本発明は、通信ネットワーク上で通信する装置に自動的にアドレスを指定するシステムおよび方法を提供する。各装置の物理位置の関数として変化するパラメータを監視することで、本発明は、各装置の物理位置を決定することができ、決定された物理位置に基づいて各装置に物理アドレスを指定することができる。「物理位置」という用語は、装置の絶対物理位置(例えば、全地球測位システム(GPS)座標)および/または相対物理位置(例えば、互いに対する装置の位置)両方のことをいう。「物理アドレス」という用語は、特定の装置にその物理位置に基づいて指定されるアドレス(例えば、ネットワークアドレスなど)のことをいう。装置からの後続のメッセージは、メッセージが生じる物理位置を識別する物理アドレスに基づいて特定の物理位置から生じるとして識別される。
本発明の作動は、監視されるパラメータが電源によって各装置に供給される電圧の大きさである、特定の実施例について説明される。電圧の大きさは、各装置が電源から遠くなるほど低下する。従って、監視されるパラメータは、装置の物理位置によって変化する。他の実施例では、電流、気圧、全地球測位システム(GPS)座標、温度、無線周波数(RF)電力受信(RSSI)、および位置によって変化する他のパラメータなどの、装置の物理位置に基づいて変化する他のパラメータが使用可能である。
図1は、本発明の実施例による通信ネットワーク10を示すブロック図である。通信ネットワーク10は、電源12、制御装置14、制御装置領域ネットワーク(controller−area network)(CAN)ステーション16−1、16−2、16−3、16−4(総称してCANステーション16と呼ぶ)、負荷18、CANバス20、および電源バス22を備える。この実施例では、通信ネットワーク10は、エレベータ用途で展開され、そこでは、各CANステーション16は、建物の異なる階床に配置された呼び釦などの付帯設備または装置を示す。他の実施例では、通信ネットワーク10は、CANネットワーク上の装置の物理位置を決定することがネットワークを初期化するのに必要とされる任意の用途に展開可能である。図1に示される実施例では、CAN型ネットワークが使用されているとはいえ、他の実施例では、任意の種類のメッセージに基づく通信プロトコルが使用可能である。
CANステーション16は、電源バス22から電力を受け取り、CANバス20を介して制御装置14とメッセージを送受信する。CANステーション16によって通信されるメッセージは、メッセージを送信するCANステーションのCAN識別部およびデータ部を備える。制御装置14と通信するのに加えて、CANステーション16は、CANバス20を介して互いに通信することもできる。
各CANステーション16は、電源バス22上の他のCANステーションと並列に接続される。しかしながら、各CANステーション16は、隣接するCANステーション間の距離とワイヤのゲージとによって定義される抵抗を有する所定の長さのケーブルによって隣接するCANステーションから離間している。互いに並列に接続されているとはいえ、ワイヤの抵抗によって、隣接CANステーション16間に電圧降下が生じる。電圧降下の大きさは、複数のCANステーションによって引き出される電流と、隣接するCANステーションを離間させるワイヤの抵抗とに基づく。その結果、各CAN装置16に供給される電圧の大きさは、各CANステーション16が電源12から位置する距離に関して低下する。例えば、CAN装置16−4に供給される電圧の大きさは、隣接する装置を接続するワイヤに伴う電圧降下によって、CAN装置16−3に供給される電圧の大きさより大きい。一実施例では、負荷18が、電源バス22の末端に接続され、さらなる電流を引き出し、従って、隣接するCANステーション16間の電圧差は大きくなる。各CANステーション16が電圧の大きさを測定できる精度に応じて、互いに区別可能な電圧の大きさを測定するために負荷18が必要となり得る。各装置により電圧の大きさが測定された後、負荷18は、システムの過剰なエネルギー消費を防止するために接続が解除可能である。負荷18は、物理的に除去可能であり、また、CANステーション16の1つによって自動的に接続が解除可能である。
他の実施例では、電圧以外に、電流、気圧、全地球測位システム(GPS)座標、温度、無線周波数(RF)電力受信(RSSI)、および位置によって変化する他のパラメータなどの、位置によって変化するパラメータが各CANステーション16によって監視または測定可能である。
