JP2013013529A - 穿刺針刺入装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】先端に穿刺針を備えた内筒部1と、内筒部の側面の少なくとも一部を覆い、内筒部と独立に運動可能な外筒部2を備えた穿刺針刺入装置3を生体内に刺入する際、内筒部に作用する切削力に抗して負荷される内筒部刺入力と、外筒部に作用する摩擦力に抗して負荷される外筒部刺入力とを分離する穿刺針刺入補助装置6を設ける。そして、穿刺針刺入装置を保持し、生体組織に接触し得る状態、すでに接触している状態、あるいは、生体組織内に刺入している状態で、この穿刺針刺入補助装置を無効化する選択手段を設ける。
【選択図】図1
Description
硬膜外麻酔を例に取れば、皮膚、筋肉、靭帯などの幾層もの生体組織を通過して、硬膜の手前で刺入を止めなければならない。このとき、硬さの異なる生体組織に到達する度に、穿刺針先端に負荷される切削力が変わるため、熟練した術者はこれを頼りに穿刺針先端がどの生体組織に到達しているかを判定している。しかし、穿刺が深くなっていくにつれて穿刺針側面と生体組織との間に生ずる摩擦力が増大するため、穿刺針先端に負荷される切削力の変化を穿刺針終端で知覚するのが難しくなる。
これにより、術者は、穿刺針終端が目的とする生体組織に到達したことを正確に感知できるとともに、術者の技能の差にかかわらず、安全に目的とする生体組織までの刺入を行うことが可能になる。
このように、穿刺針刺入装置を保持したまま、穿刺針刺入装置先端が生体組織に接触し得る状態、あるいは、すでに接触していたり、生体組織内に刺入していたりする状態で、上述の作業を行う際、術者の身体の一部が、誤って外筒部や内筒部にぶつかると、刺入操作とは直接関係しない不用意な外力が加わり、これに応答して、分離手段を構成する穿刺針刺入補助装置が作動して、術者の意図に反して、外筒部あるいは内筒部が生体組織方向に急激に突出するおそれがある。
このような場合に、内筒部や外筒部に作用する力に応答して、穿刺針刺入補助装置が、外筒部刺入力に相当する力を出力すると、術者の意図に関係なく、内筒部や外筒部が単独で生体組織方向に駆動されるおそれがある。
さらには、停電や故障などが原因で、穿刺針刺入補助装置が非作動となったり、誤作動を引き起こすと、内筒部や外筒部そのものが動かせなくなったり、術者の意図に反して、内筒部あるいは外筒部に過大なトルクを出力し続ける事態も想定される。
このように、外筒部や内筒部に、刺入操作とは直接関係しない不用意な力が作用したとき、外筒部や内筒部の一方のみを操作したい場合、さらには、穿刺針刺入補助装置自体が非作動あるいは誤作動になった場合に備えるためには、術者の意図にしたがって穿刺針刺入補助装置を無効としたり、さらには、穿刺針刺入補助装置を無効とした上で、内筒部や外筒部を穿刺針刺入補助装置から切り離し、穿刺針刺入補助装置の影響を受けることなく、術者の意図どおりに操作できるようにしたりする必要がある。
(1)先端に穿刺針を備えた内筒部と、前記内筒部の側面の少なくとも一部を覆い、前記内筒部と独立に運動可能な外筒部を備えた穿刺針刺入装置であって、前記穿刺針刺入装置を生体内に刺入する際、前記内筒部に作用する切削力に抗して負荷される内筒部刺入力と、前記外筒部に作用する摩擦力に抗して負荷される外筒部刺入力とを分離する穿刺針刺入補助装置を設けた穿刺針刺入装置において、前記穿刺針刺入装置を保持している状態で、前記穿刺針刺入補助装置を無効化する選択手段を設けた。
図1は、穿刺針刺入補助装置(タイプ1)に適用した実施例1を示し、穿刺針刺入装置3が、術者4と穿刺針刺入補助装置6により生体組織5に刺入されている様子を示す。
また、穿刺針刺入補助装置6からの駆動力を外筒部2に伝達する、外筒部2の終端と穿刺針刺入補助装置6との間には、外筒部着脱機構18が備えられていて、外筒部2と穿刺針刺入補助装置6の連結を着脱自在にしている。
さらに、穿刺針刺入補助装置6の駆動部である直動アクチュエータの出力軸には、駆動部着脱機構19が備えられていて、穿刺針刺入補助装置6の駆動部の着脱自在にしている。
