JP2013003106A - 微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PMセンサのガスの流速による出力ばらつきを抑制する。
【解決手段】PMセンサは、ガス中の微粒子量に応じた出力を発する素子部と、素子部を覆うように配置され、かつ、ガスを内部に流通させるための複数の流通孔を有するカバーとを備える。素子部は、第1電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第1電極部と、第1電極部とは絶縁された状態で配置され、第1電圧よりも高い第2電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第2電極部とを備える。カバーの複数の流通孔は、第2電極部に対向する領域よりも、第1電極部に対向する領域に多く形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】PMセンサは、ガス中の微粒子量に応じた出力を発する素子部と、素子部を覆うように配置され、かつ、ガスを内部に流通させるための複数の流通孔を有するカバーとを備える。素子部は、第1電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第1電極部と、第1電極部とは絶縁された状態で配置され、第1電圧よりも高い第2電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第2電極部とを備える。カバーの複数の流通孔は、第2電極部に対向する領域よりも、第1電極部に対向する領域に多く形成されている。
【選択図】図3
Description
この発明は微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置に関する。より具体的には、ガス中の微粒子量を検出するための電気抵抗式の微粒子検知用センサとその制御装置として好適なものである。
例えば、特許文献1には、排気ガス中に含まれる微粒子(以下「PM」)の量を検出するためのセンサとして、電気抵抗式の微粒子検知用センサが開示されている。この微粒子検知用センサでは、素子部の一対の電極間に所定の電圧が印加されると、排気ガス中に含まれるPMが静電捕集される。その後、検出部の電気的特性を測定し、測定された電気的特性に基づいて、排気ガス中に含まれるPMの量が検出される。
また、特許文献1の微粒子検知用センサは、素子部をカバーするプロテクタを備える。このプロテクタには、排気ガスを素子部に導入するための複数の排気流通孔が形成されている。排気ガスの一部は、この排気流通孔からプロテクタ内に流入し、素子部に導入される。
ところで微粒子検知用センサのPM捕集性能は、排気ガスの流速や慣性力に応じて変化する。つまり流速やガスの流通方向が異なる場合、同じ量のPMを含むガスに対しても微粒子検知用センサの出力(電気的特性)が同一の値とはならず、ばらつきを生じる場合がある。従って、排気ガスの流速等の影響を抑制し、高い精度でPM堆積量を検出できるセンサが望まれる。この点、上記特許文献1の微粒子検知用センサは、プロテクタに排気流通孔が設けられ、流通孔から排気ガスが流入されるが、この排気流通孔は、電極に供給される排気ガスの流速や流通方向を調整するためのものではない。
この発明は上記課題を解決することを目的とし、排気ガスの流速によるばらつきを抑制するよう改良された微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置を提供するものである。
この発明は、上記の目的を達成するため、微粒子検知用センサであって、ガス中の微粒子量に応じた出力を発する素子部と、素子部を覆うように配置され、かつ、ガスを内部に流通させるための複数の流通孔を有するカバーとを備える。素子部は、第1電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第1電極部と、第1電極部とは絶縁された状態で配置され、第1電圧よりも高い第2電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第2電極部と、を備える。カバーの複数の流通孔は、第2電極部に対向する領域よりも、第1電極部に対向する領域に多く形成されている。