各CANステーション16は、電源12から受け取ったアナログ電圧値を、CANバス20を介して他の装置および/または制御装置12へのメッセージの一部として通信可能なデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器(図2に示されるADC)を備える。
物理アドレス(例えば、階床番号)をCANステーション16に自動的に指定するには、各装置が、電源12によって供給される電圧の大きさを測定することが必要である。孤立して、各CANステーション16によって測定される電圧の大きさは、CANステーション16の位置(即ち、装置の物理アドレス)を決定するのには不十分である。一実施例では、各CANステーション16は、測定された電圧の大きさを制御装置14に通信し、制御装置14は、複数のCANステーション16のそれぞれによって提供されるさまざまな電圧の大きさを収集し、測定された電圧の大きさの比較に基づいて各CANステーション16の物理位置を決定する。制御装置14は、ネットワークアドレスを各CANステーション16の決定された物理位置と関連付け、指定されたネットワークアドレスを各CANステーション16に通信し、それによって、通信ネットワーク10の自動アドレス指定を行う。
別の実施例では、物理アドレスは、各CANステーション16がそれぞれのアドレスを決定するように他のCANステーションと通信する分散された方法(図5A〜図5Eに関してより詳細に説明される)で指定される。
図2は、本発明の実施例によるCANステーション16内に含まれる構成要素を示すブロック図である。構成要素には、アナログ−デジタル変換器(ADC)24、マイクロプロセッサ26、CAN通信モジュール28、およびタイマ30が含まれる。
CANステーション16は、電源12から電力を受け取るように作動的に接続され、CANネットワークバス20を介してデジタル通信を行う。ADC24は、CANステーション16に供給される電圧の大きさ(アナログ入力)を監視し、このアナログ入力を、マイクロプロセッサ26に供給されるデジタル値に変換する。CAN通信モジュール28は、マイクロプロセッサ26と双方向で通信し、通信バス20上でメッセージを送受信するように作動的に接続可能である。タイマ30は、CAN通信モジュール28により送受信されるメッセージに基づいて選択的に開始され、マイクロプロセッサ26に計時された入力を提供する、デジタルタイマである。このようにして、CANステーション16は、電源バス22を介して供給される電源電圧の大きさを測定することができ、測定されたアナログ電圧を通信バス20上での通信用にデジタル値に変換する。
図3は、本発明の実施例による、物理位置を各CANステーション16に自動的に指定する集中された方法を示す流れ図である。流れ図は、図1に示される通信ネットワーク10に関して記載されている。
ステップ40において、制御装置14は、自動アドレス指定モードで作動し、この自動アドレス指定モードでは、電源バス22によって各CANステーション16に供給される入力電圧を測定するようにメッセージが、通信バス20上に接続された各CANステーション16に通信される。制御装置14は、初期化の際に自動的に自動アドレス指定を開始することができ、または、手動で自動アドレス指定モードに設定されることができる。
ステップ42において、制御装置14によって送信されたアドレス指定メッセージに応答して、各CANステーション16は、電源バス22によって供給されるそれぞれの電圧の大きさを測定する。検出された電圧は、(図2に記載されるような)ADC24によってデジタル信号に変換され、このデジタル信号は、通信バス20を介するCANステーション16から制御装置14へのメッセージの一部として通信されることができる。
ステップ44において、各CANステーション16は、測定された電圧の大きさを制御装置14に通信する。一実施例では、電圧測定を要求するメッセージを各CANステーション16に送信した後、制御装置14は、複数のCANステーション16からの応答を所定の長さの時間待ち受ける。一実施例では、各CANステーションが通信する順番は、測定された電圧の大きさに基づく。各CANステーション16によって測定される電圧の大きさは、電源12からのCANステーションの距離に基づいて変化する。各CANステーション16によって測定された電圧の大きさに基づいて各CANステーションが通信する順番を規定することで、各CANステーションは、異なる時間に通信することになる。
