JP2013010295A - タイヤ側面の装飾方法および空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドウォール部の剛性を低下させることなく、立体的な装飾をタイヤの側面に容易に形成することができるタイヤ側面の装飾方法を提供する。また、サイドウォール部の剛性を低下させることなく側面に立体的な装飾を形成した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーをタイヤの側面上に塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を形成する第1層形成工程と、形成した硬化層上に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を積層する積層工程とを含み、タイヤ側面上に複数の硬化層の積層体よりなる装飾を形成することを特徴とするタイヤ側面の装飾方法である。また、該装飾方法を用いてタイヤ側面に装飾を施したことを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図1
【解決手段】紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーをタイヤの側面上に塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を形成する第1層形成工程と、形成した硬化層上に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を積層する積層工程とを含み、タイヤ側面上に複数の硬化層の積層体よりなる装飾を形成することを特徴とするタイヤ側面の装飾方法である。また、該装飾方法を用いてタイヤ側面に装飾を施したことを特徴とする空気入りタイヤである。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤの側面に装飾を施す方法および側面に装飾を施した空気入りタイヤに関し、特に、デザイン性の高い立体的な装飾をタイヤ側面に施す方法および該立体的な装飾を側面に施した空気入りタイヤに関するものである。
一般に、タイヤの側面(サイドウォール部の外表面)には、製造会社名、ブランド名、タイヤサイズ、製造時期などの各種情報を示すための標章(文字、図形、バーコードを含む記号や、模様等)が付されている。そして、従来、これらの標章のタイヤ側面への付与は、タイヤ側面に隆起部、窪み部、リッジ等を設けてタイヤ側面に凹凸を形成することにより行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年では、デザイン性およびユーザーの購買意欲の更なる向上のために、タイヤの側面に有色の装飾(彩色した標章を含む。)を施す場合がある。そして、このような装飾の形成方法としては、グリーンタイヤの成型時に彩色ゴム(白ゴム等)をサイドウォール部内に埋設しておき、加硫後に当該彩色ゴムが埋設された部分の周囲を部分的に削り落としてタイヤのサイドウォール部に文字やラインを露出させる手法が提案されている。しかしながら、この装飾形成方法には、彩色ゴムの埋設やサイドウォール部の部分的な削り落としに多大な手間がかかり、しかもこれらの作業は手作業であるために一定の品質を得るのが困難であるという問題がある。
そこで、上記従来の装飾形成方法の問題点を解決するものとして、各種タイヤ用のカラーテープ(ステッカー)が開発されている。具体的には、上記問題点を解決し得る装飾形成方法として、タイヤの側面に環状の凹溝を設けておき、この凹溝内に各種の色のステッカーを貼り付けて装飾を形成する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、このステッカーを用いた装飾形成方法によれば、装飾を一定の品質で容易に形成することができる。
しかし、ステッカーを用いた上記従来の装飾形成方法には、タイヤの側面に形成した凹溝内にステッカーを貼り付けており、サイドウォール部の表層を掘り込む必要があるため、サイドウォール部の剛性が低下するという問題があった。また、上記従来の装飾形成方法には、ステッカーの貼り付け時にシワが生じる場合があるため、複雑な文字や模様からなる装飾や立体的な装飾を形成することが困難であるという問題もあった。
そこで、本発明は、サイドウォール部の剛性を低下させることなく、立体的な装飾をタイヤの側面に容易に形成することができるタイヤ側面の装飾方法を提供することを目的とする。また、本発明は、サイドウォール部の剛性を低下させることなく側面に立体的な装飾を形成した空気入りタイヤを提供することも目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーをタイヤの側面上に塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を形成する第1層形成工程と、形成した硬化層上に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を積層する積層工程とを含み、タイヤ側面上に複数の硬化層の積層体よりなる装飾を形成することを特徴とする。このように、第1層形成工程および積層工程を実施してタイヤ側面上に複数の硬化層の積層体よりなる装飾を形成すれば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく、立体的な装飾をタイヤの側面に容易に形成することができる。なお、熱可塑性エラストマーを紫外線硬化させてなる硬化層の弾性率や硬さは熱可塑性エラストマーの配合組成を調整することにより制御することができるので、硬化層の積層体を用いて装飾を形成すれば、装飾の形成によるタイヤの性能への悪影響を抑制することができる。