また、本発明は、上記の本発明の微粒子検知用センサを制御する制御装置であって、第1電極部の出力である第1出力と、第2電極部の出力である第2出力と、を検出する出力検出手段と、カバー内に流入するガスの流速を検出又は推定するガス流速検知手段を備える。更に、制御装置は、第1出力と第2出力と、流速とに応じて、微粒子検知用センサの故障を判定する故障判定手段を備える。
また、本発明の制御装置は、流速が、所定の中流速域の範囲内であるか否かを判別する流速域判別手段を備える構成としてもよい。この場合、故障判定手段は、流速が、中流速域の範囲内であると判別された場合であって、かつ、第1出力と第2出力との差が基準値より大きい場合に、微粒子検知用センサの故障と判定する構成としてもよい。
また、本発明の制御装置は、流速が、所定の中流速域の上限値よりも高い、高流速域であるか否かを判別する流速域判別手段を備える構成としてもよい。この場合、故障判定手段は、流速が、高流速域であると判別された場合であって、かつ、第1出力が第2出力より小さい場合に、微粒子検知用センサの故障と判定する構成としてもよい。
また、本発明の制御装置は、流速が、所定の中流速域の下限値よりも低い、低流速域であるか否かを判別する流速域判別手段を備える構成としてもよい。この場合、故障判定手段は、流速が、低流速域であると判別された場合であって、かつ、第1出力が第2出力より大きい場合に、微粒子検知用センサの故障と判定する構成としてもよい。
また、本発明の制御装置は、本発明の微粒子検知用センサを制御する制御装置であって、第1電極部の出力である第1出力と、第2電極部の出力である第2出力とを検出する出力検出手段と、第1出力と第2出力とに基づいて平均出力を算出する平均出力算出手段と、平均出力に基づいて、ガス中の微粒子量を検出する微粒子量検出手段と、を備えるものであってもよい。
本発明においては、第1電極部には、低い電圧が印加されるが、カバー4の第1電圧に対面する部分には、より多くのガスを流通させる流通孔が設けられている。第1電極部には多くのガスが当たり、主に慣性力により微粒子が補正される。従って、第1電極部はガスの流れが早いほど、その捕集性が高くなる。一方、微粒子検知用センサの第2電極部には第1電極部より高い電圧が印加され、主に、クーロン力により微粒子を捕集する。従って、第2電極部付近を流れるガスの流れが遅いほど、その捕集性が高くなる。このように、本発明の微粒子検知用センサは、ガス流速に対して逆の変化を示す第1電極部と第2電極部とを設けることで、微粒子検知用センサ全体としては、ガスの流速の微粒子捕集性に対する影響が抑制されたものとなっている。従って、より高い精度で、微粒子量の検出を行うことができる。
また、本発明において、第1電極部と第2電極部との2つの電極部の出力と、流速とに応じて微粒子検知用センサの故障判定を実行するものについては、故障判定のためのセンサ等を別途設けることなく、簡便な構成で、微粒子検知用センサの故障判定を実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。また以下、本実施の形態においては、微粒子検知用センサを「PMセンサ」と称することとし、微粒子を「PM」と称することとする。
実施の形態.
[本実施の形態のPMセンサの全体構成]
図1は本発明の実施の形態におけるPMセンサについて説明するための模式図である。図1に示されるPMセンサ2は、例えば車両に搭載された内燃機関の排気経路に設置され、排気ガス中のPM(微粒子;particulate matter)の検出に用いられる。図1に示されるように、PMセンサ2は、プロテクタであるカバー4と、カバー4内の空間に設置された素子部6とを備えている。カバー4は気体を通過させる複数の流通孔を有している。PMセンサ2使用時は、カバー4が内燃機関の排気通路に設置され、カバー4の複数の流通孔からカバー4内部に排気ガスが流入し、素子部6が排気ガスに接した状態となる。
[本実施の形態のPMセンサの全体構成]
図1は本発明の実施の形態におけるPMセンサについて説明するための模式図である。図1に示されるPMセンサ2は、例えば車両に搭載された内燃機関の排気経路に設置され、排気ガス中のPM(微粒子;particulate matter)の検出に用いられる。図1に示されるように、PMセンサ2は、プロテクタであるカバー4と、カバー4内の空間に設置された素子部6とを備えている。カバー4は気体を通過させる複数の流通孔を有している。PMセンサ2使用時は、カバー4が内燃機関の排気通路に設置され、カバー4の複数の流通孔からカバー4内部に排気ガスが流入し、素子部6が排気ガスに接した状態となる。
