JP2013010057A - 吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】省エネ効果の向上を実現する。
【解決手段】処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を含む処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される。
【選択図】図1
【解決手段】処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を含む処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される。
【選択図】図1
Description
本発明は、吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システムに関する。
下記特許文献1には、工場で使用されるトルエンやキシレン等の揮発性有機化合物の処理方法として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させることによって処理対象ガスから揮発性有機化合物を除去し、吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させ、その揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンの燃焼器で燃焼させる方法が開示されている。
この特許文献1に記載の発明は、吸着剤を内蔵する処理容器(以下、塔と称す)を用意し、この塔において、1処理サイクル中に、吸着工程→加温・加圧工程→脱着工程→減圧工程→冷却工程(以下、吸着工程に戻る)の順番で各工程が実施されるように工程制御を行うことを基本原理としている。
ここで、吸着工程とは、塔内に処理対象ガスを導入して吸着剤による揮発性有機化合物の吸着を行い、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガスを処理済みガスとして排出する工程を指す。加温・加圧工程とは、脱着工程の前処理として、塔内に水蒸気を導入して塔内の温度及び圧力を目標温度及び目標圧力まで上昇させる工程を指す。
脱着工程とは、塔内に水蒸気を導入して吸着剤から揮発性有機化合物を脱着させ、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンへ送出する工程を指す。減圧工程とは、吸着工程の前処理として、塔内に残留する水蒸気を大気開放して塔内を大気圧まで減圧させる工程を指す。冷却工程とは、吸着工程の前処理として、塔内に冷却空気を導入して塔内を常温まで冷却させる工程を指す。
例えば、第1塔から第4塔までの4つの塔を使用する場合、各塔は図13に示すタイムスケジュールに従って工程制御される。つまり、複数の塔を使用する場合、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程を1バッチとし、1処理サイクル中で各塔のバッチが時間軸上で重ならないように工程制御を行う。従来では、このような複数塔の工程制御を行うことにより、揮発性有機化合物の連続処理を実現していた。
従来では、4つの塔を使用する場合、1処理サイクル中にガスタービンへ供給される揮発性有機化合物の流量、つまり脱着流量Fの時間変化特性は図13に示すようになる。このように、脱着流量Fは、脱着工程の開始時点から短時間で最大許容脱着流量Fmaxに到達した後、最大許容脱着流量Fmaxを一定期間維持してから徐々に減少し、加温・加圧工程、減圧工程及び冷却工程で「0」となる。
なお、ガスタービンの前段には、ガスタービンへ供給される水蒸気量を一定に制御する制御弁が設けられており、この制御弁による水蒸気量の制御によって脱着流量Fがガスタービンの最大許容脱着流量Fmaxを越えないようにしている。この最大許容脱着流量Fmaxは、ガスタービンの温度制限、排ガス中のNox制限、或いは燃料流量制御の安定性の観点から、ガスタービンへの供給が許容される揮発性有機化合物の流量の上限値として設定されたものである。
本願発明者の試算では、4つの塔を使用して揮発性有機化合物を連続処理する場合、脱着流量Fの1バッチ内での時間平均である平均脱着流量Faveは最大許容脱着流量Fmaxの50%程度になるとの結果を得ている。つまり、従来では、1処理サイクル中において、ガスタービンが許容する最大許容脱着流量Fmaxの半分程度の流量の揮発性有機化合物しか供給できなかった。
揮発性有機化合物をガスタービンに送る目的は、処理対象ガスから回収した揮発性有機化合物をガスタービンの燃料として再利用することで省エネルギーを実現することにあるため、ガスタービンが許容する最大許容脱着流量Fmaxの半分程度の流量の揮発性有機化合物しか供給できないとなると、十分な省エネ効果を得られなくなる。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、省エネ効果の向上を実現可能な吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、吸脱着装置に係る第1の解決手段として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を含む処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御されることを特徴とする。
また、本発明では、吸脱着装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記処理ユニットは、時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される際に、減圧工程側の処理容器から加温・加圧工程側の処理容器への水蒸気の受け渡しによって両処理容器の均圧化を図る均圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする。
また、本発明では、吸脱着装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記処理ユニットは、前記処理容器の各々において脱着工程の途中で減圧工程に遷移するように工程制御され、前記処理容器の各々の吸着剤内蔵量は、脱着工程にて吸着剤に残留する揮発性有機化合物の量と、吸着工程にて吸着剤に吸着される揮発性有機化合物の量との合計値を吸着可能に設定されていることを特徴とする。
また、本発明では、吸脱着装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、前記処理ユニットを複数備え、前記処理ユニットの各々は、時間軸上で加温・加圧工程及び減圧工程の実施タイミングが他の処理ユニットと重ならないように工程制御されることを特徴とする。
