JP2012528860A - 多孔質結晶性物質、それらの合成および使用 - Google Patents

多孔質結晶性物質、それらの合成および使用 Download PDF

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Abstract

多孔質結晶性物質は、一般式M−IM−M(式中、Mは、第一の価数を有する金属を含み、Mは、第一の価数と異なる第二の価数を有する金属を含み、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である)を含む四面体骨格を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質結晶性物質、それらの合成、およびそれらの使用に関する。
多孔質結晶性物質の一つの既知のファミリーは、ゼオライト物質である。これは、頂点共有[TO]四面体によって定められる三次元四連結骨格構造に基づく。式中、Tは、任意の四面体配位カチオンである。このファミリーの既知の物質の中には、アルミノシリケート([SiO]および[AlO]の頂点共有四面体単位の三次元微細孔結晶骨格構造を含む)、アルミノホスフェート([AlO]および[PO]の頂点共有四面体単位の三次元微細孔結晶骨格構造を含む)、およびシリコアルミノホスフェート(SAPO)(骨格構造が、[SiO]、[AlO]、および[PO]の頂点共有四面体単位からなる)がある。ゼオライトファミリーの物質には、180超の異なる多孔質骨格タイプが含まれ、その多くは、触媒および吸着剤として優れた商業的価値を有する。
最近、多孔質物質の新規のファミリーが、合成されている。これは、[M(IM)]四面体に基づく。式中、IMは、イミダゾレートタイプ結合部分であり、Mは、遷移金属である。これらの新規物質は、遷移金属を架橋する際に、イミダゾレート(IM)によって形成される角度が、ゼオライト中のSi−O−Si結合の145°の角度に類似することから、一般に、ゼオライトイミダゾレート骨格、またはZIFと呼ばれる。結果として、この研究領域の初期にも関わらず、既に、多くの既知のゼオライト構造のZIF対応物を合成すること、同様にこれまでゼオライトに知られていなかった多孔質骨格タイプを製造することが可能となっている。この研究の議論は、例えば、Yaghi教授および彼の共同研究者による次の文献(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5)に見出されることができる。
ZIF構造に関するこの研究の多くは、特許文献1に要約される。その全内容は、本明細書に引用して含まれる。特に、特許文献1は、一般的な構造:M−L−Mを含むゼオライト骨格を開示する。ここで、Mは、遷移金属を含み、Lは、次式のI、II、III、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される構造を含む結合部分である。
Figure 2012528860
(式中、A、A、A、A、A、A、およびAは、CまたはNのいずれかであることができ、R〜Rは、A〜AがCを含む場合に存在し、R、R、またはRは、Mと干渉しない非立体障害基を含み、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、アルキル、ハロ−、シアノ−、ニトロ−であり、M、M、M、M、M、およびMはそれぞれ、遷移金属を含み、結合部分が構造IIIを含む場合に、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、電子求引基である)。特許文献1はまた、ゼオライト骨格が、触媒担体として、およびガス(特に二酸化炭素)の吸着剤として有用であることを開示する。
特許文献1で請求されるゼオライト骨格においては、金属種は、全て遷移金属、典型的には四面体配位二価遷移金属であり、特にはZn2+およびCo2+である。混合原子価金属を含む特許文献1に開示される唯一の例は、ZIF−5である。これは、四面体配位Zn2+に加えて、八面体配位In3+を含む非多孔質骨格を有する。
加えて、金属カチオンおよびアニオン([B(IM)または[Al(IM)のいずれかである)を含む骨格構造を有するいくつかの物質が、文献に知られる。しかし、これらの物質の殆どは、四面体骨格を有さず、および/または非多孔質構造であると思われる。
例えば、カチオン層状構造[PbB(IM)](NO)およびその中性親近構造TlB(IM)は、Zieglerらによって、それぞれ、2002年および2004年に報告された。非特許文献6および非特許文献7を参照されたい。しかし、前記構造におけるPb2+およびTlは、配位数4であると考えられるものの、その配位構造は、四面体から著しく逸脱している。結果として、Zieglerらによって報告された生成物は、一般に、ゼオライトまたはゼオライト様開放骨格とは異なる二次元層状構造であると思われる。