ステップ46において、制御装置14は、各CANステーション16によって通信された電圧の大きさに基づいて各CANステーション16−1、16−2、16−3、16−4の物理位置(例えば、階床位置)を識別する。この決定は、例えば、建物に伴う全階床数、電力が1階から最上階へ(または最上階から1階へと逆の順番で)供給されるか、その他などについての事前の情報に基づくことができる。
ステップ48において、制御装置14は、特定のCANステーション(例えば、CANステーション16−1)をこのCANステーションによって提供される電圧測定値によって識別するメッセージを、その特定のCANステーションに指定される物理アドレスと共に放送する(すなわち、全てのCANステーションに送信する)。例えば、制御装置14は、1階に関連する14.76ボルトの電圧の大きさおよび識別された物理位置を含むメッセージを送信することができる。
ステップ50において、制御装置14によって放送された電圧の大きさに対応する電圧の大きさを測定したCANステーション(例えば、CANステーション16−1)は、制御装置14によって識別された物理位置を受け取る。この対応する電圧の大きさに関連するCANステーションは、物理位置をメモリに記憶し、識別された物理位置の受け取りを示す応答を制御装置14にする。CANステーションによって提供される後続のメッセージは、指定された物理位置を含むことになる。例えば、CANステーション16−1がホール呼び釦の場合、CANステーション16−1によって提供される後続のメッセージは、このステーションによって提供される機能(すなわち、ホール呼び)および呼びの位置(すなわち、1階)を示すことになる。
ステップ52において、制御装置14は、識別された物理位置全てが通信されたかを判断する。さらなる物理位置を通信する必要がある場合、流れは、ステップ48に戻り、制御装置14は、別の特定のCANステーション(例えば、CANステーション16−2)をこのCANステーションによって提供される電圧測定値によって識別する別のメッセージを、制御装置14によってそのCANステーションに指定される特定のアドレスと共に放送する。全ての物理アドレスが指定された場合、流れは、ステップ54に進み、そこで、制御装置14は、自動アドレス指定モードから抜け出る。これは、制御装置によって自動的に行なわれることも可能であり、または、全ての物理アドレスが指定されたという制御装置14によって提供される指示に応答して作業者によって手動で行われることも可能である。
図4〜図5Eには、CANステーション16が、制御装置14からの介入なしに、自動的に互いに対する各CANステーションの物理位置を決定し、これらの決定に基づいて物理アドレスを指定するという、分散された実施例が記載されている。
図4は、本発明の実施例によるCANステーション16の作動状態を示す状態図である。各CANステーションは、任意の与えられた時間に1つの状態でのみ作動し、各状態を1つまたは複数の隣接する状態に接続する矢印によって示されているさまざまな状態間での移行が許容される。この実施例では、CANステーション16は、状態0、状態1、状態2、状態3と名称がつけられた4つの状態のうちの1つで作動する。
状態0は、セットアップモードであり、状態1は、電圧伝達およびソートモードであり、状態2は、アドレス要求および交渉モードであり、状態3は、伝達準備モード(すなわち、アドレス取得済み)である。CANステーション16は、セットアップモード(状態0)から電圧伝達およびソートモード(状態1)に移行する。状態1から、CANステーションは、アドレス要求および交渉状態(最初の設置の際に一般的な状態2)か、またはアドレス取得済みモード(状態3)に移行する。状態3は、CANステーションがアドレスを指定されて、そのアドレスを再初期化される付帯設備に通信または送信する準備をしている状態を示す。状態3からは、CANステーションは、各CANステーションが状態0に再初期化される再始動をシステムが行わないかぎり、他のどの状態にも移行しない。CANステーション16の作動およびさまざまな状態の移行は、図5A〜図5Eに関してより詳細に説明される。