また、本発明では、吸脱着装置に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、加温・加圧工程及び減圧工程の工程時間を単位工程時間として、吸着工程、脱着工程及び冷却工程の工程時間が前記単位工程時間の整数倍となるように設定され、且つ前記複数の処理ユニットに設けられた処理容器の総数が、1処理サイクル中の総工程時間を前記単位工程時間で除算して得られる値と一致するように設定されていることを特徴とする。
一方、本発明では、揮発性有機化合物処理システムに係る第1の解決手段として、吸脱着装置に係る第1〜第5のいずれか1つの解決手段を有する吸脱着装置と、前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、を具備することを特徴とする。
また、本発明では、揮発性有機化合物処理システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記燃焼装置から排出される排ガスの熱を利用して前記吸脱着装置に供給する水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えることを特徴とする。
従来技術では、前の脱着工程と次の脱着工程との間に減圧工程、冷却工程及び加温・加圧工程が存在していたのに対し、本発明では、前の脱着工程と次の脱着工程との間に減圧工程しか存在しないため、脱着流量が「0」になる期間が従来技術と比べて短くなる。これは、脱着流量の時間平均である平均脱着流量が従来技術より高くなることを意味する。
つまり、従来技術では、1処理サイクル中において、ガスタービン等の燃焼装置が許容する最大許容脱着流量の半分程度の流量の揮発性有機化合物しか供給できなかったのに対し、本発明では、最大許容脱着流量の半分より大きな流量の揮発性有機化合物を供給できるようになるため、燃焼装置に別途供給する燃料ガスをより大きく削減できるようになる。
このように、本発明によれば、脱着工程にて各処理容器から排出される揮発性有機化合物を含む水蒸気を燃焼装置へ供給して燃焼させる場合に省エネ効果の向上を実現することができる。
つまり、従来技術では、1処理サイクル中において、ガスタービン等の燃焼装置が許容する最大許容脱着流量の半分程度の流量の揮発性有機化合物しか供給できなかったのに対し、本発明では、最大許容脱着流量の半分より大きな流量の揮発性有機化合物を供給できるようになるため、燃焼装置に別途供給する燃料ガスをより大きく削減できるようになる。
このように、本発明によれば、脱着工程にて各処理容器から排出される揮発性有機化合物を含む水蒸気を燃焼装置へ供給して燃焼させる場合に省エネ効果の向上を実現することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。この図1に示すように、第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸脱着装置1、ガスタービン2及び水蒸気生成装置3から構成されている。
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。この図1に示すように、第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸脱着装置1、ガスタービン2及び水蒸気生成装置3から構成されている。
吸脱着装置1は、外部から供給される処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を内部の吸着剤に吸着させることによって処理対象ガスから揮発性有機化合物を除去し、吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる。吸着剤には、例えば活性炭が使用される。また、上記加圧環境は、後述の水蒸気生成装置3から水蒸気を吸脱着装置1に供給することによって実現される。
この吸脱着装置1は、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガス(以下、処理済ガスと称す)を外部に排出すると共に、揮発性有機化合物が混入した水蒸気(以下、化合物混入水蒸気と称す)をガスタービン2へ送出する。また、吸脱着装置1には、図示するように吸着剤を冷却するための冷却空気が外部から供給される。
詳細は後述するが、吸脱着装置1は、吸着剤を内蔵する4つの処理容器(以下、塔と称す)を含む処理ユニット10を備え、この処理ユニット10は、1処理サイクル中に、塔の各々において、吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの塔の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される。なお、このような吸脱着装置1における工程制御は、以下で説明するように、各塔について設けられた各制御弁の開閉状態の制御によって実現されるものである。
具体的には、吸脱着装置1の処理ユニット10は、第1塔11、第2塔12、第3塔13、第4塔14と、処理対象ガス供給弁21、22、23、24と、処理済みガス排出弁31、32、33、34と、水蒸気供給弁41、42、43、44と、水蒸気排出弁51、52、53、54と、冷却空気供給弁61、62、63、64と、均圧弁71、72、73、74と、水蒸気バイパス制御弁81と、水蒸気流量制御弁82とから構成されている。
第1塔11、第2塔12、第3塔13及び第4塔14は、それぞれ内部に吸着剤が密閉状態で設置された処理容器である。これら第1塔11、第2塔12、第3塔13及び第4塔14は、図示するように、処理対象ガス供給管20、処理済みガス排出管30、水蒸気供給管40、水蒸気排出管50及び冷却空気供給管60に対して並列に配置されている。
処理対象ガス供給弁21は、第1塔11の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給管20との間に配置された制御弁であり、第1塔11への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁22は、第2塔12の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給管20との間に配置された制御弁であり、第2塔12への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁23は、第3塔13の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給管20との間に配置された制御弁であり、第3塔13への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁24は、第4塔14の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給管20との間に配置された制御弁であり、第4塔14への処理対象ガスの供給/遮断を行う。