化合物処方AgB(IM)は、2000年にPettinariらによって報告され、化合物処方CuB(IM)は、2005年にPikeらによって報告された。非特許文献8および非特許文献9を参照されたい。銀および銅化合物は、それぞれ、メタノール中および水中で合成された。前記化学式は、四面体骨格と一致しているものの、これらの二種の物質の結晶構造または結晶性に関する情報は、全く報告されなかった。より重要なことには、前記化学式は、元素分析に基づいて、合成されたままの物質に対して定められた。合成されたままの形態の二つの物質は、骨格内にゲスト種(例えば、溶剤分子)を含まないという事実は、物質が非多孔質であることの強力な証拠である。
特許文献2「Lithium Ion Conducting Material and Secondary Lithium Ion Battery Using It」は、Li[M(Azo)4−n(Q)を配合された一連のリチウム塩を開示する。式中、Mは、BまたはAlのいずれかであり、Azoは、アゾール残基または置換アゾール残基であり、Qは、アゾールを除いた化合物の残基であり、nは0、1、2、3である。n=0のリチウム塩の調製方法は、LiAl(IM)(式中、IMは、イミダゾレートである)の合成に例証され、LiAlHをイミダゾールと反応させる工程を含む。合成されたままの物質の元素分析は、式LiAl(IM)と一致すると報告された。合成されたままの形態のこの物質は、骨格内にゲスト種(例えば、溶剤分子)を含まないという事実は、それが、非多孔質であることの強力な証拠である。
この発明に従って、新規な一連の多孔質結晶性物質が、合成されている。これは、一般的な構造、M−IM−Mを含む四面体骨格を有する。式中、Mは、第一の原子価を有する金属を含む。特に、Li、Cu、およびAgから選択される一価金属であり、Mは、前記第一の原子価と異なる第二の原子価を有する金属を含む。特に、B3+、Al3+、およびGa3+から選択される三価元素である。IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である。これらの物質は、例えばCu、Ag、Al3+、およびGa3+は、ZIF合成に典型的に用いられる二価遷移金属と異なる化学挙動を示すことから、触媒用途の新しい機会を提供する。更に、遷移金属よりもむしろ、低原子量の元素のLiおよびBを用いることによって、重量ベースで、ガス取込み量が向上された吸着剤を製造することが可能となるべきである。
米国特許出願公開第2007/0202038号明細書 特開2007−087737号公報
Yaghiら著「Exceptional Chemical and Thermal Stability of Zeolitic Imadazolate Frameworks」(Proceedings of the National Academy of Sciences of U.S.A.、第103巻、第10186〜10191頁、2006年) Yaghiら著「Zeolite A Imidazolate Frameworks」(Nature Materials、第6巻、第501〜506頁、2007年) Yaghiら著「High−Throughput Synthesis of Zeolitic Imidazolate Frameworks and Application to CO2 Capture」(Science、第319巻、第939〜943頁、2008年) Yaghiら著「Colossal Cages in Zeolitic Imidazolate Frameworks as Selective Carbon Dioxide Reservoirs」(Nature、第453巻、第207〜212頁、2008年) Yaghiら著「Crystals as Molecules: Postsynthesis Covalent Functionalization of Zeolitic Imidazolate Frameworks」(Journal of the American Chemical Society、第130巻、第12626〜12627頁、2008年) Zieglerら著「Construction of a Functional Layered Solid Using Tetrakis(imidazolyl)borate Coordinating Anion」(Inorganic Chemistry、第41巻、第4984〜4986頁、2002年) Zieglerら著「Lead and Thallium Tetrakis(imidazolyl)borates: Modifying Structure by Varying Metal and Anion」(Inorganic Chemistry、第43巻、第4272〜4277頁、2004年) Pettinariら著「Synthesis, Characterization