JP2013011599A - 放射性物質除去材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多種類の放射性物質が排出されうる、放射性同位元素取扱い施設の大規模災害にも対応可能な、比較的軽量で、取り扱い容易な、放射性物質捕集材料を提供すること。
【解決手段】イオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が放射線グラフト重合法により導入された有機高分子成形体のグラフト鎖間に、フェロシアン酸金属塩を保持させたことを特徴とする、放射性物質捕集材料。
【選択図】なし

Description

本発明は放射性核種の捕集材に関するものである。原子力発電所や放射性同位元素取扱等事業所をはじめとする原子力施設から発生する放射性物質含有廃液や廃ガスから、放射性核種を除去するための材料およびその製造方法に関する。特に、原子力施設の事故に伴い発生する放射性物質を含む廃液や廃ガスから、放射性物質を効率よく分離除去し、作業者の被ばくを最小限に抑えることを可能とする材料およびその製造方法に関するものである。
従来、放射性廃液中の放射性核種の分離・除去には、凝集沈殿法やイオン交換法またはそれらの組合せたプロセスが使用されている。
凝集沈殿法は、例えば特許文献1に記載されているように、廃液に凝集剤を加え混合撹拌し凝集フロックを形成した後、沈降分離する方法である。放射性核種はフロック形成の過程でフロック内部に取り込まれる。凝集剤としては、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム(PAC)、または鉄塩などが用いられる。ここで、高分子凝集剤を併用すると、高分子鎖が微小フロックを絡め取るため、フロック径が大きく沈降速度の大きなフロックが形成される。安価で簡便な方法であるため、大量の希薄廃液の処理に向いている。しかしながら除染係数を高くすることを目的に、凝集剤を大量に注入すると、大量の凝集沈殿汚泥が発生するという問題があった。また、凝集槽、沈殿槽、薬注設備など比較的大きな設備が必要となるため、原子力施設の事故に対応するのは困難であった。
一般水処理に利用されるビーズ状のイオン交換樹脂を使用するイオン交換法も提案されている。イオン交換法では、用いるイオン交換樹脂の形状が0.5mm程度の球状であるため、カラムに充填して用いるのが一般的である。この方法は、凝集沈殿やろ過の後に行われる場合が多く、イオン交換法を行う装置を含むプラント設備全体は、比較的大きいものとなりうる。深刻な事故時には、プラント設備の各構成要素が破損したり、電力の供給が途絶えたりする可能性もあり、イオン交換装置が正常に機能しない場合もありうる。
特許文献2には、イオン交換法において、ゼオライトなどの粒状無機イオン交換体が利用可能であると提案されている。無機イオン交換体は比重が大きく流動性に乏しいため、取扱いが難しい。また、無機イオン交換体をカラムに充填して用いる場合は、上述のイオン交換樹脂を使用する際に起こりうる問題がある。また、無機イオン交換体を袋詰めにし、放射性物質が排出される箇所に土のうとして積む方法もあるが、無機イオン交換体の土のうは重量物であることから、これを設置するためには重機械による操作が必要である。
一方、フェロシアン酸金属塩がセシウムを良く吸着することは1960年代から知られている。例えば非特許文献1では、フェロシアン酸金属塩をアニオン交換樹脂に担持したセシウム吸着剤に関する記述が開示されている。しかしながら、フェロシアン酸金属塩の形状は粒子状であるため、使用に際し操作性が良くなく、さらにセシウム吸着速度が小さいなどの問題点があり、特に原子力発電所のような放射性同位元素取扱い施設の災害に対して有効に機能しうるとは言い難い。
フェロシアン酸金属塩を繊維に担持した例として、特許文献3がある。特許文献3では、フェロシアン酸金属塩化合物をアクリル繊維に担持することにより、セシウム等の放射性核種に対する高い捕集性能が得られたことが開示されている。特許文献3によると、アクリル繊維をフェロシアン酸カリウム溶液に浸漬したのち乾燥し、それに続きコバルト、ニッケル等の硝酸塩水溶液に浸漬したのち乾燥するという操作を数回繰り返し、アクリル繊維上にK2MII[Fe(CN)6](MIIは2価の金属)という化学構造のフェロシアン酸金属塩を担持・固定化している。
しかしながら、この製造方法によるフェロシアン酸金属塩担持繊維は、基材繊維とフェロシアン酸金属塩との相互作用が小さく、また、フェロシアン酸金属塩が繊維の表面にしか担持されていないため、使用する液の組成や温度などの環境によってフェロシアン酸金属塩が剥離する可能性がある。フェロシアン酸金属塩の繊維への担持量を大きくするためには、2種類の液の浸漬・乾燥工程を何度も繰り返すことが必要で、操作が煩雑である。そして、このフェロシアン酸金属塩担持繊維は、種々の放射性核種を捕集することができるが、ストロンチウムの捕集率は極めて低い。
特開昭61-239196 特開2000-84418 特公昭63-24415 Journal of Nuclear Science & Technology, 6[6],p309〜312(June 1968)
このような従来技術に鑑みて、本発明は、多種類の放射性物質が排出されうる、放射性同位元素取扱い施設の大規模災害にも対応可能な、比較的軽量で、取り扱い容易な、放射性物質捕集材料を提供することを目的とする。さらに本発明は、放射性物質捕集材料の製造方法、および使用方法、ならびに放射性物質捕集材料を用いた放射線からの防護用品を提供する。
本発明の態様は、以下の通りである:
1.イオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が放射線グラフト重合法により導入された有機高分子成形体のグラフト鎖間に、フェロシアン酸金属塩を保持させたことを特徴とする、放射性物質捕集材料。
2.前記フェロシアン酸金属塩の金属が、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、Mn、およびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属より選択される、上記1に記載の放射性物質捕集材料。
3.イオン交換基が、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基、およびからなる群から選択され、キレート基がイミノジ酢酸基、1〜3級アミノ基を1つ以上含有するアミノ系官能基、アミドキシム基、およびヒドロキサム酸基からなる群より選択される、上記1または2に記載の放射性物質捕集材料。
4.有機高分子成形体が、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜、粉末またはそれらの加工品からなる群より選択される、上記1〜3のいずれか1つに記載の放射性物質捕集材料。
5.有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
カチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第3工程、および
金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程
を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
6.有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
アニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第3工程、および
フェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程
を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
7.有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基をカチオン交換基および/またはキレート基に転換する第3工程、
グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第4工程、および
金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第5工程
を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
