JP2013002427A - 高周波点火装置 - Google Patents

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義之 福村
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英明 島川
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Abstract

【課題】アシスト放電を行う点火装置では、一方の点火コイルの電圧が他方の点火コイルに流れ込むことを防ぐために双方の点火コイルにダイオードを備えると、それぞれのダイオードの距離が近いとリーク電流の影響を受けて点火装置の出力が低下する問題又はそれぞれのダイオードのリーク電流を考慮してダイオードの配置を構成すると、構造の複雑化や大型化する問題が生じる。
【解決手段】高周波点火コイルの2次高圧側に点火コイルからの大電流の逆流を阻止する逆流防止ダイオードを備え、点火コイル及び高周波点火コイルは1つのケースに収容され、ケース内のコイル収容部に絶縁性モールド樹脂を充填し、ダイオードはケース内に備える。また、高周波点火コイルは点火用スイッチング素子のパルスの立ち下りを検出して高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げて、高周波点火コイルは点火コイルの点火信号が完了してから点火信号を開始する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の点火装置において、高周波を用いた点火装置に関するものである。
従来より、内燃機関の燃費向上を実現するために、希薄混合気等による着火条件の厳しい状態で燃焼を行う必要があり、このような条件で安定した着火を行うために、従来からの点火に加えて高周波点火又はプラズマ点火等を行うことで着火不良を防ぐ点火装置が知られている。しかし、点火コイルに高周波点火コイルの電圧が印加又は高周波点火コイルに点火コイルの電圧が印加されると、所望の出力を満たせなくなる恐れがある。このような問題を解決するために、従来の点火コイル及び高周波点火コイル等の高圧側にダイオードを備え、一方の点火コイルの電圧が他方の点火コイルに流れ込むことを防ぐものがあり、この代表的な例として、例えば特開2009−156251号公報(以下「特許文献1」)が知られている。
上記特許文献1のプラズマ式点火装置の構成を示す全体図を図6に、プラズマ式点火装置のタイムチャートを図7に示す。図6では、内燃機関に装着される点火プラグ110と、高電圧の印加によって上記点火プラグ110に設けた放電空間の絶縁を破壊するトリガ放電手段120と高エネルギをプラズマ発生用電流として供給するプラズマエネルギ供給手段130とからなる高エネルギ電源を具備し、該高エネルギ電源からの高エネルギの供給によって放電空間内の気体を高温高圧のプラズマ状態にして内燃機関の点火を行うプラズマ式点火装置101において、トリガ放電手段120は、第1の電源121と、イグニションスイッチと点火コイル123と点火コイル駆動回路124と、電子制御装置(ECU)125と、第1のダイオード126とによって構成されている。また、プラズマエネルギ供給手段130は、第2の電源131と、抵抗132と、プラズマ発生用コンデンサ133と、第2のダイオード134とによって構成されている。
次に図7では、点火信号波形を(1)、2次電圧波形を(2)、プラズマ発生用電流波形を(3)にそれぞれ示す。点火コイル123の1次コイル123aに1次電流を流すと積層コア123cが磁化し、磁気エネルギが蓄えられ、その周囲に磁界が形成される。また、ECU125からの点火信号Sigに従って点火コイル駆動回路124のスイッチングにされ、1次電流が遮断されると、磁界が変化し、自己誘導作用によって、1次コイル123aに1次電圧が生じる。このとき、2次コイル123bに30kVの2次電圧Vscが発生する。
また、この2次電圧Vscが放電空間140の絶縁破壊電圧を超えると、放電空間140内に放電される。放電により放電空間140の気体が小領域でプラズマ状態となる。プラズマ状態となった気体は導電性を有し、プラズマ発生用コンデンサ133に蓄えられた電荷の放出を引起し、大きな電流量のプラズマ発生電流Iplが流れる。さらに、放電空間140内に放出された大量の電荷によって、放電空間140内の気体が電離し、高温・高圧のプラズマ状態となって内燃機関内に噴射される。
上記構成より、第1のダイオード126は、点火コイル123からの高電圧を整流すると共にプラズマ発生用コンデンサ133からの大電流の逆流を阻止している。さらに、第2のダイオード134は、プラズマ発生用コンデンサ133からの大電流を整流すると共に点火コイル123からの高電圧の逆流を阻止しているプラズマ式点火装置101が提案されている。
特開2009−156251号公報
しかしながら上記従来の点火装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1のプラズマ式点火装置ではトリガ放電手段とプラズマエネルギ供給手段とから点火プラグに供給される電流を整流するダイオードを具備し、ダイオードは、点火プラグの中心電極が陽極となる方向に整流しているが、それぞれのダイオードの距離が近いと周囲を絶縁体で覆われているダイオードでも、微小レベルの電子が絶縁体を越えて他方のダイオードに到達し、絶縁体越しに両ダイオード間に電流が流れるリーク電流が発生する。このリーク電流の影響を受けて無用な電流が消費されるため点火装置の出力が低下する問題が生じる。