and X−ray Structural Studies of Novel Dinuclear Silver(I) Complexes of Poly(azolyl)borate Ligands」(Inorganic Chimica Acta、第308巻、第65〜72頁、2000年) Pikeら著「Convenient Synthesis of Copper (I) Thiolates and Related Compounds」(Inorganic Chimica Acta、第358巻、第1331〜1336頁、2005年) O’KeeffeおよびYagiら著「Reticular Chemistry: Ocurrence and Taxonomy of Nets and Grammar for the Design of Frameworks」(Accounts of Chemical Research、第38巻、第176〜182頁、2005年) Reticular Chemistry Structure Resource(RCSR)ウェブサイト(http://rcsr.anu.edu.au/home) Mooreら著「Studies In The Tetraarylborates, Part VII. The Preparation and Reagent Properties of Some New Nitrogen Heterocyclic Tetraarylborates− Especially Sodium Tetrakis(l−Imidazolyl)borate, A Novel Gravimetric Reagent for Hydrogen Ion」(Analytica Chimica Acta、第100巻、第457〜467頁、1978年)
一態様においては、本発明は、一般式M−IM−Mを含む四面体骨格を有する多孔質結晶性物質に属する。式中、Mは、第一の価を有する金属を含み、Mは、前記第一の価と異なる第二の価を有する金属を含み、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である。
一実施形態においては、Mは、一価金属を含み、Mは、三価元素を含む。
好都合には、Mは、Li、Cu、およびAgから選択される一価金属カチオン、特にLiである。
好都合には、Mは、B3+、Al3+、およびGa3+から選択される三価元素カチオン、特にB3+である。
典型的には、四面体骨格は、crb、dft、cag、sod、mer、rho、ana、lta、dia、zni、gme、lcs、frl、gis、poz、およびmozからなる群から選択される骨格タイプを有する。
更なる態様においては、本発明は、次式のIV、V、VI、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される構造を含む四面体骨格を有する多孔質結晶性物質に属する。
Figure 2012528860
(式中、A、A、A、A、A、A、およびAは、CまたはNのいずれかであることができ、R〜Rは、A〜AがCを含む場合に存在し、R、R、またはRは、隣接するMまたはMと干渉しない非立体障害基を含み、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、ハロ、シアノ、またはニトロであり、Mは、一価金属カチオンを含み、Mは、三価元素カチオンを含み、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、電子引抜き基である)。
一実施形態においては、Mは、Liであり、Mは、B3+であり、IMは、式IVのものであり、R、R、およびRはそれぞれ、水素であり、四面体骨格は、cag骨格タイプを有し、合成されたままの物質は、四面体骨格内にゲスト種を含む。
更に他の態様においては、本発明は、ガスを、本明細書に記載される多孔質結晶性物質と接触させる工程を含むガス吸着方法に属する。
実施例1の化合物のOak Ridge Thermal Ellipsoid Plot(ORTEP)である。 cag骨格タイプを有するZIF−4の骨格構造を示す。 実施例2の針状微晶質化合物2の粉末X線回折パターンのオーバーレイであり、連続トレースとして示される。パターンは、実施例2の化合物2の大結晶構造から計算され、棒パターンとして示される。
本明細書には、一般的な構造M−IM−Mを含む四面体骨格を有する多孔質結晶性物質の新規なファミリーが開示される。式中、Mは、第一の価を有する金属を含み、Mは、前記第一の価と異なる第二の価を有する金属を含み、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である。本明細書にはまた、新規なファミリーの物質を合成するためのプロセス、および物質を用いてガス(二酸化炭素など)が吸着される方法が開示される。
