JP2012528977A - ジェットエンジンの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための方法および装置ならびに前記装置を備えたジェットエンジン - Google Patents

ジェットエンジンの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための方法および装置ならびに前記装置を備えたジェットエンジン Download PDF

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Abstract

本発明は、ターボジェットの低圧燃料ポンプ内で不良を検出するための装置に関する。ポンプは、補機類を機械的に駆動するためのギア(4’)を含む補機ギアボックス(4)を用いることによって駆動される。装置は、補機ギアボックス(4)の振動周波数を測定するための手段(27)と、前記周波数の中から、低圧燃料ポンプの少なくとも1つの振動周波数を検出するための手段(28)とを含む。本発明は、低圧燃料ポンプ内の不良が、発生するとすぐに検出されることを可能にする。

Description

本発明は、ジェットエンジンの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための装置および方法に関する。
ジェットエンジンは、一般的に、ファン、たとえば低圧圧縮機および高圧圧縮機の1つまたは複数の圧縮機段、燃焼室、たとえば高圧タービンおよび低圧タービンの1つまたは複数のタービン段、および排気ダクトを備える。燃焼室では、圧縮された燃料が、噴射され、圧縮機からの圧縮された空気と共に燃焼される。各々の圧縮機は、シャフトによって結び付けられるタービンと回転結合され、したがって高圧本体および低圧本体を形成する。
燃焼室は、燃料ポンプ、一般的には低圧ポンプおよび高圧ポンプによって燃料が中で駆動される燃料回路によって燃料が供給される。
燃料ポンプに関する低圧および高圧の概念は、ジェットエンジンの本体に関する低圧および高圧の概念とは全く相関付けられず、異なる流体の圧力に関するものである。慣習によってかつ説明を簡易化するために、頭字語「HP]および「BP」は、本明細書ではこれ以後、ジェットエンジンの本体またはそれらの要素ならびに燃料ポンプの本体の両方に対する「高圧」および「低圧」をそれぞれ意味するために使用される。
HPポンプは、燃料回路内でBPポンプの下流側に置かれる。HPポンプはこうして、BPポンプから、最初に圧縮され、したがってHPポンプによる圧縮の後、圧縮された空気との燃焼に十分な圧力になるのに十分な圧力を有する燃料を受け入れる。したがって、BPポンプの機能は、第1の圧縮を受けた燃料をHPポンプに供給することである。
BPおよびHPポンプは、従来、たとえば「ギア式」または推進式になり得る機械式ポンプである。ギア式ポンプは、とりわけ、(ギアシステムによって回転駆動されるシャフト上で回転するように装着された)駆動ピニオン(またはホイール)と、被駆動ピニオン(またはホイール)とを備え、燃料は、駆動ピニオンと被駆動ピニオンの歯の間で体積が圧縮される。推進式ポンプは、燃料を圧縮するためのブレードが設けられ、かつギアシステムによって回転駆動されるシャフト上で回転するように装着されたホイール(またはインペラ)を備え、燃料は、ホイールの回転中、遠心作用効果によって圧縮される。従来、BPポンプは、推進式ポンプであり、HPポンプは、ギア式ポンプである。
BPおよびHPポンプの駆動ギアシステムは、一般的に、ギアシステムによってポンプに動力取出シャフトを結び付ける補機リレーボックスに連結された動力取出シャフトを介して、ジェットエンジンのHP本体のシャフトによって間接的に駆動される。補機リレーボックスは、名称「補機ギアボックス(Accessory Gear Box)」(AGB)によって当業者によく知られている。これは、ギアシステムを含むボックス(すなわちシャフトの回転運動を1つまたは複数の他のシャフトに伝達するように噛み合う歯付きホイールまたはピニオンを備える機構)である。このギアシステムは、たとえば発電機、始動装置、交流機、油圧ポンプなどのある特定の数の装置要素または補機類に結び付けられ、まさにBPおよびHPポンプで理解されたように、ギアシステムは、補機類を駆動するために、ジェットエンジンのHP本体のシャフトから取り出された運動を補機類に伝達する。