処理済みガス排出弁31は、第1塔11の処理済みガス出口と処理済みガス排出管30との間に配置された制御弁であり、第1塔11からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁32は、第2塔12の処理済みガス出口と処理済みガス排出管30との間に配置された制御弁であり、第2塔12からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁33は、第3塔13の処理済みガス出口と処理済みガス排出管30との間に配置された制御弁であり、第3塔13からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁34は、第4塔14の処理済みガス出口と処理済みガス排出管30との間に配置された制御弁であり、第4塔14からの処理済みガスの排出/遮断を行う。
水蒸気供給弁41は、第1塔11の水蒸気入口と水蒸気供給管40との間に配置された制御弁であり、第1塔11への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁42は、第2塔12の水蒸気入口と水蒸気供給管40との間に配置された制御弁であり、第2塔12への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁43は、第3塔13の水蒸気入口と水蒸気供給管40との間に配置された制御弁であり、第3塔13への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁44は、第4塔14の水蒸気入口と水蒸気供給管40との間に配置された制御弁であり、第4塔14への水蒸気の供給/遮断を行う。
水蒸気排出弁51は、第1塔11の水蒸気出口と水蒸気排出管50との間に配置された制御弁であり、第1塔11からの水蒸気の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁52は、第2塔12の水蒸気出口と水蒸気排出管50との間に配置された制御弁であり、第2塔12からの水蒸気の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁53は、第3塔13の水蒸気出口と水蒸気排出管50との間に配置された制御弁であり、第3塔13からの水蒸気の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁54は、第4塔14の水蒸気出口と水蒸気排出管50との間に配置された制御弁であり、第4塔14からの水蒸気の排出/遮断を行う。
冷却空気供給弁61は、第1塔11の冷却空気入口と冷却空気供給管60との間に配置された制御弁であり、第1塔11への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁62は、第2塔12の冷却空気入口と冷却空気供給管60との間に配置された制御弁であり、第2塔12への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁63は、第3塔13の冷却空気入口と冷却空気供給管60との間に配置された制御弁であり、第3塔13への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁64は、第4塔14の冷却空気入口と冷却空気供給管60との間に配置された制御弁であり、第4塔14への冷却空気の供給/遮断を行う。
均圧弁71は、第1塔11の均圧用水蒸気出入口と均圧用バイパス管70との間に配置された制御弁である。均圧弁72は、第2塔12の均圧用水蒸気出入口と均圧用バイパス管70との間に配置された制御弁である。均圧弁73は、第3塔13の均圧用水蒸気出入口と均圧用バイパス管70との間に配置された制御弁である。均圧弁74は、第4塔14の均圧用水蒸気出入口と均圧用バイパス管70との間に配置された制御弁である。なお、これら均圧弁71、72、73、74の機能についての詳細は後述する。
水蒸気バイパス制御弁81は、水蒸気供給管40と水蒸気排出管50との間に配置された制御弁であり、吸脱着装置1に供給される水蒸気の一部を第1塔11〜第4塔14を経由することなく水蒸気排出管50に直接送るためのものである。水蒸気流量制御弁82は、水蒸気排出管50とガスタービン2との間に配置された制御弁であり、ガスタービン2への水蒸気(水蒸気バイパス制御弁81を経由して送られる水蒸気、或いは第1塔11、第2塔12、第3塔13、第4塔14から排出される化合物混合水蒸気)の供給流量を規定するものである。
ガスタービン2は、空気を加圧する圧縮機91と、加圧された空気に燃料ガスを供給して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器92と、燃焼ガスの運動エネルギおよび圧力エネルギによって回転駆動されて圧縮機91および外部の負荷4の駆動力を発生するタービン93とを備えている。このガスタービン2は、吸脱着装置1から供給される化合物混合水蒸気を加圧状態のまま燃焼器91の燃焼領域に供給し、燃料ガスとともに燃焼させる。負荷4は例えば発電機である。なお、吸脱着装置1から排出される揮発性有機化合物と水蒸気との混合流体、つまり化合物混合水蒸気を燃焼させる燃焼装置であれば、ガスタービン2に限定されず、ボイラ等の他の燃焼装置を用いても良い。
水蒸気生成装置3は、ガスタービン2から排出される排ガスの熱を利用して水蒸気を生成する一種の熱交換器である。この水蒸気生成装置3は、例えば排熱回収ボイラである。水蒸気生成装置3で生成された加圧状態の水蒸気は、工場のプロセス用として他の設備に供給されると共に、水蒸気供給管40を介して吸脱着装置1に供給される。
続いて、上記のように構成された第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムを用いて処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を処理する方法について説明する。
吸脱着装置1に設けられた各制御弁は、図2に示すタイムスケジュールに従って開閉状態が制御される。つまり、第1塔11においては、図中の期間Taで加温・加圧工程が、期間Tb、Tcで脱着工程が、期間Tdで減圧工程が、期間Teで冷却工程が、期間Tf〜Tlで吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。また、第2塔12においては、期間Tdで加温・加圧工程が、期間Te、Tfで脱着工程が、期間Tgで減圧工程が、期間Thで冷却工程が、期間Ti〜Tl、Ta〜Tcで吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。