穿刺針刺入装置3の先端は生体組織5を切り開いているので、その切削力は内筒部1に負荷され、内筒部刺入力測定装置7を介して外筒部2に切削力が伝達される。
一方で穿刺針刺入装置3の側面は生体組織5と接しているので、その摩擦力は外筒部2に負荷される。内筒部1と外筒部2とは連結されているため、外筒部2の終端には、摩擦力に抗する外筒部刺入力と、切削力に抗する内筒部刺入力とが合力として負荷されている。この負荷に対して、穿刺針刺入補助装置6が発生する刺入駆動力と術者4が刺入操作力測定装置8を介して付与する刺入操作力が抗している。
すなわち、外筒部2を駆動する穿刺針刺入補助装置6及びその制御系が、外筒部2に負荷される外筒部刺入力と、内筒部1に負荷される内筒部刺入力とを分離する分離手段を構成している。
この実施例では、術者4が意図してスイッチ14を押圧しない限り、スイッチ14は開放されており、術者4が押圧を継続する場合に限り穿刺針刺入補助装置6が有効になる。そのため、術者の意図に反して、穿刺針刺入補助装置6が作動することを防止でき、穿刺手技の準備時や穿刺手技の終了時の様々な作業中に、術者の意図に反して刺入駆動力が発生するのを確実に防止することができる。
また、穿刺針刺入補助装置6を構成するアクチュエータとして、空気圧アクチュエータを採用する場合には、穿刺針刺入補助装置6を無効化する手段としては、すべての圧力室を大気にリリーフする弁を解放するようにすることも有効である。この場合、圧力室が大気にリリーフされるので、穿刺針刺入補助装置6が内筒部1や外筒部2の移動の妨げになることなく、スムースな移動を可能にするので好適である。
なお、内筒部着脱機構17や外筒部着脱機構18、駆動部着脱機構19には、手締めねじやピン、キー、磁石、手動クラッチ、電磁クラッチ等、さまざまなものを採用することができ、特に電磁クラッチを採用した場合、スイッチ14に連動して穿刺針刺入補助装置6の無効化と同時に、電磁クラッチを作動させ、内筒部1、外筒部2を切り離すようにするとより好適である。
図3は、穿刺針刺入補助装置(タイプ2)に適用した実施例2を示し、この実施例では、穿刺針刺入装置3は内筒部1と外筒部2から構成され、内筒部1は先端に穿刺針を備え、外筒部2により穿刺針先端を除く全体を覆われている。内筒部1と外筒部2とは互いに固着されておらず、独立に運動可能となっており、外筒部1の終端は外筒部刺入力測定装置9を介して内筒部1の終端に連結されている。
外筒部刺入力測定装置9の測定値と、刺入駆動力測定装置10の測定値とに基づいて、外筒部刺入力と刺入駆動力が等しくあるいは近い値になるように、穿刺針刺入補助装置6の刺入駆動力をフィードバック制御するものである。
図4は、穿刺針刺入補助装置(タイプ3)に適用した実施例3を示し、この実施例では、穿刺針刺入装置3は内筒部1と外筒部2から構成され、内筒部1は先端に穿刺針を備え、外筒部2により穿刺針先端を除く全体を覆われている。内筒部1と外筒部2とは互いに固着されておらず、独立に運動可能となっており、外筒部1の終端は、内筒部−外筒部間に作用する刺入力(以下、「内筒部外筒部間刺入力」とする。)を測定する内筒部外筒部間刺入力測定装置11を介して、内筒部1の終端に連結されている。
内筒部外筒部間刺入力測定装置11の測定値に基づいて、内筒部外筒部間刺入力がゼロかあるいはゼロに近い値になるように、穿刺針刺入補助装置6の穿刺駆動力をフィードバック制御するものである。
図5は、穿刺針刺入補助装置(タイプ4)に適用した実施例4を示し、この実施例では、穿刺針刺入装置3は内筒部1と外筒部2から構成され、内筒部1は先端に穿刺針を備え、外筒部2により穿刺針先端を除く全体を覆われている。内筒部1と外筒部2とは互いに固着されておらず、独立に運動可能となっており、第3実施例と同様に、外筒部1の終端は、内筒部外筒部間刺入力測定装置11を介して内筒部1の終端に連結されている。