8.有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基をアニオン交換基および/またはキレート基に転換する第3工程、
グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第4工程、および
フェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液に接触させ、フェロシアン酸金属塩を成形体の表面および内部に形成させる第5工程
を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
9.フェロシアン酸塩溶液が、フェロシアン酸カリウム、フェロシアン酸ナトリウムまたはフェロシアン酸リチウムの水溶液である、上記5〜8のいずれか1つに記載の製造方法。
10.金属のイオンを含む溶液が、金属塩酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩または金属硫酸塩の水溶液である、上記5〜9のいずれか1つに記載の製造方法。
11.有機高分子成形体が、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜、粉末またはそれらの加工品からなる群より選択される、上記5〜10のいずれか1つに記載の製造方法。
12.上記1〜3のいずれか1つに記載の放射性物質捕集材料に、放射性物質を含有する液体、固体および/または気体を接触させて、該液体、固体および/または気体に含有される放射性物質を該放射性物質捕集材料に吸着させる、放射性物質の除去方法。
13.上記4に記載の放射性物質捕集材料を含む、放射線防護用品。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、イオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が放射線グラフト重合法により導入された有機高分子成形体のグラフト鎖間に、フェロシアン酸金属塩を保持させたことを特徴とする、放射性物質捕集材料に係る。
本発明において、イオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖を導入する方法である放射線グラフト重合法とは、γ線や電子線等の電離性放射線を基材に照射し、基材表面あるいは基材内部に生成したラジカルを利用して重合性単量体(以下、「モノマー」と称する。)を重合させ、基材からグラフト鎖を成長させる方法である。放射線グラフト重合法の特徴として、放射線の照射により、基材の表面のみならず基材の内部にまでラジカルを容易に発生させることができることが挙げられる。よって、基材表面だけではなく基材内部にまでモノマーを重合させることができるので、基材に導入されるグラフト鎖の数が多くなり、したがって基材に導入される官能基の数も多くなる。
グラフト(graft)とは「接ぎ木」という意味であり、グラフト鎖の一端が基材に固定されていて、他端が固定されていない自由端である状態を表す。グラフト鎖がこのような形態的特徴を有するので、グラフト鎖間にはサイズの小さなイオンから大きな分子まで容易に侵入することができる。この点は、架橋構造を有するイオン交換樹脂と比較して、大きく異なる特徴である。特にグラフト鎖中にイオン交換基やキレート基のような固定電荷が存在すると、固定電荷同士が静電的に反発するため、グラフト鎖が延び、グラフト鎖同士も反発しあう。このため、グラフト鎖間に広いスペースが形成される。後述するフェロシアン酸金属塩形成のための金属のイオンやフェロシアン化物イオンなども、このように形成されたグラフト鎖間スペースに容易に侵入することが可能であり、ここで有機高分子成形体への吸着ならびにフェロシアン酸金属塩微粒子形成が起こることになる。
本発明で使用する基材となる有機高分子成形体は、市販品のものを自由に選択できることである。例えば、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜、粉末など、用途に応じて自由に選択することができる。これらの中でも繊維は表面積が大きいため、放射性物質の捕集材料として利用した場合に、大きな吸着速度を見込むことができる。また、繊維は、繊維集合体である撚糸の他、不織布、織布などのシート状にも容易に成形加工することができるので、本発明の用途には好適である。特に、放射性同位元素取扱事業所の事故時の放射性物質の除去のように、放射性物質の種類、発生個所、存在量、ならびに使用環境等が定常時と大きく変わる場合は、使用方法や使用形態を自在に選択、あるいは変更できる点が非常に有利である。本発明の放射性物質捕集材の基材として有用な繊維素材として、合成繊維の他、綿などのセルロース系繊維、動物性繊維、鉱物系繊維、若しくは再生繊維、またはそれらの混合繊維が挙げられる。合成繊維にはポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、フッ素系等が含まれる。セルロース系繊維には、綿、麻等の天然セルロース系繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、テンセル等の精製セルロース繊維、アセテート、ジアセテート等の半合成繊維が含まれる。鉱物系繊維には、石綿、玄武岩繊維等が含まれる。動物性繊維には、羊毛等の獣毛繊維、絹等が含まれる。再生繊維には、キチン・キトサン繊維、コラーゲン繊維などが含まれる。これら繊維素材の混紡を用いることもまた可能である。
本発明のグラフト鎖に存在するイオン交換基あるいはキレート基は、液体、固体または気体中に含有されているイオンを吸着する機能を有する官能基のことである。液体、固体または気体中に含有されているイオンを吸着し、吸着されたイオンの代わりにグラフト鎖中に存在していた同符号の別のイオンを脱着するのが「イオン交換基」であり、陽イオン交換基と陰イオン交換基とがある。液体、固体または気体中に含有されているイオンを単に吸着するのが「キレート基」である。本発明においてイオン交換基またはキレート基は、イオンである放射性物質を直接吸着することができる。用いるイオン交換基が陽イオン交換基の場合、陽イオン交換基は、高分子成形体に吸着させるべきフェロシアン酸金属塩の金属イオンの方を吸着する役割を果たす。そして用いるイオン交換基が陰イオン交換基である場合は、高分子成形体に吸着させるべきフェロシアン酸金属塩のフェロシアン化物イオンの方を吸着する役割を果たす。キレート基は、用いるキレート基の種類に応じて、金属イオンまたはフェロシアン化物イオンを吸着することができる。ここでフェロシアン酸金属塩とは、フェロシアン化物イオン:
Figure 2013011599
が金属イオンと形成する金属塩の不溶化物ことである。用いるイオン交換基が陽イオン交換基である場合、本発明の放射性物質捕集材料の構造は模式的に以下:
Figure 2013011599
のように表される。そして、用いるイオン交換基が陰イオン交換基である場合、本発明の放射性物質捕集材料の構造は模式的に以下:
Figure 2013011599
のように表される。
上記の式(I)および(II)中、
Figure 2013011599
の部分、および
Figure 2013011599
の部分は、実際にはフェロシアン酸金属塩の不溶化物を形成し、微粒子の形態でイオン交換基の近傍に保持されている。
キレート基を用いた場合は、キレート基の種類によって、上記式(I)および(II)のパターンがあり得る。
上述のとおり、フェロシアン酸金属塩にはセシウムを吸着する性質があることが従来より知られている。したがってフェロシアン酸金属塩を保持した本発明の放射性物質捕集材料は、セシウムを良好に吸着することができる。
本発明において、イオン交換基の例として、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基が挙げられ、キレート基の例として、イミノジ酢酸基、1〜3級アミノ基を1つ以上含有するアミノ系官能基、アミドキシム基、およびヒドロキサム酸基が挙げられる。
また、フェロシアン酸金属塩を形成するための金属として、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、および銅(Cu)及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属が好適に用いられる。