また、第3塔13においては、期間Tgで加温・加圧工程が、期間Th、Tiで脱着工程が、期間Tjで減圧工程が、期間Tkで冷却工程が、期間Tl、Ta〜Tfで吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。さらに、第4塔14においては、期間Tjで加温・加圧工程が、期間Tk、Tlで脱着工程が、期間Taで減圧工程が、期間Tbで冷却工程が、期間Tc〜Tiで吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。
このように、各塔において、1処理サイクル中に、吸着工程→加温・加圧工程→脱着工程→減圧工程→冷却工程(以下、吸着工程に戻る)の順番で各工程が実施され、且つ2つの塔について一方の加温・加圧工程と他方の減圧工程とが時間軸上で重なるように工程制御されることになる。
図3〜図8は、1処理サイクルにおける各制御弁の開閉状態の変化を示している。これら図3〜図8において、白抜き表示の制御弁は「開状態」にあり、黒抜き表示の制御弁は「閉状態」にあるものとする。
図3(a)は、1処理サイクル中の期間Taにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Taにおいて、第1塔11については、処理対象ガス供給弁21、処理済みガス排出弁31、水蒸気排出弁51及び冷却空気供給弁61が「閉状態」に、水蒸気供給弁41及び均圧弁71が「開状態」に制御される。また、第2塔12については、処理対象ガス供給弁22及び処理済みガス排出弁32が「開状態」に、水蒸気供給弁42、水蒸気排出弁52、冷却空気供給弁62及び均圧弁72が「閉状態」に制御される。
また、第3塔13については、処理対象ガス供給弁23及び処理済みガス排出弁33が「開状態」に、水蒸気供給弁43、水蒸気排出弁53、冷却空気供給弁63及び均圧弁73が「閉状態」に制御される。また、第4塔14については、処理対象ガス供給弁24、水蒸気供給弁44、水蒸気排出弁54及び冷却空気供給弁64が「閉状態」に、水蒸気排出弁34及び均圧弁74が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Taでは、第1塔11にて加温・加圧工程が、第2塔12及び第3塔13にて吸着工程が、第4塔14にて減圧工程が実施される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Taでは、第1塔11にて加温・加圧工程が、第2塔12及び第3塔13にて吸着工程が、第4塔14にて減圧工程が実施される。
つまり、第2塔12及び第3塔13には、「開状態」の処理対象ガス供給弁22、23を介して揮発性有機化合物を含む処理対象ガスが導入され、吸着剤による揮発性有機化合物の吸着処理が行われる。そして、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガスは、処理済みガスとして処理済みガス排出弁32、33を介して第2塔12及び第3塔13から外部へ排出される。
また、第1塔11では、前の吸着工程で吸着剤による揮発性有機化合物の吸着処理が完了したので、吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着処理を行うための前処理として、「開状態」の水蒸気供給弁41を介して水蒸気が導入されて加温・加圧処理が行われる。一方、第4塔14では、前の脱着工程で吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着処理が完了したので、再度、吸着処理を実施するための前処理として、「開状態」の処理済みガス排出弁34を介して内部の水蒸気が大気に開放されて減圧処理が行われる。
ここで、第1塔11及び第4塔14については、水蒸気供給弁41及び処理済みガス排出弁34が「開状態」に制御される前に、均圧弁71及び均圧弁74が「開状態」に制御される。これにより、第1塔11と第4塔14との内部圧力差によって、第4塔14内の水蒸気の一部が均圧用バイパス管70を介して第1塔11へ供給され、第1塔11での加温・加圧処理に補助的に利用される。このような均圧用バイパス管70を介しての水蒸気の受け渡しは、第1塔11と第4塔14との内部圧力差がなくなるまで継続する。
第1塔11と第4塔14との内部圧力差がなくなった時点、つまり両塔の内部圧力が均圧になった時点(厳密には両塔の内部圧力は完全に一致することはない)では、第4塔14は完全に大気圧まで減圧されておらず、また、第1塔11は完全に目標圧力まで加圧されていない。そのため、第1塔11と第4塔14との内部圧力が均圧になった時点で、均圧弁71及び均圧弁74は「閉状態」に制御され、水蒸気供給弁41及び処理済みガス排出弁34が「開状態」に制御される。
これにより、第4塔14に残っていた水蒸気は全て大気に開放され、第4塔14は完全に大気圧まで減圧されて減圧工程が完了する。また、第1塔11には水蒸気生成装置3から水蒸気が供給され、第1塔11は完全に目標温度及び目標圧力まで加温・加圧されて加温・加圧工程が完了する。このように、期間Taでは、第1塔11及び第4塔14について、加温・加圧工程と減圧工程だけでなく、均圧弁71及び均圧弁74の開放による均圧工程が同時に実施されることになる。
なお、この期間Taでは、脱着工程が実施されないため、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が停止する。そのため、期間Taでは、水蒸気バイパス制御弁81を「開状態」に制御することにより、ガスタービン2への安定的な水蒸気の供給、つまりガスタービン2の安定的な運転を実現している。
続いて、図3(b)は、1処理サイクル中の期間Tbにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tbにおいて、第1塔11については、処理対象ガス供給弁21、処理済みガス排出弁31、冷却空気供給弁61及び均圧弁71が「閉状態」に、水蒸気供給弁41及び水蒸気排出弁51が「開状態」に制御される。第2塔12及び第3塔13についての各制御弁の開閉状態は期間Taと同じである。また、第4塔14については、処理対象ガス供給弁24、水蒸気供給弁44、水蒸気排出弁54及び均圧弁74が「閉状態」に、水蒸気排出弁34及び冷却空気供給弁64が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tbでは、第1塔11にて脱着工程が、第2塔12及び第3塔13にて吸着工程が、第4塔14にて冷却工程が実施される。
第1塔11には、「開状態」の水蒸気供給弁41を介して水蒸気が導入されて、吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着処理が行われる。吸着剤から脱着された揮発性有機化合物は水蒸気と混合し、化合物混合水蒸気として水蒸気排出弁51を介して第1塔11からガスタービン2へ送出される。第2塔12及び第3塔13では、期間Taと同様に、吸着工程が継続して実施される。