ここで、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、前記装飾のJIS−A硬さと、該装飾が形成される前記側面を構成するゴムのJIS−A硬さとの差が20以下であることが好ましい。装飾のJIS−A硬さと、側面(サイドウォール部)を構成するゴムのJIS−A硬さとの差を20以下とすれば、タイヤ走行時などに装飾がサイドウォール部の変形に十分に追従することができるからである。即ち、装飾の形成によりタイヤの性能が悪化するのを抑制することができるからである。
なお、本発明において、「JIS−A硬さ」はJIS K6301−1975に準拠して温度20℃にて測定することができる。
なお、本発明において、「JIS−A硬さ」はJIS K6301−1975に準拠して温度20℃にて測定することができる。
また、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、前記第1層形成工程の前に、前記タイヤの側面に凹部を形成する凹部形成工程を含み、前記第1層形成工程では、少なくとも前記凹部を形成した部分に前記紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布することが好ましい。凹部を形成した部分に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布すれば、熱可塑性エラストマーを所望の位置に塗布することができるので、立体的な装飾を精度良く形成することができるからである。なお、形成した凹部には硬化層が形成されるので、この装飾方法を用いてタイヤ側面に装飾を形成した空気入りタイヤは、サイドウォール部の剛性の低下を抑制することができる。
更に、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、前記積層体の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向内側に位置する硬化層の幅が、タイヤ幅方向外側に位置する硬化層の幅よりも大きいことが好ましい。タイヤ幅方向内側、即ちタイヤ側面側に位置する硬化層の幅を大きくすれば、硬化層上に熱可塑性エラストマーを塗布する際に熱可塑性エラストマーが硬化層からはみ出すのを抑制することができるので、立体的な装飾を精度良く形成することができるからである。
なお、「積層体の延在方向」とは、積層体のタイヤ径方向中央を結ぶ線が延在する方向を指す。
なお、「積層体の延在方向」とは、積層体のタイヤ径方向中央を結ぶ線が延在する方向を指す。
また、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、前記積層体の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向外側に位置する硬化層の厚さが、タイヤ幅方向内側に位置する硬化層の厚さよりも小さいことが好ましい。タイヤ幅方向外側、即ち積層体の外面側に位置する硬化層の厚さを小さくすれば、硬化層上に熱可塑性エラストマーを塗布する際に熱可塑性エラストマーが硬化層からはみ出すのを抑制することができるので、立体的な装飾を精度良く形成することができるからである。
そして、本発明のタイヤ側面の装飾方法は、前記積層工程において、前記形成した硬化層の表面に凹部を形成した後、該凹部を形成した硬化層上に前記紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布することが好ましい。形成された硬化層の表面(新たに硬化層が積層される面)に凹部を形成し、該凹部を形成した部分に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布すれば、熱可塑性エラストマーを所望の位置に塗布することができるので、立体的な装飾を精度良く形成することができるからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の空気入りタイヤは、上記タイヤ側面の装飾方法の何れかを用いてタイヤ側面に装飾を施したことを特徴とする。このように、上述したタイヤ側面の装飾方法の何れかを用いてタイヤ側面に装飾を施せば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく側面に立体的な装飾を形成した空気入りタイヤを提供することができる。
なお、上述したような空気入りタイヤは、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して形成した硬化層の積層体よりなる装飾を側面に有する構造となる。
