また、前記粒子測定装置が、前記リザーバに保持された電解質を、前記リザーバと前記導通用流路との接続領域の方向に加圧するための加圧手段を備えていることが好ましい。
また、前記加圧手段は、重力、毛管力、ポンプからなる群より選択されることが好ましい。
また、前記リザーバの深さが、前記導通用流路の深さよりも深いことが好ましい。
また、前記リザーバが、前記リザーバに導入された電界質に対して疎水性を有することが好ましい。
また、前記粒子測定装置が、前記試料を自装置内に導入するための試料導入部をさらに備え、前記試料導入部と前記試料用流路が接続されていることが好ましい。
また、前記2つの電極に接続された電圧印加手段を備えることが好ましい。
さらに、本発明の粒子測定装置は、少なくとも2つの電極と、測定部と、少なくとも1つの流路と、試料導入部を備え、前記2つの電極の何れか一方の電極が、前記電極のうち何れか1つの電極が、前記試料が前記流路を流れることにより形成される流線上とは異なる領域に備えられる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る粒子測定装置は、エレクトロニクス、メカトロニクス等の分野における製造プロセスの精度管理(例えば、異物混入の検査など)、また、バイオテクノロジーの分野における、医薬品製造等の試料中の粒子管理、および医療分野における血液中の血球測定などに、好適に利用することが出来る。
1a 電極(特定電極)
1b 電極
2 測定部
3a、3b 導体
4a、21a 上流流路(流路)
4b、21b 下流流路(流路)
5 導線
6a 試料導入部(特定領域)
6b 試料導出部(特定領域)
7 コネクタ
8a、8b 基板
9a 試料導入口
9b 試料導出口
10a 開口部
10b 開口部
11 気泡
12 気体層
15、15a、15b 粒子測定装置
22a、22b 導通路(特定領域)
23a、23b リザーバ(特定領域)
24a、24b 分岐路
241 第1分岐点
242 第2分岐点
251、252 接続領域
本発明に係る粒子測定装置では、前記導通路の少なくとも一部に、前記電極と前記試料とを電気的に導通する電解質が充填されていることが好ましい。
この場合、測定部2、上流流路4aおよび下流流路4bは、ウエットエッチング/ドライエッチングや機械加工等により、基板8aを削るようにして形成される。導体3a、3bが金属の場合、電極1a、1bおよび導体3a、3bは、基板8aに対して例えばスパッタ、リフトオフを用いて形成される。導体3a、3bがカーボンの場合には、導体3a、3bは、基板8aに対して例えばスクリーン印刷を用いて形成される。また、導体3a、3bが非流動性電解質の場合には、導体3a、3bを形成する位置に非流動性電解質を充填、もしくは流動性電解質として充填後少なくともその一部を硬化(例えば熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いる)することにより形成される。また、試料導入部6aおよび試料導出部6bは、例えば基板8aおよび8bに対する機械加工により形成される。このとき、基板8bの上面(基板8aと対向する面と反対側の面)に、試料導入部6aおよび試料導出部6bの位置と対応する箇所に貫通孔(図12に示す試料導入口9aおよび試料導出口9b)を形成してもよい。
また、非流動性電解質としては、固体電解質と、液体電解物質を含むゲル状物質との二つの性質の物質が挙げられる。固体電解質としては、例えば塩化物イオン伝導性固体電解質、βアルミナ、安定化ジルコニアなどが挙げられる。液体電解質を含むゲル状物質としては、例えば塩橋(塩化カリウム、硝酸アンモニウムまたは酢酸リチウムを含むアガロース)、塩化カリウムなどの液体電解質を含むポリ塩化ビニル、またはポリアクリルアミドなどが挙げられる。
また、前記導通用流路の少なくとも一部に、前記試料と電気的に導通するための非流動性電解質が充填されていることが好ましい。
また、前記リザーバが、前記リザーバに導入された電解質に対して疎水性を有することが好ましい。

Claims (12)

  1. 試料に電圧を印加することにより、前記試料に含まれる粒子の測定を行うことが可能な粒子測定装置であって、
    前記試料に電圧を印加するための少なくとも2つの電極と、
    前記試料に電圧が印加されたときの電気抵抗またはインピーダンスが検出されることにより、前記試料に含まれる粒子の測定が行われる測定部と、
    前記測定部に接続された、前記試料が流れる少なくとも1つの流路と、を備え、
    前記電極のうち少なくとも何れか1つの電極は、前記測定部および前記流路とは異なる領域で、かつ前記試料が前記測定部および前記流路を流れたときに形成する当該試料の流れの主線となる流線とは異なる領域である特定領域の一部に配置されていることを特徴とする粒子測定装置。
  2. 前記特定領域には、前記電極と前記試料とを電気的に導通するための少なくとも1つの導通路が配置されており、
    前記導通路の一端は前記流路の端部以外の接続領域に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子測定装置。
  3. 前記導通路の少なくとも一部には、前記電極と前記試料とを電気的に導通する電界質が充填されていることを特徴とする請求項2に記載の粒子測定装置。
  4. 前記導通路の少なくとも一部に前記電極が配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の粒子測定装置。
  5. 前記特定領域には、前記導通路の他端に接続された、前記電極と前記試料とを電気的に導通する電解質を保持する少なくとも1つのリザーバを備え、
    前記電極は、前記リザーバの少なくとも一部に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の粒子測定装置。
  6. 前記導通路の少なくとも一部、または前記導通路の他端に、前記リザーバへの試料の流入を抑制する流入抑制部材が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の粒子測定装置。
  7. 前記リザーバの上面に、前記リザーバへの試料の流入を抑制する流入抑制部材が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の粒子測定装置。
  8. 前記リザーバに保持された電解質に作用する重力あるいは毛細管力により、または加圧装置により、前記導通路と接続された方向に前記電解質が加圧されることを特徴とする請求項5に記載の粒子測定装置。
  9. 前記流路の底部を基準とした、前記底部に対向する前記流路の上部へ向かう垂直方向の距離を、前記導通路および前記リザーバの深さとしたとき、
    前記リザーバの深さが前記導通路の深さよりも長いことを特徴とする請求項8に記載の粒子測定装置。
  10. 前記リザーバの材質は疎水性を有することを特徴とする請求項8または9に記載の粒子測定装置。
  11. 前記試料を自装置内に導入するための試料導入部と
    前記試料を自装置から導出するための試料導出部と、を備え、
    前記試料導入部および前記試料導出部はそれぞれ、前記流路に接続されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の粒子測定装置。
  12. 前記電極に接続された電圧印加手段を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の粒子測定装置。
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