本発明の別の態様は、本発明の放射性物質捕集材料の製造方法に係る。本発明の放射性物質捕集材料の製造方法は、放射線グラフト重合法によりグラフト重合させるモノマーの種類と、イオン交換基あるいはキレート基の種類によって異なる。
本発明の1の製造方法は、有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、カチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第3工程、および金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程を含む、放射性物質捕集材料の製造方法である。この製造方法は、モノマーとしてカチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを使用する場合に遂行する。
第1の製造方法において、有機高分子成形体に照射する電離性放射線は、α線、β線、γ線、電子線、中性子線などが含まれるが、基材である有機高分子成形体の表面から深い部分まで透過する能力を有するγ線および電子線を用いることが好ましい。放射線の照射条件は、特に限定はないが、次の工程において充分なグラフト効率を得るためには、脱酸素状態で、5〜200kGy、特に30〜100kGyとすることが好ましい。この際、酸素濃度は、必要とされる重合率でのグラフト重合が達成される濃度であればよく、好ましくは、酸素濃度1%以下、より好ましくは、酸素濃度100ppm以下である。
有機高分子成形体に電離性放射線を照射すると、有機高分子成形体表面ならびに内部にラジカルが発生する。ここにカチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを接触させると、発生したラジカルを基点としてカチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーが重合する。第2工程のグラフト重合は、放射線の照射のタイミングにより、前照射グラフト重合法と同時照射グラフト重合法とに分けられる。本発明はどちらの照射方法をも採用できる。前照射グラフト重合法とは、あらかじめ基材に放射線を照射した後、モノマーと接触させる重合方法であり、単独重合物の生成量が少ないため一般的には分離材料の製造方法にふさわしい方法である。同時照射グラフト重合法とは、基材とモノマーとの共存下に放射線を照射するグラフト重合法である。本発明においては単独重合物(ホモポリマー)生成量の少ない前照射グラフト重合法を用いることがより好ましい。
ここで、接触させるモノマーが液体である場合は液相グラフト重合法となり、モノマーが気体である場合は気相グラフト重合法となる。本発明では液相または気相グラフト重合のいずれのグラフト重合方法も利用できる。すなわち、放射線を照射した有機高分子成形体に液体のモノマーを接触させることもできるし、気体のモノマーを接触させることもできる。また、含浸重合法を行うことも可能である。この方法は、予め所定のグラフト率が得られるようモノマー量を計算し、必要量のモノマーを予め有機高分子成形体に浸み込ませておくグラフト重合法である。
第1の製造方法において用いるカチオン交換基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、アリルスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩が挙げられる。キレート基を有するモノマーとして、マレイン酸、ビニルイミダゾールなどが挙げられる。なお、本明細書において、「カチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマー」の語は、「カチオン交換基を有するモノマーまたはキレート基を有するモノマー」、「カチオン交換基とキレート基とを有するモノマー」および「カチオン交換基を有するモノマーとキレート基を有するモノマー」の全ての意味を表すものとして理解されたい。
グラフト重合を効率的に行うために、ジビニルベンゼンのような架橋剤モノマーを併用することも可能である。このほか、トリアリルイソシアネートやエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋剤も利用できる。
グラフト重合により、有機高分子成形体を基点とし、他端は自由端の、カチオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が形成される。ここにCo、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオン(陽イオン)を含む溶液を接触させると、グラフト鎖に存在するカチオン交換基および/またはキレート基にかかる金属のイオンが吸着される。Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液として、これら金属の金属塩酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩または金属硫酸塩の水溶液を用いることが好ましい。そして最後に金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させると、先に吸着させた金属イオンと、フェロシアン化物イオン(陰イオン)とが反応して、フェロシアン酸金属塩が生成し、これが有機高分子成形体の表面および内部に析出する。金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体に接触させるフェロシアン酸塩溶液として、フェロシアン酸カリウム、フェロシアン酸ナトリウムまたはフェロシアン酸リチウムの水溶液を用いることが好ましい。放射性セシウムはフェロシアン化金属塩中のアルカリ金属がセシウムと交換することにより捕捉されると言われている。そのため、アルカリ金属(特にカリウム)を使用することが重要である。フェロシアン化金属塩の不溶化物はK2Co[Fe(CN)]のような化学形態と推定される。
なお、上記の工程1〜4の各間に、洗浄工程や乾燥工程を適宜組み入れることが可能である。
本発明の第2の製造方法は、有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、アニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第3工程、およびフェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程を含む、放射性物質捕集材料の製造方法である。この製造方法は、モノマーとしてアニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを使用する場合に遂行する。
第2の製造方法において、電離性放射線を有機高分子成形体に照射する工程は、第1の製造方法と同様に行う。有機高分子成形体に電離性放射線を照射すると、有機高分子成形体表面ならびに内部にラジカルが発生する。ここにアニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを接触させると、発生したラジカルを基点としてアニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーが重合する。これにより有機高分子成形体を基点とし、他端は自由端の、アニオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が形成される。ここにフェロシアン酸塩溶液を接触させると、グラフト鎖に存在するアニオン交換基および/またはキレート基にフェロシアン化物イオン(陰イオン)が吸着される。そして最後にフェロシアン化物イオンを吸着させた有機高分子成形体にCo、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオン(陽イオン)を含む溶液を接触させると、先に吸着させたフェロシアン化物イオンと、金属のイオンとが反応して、フェロシアン酸金属塩が生成し、これが有機高分子成形体の表面および内部に析出する。
ここで、フェロシアン化金属塩の不溶化物形成において、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群に加え、特にLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを併用することが重要である。例えば、アニオン交換基にフェロシアン化カリウム等の水溶液を接触させると、フェロシアン酸イオンがイオン交換吸着するが、吸着性能向上に重要なカリウムイオンが流出するために、次工程でCo、Zn等の金属を接触させフェロシアン化コバルトやフェロシアン化亜鉛の不溶化物を生成させても、不溶化物中のCsとの交換サイトが少なくなるためである。従って、アニオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト材料を利用する場合、フェロシアン酸イオンを吸着させた後に、Co等の多価金属に加えアルカリ金属を併用することが特に重要である。