(たとえばBPポンプのホイールブレードとそれを覆うケーシングとの間において遮られるようになる異物の摂取による)BPポンプの不具合は、たいてい、BPポンプのホイールを駆動するシャフトの可溶性部分の破壊に反映され、このとき燃料は、圧縮されずにホイールを直接通り抜ける(事実上BPポンプのホイールは、フリーホイールである)。これは、ポンプの「主な不具合形態」と呼ばれている。この場合、HPポンプには、圧縮されない燃料、したがって正常作動で有していたであろう圧力よりも低い圧力の燃料が供給され、これにより、HPポンプの「キャビテーション」、すなわち燃料と混合された空気のHPポンプによる吸引が生じ得る。HPポンプのそのようなキャビテーションは、その作動に大きなダメージを与えており、また、ポンプに機械的ダメージを生じさせて、これを回転駆動するギアシステムの破損にさえ至る恐れがある。破損の場合、燃料はもはや燃料回路において駆動されず、燃焼室にはもはや燃料が供給されず、エンジンが停止し、推進している航空機の全速力中のジェットエンジンがそのように停止することで、あらゆる悲惨な結果をもたらす可能性がある。
したがってBPポンプの不具合は、検出されず、検出されるのはその結果、すなわちジェットエンジンの停止である。したがって、BPポンプの不具合が早期に検出不可能であることに実際の現実の危険性が存在しているが、その理由は、HPポンプは引き続き供給されていることにより、HPポンプの劣化およびジェットエンジンの停止が存在するまで異常作動が続くというリスクが高いためである。
本発明は、HPポンプの重篤な劣化のリスクを予測するために、BPポンプの不具合を効果的かつ簡単に特定することを可能にする検出装置および方法を提案することを目的とする。
本発明は、さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフトを備えるジェットエンジンの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための装置にして、前記ポンプが、前記補機類を機械的に駆動するためのギアシステムを備える補機リレーボックスを介して回転シャフトによって駆動される、装置であって、ジェットエンジンの回転シャフトの回転速度を測定するための手段と、補機リレーボックスの振動周波数を測定するための手段と、前記周波数から、回転シャフトの測定された回転速度における低圧燃料ポンプの少なくとも1つの正常な振動周波数を検出するための手段とを含むことを特徴とする、装置に関する。
本発明により、ポンプの可能性のある不具合を非常に簡単に検出することが可能である。実際には、補機リレーボックスの振動周波数中のポンプの周波数付与の存在または不在を検出して、そこから、ポンプが正常に作動しているか否かを推定するだけで十分である。可能性のある不具合の検出は、したがって、それが発生次第非常にすばやく行われ得る。こうして、BPポンプの故障の始まりから適切な対策をすばやくとることが可能である。ポンプの主要な振動周波数および/またはその高調波を検出することが、特に可能である。
好ましい実施形態によれば、ジェットエンジンは、低圧本体および高圧本体を備えるいわゆる二体型ジェットエンジンであり、前記回転シャフトは、ジェットエンジンの高圧本体のシャフトである。
好ましくは、補機リレーボックスの振動周波数を測定するための手段は、補機リレーボックスの振動を表す信号を送り出す加速度計を備える。有利には、従来はジェットエンジン内にある、補機リレーボックス上に装着された加速度計を使用してこのボックスのギアシステムの軸受の挙動と共にさまざまな他のパラメータを監視することが可能である。この場合、検出は、ポンプの少なくとも1つの振動周波数が、加速度計によって供給された信号内に存在するか否かについて行われる。
好ましくは、補機リレーボックスおよびその補機類は、さまざまな補機類の振動周波数が、ポンプの振動周波数とはすべて異なるように配置される。
本発明はまた、さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフトと、前記補機類を機械的に駆動するためのギアシステムを備える補機リレーボックスを介して回転シャフトによって駆動される低圧燃料ポンプおよび高圧燃料ポンプを備えた燃料回路と、本明細書の上記で述べられたものなどの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための装置とを備える、ジェットエンジンに関する。
本発明のジェットエンジンは、本明細書の上記で述べられた装置と同じ利点を提供する。