図2は、本実施の形態のPMセンサ2の素子部6を説明するための拡大図である。図2に示されるように、素子部6の表面には第1電極部8及び第2電極部10の2組の電極部が設置されている。第1電極部8及び第2電極部10は互いに電気的に絶縁された状態で配置されている。
第1電極部8は一対の電極8a、8bと、これに直列に接続するシャント抵抗とを含む電気回路を有している。第1電極部8の一対の電極8a、8bは、それぞれ互いに接触しない状態で一定の間隔を開けて配置され、かつ、櫛歯形状に形成された部分を有し、この部分において互いに噛み合わされるように配置されている。同様に、第2電極部10は一対の電極10a、10bと、これに直列に接続するシャント抵抗とを含む電気回路を有している。一対の電極10a、10bは、互いに一定の間隔を開けて配置され、それぞれの櫛歯形状の部分が互いに噛み合わされるように配置されている。第1、第2電極部8、10は、絶縁層12の一面に接するように配置されている。絶縁層12には、電極10a、10bに接続する取り出し電極14等が埋め込まれている。
第1電極部8は、一対の電極8a、8bを含む電気回路に集塵用の所定の低電圧を供給する電源(図示せず)及び、シャント抵抗の電圧を検出するための検出器(図示せず)に電気的に接続されている。また、第2電極部10は、一対の電極10a、10bに集塵用の所定の高電圧を供給する電源(図示せず)及び、シャント抵抗の電圧を検出するための検出器(図示せず)に電気的に接続されている。第2電極部10に供給される電圧(第2電圧)は、第1電極部8に供給される電圧(第1電圧)に比べ十分に高い電圧となっている。
絶縁層12内部の電極8、10の下層には、図示しないヒータ(除去手段)が埋め込まれている。ヒータには、電源回路等を介して電源(図示せず)に接続されており、ヒータに所定の電力が供給されることで第1、第2電極部8、10を含む素子部6が加熱される。
なお、本実施の形態では、PMセンサ2の第1、第2電極部8、10、ヒータ等はそれぞれ電気的に制御装置(図示せず)に接続されている。制御装置から発生される制御信号により第1、第2電極部8、10やヒータには電力が供給される。また、制御装置は、第1、第2電極部8、10の出力を受けて、PM堆積量の検出等、必要な制御を実行する。
図3は、本実施の形態におけるPMセンサ2の素子部6付近の構成を拡大した模式図である。図3に示されるように、カバー4には複数の流通孔16が設置されている。より具体的に、絶縁層12の第1、第2電極部8、10が配置された電極形成面12aに対面する、カバー4の面4aであって、第1電極部8と対面する領域内には、複数の流通孔16が設けられ、一方、第2電極部10に対面する領域内には流通孔16は設けられていない。また、カバー4の底部にも流通孔16が設けられている。なお、図3においては、カバー4の面4aと底面とに1つずつの流通孔16が記載されているが、実際には複数の流通孔16が設けられている。なおここでは、正確なPMセンサ出力が得られるように通過させるべきPMの粒子径が考慮され、これに応じて流通孔16が最適な大きさに形成されている。
PMセンサ2は、第1、第2電極部8、10が形成された電極形成面12aとカバー4の面4aとが、排気ガスの流れの上流側に向くように、かつ、排気ガスの流れに対して概ね垂直になるように設置される。即ち、図3では、排気ガスが左から右に向かって流れる方向となるようにPMセンサ2が設置される。従って図3に示されるように、カバー4内に、第1電極部8に対面する領域にある流通孔16から排気ガスが流入し、流入した排気ガスは底面に配置された流通孔16側に向かって流れることとなる。
ところで、第1、第2電極部8、10にPMが堆積することにより、一対の電極8a、8b間又は電極10a、10b間の電気抵抗値が次第に小さくなる。即ち、電極8a、8b又は電極10a、10b間の抵抗値と、堆積したPMの量とは相関を有する。また、抵抗値の変化に従い、第1電極部8及び第2電極部10それぞれのシャント抵抗の電圧が変化する。従って、本実施の形態において、第1、第2電極部8、10それぞれのシャント抵抗の電圧を、出力として受けて、それに基づいて、PMセンサ2の故障判定や、PM堆積量の検出等を行う。
[本実施の形態のPMセンサの各電極部のPM捕集性について]
上記のカバー4の構成により、第1電極部8には、カバー4内に流れ込んだ排気ガスが、主に垂直な方向で当たる。一方、第2電極部10付近では、流通孔16から流れ込んだ排気ガスが、電極形成面12aに水平な方向に流れる。つまり第2電極部10は、主に、素子部6の表面に対して水平な方向に流れる排気ガスに接触する。