また、それぞれのダイオードのリーク電流を考慮してダイオードの配置を構成すると、構造の複雑化や点火装置の大型化する問題も生じる。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、従来の点火コイルの放電に高周波点火コイルの連続放電をアシスト点火させる点火装置において、従来の点火コイルに高周波点火コイル等の電圧が印加又は高周波点火コイル等に従来の点火コイルの電圧が印加されることなく、所望の出力を満たすことができ、構造の複雑化や点火装置の大型化を防ぐことができる高周波点火コイルを用いた内燃機関用の点火装置を提供することを目標とする。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、1次コイル及び2次コイル、鉄芯、点火用スイッチング素子から構成される点火コイルと、1次コイル及び2次コイル、鉄芯、高周波点火用スイッチング素子から構成される高周波点火コイルを備え、前記点火用スイッチング素子は前記点火コイルに点火信号を供給し、前記高周波点火用スイッチング素子は前記高周波点火コイルに点火信号を供給し、前記点火コイル及び前記高周波点火コイルはシリンダ内に備えられた共通の点火プラグに出力する内燃機関用点火装置において、前記高周波点火コイルの2次高圧側に前記点火コイルからの大電流の逆流を阻止する逆流防止ダイオードを備え、前記高周波点火コイルは前記点火コイルの点火信号が完了してから点火信号を開始することを特徴とする内燃機関用点火装置とする。
また、前記高周波点火コイルは前記点火用スイッチング素子のパルスの立ち下りを検出して前記高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げてもよいし、前記高周波点火コイルは前記点火用スイッチング素子のパルスの立ち上がりを検出し、検出結果から立ち下がりを算出して前記高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げてもよい。さらに、前記高周波点火コイルの換わりに前記点火プラグの電極間を高温高圧のプラズマ状態にするプラズマ点火装置を備えてもよい。
上記の通り、従来の点火コイルの放電に高周波点火コイルの連続放電をアシスト点火させる点火装置において、高周波点火コイルの2次高圧側にダイオードを備え、点火コイル及び高周波点火コイルは1つのケースに収容され、ケース内のコイル収容部に絶縁性モールド樹脂を充填し、ダイオードはケース内に備えることで、ダイオードの配線を複雑にすることや、配線の複雑化によるケースの大型化を防ぐことができる。
また、高周波点火コイルは点火用スイッチング素子のパルスの立ち下りを検出して高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げて、高周波点火コイルは点火コイルの点火信号が完了してから点火信号を開始することで、点火コイルに高周波点火コイルの電圧が印加又は高周波点火コイルに点火コイルの電圧が印加されることなく、所望の出力を満たすことのできる高周波点火コイルを用いた内燃機関用の点火装置が実現できる。
本発明の第1の実施例とする内燃機関用点火装置の構成を示す回路図である。 内燃機関用点火装置の斜視図である。 内燃機関用点火装置の点火信号及び出力波形を示すタイムチャートである。 内燃機関用点火装置において実行される制御を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施例とする内燃機関用点火装置において実行される制御を示すフローチャートである。 特許文献1のプラズマ式点火装置の構成を示す全体図である。 特許文献1のプラズマ式点火装置のタイムチャートである。
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
本発明の第1の実施例とする内燃機関用点火装置の構成を示す回路図を図1に、内燃機関用点火装置の斜視図を図2に、内燃機関用点火装置の点火信号及び出力波形を示すタイムチャートを図3に、内燃機関用点火装置において実行される制御を示すフローチャートを図4にそれぞれ示す。
図1及び図2において、点火装置90は点火コイル70と高周波点火コイル80を並列に接続しており、当該点火コイル70及び当該高周波点火コイル80の1次コイル10a,10bの低圧側は図示しない共通のバッテリのプラス側と接続されている。また、当該点火コイル70の当該1次コイル10aの高圧側は点火用スイッチング素子20のコレクタと接続され、当該高周波点火コイル80の当該1次コイル10bの高圧側は高周波用スイッチング素子22のコレクタと接続されている。さらに、当該点火用スイッチング素子20及び当該高周波用スイッチング素子22のエミッタはグランドと接続されている。
また、前記点火用スイッチング素子20のベースは第1のECU60aと接続され、前記高周波用スイッチング素子22のベースは第2のECU60bと接続されている。さらに、当該第1のECU60a及び当該第2のECU60bは第3のECU60cと接続されている。
また、前記高周波点火コイル80の2次コイル12bの高圧側は前記点火コイル70からの大電流の逆流を阻止する逆流防止ダイオード30のアノードに接続され、当該逆流防止ダイオード30のカソード及び前記点火コイル70の2次コイル12aの高圧側は1つにまとめられてシリンダ内に備えられた点火プラグ50に接続されている。さらに、前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80の当該2次コイル12a,12bの低圧側はグランドと接続されている。
前記点火装置90の外形を形成するケース40は材質を樹脂として開口面を一面備える箱型で成形されており、当該ケース40のコイル収容部には、複数の薄板を積層して形成した鉄芯14aと、当該鉄芯14aの外周に樹脂で成形された1次ボビンの外周に1次巻線を100ターン程度巻き回した前記1次コイル10aと、前記1次コイル10aの外周に樹脂で成形された2次ボビンの外周に2次巻線を15000ターン程度巻き回した前記2次コイル12aとから構成される前記点火コイル70及び複数の薄板を積層して形成した鉄芯14bと、当該鉄芯14bの外周に樹脂で成形された1次ボビンの外周に1次巻線を10ターン程度巻き回した前記1次コイル10bと、前記1次コイル10bの外周に樹脂で成形された2次ボビンの外周に2次巻線を500ターン程度巻き回した前記2次コイル12bとから構成された前記高周波点火コイル80が収容されている。
また、前記ケース40内に前記点火コイル70に点火信号を供給する前記点火用スイッチング素子20と、前記高周波点火コイル80に点火信号を供給する前記高周波用スイッチング素子22を備えている。さらに、前記ケース40には前記点火装置90を図示しないエンジンヘッドに取り付けて固定するためのケース固定部42が前記ケース40の開口面と略垂直面の2箇所に形成されている。