なお、上述したような空気入りタイヤは、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して形成した硬化層の積層体よりなる装飾を側面に有する構造となる。
本発明のタイヤ側面の装飾方法によれば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく、立体的な装飾をタイヤの側面に容易に形成することができる。また、本発明の空気入りタイヤによれば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく側面に立体的な装飾を形成した空気入りタイヤを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明のタイヤ側面の装飾方法は、タイヤの側面(サイドウォール部の外表面)にデザイン性の高い立体的な装飾を形成する方法として好適に用いることができる。そして、本発明の空気入りタイヤは、本発明のタイヤ側面の装飾方法を用いてタイヤ側面に立体的な装飾を形成したことを特徴とする。なお、本発明の装飾方法を用いて形成する立体的な装飾は、特に限定されることなく標章等として利用することができる。
ここで、本発明のタイヤ側面の装飾方法の一例は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを用いて形成した硬化層を積層することで、複数の硬化層の積層体よりなる立体的な装飾をタイヤ側面に直接形成することを特徴とする。具体的には、この一例の装飾方法は、タイヤの側面上に第1の硬化層を形成する第1層形成工程と、該第1の硬化層上に1層以上の硬化層を形成(積層)する積層工程とを含むことを特徴とする。
そして、この一例の装飾方法を用いたタイヤ側面への装飾の形成は、図1に概略構成を示し、図2に図1のI−I線に沿う断面を示すようなタイヤ装飾装置を用いて行うことができる。なお、図2ではタイヤ1の内部構造の図示を省略している。
このタイヤ装飾装置は、加硫済みのタイヤ1をリム(図示せず)に装着した状態で回転させる回転機構(図示せず)と、タイヤ1の側面2(トレッド部3のタイヤ幅方向両外側に位置するサイドウォール部の一方の外表面)に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布するディスペンサー11,12と、タイヤ1の側面2に紫外線を照射する紫外線照射ランプ13とを備えている。なお、このタイヤ装飾装置では、タイヤを回転させながら装飾を形成する構成を採用しているが、本発明の装飾方法に使用するタイヤ装飾装置は、タイヤを固定しておき、ディスペンサーおよび紫外線照射ランプの双方を移動させる構成を採用したものであっても良い。
このタイヤ装飾装置は、加硫済みのタイヤ1をリム(図示せず)に装着した状態で回転させる回転機構(図示せず)と、タイヤ1の側面2(トレッド部3のタイヤ幅方向両外側に位置するサイドウォール部の一方の外表面)に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布するディスペンサー11,12と、タイヤ1の側面2に紫外線を照射する紫外線照射ランプ13とを備えている。なお、このタイヤ装飾装置では、タイヤを回転させながら装飾を形成する構成を採用しているが、本発明の装飾方法に使用するタイヤ装飾装置は、タイヤを固定しておき、ディスペンサーおよび紫外線照射ランプの双方を移動させる構成を採用したものであっても良い。
ここで、加硫済みのタイヤ1は、特に限定されることなく、通常の方法を用いて製造することができる。そして、この加硫済みのタイヤ1は、リムに装着し、所定の内圧(例えば、JATMA等の規格のタイヤ最大負荷能力に対応する内圧(最高空気圧))を適用した状態で回転機構に取り付けられる。所定の内圧を適用した状態でタイヤ側面に装飾を施せば、装飾の形状がタイヤ使用時に所望の形状となるようにすることができるからである。
回転機構は、リムに装着した加硫済みのタイヤ1を回転可能に支持する手段、例えば回転支持軸よりなる。そして、この回転機構は、タイヤ回転軸線Cを軸中心として加硫済みのタイヤ1を図1では半時計周りに回転させる。なお、加硫済みのタイヤ1を回転させる速度は、タイヤ側面2上に塗布した硬化前の熱可塑性エラストマーを所望の塗布位置に保持することができる速度、即ち塗布した熱可塑性エラストマーが遠心力により垂れない速度とすることができる。
2つのディスペンサー11,12は、図1に示すX,Y,Zの三軸方向に移動可能に構成されている。そして、ディスペンサー11,12からは、互いに異なる色に着色された紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーがタイヤ1の側面2に定量吐出される。なお、ディスペンサー11,12の動作および吐出圧は、コンピュータなどの制御手段(図示せず)により制御されており、該制御手段は、タイヤ1の側面2に所望の形状の装飾4が施されるようにディスペンサー11,12の動作および吐出圧を制御する。
因みに、タイヤ1の側面2に熱可塑性エラストマーを塗布する手段としては、ディスペンサー以外の既知の塗布手段を用いることもできる。しかし、熱可塑性エラストマーを精度良く塗布してタイヤ側面に装飾を高精度で形成する観点からは、ディスペンサーを用いることが好ましい。なお、タイヤ装飾装置で使用するディスペンサーの数は、形成する装飾に使用する色の数等に応じて適宜変更することができる。