本発明はまた、さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフトを備えるジェットエンジンの低圧燃料ポンプの不具合を検出するための方法にして、前記ポンプが、前記補機類を機械的に駆動するためのギアシステムを備える補機リレーボックスを介して回転シャフトによって駆動される、方法であって:
ジェットエンジンの回転シャフトの回転速度が、測定され、
補機リレーボックスの振動周波数が、測定され、
前記周波数から、回転シャフトの測定された回転速度における少なくとも1つの正常なポンプの振動周波数が、検出されることを特徴とする、方法に関する。
本発明の方法は、本明細書の上記で述べられた装置と同じ利点を提供する。方法の最後のステップから、その目的がそのような正常な振動周波数を検出することであることが理解される。この検出の結果は、正または負になり得、BPポンプが正常に作動しているか否かを示す。
好ましい実施形態によれば、補機リレーボックスの振動周波数は、補機リレーボックスの振動を表す信号を送り出す加速度計を用いて測定される。
好ましい実施形態によれば:
加速度計からの信号が、低圧燃料ポンプの回転の位相に依存する信号に変換され、
この変換された信号の平均が、1振幅周期2πに単純化された、低圧燃料ポンプの複数の周期にわたって算出され、
この信号のパワースペクトル密度が、低圧燃料ポンプの回転周波数の倍数に対応する振動の次数にしたがって算出され、
低圧燃料ポンプの振動周波数に対応する次数において、スペクトル密度が、この周波数に対する低圧燃料ポンプの付与の存在を特徴付ける線を呈するかどうかについての決定が行われ、そこから、低圧燃料ポンプが正常に作動しているか否かについての結論が引き出される。
好ましい実施形態によれば、ポンプは、補機リレーボックスのギアシステムによって特定の回転周波数において回転駆動されるホイールを備え、BPポンプの主要な振動周波数は、ホイールの回転周波数の倍数である。
本発明は、添付の図のプレートを参照して、本発明の検出装置および方法の好ましい実施形態の以下の説明からより良好に理解されるであろう。
本発明のジェットエンジンの補機リレーボックスのギアシステムの概略図である。 図1の補機リレーボックス上に装着されたBPおよびHPポンプを含むボックスの断面図である。 AGBおよび図1および図2のジェットエンジンのBPポンプの不具合を検出するための装置の機能ブロック図である。 本発明の方法の好ましい実施形態の特定のステップを表す機能ブロック図である。 BPポンプの回転速度の倍数に対応する振動の次数による、図1から図3の補機リレーボックスの加速度計によって供給された信号のパワースペクトル密度を表す図である。 BPポンプの回転速度の倍数に対応する振動の次数による、図1から図3の補機リレーボックスの加速度計によって供給された信号のパワースペクトル密度を表す図である。
当業者によく知られているように、本発明によるジェットエンジンは、ファンを備え、ファンによって外気がジェットエンジン内、すなわちHP圧縮機の上流側のBP圧縮機内に吸引され、BP圧縮機は、空気を圧縮するように配置され、その出力部において、圧縮された空気は、これもまた圧縮された燃料と共に燃焼される燃焼室に向かって誘導される。燃焼されたガスは、HPタービン、次いでBPタービンに向かって誘導され、その出力部において、これらは、排気ダクトを通ってジェットエンジンから離れる。BP圧縮機は、回転シャフトによってBPタービンに結び付けられ、こうしてBP本体を形成し、一方でHP圧縮機は、回転シャフトによってHPタービンに結び付けられ、こうしてHP本体を形成する。HP本体のシャフトは、参照1によって指定されたシャフトによって図1に概略的に表される。
従来、また当業者によく知られているように、いわゆる動力取出シャフト2が、ジェットエンジン内に半径方向に装着され、HP本体のシャフト1のテーパ状ピニオン1’と噛み合う第1のテーパ状ピニオン2’を備え、動力取出シャフト2は、したがってHP本体のシャフト1によってその軸上で回転駆動される。動力取出シャフト2は、その反対側の端部に、補機リレーボックス4内の入力シャフト3の第1のピニオン3’と噛み合う第2のテーパ状ピニオン2”を備え、この入力シャフト3は、動力取出シャフト2に対して垂直に延び、したがってHP本体のシャフト1に対して平行である。当業者はたいてい、そのような補機リレーボックス4を、「Accessory Gear Box(補機ギアボックス)」を示す頭字語AGBによって示す。これは、本明細書ではこれ以後こうして示される。AGB4は、ジェットエンジンの分野ではよく知られている装置である。