典型的には、Mは、Li、Na、K、Cs、Rb、Cu、Ag、およびAuなどの一価金属カチオンである。より詳しくは、Mは、Li、Cu、およびAgから選択される一価金属カチオンである。特には、Liである。
典型的には、Mは、B3+、Al3+、Ga3+、In3+、Fe3+、Cr3+、Sc3+、Y3+、およびLa3+などの三価元素カチオンであり、ここでLaは、任意のランタニド金属である。より詳しくは、Mは、B3+、Al3+、またはGa3+から選択される三価元素カチオンである。特には、B3+である。
一般に、本明細書に記載される多孔質結晶性物質は、次式のIV、V、VI、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される構造を含む四面体骨格を有する。
Figure 2012528860
(式中、A、A、A、A、A、A、およびAは、CまたはNのいずれかであることができ、R〜Rは、それらそれぞれのA〜AがCを含む場合に存在し、R、R、またはRは、隣接するMまたはMと干渉しない非立体障害基を含み、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、ハロ、シアノ、またはニトロであり、Mは、一価金属カチオンを含み、Mは、三価元素カチオンを含み、存在する場合には、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立に、電子求引基である)。
一実施形態においては、R、R、およびRはそれぞれ、独立に、水素、メチル、エチル、ニトロ、ホルミル、ハロ、およびシアノ基から選択される。
10、R11、およびR12それぞれに対する適切な電子求引基には、ニトロ、シアノ、フルオロ、およびクロロ基が含まれる。
本明細書に記載される新規な多孔質結晶性物質のファミリー構成要素の例は、次式のVII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、およびXVIIIからなる群から選択される構造を含む。
Figure 2012528860
Figure 2012528860
これらのイミダゾレート結合部分はまた、ZIFの合成で成功裏に用いられている。これは、Yaghi教授および彼の共同研究者によって、次の文献(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5)に報告される。
本明細書に開示される多孔質結晶性物質の新規なファミリーは、任意のタイプの四面体骨格構造をも有することができる。多孔質結晶性物質の骨格タイプは、本明細書においては、三つの太字の小文字からなる簡略コードによって表される。この記号系は、O’KeeffeおよびYaghi教授によって導入され、ZIFの研究に採用された。記号系に関する概説は、例えば、非特許文献10および非特許文献11に見出されることができる。「骨格タイプ」、「トポロジー」、および「ネット」の概念は、本質的には、化学文献中で互換的に用いられることが特記される。これらの簡略コードは、実際の物質と混同または等置されるべきではない。
典型的には、本発明の多孔質結晶性物質は、既知のZIFと親近構造にあり、crb、dft、cag、sod、mer、rho、ana、lta、dia、zni、gme、lcs、frl、gis、poz、およびmozからなる群から選択される四面体骨格タイプと考えられる。これらの骨格タイプは全て、ZIFの合成において認められている。
一実施形態においては、一価金属Mは、Liであり、三価元素Mは、B3+であり、IMは、イミダゾレート結合部分(即ち、構造VII)であり、四面体骨格は、cag骨格タイプを有する。合成されたままの物質は、骨格内にゲスト種を含む。
本多孔質結晶性物質の合成は、[M(L)]XおよびA[M(IM)]の反応に基づく。式中、M、M、およびIMは、上記されるものに同じであり、Lは、中性配位子(典型的には、アンモニア、アミン、ホスフィン、ニトリル、またはエーテル)であり、nは、0〜12の範囲の非負整数であり、Xは、アニオン(典型的には、ハライド、ナイトレート、パークロレート、アセテート、トリフルオロメタンスルホネート、またはアセチルアセトネート)であり、Aは、カチオン(典型的には、Na、K、テトラアルキルアンモニウム、[NR、またはテトラアルキルホスホニウム[PR)であり、xおよびaはそれぞれ、非負整数である。
反応は、極性非プロトン性溶媒中で、およびいくつかの場合には、テンプレートの存在下に生じる。極性非プロトン性有機溶媒は、典型的には、アミド(例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルプロピレンウレア)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、またはホスホルアミド(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド)である。存在する場合には、テンプレートは、典型的には、中性有機化合物(エーテル、ケトン、エステル、アミン、ニトリル、ニトロ化合物、ホスフィン、炭化水素、またはハライドなど)である。