上記のカバー4の構成により、第1電極部8には、カバー4内に流れ込んだ排気ガスが、主に垂直な方向で当たる。一方、第2電極部10付近では、流通孔16から流れ込んだ排気ガスが、電極形成面12aに水平な方向に流れる。つまり第2電極部10は、主に、素子部6の表面に対して水平な方向に流れる排気ガスに接触する。
ここで、第1、第2電極部8、10は、共に電圧が印加された状態でPMを静電捕集する。第1電極部8に印加される電圧はごく低い電圧であり、これによるクーロン力も小さなものとなる。第1電極部8には垂直方向に流れ込んだ排気ガスが当たる。第1電極部8の一対の電極8a、8b間には、この排気ガスの慣性力によってPMが堆積して捕集される。
一方、第2電極部10には高電圧が印加されることで発生する強いクーロン力が発生する。第2電極部10の一対の電極10a、10bには、この強いクーロン力により、第2電極部10表面を水平方向に流れる排気ガス中のPMが捕集される。
このようなPM捕集の原理の違いから、第1電極部8と第2電極部10とのPM捕集力の排気ガス流速への依存性は互いに異なっている。具体的に、排気ガスの流速が高速である場合には、第1電極部8に当たる排気ガスの流れが強く、慣性力が大きくなり、低速である場合には排気ガスの慣性力が小さくなる。このため第1電極部8のPMの捕集性は、排気ガスの流速が高速である場合ほど高くなり、排気ガスの流速が低速である場合ほど低くなる。
一方、第2電極部10は、水平方向に流れる排気ガス中のPMを、強いクーロン力により捕集する。従って、排気ガスの流速が高流速である場合ほど、第2電極部10のPM捕集性が低くなり、低流速である場合ほど第2電極部10は高い捕集性を発揮する。
図4は、本実施の形態における、第1、第2電極部8、10それぞれの出力の、流速との関係を説明するための図である。図4において、横軸は流速、縦軸は出力を表す。また、図4においてVaは、実際のPM堆積量に応じた出力の理論値(実出力)であり、V1は第1電極部8の出力(第1出力)、V2は第2電極部10の出力(第2出力)を表している。
図4に示されるように、本実施の形態では、第1電極部8の出力である第1出力V1は、PM捕集性が低下する低流速域においては、実出力Vaより低くなり、PM捕集性が高くなる高流速域では、実出力Vaより高くなる。一方、第2電極部10の出力である第2出力V2は、PM捕集性が向上する低流速域では実出力Vaより高くなり、高流速域では実出力Vaより低くなる。
なお、本実施の形態では、第1電極部8と第2電極部10との抵抗値が同レベルとなるように調整されている。つまり、第1電極部8と第2電極部10とのそれぞれに付着したPM堆積量が同一である場合には、同じ出力を発するように調整されている。また、中流速の出力一致点Aにおいて第1出力V1と第2出力V2と、実出力Vaとが一致し、更に、この一致点Aを中心に、実出力Vaに対し、第1電極部8の第1出力V1と第2電極部10の第2出力V2とが対称となるようにその捕集性が調整されている。即ち、第1電極部8と第2電極部10とのPM捕集性の、排気ガス流速に対する変化率の絶対値が同一となるように、印加電圧や電極の構成等により調整されている。
[本実施の形態のPM堆積量の検出]
図5は、本実施の形態におけるPM堆積量の検出について説明するための図である。上記のように、本実施の形態では、第1電極部8と第2電極部10との抵抗値が同レベルとなるように調整され、かつ、流速に対するPM捕集性の変化率の絶対値が同一となるように調整されている。従って、本実施の形態では、図5に示されるように、第1出力V1と第2出力V2との平均出力に基づいてPM堆積量を算出する。これにより、第1電極部8と第2電極部10との間でPM捕集性の流速による影響が相殺され、より正確にPM堆積量が算出される。
図5は、本実施の形態におけるPM堆積量の検出について説明するための図である。上記のように、本実施の形態では、第1電極部8と第2電極部10との抵抗値が同レベルとなるように調整され、かつ、流速に対するPM捕集性の変化率の絶対値が同一となるように調整されている。従って、本実施の形態では、図5に示されるように、第1出力V1と第2出力V2との平均出力に基づいてPM堆積量を算出する。これにより、第1電極部8と第2電極部10との間でPM捕集性の流速による影響が相殺され、より正確にPM堆積量が算出される。
[本実施の形態のPMセンサの故障判定]