図5Aは、(図1に示されるような)CANステーション16−1、16−2、16−3、16−4の電源12との接続と、各CANステーション16の電源12への相対的な距離およびその結果として生じる各CANステーションによって測定される電圧の大きさとを示すタイミング図である。例えば、CANステーション16−1は、電源12の最も遠くに位置し、CANステーション16−4は、電源12の最も近くに位置する。また、図5Aは、現在の状態、指定された物理アドレス、および付帯設備(すなわち、CANステーション)数のカウントに関する各CANステーション16によって維持される内部変数を示している。
例えば、図5Aでは、各CANステーション16は、初期化モード(状態0)で作動しており、「1」に等しい記憶された物理アドレスと、「1」に等しいネットワーク上で作動する付帯設備またはCAN装置の数のカウントとを有している。この実施例では、電力をCANステーション16に供給すると、各装置は、初期化モード(状態0)で作動を開始し、この初期化モード(状態0)の間に各CANステーション16は、電源12によって供給される電圧の大きさを測定する。この実施例では、CANステーション16−1は、電源12の最も遠くにあり、その結果、最も低い電圧の大きさ(例えば、29.90ボルト)を測定し、CANステーション16−2は、2番目に低い電圧の大きさ(例えば、29.92ボルト)を測定し、CANステーション16−3は、3番目に低い電圧の大きさ(例えば、29.94ボルト)を測定し、CANステーション16−4は、電源12の最も近くにあり、最も高い電圧の大きさ(例えば、29.97ボルト)を測定する。
各CANステーション16は、いつ初期化状態(状態0)から電圧伝達およびソート状態(状態1)へ移行するかを決定するのに使用される(図2に示されるような)内部タイマ30を備える。この実施例では、CANステーション16は、2秒後に各移行を行うようにプログラムされている。他の実施例では、CANステーション16は、制御装置14の要求によって初期化モードに入ることができるが、制御装置14のさらなる介入なしに、物理アドレスの自動指定を行うことができる。
図5Bは、初期化状態(状態0)から電圧伝達およびソート状態(状態1)へのCANステーション16の移行の後の、図5Aに関して記載されたようなCANステーション16を示すタイミング図である。特に、図5Bは、各CANステーション16が測定された電圧の大きさを通信バス20上に接続された他のCANステーション16に通信する、順序付けられた方法を示す。この実施例では、各CANステーション16は、測定された電圧の大きさに定数値を掛けて、各CANステーション16が通信することになる時間を決定し、そこでは、測定された最も低い電圧の大きさを有するCANステーション(例えば、CANステーション16−1)が最初に通信し、測定された最も高い電圧の大きさを有するCANステーション(例えば、CANステーション16−4)が最後に通信する。例えば、CANステーション16−1は、1.39825秒において最初に通信するようにスケジュールされ、CANステーション16−2は、1.40秒において次に通信し、CANステーション16−3は、1.40175秒において通信し、CANステーション16−4は、1.4035秒において通信する。
CANステーション(例えば、CANステーション16−1)によって提供される、この送信元CANステーションによって検出、測定された電圧の大きさを含む通信に応答して、メッセージを送信しなかった各CANステーション(例えば、CANステーション16−2、16−3、16−4)は、メッセージを受け取り、通信された電圧の大きさとそれら自体の測定された電圧の大きさとの比較に基づいて、その物理アドレスを調整する必要があるかを決定する。また、各CANステーションは、他のCANステーション16から受け取った通信に基づいてインクリメントされることができる、通信バス20上に接続された付帯設備(例えば、CANステーション)数のカウントを含むこともできる。