典型的には、合成手順には、[M(L)]X溶液およびA[M(IM)]溶液(いずれも極性非プロトン性有機溶媒中)を、温度約−78℃(ドライアイス浴温)〜約153℃(N,N−ジメチルホルムアミドの標準沸点)で混合する工程、および物質を、この温度で約0.5時間〜約72時間反応させる工程が含まれる。[M(L)]X:A[M(IM)]のモル比は、約0.1〜約10の範囲にある。副生物AXが沈殿する場合には、固体および溶液は、分離される。任意には、テンプレート化合物が、この時点で溶液へ添加される。テンプレート化合物の量は、下限では、二つの反応体のうちの一種(モル量がより小さい)に等モルであり、上限では、溶媒に等モルであるような範囲にある。溶液は、生成物が結晶化することができるように、温度約−78℃〜約153℃で保持される。結晶化工程が、通常約0.5時間〜約168時間で完了すると、得られた多孔質結晶性物質が回収される。
Li、Cu、Agは、反応体A[M(IM)]のカチオンA(Na、K、NR 、PR )を置換するのに特に効果的である。何故なら、それらは全て、Aよりかなり強力なIM結合部分との結合を形成するからである。Li、Cu、Agは全て、本多孔質結晶性物質の結晶化に効果的である。何故なら、それらは全て、四面体配位を優先するからである。
本多孔質結晶性物質の合成で用いられる反応体A[M(IM)]は、予め調製される。調製は、M=B3+、Al3+、Ga3+である場合に、特に好都合である。ホウ素化合物の調製手順は、例えば、非特許文献12および非特許文献7に見出されることができる。これらの調製には全て、BH およびH−IMの間の反応が含まれる。式中、H−IMは、イミダゾールまたは置換イミダゾールである。この化学作用は、Al3+およびGa3+に適用可能である。何故なら、AlおよびGaは、Bに類似の化学的特性を示すからであり、AlH およびGaH 化合物は、容易に入手可能であるからである。
合成されたままの形態の本多孔質結晶性物質は、四面体骨格内にゲスト種(典型的には、溶媒および/またはテンプレート分子)を含む。ゲスト種は、圧力50mTorr未満/温度約70℃〜約300℃で排気するか、または小さな分子サイズの有機溶媒(例えばアセトニトリル)と置換し、上記される排気プロセスが続くかのいずれかによって除去することができる。ゲスト種の除去は、種々のガス(二酸化炭素、一酸化炭素、炭化水素、水素、窒素、酸素、新規なガス、およびアミンなど)を吸着するのに用いることができる内部細孔容積をもたらす。
本結晶性物質中の細孔のサイズおよび形状は、イミダゾレート結合部分、溶媒、およびテンプレートの選択によって制御することができる。結果として、本多孔質結晶性物質は、触媒としての使用のために、およびガスの貯蔵および分離において、実質的な潜在能力を示す。
触媒の観点から、Cu、Ag、Al3+、およびGa3+を組込むことは、これまでZIFに用いられた金属、典型的には二価遷移金属(Zn2+、Co2+など)に利用できない独特の触媒化学を可能にするであろう。
ガス貯蔵および分離の領域(現在、ZIFの最も重要な用途である)において、非常に軽い金属(LiおよびBなど)を用いることは、重量ベースでガス取込み量を向上するのに非常に望ましい。例えば、化学組成LiB(IM)を有する多孔質物質は、親近構造のZn(IM)物質(Li0.50.5(IM)およびZn(IM)の式量は、それぞれ、143および199であり、IMは、イミダゾレートである)より、ミリモル/gの単位で39%高い取込み量を示すことが予想される。
本発明は、ここで、実施例および添付の図面を引用して、より詳細に記載されるであろう。
実施例1
塩化リチウム(LiCl、0.33mmole)14mg/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)5mLの溶液を、20−mLのガラスバイアル中の、ナトリウムテトラキス(1−イミダゾリル)ボレート(NaB(IM)、0.33mmole)100mg/DMF5mLの溶液へ添加した。塩化ナトリウムの沈殿が完了した際(典型的に、約2時間)に、透明溶液を、他の20mLのガラスバイアルへ移し、テトラヒドロフラン(THF)5mLと混合した。多角体結晶が、直ちにガラス壁上に生じ、約8時間に亘って成長させた。母液を、次いで除去し、結晶を、THFで完全に洗浄し、減圧中で乾燥した。高度結晶質の生成物LiB(IM)・ゲスト(化合物1)35mgを得た(30%収率;ゲストは、THFおよびDMFの混合物である)。