また、第4塔14には、「開状態」の冷却空気供給弁64を介して冷却空気が導入されて内部温度が常温になるよう冷却処理が行われる。第4塔14の冷却に使用された冷却空気は、処理済みガス排出弁34を介して外部に排出される。なお、この期間Tbでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図4(a)は、1処理サイクル中の期間Tcにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tcにおいて、第1塔11、第2塔12及び第3塔13についての各制御弁の開閉状態は期間Tbと同じである。また、第4塔14については、処理対象ガス供給弁24及び処理済みガス排出弁34が「開状態」に、水蒸気供給弁44、水蒸気排出弁54、冷却空気供給弁64及び均圧弁74が「閉状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tcでは、第1塔11にて脱着工程が、第2塔12、第3塔13及び第4塔14にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tcでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図4(b)は、1処理サイクル中の期間Tdにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tdにおいて、第1塔11については、処理対象ガス供給弁21、水蒸気供給弁41、水蒸気排出弁51及び冷却空気供給弁61が「閉状態」に、処理済みガス排出弁31及び均圧弁71が「開状態」に制御される。第2塔12については、処理対象ガス供給弁22、処理済みガス排出弁32、水蒸気排出弁52及び冷却空気供給弁62が「閉状態」に、水蒸気供給弁42及び均圧弁72が「開状態」に制御される。第3塔13及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Tcと同じである。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tdでは、第1塔11にて減圧工程が、第2塔12にて加温・加圧工程が、第3塔13及び第4塔14にて吸着工程が実施される。また、この期間Tdでは、期間Taと同様に、第1塔11及び第2塔12について、加温・加圧工程と減圧工程だけでなく、均圧弁71及び均圧弁72の開放による均圧工程が同時に実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tdでは、脱着工程が実施されないため、水蒸気バイパス制御弁81は「開状態」に制御される。
続いて、図5(a)は、1処理サイクル中の期間Teにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Teにおいて、第1塔11については、処理対象ガス供給弁21、水蒸気供給弁41、水蒸気排出弁51及び均圧弁71が「閉状態」に、処理済みガス排出弁31及び冷却空気供給弁61が「開状態」に制御される。第2塔12については、処理対象ガス供給弁22、処理済みガス排出弁32、冷却空気供給弁62及び均圧弁72が「閉状態」に、水蒸気供給弁42及び水蒸気排出弁52が「開状態」に制御される。第3塔13及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Tdと同じである。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Teでは、第1塔11にて冷却工程が、第2塔12にて脱着工程が、第3塔13及び第4塔14にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Teでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図5(b)は、1処理サイクル中の期間Tfにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tfにおいて、第1塔11については、処理対象ガス供給弁21及び処理済みガス排出弁31が「開状態」に、水蒸気供給弁41、水蒸気排出弁51、冷却空気供給弁61及び均圧弁71が「閉状態」に制御される。第2塔12、第3塔13及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Teと同じである。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tfでは、第1塔11、第3塔13及び第4塔14にて吸着工程が、第2塔12にて脱着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tfでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図6(a)は、1処理サイクル中の期間Tgにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tgにおいて、第1塔11及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Tfと同じである。第2塔12については、処理対象ガス供給弁22、水蒸気供給弁42、水蒸気排出弁52及び冷却空気供給弁62が「閉状態」に、処理済みガス排出弁32及び均圧弁72が「開状態」に制御される。第3塔13については、処理対象ガス供給弁23、処理済みガス排出弁33、水蒸気排出弁53及び冷却空気供給弁63が「閉状態」に、水蒸気供給弁43及び均圧弁73が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tgでは、第1塔11及び第4塔14にて吸着工程が、第2塔12にて減圧工程が、第3塔13にて加温・加圧工程が実施される。また、この期間Tfでは、期間Taと同様に、第2塔12及び第3塔13について、加温・加圧工程と減圧工程だけでなく、均圧弁72及び均圧弁73の開放による均圧工程が同時に実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tfでは、脱着工程が実施されないため、水蒸気バイパス制御弁81は「開状態」に制御される。