例えば、CANステーション16−1は、最も低い電圧の大きさを測定し、従って、1.39825秒において最初に通信する。メッセージは、CANステーション16−2、16−2、16−4によって受け取られ、処理される。この実施例では、CANステーション16−2、16−3、16−4はそれぞれ、CANステーション16−1によって測定され、通信された電圧の大きさを上回る、測定された電圧の大きさを有する。従って、これらのCANステーションのいずれも、それらの記憶された物理アドレスをインクリメントせず、各物理アドレスを「1」の値で変えないままにする。しかしながら、受け取った通信に応答して、メッセージを受け取ったCANステーション(例えば、CANステーション16−2、16−3、16−4)のそれぞれは、接続された付帯設備数の数のそれらの各カウントをインクリメントする(例えば、付帯設備数=2)。
CANステーション16−2は、次に低い電圧の大きさを測定し、従って、1.4秒において次に通信する。再度、CANステーション16−2からの通信は、CANステーション16−2によって測定された電圧の大きさ(例えば29.92ボルト)を含む。CANステーション16−1、16−3、16−4は、通信を受け取り、通信された電圧の大きさをそれら自体の測定された電圧の大きさと比較して、それらの物理アドレスをインクリメントする必要があるかを決定する。例えば、CANステーション16−1は、その測定された電圧の大きさ(29.90V)をCANステーション16−2によって提供された電圧の大きさ(例えば、29.92V)と比較する。CANステーション16−2によって測定された電圧の大きさは、CANステーション16−1によって測定された電圧の大きさより大きいので、CANステーション16−1によって記憶された物理アドレスは、1から2へと1つだけインクリメントされる。CANステーション16−3、16−4は両方ともCAN16−2の電圧の大きさより大きな電圧の大きさを測定しており、それらの各物理アドレスをインクリメントしない。しかしながら、通信を受け取ったCANステーション16−1、16−3、16−4のそれぞれは、付帯設備数のそれらのカウントをインクリメントする(例えば、CANステーション16−3、16−4では付帯設備数=「3」)。
CANステーション16−3は、次に低い電圧の大きさ(例えば、29.94)を測定し、従って、1.40175秒において次に通信する。再度、CANステーション16−3からの通信は、CANステーション16−3によって測定された電圧の大きさ(例えば29.94ボルト)を含む。CANステーション16−1、16−2、16−4は、通信を受け取り、電圧の大きさをそれら自体の測定された電圧の大きさと比較して、それらの物理アドレスをインクリメントする必要があるかを決定する。その結果、CANステーション16−1、16−2は両方ともCANステーション16−3の電圧の大きさより小さい電圧の大きさを測定し、それらの物理アドレスを1つだけインクリメントする。しかしながら、CANステーション16−4によって測定された電圧の大きさは、CANステーション16−3によって測定された電圧の大きさを上回っているので、16−4の物理アドレスは、変わらないままである。同様に、CANステーション16−1、16−2、16−4のそれぞれは、付帯設備数のそれらのカウントをインクリメントする(例えば、全てのCANステーションで付帯設備数=「4」)。
CANステーション16−4は、次に低い電圧の大きさ(例えば、29.97V)を測定し、従って、1.4035秒において最後に通信する。CANステーション16−1、16−2、16−3はそれぞれCANステーション16−4の電圧の大きさより小さな電圧の大きさを測定しており、それらの物理アドレスをインクリメントする。CANステーション16−1、16−2、16−3、16−4によって実行された、分散された電圧のソートの結果として、各CANステーションは今やユニークな物理アドレスを有する。この場合、各付帯設備に関連する物理アドレスは、1階(例えば、CANステーション16−1)から最上階(例えば、CANステーション16−4)へと降順で進む。図5Bに示される実施例では、各CANステーション16の物理アドレスは、物理アドレスが1階から最上階へと昇順になるように反転される。各CANステーションによって維持される付帯設備の全数の知識に基づいて、正確な物理アドレスが、各CANステーションによって維持された物理アドレスから1を差し引いた結果を、各CANステーションによって維持される付帯設備の全カウントから差し引くことで指定される(すなわち、付帯設備数−(物理アドレス−1))。他の実施例では、電源の位置および適用に基づいて、このステップは不要となり得る。各CANステーション16によって行われる電圧ソートおよび後処理の結果として、各CANステーション16の物理位置(例えば階床)と対応する物理アドレスが、各CANステーション16に指定される。図5Bの最も右側に示されるように、CANステーション16はそれぞれ、2秒に等しい時間にソート状態(状態1)から準備状態(状態3)に移行する。