なお、第2の製造方法において用いるアニオン交換基を有するモノマーとして、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アリールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが挙げられる。また、キレート基を有するモノマーとして、マレイン酸、ビニルイミダゾールなどが挙げられる。なお、本明細書において、「アニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマー」の語は、「アニオン交換基を有するモノマーまたはキレート基を有するモノマー」、「アニオン交換基とキレート基とを有するモノマー」および「アニオン交換基を有するモノマーとキレート基を有するモノマー」の全ての意味を表すものとして理解されたい。
なお、上記の工程1〜4の各間に、洗浄工程や乾燥工程を適宜組み入れることが可能である。
本発明の第3の製造方法は、有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基をカチオン交換基および/またはキレート基に転換する第3工程、グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第4工程、および金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第5工程を含む、放射性物質捕集材料の製造方法である。この製造方法は、モノマーとしてカチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを使用する場合に遂行する。
第3の製造方法において、電離性放射線を有機高分子成形体に照射する工程は、第1の製造方法と同様に行う。有機高分子成形体に電離性放射線を照射すると、有機高分子成形体表面ならびに内部にラジカルが発生する。ここにカチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを接触させると、発生したラジカルを基点としてカチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーが重合する。これにより有機高分子成形体を基点とし、他端は自由端の、カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するグラフト鎖が形成される。次いで、グラフト鎖に存在するカチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基をカチオン交換基および/またはキレート基に転換する。ここにCo、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオン(陽イオン)を含む溶液を接触させると、グラフト鎖に存在するカチオン交換基および/またはキレート基にかかる金属のイオンが吸着される。そして最後に金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させると、先に吸着させた金属イオンと、フェロシアン化物イオン(陰イオン)とが反応して、フェロシアン酸金属塩の不溶化物が生成し、これが有機高分子成形体の表面および内部に析出する。
なお、第3の製造方法において用いるカチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーとして、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、グリシジルソルベート、グリシジルメタイタコナート、グリシジルビニルスルホナート、エチルグリシジルマレアート、2−ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、1−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−N−メチルアセタミドやこれらの誘導体が挙げられる。メタクリル酸グリシジルは、スルホン酸基やアミノ基をはじめキレート基など各種官能基導入が容易であるため、特に好適に利用できる。スチレンやクロロメチルスチレンも、イオン交換基およびキレート基の導入が容易であり、好適に利用できる。例えば、有機高分子成形体にメタクリル酸グリシジルをグラフト重合させ、次いで亜硫酸ナトリウムを反応させると、グラフト鎖中に存在するグリシジル基がスルホン基(カチオン交換基)に転換される。なお、本明細書において、「カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」の語は、「カチオン交換基に転換可能な官能基を有するモノマーまたはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」、「カチオン交換基に転換可能な官能基とキレート基に転換可能な官能基とを有するモノマー」および「カチオン交換基に転換可能な官能基を有するモノマーとキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」の全ての意味を表すものとして理解されたい。
なお、上記の工程1〜5の各間に、洗浄工程や乾燥工程を適宜組み入れることが可能である。
本発明の第4の製造方法は、有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、アニオン交換基及び/又はキレート基に転換可能な官能基をアニオン交換基及び/又はキレート基に転換する第3工程、グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第4工程、およびフェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液に接触させ、フェロシアン酸金属塩を成形体の表面および内部に形成させる第5工程を含む、放射性物質捕集材料の製造方法である。この製造方法は、モノマーとしてアニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを使用する場合に遂行する。
第4の製造方法において、電離性放射線を有機高分子成形体に照射する工程は、第1の製造方法と同様に行う。有機高分子成形体に電離性放射線を照射すると、有機高分子成形体表面ならびに内部にラジカルが発生する。ここにアニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを接触させると、発生したラジカルを基点としてアニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーが重合する。これにより有機高分子成形体を基点とし、他端は自由端の、アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するグラフト鎖が形成される。次いで、グラフト鎖に存在するキレート基に転換可能な官能基をアニオン交換基及び/又はキレート基に転換する。ここにフェロシアン酸塩溶液を接触させると、グラフト鎖に存在するアニオン交換基および/またはキレート基にフェロシアン化物イオン(陰イオン)が吸着される。そして最後にフェロシアン化物イオンを吸着させた有機高分子成形体にCo、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオン(陽イオン)を含む溶液を接触させると、先に吸着させたフェロシアン化物イオンと、金属のイオンとが反応して、フェロシアン酸金属塩の不溶化物が生成し、これが有機高分子成形体の表面および内部に析出する。アルカリ金属を使用する重要性は第2の製造方法において述べたとおりである。