続いて、図6(b)は、1処理サイクル中の期間Thにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Thにおいて、第1塔11及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Tgと同じである。第2塔12については、処理対象ガス供給弁22、水蒸気供給弁42、水蒸気排出弁52及び均圧弁72が「閉状態」に、処理済みガス排出弁32及び冷却空気供給弁62が「開状態」に制御される。第3塔13については、処理対象ガス供給弁23、処理済みガス排出弁33、冷却空気供給弁63及び均圧弁73が「閉状態」に、水蒸気供給弁43及び水蒸気排出弁53が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Thでは、第1塔11及び第4塔14にて吸着工程が、第2塔12にて冷却工程が、第3塔13にて脱着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Thでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図7(a)は、1処理サイクル中の期間Tiにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tiにおいて、第1塔11、第3塔13及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Thと同じである。第2塔12については、処理対象ガス供給弁22及び処理済みガス排出弁32が「開状態」に、水蒸気供給弁42、水蒸気排出弁52、冷却空気供給弁62及び均圧弁72が「閉状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tiでは、第1塔11、第2塔12及び第4塔14にて吸着工程が、第3塔13にて脱着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tiでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図7(b)は、1処理サイクル中の期間Tjにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tjにおいて、第1塔11及び第2塔12についての各制御弁の開閉状態は期間Tiと同じである。第3塔13については、処理対象ガス供給弁23、水蒸気供給弁43、水蒸気排出弁53及び冷却空気供給弁63が「閉状態」に、処理済みガス排出弁33及び均圧弁73が「開状態」に制御される。第4塔14については、処理対象ガス供給弁24、処理済みガス排出弁34、水蒸気排出弁54及び冷却空気供給弁64が「閉状態」に、水蒸気供給弁44及び均圧弁74が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tjでは、第1塔11及び第2塔12にて吸着工程が、第3塔13にて減圧工程が、第4塔14にて加温・加圧工程が実施される。また、この期間Tjでは、期間Taと同様に、第3塔13及び第4塔14について、加温・加圧工程と減圧工程だけでなく、均圧弁73及び均圧弁74の開放による均圧工程が同時に実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tjでは、脱着工程が実施されないため、水蒸気バイパス制御弁81は「開状態」に制御される。
続いて、図8(a)は、1処理サイクル中の期間Tkにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tkにおいて、第1塔11及び第2塔12についての各制御弁の開閉状態は期間Tjと同じである。第3塔13については、処理対象ガス供給弁23、水蒸気供給弁43、水蒸気排出弁53及び均圧弁73が「閉状態」に、処理済みガス排出弁33及び冷却空気供給弁63が「開状態」に制御される。第4塔14については、処理対象ガス供給弁24、処理済みガス排出弁34、冷却空気供給弁64及び均圧弁74が「閉状態」に、水蒸気供給弁44及び水蒸気排出弁54が「開状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tkでは、第1塔11及び第2塔12にて吸着工程が、第3塔13にて冷却工程が、第4塔14にて脱着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tkでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
続いて、図8(b)は、1処理サイクル中の期間Tlにおける各制御弁の開閉状態を示している。この期間Tlにおいて、第1塔11、第2塔12及び第4塔14についての各制御弁の開閉状態は期間Tkと同じである。第3塔13については、処理対象ガス供給弁23及び処理済みガス排出弁33が「開状態」に、水蒸気供給弁43、水蒸気排出弁53、冷却空気供給弁63及び均圧弁73が「閉状態」に制御される。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間Tlでは、第1塔11、第2塔12及び第3塔13にて吸着工程が、第4塔14にて脱着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。なお、この期間Tlでは、脱着工程の実施により、ガスタービン2への化合物混合水蒸気の供給が行われるため、水蒸気バイパス制御弁81は「閉状態」に制御される。
以上のような工程制御によって、脱着工程では吸着剤から脱着された揮発性有機化合物を含む水蒸気(化合物混合水蒸気)が、他の工程では揮発性有機化合物を含まない水蒸気が吸脱着装置1からガスタービン2へ供給される。このように、1処理サイクル中にガスタービン2へ供給される揮発性有機化合物の流量、つまり脱着流量Fの時間変化特性は図2に示すようになる。なお、従来技術と同様に、ガスタービン2へ供給される水蒸気量は水蒸気流量制御弁82によって一定量となるように制御されており、この水蒸気流量制御弁82による水蒸気量の制御によって脱着流量Fがガスタービン2の最大許容脱着流量Fmaxを越えないようにしている。
この図2と図13とを比較してわかるように、従来技術では、前の脱着工程と次の脱着工程との間に減圧工程、冷却工程及び加温・加圧工程が存在していたのに対し、本実施形態では、前の脱着工程と次の脱着工程との間に減圧工程しか存在していないため、脱着流量Fが「0」になる期間が従来技術と比べて短くなっている。これは、脱着流量Fの時間平均である平均脱着流量Faveが従来技術より高くなることを意味する。
つまり、従来技術では、1処理サイクル中において、ガスタービン2が許容する最大許容脱着流量Fmaxの半分程度の流量の揮発性有機化合物しか供給できなかったのに対し、本実施形態では、最大許容脱着流量Fmaxの半分より大きな流量の揮発性有機化合物を供給できるようになるため、ガスタービン2に別途供給する燃料ガスをより大きく削減できるようになる。
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムによれば、脱着工程にて各塔から排出される揮発性有機化合物を含む水蒸気(化合物混合水蒸気)をガスタービン2へ供給して燃焼させる場合に省エネ効果の向上を実現することができる。