また、前記ケース40の底面には、2次電圧を前記点火プラグ50に供給する高圧端子を備えるための高圧タワー44がエンジンヘッドに形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成され、当該高圧端子は前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80からの2次電圧を入力している。さらに、前記ケース40の側面には、前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80に前記バッテリからの電源電圧や前記第1のECU60a又は前記第2のECU60bからの点火信号を入力するためのコネクタ46が前記点火コイル70と前記高周波点火コイル80にそれぞれ個別に備えている。
また、前記ケース40内に前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80、前記点火用スイッチング素子20、前記高周波用スイッチング素子22、前記逆流防止ダイオード30の電気的絶縁と物理的固定を実現するためのモールド樹脂が充填されている。さらに、前記プラグホール内には前記高圧タワー44と前記点火プラグ50を連結させるプロテクターが備えられ、前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80から出力される2次電圧は前記高圧端子から当該プロテクター内に収容された導電部材を介して前記点火プラグ50へ供給される。
次に、図3において、図1の(a)点についての前記点火コイル70に対して前記第1のECU60aから出力される点火信号の波形は図3の(ア)に示すように、前記点火コイル70に対して前記第1のECU60aからの点火信号のオン・オフを切り替えた波形となる。また、前記第1のECU60aから前記点火コイル70への点火信号波形がオフからオンに切り替えられると前記バッテリから前記点火コイル70の前記1次コイル10aに1次電流Iaが流れ、前記第1のECU60aから前記点火コイル70への点火信号波形がオンからオフに切り替えられると前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断される。さらに、図1の(b)点についての前記点火コイル70の前記2次コイル12aから出力される電圧波形は図3の(イ)に示すように、前記第1のECU60aから前記点火コイル70への点火信号がオフに切り替わると、前記点火コイル70の前記2次コイル12aから30kVの2次電圧が発生し前記点火プラグ50に向けて放出される。
また、図1の(c)点についての前記点火コイル70の前記2次コイル12aの放電時に前記点火プラグ50に流れる電流波形は図3の(ウ)に示すように、前記点火コイル70の前記2次コイル12aの放電開始と共に15mA前後まで上昇し、徐々に低下していく。さらに、前記点火コイル70の前記2次コイル12aからの放電が終了してから前記点火プラグ50に流れる2次電流が0Aに低下するまでの期間は前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している誘導放電期間となる。
また、図1の(d)点についての前記高周波点火コイル80に対して前記第2のECU60bから出力される点火信号の波形は図3の(エ)に示すように、前記第1のECU60aから前記点火コイル70への点火信号がオンからオフに切り替わると同時に、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号がオフからオンに切り替わる。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号は300kHzの周波数でオン・オフを交互に繰り返すパルス波形となる。
また、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号波形がオフからオンに切り替えると前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに1次電流Ibが流れる。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号波形オンからオフに切り替えると前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断される。
また、図1の(e)点についての前記点火プラグ50に流れる電圧波形は図3の(オ)に示すように、前記点火コイル70の前記2次コイル12aから発生する2次電圧波形と前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bから発生する2次電圧波形を印加した波形となる。前記第1のECU60aから前記点火コイル70への点火信号がオフに切り替わると、前記点火コイル70の前記2次コイル12aから30kVの2次電圧が前記点火プラグ50に向けて放出され、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号がオフに切り替わると、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bから5kVの2次電圧が前記点火プラグ50に向けて放出され、前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号がオン・オフの交互に繰り返されることによって、連続的に5kVの2次電圧が放電される。
また、図1の(f)点についての前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80の放電時に前記点火プラグ50に流れる電流波形は図3の(カ)に示すように、前記点火コイル70の放電開始と共に15mA前後まで上昇し、徐々に0Aまで低下する電流波形と前記第2のECU60bから前記高周波点火コイル80への点火信号がオン・オフの交互に繰り返されることによって行われる放電により前記点火プラグ50に流れる電流を印加した波形となる。