なお、第4の製造方法において用いるアニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーとして、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、グリシジルソルベート、グリシジルメタイタコナート、グリシジルビニルスルホナート、エチルグリシジルマレアート、2−ビニルピロリドン、ジビニルベンゼン、1−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−N−メチルアセタミドやこれらの誘導体が挙げられる。メタクリル酸グリシジルは、スルホン酸基やアミノ基をはじめキレート基など各種官能基導入が容易であるため、特に好適に利用できる。スチレンやクロロメチルスチレンも、イオン交換基およびキレート基の導入が容易であり、好適に利用できる。例えば、有機高分子成形体にクロロメチルスチレンをグラフト重合させ、次いでトリメチルアミンを反応させると、グラフト鎖中に存在するクロロメチル基が4級アンモニウム基(アニオン交換基)に転換される。なお、本明細書において、「アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」の語は、「アニオン交換基に転換可能な官能基を有するモノマーまたはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」、「アニオン交換基に転換可能な官能基とキレート基に転換可能な官能基とを有するモノマー」および「アニオン交換基に転換可能な官能基を有するモノマーとキレート基に転換可能な官能基を有するモノマー」の全ての意味を表すものとして理解されたい。
なお、上記の工程1〜5の各間に、洗浄工程や乾燥工程を適宜組み入れることが可能である。
このようにして製造した本発明の放射性物質捕集材料には、フェロシアン酸金属塩の不溶化物が吸着し、一方イオン交換基および/またはキレート基が存在するので、フェロシアン酸金属塩の不溶化物が吸着する放射性セシウムの他、放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素などの多くの放射性物質を捕集することができる。したがって本発明の放射性物質捕集材料に、放射性物質を含有する液体、固体、および/または気体を接触させることにより、該液体、固体およびまたは気体に含有される放射性物質を放射性物質捕集材料に吸着させて、これを除去することができる。本発明の放射性物質捕集材料のこのような特性を利用して、放射線防護用品を製造することができる。放射線防護用品としては、例えば、放射線防護用衣服、マスク、靴、あるいはカバンなどの身につける用品の他、放射性物質により影響を受けうる物品を保存する袋や容器が挙げられ、本発明の放射性物質捕集材料を利用して、空気中に拡散した放射性物質を捕集するためのカーテンや、海水中に拡散した放射性物質を捕集するためのフェンスなどを作成することもまた可能である。
次に、本発明の放射性物質捕集材料の代表的な例を挙げて以下説明する:
例えば、代表的なイオン交換基としてスルホン酸基が存在するグラフト鎖を有する有機高分子成形体の一部に、フェロシアン酸金属塩の不溶化物を析出させた放射性物質捕集材が挙げられる。有機高分子成形体として、市販のポリエチレン繊維材料またはナイロン繊維材料を用いることができる。ポリエチレン繊維材料またはナイロン繊維材料に200kGyのγ線を照射して繊維の表面および内部にラジカルを発生させた後、イオン交換基に転換可能なモノマーとしてメタクリル酸グリシジルをグラフト重合させる。これにより、通常、100%以上のグラフト率を達成することができる。次いで、グラフト鎖に存在するグリシジル基を、亜硫酸ナトリウム溶液によりスルホン化すると、イオン交換容量2.0meq/g以上のカチオン交換繊維材料を容易に得ることができる。放射線グラフト重合法を利用してグラフト鎖を導入しているため、カチオン交換基であるスルホン酸基は繊維の表層ばかりでなく内部にも導入される。この材料に、例えば金属のイオンとしてコバルトイオンを含有する1%塩化コバルト水溶液を接触させると、スルホン酸基の一部がナトリウムイオン型(Na型)、残りがコバルトイオン型(Co2+型)となった繊維材料が得られる。この繊維材料に2%フェロシアン酸カリウム水溶液を接触させると、繊維材料に存在しているコバルトイオンとフェロシアン化物イオンとが反応して、フェロシアン酸コバルトやフェロシアン酸コバルトの一部がNaやKイオンに置き換わった不溶化物が析出する。この際、先に説明したとおり、コバルトイオンは繊維材料の表層だけでなく内部にも存在するから、フェロシアン酸コバルトやフェロシアン酸コバルトの一部がNaやKイオンに置き換わった不溶化物は、繊維材料の表層だけでなく内部にも強固に保持されることになる。この繊維材料に存在する不溶化物はセシウムイオン吸着能を有している。一方、一部存在しているNa型およびカリウムイオン型(K型)のスルホン酸基はストロンチウム等他の放射性物質を同時に吸着することができる。なお、K型のスルホン酸基は、フェロシアン化カリウム及び塩化コバルトと共存させる塩化カリウムからから供給されるK+イオンを交換吸着したものである。
導入するスルホン酸基の量や、フェロシアン酸コバルトやフェロシアン酸コバルトの一部がNaやKイオンに置き換わった不溶化物の量は、捕集すべき放射性物質の種類、放射性物質の発生個所および存在量、ならびに放射性物質捕集材料の使用環境などに応じて適宜決めることができる。例えば、多くの放射性セシウムを除去すべき場合は、コバルトイオンやフェロシアン酸カリウムまたはフェロシアン酸ナトリウム塩水溶液の量を調整することにより、フェロシアン酸コバルトやフェロシアン酸コバルトの一部がNaやKイオンに置き換わった不溶化物の保持量を大きくすればよい。また、放射性セシウム濃度がさほど大きくない場合は、コバルトイオンやフェロシアン酸カリウムまたはフェロシアン酸ナトリウム塩水溶液の量を減らすことにより、フェロシアン酸コバルトやフェロシアン酸コバルトの一部がNaやKイオンに置き換わった不溶化物の保持量を小さくすればよい。この不溶化物は非常に微細な微粒子として、グラフト鎖間に保持されるため、微細粒子固定化材料として吸着材用途に利用できる。従来の凝集沈殿処理が不要であり、放射性ストロンチウムなどの他の放射性物質もイオン交換基を利用して除去できる。
以上、カチオン交換基としてスルホン酸基を用いる場合を説明したが、この他、カルボキシル基、リン酸基、アミドキシム基、ヒドロキサム酸基、イミノジ酢酸基なども好適に利用できる。これら官能基を複数組み合わせることも可能である。
次に、代表的なアニオン交換基として4級アンモニウム基が存在するグラフト鎖を有する有機高分子成形体の一部に、フェロシアン酸金属塩粒子を析出させた放射性物質捕集材を説明する。有機高分子成形体として、市販のポリエチレン繊維材料またはナイロン繊維材料を用いることができる。ポリエチレン繊維材料またはナイロン繊維材料に10〜200kGyのγ線を照射して繊維の表面および内部にラジカルを発生させた後、イオン交換基に転換可能なモノマーとしてクロロメチルスチレンをグラフト重合させる。これにより、通常、60%以上のグラフト率を達成することができる。次いでグラフト鎖に存在するクロロメチル基をトリメチルアミン水溶液を用いて4級アンモニウム化すると、イオン交換容量1.5meq/g以上のアニオン交換繊維材料を容易に得ることができる。この材料に、1%フェロシアン酸カリウム水溶液を接触させると、4級アンモニウム基の一部にフェロシアン化物イオンが吸着したアニオン交換繊維材料が得られる。次に、この材料に2%塩化銅と3.5%の塩化カリウムを含む水溶液とを接触させると、繊維に存在するフェロシアン化物イオンと銅イオンとが反応してフェロシアン酸銅及びフェロシアン酸銅の一部がK+イオンに置き換わったフェロシアン酸金属塩の不溶化物が析出する。先に説明したとおり、この繊維材料には、フェロシアン酸銅及びフェロシアン酸銅の一部がK+イオンに置き換わったフェロシアン酸金属塩の不溶化物が超微粒子の状態で繊維材料の表層だけでなく内部にも強固に保持されることになる。繊維材料中の4級アンモニウム基の一部はCl型で存在している。この繊維材料に存在するフェロシアン酸銅はセシウムイオン吸着能を有しており、一方、Cl型の4級アンモニウム基はヨウ素イオンを捕集することができる。