刺入操作力測定装置8の測定値と、刺入駆動力測定装置10の測定値と、内筒部外筒部間刺入力測定装置11の測定値とに基づいて、刺入操作力と刺入駆動力との差と内筒部外筒部間刺入力が等しくあるいは近い値になるように、穿刺針刺入補助装置6の刺入駆動力をフィードバック制御するものである。
図6は、穿刺針刺入補助装置(タイプ5)に適用した実施例5を示し、この実施例では、この穿刺針刺入装置3は、内筒部1と外筒部2から構成され、内筒部1は先端に穿刺針を備え、外筒部2により穿刺針先端を除く全体を覆われている。内筒部1と外筒部2とは互いに固着されておらず、独立に運動可能となっている。内筒部1の終端と外筒部2の終端との間には、内筒部1と外筒部2の刺入方向における相対的位置を測定する内筒部外筒部相対的位置測定装置12が備わっている。
内筒部外筒部相対的位置計測装置12の測定値に基づいて、内筒部外筒部相対的位置が一定に保つように、外筒部2の終端の位置をフィードバック制御している。
また、内筒部1と外筒部2の一方あるいは両方を前進後退させる必要がある場合にはそれぞれに内筒部ハンドル15や外筒部ハンドル16を追加する。さらに駆動源や伝達機構を切り離す必要がある場合は、内筒部着脱機構17や外筒部着脱機構18、駆動部着脱機構19を追加する。
2 外筒部
3 穿刺針刺入装置
4 術者
5 生体組織
6 穿刺針刺入補助装置
7 内筒部刺入力測定装置
8 刺入操作力測定装置
9 外筒部刺入力測定装置
10 刺入駆動力測定装置
11 内筒部外筒部間刺入力測定装置
12 内筒部外筒部間相対的位置測定装置
13 操作ハンドル
14 スイッチ
15 内筒部ハンドル
16 外筒部ハンドル
17 内筒部着脱機構
18 外筒部着脱機構
19 駆動部着脱機構
Claims (6)
- 先端に穿刺針を備えた内筒部と、前記内筒部の側面の少なくとも一部を覆い、前記内筒部と独立に運動可能な外筒部を備えた穿刺針刺入装置であって、前記穿刺針刺入装置を生体内に刺入する際、前記内筒部に作用する切削力に抗して負荷される内筒部刺入力と、前記外筒部に作用する摩擦力に抗して負荷される外筒部刺入力とを分離する穿刺針刺入補助装置を設けた穿刺針刺入装置において、
前記穿刺針刺入装置を保持している状態で、前記穿刺針刺入補助装置を無効化する選択手段を設けたことを特徴とする穿刺針刺入装置。 - 請求項1に記載の穿刺針刺入装置であって、
前記穿刺針刺入補助装置が、前記外筒部または前記内筒部に対し、前記外筒部に作用する摩擦力に抗して負荷される外筒部刺入力に相当する刺入補助力を付加することを特徴とする穿刺針刺入装置。 - 請求項2に記載の穿刺針刺入装置であって、
前記外筒部または前記内筒部の一方に前記刺入補助力を伝達する連結箇所、及び、前記外筒部または前記内筒部の他方に外部からの操作力を伝達する連結箇所の少なくとも一方に着脱機構を設け、該着脱機構により、前記穿刺針刺入補助装置を無効化した状態で、前記外筒部または前記内筒部に設けたハンドルにより、単独で操作できるようにしたことを特徴とする穿刺針刺入装置。 - 請求項2に記載の穿刺針刺入装置であって、
前記選択手段が、前記外筒部または前記内筒部の一方に前記刺入補助力を伝達する連結箇所に設けられたクラッチを断続するものであることを特徴とする穿刺針刺入装置。 - 請求項2に記載の穿刺針刺入装置であって、
前記選択手段が、前記穿刺針刺入補助装置の駆動源を構成する空気圧アクチュエータの圧力室を大気に解放する弁を作動させるものであることを特徴とする穿刺針刺入装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の穿刺針刺入装置であって、
前記選択手段が、前記穿刺針刺入装置のグリップに設けられたスイッチ、あるいは、フットスイッチであって、該スイッチを継続して押圧することにより、前記穿刺針刺入補助装置を作動させ、該スイッチを解放したとき、前記穿刺針刺入補助装置を無効化するものであることを特徴とする穿刺針刺入装置。
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