因みに、タイヤ1の側面2に熱可塑性エラストマーを塗布する手段としては、ディスペンサー以外の既知の塗布手段を用いることもできる。しかし、熱可塑性エラストマーを精度良く塗布してタイヤ側面に装飾を高精度で形成する観点からは、ディスペンサーを用いることが好ましい。なお、タイヤ装飾装置で使用するディスペンサーの数は、形成する装飾に使用する色の数等に応じて適宜変更することができる。
紫外線照射ランプ13は、ディスペンサー11,12を介してタイヤ1の側面2に供給された紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射し、該熱可塑性エラストマーを硬化させるためのものである。この紫外線照射ランプ13は、塗布した熱可塑性エラストマーを硬化させるのに十分な強度の紫外線を十分な時間および範囲に亘ってタイヤ1の側面2に照射することができるように構成されている。
そして、上記タイヤ装飾装置を用いた装飾の形成では、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーとしては、紫外線の照射により硬化する既知の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
具体的には、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されることなく、紫外線硬化樹脂(A)と、反応性希釈剤(B)と、ラジカル重合開始剤(C)と、その他の添加剤(D)との混合物よりなるエラストマー組成物を挙げることができる。
ここで、紫外線硬化樹脂(A)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを用いることができる。具体的には、紫外線硬化樹脂(A)としては、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびその水素添加物等を用いることができる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を指し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
また、反応性希釈剤(B)としては、アクリレートモノマーを用いることができる。具体的には、反応性希釈剤(B)としては、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート等を用いることができる。
更に、ラジカル重合開始剤(C)としては、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等の既知の光重合開始剤を用いることができる。
そして、添加剤(D)としては、各種着色剤、無機充填剤、揺変剤、カップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、軟化剤、レベリング剤、難燃剤、帯電防止剤等の通常使用される添加剤を用いることができる。なお、添加剤(D)として接着性向上剤を熱可塑性エラストマーに配合する場合、装飾を施すタイヤのサイドウォール部に用いられているゴムの性状に合わせた、接着性を良好に向上し得る接着性向上剤を配合することが好ましい。また、無機充填剤などの配合量は、熱可塑性エラストマーを硬化させて硬化層を形成した際に、形成された硬化層がタイヤの性能に悪影響を及ぼさないような弾性率となる量とすることができる。
ここで、紫外線硬化樹脂(A)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを用いることができる。具体的には、紫外線硬化樹脂(A)としては、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、共役ジエン重合体系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびその水素添加物等を用いることができる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を指し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
また、反応性希釈剤(B)としては、アクリレートモノマーを用いることができる。具体的には、反応性希釈剤(B)としては、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート等を用いることができる。
更に、ラジカル重合開始剤(C)としては、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等の既知の光重合開始剤を用いることができる。
そして、添加剤(D)としては、各種着色剤、無機充填剤、揺変剤、カップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、接着性向上剤、軟化剤、レベリング剤、難燃剤、帯電防止剤等の通常使用される添加剤を用いることができる。なお、添加剤(D)として接着性向上剤を熱可塑性エラストマーに配合する場合、装飾を施すタイヤのサイドウォール部に用いられているゴムの性状に合わせた、接着性を良好に向上し得る接着性向上剤を配合することが好ましい。また、無機充填剤などの配合量は、熱可塑性エラストマーを硬化させて硬化層を形成した際に、形成された硬化層がタイヤの性能に悪影響を及ぼさないような弾性率となる量とすることができる。