導入する4級アンモニウム基の量やフェロシアン酸銅及びフェロシアン酸銅の一部がK+イオンに置き換わったフェロシアン酸金属塩の不溶化物の量は、捕集すべき放射性物質の種類、放射性物質の発生個所および存在量、ならびに放射性物質捕集材料の使用環境などに応じて適宜決めることができる。例えば、多くの放射性セシウムを除去すべき場合は、フェロシアン酸カリウムまたはフェロシアン酸ナトリウム水溶液の量を増加し、塩化銅および塩化カリウム水溶液の量を増やすことにより、フェロシアン酸銅及びフェロシアン酸銅の一部がK+イオンに置き換わったフェロシアン酸金属塩の不溶化物の微粒子の保持量を大きくすればよい。また、放射性セシウム濃度がさほど大きくない場合は、フェロシアン酸カリウムまたはフェロシアン酸ナトリウム水溶液の量を少なくし、塩化銅及び塩化カリウム混合水溶液の量を減らすことにより、フェロシアン酸銅及びフェロシアン酸銅の一部がK+イオンに置き換わったフェロシアン酸金属塩の不溶化物の保持量を小さくすればよい。先に述べたように、不溶化物は非常に微細な粒子としてグラフト鎖間に保持される。
以上、アニオン交換基として4級アンモニウム基を用いる場合を特に説明したが、このほか、アミノ酸基、1〜3級アミノ基を単独または複数含有するアミノ系官能基、例えばポリエチレンイミンのような官能基も好適に利用できる。これら官能基を複数組み合わせることも可能である。
上記のカチオン交換基を使用した製造方法例において、フェロシアン酸金属塩不溶化物の形成のためにイオン交換基および/またはキレート基に担持させる金属は、コバルト、銅のほか、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、Mnからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属からも適宜できる。これらの金属をイオン交換基および/またはキレート基に吸着させるためには、これら金属の塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩または硫酸塩を好ましく利用できる。
上記の製造方法例において、グラフト鎖に吸着していた金属のイオンにフェロシアン酸塩溶液(フェロシアン酸カリウムまたはフェロシアン酸ナトリウム水溶液)を接触させると、金属イオンはイオン交換基から離れ、その場でフェロシアン酸金属塩を生成する。すなわち、グラフト鎖中に存在する金属のイオンは、グラフト鎖中に拡散してきたフェロシアン化物イオンと接触し、その場で難溶性の塩を生成して微粒子化すると同時にカチオン交換基をアルカリ金属塩型に変え、アニオン交換基をCl型、硝酸型または硫酸型に変える。この結果、フェロシアン酸金属塩は互いに凝集することなく、超微粒子の状態でグラフト鎖間に保持されることになる。本発明の放射性物質捕集材料のグラフト鎖がカチオン交換基の場合は、グラフト鎖は負に帯電しており、アニオン交換基の場合は正に帯電しているため、グラフト鎖が互いに反発し、グラフト鎖同士の絡みあいが抑制されている。よって、これらの製造方法により製造された放射性物質捕集材料に放射性物質を含有する液体、固体および/または気体を接触させると、含有される放射性物質(例えば、放射性セシウム等)は、グラフト鎖間を素早く拡散することができ、ここで有機高分子成形体に吸着される。
上述のとおり、フェロシアン酸塩溶液として、フェロシアン酸カリウムやフェロシアン酸ナトリウム、場合によりフェロシアン酸リチウムなどのアルカリ金属塩の水溶液を好適に利用できる。これらのアルカリ金属塩は、水に溶けやすく、利用が容易である。
このようにフェロシアン酸金属塩微粒子を繊維内に閉じ込めた形態の本発明の放射性物質捕集材料は、活性炭やシリカゲルなどの担体にフェロシアン酸金属塩を担持させた材料に比べ、フェロシアン酸金属塩の担持量が大きくなる。またフェロシアン酸金属塩は、微粒子の状態でグラフト鎖に強固に保持されるため、放射性物質捕集材料から脱落することもほとんどない。本発明の放射性物質捕集材料は、保持させたフェロシアン酸金属塩による放射性セシウム吸着機能と、放射性物質捕集材料中に残存しているイオン交換基および/またはキレート基の放射性ストロンチウム、放射性ヨウ素吸着機能とを共に生かし、種々の放射性核種の捕集機能を併せ持つ複合材料として用いることができる。
このように、放射性セシウム、ストロンチウム、ヨウ素等の放射性物質を吸着させた本発明の放射性物質捕集材料を汚染区域外に取り出すことにより、汚染区域内の放射性物質を除去することができる。本発明の放射性物質捕集材料の形態は繊維または繊維の集合体の形態であるので、従来法である凝集沈殿法やろ過法などにおいて必須であった固液分離のための操作が不要となる。本発明の繊維または繊維の集合体の放射性物質捕集材料を、放射性物質で汚染された場所にそのまま放り込み、汚染源である放射性物質を吸着させて、本発明の材料を容易に回収することができるので、放射性物質汚染事故に対する迅速な対応が可能となる。
本発明の製造方法で用いる有機高分子成形体は、繊維や繊維の集合体である撚糸、織布や不織布が好適であり、単位重量当たりの表面積が樹脂に比べ圧倒的に大きく、放射性物質の吸着速度を高めることができ極めて有利である。繊維は空隙が多いため、圧力損失が小さく、放射性物質を含有する液体、固体および/または気体を高速で通過させることができるからである。本発明の放射性物質捕集材料をカラムに充填する方式で使用しても、放射性物質を含有する液体、固体および/または気体を高流速で通過させることができる。また本発明の放射性物質捕集材料は、フィルム、多孔膜、ネット、粉末あるいはモールなどの繊維製品の形態にも加工することができる。本発明の放射性物質捕集材料の単位体積当たりのイオン交換容量を市販のイオン交換樹脂のそれと比較すると決して大きいとは云えない。しかしながら、放射性物質は濃度的に極微量であるため、このような極微量の放射性物質を含有する液体、固体および/または気体中の放射性物質除去するための官能基量としては十分であると考えられる。それよりも、放射線グラフト重合法を利用した本捕集材料は、単なる表面改質にとどまらず、材料の内部にまでイオン交換基が導入され、かつフェロシアン酸金属塩が保持されるため、非常に有利なものであると云える。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の態様は以下の実施例に限られない。
[実施例1]
(1)強酸性カチオン交換繊維の製造
直径約25μmの6−ナイロン繊維の撚糸1kgをポリエチレン袋に入れ、減圧排気−窒素ガス導入という窒素置換操作を3回繰り返した。この袋を発泡スチロールの箱にドライアイス5kgとともに入れ、冷却下で発泡スチロールの箱にγ線200kGyを照射した。照射後、ポリエチレン袋の中のナイロン繊維撚糸を取り出し、これをグラフト重合用ガラスアンプルに入れた。予め窒素ガスでバブリング操作により脱酸素しておいたスチレンスルホン酸ナトリウム(ナカライテスク)10%水溶液をガラスアンプルに導入した。そして、恒温水槽にて40℃、5時間グラフト重合をおこなった。重合終了後の撚糸を50℃の純水に浸漬し、1時間洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の撚糸を真空乾燥し、重量を測定すると、グラフト率61%であることがわかった。
この撚糸の一部0.5gを採取し、これを1N塩酸100mlに浸漬し、再生した。PH試験紙が酸性を示さなくなるまで純水で撚糸を洗浄した。この撚糸を塩化ナトリウム3%水溶液100mlに30分間浸漬し撹拌した。酸性となった液の一部を1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、中性塩分解容量を求めた。こうしてイオン交換容量1.76meq/gの強酸性カチオン交換繊維からなる撚糸を得た。
(2)フェロシアン酸コバルト担持ナイロン繊維撚糸の製造
塩化コバルト(II)・6水和物2gを水に溶解して塩化コバルト水溶液2%を100ml作製し、(1)で得られた撚糸1gを浸漬した。30分経過後に撚糸を塩化コバルト水溶液から取出し、純水で十分に洗浄した。乾燥後の撚糸はピンク色を呈し、撚糸にはコバルトイオンが吸着していることが分かった。次に、フェロシアン酸カリウム1%水溶液100mlをビーカーに作成し、ここにコバルトイオンを吸着させた撚糸を浸漬した。室温で1時間撹拌しながら、フェロシアン酸コバルトの撚糸への担持を行った。最後に、撚糸を純水100mlで5回洗浄し、洗浄液が透明になったことを確認した。撚糸を60℃で真空乾燥して、フェロシアン酸コバルトを担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例2]
フェロシアン酸鉄(III)塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに塩化鉄(III)・6水和物2gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸鉄(III)塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例3]