概略寸法0.08×0.19×0.21mmの化合物1の無色多面体形状結晶を、X線結晶解析に用いた。X線の強度データを、133(2)Kで測定した。これは、Rigaku−MSC X−Stream2000によって冷却され、グラファイトモノクロメータ−およびMoKα線ファイン−フォーカスシールド管(α=0.71073Å)を装備し、出力1600ワット(50kV、32mA)で運転されるBruker SMART APEX CCDエリア検出器系によった。検出器は、結晶から5.8cmの距離に置かれた。
全1515フレームを、スキャン幅0.3°(ω)、暴露時間20秒/フレームで収集した。全データ収集時間は、約11時間であった。フレームを、ナローフレーム積算アルゴリズムを用いるBruker SAINTソフトウェアパッケージを用いて積算した。斜方晶単位セルを用いたデータの積算は、最大θ角28.40°(0.90Å解像度)に対して全27071個の反射を得た。そのうち、4692個は、独立であり、完全性=98.3%、Rint=0.0759、Rsig=0.0611であり、3273個は、2σ(I)超であった。最終的なセル定数:a=14.382(5)Å、b=14.809(5)Å、c=17.869(6)Å、α=90°、β=90°、γ=90°、容積=3806(2)Åは、2.278°<θ<23.570°の20σ(I)超で、2336個の反射のXYZ−重心の精密化に基づいた。データの分析は、データ収集中に無視できる減衰を示した。データを、マルチスキャン技術(SADABS)を用いて、吸着効果に対して補正した。最小/最大見掛け透過率の比率は、0.5697であった。
構造を、Bruker SHELXTL(バージョン6.1)ソフトウェアパッケージを用い、式単位Li B C16 H20 N8 O、即ちLiB(IM)・THFの空間群Pbca、Z=8を用いて、解析し、精密化した。THF分子の5個の非水素原子を、異なるフーリエ合成図において明確に示した。しかし、これらの原子の精密化は、正確にモデル化するのが容易ではないTHF分子の僅かな乱れにより、不成功であった。乱れは、THFおよびDMFの重ね合わせによって引起された。これは、それぞれ、ゲスト混合物の多量および少量成分であった。骨格の軽い原子の精密化を向上させるために、PLATON/SQUEEZEルーチンを用いて、乱れたゲスト分子の電子密度を除去した。199の変数を用いたFの最終的な異方性全マトリックス最小二乗精密化は、観測データではR1=7.24%、全データではwR2=17.77%で収斂した。適合度は、1.041であった。最終的な差地図での最大ピークは、0.289e/Åであり、最大ホールは−0.267e/Åであった。最終モデルに基づいて、計算された結晶密度は、0.998g/cmであり、F(000)は、合計1184個の電子である。
この構造の有効性は、R因子、適合度、および上記される残留電子密度によって、および表1に記載される骨格原子の非常に適切な置換パラメーターによって裏付けられる。加えて、構造のゲスト部分の処理は、表2に示されるPLATON/SQUEEZEの結果によって実証される。ルーチンにより、単位セル当たりに8個の空間が確認された。それぞれは、146〜148Åの容積を有し、38個の電子を含む。容積および電子数はいずれも、空間当たりに1個のゲスト分子の割り当てを裏付ける(THFおよびDMFはいずれも、分子当りに5個の非水素原子および40個の電子を有する)。従って、結晶の式はLiB(IM)・ゲストである。
Figure 2012528860
Figure 2012528860
化合物1は、混合価金属イミダゾレート、M(IM)の四面体骨格を有する。式中、MおよびMは、それぞれ、一価および三価の元素カチオンである。これは、化合物1のOak Ridge Thermal Ellipsoid Plot(ORTEP)で明確に示され、二種の隣接する金属カチオン、LiおよびB3+を示す。これは、どちらも四個のイミダゾレート結合部分によって四面体に配位される(図1)。Li−NおよびB−N結合の長さは全て、文献に十分に確立された範囲に入り(表3)、金属の属性の正確な帰属を裏付ける。各金属カチオンの四面体配位構造は、ほぼ完全であり、N−Li−NおよびN−B−Nの結合角度によって立証される。その全ては、理想的な四面体角度109.5°に非常に近い(表3)。比較のために、表3はまた、二次元層状化合物TlB(IM)の単結晶構造に見られるN−Tl−NおよびN−B−Nの結合角度を記載する。これは、非特許文献7に開示される。Tlの非四面体配位は、ゼオライトまたはゼオライト様開放骨格の形成を阻害し、一方Liの四面体配位は、そのように容易である。
Figure 2012528860
化合物1の骨格タイプは、ZIF−4と同じであり、これはまた、鉱物没食子酸カルシウム(以下、cagと示される)のそれと同じである。cag骨格タイプは、ゼオライト骨格タイプではないものの、それは、三次元四面体骨格であり、ZIFに採用された場合には、到達可能な物質内部空間および6員環通路を付与する(図2)。表4は、化合物1の単位セルパラメーターを、非特許文献1によって報告されるZIF−4のものと比較する。それらは、セル端において化合物1の僅かな収縮を除いて同じである。これは、Li−N、B−N、およびZn−Nの典型的な結合長さに基づいて予想される。従って、化合物1の合成は、ZIFの中性四面体骨格の二価金属を、交互に一価および三価元素と置き換え、骨格タイプを保護するという概念を証明する。