AGB4は、ギアシステム4’により、ジェットエンジンの作動に含まれるさまざまな補機類を回転駆動し、このギアシステム4’は、その入力シャフト3の第2のピニオン3”を備え、それによって駆動される(したがって動力取出シャフト2を介してHP本体のシャフト1によって間接的に駆動される)。図1は、AGB4を全体としてではなく、AGB4のギアシステム4’のみを概略的に示しているが、AGB4はまた、とりわけ、ギアシステム4’および表されていないさまざまな構造部材を収容するボックスも備える。AGB4によって駆動される補機類は、ほとんどの部分に関して、概ねAGB4のボックスに直接的に固定される。
より具体的には、ギアシステム4’は、補機類を駆動する複数のピニオン3”、5、6、7、9、11、12を備え、これらの駆動ピニオン3”、5、6、7、9、11、12は、互いに、かつさまざまなピニオン5−14の回転速度を結び付け、適合させる2つの追加のピニオン8、10と直列に装着される。AGB4の入力シャフト3の第2のピニオン3”は、頭字語FADEC(Full Authority Digital Engine Control(全自動デジタルエンジン制御))によってたいてい示されるジェットエンジンの調整器の永久磁石を用いて交流機を回転駆動するシャフトに回転結合される。他の駆動ピニオン5、6、7、9、11、12は、それぞれ、AGB4の手動駆動装置の入力シャフト、タービン始動装置の入力シャフト、BP燃料ポンプ13の入力シャフトおよびHP燃料ポンプ14の入力シャフト、その頭字語IDG(Integrated Drive Generator(定速度駆動発電機))によって示される発電機の入力シャフト、FADECと共に、AGB4によって駆動される補機類である油圧ポンプの入力シャフトおよび潤滑モジュールの入力シャフトに回転結合される。
図2を参照すれば、BP燃料ポンプ13およびHP燃料ポンプ14は、ジェットエンジンの燃料回路のポンプである。これらは、燃焼室に燃料を供給するためにこの回路内で燃料を駆動する。BP13およびHP14燃料ポンプは、共通のボックス15内に含まれる。軸Aのボックス15内にあり、AGB4のギアシステム4’のポンプ13、14を駆動するピニオン7に回転結合された入力シャフト16は、このギアシステム4’によってBP13およびHP14ポンプを駆動する。このシャフト16は、ギアシステム4’によって駆動されるその端部の反対側の端部に、周囲長手方向スプラインを備えた結合部分17を備え、この結合部分17は、ポンプ13、14を駆動する管状シャフト19の端部の相補的なスプラインを備えた結合部分18と共働するように配置され、この管状シャフト19は、入力シャフト16の周りに、それと同軸に延びている。各々が長手方向スプラインを備える結合部分17、18は、シャフト16、19の軸A周りに角度を付けて均一に分散され、これらのスプラインは、互いにかつ軸Aに対して平行である。入力シャフト16のスプラインは、その外面上に形成され、管状シャフト19のスプラインは、その内面上に形成される。結合部分17、18は、こうして、その共有軸Aの周りで2本のシャフト16、19の回転結合をもたらす。
管状シャフト19は、その結合部分18の内部スプラインを備えたその端部に、HPポンプ14を駆動する外部スプライン20を備え、この外部スプライン20は、機械ポンプの分野において従来的である方法で、HPポンプ14の機構のスプライン21と噛み合うように配置される。当業者によく知られているHPポンプ14の要素の構造および作動は、本明細書では詳述する必要はない。HPポンプ14はまた、既存のHPポンプモデルのどのようなものとも適合することができる。適例では、HPポンプ14は、管状シャフト19によって駆動され、被駆動ピニオン(またはホイール)14bを駆動する駆動ピニオン(またはホイール)14aを含むいわゆる「ギア式」ポンプである。燃料は、当業者によく知られているやり方で、駆動ピニオン14aと被駆動ピニオン14bの噛み合わされた歯の間で体積が圧縮される。
管状シャフト19は、その反対側の端部に、機械ポンプの分野において従来的であるやり方で、BPポンプ13の駆動機構のスプライン23と噛み合うように配置された、BPポンプ13を駆動する外部スプライン22を備える。BPポンプ13は、適例では、とりわけスプライン22、23を介して、管状シャフト19によって回転駆動されるホイール(またはインペラ)24を備えるいわゆる「推進式」ポンプである。作動において、燃料は、ホイール24の内部側から噴射され、ホイール24には、ホイール24の内部側からその外部側の遠心作用効果によって燃料を駆動し、したがってそれを圧縮するように配置された複数のブレード、この場合は7つのブレードが設けられる。その構造については、当業者によく知られているため、より詳細に説明する必要はない。さらに、BPポンプ13のあらゆるタイプが使用され得る。燃料は、本明細書では詳述される必要がない知られているやり方で、ホイール24の外部側から集められ、再度これを圧縮するHPポンプ14に向かって誘導される。