フェロシアン酸マンガン(II)塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに塩化マンガン・4水和物2gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸マンガン(II)塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例4]
フェロシアン酸銅塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに塩化銅(II)・2水和物2gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸銅塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例5]
フェロシアン酸ニッケル塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに塩化ニッケル・6水和物2gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸ニッケル塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例6]
フェロシアン酸亜鉛担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに無水塩化亜鉛2gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸亜鉛塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例7]
フェロシアン酸チタン塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに塩化チタン20%水溶液10mlを用い、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸チタン塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例8]
フェロシアン酸アルミニウム塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりに硫酸アルミニウム・18水和物10gを用いて、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸アルミニウム塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[実施例9]
フェロシアン酸ジルコニウム塩担持ナイロン繊維撚糸の製造
実施例1(2)の工程において、塩化コバルト(II)・6水和物2gの代わりにオキシ塩化ジルコニウム8水和物10gを用い、金属塩の吸着したナイロン繊維撚糸を作製後、実施例1(2)に記載のフェロシアン酸カリウム1%水溶液に浸漬し、実施例1と同様の操作を行った。このようにして、フェロシアン酸ジルコニウム塩を担持させたナイロン繊維撚糸を得た。
[吸着テスト]
(1)塩化ナトリウム水溶液中でのセシウム吸着試験
塩化ナトリウムを純水に溶解し、0.5mol/Lの人工海水を調製した。この液に塩化セシウムをセシウム濃度10mg/Lとなるよう加え、各ナイロン繊維撚糸の評価用試験液とした。この塩化ナトリウム水溶液30mlに、実施例1〜9で調製したフェロシアン酸金属塩担持ナイロン繊維撚糸各0.3gを加え、24時間撹拌し、セシウムを吸着させた。その後、塩化ナトリウム水溶液中のセシウム濃度を測定することにより、各ナイロン繊維撚糸のセシウム捕集性能を調べた。これらの結果を第1表に示した。全てのナイロン繊維撚糸のセシウム除去性能が認められた。特に、フェロシアン酸コバルト、フェロシアン酸マンガン、フェロシアン酸ニッケル、フェロシアン酸亜鉛の金属塩を担持させた撚糸は、液体中のセシウムが0.1mg/L以下となり、99%の高いセシウム除去率を示した。
Figure 2013011599
(2)塩化ナトリウム水溶液中でのセシウム、ストロンチウム吸着試験
上記のセシウム吸着試験において、セシウム(10mg/L)に、さらに塩化ストロンチウム水溶液をストロンチウム濃度10mg/Lとなるように加えたこと以外は、上記(1)と同様の捕集試験を行った。結果を第2表に示した。
Figure 2013011599
第1表および第2表より、本発明の放射性物質捕集材料は、セシウムの他、ストロンチウムを効果的に捕集する性能を有することがわかる。そして、セシウムやストロンチウムを捕集させた後の各ナイロン繊維撚糸をピンセットで取り除いて、簡単に放射性物質を含む水溶液から放射性物質を取り除くことができた。
[実施例10〜18]
(1)強塩基性アニオン交換繊維の製造
繊維径17μmのポリエチレン繊維よりなる織布50gをポリエチレン袋に入れ、減圧排気−窒素ガス導入という窒素置換操作を3回繰り返した。この袋に、4MeVの電子線200kGyを照射した。照射後、照射済みのポリエチレン繊維織布を袋のまま発泡スチロールの箱に入れ、ここにドライアイスも入れて冷温保存した。一方、クロロメチルスチレン(AGCセイミケミカル社製)1Lを活性アルミナ充填カラム500mlに通液し、クロロメチルスチレン中に含有されている重合禁止剤を取り除いた。クロロメチルスチレンに窒素をバブリングし、脱酸素した。先の放射線照射済みポリエチレン繊維織布をガラスアンプルにいれ、真空ポンプにて10分間吸引し、ガラスアンプル内を真空にした。ここに脱炭素したクロロメチルスチレン溶液をアンプル内に真空を利用して投入した。45℃の恒温水槽中で6時間グラフト重合を行った。重合後、ポリエチレン繊維織布を取り出し、アセトンおよびメタノールで洗浄した後、重量を測定した。重量増加率から、クロロメチルスチレンのグラフト率は116%であることがわかった。グラフト重合後のポリエチレン繊維織布をトリメチルアミン5%水溶液に浸漬し、40℃で3時間恒温水槽中に置いて、4級アンモニウム化反応を行った。得られたポリエチレン繊維織布は、中性塩分解容量2.4meq/gの強塩基性アニオン交換であった。
(2)フェロシアン酸金属塩担持ポリエチレン繊維織布の製造
(1)で得られた織布をフェロシアン酸カリウム2%水溶液に1時間浸漬し、織布にフェロシアン化物イオンを吸着させた。このフェロシアン化物イオンを吸着したポリエチレン繊維織布を実施例1〜9に記載したコバルト、鉄、マンガン、銅、ニッケル、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウムの各金属塩の塩酸塩水溶液に1時間浸漬し、フェロシアン酸金属塩の不溶化物をポリエチレン繊維織布内に保持させた。
このようにして得た各ポリエチレン繊維織布による、セシウムとヨウ素イオン吸着テストを、上記の塩化ナトリウム水溶液中でのセシウム、ストロンチウム吸着試験にならい行った。結果を第3表に示した。各ポリエチレン繊維織布は、セシウムおよびヨウ素イオンを効果的に捕集した。
Figure 2013011599
[実施例19〜21]
(1)キレート繊維の製造
実施例1で用いたナイロン繊維撚糸を用い、実施例1と同様に放射線照射した。ここにメタクリル酸グリシジル/メタノールをモノマー溶液として接触させ、7時間グラフト重合を行った。グラフト率は129%であった。次に、グラフト重合後のナイロン繊維撚糸をイミノジ酢酸ナトリウム/イソプロピルアルコール/水=1/1/8の溶液に浸漬し、80℃、10時間反応させた。撚糸の重量増加率から、2.7mmol/gのイミノジ酢酸基を有するキレート繊維が作成できたことがわかった。
このナイロン繊維撚糸に、実施例1、実施例3、および実施例5と同様に塩化コバルト水溶液、塩化マンガン水溶液および塩化ニッケル水溶液を接触させて、各金属のイオンを吸着させた。さらに、各これら実施例と同様にフェロシアン酸カリウム水溶液と接触させることにより、フェロシアン酸金属塩担持ナイロン繊維撚糸を得た。
[吸着テスト]
セシウムおよびストロンチウム吸着試験
実施例19〜21で得られたナイロン繊維撚糸について、上記の、塩化ナトリウム水溶液中でのセシウム、ストロンチウム吸着試験と同様に、セシウムおよびストロンチウム吸着テストを行った。結果を第4表に示した。
Figure 2013011599
[実施例22]
(1)弱塩基性アニオン交換繊維の製造