また、前記第1のECU60aは前記点火コイル70への点火信号がオンからオフへの切り替わり時の図3(ア)のA点の立ち下がり電流を検出して前記第3のECU60cに通達し、前記第3のECU60cは前記第2のECU60bに前記高周波点火コイル80への点火信号のオフからオンへの切り替えを通達し、前記第2のECU60bは前記高周波点火コイル80への点火信号のオフからオンへの切り替えを行う。さらに、前記第2のECU60bは前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している誘導放電期間内に高周波点火コイル80への放電を行うための点火信号を連続的に出力している。
次に、点火装置の制御を図4に基づいて説明する。図4において、前記点火コイル70が点火動作を開始すると、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号をオフからオンへ切り替え(S1)、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに1次電流Iaが流れ、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断電流値まで到達すると、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わり、前記第3のECU60cは図3の(a)の前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち下がり電流(図3(ア)のA点)の検出を行い(S2)、前記第3のECU60cが前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号の立ち下がり電流(図3(ア)のA点)を検出した場合、前記第3のECU60cは前記第2のECU60bに前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオフからオンへの切り替えを通達し、前記第2のECU60bは前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンに切り替える(S3)。
また、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わると、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断され、前記点火コイル70の前記2次コイル12aに30kVの2次電圧が前記点火プラグ50に放電される。さらに、前記第2のECU60bは前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンに切り替えると、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに1次電流Ibが流れ、前記高周波点火コイル80の動作が開始される(S4)。
また、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22へのパルスが300kHzの周波数を経過すると、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号がオフに切り替えられ、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断される。さらに、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断されると、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bに2次電流が発生し、5kVの2次電圧が発生し放電され、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号のオン・オフを300kHzの周波数で切り替えられることで5kVの2次電圧を前記点火プラグ50に複数回放電される(S5)。
上記構成から前記点火装置90の一連の動作は、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオンにされると、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに1次電流Iaが流れる。また、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断電流値まで到達すると、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わり、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断される。さらに、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断されると、前記点火コイル70の前記2次コイル12aに2次電流が発生し、30kVの2次電圧が発生し放電される。
また、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わると、前記第3のECU60cは前記第1のECU60aが前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち下がり電流(図3(ア)のA点)を検出すると同時に前記第2のECU60bに前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンにするように通達し、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンにすると、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに1次電流Ibが流れる。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22へのパルスが300kHzの周波数を経過すると、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号がオフに切り替えられ、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断される。