なお、上記熱可塑性エラストマーの配合組成は、該熱可塑性エラストマーを用いて形成した複数の硬化層よりなる装飾のJIS−A硬さと、タイヤの側面(サイドウォール部)を構成するサイドウォールゴムのJIS−A硬さとの差が20以下となるような配合組成とすることが好ましい。装飾のJIS−A硬さとサイドウォールゴムのJIS−A硬さとの差を20以下とすれば、タイヤ走行時などに装飾がサイドウォール部の変形に十分に追従することができるからである。即ち、装飾の形成によるサイドウォール部の剛性の増加等に起因したタイヤ性能の悪化を抑制することができるからである。
そして、このタイヤ装飾装置を用いた上記一例の装飾方法によれば、特に限定されることなく、例えば以下に図3(a)〜(d)を参照しつつ説明するようにして加硫済みのタイヤ1の側面2に立体的なドラゴンの装飾4を施すことができる。なお、図3(a)〜(d)は、装飾4を形成する領域の近傍のタイヤ幅方向断面を拡大して示す図である。
ここで、この一例の装飾方法では、ディスペンサー11,12を用いて層状に塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを紫外線照射ランプ13で硬化させて硬化層を形成する操作を繰り返すことにより、複数の硬化層の積層体よりなる装飾4をタイヤ1の側面2に形成する。
具体的には、この一例の装飾方法では、まず、図3(a)に示すように、タイヤ1の側面2の装飾4を形成する領域(装飾形成領域)に、ドラゴン形状の装飾4に対応した形状の凹部(溝)21を形成する(凹部形成工程)。なお、凹部21は、側面2の掘削などの既知の手法を用いて形成することができる。
次に、回転機構を用いて加硫済みのタイヤ1を回転させながら、図3(b)に示すように、タイヤ1の側面2に形成した凹部21に、ディスペンサー11,12を用いて紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布する。
ここで、ディスペンサー11,12を用いた熱可塑性エラストマーの塗布は、コンピュータなどの制御手段(図示せず)により制御することができる。具体的には、熱可塑性エラストマーの塗布は、例えば回転機構に配設したエンコーダ(図示せず)等を用いて装飾形成領域の位置を検出し、該検出した装飾形成領域の位置情報に応じてサーボモータ(図示せず)等でディスペンサー11,12を移動させ、装飾形成領域に対して予め定めた色の熱可塑性エラストマーを所定の吐出圧で塗布することにより行うことができる。なお、ディスペンサーを用いて熱可塑性エラストマーを塗布する範囲および塗布する熱可塑性エラストマーの色は、装飾4をデザインする際に決定し、予め制御手段に記憶させておくことができる。
なお、装飾形成領域に熱可塑性エラストマーを確実に塗布し、立体的な装飾4を精度良く形成する観点からは、タイヤ1の側面2に凹部21を設け、該凹部21に熱可塑性エラストマーを塗布することが好ましいが、本発明のタイヤ側面の装飾方法では、凹部を設けることなくタイヤの側面に熱可塑性エラストマーを直接塗布しても良い。また、複雑な装飾や細かい装飾を形成する部分にのみ凹部を設けるようにしても良い。複雑な装飾や細かい装飾を形成する部分にのみ凹部を設ければ、装飾の形成作業が煩雑化するのを抑制しつつ、立体的な装飾を精度良く形成することができる。
次に、この一例の装飾方法では、ディスペンサー11,12を用いて塗布した熱可塑性エラストマーに対して紫外線照射ランプ13から紫外線を照射し、層状の熱可塑性エラストマーを硬化させて第1の硬化層41を形成する(第1層形成工程)。なお、図1,2に示すタイヤ装飾装置では、ディスペンサー11,12による熱可塑性エラストマーの塗布と、紫外線照射ランプ13による硬化層の形成とをタイヤ1を回転させながら連続して行っているので、塗布された熱可塑性エラストマーは塗布後すぐに硬化させられる。従って、このタイヤ装飾装置では熱可塑性エラストマーの液垂れの発生を抑制することができ、立体的な装飾を精度良く形成することができる。
ここで、理解を容易にするために図3(b)に誇張して示すように、凹部21に塗布された熱可塑性エラストマーは表面張力により中央部が突出しているので、第1の硬化層41も中央部が突出した凸形状となる。
そこで、この一例の装飾方法では、第1の硬化層41上に熱可塑性エラストマーを確実に塗布し、立体的な装飾4を精度良く形成する観点から、図3(c)に示すように、既に形成した硬化層(第1の硬化層41)上に新たな硬化層を形成する前に、第1の硬化層41の表面に凹部22を形成する。
ここで、凹部22の形成は、先に説明した凹部形成工程における凹部21の形成と同様にして行うことができる。なお、第1の硬化層41上に形成する凹部22の幅や深さは、使用する熱可塑性エラストマーの粘度等に応じて、形成される装飾4の形状が所望の形状となるように適宜変更することができる。