図5Cは、ソート状態(状態1)から準備状態(状態3)へのCANステーション16の移行の後の、図5A、図5Bに関して記載されたようなCANステーション16を示すタイミング図である。図5Cには、どのようにして1つのCANステーションが正確な物理アドレスを取得するかを示すためにCANステーション16−2の接続解除および新たなCANステーション16−2’の「ホットプラグイン」も示されている。
ゼロ秒の時点で、(移行後のタイマのリセットを仮定すると)各CANステーション16は、準備状態(状態3)で作動している。この状態では、各CANステーション16は、物理アドレスが指定されており、制御装置14と通信する準備をしている。CANステーション16によって提供されるメッセージは、メッセージが生じた位置(例えば、階床)を制御装置14が識別できるように通信するCANステーション16に関連する物理アドレスを含むであろう。CANステーション16−2は、電源が落とされ、ネットワークから接続が解除され(「接続解除」と名称がつけられている)、その後に新たなCANステーション16−2’が接続され、電源が入れられる(「接続」と名称がつけられている)。これは一般に「ホットプラグイン」と呼ばれ、ホットプラグインでは、ある装置が交換される際に、ネットワークの残りは接続され、作動したままである。
ネットワークに接続されると、CANステーション16−2’は、通信バスに関連するビットレートを取得する。首尾よくビットレートを取得した後、CANステーション16−2’は、初期化状態(状態0)で作動し、この初期化状態(状態0)では、物理アドレスおよび付帯設備数のカウントは、デフォルトで1の値にされる。以前のように、CANステーション16−2’は、状態間の移行を規定するのに使用されるタイマを備えており、CANステーション16−2’は、2秒間という任意に選択された長さの時間、各状態で作動する。初期化状態(状態0)の間、CANステーション16−2’は、電力バス22上で供給される電圧の大きさを測定し、アナログ値をデジタル値に変換する。
図5Dは、初期化状態(状態0)から電圧伝達およびソート状態(状態1)へのCANステーション16−2’の移行を示すタイミング図である。図5Bに関して記載されたように、電圧ソート状態の間、CANステーション16−2’は、測定された電圧の大きさに基づいて、CANステーション16−2’がその測定された電圧を他のCANステーションに通信する時間を計算する。指定された時間に、CANステーション16−2’は、測定された電圧の大きさを通信する。しかしながら、図5Bとは異なり、他のCANステーション16−1、16−3、16−4は、準備状態(状態3)で作動しており、従って、CANステーション16−2’によって提供される通信には応答せず、それらの測定された電圧の大きさに関するそれら自体の通信も提供しない。CANステーション16−2’が他のCANステーションのいずれからも伝達を受け取っていずに、CANステーション16−2’によって維持されるタイマが2秒のカウントに到達し(次の状態へのCANステーション16−2’の移行が予想されることを信号で知らせ)た後、CANステーション16−2’は、電圧ソート状態(状態1)からアドレス要求および交渉状態(状態2)に移行する。交渉状態(状態2)への移行に応答して、CANステーション16−2’は、接続された全てのCANステーション16にアドレスを送信する。
図5Eは、接続されたCANステーション16に送信されるアドレス要求に応答する、交渉状態(状態2)の間のCANステーション16−2’の作動を示すタイミング図である。電圧ソートモード(状態1)とは対照的に、交渉モード(状態2)では、新たに追加されたCANステーション16−2は、測定された電圧の大きさに基づくのではなく、現在は占有されていない最低のアドレスに基づいて物理アドレスが指定される。アドレス要求に応答して、接続された各CANステーション16は、CANステーションに指定された物理アドレスと、CANステーションに関連する測定された電圧の大きさとを含む、順序付けられた通信を送信する。