BP13およびHP14ポンプを駆動する管状シャフト19はまた、BPポンプ13を駆動するそのスプライン22の近位に位置する可溶性部分25も含む。この可溶性部分25は、BPポンプ13上に不均衡または過剰な応力がある場合に壊れるように配置される。したがって、BPポンプ13の故障時(たとえば異物の摂取のため)、可溶性部分25は壊れ、それによって、BPポンプ13を駆動する機構、したがってそのホイール24のスプライン23を、駆動している管状シャフト19から切り離す。この場合、ホイール24は、惰性で動く状態であり、BP13およびHP14ポンプによって吸引された燃料をもはや圧縮しない。HPポンプ14には、このとき、圧縮されない燃料が供給され、「空洞形成」(すなわち空気の吸い込み)の危険を招き、それにより、キャビテーションを伴った異常作動が長期化する場合、HPポンプ14の重篤な劣化を生じさせ、場合によっては、圧縮された燃料を燃焼室に供給することが停止され、したがってジェットエンジンが全速力中に停止する結果になり得る。ジェットエンジンが、BPポンプ13の不具合を検出するための装置26を含むのは、とられるべき対処を予測することを可能にするために、BPポンプの不具合をそれが発生するとすぐに正確に警告するためである。
図3を参照すれば、この装置26は、ジェットエンジンの速度(すなわちHP本体のシャフト1の回転の速度)を測定するための手段27’と、AGB4の振動周波数を測定するための手段27と、これらの周波数から、ジェットエンジンの測定された速度におけるBPポンプ13の少なくとも1つの正常な振動周波数を検出するための手段28とを備える(BPポンプ13の主要な振動周波数および/またはその高調波を測定することが可能であることに留意されたい)。AGB4の振動周波数は、AGB4それ自体の振動周波数だけでなく、補機類が、それぞれの駆動シャフトを回転駆動するAGB4のギアシステム4’に回転結合されるため、駆動している補機類の振動周波数も含む。
装置26により、ジェットエンジンの速度におけるBPポンプ13の少なくとも1つの正常な振動周波数の、適例では、その主要な振動周波数の、AGB13の振動周波数中の存在または不在を検出することがこうして可能である。したがって:
BPポンプの13の振動周波数が、AGB13の測定された振動周波数中に存在する場合、BPポンプ13が、その正常な作動周波数で回転式に効果的に駆動されている、すなわち可溶性部分25が壊れていないことがそこから推定されることが可能であり、
BPポンプの13の振動周波数が、AGB13の測定された振動周波数中に不在である場合、BPポンプ13は、もはやその正常な作動周波数で回転駆動されていない、すなわち可溶性手段25が壊れており、BPポンプ13のホイールが、AGB4によって回転駆動されていないことがそこから推定されることが可能である。
BPポンプ13の作動の不具合の性質が知られると、HPポンプ14が損傷されることを防止するために、かつ燃焼室への圧縮された燃料の供給が停止される状態で終わらないようにするためにHPポンプ14がキャビテーション速度で(あまり長く)作動しないように、任意の適切な対策をとることが可能である。したがって、ジェットエンジンが全速力中に停止することを回避または少なくとも予測するためすべての手段をとることが可能である。
適例では、AGB4は、BPポンプ13のものと同じ周波数の振動成分を発生させる他の要素または補機類がAGB4上には存在しないように設計される。そのようなAGB4の構成は、ここでは非常に有用であり、これは、この構成が、測定手段27によって測定された信号内のBPポンプ13の正常な振動周波数の消失が、このBPポンプ13の故障に必ず結び付けられることを保証することができるためである。次に、AGB4のこのタイプの構成(すべての要素が異なる振動周波数で振動する)は、AGB4によって駆動される要素間のあらゆる共振現象を回避するために、知られているジェットエンジン内で広く使用されることがある。したがって、本発明は、他の目的に広く使用され、そこから利益を得る特徴を用いるという長所を有する。