Figure 2012528860
実施例2
化合物1の合成におけるTHFのテンプレート効果を示すために、実施例1を、THFの添加なしに繰返し、針状微結晶生成物LiB(IM)(化合物2)を生成した。単結晶X線回折に適切な化合物2の大結晶を、別経路から得た。これは、周囲条件下に、THF中での、化合物1から化合物2へ非常に遅い転位である。結晶の転位プロセスは、恐らく、THF中に存在する水の痕跡量を含み、典型的には、相当程度に、約一ヶ月で生じる。針状微結晶生成物および大結晶は、同じ結晶相であり、これは、前者の粉末X線回折パターンおよび後者の結晶構造から計算されるパターンの優れた一致によって証明される。
化合物2の結晶構造を、良好に、解釈および精密化した(表5および6)。化合物2のLiB(IM)四面体骨格は、非多孔質であり、当然にゲスト種を含まない。これは、いかなるゲスト種をも含まない構造モデルの最終収斂精密化の非常に低い残留電子密度によって証明される(表5)。観測される結合長さは、Li−NおよびB−N結合の典型的な値と一致し、観察される結合角は、各T原子の四面体配位構造を追認する(表7)。骨格タイプに関する限り、化合物2は、非特許文献3によって報告されるzni骨格タイプとの、ZIF−61の混合価対応物である。ZIF−61に比較して、化合物2は、結合長さの相違(Zn−N:Li−NおよびB−N)によるセル端の僅かな収縮、および唯一の独特なT部位(Zn2+)を、二つの他のT部位(LiおよびB3+)と置き換えることによる空間群対称の僅かな低下を示す。
Figure 2012528860
Figure 2012528860
Figure 2012528860
Figure 2012528860
本発明は、特定の実施形態を引用して記載され、例示されているものの、当業者は、本発明が、本明細書に必ずしも例示されない変更にも適用されることを認めるであろう。この理由で、添付される請求項のみが、本発明の真の範囲を決定するのに参照されるべきである。

Claims (28)

  1. 一般式M−IM−M(式中、Mは、第一の価数を有する金属を含み、Mは、前記第一の価数と異なる第二の価数を有する金属を含み、IMは、イミダゾレートまたは置換イミダゾレート結合部分である)からなる四面体骨格を有することを特徴とする多孔質結晶性物質。
  2. は、一価金属を含み、Mは、三価元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  3. は、Li、Na、K、Cs、Rb、Cu、AgおよびAuよりなる群から選択される一価金属カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  4. は、Li、CuおよびAgよりなる群から選択される一価金属カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  5. は、Liであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  6. は、B3+、Al3+、Ga3+、In3+、Fe3+、Cr3+、Sc3+、Y3+およびLa3+(Laは、任意のランタニド金属である)よりなる群から選択される三価元素カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  7. は、B3+、Al3+およびGa3+よりなる群から選択される三価元素カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  8. は、B3+であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  9. 前記四面体骨格は、crb、dft、cag、sod、mer、rho、ana、lta、dia、zni、gme、lcs、frl、gis、pozおよびmozからなる群から選択される骨格タイプを有することを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  10. IMは、未置換イミダゾレート基であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質結晶性物質。
  11. 下記式IV、V、VI:
    Figure 2012528860
    (式中、
    、A、A、A、A、AおよびAは、CまたはNのいずれであってもよく、
    〜Rは、A〜AがCを含む場合に存在し、