そして、この一例の装飾方法では、回転機構を用いて加硫済みのタイヤ1を回転させながら、図3(d)に示すように、第1の硬化層41の表面に形成した凹部22にディスペンサー11,12を用いて紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを層状に塗布する。なお、ディスペンサー11,12を用いた熱可塑性エラストマーの塗布は、凹部21に熱可塑性エラストマーを塗布する場合と同様にして制御手段を用いて行うことができる。
次に、この一例の装飾方法では、ディスペンサー11,12を用いて塗布した熱可塑性エラストマーに対して紫外線照射ランプ13から紫外線を照射し、層状の熱可塑性エラストマーを硬化させて第2の硬化層42を形成する。そして、この一例の装飾方法では、所望の形状の装飾4が完成するまで、凹部の形成、熱可塑性エラストマーの塗布および硬化層の形成(熱可塑性エラストマーの硬化)を繰り返し、タイヤ側面上に複数の硬化層を積層する(積層工程)。
なお、既に形成した硬化層上の所望の位置のみに熱可塑性エラストマーを確実に塗布し、立体的な装飾4を精度良く形成する観点からは、既に形成した硬化層の表面に凹部を設け、該凹部に熱可塑性エラストマーを塗布することが好ましいが、本発明のタイヤ側面の装飾方法では、凹部を設けることなく硬化層上に熱可塑性エラストマーを直接塗布しても良い。また、複雑な装飾や細かい装飾を形成する部分にのみ凹部を設けるようにしても良い。複雑な装飾や細かい装飾を形成する部分にのみ凹部を設ければ、装飾の形成作業が煩雑化するのを抑制しつつ、立体的な装飾を精度良く形成することができる。因みに、熱可塑性エラストマーの塗布および硬化層の積層は、硬化層の積層体よりなる装飾が滑らかな曲線で美観良く形成されるようにディスペンサー11,12の動作を制御して行うことが好ましい。
そして、この一例の装飾方法によれば、紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーの塗布と、紫外線の照射による熱可塑性エラストマーの硬化(硬化層の形成)とを繰り返すことにより、硬化層の積層体よりなる装飾4を側面2に有する個性的なタイヤ1を、特殊な金型等を使用することなく、容易に得ることができる。
なお、この装飾方法では、1層の硬化層で装飾を形成するのではなく、複数の硬化層の積層体により装飾4を形成しているので、塗布した熱可塑性エラストマーの液垂れの発生などを抑制して、立体的な形状の装飾4を高精度かつ高いデザイン自由度で形成することができる。また、この装飾方法では、タイヤ1の側面2に設けた凹部21内にも硬化層が形成されるので、タイヤのサイドウォール部の剛性を低下させることなく、装飾4を形成することができる。因みに、装飾4を構成する硬化層の硬度や弾性を適当な範囲内に調整すれば、装飾4を形成した部分のサイドウォール部の剛性が増加し過ぎるのを抑制することもできる。また、硬化層に耐候性を付与すれば、装飾4の耐候性を容易に向上させることができる。
以上、図面を参照して本発明のタイヤ側面の装飾方法の一例および該装飾方法を用いて装飾を形成した空気入りタイヤについて説明したが、本発明のタイヤ側面の装飾方法および空気入りタイヤは、上記一例に限定されることはなく、本発明のタイヤ側面の装飾方法および空気入りタイヤには、適宜変更を加えることができる。
具体的には、本発明のタイヤ側面の装飾方法では、第1の硬化層41とタイヤ1の側面2との接着性が十分でない場合、熱可塑性エラストマーを塗布する前にタイヤ1の側面2にプライマーを塗布して側面2と第1の硬化層41との接着性を向上させても良い。
また、本発明のタイヤ側面の装飾方法では、図3(d)に示すように、硬化層の積層体よりなる装飾4の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向内側(即ち、積層体の積層方向内側)に位置する硬化層の幅D1が、タイヤ幅方向外側(即ち、積層体の積層方向外側)に位置する硬化層の幅D2よりも大きくなるようにすることが好ましい。即ち、熱可塑性エラストマーを塗布する前に形成する凹部の幅は、タイヤ幅方向外側(積層体の積層方向外側)に向かうに従い漸減させることが好ましい。硬化層の幅D1を硬化層の幅D2よりも大きくすれば、硬化層上に熱可塑性エラストマーを塗布する際に熱可塑性エラストマーが硬化層からはみ出すのを抑制することができるので、立体的な装飾を精度良く形成することができるからである。
因みに、「硬化層の幅」とは、装飾の延在方向に直交する断面視における硬化層の最大幅を指す。
なお、図3(d)において断面を示す位置では、装飾4の延在方向に直交する断面とタイヤ幅方向断面とが一致している。
因みに、「硬化層の幅」とは、装飾の延在方向に直交する断面視における硬化層の最大幅を指す。
なお、図3(d)において断面を示す位置では、装飾4の延在方向に直交する断面とタイヤ幅方向断面とが一致している。
更に、本発明のタイヤ側面の装飾方法では、図3(d)に示すように、硬化層の積層体よりなる装飾4の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向外側(即ち、積層体の積層方向外側)に位置する硬化層の厚さt2が、タイヤ幅方向内側(即ち、積層体の積層方向内側)に位置する硬化層の厚さt1よりも小さくなるようにすることが好ましい。即ち、熱可塑性エラストマーを塗布する前に形成する凹部の深さおよび硬化層の厚さは、タイヤ幅方向外側(積層体の積層方向外側)に向かうに従い漸減させることが好ましい。タイヤ幅方向外側に位置する硬化層の厚さt2を小さくすれば、硬化層上に熱可塑性エラストマーを塗布する際に熱可塑性エラストマーが硬化層からはみ出すのを抑制することができるからである。