図6及び図7は、本実施の形態におけるPMセンサの故障判定について説明するための図である。PMセンサ2は、正常であれば、第1出力V1と第2出力V2とが中流速域において一致するように調整されている。そして、出力一致点Aを中心に、ある程度の領域では、第1出力V1と第2出力V2との差は小さなものとなる(図4参照)。従って、排気ガスの流速が、第1出力V1と第2出力V2との出力差が比較的近くなる中流速域にある場合には、図6に示されるように、第1出力V1と第2電極部10の出力V2との差が、判別基準値Vrefより大きくなる場合に、PMセンサ2の故障を判別する。
図6及び図7は、本実施の形態におけるPMセンサの故障判定について説明するための図である。PMセンサ2は、正常であれば、第1出力V1と第2出力V2とが中流速域において一致するように調整されている。そして、出力一致点Aを中心に、ある程度の領域では、第1出力V1と第2出力V2との差は小さなものとなる(図4参照)。従って、排気ガスの流速が、第1出力V1と第2出力V2との出力差が比較的近くなる中流速域にある場合には、図6に示されるように、第1出力V1と第2電極部10の出力V2との差が、判別基準値Vrefより大きくなる場合に、PMセンサ2の故障を判別する。
また、PMセンサ2が正常であれば、中流速域より排気ガス流速が早い高流速域では、確実に第1出力V1が第2出力V2より大きくなると考えられる。従って、図7に示されるように、排気ガスの流速が高流速域にある場合において、第1出力V1と第2出力V2との値が逆転し、第1出力V1≦第2出力V2となっているような場合には、PMセンサ2に何らかの異常が発生していると考えられ、PMセンサ2の異常と判別する。
同様に、PMセンサ2が正常であれば、中流速域より排気ガスの流速が遅い低流速では、確実に第1出力より第2出力が大きくなると考えられる。従って、排気ガスの流速が低流速域である場合において、第1出力V1と第2出力V2との値が逆転し、第1出力≧第2出力V2となっているような場合にはPMセンサ2の異常と判別する。
なお、上記の判別方法における排気ガスの流速の領域、即ち中流速域、高流速域、低流速域は、第1出力V1と第2出力V2の初期の出力特性に基づいて、適宜設定される。具体的には、例えば、出力ばらつきの許容範囲等を考慮しても、確実に第1出力V1>第2出力V2となる流速域、確実に、第1出力V1<第2出力となる流速域を実験等により求め、これらを高流速域、低流速域とし、この間の領域を中流速域として設定する。設定された流速域は制御装置に記憶しておく。また、判別基準値Vrefは、設定された中流速域内において当然に生じる第1出力V1と第2出力V2との出力差の最大値に、それぞれ許容範囲となる余裕度を加えた値である。判別基準値Vrefは実験等により求められ、予め制御装置に記憶しておく。
[本実施の形態の具体的な制御のルーチン]
図8は、この発明の実施の形態において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8のルーチンは一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。このルーチンでは、まずPMセンサ2の第1出力V1、第2出力V2がそれぞれ検出される(S102)。次に、排気ガスの流速が推定される(S104)。排気ガスの流速は、例えば吸入空気量に基づき推定される。
図8は、この発明の実施の形態において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8のルーチンは一定時間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。このルーチンでは、まずPMセンサ2の第1出力V1、第2出力V2がそれぞれ検出される(S102)。次に、排気ガスの流速が推定される(S104)。排気ガスの流速は、例えば吸入空気量に基づき推定される。
次に、第1、第2出力V1、V2が共に基準出力V0以上であるか否かが判別される(S106)。ここでは、素子部6にある程度のPMが堆積し、センサ出力が得られる状態となっているか否かが判別される。即ち、基準出力V0は、第1、第2電極部8、10の電極間にある程度のPMが堆積し、PM堆積量の計測が可能となったか否かを判別するための基準値である。この基準出力V0は、予め実験等により求められ、制御装置に記憶されている。
次に、現在の流速が高流速域であるか否かが判別される(S108)。高流速域の範囲は、上記のように予め制御装置に記憶されている。ここでは、ステップS104で推定された流速が、高流速域の範囲内であるか否かが判別される。