各CANステーション(交渉状態で作動しているCANステーションは除く)によって提供される順序付けられた通信は、各CANステーション16によって記憶された、測定された電圧の大きさに基づいて決定される。従って、CANステーション16−1が最初に通信し、CANステーション16−3が次に通信し、CANステーション16−4が最後に通信する。それぞれの通信があると、CANステーション16−2’は、それ自体のアドレスを通信によって提供されたアドレスと比較する。通信によって提供されたアドレスがCANステーション16−2’によって記憶されたアドレスと一致する場合、新たに追加されたCANステーション16−2’は、その物理アドレスを1つだけインクリメントし、同様に、測定された電圧の記憶されたそのデジタル値を、通信された電圧の大きさより1つ大きいものにインクリメントする(例えば、デジタル値0x31Fは0x320にインクリメントされる)。CANステーション16−1からの通信に関して、CANステーション16−2’は、物理アドレスを比較し、両方とも「1」に等しいので、記憶された物理を「2」にインクリメントする。
同じ処理が、CANステーション16−3、16−4からの後続の通信について実行される。例えば、CANステーション16−3からの通信は、「3」の物理アドレスを含む。しかしながら、CANステーション16−3によって提供される物理アドレスは、CANステーション16−2’の物理アドレス(例えば、2)より大きいので、CANステーション16−2’の物理アドレスは、変わらないままであり、また、測定された電圧の記憶された大きさもまた変わらないままである。タイマの終了(すなわち、タイマが2秒に等しくなった)後、CANステーション16−2’は、交渉状態(状態2)から準備状態(状態3)に移行する。この時点で、全てのCANステーション16は、準備状態(状態3)で作動しており、それぞれには、CANステーションに関連する位置(例えば、階床)を識別するユニークな物理アドレスが指定される。
本発明は、各装置によって測定された電圧の大きさに基づいて通信バス上に接続された装置にユニークなアドレスを自動的に指定するシステムおよび方法を提供する。アドレスの指定は、制御装置によって集中的に行われることができ、または分散されることができ、そこでは、各装置にユニークな物理アドレスを指定するように各装置が他の装置と交渉する。
本発明は、例示的な1つまたは複数の実施例を参照して説明したとはいえ、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずにさまざまな変更が可能でありかつ均等物が本発明の構成要素に置換可能であること理解するであろう。また、本発明の本質的範囲から逸脱せずに特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正が可能である。従って、本発明は、開示された特定の1つまたは複数の実施例に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施例を含むであろうことが意図されている。
CANステーション16−3は、次に低い電圧の大きさ(例えば、29.94)を測定し、従って、1.40175秒において次に通信する。再度、CANステーション16−3からの通信は、CANステーション16−3によって測定された電圧の大きさ(例えば29.94ボルト)を含む。CANステーション16−1、16−2、16−4は、通信を受け取り、電圧の大きさをそれら自体の測定された電圧の大きさと比較して、それらの物理アドレスをインクリメントする必要があるかを決定する。その結果、CANステーション16−1、16−2は両方ともCANステーション16−3の電圧の大きさより小さい電圧の大きさを測定し、それらの物理アドレスを1つだけインクリメントする。しかしながら、CANステーション16−4によって測定された電圧の大きさは、CANステーション16−3によって測定された電圧の大きさを上回っているので、16−4の物理アドレスは、変わらないままである。同様に、CANステーション16−1、16−2、16−4のそれぞれは、付帯設備数のそれらのカウントをインクリメントする。