因みに、「硬化層の厚さ」とは、装飾の延在方向に直交する断面視における硬化層の幅方向端縁位置における厚さを指す。
因みに、「硬化層の厚さ」とは、装飾の延在方向に直交する断面視における硬化層の幅方向端縁位置における厚さを指す。
本発明のタイヤ側面の装飾方法によれば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく、立体的な装飾をタイヤの側面に容易に形成することができる。また、本発明の空気入りタイヤによれば、サイドウォール部の剛性を低下させることなく側面に立体的な装飾を形成した空気入りタイヤを提供することができる。
1 加硫済みのタイヤ
2 側面
3 トレッド部踏面
4 装飾
11 ディスペンサー
12 ディスペンサー
13 紫外線照射ランプ
21,22 凹部
41 第1の硬化層
42 第2の硬化層
2 側面
3 トレッド部踏面
4 装飾
11 ディスペンサー
12 ディスペンサー
13 紫外線照射ランプ
21,22 凹部
41 第1の硬化層
42 第2の硬化層
Claims (8)
- 紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーをタイヤの側面上に塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を形成する第1層形成工程と、
形成した硬化層上に紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布し、塗布した紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して硬化層を積層する積層工程と、
を含み、タイヤ側面上に複数の硬化層の積層体よりなる装飾を形成することを特徴とする、タイヤ側面の装飾方法。 - 前記装飾のJIS−A硬さと、該装飾が形成される前記側面を構成するゴムのJIS−A硬さとの差が20以下であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ側面の装飾方法。
- 前記第1層形成工程の前に、前記タイヤの側面に凹部を形成する凹部形成工程を含み、
前記第1層形成工程では、少なくとも前記凹部を形成した部分に前記紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布することを特徴とする、請求項1または2に記載のタイヤ側面の装飾方法。 - 前記積層体の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向内側に位置する硬化層の幅が、タイヤ幅方向外側に位置する硬化層の幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ側面の装飾方法。
- 前記積層体の延在方向に直交する断面視にて、タイヤ幅方向外側に位置する硬化層の厚さが、タイヤ幅方向内側に位置する硬化層の厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のタイヤ側面の装飾方法。
- 前記積層工程において、前記形成した硬化層の表面に凹部を形成した後、該凹部を形成した硬化層上に前記紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーを塗布することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のタイヤ側面の装飾方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載のタイヤ側面の装飾方法を用いてタイヤ側面に装飾を施したことを特徴とする、空気入りタイヤ。
- 紫外線硬化型の熱可塑性エラストマーに紫外線を照射して形成した硬化層の積層体よりなる装飾を側面に有することを特徴とする、空気入りタイヤ。
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---|---|---|---|
JP2011145381A JP2013010295A (ja) | 2011-06-30 | 2011-06-30 | タイヤ側面の装飾方法および空気入りタイヤ |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014109217A1 (ja) | 2013-01-08 | 2014-07-17 | 株式会社ブリヂストン | 積層体及びその製造方法 |
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-
2011
- 2011-06-30 JP JP2011145381A patent/JP2013010295A/ja not_active Withdrawn
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