ステップS108で高流速域であることが認められた場合、第1出力V1が第2出力V2より大きいか否かが判別される(S110)。高流速域では第1電極部8の方が、PM捕集性が高くなるため、PMセンサ2が正常に機能していれば第1出力V1が第2出力V2よりも大きくなる。
従って、ステップS108において第1出力V1>第2出力V2の成立が認められた場合には、ステップS112において、PMセンサ2が正常であると判定される。一方、第1出力V1>第2出力V2の成立が認められない場合、ステップS114においてPMセンサ2の異常と判定され、PMセンサ2の故障を示す警告灯が表示される。この場合、今回の処理は終了する。
また、ステップS108において、高流速域であることが認められない場合、次に、現在の流速が低流速域であるか否かが判別される(S116)。即ち、ステップS104で推定された流速が、制御装置に記憶された低流速域の範囲内であるか否かが判別される。
ステップS116において低流速域であることが認められた場合、次に、第1出力V1が第2出力V2より小さいか否かが判別される(S118)。低流速域では、第2電極部10のPM捕集性が高くなる。従って、PMセンサ2が正常に機能していれば、第1出力V1より第2出力V2の方が大きくなる。
従って、ステップS118において、第1出力V1<第2出力V2の成立が認められた場合には、ステップS112に進み、PMセンサ2が正常であると判定される。一方、第1出力V1<第2出力V2の成立が認められない場合、ステップS114において、PMセンサ2が異常と判定され、PMセンサ2の故障を示す警告灯が表示される。この場合、今回の処理は終了する。
またステップS116において、低流速域であることが認められない場合には、現在の流速は中流速域であると考えられる。従って、この場合には次に、第1出力V1と第2出力V2の出力差(絶対値)が、判別基準値Vrefより小さいか否かが判別される(S120)。ここで判別基準値Vrefは予め制御装置に記憶された値である。中流速域は、第1電極部8と第2電極部10との捕集性の差が小さくなる領域であり、PMセンサ2が正常であれば、両者の出力差は小さくなると考えられる。
従って、ステップS120において、|第1出力V1−第2出力V2|<判別値Vrefの成立が認められた場合、ステップS112に進み、PMセンサ2が正常であると判定される。一方、|第1出力V1−第2出力V2|<判別値Vrefの成立が認められない場合、ステップS114において、PMセンサ2が異常と判定され、PMセンサ2の故障を示す警告灯が表示される。この場合、今回の処理は終了する。
以上の処理でステップS112においてPMセンサ2が正常であると判定された場合には、次に、PM堆積量が算出される(S124)。ここでPM堆積量は、第1出力V1と第2出力V2との平均値に基づいて算出される。これにより、流速によるばらつきを抑え、高い精度でPM堆積量が算出される。
次に、PMセンサ2のセンサ出力に基づき算出されるPM堆積量が、PM排出量推定値より少ないか否かが判別される(S126)。ここで、PM排出量推定値は、前回のDPFリセット後、DPFに堆積したPMの量の推定値であり、内燃機関の運転条件等に応じてモデル等によって別ルーチンで算出される値である。PM排出量推定値>PM堆積量の成立が認められた場合、排気ガス中のPM堆積量が推定値より少ない状態であると判別される。従って、DPF(Diesel Particulate Filter)は正常であると考えられ、今回の処理は終了する。
一方、ステップS126においてPM排出量推定値>PM堆積量の成立が認められない場合、DPFが正常に機能していないと考えられる。従って、次に、DPFの故障と判定され、DPFの故障を示す警告灯が表示される(S128)。その後、今回の処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、PMセンサ2は流速が高くなるほどPM捕集性が高くなる第1電極部8と、逆に、流速が低くなるほどPM捕集性が高くなる第2電極部10とが配置される。これにより流速の差による捕集性のばらつきを相殺し、高い精度でPM量を計測し、DPFの故障判定等をより適正に実行することができる。
また、本実施の形態では、第1電極部8と第2電極部10の2つの電極部の出力に応じて、PMセンサ2の故障判定を実行することができる。従って、PMセンサ2故障判定のためのセンサ等を別途設けることなく、簡便な構成で、故障判定を実現することができる。