ジェットエンジンの所与の速度におけるBPポンプ13の回転によって発生する振動周波数は、BPポンプ13のホイール24の回転速度vBPから容易に決定され得る。この回転速度vBPは、HP本体のシャフト1の回転速度NHPの倍数であり、すなわちvBP=k.NHPであり、このときkは固定された係数である(HP本体のシャフト1の回転速度Npは、理解されたように、ジェットエンジンの速度に対応する)。係数kは、HP本体のシャフト1をBPポンプ13に結び付ける運動学的連鎖によって固定される。したがって、ジェットエンジンのHP本体のシャフト1からBPポンプ13までの互いに噛み合うピニオンのすべての対のギア比を知ることにより、エンジン速度とは無関係の固定された値を有する係数kの値が知られる。
適例では、ジェットエンジンの速度を測定するための手段27’は、AGB4上に装着され、知られているように、ジェットエンジンのHP本体のシャフト1と同じ速度で回転するAGB4のシャフトの回転速度を測定するセンサ27’を備える。
適例では、AGB4の振動周波数を測定するための手段27は、加速度計27を備える。そのような加速度計27は、AGB4が受ける振動を表す電子信号を送り出すように配置される。この信号の周波数成分は、AGB4が受けるさまざまな振動周波数に対応し、これらの振動周波数は、ほとんどの部分に関して、AGB4によって駆動される補機類の回転周波数に直接的に結び付けられる。
BPポンプ13の振動周波数を検出するための手段28は、適例では、周波数信号を処理するように最適化された、マイクロプロセッサ、好ましくはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)のタイプのマイクロプロセッサをここでは備える処理ユニット28を備える。ジェットエンジンの速度を測定するための手段27’(センサ27’)およびAGB4の振動周波数を測定するための手段27(加速度計27)が、それらが測定する信号を送り出す処理ユニット28に結び付けられ、これらの信号は、処理ユニット28によって処理される。
AGB上に加速度計が存在することは、当技術分野では異なる目的に関して知られたものであることが、ここに留意され得る。従来、加速度計は、ギアシステムの軸受の挙動をたどるためにAGB上に設けられる。この目的のために、信号上で算出されたインジケータである「ポインタ」が定義され、これらのインジケータの傾向に基づき、軸受が悪化しているかどうかについての決定が行われる。特に、加速度計が測定する信号の履歴、より具体的には、その傾向の分散が、分析される。加速度計のそのような使用は複雑であるが、BPポンプ13上の不具合の検出のための加速度計27からなる使用は、簡単である。AGB4の周波数の付与が存在するか、あるいは存在しないかである。したがって、BPポンプ13の不具合を検出するための装置および方法は、伴われる分析の簡単さによって注目に値するものである。
好ましくは、BPポンプ13上の不具合の検出に使用される加速度計27は、AGB4のギアシステム4’の軸受の挙動をたどるために使用されるものと同じである。BPポンプ13上の不具合の検出に使用される処理ユニット28は、特別なやり方でプログラムされた、ギアシステム4’の軸受の挙動をたどるために使用されるものと同じものでもよい。ジェットエンジン内で知られている装置はこうして使用されて、新しい機能を実行することが可能になる。
次に、BPポンプ13の不具合の検出のための方法が、図4を参照して、ジェットエンジンの所与の速度におけるポンプの正常作動に対応する振動周波数への、BPポンプ13の付与の存在または不在を検出するという可能例にしたがってより詳細に説明される。明らかに、任意の他の適切な方法が使用され得る。
最初のステップE中、ジェットエンジンが特定の速度でNHPで作動しているとき、この速度NHPは、センサ27’を用いて測定され、BPポンプ13の正常な振動周波数が、ジェットエンジンの速度NHPにおいて決定される。言い換えれば、HP本体のシャフト1の回転の測定された速度NHPは、その後のステップ中、この正常な振動周波数が、加速度計27によって測定された信号内で実際に形を得ているかどうかを確認するという目的で、BPポンプ13が正しく作動している場合に振動すべきである周波数を推定するために使用される。上記で理解されたように、BPポンプ13のこの正常な振動周波数は、BPポンプ13のホイール24の回転速度によって決まり、BPポンプ13のホイール24の回転速度は、さらに、次の公式:vBP=k.NHPにしたがってジェットエンジンの測定された速度によって直接的に決まり、この場合、kは固定されている。したがって、ジェットエンジンの各々の測定された速度Npにおいて、BPポンプ13が正常に作動している場合に回転すべきである回転速度vBPが、知られる。BPポンプ13の構造によっては、次いで、その主要な振動周波数を決定することが可能である。適例では、BPポンプ13のホイール24が7つのブレードを備え、BPポンプ13の主要な振動周波数fは、その回転周波数(速度)の7倍に等しい(ブレードの通過の周波数は、7つのブレードが存在するため、ホイール24の回転周波数の7倍に等しい)、すなわちf=7.vBP=7.k.NHPである。