    、RまたはRは、隣接するMまたはMと干渉しない非立体障害基を含み、
    、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、ハロ、シアノ、またはニトロであり、
    は、一価金属カチオンを含み、
    は、三価元素カチオンを含み、
    10、R11およびR12は、それぞれ独立に、電子求引性基である)
    またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される構造を含む四面体骨格を有することを特徴とする多孔質結晶性物質。
  12. は、Li、Na、K、Cs、Rb、Cu、AgおよびAuよりなる群から選択される一価金属カチオンであることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  13. は、Li、CuおよびAgよりなる群から選択される一価金属カチオンであることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  14. は、Liであることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  15. は、B3+、Al3+、Ga3+、In3+、Fe3+、Cr3+、Sc3+、Y3+およびLa3+(Laは、任意のランタニド金属である)よりなる群から選択される三価元素カチオンであることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  16. は、B3+、Al3+およびGa3+よりなる群から選択される三価元素カチオンであることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  17. は、B3+であることを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  18. 前記四面体骨格は、crb、dft、cag、sod、mer、rho、ana、lta、dia、zni、gme、lcs、frl、gis、pozおよびmozからなる群から選択される骨格タイプを有することを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  19. 下記式VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVIIおよびXVIII:
    Figure 2012528860
    Figure 2012528860
    からなる群から選択される構造を含むことを特徴とする請求項11に記載の多孔質結晶性物質。
  20. 構造VIIを有し、MはLiであり、MはB3+であり、前記四面体骨格は、cag骨格タイプを有し、合成されたままの物質は、四面体骨格内にゲスト種を含むことを特徴とする請求項19に記載の多孔質結晶性物質。
  21. ガスを、請求項1に記載の多孔質結晶性物質と接触させる工程を含むことを特徴とするガスの吸着方法。
  22. 前記ガスは、水素、窒素、酸素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素またはアミンであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. ガスを含む流体ストリームを、請求項1に記載の多孔質結晶性物質と接触させる工程を含むことを特徴とする流体ストリームからのガスの分離方法。
  24. 前記ガスは、水素、窒素、酸素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、またはアミンであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. ガスを、請求項11に記載の多孔質結晶性物質と接触させる工程を含むことを特徴とするガスの吸着方法。
  26. 前記ガスは、水素、窒素、酸素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素またはアミンであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  27. ガスを含む流体ストリームを、請求項11に記載の多孔質結晶性物質と接触させる工程を含むことを特徴とする流体ストリームからのガスの分離方法。
  28. 前記ガスは、水素、窒素、酸素、希ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素またはアミンであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
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