なお、本実施の形態において、PMセンサ2のカバー4は、第1電極部8に対面する領域に流通孔16を有し、第2電極部10に対面する領域に流通孔を有していない。しかし、この発明においてカバーはこれに限るものではない。この発明において、カバーの流通孔は、低電圧が印加され主にPMの慣性力でPMを捕集する第1電極部8と、高電圧が印加され主にクーロン力でPMを捕集する第2電極部10との間で、流速に対する捕集性の変化が互いに相殺されるよう調整して設ければよい。従って、例えば、第2電極部10に対面する領域に、第1電極部8に対面する領域よりも少ない数の流通孔が設けられたものであってもよい。
また、本実施の形態においては、絶縁層12の電極形成面12aに、上下に並べて第1電極部8と第2電極部10とを設置する場合について説明した。しかし、この発明において電極部の位置関係はこれに限るものではない。例えば、絶縁層12の排気ガスの流通方向に垂直な面に低電圧が印加される第1電極部を設け、流通方向に平行な面に、高電圧が第2電極部を設けるなど、絶縁層12の異なる面に、2組の電極部をそれぞれ設置するようにしてもよい。この場合にも、第1電極部と第2電極部との配置位置に応じて、流速に対するPM捕集性の変化が相殺されるように調整して、カバー4に流通孔を設ければよい。
また、本実施の形態においては、高流速域、低流速域、中流速域それぞれの場合にわけて、劣化判定を行う場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、いずれかの流速域の場合に限定して上記の劣化判定を行うこととしてもよい。
また本実施の形態においては、第1電極部8の出力として、一対の電極8a、8bに直列接続するシャント抵抗の電圧、第2電極部10の出力として、一対の電極10a、10bに直列接続するシャント抵抗の電圧を検出する場合について説明した。しかし、この発明においては、これに限るものではなく、第1電極部8及び第2電極部10それぞれの、PM堆積量と相関の有する他の電気的特性(例えば電流値等)を検出するものであってもよい。
また本実施の形態では、排気ガスの流速を推定する場合について説明したが、この発明において排気ガスの流速の検出方法はこれに限るものではなく、流速計を設置して直接検出するものや、他のパラメータから流速を推定するものなどであってもよい。
また、本実施の形態では、第1出力V1と第2出力V2との平均値に基づきPM堆積量を検出し、これによりDPFの故障判定を行う場合について説明した。しかし本発明において、故障判定の方法はこれに限るものではなく、例えばいずれかの出力のみに基づいて、DPF故障判定を行うものであってもよい。また、例えば、運転状態の偏りなどにより、一方の電極部(8又は10)の出力しか得られない状態の場合、図8のルーチンとは別に、その一方の出力のみに基づきDPFの故障判定を行うこともできる。これによりPMセンサリセット後、より早い段階でDPFの故障検出を行うことができる。また、この場合、一方の出力に基づくDPFの故障判定を仮判定とし、両出力V1、V2が得られた段階で平均出力に基づいた本判定を行う設定とすることもできる。
また、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
2 PMセンサ
4 カバー
6 素子部
8 第1電極部
8a、8b 電極
10 第2電極部
10a、10b 電極
12 絶縁層
16 流通孔
4 カバー
6 素子部
8 第1電極部
8a、8b 電極
10 第2電極部
10a、10b 電極
12 絶縁層
16 流通孔
Claims (7)
- ガス中の微粒子量に応じた出力を発する素子部と、
前記素子部を覆うように配置され、かつ、前記ガスを内部に流通させるための複数の流通孔を有するカバーと、
を備える微粒子検知用センサであって、
前記素子部は、
第1電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第1電極部と、
前記第1電極部とは絶縁された状態で配置され、第1電圧よりも高い第2電圧の印加によりガス中の微粒子量に応じた出力を発する一対の電極からなる第2電極部と、を備え、
前記カバーの前記複数の流通孔は、前記第2電極部に対向する領域よりも、前記第1電極部に対向する領域に多く形成されていることを特徴とする微粒子検知用センサ。 - 請求項1記載の微粒子検知用センサを制御する制御装置であって、