実施例1で用いたナイロン繊維撚糸を用い、実施例1と同様に放射線照射した。ここにN、N-ジメチルアミノエチルメタクリレート20%水溶液をモノマー溶液として接触させ、4時間グラフト重合を行った。グラフト率は46%であった。次に、グラフト重合後のナイロン繊維撚糸を0.5N塩酸水溶液で処理した。次にフェロシアン酸カリウム2%水溶液に1時間浸漬し、織布にフェロシアン化物イオンを吸着させた。このフェロシアン化物イオンを吸着したアニオン交換繊維撚糸を塩化コバルト3%水溶液に浸漬し、フェロシアン酸コバルトを主要成分とする結晶を生成保持させた。この際、塩化コバルト溶液に塩化カリウムを0%、1.9%、3.3%とした繊維3種類を調製した。
このようにして得た繊維による、セシウムイオン吸着テストを実施例1と同様に行った。ただし、セシウムイオンは塩化ナトリウムを添加せず、純水中に溶解した。結果を第5表に示す。
Figure 2013011599
繊維製造工程において、KCl溶液を添加しない試料はセシウムの除去率が約60%と悪く、KCl溶液を加えた場合は添加量が大きくなるにつれ、セシウム除去効果が良くなることが分かる。
[実施例23〜31]
実施例10〜18において、コバルト、鉄、マンガン、銅、ニッケル、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウムの各金属塩の塩酸塩水溶液に加えて塩化カリウム1.5%となるよう調整した液を使用し、同様のセシウムイオン吸着テストを行った。結果を第6表に示した。
Figure 2013011599
様々な形状と材質の有機高分子成形体、特に表面積が大きく、成形加工が容易な繊維材料または繊維集合体に、放射線グラフト重合法を利用して、イオン交換基やキレートを導入した。そして、フェロシアン酸塩およびコバルト、鉄、マンガン、ニッケルなどの種々の金属を用いて、繊維にフェロシアン酸金属塩を堆積させ、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素などを簡便に除去できることができることがわかった。本発明の捕集材料を原子力施設で使用することにより、被曝を最小限に抑えながら、放射性物質の拡散を防止することが可能となる。また、繊維、または繊維集合体の形状である本発明の放射性物質捕集材料は、原子力発電所内の汚染水のみならず、既に環境中に放出された放射性物質を取り除く際にも、汚染物質の種類、濃度、存在形態などを考慮して、さまざまな製品形態に容易に加工できるという利点がある。本発明の放射性物質捕集材料は、重量が軽いため、捕集材料の移動や運搬、さらに減容固化等の最終処分が容易である。

Claims (13)

  1. イオン交換基および/またはキレート基を有するグラフト鎖が放射線グラフト重合法により導入された有機高分子成形体のグラフト鎖間に、フェロシアン酸金属塩を保持させたことを特徴とする、放射性物質捕集材料。
  2. 前記フェロシアン酸金属塩の金属が、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、Mn、およびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属より選択される、請求項1に記載の放射性物質捕集材料。
  3. イオン交換基が、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、4級アンモニウム基、アミノ基、およびからなる群から選択され、キレート基が、イミノジ酢酸基1〜3級アミノ基を1つ以上含有するアミノ系官能基、アミドキシム基、およびヒドロキサム酸基からなる群より選択される、請求項1または2に記載の放射性物質捕集材料。
  4. 有機高分子成形体が、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜、粉末またはそれらの加工品からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性物質捕集材料。
  5. 有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
    カチオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
    グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第3工程、および
    金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程
    を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
  6. 有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
    アニオン交換基および/またはキレート基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
    グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第3工程、および
    フェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第4工程
    を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
  7. 有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
    カチオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
    カチオンおよび/またはキレート基に転換可能な官能基をカチオン交換基および/またはキレート基に転換する第3工程、
    グラフト重合させた有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液を接触させ、金属のイオンを吸着させる第4工程、および
    金属のイオンを吸着させた有機高分子成形体にフェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン酸金属塩を有機高分子成形体の表面および内部に形成させる第5工程
    を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
  8. 有機高分子成形体に電離性放射線を照射する第1工程、
    アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基を有するモノマーを有機高分子成形体にグラフト重合させる第2工程、
    アニオン交換基および/またはキレート基に転換可能な官能基をアニオン交換基および/またはキレート基に転換する第3工程、
    グラフト重合させた有機高分子成形体に、フェロシアン酸塩溶液を接触させ、フェロシアン化物イオンを吸着させる第4工程、および
    フェロシアン化物イオンを吸着した有機高分子成形体に、Co、Zn、Zr、Ni、Ti、Al、Fe、MnおよびCuからなる群及び/又はLi、Na、Kのアルカリ金属から選択される金属のイオンを含む溶液に接触させ、フェロシアン酸金属塩を成形体の表面および内部に形成させる第5工程
    を含む、放射性物質捕集材料の製造方法。
  9. フェロシアン酸塩溶液が、フェロシアン酸カリウム、フェロシアン酸ナトリウムまたはフェロシアン酸リチウムの水溶液である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 金属のイオンを含む溶液が、金属塩酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩または金属硫酸塩の水溶液である、請求項記5〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 有機高分子成形体が、繊維、不織布、織布、撚糸、膜、多孔性膜、粉末またはそれらの加工品からなる群より選択される、請求項5〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性物質捕集材料に、放射性物質を含有する液体、固体および/または気体を接触させて、該液体、固体および/または気体に含有される放射性物質を該放射性物質捕集材料に吸着させる、放射性物質の除去方法。
  13. 請求項4に記載の放射性物質捕集材料を含む、放射線防護用品。
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