また、本実施形態では、加温・加圧工程と減圧工程の実施時において、加温・加圧工程側及び減圧工程側の均圧弁の開放による均圧工程を同時に実施して、従来では減圧工程時に外部に排出・廃棄していた塔内の水蒸気の一部(全体の約1/2)を、加温・加圧工程側の塔内の加温・加圧に利用するため、新たに必要となる加温・加圧用の水蒸気量を半減させることができ、省エネに寄与することができる。
また、本実施形態では、加温・加圧工程と減圧工程の実施時において、加温・加圧工程側及び減圧工程側の均圧弁の開放による均圧工程を同時に実施して、従来では減圧工程時に外部に排出・廃棄していた塔内の水蒸気の一部(全体の約1/2)を、加温・加圧工程側の塔内の加温・加圧に利用するため、新たに必要となる加温・加圧用の水蒸気量を半減させることができ、省エネに寄与することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。以下では、第1実施形態と同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略する。この図9に示すように、第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸脱着装置1’、ガスタービン2及び水蒸気生成装置3から構成されている。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。以下では、第1実施形態と同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略する。この図9に示すように、第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸脱着装置1’、ガスタービン2及び水蒸気生成装置3から構成されている。
第2実施形態における吸脱着装置1’は、4つの処理ユニット10A、10B、10C及び10Dを備えている。これらの処理ユニット10A、10B、10C及び10Dは、第1実施形態で説明した処理ユニット10と同じ構成であるが、図9では説明の便宜上、処理ユニット10Aに設けられた各塔の符号に「A」を付記し、処理ユニット10Bに設けられた各塔の符号に「B」を付記し、処理ユニット10Cに設けられた各塔の符号に「C」を付記し、処理ユニット10Dに設けられた各塔の符号に「D」を付記している。また、図9では、紙面サイズの都合上、処理ユニット10B、10C及び10Dの内部構成における塔以外の部分(各制御弁等)を省略している。
また、以下では説明の便宜上、処理ユニット10Bに設けられた第1塔11B、第2塔12B、第3塔13B、第4塔14Bを、第5塔11B、第6塔12B、第7塔13B、第8塔14Bと言い換えるものとする。また、処理ユニット10Cに設けられた第1塔11C、第2塔12C、第3塔13C、第4塔14Cを、第9塔11C、第10塔12C、第11塔13C、第12塔14Cと言い換えるものとする。さらに、処理ユニット10Dに設けられた第1塔11D、第2塔12D、第3塔13D、第4塔14Dを、第13塔11D、第14塔12D、第15塔13D、第16塔14Dと言い換えるものとする。
これら処理ユニット10A、10B、10C及び10Dには、処理対象ガス、水蒸気及び冷却空気が並列的に供給されている。また、これら処理ユニット10A、10B、10C及び10Dから排出される化合物混合水蒸気(或いは水蒸気バイパス制御弁81を介してバイパスされた水蒸気)は、最終的に合流してガスタービン2へ送られる。
詳細は後述するが、これら処理ユニット10A、10B、10C及び10Dは、時間軸上で加温・加圧工程及び減圧工程の実施タイミングが他の処理ユニットと重ならないように工程制御される。このような工程制御は、第1実施形態と同様、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dに設けられた各制御弁の開閉状態の制御によって実現されるものである。
続いて、上記のように構成された第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムを用いて処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を処理する方法について説明する。
処理ユニット10A、10B、10C及び10Dに設けられた各制御弁は、図10に示すタイムスケジュールに従って開閉状態が制御される。この図10に示すように、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dをそれぞれ単体で見ると、第1実施形態と同様に、4つの塔のそれぞれにおいて、1処理サイクル中に、吸着工程→加温・加圧工程→脱着工程→減圧工程→冷却工程の順番で各工程が実施され、且つ時間軸上で2つの塔の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される。
一方、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dを全体で見ると、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dは、それぞれ時間軸上で加温・加圧工程及び減圧工程の実施タイミングが他の処理ユニットと重ならないように工程制御される。なお、各工程における、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dに設けられた各制御弁の開閉状態については第1実施形態(図3〜図8参照)と同様であるため説明を省略する。
第2実施形態では、加温・加圧工程及び減圧工程の工程時間を単位工程時間として、吸着工程、脱着工程及び冷却工程の工程時間が単位工程時間の整数倍となるように設定されている。図10では、一例として、吸着工程の工程時間が単位工程時間の10倍、脱着工程の工程時間が単位工程時間の3倍、冷却工程の工程時間が単位工程時間の1倍に設定されているケースを図示している。なお、各工程時間は、システムの仕様に応じて適宜設定すれば良い。
そして、図10に示すように、第2実施形態では、処理ユニット10A、10B、10C及び10Dに設けられた塔の総数が、1処理サイクル中の総工程時間を単位工程時間で除算して得られる値(図10では「16」)と一致するように設定されている。このように、1処理サイクル中の総工程時間と関連付けて塔の総数を設定することにより、第1実施形態と比較して、より省エネ効果を向上させることができる。以下、その理由について図11を参照しながら説明する。
図11(a)は、図10のタイムスケジュールから期間T1〜T3の部分を抜粋したものである。この図11(a)において、脱着工程にある処理ユニット10Aの第4塔14Aからガスタービン2へ供給される揮発性有機化合物の流量(脱着流量FA)に着目すると、脱着流量FAの時間変化特性は図11(b)のようになる。この図11(b)に示すように、脱着流量FAの時間変化特性は、最大流量FAmaxまで立ち上がるパターンP1と、最大流量FAmaxで保持されるパターンP2と、流量「0」まで立ち下がるパターンP3とに分けられる。