前記第1電極部の出力である第1出力と、前記第2電極部の出力である第2出力と、を検出する出力検出手段と、
前記カバー内に流入するガスの流速を検出又は推定するガス流速検知手段と、
前記第1出力と前記第2出力と、前記流速とに応じて、前記微粒子検知用センサの故障を判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする微粒子検知用センサの制御装置。 - 前記流速が、所定の中流速域の範囲内であるか否かを判別する流速域判別手段を、備え、
前記故障判定手段は、
前記流速が、前記中流速域の範囲内であると判別された場合であって、かつ、前記第1出力と前記第2出力との差が基準値より大きい場合に、前記微粒子検知用センサの故障と判定することを特徴とする請求項2に記載の微粒子検知用センサの制御装置。 - 前記流速が、所定の中流速域の上限値よりも高い、高流速域であるか否かを判別する流速域判別手段を、備え、
前記故障判定手段は、
前記流速が、前記高流速域であると判別された場合であって、かつ、前記第1出力が前記第2出力より小さい場合に、前記微粒子検知用センサの故障と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の微粒子検知用センサの制御装置。 - 前記流速が、所定の中流速域の下限値よりも低い、低流速域であるか否かを判別する流速域判別手段を、備え、
前記故障判定手段は、
前記流速が、前記低流速域であると判別された場合であって、かつ、前記第1出力が前記第2出力より大きい場合に、前記微粒子検知用センサの故障と判定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の微粒子検知用センサの制御装置。 - 前記第1出力と前記第2出力とに基づいて平均出力を算出する平均出力算出手段と、
前記平均出力に基づいて、ガス中の微粒子量を検出する微粒子量検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の微粒子検知用センサの制御装置。 - 請求項1に記載の微粒子検知用センサを制御する制御装置であって、
前記第1電極部の出力である第1出力と、前記第2電極部の出力である第2出力とを検出する出力検出手段と、
前記第1出力と前記第2出力とに基づいて平均出力を算出する平均出力算出手段と、
前記平均出力に基づいて、ガス中の微粒子量を検出する微粒子量検出手段と、
を備えることを特徴とする微粒子検知用センサの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011137573A JP2013003106A (ja) | 2011-06-21 | 2011-06-21 | 微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011137573A JP2013003106A (ja) | 2011-06-21 | 2011-06-21 | 微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013003106A true JP2013003106A (ja) | 2013-01-07 |
Family
ID=47671802
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011137573A Withdrawn JP2013003106A (ja) | 2011-06-21 | 2011-06-21 | 微粒子検知用センサ及び微粒子検知用センサの制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013003106A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016027894A1 (ja) * | 2014-08-22 | 2016-02-25 | 日本特殊陶業株式会社 | 微粒子センサ |
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-
2011
- 2011-06-21 JP JP2011137573A patent/JP2013003106A/ja not_active Withdrawn
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