また、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断されると、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bに2次電流が発生し、5kVの2次電圧が発生し放電される。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号のオン・オフを300kHzの周波数で切り替えられることで5kVの2次電圧を前記点火プラグ50に複数回放電している。
上記構成により、前記点火コイル70の放電後の誘導放電期間内に前記高周波点火コイル80の放電を行うことで、前記点火コイル70の放電後は前記点火プラグ50に前記点火コイル70から流れる電流が印加され、前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している状態、つまり誘導放電状態となり、前記高周波点火コイル80からの放電を行っても前記点火コイル70の前記2次コイル12aに大量の高電圧が印加されることがないため、前記高周波点火コイル80から前記点火プラグ50に放電される電圧の出力が所望の出力を満たせなくなることを防ぐことができる。
また、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bの高圧側にのみ前記逆流防止ダイオード30を備えることによって、従来の双方の点火コイルの高圧側にダイオードを備える構成に比べて、双方のダイオードのリーク電流を考慮した配線構造を必要としないため、前記ケース40の小型化に有効である。
なお上記実施例1の変形例として、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bの高圧側に備えられる前記逆流防止ダイオード30の個数は、前記逆流防止ダイオード30の容量及び前記点火コイル70の2次電圧の大きさによって任意に変更してもよい。また、前記点火コイル70と前記高周波点火コイル80をそれぞれ個別のケースに収容し、前記逆流防止ダイオード30は前記高周波点火コイル80を収容したケース内に備えることでエンジンヘッドの限られたスペースに自由に配置できる構成としてもよい。さらに、前記高圧タワー44と前記点火プラグ50を連結される前記プロテクター内に収容することで当該エンジンヘッド上に配置される前記ケース40を小型化する構成としてもよい。
また、前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10a,10b及び前記2次コイル12a,12bに巻き回される巻線の巻数は前記点火装置90に要求される2次電圧等の設計事情によって任意に変更してもよいし、前記高周波点火コイル80への点火信号は300kHzから1.5MHzの範囲の周波数でオン・オフを交互に繰り返すパルス波形で構成としてもよい。さらに、前記高周波点火コイル80の放電期間は、前記点火コイル70の放電後の誘導放電期間内即ち前記点火コイル70の前記2次コイル12aからの放電が終了してから前記点火プラグ50に流れる2次電流が0Aに低下するまでの前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している期間内であれば前記高周波点火コイル80の連続放電を内燃機関の点火の補助に最適なタイミングで行えるように変更してもよい。
また、前記点火装置90は前記第1のECU60a及び前記第2のECU60b、前記第3のECU60cとの3つのECUによって制御を行っているが、前記第1のECU60a及び前記第2のECU60bとの2つのECUを直接接続させて制御を行ってもよいし、設計事情によってECUの数を変更してもよい。さらに、前記高周波点火コイル80の換わりにプラズマ点火装置を用いて前記点火コイル70のアシスト放電を行ってもよい。
また、前記点火装置90は前記ケース40内に前記点火コイル70に点火信号を供給する前記点火用スイッチング素子20と、前記高周波点火コイル80に点火信号を供給する前記高周波用スイッチング素子22を備えているが、前記点火用スイッチング素子20又は/及び前記高周波用スイッチング素子22を前記ケース40外に備える構成としてもよい。
次に、本発明の第2の実施例を図5に基づき説明する。当該第2の実施例においては前記第1の実施例で説明した前記第3のECU60cは前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスが立ち下がり電流の検出を行い、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号の立ち下がり電流を検出した場合、前記第3のECU60cは前記第2のECU60bに前記高周波点火コイル80への点火信号のオフからオンへの切り替えを通達し、前記第2のECU60bは前記高周波点火コイル80への点火信号のオフからオンへの切り替えを行っている点を除いた構造は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
本発明の第2の実施例とする内燃機関用点火装置において実行される制御を示すフローチャートを図5に示す。
図5において、前記点火コイル70が点火動作を開始すると、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号をオフからオンへ切り替え(S11)、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに1次電流Iaが流れる。また、前記第3のECU60cは前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフからオンへの切り替わり時の図3(ア)のB点の立ち上がり電流の検出を行い(S12)、前記第3のECU60cは前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち上がり電流(図3(ア)のB点)を検出した場合、前記点火コイル70の前記1次コイル10aの1次電流が遮断電流値までの到達時間は1msとして、前記第3のECU60cは(S12)で検出した前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち上がり電流(図3(ア)のB点)の発生時間から1ms経過後の前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち下がり電流の発生時間の算出を行い(S13)、前記第3のECU60cは(S13)で算出した前記点火用スイッチング素子20のパルスの立ち下がり時間を経過したかの判定を行う(S14)。