第2のステップE中、タイプγ=f(t)(時間tに従属する信号γ)の信号である加速度計からの信号は、BPポンプ13の回転の位相φに従属するタイプの信号γ=f(φ)に変換される。
第3のステップE中、この変換された信号の平均が、1振幅周期2πに単純化された、BPポンプ13の複数の周期(または回転)にわたって算出される。
ステップEおよびEの完了時、「再サンプリングされる」(第1のサンプリングは測定の時点で行われた)と言われる信号が得られ、平均化される。
第4のステップE中、信号のパワースペクトル密度D(m.sec−3、ヘルツで除算された二乗加速度における均一性)が、振動の次数O(BPポンプ13の回転速度vBPの倍数である振動の次数)にしたがって算出される。
第5のステップE中、次いで、BPポンプ13の主要な振動周波数に対応する次数において、スペクトル密度がこの振動周波数への付与の存在を特徴付ける線を呈するか、あるいは線が存在しないかについての決定が行われる。この情報に基づいて、ここから、BPポンプ13が、正常に作動しているか否かについての結果が引き出され、また、検出方法をいかにして進めるかが、定義される。したがって:
線が存在する場合、これは、AGB4の振動信号が、対象となるエンジン速度における正常作動のBPポンプ13の振動周波数への付与を含むことを意味し、BPポンプ13は、この周波数において振動を発生させる、AGB4の(またはそれに固定された)唯一の要素であり、これは、この周波数付与の発生源となるのはまさにBPポンプ13であり、したがって正しく作動していることがそこから確実性を持って推定され得、本方法は、次いで、BPポンプ13の作動の連続的監視を確実にするために再度実施され(矢印E6a)、
線が存在しない場合、これは、BPポンプ13が、発生させているべき振動を発生させていないことを意味し、すなわち、BPポンプ13は、ジェットエンジンの対象となる速度において回転するべきである速度で回転していないこと、したがって、不具合が存在することを意味し、このとき、この故障に反応して決定ステップE7に移行し(矢印6b)、不具合がその発生時に検出されたために対策がすばやくとられ得る。
図5aおよび図5bは、BPポンプ13の正常作動の場合(図5a)、およびBPポンプ13の故障の場合(図5b)の、振動の次数Oによる加速度計27からの平均信号のパワースペクトル密度Dを示している。
説明された例では、BPポンプ13が正常に作動しているとき、加速度計27からの信号は、次数7において、BPポンプ13の信号への付与に対応する線RBPを、次数16において、HPポンプ14の信号への付与に対応する線RHPを呈することが、図5aで理解され得る。BP13およびHP14ポンプの構造および含まれるさまざまなギア比によるBP13およびHP14ポンプの線に対応する次数0が、知られる。したがって、適例では、上記で説明されたように、BPポンプ13の主要な線は、次数7のところにあるが、その理由は、BPポンプ13のホイール24が、7つのブレードを有し、次数は、BPポンプ13の回転速度の倍数であるためである。
BPポンプ13が、異常作動しているとき、図5bは、線RBPが消失し、HPポンプ14の線Rpのみが、依然として見えていることを示している。振動の次数7のレベルにおけるパワースペクトル密度の残留振幅は、信号上のノイズに対応する。
上記で述べられたすべてのステップは、処理ユニット28によって実施され得る。主要な線(BPポンプ13の主要な振動周波数)だけでなくその高調波を検出することによって分析を絞り込むことが明らかに可能であり、これは、信号上のノイズに対するアルゴリズムのより大きなロバスト性を提供する(BPポンプの振動に対応するエネルギー(したがって信号のその部分)は、ジェットエンジン自体に対応するエネルギー(したがって信号のその部分)と比べて低い)。
加速度計27は、一方向性または多方向性でよい。AGB4の加速は、先験的に単一の方向で測定され、この方向は、AGB4によって駆動される補機類のシャフトの方向に対して垂直である(互いにかつジェットエンジンのHP本体のシャフト1に対して平行である)方向である。しかしながら、これにより多方向性加速度計の使用は妨げられない。加速度計27の帯域は、好ましくは20kHz程度のものである。