一方、タイムスケジュールの期間T1に着目すると、図11(c)に示すように、脱着工程にある処理ユニット10Aの第4塔14Aの脱着流量FAにはパターンP1が、脱着工程にある処理ユニット10Bの第8塔14Bの脱着流量FBにはパターンP2が、脱着工程にある処理ユニット10Cの第12塔14Cの脱着流量FCにはパターンP3が現れる。なお、図11(c)において、FAmax=FBmax=FCmaxである。
ガスタービン2へ供給される揮発性有機化合物の総脱着流量Fは、処理ユニット10A(第4塔14A)の脱着流量FAと、処理ユニット10B(第8塔14B)の脱着流量FBと、処理ユニット10C(第12塔14C)の脱着流量FCの加算値で表されるため、結局、期間T1にガスタービン2へ供給される総脱着流量FはパターンP1、P2、P3を加算させた特性となる(図11(c)参照)。これは、期間T1に限らず、1処理サイクル中の期間T1〜T16の全てにおいて、必ず総脱着流量FがパターンP1、P2、P3の加算値となることが図10から理解できるであろう。
このように、第2実施形態では、ガスタービン2へ供給される揮発性有機化合物の総脱着流量Fが、1処理サイクル中の各単位工程時間内で、必ずパターンP1、P2、P3の加算値となり、流量「0」となる期間が存在しない(図10参照)。これは、総脱着流量Fの時間平均である平均脱着流量Faveが従来技術より高くなり、且つ第1実施形態より高くなることを意味する。つまり、第2実施形態によると、ガスタービン2に別途供給する燃料ガスを第1実施形態より大きく削減できるようになるため、より大きな省エネ効果を得ることができる。本願発明者の試算では、16個の塔を使用して揮発性有機化合物を連続処理する場合、総脱着流量Fの時間平均である平均脱着流量Faveは最大許容脱着流量Fmaxの80%程度になるとの結果を得ている。
なお、図11(c)からわかるように、例えば期間T1に着目すると、ガスタービン2へ供給される総脱着流量Fの最大許容脱着流量Fmaxは、処理ユニット10A、10B、10Cの最大流量FAmax、FBmax、FCmaxの加算値となるため、各処理ユニット10A、10B、10C、10Dに設けられた水蒸気流量制御弁82によって、各処理ユニット10A、10B、10C、10Dから排出される揮発性有機化合物の最大流量を、ガスタービン2で許容される最大許容脱着流量Fmaxの1/3に規制する必要がある。
〔変形例〕
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記第1実施形態において、図12に示すように、吸脱着装置1の各塔において、脱着工程の途中で減圧工程に遷移するように工程制御しても良い。具体的には、脱着流量Fが最大許容脱着流量Fmaxを維持している間、或いは最大許容脱着流量Fmaxから一定値下がった時点で脱着工程から減圧工程に遷移させる。これにより、脱着流量Fが低い期間を短くすることができるため、平均脱着流量Faveをより高くすることができる。第2実施形態についても同様である。なお、この場合、各塔の吸着剤内蔵量が、脱着工程にて吸着剤に残留する揮発性有機化合物の量と、吸着工程にて吸着剤に吸着される揮発性有機化合物の量との合計値を吸着できるように設定する必要がある。
(2)上記第1及び第2実施形態では、加温・加圧工程と減圧工程の実施時において、加温・加圧工程側及び減圧工程側の均圧弁の開放による均圧工程を同時に実施する場合を例示したが、この均圧工程は必ずしも実施する必要はない。その場合、均圧弁71〜74及び均圧用バイパス管70を設ける必要はない。
1、1’…吸脱着装置、10、10A、10B、10C、10D…処理ユニット、2…ガスタービン(燃焼装置)、3…水蒸気生成装置、11、11A…第1塔(処理容器)、12、12A…第2塔、13、13A…第3塔、14、14A…第4塔、11B…第5塔、12B…第6塔、13B…第7塔、14B…第8塔、11C…第9塔、12C…第10塔、13C…第11塔、14C…第12塔、11D…第13塔、12D…第14塔、13D…第15塔、14D…第16塔
Claims (7)
- 処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、
前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を含む処理ユニットを備え、
前記処理ユニットは、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御されることを特徴とする吸脱着装置。 - 前記処理ユニットは、時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが重なるように工程制御される際に、減圧工程側の処理容器から加温・加圧工程側の処理容器への水蒸気の受け渡しによって両処理容器の均圧化を図る均圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする請求項1に記載の吸脱着装置。
- 前記処理ユニットは、前記処理容器の各々において脱着工程の途中で減圧工程に遷移するように工程制御され、
前記処理容器の各々の吸着剤内蔵量は、脱着工程にて吸着剤に残留する揮発性有機化合物の量と、吸着工程にて吸着剤に吸着される揮発性有機化合物の量との合計値を吸着可能に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吸脱着装置。 - 前記処理ユニットを複数備え、
前記処理ユニットの各々は、時間軸上で加温・加圧工程及び減圧工程の実施タイミングが他の処理ユニットと重ならないように工程制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸脱着装置。 - 加温・加圧工程及び減圧工程の工程時間を単位工程時間として、吸着工程、脱着工程及び冷却工程の工程時間が前記単位工程時間の整数倍となるように設定され、且つ前記複数の処理ユニットに設けられた処理容器の総数が、1処理サイクル中の総工程時間を前記単位工程時間で除算して得られる値と一致するように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の吸脱着装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸脱着装置と、
前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、
を具備することを特徴とする揮発性有機化合物処理システム。 - 前記燃焼装置から排出される排ガスの熱を利用して前記吸脱着装置に供給する水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えることを特徴とする請求項6に記載の揮発性有機化合物処理システム。
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