さらに、前記第3のECU60cが前記点火用スイッチング素子20のパルスの立ち下がり時間を経過したと判定した場合、前記第3のECU60cは前記第2のECU60bに前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオフからオンに切り替えを通達し、前記第2のECU60bは前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオフからオンへの切り替えを行い(S15)、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わると、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断され、前記点火コイル70の前記2次コイル12aに30kVの2次電圧が前記点火プラグ50に放電される。さらに、前記第2のECU60bは前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンに切り替えると、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに1次電流Ibが流れ、前記高周波点火コイル80の動作が開始される(S16)。
また、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22へのパルスが300kHzの周波数を経過すると、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号がオフに切り替えられ、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断される。さらに、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断されると、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bに2次電流が発生し、5kVの2次電圧が発生し放電され、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号のオン・オフを300kHzの周波数で切り替えられることで5kVの2次電圧を前記点火プラグ50に複数回放電される(S17)。
上記構成から前記点火装置90の一連の動作は、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオンにされると、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに1次電流Iaが流れ、前記第3のECU60cは前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち上がり電流(図3(ア)のB点)の検出を行う。また、前記点火コイル70の前記1次コイル10aの1次電流が遮断電流値までの到達時間は1msとして、前記第3のECU60cは検出した前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち上がり電流(図3(ア)のB点)の発生時間から1ms経過後の前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち下がり電流の発生時間の算出を行い、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断電流値まで到達すると、前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号がオフに切り替わり、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断される。さらに、前記点火コイル70の前記1次コイル10aに流れる1次電流Iaが遮断されると、前記点火コイル70の前記2次コイル12aに2次電流が発生し、30kVの2次電圧が発生し放電される。
また、前記第3のECU60cが前記点火用スイッチング素子20のパルスの立ち下がり時間を経過すると、前記第2のECU60bに前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンにするように通達し、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号をオンにすると、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに1次電流Ibが流れる。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22へのパルスが300kHzの周波数を経過すると、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号がオフに切り替えられ、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断される。
また、前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10bに流れる1次電流Ibが遮断されると、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bに2次電流が発生し、5kVの2次電圧が発生し放電される。さらに、前記第2のECU60bから前記高周波用スイッチング素子22への点火信号のオン・オフを300kHzの周波数で切り替えられることで5kVの2次電圧を前記点火プラグ50に複数回放電している。