好ましくは、(図5aおよび図5bにおけるものより多くのノイズを含み得る)パワースペクトル密度における線の存在または不在を検出するために、標準的な参照AGB上で信号の測定を提供することが可能であり、測定された信号は、参照信号と比較されて、そこから、探されている線が存在するか否かを推定する。

Claims (9)

  1. さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフト(1)を備えるジェットエンジンの低圧燃料ポンプ(13)の不具合を検出するための装置にして、前記ポンプ(13)が、前記補機類を機械的に駆動するためのギアシステム(4’)を備える補機リレーボックス(4)を介して回転シャフト(1)によって駆動される、装置であって、ジェットエンジンの回転シャフト(1)の回転速度(NHP)を測定するための手段(27’)と、補機リレーボックス(4)の振動周波数を測定するための手段(27)と、前記周波数から、回転シャフト(1)の測定された回転速度における低圧燃料ポンプ(13)の少なくとも1つの正常な振動周波数を検出するための手段(28)とを含むことを特徴とする、装置。
  2. ジェットエンジンが、低圧本体および高圧本体を備えるいわゆる二体型ジェットエンジンであり、前記回転シャフト(1)が、ジェットエンジンの高圧本体のシャフトである、請求項1に記載の装置。
  3. 補機リレーボックス(4)の振動周波数を測定するための手段(27)が、補機リレーボックス(4)の振動を表す信号を送り出す加速度計(27)を備える、請求項1または2の一項に記載の装置。
  4. 補機リレーボックス(4)およびその補機類が、さまざまな補機類の振動周波数が、低圧燃料ポンプ(13)の振動周波数とはすべて異なるように配置される、請求項1から3の一項に記載の装置。
  5. さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフト(1)と、補機類を機械的に駆動するためのギアシステム(4’)を備える補機リレーボックス(4)を介して回転シャフト(1)によって駆動される低圧燃料ポンプ(13)および高圧燃料ポンプ(14)を備えた燃料回路と、請求項1から4の一項のものなどの低圧燃料ポンプ(13)の不具合を検出するための装置(26)とを備える、ジェットエンジン。
  6. さまざまな速度で回転することができる少なくとも1本の回転シャフトを備えるジェットエンジンの低圧燃料ポンプ(13)の不具合を検出するための方法にして、前記ポンプ(13)が、前記補機類を機械的に駆動するためのギアシステム(4’)を備える補機リレーボックス(4)を介して回転シャフトによって駆動される、方法であって、
    ジェットエンジンの回転シャフト(1)の回転速度(NHP)が、測定され、
    補機リレーボックスの振動周波数が、測定され、
    前記周波数から、回転シャフト(1)の測定された回転速度(NHP)における低圧燃料ポンプ(13)の少なくとも1つの正常な振動周波数が、検出されることを特徴とする、方法。
  7. 補機リレーボックス(4)の振動周波数が、補機リレーボックス(4)の振動を表す信号を送り出す加速度計(27)を用いて測定される、請求項6に記載の方法。
  8. 加速度計(27)からの信号が、低圧燃料ポンプ(13)の回転の位相に依存する信号に変換され、
    この変換された信号の平均が、1振幅周期2πに単純化された、低圧燃料ポンプ(13)の複数の周期にわたって算出され、
    この信号のパワースペクトル密度が、低圧燃料ポンプ(13)の回転周波数の倍数に対応する振動の次数にしたがって算出され、
    低圧燃料ポンプ(13)の振動周波数に対応する次数において、スペクトル密度が、この周波数に対する低圧燃料ポンプ(13)の付与の存在を特徴付ける線(RBP)を呈するかどうかについての決定が行われ、そこから、低圧燃料ポンプが正常に作動しているか否かについての結果が引き出される、請求項7に記載の方法。
  9. 低圧燃料ポンプ(13)が、補機リレーボックス(4)のギアシステム(4’)によって特定の回転周波数において回転駆動されるホイール(24)を備え、低圧燃料ポンプ(13)の主要な振動周波数が、ホイール(24)の回転周波数の倍数である、請求項8に記載の方法。
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