上記構成により、前記点火コイル70の放電後の誘導放電期間内に前記高周波点火コイル80の放電を行うことで、前記点火コイル70の放電後は前記点火プラグ50に前記点火コイル70から流れる電流が印加され、前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している状態、つまり誘導放電状態となり、前記高周波点火コイル80からの放電を行っても前記点火コイル70の前記2次コイル12aに大量の高電圧が印加されることがないため、前記高周波点火コイル80から前記点火プラグ50に放電される電圧の出力が所望の出力を満たせなくなることを防ぐことができる。
また、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bの高圧側にのみ前記逆流防止ダイオード30を備えることによって、従来の双方の点火コイルの高圧側にダイオードを備える構成に比べて、双方のダイオードのリーク電流を考慮した配線構造を必要としないため、前記ケース40の小型化に有効である。
なお上記実施例2の変形例として、前記高周波点火コイル80の前記2次コイル12bの高圧側に備えられる前記逆流防止ダイオード30の個数は、前記逆流防止ダイオード30の容量及び前記点火コイル70の2次電圧の大きさによって任意に変更してもよい。また、前記点火コイル70と前記高周波点火コイル80をそれぞれ個別のケースに収容し、前記逆流防止ダイオード30は前記高周波点火コイル80を収容したケース内に備えることでエンジンヘッドの限られたスペースに自由に配置できる構成としてもよい。さらに、前記高圧タワー44と前記点火プラグ50を連結される前記プロテクター内に収容することで当該エンジンヘッド上に配置される前記ケース40を小型化する構成としてもよい。
また、前記点火コイル70及び前記高周波点火コイル80の前記1次コイル10a,10b及び前記2次コイル12a,12bに巻き回される巻線の巻数は設計事情によって任意に変更してもよいし、前記高周波点火コイル80への点火信号は300kHzから1.5MHzの範囲の周波数でオン・オフを交互に繰り返すパルス波形で構成としてもよい。さらに、前記高周波点火コイル80の放電期間は、前記点火コイル70の放電後の誘導放電期間内即ち前記点火コイル70の前記2次コイル12aからの放電が終了してから前記点火プラグ50に流れる2次電流が0Aに低下するまでの前記点火プラグ50の内部抵抗が低下している期間内であれば前記高周波点火コイル80の連続放電を内燃機関の点火の補助に最適なタイミングで行えるように変更してもよい。
また、前記点火コイル70の前記1次コイル10aの1次電流が遮断電流値までの到達時間は前記点火コイル70の前記1次コイル10aの構成又は前記点火コイル70の前記1次コイル10aの1次電流の遮断電流値の大きさによって変更してもよい。さらに、前記第3のECU60cは前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のパルスの立ち下がり時間の算出は、例えば、前記点火コイル70の前記1次コイル10aの前回の点火動作時の前記第1のECU60aから前記点火用スイッチング素子20への点火信号のオン時間を用いて算出する方法を用いてもよいし、設計事項によって任意の算出方法に変更してもよい。
また、前記点火装置90は前記第1のECU60a及び前記第2のECU60b、前記第3のECU60cとの3つのECUによって制御を行っているが、前記第1のECU60a及び前記第2のECU60bとの2つのECUを直接接続させて制御を行ってもよいし、設計事情によってECUの数を変更してもよい。さらに、前記高周波点火コイル80の換わりにプラズマ点火装置を用いて前記点火コイル70のアシスト放電を行ってもよい。
また、前記点火装置90は前記ケース40内に前記点火コイル70に点火信号を供給する前記点火用スイッチング素子20と、前記高周波点火コイル80に点火信号を供給する前記高周波用スイッチング素子22を備えているが、前記点火用スイッチング素子20又は/及び前記高周波用スイッチング素子22を前記ケース40外に備える構成としてもよい。
10a,10b:1次コイル
12a,12b:2次コイル
14a,14b:鉄芯
20:点火用スイッチング素子
22:高周波用スイッチング素子
30:逆流防止ダイオード
40:ケース
42:ケース固定部
44:高圧タワー
46:コネクタ
50:点火プラグ
60a:第1のECU
60b:第2のECU
60c:第3のECU
70:点火コイル
80:高周波点火コイル
90:点火装置

Claims (4)

  1. 1次コイル及び2次コイル、鉄芯、点火用スイッチング素子から構成される点火コイルと、1次コイル及び2次コイル、鉄芯、高周波点火用スイッチング素子から構成される高周波点火コイルを備え、
    前記点火用スイッチング素子は前記点火コイルに点火信号を供給し、
    前記高周波点火用スイッチング素子は前記高周波点火コイルに点火信号を供給し、
    前記点火コイル及び前記高周波点火コイルはシリンダ内に備えられた共通の点火プラグに出力する内燃機関用点火装置において、
    前記高周波点火コイルの2次高圧側に前記点火コイルからの大電流の逆流を阻止する逆流防止ダイオードを備え、
    前記高周波点火コイルは前記点火コイルの点火信号が完了してから点火信号を開始することを特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 前記高周波点火コイルは前記点火用スイッチング素子のパルスの立ち下りを検出して前記高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げることを特徴とする請求項1に記載する内燃機関用点火装置。
  3. 前記高周波点火コイルは前記点火用スイッチング素子のパルスの立ち上がりを検出し、検出結果から立ち下がりを算出して前記高周波用スイッチング素子のパルスを立ち上げることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 前記高周波点火コイルの換わりに前記点火プラグの電極間を高温高圧のプラズマ状態にするプラズマ点火装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の内燃機関用点火装置。
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